(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084679
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】自動車
(51)【国際特許分類】
B60J 1/18 20060101AFI20230612BHJP
B60J 1/20 20060101ALI20230612BHJP
B60J 7/12 20060101ALI20230612BHJP
E05F 15/689 20150101ALI20230612BHJP
【FI】
B60J1/18 P
B60J1/20 E
B60J7/12 F
E05F15/689
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022189980
(22)【出願日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】102021000030833
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダニエーレ チェルベッリ
(72)【発明者】
【氏名】ルーベンス カラトーラ
【テーマコード(参考)】
2E052
3D127
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052CA06
2E052DA03
2E052DA04
2E052DB03
2E052DB04
2E052EA14
2E052EB01
2E052EC01
2E052LA01
3D127AA14
3D127BB01
3D127CB05
3D127CC03
3D127CC20
3D127DF04
3D127DF15
3D127FF05
3D127FF06
3D127FF21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】空気力学、及び快適性を、信頼性が高く再現可能な方法で改善することによって、既知のコンバーチブル車を改善する。
【解決手段】自動車(1)は、前進方向に対して横方向に配向された第1及び第2の開口部(6,7,8)を閉鎖する第1の位置と、部分的に解放する第2の位置との間で移動可能な第1のリアウィンドウ、及び、第2の開口部(8)を閉鎖する第3の位置と、部分的に解放する第4の位置との間で移動可能に結合された第2のリアウィンドウ(11)、及び、閉鎖形態と開放形態との間で移動可能なルーフ(3)、及び、ルーフが閉鎖形態にあるときに、第1及び第2のリアウィンドウを第1及び第2の位置にそれぞれ自動的に配置し、かつ/又は、ルーフが開放形態にあるときに、第1及び第2のリアウィンドウを第3及び第4の位置にそれぞれ自動的に配置するように構成された、第1の駆動手段(ECU)を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)であって、
前記自動車(1)の前進方向に沿って延在し、前記前進方向に対して横方向に配向された、前記自動車(1)の外側に面する、第1及び第2の開口部(6,7,8)を含む、前記前進方向に対する後方部位(5)を有する、フレーム(2)と、
前記第1の開口部(6,7)を閉鎖する第1の位置と、前記第1の開口部(6,7)を少なくとも部分的に解放する第2の位置との間で、移動可能に前記フレーム(2)に結合された、第1のリアウィンドウ(9,10)と、
前記第2の開口部(8)を閉鎖する第3の位置と、前記第2の開口部(8)を部分的に解放する第4の位置との間を移動するように、移動可能に前記フレーム(2)に結合された第2のリアウィンドウ(11)であって、したがって外部から前記自動車(1)の内部に向かって、前記前進方向に沿って導かれた空気流をそらせるためのウィンドデフレクタを形成する、第2のリアウィンドウ(11)と、
前記自動車(1)の内部を、上部からそれぞれ覆ったり露にしたりする閉鎖形態と開放形態との間で、移動可能に前記フレーム(2)に結合されるルーフ(3)と、
前記ルーフ(3)が前記閉鎖形態にあるときに、前記第1及び第2のリアウィンドウ(9,10,11)を、それぞれ第1及び第3の位置に自動的に配置し、かつ/又は、前記ルーフ(3)が前記開放形態にあるときに、前記第1及び第2のリアウィンドウ(9,10,11)を、それぞれ第2及び第4の位置に配置するように構成された、第1の駆動手段(ECU,20)と、を備える自動車。
