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特開2023-84683干渉抑制装置を有する電気モータ、ならびに電気モータに干渉抑制装置を配置する方法
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  • 特開-干渉抑制装置を有する電気モータ、ならびに電気モータに干渉抑制装置を配置する方法 図1
  • 特開-干渉抑制装置を有する電気モータ、ならびに電気モータに干渉抑制装置を配置する方法 図2
  • 特開-干渉抑制装置を有する電気モータ、ならびに電気モータに干渉抑制装置を配置する方法 図3
  • 特開-干渉抑制装置を有する電気モータ、ならびに電気モータに干渉抑制装置を配置する方法 図4a
  • 特開-干渉抑制装置を有する電気モータ、ならびに電気モータに干渉抑制装置を配置する方法 図4b
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  • 特開-干渉抑制装置を有する電気モータ、ならびに電気モータに干渉抑制装置を配置する方法 図5
  • 特開-干渉抑制装置を有する電気モータ、ならびに電気モータに干渉抑制装置を配置する方法 図6
  • 特開-干渉抑制装置を有する電気モータ、ならびに電気モータに干渉抑制装置を配置する方法 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084683
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】干渉抑制装置を有する電気モータ、ならびに電気モータに干渉抑制装置を配置する方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/00 20060101AFI20230612BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20230612BHJP
   H02K 11/02 20160101ALI20230612BHJP
【FI】
H02K5/00 B
H02K5/22
H02K11/02
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022194449
(22)【出願日】2022-12-05
(31)【優先権主張番号】21212852.4
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】508212886
【氏名又は名称】ドクトル フリッツ フォウルハーベル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コー. カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Dr. Fritz Faulhaber GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Faulhaberstrasse 1, 71101 Schonaich, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン ジェイコブス
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シュナイダー
【テーマコード(参考)】
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
5H605AA11
5H605BB05
5H605CC02
5H605CC08
5H605DD01
5H605EC20
5H605GG02
5H605GG05
5H611BB01
5H611TT01
5H611TT05
5H611UA04
5H611UB01
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、製造を簡易化する電気モータ、ならびに電気モータに干渉抑制装置を配置する方法を提供することにある。
【解決手段】本発明は、ハウジング(2)と、少なくとも2つの接続接点(3)と、電磁エミッションに対する少なくとも1つの干渉抑制装置(4)とを有する電気モータ(1)に関し、干渉抑制装置(4)は少なくとも1つのフィルタ回路(6)を有する少なくとも1つの回路担体(5)を有し、回路担体(5)は電気モータ(1)の端部側に配置され、フィルタ回路(6)は両方の接続接点(3)と電気接続される。フィルタ回路(6)と電気接続された少なくとも1つの接触手段(7)が回路担体(5)に取り付けられ、接触手段(7)は少なくとも部分的な変形のもとでアース接点(8)に当接し、それによりフィルタ回路(6)が接触手段(7)を介してアース接点(8)と電気接続されることによって、製造のためのコストが削減される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(2)と、少なくとも2つの接続接点(3)と、電磁エミッションに対する少なくとも1つの干渉抑制装置(4)とを有する電気モータ(1)であって、前記干渉抑制装置(4)は少なくとも1つのフィルタ回路(6)を有する少なくとも1つの回路担体(5)を有し、前記回路担体(5)は前記電気モータ(1)の端部側に配置され、前記フィルタ回路(6)は両方の前記接続接点(3)と電気接続され、
