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  • 特開-溶接プロセス中の溶接評価 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084689
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】溶接プロセス中の溶接評価
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/04 20060101AFI20230612BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
G01N29/04
G01N21/88 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022194910
(22)【出願日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】21212668
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】311017474
【氏名又は名称】ゲオルク フィッシャー ローアライトゥングスズュステーメ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Georg Fischer Rohrleitungssysteme AG
【住所又は居所原語表記】Ebnatstrasse 111,CH‐8200 Schaffhausen,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】リカルド バーボーン
【テーマコード(参考)】
2G047
2G051
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047AB07
2G047BC07
2G047GA21
2G051AA90
2G051AB02
2G051AB07
2G051AB13
2G051AB20
2G051CA04
2G051EA12
2G051EA14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】溶接装置においてプラスチック管または継手の突合せ溶接部を評価する。
【解決手段】溶接部を評価する方法であって、溶接すべき管端部を、端面を対峙させて溶接装置に緊締または位置固定するステップと、管端部を次いで検出するために、管パラメータに基づいて検査ヘッドを自律式に位置合わせまたは調整するステップと、検査ヘッド内に配置された少なくとも1つの第1のセンサを用いて両方の管端部に設けられた所定の領域を検査するステップと、所定の値に基づいて求められた検査データを評価するステップと、第1のセンサとは異なる検査法を使用する第2のセンサを用いて管端部の端面を検査するステップと、所定の値に基づいて求められた検査データを評価するステップと、溶接工程の記録を含む溶接工程を実施するステップと、を有する方法において、溶接部の最終的な評価を、求められた検査データおよび記録された溶接工程に基づいて行う方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接装置においてプラスチック管または継手の突合せ溶接部(7)を評価する方法であって、
-溶接すべき管端部(4)を、端面(6)を対峙させて溶接装置内に緊締または位置固定するステップと、
-前記管端部(4)を次いで検出するために、管パラメータに基づいて検査ヘッド(1)を自律式に位置合わせまたは調整するステップと、
-前記検査ヘッド(1)内に配置された少なくとも1つの第1のセンサ(2)を用いて両方の前記管端部(4)に設けられた所定の領域(5)を検査するステップと、
-所定の値に基づいて、求められた検査データを評価するステップと、
-前記第1のセンサ(2)とは異なる検査法を使用する第2のセンサ(3)を用いて前記管端部(4)の前記端面(6)を検査するステップと、
-所定の値に基づいて、求められた検査データを評価するステップと、
-溶接工程の記録を含む溶接工程を実施するステップと、
を有する方法において、
前記溶接部の最終的な評価を、求められた前記検査データおよび記録された前記溶接工程に基づいて行うことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記溶接部の最終的な評価を、求められた前記検査データおよび記録された前記溶接工程を考慮するアルゴリズムに基づいて行う、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記管端部(4)に設けられた前記所定の領域(5)の、前記第1のセンサ(2)を用いた検査により、前記管の組織をチェックする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記管端部(4)に設けられた前記所定の領域(5)を音波、好適には超音波を用いて検査する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記第2のセンサ(3)が光学センサであり、前記管端部(4)の前記端面(6)の光学的な検査を、好適には感光性センサを用いて行う、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