【請求項2】
前記第1の駆動手段(ECU,20)が、
前記ルーフ(3)がいつ前記閉鎖形態にあるか、及び/又はいつ前記開放形態にあるかを判定する判定手段(ECU)と、
前記ルーフ(3)がいつ前記閉鎖形態にあるか、及び/又はいつ前記開放形態にあるかに関する情報を、前記判定手段から取得するように構成された、制御ユニット(ECU)と、
前記第1及び第2のリアウィンドウ(9,10,11)を移動させるように制御可能な、アクチュエータアセンブリ(20)と、を備え、
前記制御ユニット(ECU)が、前記アクチュエータアセンブリ(20)を制御するように構成されており、それにより、前記アクチュエータアセンブリ(20)が、前記ルーフ(3)が前記閉鎖形態にあるときに、前記第1及び第2のリアウィンドウ(9,10,11)をそれぞれ、前記第1及び第2の位置に配置し、かつ/又は、前記ルーフ(3)が前記開放形態にあるときに、前記第1及び第2のリアウィンドウ(9,10,11)をそれぞれ、前記第3及び第4の位置に配置する、請求項1に記載の自動車。
【請求項3】
前記ルーフ(3)を、前記閉鎖形態と前記開放形態との間で移動させるように制御可能な、第2の駆動手段(4)を更に備え、
前記ルーフ(3)が前記閉鎖形態から前記開放形態へ移行することに応答して、前記第1及び第2のリアウィンドウ(9,10,11)を、前記第1の位置から前記第2の位置に、及び前記第3の位置から前記第4の位置にそれぞれ移動させるために、かつ/又は、前記ルーフ(3)が前記開放形態から前記閉鎖形態へ更に移行することに応答して、前記第1及び第2のリアウィンドウ(9,10,11)を、前記第2の位置から前記第1の位置に、及び前記第4の位置から前記第3の位置にそれぞれ移動させるために、前記第1の駆動手段(ECU,20)が、前記第2の駆動手段(4)と連係して働く、請求項1に記載の自動車。
【請求項4】
前記第1の駆動手段が、
制御ユニット(ECU)と、
前記第1及び第2のリアウィンドウ(9,10,11)を移動させるように制御可能な、アクチュエータアセンブリ(20)と、を備え、
前記制御ユニット(ECU)が、前記第2の駆動手段(4)がどのように制御されるかに応じて、前記アクチュエータアセンブリ(20)を制御するように更に構成される、請求項3に記載の自動車。
【請求項5】
前記制御ユニット(ECU)が、前記第2の駆動手段(4)を制御するように構成される、請求項4に記載の自動車。
【請求項6】
前記アクチュエータアセンブリ(20)が、
前記第1のリアウィンドウ(9,10)を、前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させるように、前記制御ユニット(ECU)によって制御可能な、第1のサーボ機構(21)と、
前記第1のサーボ機構(21)から独立しており、前記第2のリアウィンドウ(11)を、前記第3の位置と前記第4の位置との間で移動させるように、前記制御ユニット(ECU)によって制御可能な第2のサーボ機構(22)と、を備える、請求項4に記載の自動車。
【請求項7】
前記第1のサーボ機構(21)が、
前記制御ユニット(ECU)によって制御可能なモータ(30)と、
前記モータ(30)によって出力された運動を前記第1のリアウィンドウ(9,10)に伝達するように構成された、動力伝達装置(31)と、を備え、
前記モータ(30)及び前記動力伝達装置(31)が、前記フレーム(2)の同じブラケット(32)によって保持される、請求項6に記載の自動車。
【請求項8】
前記動力伝達装置(31)が、
前記ブラケット(32)によって、それぞれの平行軸を中心に回転可能に保持された、複数のプーリ(33,34)と、
前記プーリ(33,34)の少なくとも一方によって回転移動されるように、前記プーリ(33,34)に巻き付けられた可撓性部材(35)と、を備え、
前記第1のリアウィンドウ(9,10)が、前記可撓性部材(35)に固定的に連結されている、請求項7に記載の自動車。
【請求項9】
前記動力伝達装置(31)が、
前記可撓性部材(35)に固定的に結合されたスライド部(36)と、