前記フィルタ回路(6)と電気接続された少なくとも1つの接触手段(7)が前記回路担体(5)に取り付けられ、前記接触手段(7)は少なくとも部分的な変形のもとでアース接点(8)に当接し、それにより前記フィルタ回路(6)が前記接触手段(7)を介して前記アース接点(8)と電気接続されることを特徴とする、電気モータ(1)。
【請求項2】
少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの前記接触手段(7)が前記回路担体(5)に取り付けられることを特徴とする、請求項1に記載の電気モータ(1)。
【請求項3】
前記アース接点(8)は前記ハウジング(2)によって、および/または少なくとも間接的もしくは直接的に前記電気モータ(1)の継鉄によって、形成され、前記接触手段(7)は少なくとも部分的に前記ハウジング(2)および/または少なくとも間接的もしくは直接的に前記継鉄に当接することを特徴とする、請求項1または2に記載の電気モータ(1)。
【請求項4】
前記ハウジング(2)は特に前記干渉抑制装置(4)の方向に向く縁部領域に少なくとも1つの変形部(10)を有し、前記接触手段(7)は前記変形部(10)で当接し、好ましくは前記変形部(10)はかしめによって形成されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の電気モータ(1)。
【請求項5】
前記接触手段(7)は前記ハウジング(2)の外側輪郭から突出しないように構成されて配置されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の電気モータ(1)。
【請求項6】
前記接触手段(7)は少なくとも部分的に弾性的に変形し、および/または少なくとも部分的に圧縮されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の電気モータ(1)。
【請求項7】
前記接触手段(7)は導電性コーティングされた導電性もしくは非導電性の材料から、または導電性のプラスチック、シリコーン、もしくはゴムから、製作されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の電気モータ(1)。
【請求項8】
前記接触手段(7)は前記回路担体(5)の縁部領域に配置されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の電気モータ(1)。
【請求項9】
前記接触手段(7)は前記回路担体(5)と接着および/またははんだ付けされることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の電気モータ(1)。
【請求項10】
前記回路担体(5)は前記ハウジング(2)を区切るカバーに配置されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の電気モータ(1)。
【請求項11】
特に請求項1から10のいずれか1項に基づく、電磁エミッションに対する干渉抑制装置(4)を電気モータ(1)に配置する方法(100)であって、少なくとも、
-少なくとも2つの接続接点(3)を有する電気モータ(1)を準備(101)する工程と、
-フィルタ回路(6)と少なくとも1つの接触手段(7)とを有する少なくとも1つの回路担体(5)を有する干渉抑制装置(4)を準備(102)する工程と、
-前記接触手段(7)の変形およびこれと同時のアース接点(8)との接触のもとで前記干渉抑制装置(4)を前記電気モータ(1)への組付位置に移行(103)する工程と、
-前記干渉抑制装置(4)を前記組付位置で取り付ける工程と、を含む方法。
【請求項12】
変形可能な、特に圧縮性のある、導電性コーティングされた、回路担体に取り付けられる接触手段(7)の利用法であって、回路担体(5)のフィルタ回路(6)を電気モータ(1)の少なくとも1つのアース接点(8)と接触させるための利用法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングと、少なくとも2つの接続接点と、電磁エミッションに対する少なくとも1つの干渉抑制装置とを有する電気モータ、特に機械式に整流される直流モータに関する。
【背景技術】
【0002】