両方の前記管端部(4)に設けられた前記所定の領域(5)が前記端面(6)から離間しており、該所定の領域に、前記溶接のための前記溶接ゾーンが一致する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
緊締された前記管端部(4)を前記溶接装置または前記検査ヘッド(1)により検出し、該検出を、前記管端部(4)、バーコードの走査により、または前記管パラメータの手動の入力により行う、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記管端部(4)に設けられた前記所定の領域(5)を、好適には前記第2のセンサ(3)を用いて光学的に検査する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記溶接工程後に、生じた溶接シーム(7)を、もう一度冷却前に、かつ前記溶接装置内における位置固定中に、好適には超音波を用いて検査する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
好適には請求項1から9までのいずれか1項記載の方法によりプラスチック管または継手の突合せ溶接を評価するためのシステムであって、プラスチック管端部(4)または継手端部(4)を端面側で溶接するための溶接装置と、検査装置と、制御装置と、メモリとを含んでおり、前記検査装置が検査ヘッド(1)を有しており、かつ該検査ヘッド(1)内に少なくとも2つのセンサ(2,3)が配置されている、システムにおいて、
前記2つのセンサ(2,3)が互いに異なる検査法を有していることを特徴とする、システム。
【請求項11】
前記検査ヘッド(1)が光学センサ(3)と音響センサ(2)とを有している、請求項10記載のシステム。
【請求項12】
前記第1のセンサ(2)が超音波センサであり、前記第2のセンサ(3)が感光性センサ、好適にはカメラである、請求項10または11記載のシステム。
【請求項13】
前記検査装置が前記溶接装置内に統合されている、請求項10から12までのいずれか1項記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接装置においてプラスチック管または継手の突合せ溶接を評価するための方法、ならびに、溶接装置と、2つのセンサを有する検査ヘッドを備えた検査装置と、制御装置と、メモリとを含むシステムに関し、方法は、
-溶接すべき管端部を、端面を対峙させて溶接装置内に緊締または位置固定するステップと、
-管端部を次いで検出するために、管パラメータに基づいて検査ヘッドを自律式に位置合わせまたは調整するステップと、
-検査ヘッド内に配置された少なくとも1つの第1センサを用いて、両方の管端部に設けられた所定の領域を検査するステップと、
-所定の値に基づいて、求められた検査データを評価するステップと、
-第1のセンサとは異なる検査法を使用する第2のセンサを用いて管端部の端面を検査するステップと、
-所定の値に基づいて、求められた検査データを評価するステップと、
-溶接工程の記録を含む溶接工程を実施するステップと、
を有している、方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
突合せ溶接の検査は、溶接の品質保全のために役立つ。管または継手がどの方法で突合せ溶接されているかは重要ではなく、突合せ溶接は、非接触の赤外線溶接法、加熱ミラーの接触による古典的な突合せ溶接法または別の方法であってよい。溶接すべき管または継手に応じて、つまり管または継手の寸法、そのプラスチック、使用される溶接技術等に応じて、溶接シームは、視覚的に検査可能なある程度の形状または大きさを有していなければならず、それに基づいてこれまで溶接が検査されていた。したがって、シームがどのような外観でなければならないか、または管特性もしくは継手特性および溶接特性に関連して、これらが要求に一致するために、許容可能な寸法がどうあるべきかを詳細に定義するガイドラインおよび規格が存在している。
【0003】
さらに、溶接シームの組織をチェックするために、このような溶接シームを検査のために超音波を用いて検査することが知られている。しかし、超音波を用いた検査は、溶接シームが完全に冷却された後に行われ、シームの超音波検査を実行することができるようになるまで、ある程度の期間、溶接された端部を溶接装置に緊締されたままにすることを必要とする。
【0004】
これまで、大抵の場合は、手動の視覚的な評価および超音波検査は、担当の熟練工により実施されており、この熟練工は、公知の規格やガイドラインに基づき、生じた溶接シームを比較し、検査し、次いで評価する。この場合の欠点は、溶接シームの冷却時間にも基づき、熟練工による評価に極めて時間がかかり、したがって極めて高価であることにある。
【0005】
