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特開2023-84698流体で浸されたボールねじを有する圧力平衡化PSUピストンを備えるブレーキ・バイ・ワイヤ・モジュールおよびバックアップ・ポンプ・アセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084698
(43)【公開日】2023-06-19
(54)【発明の名称】流体で浸されたボールねじを有する圧力平衡化PSUピストンを備えるブレーキ・バイ・ワイヤ・モジュールおよびバックアップ・ポンプ・アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/17 20060101AFI20230612BHJP
   B60T 13/122 20060101ALI20230612BHJP
   B60T 13/138 20060101ALI20230612BHJP
   B60T 17/18 20060101ALI20230612BHJP
   B60T 8/94 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
B60T8/17 B
B60T13/122 A
B60T13/138 A
B60T17/18
B60T8/94
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195213
(22)【出願日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】63/287047
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】202211391501.8
(32)【優先日】2022-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】513311479
【氏名又は名称】ビーダブリュアイ(シャンハイ)カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BWI(SHANGHAI)CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(74)【代理人】
【識別番号】100175617
【弁理士】
【氏名又は名称】三崎 正輝
(74)【代理人】
【識別番号】100219117
【弁理士】
【氏名又は名称】金 亨泰
(72)【発明者】
【氏名】パスカル シュメット
(72)【発明者】
【氏名】シャオシー ジャオ
(72)【発明者】
【氏名】デービッド フレドリック ロイター
(72)【発明者】
【氏名】ドンチアン ルオ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ノーバート ボージメンケ
【テーマコード(参考)】
3D048
3D049
3D246
【Fターム(参考)】
3D048BB01
3D048CC54
3D048HH15
3D048HH18
3D048HH68
3D048HH70
3D048QQ07
3D048RR06
3D048RR17
3D048RR35
3D049BB01
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3D049HH12
3D049HH48
3D049HH51
3D049QQ04
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3D049RR08
3D049RR13
3D246BA02
3D246DA01
3D246DA02
3D246GA01
3D246GB37
3D246GC14
3D246HA03A
3D246HA40A
3D246HA43A
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3D246JB11
3D246KA15
3D246LA15Z
3D246LA16A
3D246LA57A
3D246LA63A
3D246LA73A
3D246MA02
3D246MA21
3D246MA23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】圧力が平衡状態にあるピストンを有する圧力供給ユニット(PSU)を備えるブレーキ・バイ・ワイヤ・システムを提供する。
【解決手段】電気・液圧制動システムは、マスタシリンダ(MC)とPSUアセンブリとバックアップ・ポンプ・アセンブリとを備える。MCは、ブレーキペダルへの押圧力に応じて第一MC流体通路に流体を供給するよう構成される。PSUアセンブリは、PSUモータとPSU筐体とPSUピストンとを有する。PSUモータは、ボールねじアクチュエータに連結される。PSU筐体は、PSUモータとは反対側に末端部を有するピストンボアを形成する。PSUピストンは、ピストンボアを第一チャンバと第二チャンバとに分割するとともにボールねじアクチュエータによってピストンボア内を摺動可能である。バックアップ・ポンプ・アセンブリは、車輪ブレーキのうちの少なくとも一つに制動流体を供給するためのポンプを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタシリンダ(MC)(40,230)であって、第一MC流体通路(34,234)に流体連通状態で連結されるとともに、該マスタシリンダ(MC)に連結されるブレーキペダル(36)への押圧力に応じて前記第一MC流体通路(34,234)に流体を供給するよう構成されており、前記第一MC流体通路(34,234)がペダル感覚エミュレータ(PFE)(236)に直接連結されており、前記PFEがPFE内空部内を摺動可能であり上部チャンバを下部チャンバから分離するとともに前記ブレーキペダルへの押圧力とは反対向きの圧力を提供するPFEピストンを有しているマスタシリンダ(MC)と、
圧力供給ユニット(PSU)アセンブリ(50,240)であって、ボールねじアクチュエータに連結されるPSUモータ(242)と、前記PSUモータ(242)の反対側に末端部(388)を有するピストン用内空部(362)を形成するPSU筐体(360)と、前記ピストン用内空部(362)内に配置されるとともに前記ボールねじアクチュエータによって前記ピストン用内空部(362)内を摺動可能であり前記ピストン用内空部(362)を第一チャンバと第二チャンバとに分割しているPSUピストン(245)と、を有するPSUアセンブリであり、前記第一チャンバおよび前記第二チャンバはそれぞれ液圧流体を収容しているPSUアセンブリと、
制動流体を送るようポンプに機能的に連結されて前記制動流体を車輪制動装置(22a,22b,22c,22d)の少なくとも一つに供給するバックアップ・ポンプモータ(72,272)を有するバックアップ・ポンプ・アセンブリ(70,270)と、
を備える車両の車輪制動装置(22a,22b,22c,22d)を作動させるための電気・液圧制動システムであって、
前記ボールねじアクチュエータは、それぞれが前記ピストン用内空部(362)に配置されるとともに前記液圧流体に浸される複数のボールベアリング(384)を有するアクチュエータ・ナット・アセンブリを有する電気・液圧制動システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電気・液圧制動システムであって、前記マスタシリンダ(40,230)は、単一ピストンを有するとともに、前記車輪制動装置(22a,22b,22c,22d)に接続される単一圧力チャンバを形成する単一回路マスタシリンダである電気・液圧制動システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電気・液圧制動システムであって、さらに、前記PSUモータ(242)に電力を供給するよう構成される第一制御回路と、前記第一制御回路から独立しており前記バックアップ・ポンプモータ(72,272)に電力を供給するよう構成される第二制御回路と、を有する電子制御ユニット(ECU)(340)を備える電気・液圧制動システム。
【請求項4】
請求項3に記載の電気・液圧制動システムであって、
前記ECU(340)は、さらに、前記第一制御回路を形成する第一プリント回路基板(PCB)(210)を有し、
前記ECU(340)は、さらに、前記第一PCB(210)から分離されているとともに前記第二制御回路を形成する第二PCB(212)を有し、
電気的に分離された通信回路が前記第一PCB(210)と前記第二PCB(212)との間の通信を提供する電気・液圧制動システム。
【請求項5】
請求項1または2に記載の電気・液圧制動システムであって、さらに、前記ブレーキペダル(36)の位置を監視するよう構成される移動量センサ(37,37A)を備える電気・液圧制動システム。
【請求項6】
請求項5に記載の電気・液圧制動システムであって、さらに、
流体貯留器(224)と前記マスタシリンダ(40,230)との間で制動流体を送出入させるよう構成される吸入流体通路(232)と、
前記PFE(236)の下部チャンバに接続される変位流体通路(268)と、
前記吸入流体通路(232)と前記変位流体通路(268)との間の流体連通を選択的に遮断するよう構成されるペダル感覚フォールバック・バルブ(PFFV)(501)と、
を備えており、
特に、前記PFFV(501)は、通常開いている電磁弁である電気・液圧制動システム。
【請求項7】
請求項1または2に記載の電気・液圧制動システムであって、さらに、前記マスタシリンダ(40,230)の出口と前記車輪制動装置(22a,22b,22c,22d)との間の流体連通を選択的に遮断するよう構成されるマスタシリンダ分離弁(MCIV)(280)を備えており、