干渉抑制装置は、電気モータの端部側に配置された少なくとも1つの回路担体を有する。回路担体は、電気モータの両方の接続接点と接続された少なくとも1つのフィルタ回路を有する。
【0003】
電気モータのための、特に直流モータのための干渉抑制装置が、従来技術において以前から数多くの構成で知られている。機械式に整流される直流モータでは、特に振動時のブラシの火花形成や浮揚に基づき、電磁エミッションの主要源がブラシシステムにある。さらに、電気モータのパルス幅変調式の制御も、電磁エミッションに対して影響を及ぼす。
【0004】
電気モータの電磁エミッションを低減するために、干渉抑制回路を有する回路担体を、電気モータの接続端子と、およびアース接点と、電気接続することが知られている。干渉抑制装置は、通常、それ自体として周知の方式でそれぞれの接続端子の間に配線される、キャパシタンスとインダクタンスとを含む。理想的には、このような種類の干渉抑制回路ができる限り電気モータそのものの近傍に配置される。
【0005】
従来技術では、たとえば干渉抑制装置をハウジングと溶接し、ないしは電気モータの継鉄と電気的に固定的に接続することが知られている。少なくとも1つの溶接結合部、あるいはしばしば複数の溶接結合部が作製されることで、組立準備およびこれに伴って組立コストが全体として高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来技術を前提としたうえで、本発明の課題は、製造を簡易化する電気モータ、ならびに電気モータに干渉抑制装置を配置する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、当分野に属する電気モータにおいて、請求項1の特徴部分の構成要件によって解決され、すなわち、フィルタ回路と電気接続された少なくとも1つの接触手段が回路担体に取り付けられ、接触手段は少なくとも部分的な変形のもとで電気モータのアース接点に当接し、それによりフィルタ回路が接触手段を介してアース接点と電気接続されることによって解決される。
【0008】
電気モータは、機械式に整流される直流モータ、またはブラシレス直流モータ、あるいはその他の電気モータであるのが好ましい。特に、電気モータは少なくとも1つのロータと、少なくとも1つのステータと、継鉄とを有することが意図される。接続接点は、電気モータに必要な動作電圧を供給する。機械式に整流される直流モータのケースでは、接続接点は整流子と、特にブラシと、接続される。
【0009】
回路担体は、特に、電気モータの第1の端部側に取り付けられる。たとえば回路担体は配線板として、特にプリント回路として、または非導電性材料からなる支持部材として構成される。特に、回路担体は電気モータのブラシカバーの上に配置される。ブラシカバー、回路担体、別個のディスク、および/またはモータカバーでの金属被覆コーティングを通じて、ブラシ火花の高周波シールドを具体化することが意図されるのが好ましい。
【0010】
接触手段は、電気モータの方向に向く、回路担体の下面に取り付けられるのが好ましい。電気モータに回路担体が組み付けられるとき、接触手段がアース接点との接触後に変形し、それにより最大限に広い面積でアース接点に当接する。接触手段は、組付けによって初期形状から変形および/または圧縮されるのが好ましく、その際に、特にアース接点に当接する。特に、接触手段は少なくとも部分的に弾性変形し、および/または少なくとも部分的に圧縮される。接触手段は、組付プロセスを妨げることなく、組付けのときの変形を保証するために十分に柔軟である。組付状態にあるとき、接触手段はアース接点の上に載る。
【0011】
変形の結果として接触力が生じ、この接触力をもって接触手段が電気モータのアース接点に当接し、それによってこれと電気的に接触する。接触力は、実質的に、接触手段が変形に抗しようとする力の結果として生じる。
【0012】
回路担体は、形状接合式および/または摩擦接合式に回路担体が係止されることによって、電気モータに取り付けられる。さらに、電気モータの両方の接続接点が、回路担体にある付属の接触領域とはんだ付けされることによって、回路担体が電気モータに取り付けられることが意図される。接続接点と接触面との間のはんだ付け結合は、同時に、電気モータと回路担体との機械的な結合を担う。そしてはんだ付け結合は、接触手段の弾性変形の結果として生じる、接触力に対する反力も担う。
【0013】
フィルタ回路は、コンデンサの形態のキャパシタンスおよび/またはコイルの形態のインダクタンスを有するのが好ましい。少なくとも3つのキャパシタンスと少なくとも2つのインダクタンスが設けられるのが好ましい。キャパシタンスは、たとえば積層セラミックコンデンサ(MLCC)、X2Yコンデンサ、および/またはリードスルーコンデンサとして構成される。設計形式に依存して、コンデンサは2つまたはそれ以上の接続部を有する。インダクタンスはさまざまな設計形態で、たとえばコイルとして構成され、またはパッシブデザインとして条導体に製作される。実施形態に依存して、インダクタンスが結合式に、たとえばコモンモードチョークとして利用されることも意図される。フィルタ回路が複数のキャパシタンスだけを有することも意図される。したがってインダクタンスは任意選択である。