前記ブラケット(32)に対して固定され、前記可撓性部材(35)の動きに応じて、前記スライド部(36)の並進運動を導くように構成された、直線ガイド部(37)と、を更に備え、
前記第1のリアウィンドウ(9,10)が、前記スライド部(36)に固定されている、請求項8に記載の自動車。
【請求項10】
前記プーリ(33,34)及び前記可撓性部材(35)が、前記前進方向に対して横方向の同一平面上にある、請求項8に記載の自動車。
【請求項11】
前記第1のリアウィンドウ(9,10)が、前記第2の位置において、前記第1の開口部(6,7)を完全に解放して、更なる空気流が前記第1の開口部(6,7)の延在部全体を通って流れることを可能にする、請求項1に記載の自動車。
【請求項12】
前記第1のリアウィンドウ(9,10)、及び/又は前記第2のリアウィンドウ(11)が、直線方向(A)に沿って上方に移動可能である、請求項1に記載の自動車。
【請求項13】
シート(2a)を備え、前記第1のリアウィンドウ(9,10)が、前記前進方向に対して前記シート(2a)の後方に配置される、請求項1に記載の自動車。
【請求項14】
前記フレーム(2)が、前記第1又は第2の開口部(6,7,8)のための、少なくとも1つの輪郭(13,14,15)を画定し、前記輪郭(13,14,15)が、前記第1又は第2のリアウィンドウ(9,10,11)がそれぞれ移動可能であるスリットを有する、請求項1に記載の自動車。
【請求項15】
前記輪郭(13,14)が閉じられており、前記第1の開口部(6,7)を画定する、請求項14に記載の自動車。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本特許出願は、2021年12月7日に出願されたイタリア特許出願第102021000030833号の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、自動車、具体的にはコンバーチブル車、より具体的にはそのリアウィンドウの構成に関する。
【背景技術】
【0003】
既知のように、コンバーチブル車は、車室を画定する本体、並びに、車室が外部と連通する開放形態と、車室を自動車の外部から隔離することができる閉鎖形態との間で、本体に対して移動可能なルーフを備える、構成可能な自動車の一種である。
【0004】
場合によっては、本体は、対応するリアウィンドウによって閉鎖される1つ又はそれ以上の後部開口部を有し、後部開口部は、閉鎖形態においてルーフによって車室後部を外部から隔離するのと同時に、運転者が自動車外部の後方を視認できるようにする機能を有する。
【0005】
他の場合では、リアウィンドウは、自動車のサイドウィンドウに典型的に見られるように、運転者の手動制御に基づいて下げることができる。ここで、ルーフが開放形態にある場合に、リアウィンドウを最適位置まで下げることには、自動車の空気力学を改善する目的がある。実際、リアウィンドウをそれぞれの位置まで下げることで、後部開口部が解放され、ルーフが開放形態にある車室後部に必然的に生成される、空気流の出口が形成される。同時に、自動車の後方から乱流が戻ることが防止される。
【0006】
一般に、特にその空気力学、及びその形態での快適性を、とりわけ信頼性が高く再現可能な方法で改善することによって、既知のコンバーチブル車を改善する必要がある。
【0007】
本発明の1つの目的は、好ましくは単純かつ効果的な方法で、上記の必要性を満たすことである。
【発明の概要】
【0008】
この目的は、請求項1に記載の自動車によって達成される。
【0009】
各従属請求項は、本発明の特定の実施形態を定義する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下、非限定的な実施例として、添付の図面を参照して、本発明の実施形態をよりよく理解するための説明を行う。
【
図1】ルーフ開放形態における、本発明による自動車の斜視図である。
【
図2】
図1の自動車の後方部位を拡大した、正面図である。
【
図3】
図2の後方部位の詳細についての、斜視図である。
【
図4】
図1の自動車の前方方向に対して反対の視点からの、
図3の詳細についての、更なる斜視図である。
【
図5】ルーフ閉鎖形態における、