欧州特許出願公開第3550256号明細書および欧州特許出願公開第2963380号明細書から、溶接シームの検査法が知られており、この方法は溶接シームの形状を単に光学的にセンサによって検査する。
【0006】
欧州特許出願公開第3816621号明細書から、プラスチック管に設けられた突合せ溶接シームのための超音波検査の装置および方法が公知である。ここでも欠点は、このような検査を実施できるようになる前に、シームがまず完全に冷却されていなければならず、これには極めて時間がかかり、したがって、対応する専門オペレータによるこのような検査が極めて高価であることにある。
【0007】
さらに、各検査のために特別な装置を使用しなければならず、これには同様にその装置の設置に多くの時間を要し、かつこのような溶接が実施される場所または工事現場に持っていく必要がある多数の設備が必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、溶接または溶接の検査をより廉価に実施することができ、さらに評価または査定が確実であることにより、時間および人員が節約される、突合せ溶接を評価するための方法およびシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、本発明によれば、溶接の最終的な評価を、求められた検査データおよび記録された溶接工程に基づいて行い、検査ヘッドが2つのセンサを含み、これらのセンサが互いに異なる検査法を有していることによって解決される。
【0010】
溶接装置においてプラスチック管および継手の突合せ溶接を評価するための本発明に係る方法は、以下のステップを含んでいる:
溶接すべき管端部または継手端部を、溶接装置において緊締または位置固定し、この場合に管端部または継手端部の端面は対峙して配置されている。次いで、検査ヘッドが、管パラメータに基づいて自律式に位置合わせまたは調整され、これにより、管端部を次いで検査のために検出することができる。検査ヘッドまたは検査ヘッド内に配置された少なくとも1つの第1のセンサを用いて、それぞれ両管端部に設けられた所定の領域の検査が行われる。次いで、求められた検査データを評価し、所定の値に基づいて査定する。求められた検査データの評価は、好適には、計算および評価に基づいて、所定の領域が、溶接のために良好または不十分であると定義するアルゴリズムに基づいて行われる。領域が不十分と定義された場合、この管端部片を例えば切断し、次いで新しい領域で検査を実施することができる。良好であるとの査定時には、方法を継続することができる。査定のための所定の値は、好適には使用されるアルゴリズムと同様に、制御装置またはこの制御装置のメモリ内に格納されている。この場合に所定の値は、アルゴリズムを用いて算出された検査データに対する比較値として役立つか、または良好または不十分との査定を実施するために役立つ。値は、新しい経験値と繰り返し比較され、適合され、かつ補足されると有利であり、この場合に制御は自律式に実施することができるか、手動でデータを入力することができる。さらに、本発明に係る方法のための値または別のデータが、クラウド上に、または別の外部の分散型の記憶場所に保存されていると有利である。さらに、管端部の端面を、第1のセンサとは異なる検査法を使用する第2のセンサを用いて検査する。好適には、管端部の端面を、チェック前にまず、きれいで平坦な面を得るために平削りし、次いで光学的な検査を実施する。この場合も、求められた検査データをアルゴリズムを用いて評価もしくは計算し、所定の値に基づいて査定するか、または溶接のための適否を評価する。これは、最初の検査と同様に、格納されている値との比較によって行われ、この値も好適には繰り返し新たに比較され、補足される。先に行われた検査が、それぞれ評価の結果として管端部が溶接のために適していることを示した場合、溶接を実施することができる。管端部の加熱に使用される溶接ミラーも、その使用前に、好適には第2のセンサを用いて同様に光学的に検査されると有利であることが判った。したがって、このステップにおいても、汚染物質が溶接中に混入することを阻止することができる。実施された溶接プロセスは、システムまたは制御装置により記録され、これにより、プロセスが正しく実施されたか否か、かつ全ての境界条件が維持されたか否かを求めることができる。このためには、好適には、溶接時間、溶接温度、溶接圧力、および供給された溶接エネルギーが監視され、記録される。代替的には、例えば周辺温度のような別のデータも監視し、記録することができる。この場合、溶接データは、溶接の最終的な評価にも入れられる。溶接後に、改めて溶接の評価が、求められたデータに基づいてアルゴリズムを用いて行われる。溶接の最終的な評価のためには、先行する検査データと、実施された溶接プロセスの記録されたデータとをアルゴリズムを用いて評価し、溶接シームを良好または使用不能であると査定する。
【0011】