【0014】
変形可能な、ないしは変形した接触手段の利用は、従来技術と比べたとき、接触が組付け中に自動的に行われるという利点を有する。それと同時に、変形の結果として生じる接触力は、振動またはこれに類似する機械的影響のもとでもアース接点の接触を保証する。さらに、変形可能な接触手段に基づき、フィルタ回路を有する回路担体を電気モータの非常に近傍に配置することができ、それにより、電磁的な干渉のフィルタリングが改善される。
【0015】
電気モータの第1の好ましい実施形態では、回路担体に少なくとも2つ、特にちょうど2つ、少なくとも3つ、特にちょうど3つ、または少なくとも4つ、特にちょうど4つの接触手段が取り付けられることが意図される。すべての接触手段が同一に構成されて、同じ機能を果たすのが好ましい。各々の接触手段が少なくとも部分的に変形してアース接点に当接することによって、2つ、3つ、または4つの接触手段の各々が電気モータのそれぞれ1つのアース接点と、または共通のアース接点と、電気接触される。個々の接触手段に関わる上記および下記の実施形態は、複数の接触手段が存在する場合、各々の接触手段について同じように成り立つ。
【0016】
このような実施形態は、複数の接点によって冗長性が創出されるという利点を有し、それにより、それぞれのアース接点とフィルタ回路との間の接触が常に保証される。
【0017】
電気モータの別の実施形態によると、少なくとも1つの接触手段が当接するアース接線が、ハウジングおよび/または継鉄によって形成されることが意図されると好ましいことが判明している。特に、アース接点は継鉄と導電接続される。接触手段が変形して少なくとも部分的にハウジングに当接し、および/または少なくとも部分的に継鉄に当接する。たとえばハウジングが継鉄と導電接続され、それにより、ハウジング全体がアース接点としての役目を果たす。
【0018】
本発明の1つの実施形態によれば、ハウジングが少なくとも1つの側で特に凹面状の変形部を有し、接触手段が変形部で当接することが意図されると、さらに好ましいことが判明している。変形部は、干渉抑制装置の方向を向いているハウジングの縁部領域に形成されるのが好ましい。内方を向くハウジングの変形部に、すなわちハウジングの実質的に凹面状の湾入部に、接触手段が配置されることで、接触手段が当初のハウジングジオメトリーから突出しないことが保証される。変形部がかしめによって形成されることが意図されるのが特別に好ましい。ハウジングは、たとえばブラシカバーおよび/または継鉄とかしめられる。たとえば、ハウジングは少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの個所に変形部を有し、各々の変形部に少なくとも1つの接触手段が配置されることが意図される。各々の変形部が、ハウジングのかしめであるのが好ましい。
【0019】
別の実施形態によると、接触手段は、ハウジングの外側輪郭から突出しないように構成されて配置されることが意図されるのが特別に好ましい。接触手段は、それ自体の変形および/または圧縮にもかかわらず、接触手段がハウジングの外側輪郭から突出しないように、特に径方向へ突出しないように、特にハウジングの変形部へ挿入されるように構成されて配置されるのが好ましい。このことは、たとえば接触手段の材料の的確な選択によって、組み付け前の接触手段の初期形状や、たとえば圧縮性などに関する材料そのものの変形性を考慮したうえで、保証される。
【0020】
電気モータの別の実施形態は、1つ接触手段ないし複数の接触手段が少なくとも弾性変形し、および/または少なくとも部分的に圧縮されることを意図する。接触手段は弾性変形可能および/または圧縮可能であり、特に、通常の組付力によって変形可能および/または圧縮可能である。弾性変形ないし圧縮によって、接触手段が可能な限り全面的および/または広面積にア-ス接点に当接することができる。たとえば接触手段は、少なくとも部分的に弾性的および/または圧縮性の、特に構造圧縮性の材料から製作される。
【0021】
別の実施形態によると、導電性コーティングされた導電性もしくは非導電性の材料、または導電性プラスチック、特にエラストマー、シリコーン、またはゴムが接触手段の好ましい材料であることが判明している。したがって、導電性コーティングされた材料はそれ自体として導電性であり、たとえば金属であり、またはそれ自体として非導電性であり、たとえばプラスチック、ゴム、またはシリコーンである。接触手段は、導電性コーティングされたエラストマーから製作されるのが特別に好ましい。接触手段は、特にエラストマーとして構成された接触手段は、当初のジオメトリーの10%から40%の間の圧縮性を有するのが好ましい。接触手段は、特にエラストマーとして構成された接触手段は、40から75UferAの間の、特に50から60UferAの、好ましくは正確に50または65UferAの硬度を有するのが好ましい。