特に、前記MCIV(280)は、通常開いている電磁弁である電気・液圧制動システム。
【請求項8】
請求項7に記載の電気・液圧制動システムであって、さらに、
前記PSUモータ(242)に電力を供給するよう構成される第一制御回路と、前記第一制御回路から独立しており前記バックアップ・ポンプモータ(72,272)に電力を供給するよう構成される第二制御回路と、を有する電子制御ユニット(ECU)(340)と、
前記MCIV(280)と直列に流体接続されるとともに前記マスタシリンダ(40,230)の出口と前記車輪制動装置(22a,22b,22c,22d)との間の流体連通を選択的に遮断するよう構成されるマスタシリンダ・フォールバック・バルブ(MCFV)(502)と、
を備えており、
前記MCIV(280)および前記MCFV(502)は、それぞれ、前記第一制御回路および前記第二制御回路のうちの異なる回路で制御され、
特に、前記MCFV(502)は、通常開いている電磁弁である電気・液圧制動システム。
【請求項9】
請求項1または2に記載の電気・液圧制動システムであって、さらに、記マスタシリンダ(40,230)の出口と前記車輪制動装置(22a,22b,22c,22d)との間で制動流体の流れを制御するよう構成される副ソース・バルブ(SSV)(284)を備えており、
特に、前記SSV(284)は、内部を通る流れの可変制御が可能な通常開いている線形弁である電気・液圧制動システム。
【請求項10】
請求項1または2に記載の電気・液圧制動システムであって、さらに、
前記PSUアセンブリ(50,240)から前記車輪制動装置(22a,22b,22c,22d)へと流体を送出するよう構成されるPSU流体通路(60,250)と、
前記PSU流体通路(60,250)と前記車輪制動装置(22a,22b,22c,22d)のうちの少なくとも一つとの間の流体の流れを制御するための印加弁(302a,302b,302c,302d)および放出弁(304a,304b,304c,304d)のうちの少なくとも一方を有する制御弁マニホールド(300)と、
前記PSU流体通路(60,250)と前記制御弁マニホールド(300)との間の流体の流れを選択的に制御するよう構成される分離弁(306,308)と、
を備える電気・液圧制動システム。
【請求項11】
請求項1または2に記載の電気・液圧制動システムであって、さらに、
前記PSUアセンブリ(50,240)から少なくとも一の車輪制動装置(22a,22b,22c,22d)へと流体を送出するよう構成されるPSU流体通路(60,250)と、
前記PSU流体通路(60,250)と前記少なくとも一の車輪制動装置(22a,22b,22c,22d)との間の流体の流れを制御するための印加弁(302a,302b,302c,302d)および放出弁(304a,304b,304c,304d)のうちの少なくとも一方を有する制御弁マニホールド(300)と、
前記PSU流体通路(60,250)と前記制御弁マニホールド(300)との間に配置されるとともに、前記PSU流体通路と前記制御弁マニホールドとの間の差動圧力が所定量を超える場合にのみ前記PSU流体通路と前記制御弁マニホールドとの間の対向する二つの方向の流体の流れを可能とするよう構成される双方向逆止弁(310,311)と、
を備える電気・液圧制動システム。
【請求項12】
請求項1または2に記載の電気・液圧制動システムであって、さらに、
前記PSUアセンブリ(50,240)から少なくとも一の車輪制動装置(22a,22b,22c,22d)へと流体を送出するよう構成されるPSU流体通路(60,250)と、
前記PSU流体通路(60,250)と前記少なくとも一の車輪制動装置(22a,22b,22c,22d)との間の流体の流れを制御するための印加弁(302a,302b,302c,302d)および放出弁(304a,304b,304c,304d)のうちの少なくとも一方を有する制御弁マニホールド(300)と、
前記PSU流体通路(60,250)と前記制御弁マニホールド(300)との間に配置されるとともに、前記PSU流体通路(60,250)と前記制御弁マニホールド(300)との間の流体の流れを選択的に制御するよう構成される分離弁(306,308)と、
を備える電気・液圧制動システム。
【請求項13】
電気・液圧制動アセンブリであって、
圧力供給内空部とマスタシリンダ内空部とバックアップ・ポンプ内空部とを有する液圧制御ユニット(HCU)本体と、
前記マスタシリンダ内空部内に摺動可能に配置されるとともに、ブレーキペダルの押圧に応じて車輪制動装置に制動流体を供給するよう構成される主ピストンと、
前記圧力供給内空部内に配置される圧力供給ピストンと、前記圧力供給ピストンが前記圧力供給内空部内を直線的に平行移動するよう構成されるモータシャフト(370)を有するPSUモータ(242)と、を有する圧力供給ユニットと、
バックアップ・ポンプモータ(72,272)と前記バックアップ・ポンプ内空部に配置されるバックアップ・ポンプ要素(274)とを有するバックアップ・ポンプ・アセンブリ(70,270)であって、前記バックアップ・ポンプモータ(72,272)が制動流体を送るよう前記バックアップ・ポンプ要素(274)に機能的に連結されて前記制動流体を前記車輪制動装置(22a,22b,22c,22d)に供給するバックアップ・ポンプ・アセンブリ(70,270)と、
を備える電気・液圧制動アセンブリ。
【請求項14】
請求項13に記載の電気・液圧制動アセンブリであって、
前記HCU本体は、上面と、互いに平行であり互いから間隔を開けて配置される二つの側面と、前記上面および前記二つの側面のそれぞれに対して直交している端面と、を有しており、
前記マスタシリンダ内空部は前記端面に形成されており、
前記PSUモータ(242)および前記バックアップ・ポンプモータ(72,272)は、前記HCU本体の前記二つの側面のうちの同じ側面に配置されている電気・液圧制動アセンブリ。
【請求項15】
請求項14に記載の電気・液圧制動アセンブリであって、さらに、
前記HCU本体の前記上面に配置される流体貯留器(224)、および/または
前記PSUモータ(242)および前記バックアップ・ポンプモータ(72,272)とは反対側の前記HCU本体の側面に連結される電子制御ユニット(ECU)(340)
を備える電気・液圧制動アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、車両(例えば自動車)の制動システムに関する。より詳細には、本開示は、圧力が平衡状態にあるピストンを有する圧力供給ユニット(PSU)を備えるブレーキ・バイ・ワイヤ・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車およびハイブリッド自動車が世界の市場において急激に広まっていくにつれ、制動の際の装置の電動機・発電機出力機能を用いることによってバッテリ寿命を大きく伸せることがよく理解されてきている。しかしながら、電池を再充電するために用いられる発電機モードの入力トルクは、ペダル力/移動量(トラベル)対車両減速の運転手入力関数と整合していない。このような複雑な関数を達成するためには、車両の油圧(液圧)ブレーキに、発電機制動トルクと運転手が必要とする制動トルクとの差を印加しなければならない。
【0003】
工業界では、回生制動混合課題として一般に知られているこの必要性が長年理解されてきた。これを達成する最も効率的な方法は、「ワイヤによる制動(ブレーキ・バイ・ワイヤ)」技術を用いることである。これを達成するための効率的な制動(ブレーキ)ペダルは、ペダルをジョイスティックとすることであり、この場合、ドライバによる所望の車両減速の意図と解釈するシステムECUに信号を送信するために、ジョイスティックを移動量センサおよび/または力センサに接続する必要がある。また、ブレーキペダル「感覚(フィーリング)」を、力と移動量との適切な関係に基づいて類似実現(シミュレート)しておく必要があり、ブレーキペダル「感覚」は、マスタシリンダが車輪制動装置(ホイールブレーキ)に直接印加する力とは別の感覚をもたらす必要がある。
【0004】
ブレーキ・バイ・ワイヤ・システムは、典型的には、車輪制動装置を作動させるために加圧流体を供給する圧力供給ユニット(PSU)を有する。
【0005】
SAE自動運転レベル3以上のシステムのための設計では、関係する鍵となる要因の一つは、万一に備えた二重化(リダンダンシー)である。ドライバの関与が減少するにつれて、制動(ブレーキ)システムの機能上の能力として、完全な性能またはほぼ完全な性能の実現を可能にする万一に備えた代替(フォールバック)モードが必要とされる。これは一般的には解決策(ソリューション)として「ツーボックス」手法をとることを意味する。当該産業において、二つの基本的な手法が知られている。一つの手法として、米国特許出願公開第2020/0047731号明細書(US2020/0047731A1)にアドオン安定制御システムを有する電気・液圧ブースタを備えるシステムが記載されている。他の手法は、システムを完成するために必要なABSバルブおよび他の制御弁を有する別々のポンプおよびモータ・アセンブリを追加する「ワンボックス」機構である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、圧力が平衡状態にあるピストンを有する圧力供給ユニット(PSU)を備えるブレーキ・バイ・ワイヤ・システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、車両の車輪制動装置を作動させるための電気・液圧制動システムを提供する。電気・液圧制動システムは、マスタシリンダ(MC)を備える。マスタシリンダ(MC)は、第一MC流体通路に流体連通状態で連結されるとともに、マスタシリンダ(MC)に連結されるブレーキペダルへの押圧力に応じて第一MC流体通路に流体を供給するよう構成される。第一MC流体通路は、ペダル感覚エミュレータ(PFE)に直接連結される。第一MC流体通路は、PFEがPFE内空部内を摺動可能であり上部チャンバを下部チャンバから分離するとともにブレーキペダルへの押圧力とは反対向きの圧力を提供するPFEピストンを有する。電気・液圧制動システムは、また、PSUモータとPSU筐体とPSUピストンとを有する圧力供給ユニット(PSU)アセンブリを備える。PSUモータは、ボールねじアクチュエータに連結される。PSU筐体は、PSUモータとは反対側に末端部を有するピストン用内空部を形成する。PSUピストンは、ピストン用内空部内に配置されるとともに、ボールねじアクチュエータによってピストン用内空部内を摺動可能でありピストン用内空部内を第一チャンバと第二チャンバとに分割する。PSUピストンは、第一チャンバおよび第二チャンバがそれぞれ液圧流体を収容する。電気・液圧制動システムは、また、制動流体を送るようポンプに機能的に連結されて制動流体を車輪制動装置の少なくとも一つに供給するバックアップ・ポンプモータを有するバックアップ・ポンプ・アセンブリを備える。ボールねじアクチュエータは、複数のボールベアリングを有するアクチュエータ・ナット・アセンブリを備える。複数のボールベアリングのそれぞれは、ピストン用内空部に配置されるとともに液圧流体に浸される。