図1の自動車の内部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1において、参照番号1は、全体として自動車を示すために使用される。
【0012】
自動車1は、自動車1自体の内側及び外側を画定する、フレーム2を備える。自動車1の内側は、運転者のための車室を備え、又は、より正確には、運転者のための車室を画定する。この内側に、自動車1は、運転者及び同乗者それぞれのための2つのシート、2aを備える。シート2aは、互いに隣接している。
【0013】
自動車1はコンバーチブル式であり、すなわち、自動車1の内側又は車室を上部からそれぞれ覆ったり露にしたりする、閉鎖形態と開放形態との間で、移動可能にフレーム2に結合された、ルーフ3を備える。
【0014】
具体的には、自動車1はアクチュエータアセンブリ4を備え、より具体的には、
図1に概略的に示される既知のタイプのアクチュエータアセンブリを備える。このアクチュエータアセンブリ4は、ルーフを閉鎖形態と開放形態との間で移動させるように制御することができ、これは、明らかに自動車1に含まれるものである。
【0015】
自動車1は、特にアクチュエータアセンブリ4を制御するように構成された、制御ユニットECUを備え、ルーフ3はアクチュエータアセンブリ4を使用して、自動的に移動される。
【0016】
例えば、自動車1はまた、車室内に、ボタン又はレバーのような図示されていない制御機構を備える。この制御機構は制御ユニットECUに結合され、運転者の要求に応じてルーフ3を移動させることを制御ユニットECUに要求するために、運転者によって手動で操作することができる。
【0017】
これに限定するものではないが、ルーフ3は手動で動かすこともできるため、アクチュエータアセンブリ4は任意選択的なものである。この場合、制御ユニットECUは、いずれにせよ、以下で明らかになるような、自動車1の他の機能を実行するために存在し得る。
【0018】
開放形態におけるルーフ3は、特にフレーム2の後方部位5に配置される。部位5は、フレーム2がそれに沿って延在する、自動車1の前方方向に対する後部である。
【0019】
部位5には、前方方向に対して横方向に配向された、自動車1の外側に面する複数の開口部が設けられる。言い換えれば、これらの開口部は後方にあり、すなわち、自動車1のサイドドア2bに形成されたもののような、側部にはない。このことは、これらの開口部が、前方方向に対して自動車1の後方にあるものの視認性を、運転者に与えることを意味する。
【0020】
より正確には、複数の開口部は、水平方向及び横方向に、より正確には前方方向に直交する、一対の開口部6、7、及び開口部6、7の間に配置された、第3の開口部8を含む。特に、開口部8は、基本的に開口部6、7のそれぞれの側方に配置される。
【0021】
言い換えれば、開口部8は、前方方向を横切る水平方向にしたがって、各開口部6、7よりも内側に配置される。
【0022】
必要に応じて、開口部6、7はそれぞれ、シート2aの後方に配置される。
【0023】
また、好ましくは、開口部8は、各シート2aの間にある空間の後方に配置される。
【0024】
自動車1の車室は、各開口部6、7、8を介して、外部と直接連通することができる。
【0025】
開口部6,7,8を覆う又は閉じるために、自動車1は、一対のリアウィンドウ9,10、及び第3のリアウィンドウ11をそれぞれ備える。リアウィンドウ9、10、11は、開口部6、7、8を覆う又は閉じるための、それぞれのパネル又はウィンドウを備える。特に、これらのウィンドウは、車室又は自動車1の内側から、自動車1の後方を視認できるようにするために、少なくともある程度の透明度を有する。
【0026】
リアウィンドウ9、10はそれぞれ、対応する開口部6、7を閉鎖する閉鎖位置と、対応する開口部6、7を少なくとも部分的に解放する開放位置との間で移動可能に、フレーム2に結合される。
【0027】
事実上、より正確には、開放位置にあるリアウィンドウ9、10はそれぞれ、開口部6、7を完全に解放し、したがって開口部6、7の延在部全体を通過する空気流を可能にする。
【0028】
開口部6,7と同様に、リアウィンドウ9,10はそれぞれ、シート2aの後方に配置される。
【0029】