溶接の評価を、求められた検査データおよび記録された溶接工程を考慮するか、または計算において使用するアルゴリズムに基づいて行うと有利である。アルゴリズムは、少なくとも、所定の領域の超音波検査および端面の光学的な検査による第1の検査および第2の検査から求められた検査データを取り込む。さらに、アルゴリズムは、溶接プロセスの記録されたデータまたは溶接プロセスに含まれるもの、好適には溶接温度および溶接時間に関するデータを含んでいる。第1センサによる管端部に設けられた所定の領域の検査によって、管の組織をチェックすると有利である。第1センサにより実施される、管端部の所定の領域の検査は、溶接工程前に管の組織をチェックする。不十分な溶接の多くは、封入物、欠陥および汚染物質等のような材料欠陥が既に溶接ゾーンの領域における管端部に存在することに起因するので、所定の領域における溶接前の管壁の組織検査により、既に欠陥を回避することができる。
【0012】
溶接装置が、データ処理のための制御装置およびメモリを有しており、検査装置も溶接装置に適合可能であってよく、検査装置がデータ処理のための制御装置およびメモリを有していると有利である。
【0013】
管端部の所定の領域を音波、好適には超音波を用いて検査すると有利であることが示された。これにより、溶接シームを弱化させるか、または溶接シームがもはや要求を満たさなくなるような封入物または別の汚染物質を組織が有しているか否かを求めることができる。
【0014】
好適には、第2のセンサが光学センサであり、これによって、管端部の端面の光学的な検査が行われる。端面は、溶接を損傷し得る汚れ、損傷または別の判断基準に関して検査される。第2のセンサは、好適には同様に検査ヘッド内に配置されており、好適には、緊締された管端部に関する検査ヘッドを位置合わせまたは調整する働きをする。光学センサは、好適には感光性センサとして構成されており、特に好適にはカメラとして構成されている。
【0015】
好適な1つの実施形態によれば、両管端部における所定の領域は端面から離間して配置されており、溶接のために加熱される溶接ゾーンに一致する。管端部の最先端の領域は、大抵は汚れを有し、平坦な表面を有していないので、この最先端の領域は平削りされるため、検査すべきであると見なされる所定の領域は、端面から離間しているか、またはオフセットされて配置されている。なぜならば、端面の平削り後にこの領域は直接に加熱ミラーに接触し、溶接ゾーンになるからである。
【0016】
本発明に係る方法は、好適には、緊締された管端部が、管パラメータを求めるために溶接装置または検査ヘッドによって検出され、この検出は、管端部、バーコードのスキャンによって、または管データの手動の入力によって行われることを特徴としている。検査ヘッド内の光学センサが、管端部をその寸法および色に基づいて自律式に検出するか、またはバーコードによって検出することができると有利である。これは、制御装置に接続されている別のセンサによっても行うことができる。
【0017】
別の好適な1つの実施形態によれば、管端部に設けられた所定の領域も光学的に、好適には第2のセンサによって検査されることが示されている。好適には超音波を用いた組織検査の他に、この領域をさらに光学的に検査することが有利であることが示された。なぜならば、表面上にかなりの汚染物質が存在し得ることがあり、これは光学的な検査により検出され、かつ溶接に不都合な影響を与え得るからである。
【0018】
別の有利な実施形態として、溶接工程後に、形成された溶接シームを、まだ冷却前に、かつ管端部がまだ溶接装置に緊締されている間に、好適には超音波および/またはカメラを用いて検査することも示されている。これにより、一方では、もう一度別の検査が可能になり、他方では、これにより大きな時間損失を受けなくなる。なぜならば、検査が溶接の実施の直後に溶接装置において行われるからである。溶接シームが冷却するまでの待機時間も不要であり、溶接シームの組織検査は溶接の直後に行うことができる。
【0019】
本課題は、本発明によれば、プラスチック管または継手の突合せ溶接を評価する本発明によるシステムが、プラスチック管端部または継手端部を端面側で溶接するための溶接装置と、検査装置と、制御装置と、メモリとを含んでおり、検査装置が検査ヘッドを有しており、この検査ヘッド内に少なくとも2つのセンサが配置されており、センサが互いに異なる検査法を有しているか、または互いに異なる検査技術に基づいていることによっても解決される。
【0020】
検査装置は、既存の溶接装置に後から取り付けることができ、かつ溶接装置内にすぐに組み込まれていてもよい。これは、制御装置およびメモリに関して有利である。なぜならば、この場合、システムが制御装置とメモリとを有していて、検査装置が後付けされている場合、溶接装置と検査装置とは制御装置とメモリとを有しており、これらの制御装置およびメモリを同期させるか、溶接装置および検査装置のうちの一方の装置のみが制御装置およびメモリを有しており、他方の装置をその制御装置およびメモリに接続させることができるからである。
【0021】
好適には、検査ヘッドが光学センサと音響センサとを有している。これは、組織を検査するための所定の領域における第1の検査を可能にし、このために音響センサが使用される。次いで、光学センサが、溶接すべき管や継手の端面の表面をチェックする。光学センサは、方法の説明で述べたように、別の検査または検出にも使用することができる。当然ながら、別のチェックまたは検出を実施するために、さらに別のセンサをシステムに組み込むこともできる。
【0022】