【0008】
また、本開示は、電気・液圧ブレーキ・アセンブリを提供する。電気・液圧制動システムは、液圧制御ユニット(HCU)本体と主ピストンとを備える。液圧制御ユニット(HCU)本体は、圧力供給内空部とマスタシリンダ内空部とバックアップ・ポンプ内空部とを有する。主ピストンは、マスタシリンダ内空部内に摺動可能に配置されるとともに、ブレーキペダルの押圧に応じて車輪制動装置に制動流体を供給するよう構成される。また、電気・液圧制動システムは、圧力供給ピストンとPSUモータとを有する圧力供給ユニットを備える。圧力供給ピストンは、圧力供給内空部内に配置される。PSUモータは、圧力供給ピストンが圧力供給内空部内を直線的に平行移動するよう構成されるモータシャフトを有する。また、電気・液圧制動システムは、バックアップ・ポンプモータとバックアップ・ポンプ要素とを有するバックアップ・ポンプ・アセンブリを備える。バックアップ・ポンプ要素は、バックアップ・ポンプ内空部に配置される。バックアップ・ポンプモータが制動流体を送るようバックアップ・ポンプ要素に機能的に連結されて制動流体を車輪制動装置に供給する。
【0009】
本発明の設計のさらなる詳細、特徴および利点は、添付の図面を参照した以下の実施形態の説明から理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】車両のブレーキ・バイ・ワイヤ(BbW)システムの概略ブロック図を示す。
図2】本開示のツーボックスBbWシステムの概略図を示す。
図3図2のツーボックスBbWシステムの斜視図を示す。
図4】本開示のワンボックスBbWシステムの概略図を示す。
図4A】本開示の他のワンボックスBbWシステムの概略図を示す。
図5図4のワンボックスBbWシステムの概略図を示す。
図6】本開示の一の面にかかる圧力供給ユニット(PSU)の断面図を示す。
図7】本開示のワンボックスBbWモジュールの断面の細部を示す。
図8】本開示のワンボックスBbWモジュールの斜視図を示す。
図9】ECUの内部における細部を見せるために部分的に切断した、ワンボックスBbWモジュールの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照しながら、本発明を、以下の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0012】
本開示の流体で浸されたボールねじを有する圧力平衡化PSUピストンを備えるワンボックス型ブレーキ・バイ・ワイヤ・システムは、ポンプとモータとを単一ブロックへと組み合わせる。本開示の流体で浸されたボールねじを有する圧力平衡化PSUピストンを備えるワンボックス型ブレーキ・バイ・ワイヤ・システムは、SAE規格J3016に定められた通り自動運転の六つのレベルを定義するSAE(ソサエティ・オブ・オートモーティブ・エンジニアズ)インターナショナルによる「自動運転レベル基準」に基づくレベル3以上の自動化に適用しうる。また、別々の電子制御ユニット(ECU)の冗長性を回避するために、本開示のシステムは、フォールバック・モードの安全上の必要条件を満たすよう、二つの分離した回路基板を有することができる。このワンボックス手法により、全体コストを下げるとともに、車両における取り付け時間をも短縮することができる。
【0013】
図1は、自動車等の車両のブレーキ・バイ・ワイヤ(BbW)システム10の概略ブロック図を示す。基本的なブレーキ・バイ・ワイヤ(BBW)構造は、既に自動車産業において確立されている。車両のマスタシリンダ12は、故障システム・フォールバック・モードにおいて制動装置に力を直接印加する、または車輪制動装置13から分離され一般的な制動システムの力、移動量および減衰を再現するペダル感覚エミュレータ14に接続される。ブレーキペダル移動量および/またはブレーキペダル力、および/またはブレーキ圧は、ブレーキ電子制御ユニット(ECU)17への入力信号として、BbWシステム10により用いられ、この結果、BbWシステム10は、適切な信号を圧力供給ユニット(PSU)16へと送信することによって、対応する液圧制動圧力を印加する。PSU16は、高効率ブラシレスモータと、一つまたは二つのピストンを移動させるボールねじ組立体(アセンブリ)と、有することができ、電気マスタシリンダとも呼ぶことができよう。マスタシリンダ12および/またはPSU16を、一連の制御弁15を介して車輪(ホイール)ブレーキ13に連結することができる。一連の制御弁(コントロール・バルブ)15として、例えばアンチロックブレーキ(ABS)、電子トラクションコントロール等の機能を提供するための印加弁および放出弁(図示せず)を、ホイールブレーキ13のそれぞれに対して備えることができる。
【0014】
従来のバキューム・ブースタ・ブレーキシステムの感覚を再現しながら、運転手(ドライバ)がどれほど速くそしてどれほど強くブレーキをかけるよう意図しているかを、ブレーキペダル入力は定義し、これにより、適切な車両減速を達成する。ブレーキECU17は、また、回生モードにおいて一つ以上の電気モータを使用して車両を減速するよう、ドライブ制御ユニット(DCU)18に信号を送信することもできる。ドライブ制御ユニット(DCU)は、パワートレイン制御モジュール(PCM)とも呼ぶことができる。
【0015】
図2は、完全電気自動車において、車輪ブレーキ22a,22b,22c,22dの制動動作を制御するためのツーボックスBbWシステム20の概略図を示す。車輪ブレーキ22a,22b,22c,22dを、液圧印加キャリパーおよびブレーキライニングから制動摩擦によって、そして車輪に連結されるモータMによって生成される回生(リジェネレイティブ)制動トルクによって、のいずれによっても制動することができる。ツーボックスBbWシステム20は、昇圧(ブースタ)ユニット30と安定制御ユニット32とを有する。ツーボックスBbWシステム120には、合計18個のソレノイド制御バルブが備えられている。リダンダンシーに関して、万一のPSU故障の場合、安定制御ユニット32は、主バルブと分離弁とバックアップ・ポンプモータ72とに通電することによって、車輪ブレーキ22a,22b,22c,22dに昇圧出力を供給することができる。
【0016】
ツーボックスBbWシステム20は、液圧流体を保持するとともにその液圧流体をマスタシリンダ40に供給する流体貯留器(リザーバ)24を有する。流体レベルセンサ25(例えばフロートスイッチ)は、流体リザーバ24の液圧流体の液面(レベル)を監視する。近隣貯留容器(ローカル・リザーバ・タンク)26が、流体リザーバから離れて、マスタシリンダ40に物理的に取り付けられる。車両における利用可能な空間の度合いによっては、任意選択的に、単一の流体リザーバ24をマスタシリンダ40に直接取り付けることができる。制動(ブレーキ)ペダル36は、ブレーキリンケージ38を押圧するよう、その結果、マスタシリンダ(MC)40を作動させてマスタシリンダ(MC)の流体通路34,34aを加圧するように、連結される。移動量(トラベル)センサ37,37Aは、ブレーキペダル36の位置を監視する。
【0017】
特にマスタシリンダ40への車輪ブレーキ22a,22b,22c,22d操作が解除されたときにブレーキペダル36への押圧力に抗する圧力を提供してその結果ブレーキ操作の自然な感覚を選択的に提供するために、ペダル感覚エミュレータ(PFE)42は流体連通状態となるようMC流体通路34に連結される。PFE42は、PFE42を上部チャンバと下部チャンバとに分割するPFEピストンと、PFEピストンを上部チャンバへと付勢するばねと、を有する。PFE42の上部チャンバは、MC流体通路34に流体連通状態で連結される。PFE42の下部チャンバは、大気へと排気することもできる。
【0018】
圧力供給ユニット(PSU)アセンブリ50は、流体リザーバ24からPSU流体通路60へと液圧流体を供給するPSUモータ52およびPSUポンプ54を有する。通常閉じている電磁弁(ノーマル・クローズ・ソレノイドバルブ)とすることができるPFE分離バルブ61は、MC流体通路34とPFE流体通路42との間の流体の流れを選択的に制御する。四つのソレノイドバルブを有するバルブセット62は、マスタシリンダ40と制動(ブレーキ)回路との間の、そしてPSUアセンブリ50と制動回路との間の流体連通を制御する。こうして、バルブセット62は、マスタシリンダ40そしてPSUアセンブリ50のいずれかから流体の供給源(ソース)を選択的に制御することによって、動作モードを制御する。
【0019】