リアウィンドウ11は、開口部8を閉鎖する隔離位置と、開口部8を部分的に解放するウィンドデフレクタ位置との間で移動可能にフレーム2に結合され、したがって、前方方向に沿って自動車1の外側から内側に向かって導かれた空気流をそらせるための、ウィンドデフレクタを形成する。
【0030】
より具体的には、ウィンドデフレクタ部において、リアウィンドウ11は、フレーム2の表面12に対して上方に突出する。具体的には、リアウィンドウ11は、10mm~40mmの範囲の長さだけ突出する。
【0031】
より正確には、ルーフ3が開放形態にある状態で、リアウィンドウ11はウィンドデフレクタの機能を果たす。すなわち、リアウィンドウは、自動車1の前方への移動によって動かされる、後方から内部への外気の逆流を制限し、したがって、自動車1の内部の乱流を低減する。
【0032】
概して、コンバーチブル自動車用のウィンドデフレクタの機能は一般に知られているため、これ以上詳細な説明は行わない。
【0033】
出願人は、上記の長さ、より好ましくは25mm程度の長さが最適であると見立てている。
【0034】
リアウィンドウ11は、開口部8と同様に、シート2a間の空間の後方に配置される。
【0035】
具体的には、リアウィンドウ9、10、11はそれぞれ、直線方向A、より具体的には垂直方向に沿って、上方に移動することができる。
【0036】
特に、開口部6、7、8は個別に、フレーム2、より正確には部位5によって画定された、それぞれの輪郭13、14、15を有する。
【0037】
より具体的には、輪郭13、14、15はそれぞれ、フレーム2、より正確には部位5の複数の輪郭表面を含む、又は輪郭表面からなる。
【0038】
輪郭13、14、15はそれぞれ、対応するリアウィンドウ9、10、11が移動可能となるスリットを有する、又は画定する。
【0039】
具体的には、輪郭13、14は閉じられており、対応する開口部6、7を画定する。したがって、閉鎖位置において、リアウィンドウ9、10はそれぞれ、輪郭13、14によって囲まれている。言い換えれば、リアウィンドウ9、10は、閉鎖位置において、輪郭13、14を通じて延在する。
【0040】
したがって、対応するリアウィンドウ9、10が閉鎖位置にあるとき、開口部6、7が対応するリアウィンドウ9、10によって外部から完全に隔離されているため、自動車1の内部は、開口部6、7を通じて外部と連通することはできない。
【0041】
一方、特に、輪郭15は開かれており、より具体的には上方に開かれている。いずれにせよ、リアウィンドウ11は、輪郭15によって下方及び側方に画定されているため、リアウィンドウ11は、より正確には隔離位置及びウィンドデフレクタ位置の両方において、いずれの場合も輪郭15を通じて延在する。
【0042】
輪郭15は表面12を含み、この表面は、開口部8のための、結果としてリアウィンドウ11のための、具体的には隔離位置及びウィンドデフレクタ位置の両方における、下側輪郭部を画定する。
【0043】
したがって、
図1に示すように、開口部6、7は、対応する輪郭13、14によって完全に画定されるが、開口部8は上方には画定されず、輪郭15によって下方及び側方にのみ画定される。
【0044】
図5に示すように、ルーフ3が閉鎖構成にあるときには、ルーフ3自体が開口部8の上方を画定する。したがって、ルーフ3が閉鎖形態にあるとき、加えて、リアウィンドウ11が隔離位置にあるときには、開口部8がリアウィンドウ11及びルーフ3によって外部から完全に隔離されるため、自動車1の内部は、開口部8を介して外部と連通することはできない。
【0045】
本発明によれば、自動車1は、ルーフ3が閉鎖形態にあるとき、リアウィンドウ9、10を対応する閉鎖位置に、リアウィンドウ11を隔離位置に、自動的に配置するように構成された、駆動装置を備える。代わりに、又は加えて、この駆動装置は、ルーフ3が開放形態にあるとき、リアウィンドウ9、10を対応する開放位置に、リアウィンドウ11をウィンドデフレクタ位置に、自動的に配置するように構成される。
【0046】
このようにして、ルーフ3が閉鎖形態にある状態では、車室後部は外部から隔離されるのだが、リアウィンドウ9、10、11によって後方の視認性が確保される。一方、ルーフ3が開放形態にある状態では、開口部6、7が、自動車1によって移動される空気のための、外側に向かう空気力学的な流路を画定しつつ、リアウィンドウ11が、そのウィンドデフレクタ機能を果たす。