第1のセンサが超音波センサであり、第2のセンサが感光性センサ、好適にはカメラであると有利であることが示されている。第1のセンサで、組織および場合によっては汚染物質が検出され、アルゴリズムを用いて評価される。次いでこの第1の検査に基づいて、上記で方法に関して説明したように、所定の領域が溶接のために適しているか否かが選択される。同様に、感光性センサにより検出された検査データが、アルゴリズムを用いて、検査された箇所が溶接のために適しているか否かについて評価される。管および継手のこの早期の検査により、要求に一致していない管端部や継手端部を溶接前に検出し、対応して除去することができる。これは、既に要求に一致しておらず、したがって使用することができない基材での溶接がほとんど行われないので、大幅な時間を削減する。管端部および継手端部を溶接前に検査することは、溶接不良を大幅に減じる。なぜならば、大抵の溶接不良は、不良な出発材料に基づいて発生し、この出発材料を既に溶接前に回避または除去することができるからである。
【0023】
好適な実施形態は、検査装置が溶接装置に組み込まれていることにある。これにより、上述したように、全てを同一の制御装置で実行することができる。さらに、検査ヘッドを溶接装置内に最適に配置することができる。
【0024】
全ての構成は互いに自由に組み合わせ可能であり、方法の特徴はシステムの特徴に使用可能であり、かつその逆も可能である。
【0025】
本発明の実施例を図面に基づき説明するが、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係るシステムの構成要素の概略的な配置で、本発明に係る方法の概略的な過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示した図面は、本発明に係る方法の概略的な過程を示すとともに、本発明に係るシステムの構成要素の概略図を示している。ステップAでは、検査ヘッド1が、所定の領域5を検査または走査することが判る。このステップが行われる前に、溶接すべき管端部および/または継手端部4が、溶接装置(図示せず)内に緊締された。管端部または継手端部の端面6は、対峙するように位置合わせされている。したがって、検査ヘッド1は、緊締された管端部6に基づいて調整されるか、または所望の位置にまで自律式に走行する。これは、装置の制御装置が緊締された管端部6または管パラメータを検出することによって達成され、この場合、この検出は、コードの検出、手動の入力、または寸法、色等に基づいて管自体を検知することによって行うことができる。制御装置に格納された値に基づいて、検査ヘッド1が自律式に位置合わせを行う。したがって、管端部6の所定の領域5の検査または走査が、好適には音響センサとして、より好適には超音波センサとして構成されている、検査ヘッド1内の第1のセンサ2によって行われる。次いで、検査データに基づいて領域を溶接にとって十分であるか不十分であるかを査定することを可能にするアルゴリズムを用いて、検査データの評価が行われる。領域が十分であると査定された場合、ステップBが行われる。このステップBでは、好適には同様に検査ヘッド1内に配置されている第2のセンサ3によって、管端部の端面6の表面が検査される。当然ながら、端面6は事前に、所定の領域に相当する溶接ゾーン5にまで平削りされる。このために光学センサ3が使用され、好適には感光性センサ、特に好適にはカメラが使用される。ここでも、検査データの続く評価は、端面6が溶接部7のための要件を満たしているか否かを定義するアルゴリズムを用いて行われる。要件を満たしている場合、溶接が行われ、要件を満たしていない場合には、例えば端面6をもう一度加工することができる。ステップCでは、管端部4が既に突き合わせられていることが判るが、これらの管端部は、当然ながら、まず溶接ミラー(見えない)で加熱され、これにより材料が突き合わせられたときに接合される。溶接ミラーが再び汚染物質を溶接部に持ち込まないように、溶接ミラーを加熱工程前にもう一度光学センサ3または付加的な光学センサ3によりチェックする可能性もある。ステップDでは、最終的に、溶接シーム7を溶接後に検出しなければならず、溶接シーム7は音響センサ2および/または光学センサ3によってもう一度チェックすることができる。当然ながら、溶接工程、すなわち時間や温度等も監視し、この溶接データも制御装置において把握される。最後に、溶接部の最終的な評価が、第1の検査データ、第2の検査データおよび記録された溶接データに基づいて実施される。これらのデータはアルゴリズムを用いて評価され、この評価は溶接が良好と評価されるか不十分と評価されるかの結論を出す。これらのデータは全て、溶接装置、検査装置、つまりシステム、または遠隔の記憶場所に保存することができる。さらに、制御装置と、携帯式の操作ユニットとを用いて、いつでもデータにアクセスし、更新することができる。これは自律式に、あるいは手動で行うことができる。さらに、別の機器とのデータ交換を行うこともできる。
【符号の説明】
【0028】
1 検査ヘッド
2 第1のセンサ
3 第2のセンサ
4 管端部/継手端部
5 所定の領域/溶接ゾーン
6 端面
7 溶接部/溶接シーム
図1
【外国語明細書】