第一導管74および第二導管76を介して、ブースタ・ユニット30と二つの制動回路のそれぞれに対応する安定制御ユニット32との間で流体連通が行われる。
【0020】
また、図2は、一セットの第一ABSバルブ80aと一セットの第二ABSバルブ82bとを有する安定制御ユニット32の細部を示す。それぞれのバルブは、車輪ブレーキ22a,22b,22c,22dのうちの対応する車輪ブレーキへの流体の流れを制御する。また、安定制御ユニット32は、一以上の車輪ブレーキ22a,22b,22c,22dを作動させるためのバックアップ・ポンプモータ72を有するバックアップ・ポンプ・アセンブリ70を有する。
【0021】
図3は、図2のツーボックスBbWシステム20の斜視図を示す。図3においては、導管74,76を介して安定制御ユニット32に接続されるブースタ・ユニット30を示している。図3は、ブースタ・ブロック94を有するブースタ・ユニット30を示す。ブースタ・ブロック94は、種々の流体通路およびバルブを有する、材料の角型部材(例えば金属のブロック)から構成される。種々のバルブおよびPSUモータ52を制御するためのブースタECU90が、ブースタ・ブロック94の一の側面に取り付けられる。また、図3は、ブースタ・ブロック94の他の側面に取り付けられるPSUモータ52を示す。他の側面は、ブースタECU90の取付け表面とは反対側であり、マスタシリンダ40の軸に対して直交している。
【0022】
また、図3は、安定制御ブロック96を有する安定制御ユニット32を示す。安定制御ブロック96は、種々の流体通路およびバルブを有する、材料の角型部材(例えば金属のブロック)から構成される。また、安定制御ユニット32は、安定制御ブロック96の一の側面に取り付けられる、種々のバルブおよびバックアップ・ポンプモータ72を制御するための安定制御ECU92を有する。また、図3は、安定制御ECU92とは反対側の安定制御ブロック96の他の側面に取り付けられるバックアップ・ポンプモータ72を示す。第二バルブセット62bの構成は、米国特許6,533,369号明細書(US6,533,369)および/または米国特許出願公開第2020/0047731号明細書(US2020/0047731)に記載されている。第二ツーボックスBbWシステム120は、17個の作動バルブを有する。
【0023】
図4は、ワンボックスBbWシステム220の細部を示す概略図である。ワンボックスBbWシステム220は、単一の一体モジュールとして構成される。ワンボックスBbWシステム220は、液圧流体を保持するとともにその液圧流体をマスタシリンダ230に吸入流体通路232を介して供給する流体リザーバ224を有する。マスタシリンダ230は、内空部(ボア)内を通って直線的に変位するよう配置されており、流体をマスタシリンダ(MC)流体通路234へと圧送する一のピストンを有している単一回路デバイスである。流体レベルセンサ225(例えばフロートスイッチ)は、流体リザーバ224の液圧流体の液面(レベル)を監視する。ブレーキペダル36は、ブレーキリンケージ38を押圧するよう、その結果、マスタシリンダ(MC)230を作動させてマスタシリンダ(MC)230を通って吸入流体通路232から流体を押し出してMC流体通路234を加圧するように、連結される。トラベルセンサ37,37Aは、ブレーキペダル36の位置を監視する。
【0024】
特にマスタシリンダ230への車輪ブレーキ22a,22b,22c,22dの操作が解除されたときにブレーキ操作の自然な感覚を選択的に提供するために、ペダル感覚エミュレータ(PFE)236は流体連通状態となるようMC流体通路234に連結される。PFE236は、PFE236を上部チャンバと下部チャンバとに分割するPFEピストンと、PFEピストンを上部チャンバへと付勢するばねと、を有する。PFE236の上部チャンバは、MC流体通路234に流体連通状態で連結される。圧力センサ238は、第一MC流体通路234の圧力を監視する。また、第一圧力センサ238は、MC流体通路234の温度を監視することもできる。また、第一圧力センサ238を、PFE圧力/温度センサ(PPFE)と呼ぶこともできる。
【0025】
圧力供給ユニット(PSU)アセンブリ240は、流体リザーバ224からPSU流体通路250へと液圧流体を供給するPSUモータ242およびPSUポンプ244を有する。PSUアセンブリ240は、戻り(リターン)流体通路252から流体を吸い込むことができる。リターン流体通路252は、流体リザーバ224に接続され、周囲の大気圧にまたは周囲の大気圧近くに保持される。第二圧力センサ251は、PSU流体通路250の圧力を監視する。また、第二圧力センサ251は、PSU流体通路の温度を測定することもできる。また、第二圧力センサ251を、PSU圧力センサ(PPSU)と呼ぶこともできる。ロータ角度センサ(RAS)243を、モータのロータの位置を決定するよう、したがってPSUポンプ44の位置を決定するよう、PSUモータ242に連結することができる、PSUポンプ244は、第一流体チャンバ246を第二流体チャンバ248から分離するPSUピストン245を有する。
【0026】
PSU420の第一流体チャンバ246は、PSU流体通路250に直接接続される。PSUモータ242から離間する方向へのPSUピストン245の移動に応じて、流体は第一流体チャンバ246から押し出されそしてPSU流体通路250へと入っていく。PSUアセンブリ240の第二流体チャンバ248は、補給流体通路254に直接接続される。逆止弁258によって、補給流体通路254からPSU流体通路250への流体の流れを可能とするとともに逆方向の流体の流れを遮断することができる。また、逆止弁258を、PSU補充逆止弁(PRCV)と呼ぶこともできる。
【0027】
通常閉じている電磁弁(ノーマルクローズ・ソレノイドバルブ)とすることができるPSUリザーバ分離バルブ(PRIV)262は、戻り流体通路252と第一中間流体通路264との間の流体の流れを選択的に制御する。
【0028】
ブレーキペダル36の印加によるPFEピストンの移動に応じて流体を送出するよう、変位(ディスプレイスメント)流体通路268はPFE236の下部チャンバに接続される。ノーマルオープン・ソレノイドバルブとすることができるPFE分離バルブ(PFIV)269が、中間流体通路64と変位流体通路68とを選択的に接続する。
【0029】
バックアップ・ポンプ・アセンブリ(BPA)270は、二つのバックアップ・ポンプ要素274に機能的に連結されるバックアップ・ポンプモータ272を有する。バックアップ・ポンプ要素は、それぞれ、流体リザーバ224から吸入流体通路232を介してPSU流体通路250へと制動流体を運ぶよう構成される。
【0030】
通常開いている電磁弁(ノーマルオープン・ソレノイドバルブ)とすることができるマスタシリンダ分離バルブ(MCIV)280は、MC流体通路234と第二中間流体通路281との間の流体の流れを選択的に制御する。こうして、MCIV280を、マスタシリンダ230の出口と車輪ブレーキ22a,22b,22c,22dとの間の流体連通を選択的に遮断するよう構成することができる。圧力マスタシリンダ(PMC)センサと呼ぶこともできる第二圧力/温度センサ282は、第二中間流体通路281における圧力および/または圧力を監視する。通常開いている電磁弁(ノーマルオープン・ソレノイドバルブ)とすることができる副ソース・バルブ(SSV)284は、第二中間流体通路281とPSU流体通路250との間の流体の流れを選択的に制御する。こうして、システムがフォールバック・モードで動作している状態であっても、SSV280は、マスタシリンダ230の出口と車輪ブレーキ22a,22b,22c,22dとの間の制動流体の流れを制御することができる。通常閉じている電磁弁(ノーマルククローズ・ソレノイドバルブ)とすることができる副ソース・バイパス・バルブ(SSBV)286は、第二中間流体通路281とBPA270への吸入口との間の流体の流れを選択的に制御する。
【0031】
第四逆止弁288は、吸入流体通路232とBPA270への吸入口との間に接続されるとともに、吸入流体通路232からBPA270への吸入口への流体の流れを可能とすると同時に反対方向の流体の流れを遮断するよう構成される。また、第四逆止弁288を、バックアップ・リザーバ逆止弁(BRCV)と呼ぶこともできる。
【0032】
PSU流体通路250からの流体供給は、第一制動回路290と第二制動回路292とに分割される。ある態様では、図4に示す通り、第一制動回路290は前輪ブレーキ22a,22bに接続され、第二制動回路292は後輪ブレーキ22c,22dに接続される。なお、他の構成を用いることもできる。
【0033】
制御弁マニホールド300によって、二つのブレーキ回路290,292が、対応するホイールブレーキ22a,22b,22c,22dに流体連通状態で接続される。制御弁マニホールド300は、ホイールブレーキ22a,22b,22c,22dのそれぞれに対応する印加弁302a,302b,302c,302dおよび放出弁304a,304b,304c,304dを有し、これにより、ホイールブレーキ22a,22b,22c,22dのうちの対応する一つと、二つブレーキ回路290,292のうちの関連する一方と、間の流体の流れを選択的に制御する。印加弁302a,302b,302c,302dおよび放出弁304a,304b,304c,304dをまとめてアンチロックブレーキシステム(ABS)バルブと呼ぶこともでき、ABSにおいて用いることができる。なお、印加弁302a,302b,302c,302dおよび放出弁304a,304b,304c,304dを、例えば牽引摩擦制御(トラクション・コントロール)および/または駆動力移動(トルク・ベクタリング)等の他の機能のために用いることもできる。
【0034】