【0047】
簡単にするために、第1のリアウィンドウ9を参照して説明されるすべてのことは、第2のリアウィンドウ10にも同様に適用可能であることに留意して、これ以降、リアウィンドウ9、10のうちの一方のみ、特にリアウィンドウ9を参照する。加えて、このことは、曖昧さを伴うことなく、図から端的に読み取ることができる。言い換えれば、これ以降、第1のリアウィンドウ9を第2のリアウィンドウ10に置き換えてもよい。
【0048】
第1の非限定的な実施例によれば、駆動装置は、これが必須ではないが、好都合には、制御ユニットECUと合致する制御ユニット、並びに、ルーフ3の現在の形態を判定するように、すなわち、ルーフ3がいつ閉鎖形態にあるか、及び/又はルーフ3がいつ開放形態にあるかを判定するように構成された、判定装置を備える。
【0049】
この判定装置は、制御ユニットECUの一部であることが好ましい。したがって、制御ユニットECUは、ルーフ3の現在の形態に関する、すなわちルーフ3の現在の形態を示す情報を取得するように構成される。具体例を挙げると、制御ユニットECUがアクチュエータアセンブリ4を制御するように構成されている場合、この制御ユニットECUは、アクチュエータアセンブリ4をどのように制御するかに基づいて、ルーフ3の現在の形態を判定又は導出することができる。実際、制御ユニットECUは、ルーフ3の所望の形態に対応する基準を定義する、制御信号を処理することによって、アクチュエータアセンブリ4を制御する。このことは、アクチュエータアセンブリ4が、開放された輪郭又は閉鎖された輪郭において、制御ユニットECUによって制御される、両方の場合に当てはまる。したがって、制御ユニットECUは、制御中又は制御終了時に、現在の形態が基準、すなわち所望の形態と一致していると見做すことができる。
【0050】
あるいは、判定装置は、制御ユニットECUに結合され、ルーフ3の現在の形態を検出し、関連する信号を生成するように構成された、トランスデューサを備えることができる。したがって、制御ユニットは、関連する信号を受信し、受信した信号から現在の形態に関する情報を取得する。
【0051】
上述したように、このことは、アセンブリ4が存在しない場合にも当てはまることは明らかである。制御ユニットECUは、いずれにせよ、現在の形態、すなわちルーフがいつ閉鎖形態にあり、及び/又はいつ開放形態にあるかを判定し、対応する情報を取得するために、判定装置と共に存在することができる。
【0052】
再び、第1の実施例を参照すると、駆動装置は、リアウィンドウ9、11を移動させるように制御することができる、アクチュエータアセンブリ20も備える。
【0053】
したがって、制御ユニットECUは、取得した情報に正確に基づいてアクチュエータアセンブリ20を制御するように構成され、その結果、アクチュエータアセンブリ20は、ルーフ3が閉鎖形態にあるとき、すなわち、取得した情報がルーフ3は閉鎖形態にあることを示すとき、リアウィンドウ9、11をそれぞれ、閉鎖位置及び隔離位置に配置する。
【0054】
代わりに、又は加えて、制御ユニットECUは、取得した情報に正確に基づいてアクチュエータアセンブリ20を制御するように構成され、その結果、アクチュエータアセンブリ20は、ルーフ3が開放形態にあるとき、すなわち、取得した情報がルーフ3は開放形態にあることを示すとき、リアウィンドウ9、11をそれぞれ、開放位置及びウィンドデフレクタ位置に配置する。
【0055】
要約すると、第1の実施例による自動車1を動作させる際、運転者は、特別な制御を介して、ルーフ3の閉鎖形態から開放形態への、又はその逆への遷移を、手動で実行又は要求する。制御ユニットECUは、ルーフ3がいつ閉鎖形態又は開放形態にあるかについての情報を、判定又は取得する。その結果、制御ユニットECUは、ルーフ3が閉鎖形態にあるときには、リアウィンドウ9、11を対応する閉鎖位置及び隔離位置に配置し、ルーフ3が開放形態にあるときには、同じリアウィンドウ9、11を対応する開放位置及びウィンドデフレクタ位置に配置するように、アクチュエータアセンブリ20を制御する。
【0056】