【0022】
接触手段は、特に接触のための変形をする前に、高さないし長さのそれぞれほぼ2倍の大きさの幅を有するのが好ましい。特に、接触手段は少なくとも1つの、好ましくは2つの、切欠きを有することが意図される。
【0023】
導電性コーティングは、たとえば特に金属からなる導電性フィルムによって、または化学蒸着(CVD)もしくは物理蒸着(PVD)を用いたコーティングによって、製作される。コーティングは、少なくとも1つの金属、特にスズ、銀、金、および/またはニッケルを含むのが好ましい。さらに、スズ、銀、金、および/またはニッケルでコーティングされた銅フィルムによってコーティングが形成されることが意図される。
【0024】
たとえば、接触手段は接触ばねまたは接触ブラシとして金属から製作されることが意図される。さらに、接触手段は導電性プラスチックおよび/または導電性ゴムおよび/または導電性シリコーンを有することが意図される。
【0025】
接触手段の弾性的な変形性および/または圧縮性により接触手段が接触力をもってアース接点に当接し、それにより、フィルタ回路のために好ましいアース接点の接触が保証される。
【0026】
少なくとも1つのアース接点と回路担体との好ましい接触を保証するために、別の実施形態では、接触手段が回路担体の縁部領域に配置されることが意図される。複数の接触手段が設けられる場合、接触手段は、回路担体の縁部領域で均等に配分されて配置されるのが好ましい。特に、接触手段は回路担体の縁部に直接的に接するように配置される。
【0027】
電気モータの別の実施形態は、1つの接触手段ないし複数の接触手段が回路担体と接着および/またははんだ付けされることを意図する。さらに、組立をいっそう簡易化するために、回路担体が、ハウジングに取付可能なカバーに配置されることが意図されると好ましいことが判明している。カバーがハウジングに取り付けられると、同時に回路担体が、接触手段がアース接点に当接することによってアース接点と接続されるように、電気モータに配置ないし固定される。回路担体を有する干渉抑制装置は、特にカバーによって、接触手段がアース接点に当接する組付位置で保持される。
【0028】
さらに、冒頭に述べた課題は、電磁エミッションに対する干渉抑制装置を電気モータに配置する方法によって解決され、この方法は少なくとも次の各方法ステップを有する:
-少なくとも2つの接続接点を有する電気モータが準備され、
-フィルタ回路と少なくとも1つの接触手段とを有する少なくとも1つの回路担体を有する干渉抑制装置が準備され、
-接触手段の変形およびこれと同時のアース接点との接触のもとで干渉抑制装置が電気モータへの組付位置に移行され、
-干渉抑制装置が組付位置で取り付けられる。
【0029】
電気モータでのアース接点と接触手段との接触は、回路担体が組付位置に近づけられ、回路担体が組付位置で取り付けられることによって行われる。近づけるときに接触手段が少なくとも部分的に、特に弾性的に変形し、それによってアース接点に好ましく当接する。接触手段は、近づけられるときに少なくとも部分的に圧縮されるように変形するのが好ましい。干渉抑制装置が組付位置になった後に、干渉抑制装置が電気モータに取り付けられ、接触手段がその変形した状態のまま保たれる。
【0030】
電気モータは本方法のために、上に説明した各実施例のうちの1つに基づいて構成されるのが好ましい。特に、回路担体は複数の接触手段を有する。1つ接触手段ないし複数の接触手段は、導電性コーティングを備えたエラストマーとして構成されるのが好ましい。
【0031】
組付位置での干渉抑制装置の取付は、干渉抑制装置が保持されるカバーが電気モータに取り付けられることによって間接的に行うこともできる。
【0032】
さらに冒頭に述べた課題は、回路担体のフィルタ回路を電気モータの少なくとも1つのアース接点と接触させるための、変形可能な、特に圧縮性のある、導電性の、回路担体に取り付けられた接触手段の利用法によって解決される。接触手段は、導電性コーティングを備えたエラストマーとして構成されるのが好ましい。接触手段は、特に、組付のときに生じる力によって変形可能である。コーティングは、たとえばスズめっき、金めっき、および/またはニッケルめっきされた銅層または銅フィルムを含む。接触手段は特に圧縮可能である。
【0033】
本発明のその他の好ましい実施形態は、以下の図面の説明および従属請求項から明らかとなる。
図面は次のものを示す。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、干渉抑制装置を有する電気モータの実施例を示す斜視図である。
図2図2は、図1の装置を縁部領域で示す断面図である。