通常開いている電磁弁(ノーマルオープン・ソレノイドバルブ)とすることができる第一分離バルブ306は、第一制動回路290におけるPSU流体通路250と制御弁マニホールド300との間の流体の流れを選択的に制御する。また、第一分離弁306を前側分離弁(FIV)と呼ぶこともできる。通常開いている電磁弁(ノーマルオープン・ソレノイドバルブ)とすることができる第二分離バルブ308は、第二制動回路292におけるPSU流体通路250と制御弁マニホールド300との間の流体の流れを選択的に制御する。また、第二分離弁306を後側分離弁(RIV)と呼ぶこともできる。第一分離弁306および第二分離弁308のどちらかまたは両方ともが、非動作状態において、車輪ブレーキ22a,22b,22c,22dから流体リザーバ224へと圧力媒体(すなわち制動流体)が流れ出るのを防止するように機能することもできる。第一分離弁306および/または第二分離弁308は、動作状態において、印加弁302a,302b,302c,302dを閉じて、車輪制動圧力が低下するよう、流れを制御することもできる。
【0035】
ある態様では、図4に示す通り、双方向逆止弁310,311が、二つの制動回路290,292のそれぞれにおけるPSU流体通路250と制御弁マニホールド300との間に配置されている。双方向逆止弁310,311は、PSU流体通路250と制御弁マニホールド300との間の圧力差がある閾値を超えた場合にのみ、いずれの方向の流体の流れも可能とする。双方向逆止弁310,311は、システムにおける漏出(例えば車輪ブレーキ22a,22b,22c,22dのいずれへの供給を行うブレーキラインの漏出)が生じた場合に失われる流体の量を制限することができる。
【0036】
また、図4は、種々のセンサ37,37A,225,238,243,251,282を監視し、種々のアクチュエータを(例えばPSUモータ242、バックアップ・ポンプモータ272、EPBアクチュエータ346、および種々のソレノイドバルブ262,269,280,284,286,302a,302b,302c,302d,304a,304b,304c,304d,306,308)を制御するために電気的に接続される電子制御ユニット(ECU)340を有するワンボックスBbWシステム220を示す。また、ECU340は、通信ネットワーク(例えばコントローラ・エリア・ネットワーク(Controller Area Network)(CANバス))を介して車両の一以上の外部コントローラ342に接続される。これらの外部コントローラ342は、自動操縦(オートパイロット)、ステアリング・センサおよび警告ランプ等の機器を制御することができる。ECU340は、独立した制御回路を提供するために構成される第一プリント回路基板(PCB)210および第二PCB212を有する。第一PCB210は、PSUモータ242に電力および/または制御信号を供給してその動作を制御するための第一制御回路を有する。第二PCB212は、バックアップ・ポンプモータ272に電力および/または制御信号を供給してその動作を制御するための第二制御回路を有する。ある態様では、第一PCB210は、通常の自動制動を提供し、そして、第二PCB212は、第一PCB210の故障またはそれに関連する何らかのデバイスに関する故障(例えばPSUアセンブリ240に関する故障もしくは障害)によるフォールバック・モードの実行のため万一に備えた二重化のための(リダンダント)自動制動を提供する。ある態様において、電気的に分離された通信回路(ネットワーク)によって、例えばコントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)によって、第一PCB210と第二PCB212との間の通信を提供することができる。
【0037】
ある態様では、図4に示す通り、ECU340を、EPBアクチュエータ346を車輪ブレーキ22a,22b,22c,22dのうちの一つ以上に例えば右側後輪ブレーキ22cおよび左側後輪ブレーキ22dに作動させる電気駐車ブレーキ(EPB)スイッチ344に接続することもできる。なお、車輪ブレーキ22a,22b,22c,22dのうちの他の車輪ブレーキが、EPBアクチュエータ346を有することもできる。
【0038】
図4Aは、図4に示したワンボックスBbWシステム220とほぼ同一である変形例としてのワンボックスBbWシステム520に示す。変形例としてのワンボックスBbWシステム520は、SAEレベル3を超える要件を満たす高度フォールバック・モードを提供する。図4AのBbWシステムは、以下の三つの変更を除いて図4のBbWシステムと同一である。1)ポンプ・バックアップ・リザーバ逆止弁BRCV288がない。2)ペダル感覚フォールバック弁(PFFV)501が追加される。3)マスタシリンダ・フォールバック弁(MCFV)502が追加される。PFFV501は、吸入流体通路232と変位流体通路268との間に流体の流れを選択的に制御する。PFFV501を通常開いている電磁弁(ノーマルオープン・ソレノイドバルブ)とすることができるが、他のタイプのバルブを用いることもできる。MCFV502は、第三中間流体通路503と第二中間流体通路281との間の流体の流れを選択的に制御する。MCFV502を通常開いている電磁弁(ノーマルオープン・ソレノイドバルブ)とすることができるが、他のタイプのバルブを用いることもできる。MCIV280は、第三中間流体通路503に流体連通状態で接続されて、MC流体通路234と第三中間流体通路503との間の流体の流れを選択的に制御する。このように、MCFV502は、MCIV280と直列流体連通状態で配置される。MCFV502またはMCIV280のいずれかが、マスタシリンダ230の出口と車輪ブレーキ22a,22b,22c,22dとの間の流体連通を選択的に遮断することができる。MCFV502およびMCIV280を、それぞれ、異なる制御回路によって制御することができる。例えば、MCIV280を第一PCB210の制御回路によって制御し、MCFV502を第二PCB212の制御回路によって制御することができる。追加的に、第二圧力/温度センサ282は、第三中間流体通路503における圧力および/または圧力を監視することができる。
【0039】
PFFV501およびMCFV502は両方ともが、万一PSUアセンブリ240および/または第一回路基板210が故障した場合または他の理由で利用できない場合でも完全な制動機能を提供するよう構成される第二PCB212から電力供給を受ける。フォールバック・モードが必要な場合、図4のワンボックスBbWシステム220とまさに同様に、圧力を高める必要とされるときにはBPA270のバックアップ・ポンプモータ272が動作する。SSV284、SSBV286、PFFV501およびMCFV502を除いて、すべてのバルブは通常状態にある。SSBV286は通電されて、ポンプ・バイパス循環(リサーキュレーション)ループを開く。SSV284は、通電される電流の量に応じて内部を流れる流体の量を制御することができる通常開いている線形弁(リニアバルブ)である。電流が印加されない場合、SSV284は全開であり、ごくわずかな背圧(バックプレッシャ)しか発生せず、そしてその流れは単純にSSBVを通って循環する。最大電流が印加される場合、SSV284は完全に閉じ、そして、すべての流れは車輪ブレーキ22a,22b,22c,22dへと向かう。こうして、マスタシリンダ移動量に比例してSSV284への電流を制御することによって、車両を減速するためのドライバの力を十分に低減する比例制動圧力が得られる。所望の圧力に到達すると、SSV284にバルブを閉じるよう最大電流がすれることができる、そして、バックアップ・ポンプモータは電流を遮断して通電を節約することができる。PFFV501およびMCFV502の両方には通電が行われる。これにより、マスタシリンダ230を車輪ブレーキから分離した状態に保持し、ペダル感覚エミュレータ236が機能できる。したがって、ドライバが受けるペダル感覚は、通常のBbWモードのペダル感覚とまさに同じままとなり、ドライバにはより快適となろう。
【0040】
図5は、本開示のワンボックスBbWシステム220の概略図を示す。それぞれが別々の電力供給源および別々の電気接地接続を有する第一プリント回路基板(PCB)210および第二PCB212の態様の二つの独立した制御ネットワークのうちの一方によってワンボックスBbWシステム220の種々の電気要素がどのように制御されるかを、図5に示す。
【0041】
本開示のワンボックスBbWシステム220は、レベル3以上の安全上の必要条件を満たすことができる。ワンボックスBbWシステム220は、次の特徴を有する。第一PCB210は、通常動作モードにおいてワンボックスBbWシステム220を動作させることができ、そして、第二PCB212はフォールバック・モードにおいてワンボックスBbWシステム220を動作させることができる。万一通常動作モードが利用できない場合でも、車輪ブレーキ22a,22b,22c,22dを動作させるためにフォールバック・モードを用いることができる。例えば、第一PCB210または第一PCBに接続される一以上のデバイスの機械的もしくは電気的要素が故障した場合である。万一PSUアセンブリ240が車輪ブレーキ22a,22b,22c,22dを動作させるために圧力を供給できない場合でも車輪ブレーキ22a,22b,22c,22dを動作させるための圧力を供給できるよう、バックアップポンプモータ・アセンブリを制御弁とともに制御するように、第二PCB212を構成することができる。
【0042】
図6は、ワンボックスBbWシステム220のPSUアセンブリ240の断面図を示す。PSUアセンブリ240は、制動流体をPSU流体通路250へと吐出するようPSUポンプ244を動作するように構成されるPSUモータ242を有する。
【0043】