第1の実施例と組み合わせることができる、非限定的な第2の実施例によれば、駆動装置は、ルーフ3が閉鎖形態から開放形態へ遷移することに応答して、リアウィンドウ9、11をそれぞれ閉鎖位置から開放位置へ、及び隔離位置からウィンドデフレクタ位置へと移動させるように、アクチュエータアセンブリ4と連係して働く。
【0057】
代わりに、又は加えて、駆動装置は、ルーフ3が開放形態から閉鎖形態へ遷移することに応答して、リアウィンドウ9、11をそれぞれ開放位置から閉鎖位置へ、及びウィンドデフレクタ位置から隔離位置へと移動させるように、アクチュエータアセンブリ4と連係して働く。
【0058】
駆動装置とアクチュエータアセンブリ4との間の連係は、例えば、1つ又はそれ以上の機構間の連係によって、複雑なものであれ、単純なものであれ、場合によっては既知の動力伝達装置及びアクチュエータの知見を含む、機構についての共有された技術的知見にも従って、多くの方法で効果的に実施することができる。
【0059】
この第2の実施例では、アクチュエータアセンブリ4は、閉鎖形態と開放形態との間でルーフ3を手動操作することを可能にする機構と、置き換えることができる。実際、駆動装置とこの機構との間の連係は、いずれにせよ、機械的に又は電子的に行うことができる。後者の仕組みは明らかに駆動機構であり、この場合は自動操作ではなく手動操作となる。
【0060】
具体例を挙げると、この連係は、ルーフ3の閉鎖形態から開放形態への遷移及び/又は逆の遷移を検出するように設計されたセンサ装置を介して、その遷移の検出に応答して動作する駆動装置を用いて、行うことができる。
【0061】
この第2の実施例では、駆動装置は、これは必須ではないが、好都合には制御ユニットECUと合致する制御ユニット、及びアクチュエータアセンブリ20を備えることが好ましい。
【0062】
制御ユニットECUは、上述のように連係するために、例えば手動でルーフ3がどのように移動又は制御されるかに応じて、アクチュエータアセンブリ20を制御するように構成される。
【0063】
例えば、制御ユニットECUはセンサ装置と結合され、センサ装置からルーフ3の遷移に関する情報を取得するように、構成することができる。したがって、制御ユニットECUは、上述の連係を実施するように、取得された情報に基づいてアクチュエータアセンブリ20を制御する。
【0064】
これが必須ではないが、好ましくは、制御ユニットECUは、同制御ユニットECUがどのようにアクチュエータアセンブリ4を制御するかに応じてアクチュエータアセンブリ20を制御し、この場合は自動の駆動機構を設定する。
【0065】
要約すると、第2の実施例による自動車1を動作させる際、運転者は、特別な制御を介して、ルーフ3の閉鎖形態から開放形態への、又はその逆への遷移を、手動で実行又は要求する。制御ユニットECUは、この遷移を判定し、その結果、この遷移に関連して連係して働くように、アクチュエータアセンブリ20を制御する。
【0066】
具体的には、アクチュエータアセンブリ20は、制御ユニットECUの制御によって、リアウィンドウ9を閉鎖位置と開放位置との間で移動させることができるサーボ機構21を備え、このサーボ機構21は、アクチュエータアセンブリ20に含まれる。
【0067】
加えて、アクチュエータアセンブリ20は、制御ユニットECUの制御によって、リアウィンドウ11を隔離位置とウィンドデフレクタ位置との間で移動させることができる、サーボ機構21から独立した別のサーボ機構22を備え、このサーボ機構22はアクチュエータアセンブリ20に含まれる。
【0068】
例えば、サーボ機構22は既知のタイプのものであり、具体的には、既知の一般的な自動車のサイドウィンドウを上下させるために使用される、典型的なサーボ機構と同様のものである。このため、サーボ機構22は、概略的に
図2に示されており、その不可欠な構成部品で概要的に記載されている。サーボ機構22は、制御ユニットECUによって制御され得るモータ23、リアウィンドウ11が固定される一対のスライド部24、別個の固定ブラケットによってそれぞれ保持され、それぞれの平行な直線方向に沿ってスライド部24をそれぞれ導くように構成された、一対の平行な直線ガイド部25、及びモータ23からの運動を対応する直線方向に沿ってスライド部24に伝達するように構成された、可撓性部材を有する動力伝達装置26を備える。動力伝達装置26は、ガイド部25に固定されたブラケットによってそれぞれ保持された、図示されていない二対のプーリを備える。