図3図3は、電気モータの実施例を示す斜視図である。
図4a図4aは、干渉抑制装置の実施例を下から見た斜視図である。
図4b図4bは、図4aの実施例を上から見た図である。
図4c図4cは、図4aおよび4bの実施例を示す側面図である。
図5図5は、フィルタ回路の実施例を回路図として示す図である。
図6図6は、組付中の電気モータの実施例を示す図である。
図7図7は、干渉抑制装置を配置する方法の模式的な実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図面のそれぞれ異なる図において、同じ部品には常に同じ符号が付されている。
【0036】
以下の説明に関して主張しておくと、本発明は各実施例に限定されるものではなく、かつ、その際に説明する構成要件の組み合わせのうちの1つまたは複数の構成要件に限定されるものではなく、むしろ、実施例/各実施例のそれぞれ個々の部分構成要件を、これとを関連で説明されている他のすべての部分構成要件から切り離して、それ自体単独でも、あるいは他の実施例の任意の構成要件との組み合わせとしても、本発明の対象物にとっての意義を有する。
【0037】
図1は、電気モータ1の実施例を斜視図で示している。電気モータ1は、ハウジング2と、2つの接続接点3とを有していて、本実施例では、これらの接続接点とブラシが接触している。ハウジング2は、導電性の金属から製作される。電気モータ1は、ハウジング2の内部に電気モータ1の通常のコンポーネントを有しており、すなわち少なくとも1つのロータ、少なくとも1つのステータ、および本実施例では少なくとも1つの整流子を有している。
【0038】
電気モータ1のハウジング2には、回路担体5およびこれに配置されたフィルタ回路6を有する干渉抑制装置4が配置されている。フィルタ回路6は、接続接点3と電気接続されている。さらに、回路担体5には4つの接触手段7が取り付けられており、フィルタ回路6と接続されている。フィルタ回路6は、図1に個別には図示しないフィルタ回路6の各コンポーネントの間に導電接続部を有している。例示としてのフィルタ回路6が図5に示されている。
【0039】
図1では、接触手段7は少なくとも部分的に変形しており、本実施例では少なくとも部分的にハウジング2によって形成されるアース接点8に当接している。ハウジング2は継鉄と電気接続されている。図2は、図1の接触手段7のうちの1つの断面図を示している。接触手段7はハウジング2の変形部10の領域で変形しており、変形部10でハウジング2とブラシカバー9に全面的に当接する。接触手段7は、図2では少なくとも部分的に圧縮されており、ハウジング2の輪郭から特に径方向へ突出しない。
【0040】
接触手段7は、図1では回路担体5の縁部領域5aに配置されていて、回路担体5の上で互いに間隔をおいて均等に配分されている。ハウジング2は、本実施例ではハウジング2がブラシカバー9とかしめられることによって形成される、4つの凹面状の変形部10を有している。各々の接触手段7が、変形部10のうちの1つに配置される。接触手段7は、ハウジング2の外側輪郭から特に径方向へ変形前に突出しないように変形部10の内部に配置されるように構成されて配置される。
【0041】
接触手段7は、本実施例では、少なくとも1つの金属からなるコーティングを付与されたエラストマーとして構成される。弾性的に変形可能で圧縮可能なエラストマーが変形部10に当接するのが好ましく、それにより、アース接点8で広い接触面が実現される。
【0042】
図3は、電気モータ1の実施例を斜視図で示している。モータ1には、たとえば図4aから4cに示すような干渉抑制装置4がまだ組み付けられていない。モータ1のハウジング2は、円周にわたって配置された4つの凹面状の変形部10の領域で、電気モータ1のブラシカバー9とかしめられている。ハウジング2はブラシカバー9の方向に変形していて、これと形状接合式に協同作用する。これらの変形部10に、干渉抑制装置4の組付後、それぞれ1つの接触手段7が係合して、アース接点8としてのハウジング2と接触する。電気モータ1の接続接点3は、電気モータ1から実質的に垂直方向に突出する。
【0043】
図3の電気モータ1に組付可能である干渉抑制装置4が、例示として図4aから4cに示されている。図4aは、干渉抑制装置4を下から見た斜視図で示している。干渉抑制装置4の回路担体5に、互いに均等に間隔をおいて4つの接触手段7が配置されており、接触手段7がフィルタ回路6と電気接続されるように、回路担体5と導電的にはんだ付けされている。フィルタ回路6の各コンポーネントを接続する配線経路は、図4aから4cには示していない。接触手段7は、図4aから4cでは組付中の変形前に、実質的に長方形の形状を有しており、幅が長さと高さのほぼ2倍の大きさである。各々の接触手段7は、接触手段7を長手方向に貫く1つまたは2つの中央の切欠き11を有している。接触手段7はエラストマーから製作されており、その表面に導電性コーティングを有している。接触手段7は弾性的に変形可能であり、圧縮性がある。