PSUアセンブリ240は、ピストン用内空部(ピストンボア)362を形成するPSU筐体(ハウジング)360を有する。また、PSUハウジング360は、PSUモータ242を収容する後室(リアチャンバ)364を形成する。隔壁(パーティション)366によって、ピストンボア362を後室364から分離している。パーティション366によって、ピストンボア362が制動流体を収容しながら、後室364を流体がない状態に保持できる。PSUモータ242は、一グループの円弧形状永久磁石372に連結されるモータ軸(シャフト)370を有する。PSUモータは、ステータ374を流れる電流に応じて動作する。シャフト軸受(ベアリング)376によって、モータシャフト370を磁石372の両側で支持することができる。
【0044】
PSUポンプ244は、アクチュエータ・ナット380によって作動されるPSUピストン245を有する。アクチュエータ・ナット380の外面は、PSUピストン245に固定して取り付けられる。PSUピストン245は、回転防止機構396によって、回転が制限されるが平行移動自在である。回転防止機構396は、例えば外径上の一連の凸部またはボスであり、それに対応する回転防止機構398と嵌合する。回転防止機構398は、例えばPSUハウジング360に位置する一連のスロット溝、キー溝または谷である。PSUモータ242は、スピンドル382を回転させる。スピンドルには、ねじが形成されており、アクチュエータ・ナット380を直線経路に沿って移動させるよう構成されている。こうして、PSUピストン245が、ピストンボア362において二つの方向のいずれにも(PSUモータ242へと向かう方向または離間する方向に)平行移動できる。
【0045】
ある態様では、一つ以上の玉軸受(ボールベアリング)384を、ボール・ねじ境界を形成するよう、スピンドル382とアクチュエータ・ナット380との間に配置することもできる。一つ以上の遊星減速歯車を有することができる歯車機構(ギヤセット)386によって、PSUモータ242のモータシャフト370とスピンドル382とを機械的に連結し、スピンドル382を減速させるとともに印加されるトルクを増加することもできる。高圧回転用封止器(シール)378が、パーティション366においてスピンドル382の周囲に配置され、スピンドル382の回転を可能にしながらピストンボア362と後室364との間を液密状態で封止する。高圧回転用シール378はリップシールを有することができる。なお、他の種類のシールを用いることもできる。
【0046】
PSUピストン245は、ピストンボア362内に配置されるとともに、アクチュエータ・ナット380の押し出しおよび/または引っ張りに応じて直線的に移動するよう構成される。ピストンボア362は、パーティション366と末端部388との間で延びる。ピストンボア362は、PSUピストン245から末端部388へと延びる第一流体チャンバ246を形成する。また、ピストンボア362は、パーティション366からPSUピストン245へと延びる第流体二チャンバ248を形成する。第一PSUポート390は、第一流体チャンバ246と外部流体回路との間の流体連通を提供する。第一PSUポート390を、PSU流体通路250に流体連通状態で連結することができ、これにより、流体を供給できる。第二PSUポート392は、第二流体チャンバ248と外部流体回路との間の流体連通を提供する。第二PSUポート392を、補充流体通路254に流体連通状態で連結することができ、これにより、第二流体チャンバ248と補充流体通路254との間で流体を出入りさせることができる。
【0047】
ある態様では、図6に示す通り、PSUピストン245は、PSUピストンシール394を、例えば第一流体チャンバ246と第二流体チャンバ248との間のPSUピストン245を通り抜ける流体の漏れを防止するリップシールを、有する。
【0048】
高圧回転用シール378は、複数の機能を実現することもできる。第一の機能は、高圧回転用シール378によって、PSUアセンブリ240がシステム圧力を再現できることである。追加的な機能は、PSUピストンシール394の故障が生じた場合、高圧回転用シール378は、流体がPSUモータ242に入ってしまうことを防止する、したがって液圧システムを完全な状態に維持することである。このことは、単一回路マスタシリンダにバックアップを提供するために特に重要と言えよう。
【0049】
アクチュエータ・ナット380とスピンドル382と一以上のボールベアリング384とをまとめてボールねじ機構380,382,384と呼ぶこともできる。本開示のPSUアセンブリ240の独特の特徴は、ボールねじ機構380,382,384によってスピンドル382を封止する方法であり、これにより、別々のプッシュロッドアクチュエータを備える必要がない。その結果、ボールねじ機構380,382,384は、PSUピストン245内部に入れ子式に一組となって収容されており、制動流体で浸されており、潤滑された状態にある。この設計の他の利点は、単純で、まっすぐなボアをPSUピストン245のために用いることができる点にある。PSUピストンシール394の両側の流体変位(容積変化)が正確に同じことであるからである。最後に、PSUピストンシール394の故障が生じた場合にシステムの完全な状態を維持するために、高圧回転用シール378は副漏出障壁(バリア)を提供する。
【0050】
図4を参照する本開示のワンボックスBbWシステム220を15バルブ設計(デザイン)と呼ぶこともできる。15個の作動バルブ262,269,280,284,286,302a,302b,302c,302d,304a,304b,304c,304d,306,308を備えているからである。なお、本開示のワンボックスBbWシステム220のいくつかの面では、異なる数の作動バルブを有するシステムを実施可能である。
【0051】
通常ブレーキ・バイ・ワイヤ・モードにおいてドライバがブレーキペダルに力を印加したときには、MCIV280は閉じPRIV262は開く。一般的なブレーキペダル力と類似な力を実現するよう、マスタシリンダ流体がPFE236へと流れる。その移動量情報がECU340に送信され、そしてECUは適切な電流をPSUモータ242に通電し、これにより、ボールねじを回転させてPSUピストン245を機械的に変位(平行移動)させる。こうして、流体が、二重逆止弁310を通り、ABS印加弁302a,302b,302c,302dを通って移動し、最終的に車輪ブレーキ22a,22b,22c,22dに達することで圧力を印加して車両を減速させる。
【0052】
これは、ABS停止時において車輪ブレーキ22a,22b,22c,22dから放出される流体が取り込まれるのではなく大気圧で流体リザーバ224へと戻るよう流れる「オープン」システムであるので、PSUアセンブリ240を補充する必要がある。このことは、PSUピストン245の後側の圧力を止めるPRIV262およびPFIV269を最初に閉じておくことで、達成できる。また、前側分離弁(FIV)306および後側分離弁(RIV)308は閉じられて、車輪ブレーキ22a,22b,22c,22dにおけるシステム圧力を維持する。ボールねじおよびPSUピストン245は後退する。これにより、PSUピストン245の後側の流体を、PSU第二逆止弁258を介して、強制的にPSUピストン245の正面側に流れさせることができる。補充の際には、PSUピストン245の両側の圧力は維持される。PSUピストン245が移動するときPSUピストン245の両側が同じ容積で変位(変化)するからである。PSUピストン245が再び前進を開始するとき、PRIV262、PFIV269、FIV306およびRIV308の全ては以前の状態に戻る。
【0053】
自動運転レベル3の条件を満たすために、自動運転システムはその自動運転システム自体を自ら監視する必要があり、そして、車両の運転を継続するための万一に備えた二重化(リダンダント)経路を有する必要がある。同様に、ブレーキシステムは、ブレーキシステムでなんらかの第一の故障が発生した後には車両を減速させて停車させることができる自動運転システム(例えば先進運転支援システム(ADAS))からの命令(コマンド)を実行するリダンダンシーを有しておく必要がある。このため、本開示のワンボックスBbWシステム220は、車輪ブレーキへのリダンダント動力源と、あらゆる条件においても車両を停止させることが可能な別の電源を有するリダンダント制御ネットワークと、を有することができる。
【0054】
PSUアセンブリ240が故障した場合、ドライバがブレーキをかけたときにはいかなる状況でもBPA270を直ちに作動させる(オンに切り換える)ことができる。同時に、PRIV262は通電が遮断されて閉じた状態に保持され、そして、MCIV280は通電が遮断されて開いた状態に保持される。SSBV286は通電されることになりポンプ循環(リサーキュレーション)が可能となり、線形バルブとできるSSV284が、減速しようとするドライバの意図とペダル力とが整合することを保証するよう、第二圧力センサ251からのフィードバックによりブレーキペダル移動量に比例して駆動されて作動する。ある態様では、SSV284を、供給される電流量に応じて制御される電流制御バルブとすることができる。
【0055】
ドライバ支援ではないオートパイロット・モード(例えばADAS制御)が必要とされる場合、唯一の差異は、SSBV286が閉じており、ドライバがブレーキペダルに力を印加せずポンプ循環流体はマスタシリンダ230におけるバイパス孔を通じてすでに戻っていることである。システム圧力は、SSV284に印加される電流によって決定される。
【0056】