【0069】
サーボ機構21は、制御ユニットECUによって制御され得るモータ30、及びモータ30からの運動をリアウィンドウ9に伝達するように構成された、動力伝達装置31を備える。
【0070】
有利には、
図3及び
図4によりよく示されているように、フレーム2、より具体的には部位5は、モータ30及び動力伝達装置31を保持する、ブラケット32を備える。
【0071】
具体的には、モータ30及び動力伝達装置31は、ブラケット32によって直接保持される。
【0072】
動力伝達装置31は、好ましくは、複数のプーリを備え、具体的には、モータ30によって回転案内されるように構成された、駆動プーリ33及び2つの従動プーリ34を備える。
【0073】
より好ましくは、動力伝達装置31は、モータ30からの運動をプーリ33に伝達する、すなわち駆動プーリ33を回転させるために、ウォームスクリュー及びウォームギア式の連結器29を備える。
【0074】
プーリ33、34は、特に直接的にブラケット32によって保持され、その結果、それぞれの平行な、特に前進方向に平行な軸の周りを回転する。
【0075】
更に、動力伝達装置31は、少なくとも駆動プーリ33によって回転移動するように、プーリ33、34の周りに巻き付けられた、例えばベルト又はケーブルである可撓性部材35を備える。
【0076】
より具体的には、プーリ33,34は、可撓性部材35を張架するように配置されている。プーリ34は、張架された可撓性部材35を介して、プーリ33の回転によって回転駆動される。
【0077】
リアウィンドウ9は、可撓性部材35に固定的に結合されている。
【0078】
特に、動力伝達装置31は、可撓性部材35に固定的に結合されたスライド部36、並びに、ブラケット32に対して固定され、可撓性部材35の動きに応じてスライド部36の並進を導くように構成された、直線ガイド部37を更に備える。
【0079】
リアウィンドウ9は、スライド部36に固定されている。具体的には、スライド部36は、方向Aに沿って並進する。
【0080】
直線ガイド部37は、ブラケットに対する規定位置で、ブラケット32によって、特に直接保持されることが好ましい。直線ガイド部37は、場合によっては、ブラケット32に形成することもできる。
【0081】
図3、
図4に見られるように、プーリ33、34、及び可撓性部材35は、前進方向に対して横方向の、同一平面上にある。言い換えれば、プーリ33、34は、具体的には、前進方向を横切る平面上に、より正確には前進方向に直交する平面上に概念的に延在する、平坦な動力伝達装置を設定する。
【0082】
既に上述したように、サーボ機構21は、リアウィンドウ10を、リアウィンドウ9と同様に移動させるためにも使用される。
【0083】
上記により、本発明による自動車1の利点は明らかである。
【0084】
特に、ルーフ3の形態とリアウィンドウ9、10、11の位置との間の連係は、リアウィンドウ9、10、11に対して運転者が手動で介入することなく、自動的に行われる。この連係によって、有利な諸条件に加えて、閉鎖形態において、後方視認性を失うことなく車室後部がルーフ3によって外部から隔離されたままであり、ルーフ3の開放形態において、空気力学及び運転者の快適性の最適化がもたらされる。
【0085】
このようにして、上述した有利な諸条件を得るための操作が最小限に抑えられるため、運転者の快適性が最大になる。
【0086】
加えて、動力伝達装置31及びモータ30が単独のブラケット32によって直接保持されるため、サーボ機構21は特に有利である。このことは、特にガイド部25の寸法、より一般的にはサーボ機構22の寸法と比較した場合、寸法の縮小を伴う。
【0087】
最後に、本発明による自動車1には変更が加えられてもよく、それ対して生じる変形形態は、いずれの場合も、特許請求の範囲によって規定される保護の範囲から逸脱しないことは明らかである。
【0088】
特に、リアウィンドウ9、10の一方のみが存在してもよい。更に、ルーフ2の形状は、実際に示されているものとは別のものであってもよい。
【外国語明細書】