【0044】
図1および図3に示す接続接点3は、図4aから図4cに示す回路担体5の収容領域12で回路担体5とはんだ付け可能であり、それによりフィルタ回路6の電気接触が具体化され、それによってフィルタ回路6がそれぞれの接続接点3の間で、たとえば図5に示すように電気的に配線される。回路担体5は中央の切欠き5bを有していて、これを通して電気モータの各コンポーネントが組付位置で通過することができる(図1参照)。
【0045】
図5は、図6の実施例を回路図として示している。フィルタ回路6は、接続領域13aおよび13bを介して、電気モータ1の接続接点3と接続可能である。フィルタ回路6は、3つのキャパシタンス14と2つのインダクタンス15を含んでいる。2つのキャパシタンス14の間に、接触手段7(たとえば図1参照)を介して電気モータ1のアース接点8(図1ではハウジング2および継鉄9)と接続されるアース接続部16が設けられている。インダクタンス15は接続領域13a,13bの間で直列につながれて配置されており、キャパシタンス14は接続領域13a,13bの間で並列接続されて配置されている。
【0046】
図6は、組付中の電気モータ1の実施例を示している。干渉抑制装置4が、長軸Lに沿った方向で、電気モータ1の端部側へと向かって動かされ、それにより、接続接点3が収容領域12に係合し、接触手段7が変形部10で可能な限り広い接触面をもって当接する。図6では、接触手段7はまだ変形ないし圧縮されておらず、たとえば図2に示すように、回路担体5がその組付位置(図1および図2を参照)にあるときに変形する。本実施例では回路担体5は、接続接点3が収容領域12ではんだ付けされることによって、電気モータ1に取り付けられる。
【0047】
図7は、電磁エミッションに対する干渉抑制装置4を電気モータ1に配置する方法100の実施例の模式的な手順を示している。まず最初に、特に上で説明した実施例のうちの1つに基づいて、少なくとも2つの接続接点3を有する電気モータ1の準備101が行われる。さらに、たとえば図5に示すように、少なくとも1つの回路担体5とフィルタ回路6とを有する、ならびに少なくとも1つの接触手段7を有する、干渉抑制装置4の準備102が行われる。次いで、1つの接触手段7ないし複数の接触手段7の変形のもとで、ここではたとえばハウジング2であるアース接点8と1つの接触手段7ないし複数の接触手段7を同時に接触させながら、電気モータ1への組付位置(たとえば図1参照)への干渉抑制装置4の移行103が行われる。次いで、たとえば接続接点2が収容領域12ではんだ付けされることによって、電気モータ1への干渉抑制装置4の取付104が行われる。
【0048】
本発明は、図示して説明した実施例だけに限定されるものではなく、本発明の意味において同じ作用をする一切の実施形態を含む。各実施例は組み合わせにおけるすべての構成要件に限定されるものではなく、むしろ、それぞれ個々の部分構成要件を他のすべての部分構成要件から切り離して、それ自体として発明的な意義を有することができることを明記して強調しておく。さらに本発明は、請求項1に定義されている構成要件組み合わせだけに限定されるものではなく、全体に開示されているすべての個別構成要件の特定の構成要件のどのような任意の別の組み合わせによっても定義され得る。それが意味するのは、原則として請求項1の事実上どの個別構成要件でも省略することができ、ないしは、出願の別の個所に開示されている少なくとも1つの個別構成要件で置き換えることができるということである。
【符号の説明】
【0049】
1 電気モータ
2 ハウジング
3 接続接点
4 干渉抑制装置
5 回路担体
5a 縁部領域
5b 切欠き
6 フィルタ回路
7 接触手段
8 アース接点
9 ブラシカバー
10 変形部
11 切欠き
12 収容領域
13a 接続領域
13b 接続領域
14 キャパシタンス
15 インダクタンス
16 アース接続部
100 方法
101 電気モータ1の準備
102 干渉抑制装置4の準備
103 干渉抑制装置4の組付位置への移行
104 接続
L 長軸
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5
図6
図7
【誤訳訂正書】
【提出日】2023-02-10
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0005
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0005】
従来技術では、たとえば干渉抑制装置をハウジングと溶接し、ないしは電気モータの継鉄と電気的に固定的に接続することが知られている。少なくとも1つの溶接結合部、あるいはしばしば複数の溶接結合部が作製されることで、組立準備およびこれに伴って組立作業が全体として増加する
【外国語明細書】