図7は、本開示のワンボックスBbWシステム220を有するワンボックスBbWモジュール400の断面の細部を示す。ワンボックスBbWモジュール400は、金属(例えばアルミニウム)の角型部材(ブロック)とできる液圧制御ユニット(HCU)ブロック402を有する。HCUブロック402は、機械加工または他の形成方法で、種々の流体通路と他の構造と機能的構成部品とを形成することができる。図7に示す通り、HCUブロック402は、直角に配置される複数の面を有する。複数の面には、上面403と、互いに平行に延設されるとともに互いから間隔を開けて配置される一つ以上の側面404と、互いに平行に延設されるとともに互いから間隔を開けて配置されており側面404に対して直交している二つの端面406と、が含まれる。車両に設置されたときに、側面404および端面406は垂直とできる。流体リザーバ224を、HCUブロック402の上面403に配置することができる。
【0057】
また、ワンボックスBbWモジュール400は、側面404のうちの一つに配置されるとともにPSUアセンブリ240の一以上の構成部品を収容しているPSUスリーブ408を有する。また、ワンボックスBbWモジュール400は、PSUアセンブリ240のPSUモータ242および/または他の構成部品(例えばギヤセット386)を収容するHCUモータ・ハウジング410を有する。HCUブロック402、PSUスリーブ408および/またはHCUモータ・ハウジング410が一体的に、PSUハウジング360を形成することもできる。また、図7は、HCUブロック402に対する、ECUハウジング341におけるECU340の配置を示す。ある態様では、ECUハウジング341を、HCUブロック402に対して直接当接することもできる。
【0058】
ワンボックスBbWモジュール400は、横置きモータ構成で組み立てられている。横置きモータ構成においては、HCUブロック402は、PSUモータ242がマスタシリンダ40,230に対して横向きに取り付けられている、マスタシリンダ40,230およびPSUアセンブリ240を有する。ある態様では、図7に示す通り、PSUモータ242がHCUブロック402の側面404に装着され、マスタシリンダ40,230が端面に形成されるとともにHCUブロック402内へとHCUブロックに対して横向きに延設されている。言い換えれば、モータシャフト370が水平方向にかつマスタシリンダ40,230と直交するよう延設される状態で、PSUモータ242は装着されている。例えば、マスタシリンダ40,230のマスタシリンダ・ピストンを収容するよう構成されるとともにPSUモータ242のモータシャフト370と直交するマスタシリンダ内空部(ボア)(図示せず)を、HCUブロック402に形成することができる。
【0059】
この配置は、本開示のPSUアセンブリ240の小型化可能な特徴によって可能となる。PSUモータ242は、標準的なブラシレスモータを有することができる。そして、ギヤセット386は遊星ギヤセットを有することができる。このような構成により、全体のコストを最小限とすることができ、モータ効率を最大限とすることができ、モータ電流を最小限として電子部品の費用を節約することができる。
【0060】
図8は、PSUモータ242およびバックアップ・ポンプモータ272を有するワンボックスBbWモジュール400の斜視図を示す。PSUモータ242およびバックアップ・ポンプモータ272は、HCUブロック402の同じ側面404に互いに隣接して配置されている。HCUブロック402には、内部にバックアップ・ポンプ要素274のうちの一つ以上が配置されるバックアップ・ポンプ・ボア(図示しないがバックアップ・ポンプモータ272に隣接して配置できる)を形成することができる。
【0061】
図9は、ECU340の内部における細部を見せるために部分的に切断した、ワンボックスBbWモジュール400の斜視図を示す。図8は、互いに平行であり互いから間隔を開けて配置される二つのPCB210,212を有するECUハウジング341を示す。また、ECU340の二つPCB210,212を、HCUブロック402の側面404と平行することができる。
【0062】
図8図9は、ECU340とは反対側の同一面に配置されるPSUモータ242およびバックアップ・ポンプモータ272の配置を示している。この配置によって、両方の液圧電源ユニットがECU340と直接接続でき、したがって、相互接続の数を低減できることにより、他の配置と比較してコストを最小限とすることができる。
【0063】
本開示のワンボックスBbWシステム220および関連するワンボックスBbWモジュール400は、自動運転レベル3以上のバックアップ・リダンダンシー要件を満たすよう構成される。本開示のワンボックスBbWシステム220および関連するワンボックスBbWモジュール400は、万一圧力供給ユニット・アセンブリ240が故障した場合でもバックアップ・リダンダンシーを提供するよう構成されるとともに、単一のアセンブリとして一体的に形成(パッケージ)される。本開示のワンボックスBbWシステム220および関連するワンボックスBbWモジュール400は、1)一体型バックアップ・ポンプ・アセンブリ(すなわちBPA270)と、2)単一の電子制御ユニット・ハウジング341内の二つの独立プリント回路基板と、を備える。
【0064】
第一プリント回路基板210は、PSUアセンブリ240を含む通常のブレーキ・バイ・ワイヤ・構成部品を制御することができる。第一プリント回路基板210から独立した回路とできる第二プリント回路基板212は、車両の運転を継続することが可能な機能および外部ソース(例えばADAS)からのコマンドを実行して万一第一プリント回路基板210が故障した場合でも車両を減速させて停止させることが可能な機能を有する。
【0065】
スピンドル上に回転用リップシールを有する圧力平衡化PSUピストン245と、遊星ギヤセットと一体化した横置きモータ配置と、を備え合わせる設計の組み合わせは、まさに独特な設計である。
【0066】
本開示の一の面では、通常のブレーキ・バイ・ワイヤ・操作モードにおいて自動車車両用の制動システムは、ドライバによってまたはオートパイロット・デバイスによって車両を減速させるよう作動することができ、圧力供給ユニットが故障したフォールバック・モードにおいて同制動システムは、完全支援モードでドライバによって通常通り作動することができる。
【0067】
本開示は、車両の車輪ブレーキを作動させる電気・液圧制動システムを提供する。電気・液圧制動システムは、マスタシリンダ(MC)を備える。マスタシリンダ(MC)は、第一MC流体通路に流体連通状態で連結されるとともに、マスタシリンダ(MC)に連結されるブレーキペダルへの押圧力に応じて第一MC流体通路に流体を供給するよう構成される。第一MC流体通路は、ペダル感覚エミュレータ(PFE)に直接連結される。第一MC流体通路は、PFEがPFE内空部内を摺動可能であり上部チャンバを下部チャンバから分離するとともにブレーキペダルへの押圧力とは反対向きの圧力を提供するPFEピストンを有する。電気・液圧制動システムは、また、PSUモータとPSU筐体とPSUピストンとを有する圧力供給ユニット(PSU)アセンブリを備える。PSUモータは、ボールねじアクチュエータに連結される。PSU筐体は、PSUモータとは反対側に末端部を有するピストン用内空部を形成する。PSUピストンは、ピストンボア内に配置されるとともに、ボールねじアクチュエータによってピストンボア内を摺動可能でありピストンボア内を第一チャンバと第二チャンバとに分割する。PSUピストンは、第一チャンバおよび第二チャンバがそれぞれ液圧流体を収容する。電気・液圧制動システムは、また、制動流体を送るようポンプに機能的に連結されて制動流体を車輪制動装置の少なくとも一つに供給するバックアップ・ポンプモータを有するバックアップ・ポンプ・アセンブリを備える。ボールねじアクチュエータは、複数のボールベアリングを有するアクチュエータ・ナット・アセンブリを備える。複数のボールベアリングのそれぞれは、ピストン用内空部に配置されるとともに液圧流体に浸される。
【0068】
ある態様では、マスタシリンダは、単一ピストンを有するとともに、車輪ブレーキに接続される単一圧力チャンバを形成する単一回路マスタシリンダである。
【0069】
ある態様では、電気・液圧制動システムは、PSUモータに電力を供給するよう構成される第一制御回路と、第一制御回路から独立しておりバックアップ・ポンプモータに電力を供給するよう構成される第二制御回路と、を有する電子制御ユニット(ECU)を備える。
【0070】
ある態様では、ECUは、さらに、第一制御回路を形成する第一プリント回路基板(PCB)を有する。また、ECUは、さらに、第一PCBから分離されているとともに第二制御回路を形成する第二PCBを有する。そして、電気的に分離された通信回路が第一PCBと第二PCBとの間の通信を提供する。
【0071】
ある態様では、電気・液圧制動システムは、さらに、ブレーキペダルの位置を監視するよう構成される移動量センサを備える。
【0072】
ある態様では、電気・液圧制動システムは、さらに、吸入流体通路と変位流体通路とペダル感覚フォールバック・バルブ(PFFV)とを備える。吸入流体通路は、流体貯留器とマスタシリンダとの間で制動流体を送出入させるよう構成される。変位流体通路は、PFEの下部チャンバに接続される。PFFVは、吸入流体通路と変位流体通路との間の流体連通を選択的に遮断するよう構成される。
【0073】
ある態様では、PFFVは、通常開いている電磁弁である。
【0074】
ある態様では、電気・液圧制動システムは、さらに、マスタシリンダの出口と車輪制動装置との間の流体連通を選択的に遮断するよう構成されるマスタシリンダ分離弁(MCIV)を備える。
【0075】
ある態様では、MCIVは、通常開いている電磁弁である。
【0076】
ある態様では、電気・液圧制動システムは、さらに、電子制御ユニット(ECU)とマスタシリンダ・フォールバック・バルブ(MCFV)とを備える。ECUは、PSUモータに電力を供給するよう構成される第一制御回路と、第一制御回路から独立しておりバックアップ・ポンプモータに電力を供給するよう構成される第二制御回路と、を有する。MCFVは、MCIVと直列に流体接続されるとともにマスタシリンダの出口と車輪制動装置との間の流体連通を選択的に遮断するよう構成される。ある態様では、MCIVおよびMCFVは、それぞれ、第一制御回路および第二制御回路のうちの異なる回路で制御される。
【0077】
ある態様では、MCFVは、通常開いている電磁弁である。
【0078】
ある態様では、電気・液圧制動システムは、さらに、マスタシリンダの出口と車輪制動装置との間で制動流体の流れを制御するよう構成される副ソース・バルブ(SSV)を備える。
【0079】
ある態様では、SSVは、内部を通る流れの可変制御が可能な通常開いている線形弁である。
【0080】
ある態様では、電気・液圧制動システムは、さらに、PSU流体通路と制御弁マニホールドと分離弁とを備える。PSU流体通路は、PSUアセンブリから車輪制動装置へと流体を送出するよう構成される。制御弁マニホールドは、PSU流体通路と車輪制動装置のうちの少なくとも一つとの間の流体の流れを制御するための印加弁および放出弁のうちの少なくとも一方を有する。分離弁は、PSU流体通路と制御弁マニホールドとの間の流体の流れを選択的に制御するよう構成される。
【0081】
ある態様では、電気・液圧制動システムは、さらに、PSU流体通路と制御弁マニホールドと双方向逆止弁を備える。PSU流体通路は、PSUアセンブリから少なくとも一の車輪制動装置へと流体を送出するよう構成される。制御弁マニホールドは、PSU流体通路と少なくとも一つの車輪制動装置との間の流体の流れを制御するための印加弁および放出弁のうちの少なくとも一方を有する。双方向逆止弁は、PSU流体通路と制御弁マニホールドとの間に配置される。また、双方向逆止弁は、PSU流体通路と制御弁マニホールドとの間の差動圧力が所定量を超える場合にのみPSU流体通路と制御弁マニホールドとの間の対向する二つの方向の流体の流れを可能とするよう構成される。
【0082】
ある態様では、電気・液圧制動システムは、さらに、PSU流体通路と制御弁マニホールドと分離弁とを備える。PSU流体通路は、PSUアセンブリから少なくとも一の車輪制動装置へと流体を送出するよう構成される制御弁マニホールドは、PSU流体通路と少なくとも一つの車輪制動装置との間の流体の流れを制御するための印加弁および放出弁のうちの少なくとも一方を有する。分離弁は、PSU流体通路と制御弁マニホールドとの間に配置されるとともに、PSU流体通路と制御弁マニホールドとの間の流体の流れを選択的に制御するよう構成される。
【0083】
また、本開示は、電気・液圧ブレーキ・アセンブリを提供する。電気・液圧制動システムは、液圧制御ユニット(HCU)本体と主ピストンとを備える。液圧制御ユニット(HCU)本体は、圧力供給内空部とマスタシリンダ内空部とバックアップ・ポンプ内空部とを有する。主ピストンは、マスタシリンダ内空部内に摺動可能に配置されるとともに、ブレーキペダルの押圧に応じて車輪制動装置に制動流体を供給するよう構成される。また、電気・液圧制動システムは、圧力供給ピストンとPSUモータとを有する圧力供給ユニットを備える。圧力供給ピストンは、圧力供給内空部内に配置される。PSUモータは、圧力供給ピストンが圧力供給内空部内を直線的に平行移動するよう構成されるモータシャフトを有する。また、電気・液圧制動システムは、バックアップ・ポンプモータとバックアップ・ポンプ要素とを有するバックアップ・ポンプ・アセンブリを備える。バックアップ・ポンプ要素は、バックアップ・ポンプ内空部に配置される。バックアップ・ポンプモータが制動流体を送るようバックアップ・ポンプ要素に機能的に連結されて制動流体を車輪制動装置に供給する。
【0084】
ある態様では、HCU本体は、上面と、互いに平行であり互いから間隔を開けて配置される二つの側面と、上面および二つの側面のそれぞれに対して直交している端面と、を有する。ある態様では、マスタシリンダ内空部は端面に形成される。ある態様では、PSUモータおよびバックアップ・ポンプモータは、HCU本体の二つの側面のうちの同じ側面に配置される。
【0085】
ある態様では、電気・液圧制動システムは、さらに、HCU本体の上面に配置される流体貯留器を備える。
【0086】
ある態様では、電気・液圧制動システムは、さらに、PSUモータおよびバックアップ・ポンプモータとは反対側のHCU本体の側面に連結される電子制御ユニット(ECU)を備える。
【0087】
ある態様では、制動システムは、車輪ブレーキのそれぞれに吸込み弁および排出弁を有する。吸込み弁および排出弁によって、電子制御ユニットによって生成される信号に基づいて車輪毎のブレーキ圧力が設定される。吸込み弁は非作動状態における車輪ブレーキへと流体を送出し、排出弁は作動状態における車輪圧力の増加を制限するまたは防止する。吸込み弁には、印加弁302a,302b,302c,302dを含めることができる。排出弁には、放出弁304a,304b,304c,304dを含めることができる。
【0088】
ある態様では、制動システムは、圧力供給ユニット・アセンブリ240およびバックアップ・ポンプ・アセンブリ270のそれぞれの少なくとも一部を含む単一のHCUブロック402を有する。二つの関連するモータ・アセンブリは、HCUブロック402の一の面に配置される。HCUブロック402の該一の面は、制御弁およびセンサを配置している面とは反対側の面である。リザーバは、PSUのこうした面と直交する上面に配置される。マスタシリンダ内空部はPSUボアと直交している。
【0089】
以上の説明は、他を排除するものではなく、本開示を限定するものではない。特定の実施形態のそれぞれの要素または特徴はその特定の実施形態に必ずしも限定されるものではなく、特段の定めや記載がない限り、適用可能な場合には実施形態間で置き換え可能である。それぞれの要素または特徴は、種々の変形が可能である。このような変形は、本開示から逸脱するものではなく、このような変更はすべて本開示の範囲内にある。
【符号の説明】
【0090】
10 ブレーキ・バイ・ワイヤ(BbW)システム
12 マスタシリンダ(MC)
13 ホイールブレーキ
14 ペダル感覚エミュレータ(PFE)
16 圧力供給ユニット(PSU)
20 ツーボックスBbWシステム
22a~22d ホイールブレーキ
24 流体リザーバ
25 流体レベルセンサ
26 ローカル・リザーバ・タンク
30 ブースタ・ユニット
32 安定制御ユニット
34 MC流体通路
36 ブレーキペダル
37,37A トラベルセンサ
38 ブレーキリンケージ
40 マスタシリンダ
42 PFE
44 PSUポンプ
50 PSUアセンブリ
52 PSUモータ
54 PSUポンプ
60 PSU流体通路
61 PFE分離バルブ
62 バルブセット
64 中間流体通路
68 変位流体通路
70 バックアップ・ポンプ・アセンブリ
72 バックアップ・ポンプモータ
74 第一導管
76 第二導管
80a 第一ABSバルブ
82b 第二ABSバルブ
90 ブースタECU
92 安定制御ECU
94 ブースタ・ブロック
96 安定制御ブロック
120 ツーボックスBbWシステム
210 第一プリント回路基板(PCB)
212 第二PCB
220 ワンボックスBbWシステム
224 流体リザーバ
225 流体レベルセンサ
230 マスタシリンダ
232 吸入流体通路
234 MC流体通路
236 ペダル感覚エミュレータ(PFE)
238 圧力センサ
240 圧力供給ユニット・アセンブリ
242 PSUモータ
243 ロータ角度センサ(RAS)
244 PSUポンプ
245 PSUピストン
246 第一流体チャンバ
248 第流体二チャンバ
250 PSU流体通路
251 第二圧力センサ
252 戻り流体通路
254 補充流体通路
258 逆止弁
262 PSUリザーバ分離バルブ(PRIV)
264 第一中間流体通路
268 変位流体通路
269 PFE分離バルブ(PFIV)
270 バックアップ・ポンプ・アセンブリ(BPA)
272 バックアップ・ポンプモータ
274 バックアップ・ポンプ要素
280 マスタシリンダ分離バルブ(MCIV)
281 第二中間流体通路
282 第二圧力/温度センサ
284 副ソース・バルブ(SSV)
286 副ソース・バイパス・バルブ(SSBV)
288 第四逆止弁
290 第一制動回路
292 第二制動回路
300 制御弁マニホールド
302a~302d 印加弁
304a~304d 放出弁
306 第一分離弁
308 第二分離弁
310,311 双方向逆止弁
340 ECU
341 ECUハウジング
342 外部コントローラ
344 電気駐車ブレーキ(EPB)スイッチ
346 EPBアクチュエータ
360 PSUハウジング
362 ピストンボア
364 後室
366 パーティション
370 モータシャフト
372 磁石
374 ステータ
376 シャフト軸受(ベアリング)
378 高圧回転用シール
380 アクチュエータ・ナット
382 スピンドル
384 ボールベアリング
386 ギヤセット
388 末端部
390 第一PSUポート
392 第二PSUポート
394 PSUピストンシール
396 回転防止機構
398 回転防止機構
400 ワンボックスBbWモジュール
402 液圧制御ユニット(HCU)ブロック
403 上面
404 側面
406 端面
408 PSUスリーブ
410 HCUモータ・ハウジング
501 ペダル感覚フォールバック弁(PFFV)
502 マスタシリンダ・フォールバック弁(MCFV)
503 第三中間流体通路
520 ワンボックスBbWシステム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0091】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0047731号明細書
図1
図2
図3
図4
図4A
図5
図6
図7
図8
図9