(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084712
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】漏液検知装置
(51)【国際特許分類】
G01N 27/06 20060101AFI20230613BHJP
G01N 27/20 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
G01N27/06 B
G01N27/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198928
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】501397920
【氏名又は名称】旭光電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136205
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 康
(74)【代理人】
【識別番号】100127166
【弁理士】
【氏名又は名称】本間 政憲
(72)【発明者】
【氏名】和田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】萩原 文弘
(72)【発明者】
【氏名】木村 啓一
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AC01
2G060AE12
2G060AF02
2G060AF07
2G060AG03
2G060AG10
2G060FA01
2G060HC15
2G060HD03
2G060HE02
2G060KA05
2G060KA11
(57)【要約】
【課題】 検知したい場所に合わせて検知部選択できる漏液検知装置の提供。
【解決手段】 漏液検知装置100は、一対の線状の電極である線状電極部101a、101bを有する線状漏液検知部101を接続する接続端子部105a、接続端子部105aに接続される一対の点状の電極である点状電極部103a、103bを有する点状漏液検知部103、接続端子部105aの間の電圧を用いて、漏液の発生を判断する漏液判断部105b、漏液判断部105bにおいて漏液が発生していると判断した場合に、漏液発生情報を送信する通信部109、を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の線状の電極である線状電極部を有する線状漏液検知部を接続する接続端子部、
前記接続端子部に接続される一対の点状の電極である点状電極部を有する点状漏液検知部、
前記接続端子部の間の電圧を用いて、漏液の発生を判断する漏液判断部、
前記漏液判断部において漏液が発生していると判断した場合に、漏液発生情報を送信する通信部、
を有する漏液検知装置。
【請求項2】
請求項1に係る漏液検知装置において、
前記漏液判断部は、
前記接続端子部の間の予め定めた基準電圧と、前記接続端子部の間の測定電圧とを比較することによって、漏液発生を判断すること、
を特徴とする漏液検知装置。
【請求項3】
請求項1、又は、請求項2に係る漏液検知装置において、さらに、
前記接続端子部に前記線状漏液検知部を接続したとき、前記接続端子部の間の電圧を用いて、前記線状漏液検知部における断線の発生を判断する断線判断部、
を有する漏液検知装置。
【請求項4】
請求項3に係る漏液検知装置において、
前記断線判断部は、
前記接続端子部の間の予め定めた基準電圧と、前記接続端子部に前記線状漏液検知部を接続したときの前記接続端子部の間の測定電圧とを比較することによって、前記線状漏液検知部における断線の発生を判断すること、
を特徴とする漏液検知装置。
【請求項5】
請求項4に係る漏液検知装置において、
少なくとも前記漏液判断部を収納する筐体部であって、背面に沿って前記点状漏液検知部の前記点状電極を配置する筐体、
を有し、
前記筐体部は、
外部から前記点状電極まで漏液を取り込むスリット部を有すること、
を特徴とする漏液検知装置。
【請求項6】
請求項5に係る漏液検知装置において、
前記筐体部は、
前記漏液判断部、及び/又は、前記断線判断部の動作を指示する操作部、
前記漏液判断部、及び/又は、前記断線判断部による判断を表示する表示部、
を有すること、
を特徴とする漏液検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏液検知装置に関し、特に、簡単に設置できるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の漏液検知装置について、
図6に示す浸水・漏水検出装置を用いて説明する。
図6に示す浸水・漏水検出装置は、電極導体上に吸水性が小さくかつ透水可能な絶縁層をほどこしてなる線心2本を撚り合わせ、更にその上に透水可能な保護皮膜層を設けてなる検知線と、その終端において、前記2導体間に必要に応じて接続した終端抵抗と、始端において、2導体間に抵抗を介して接続した交流または直流電源と、前記電源が交流の場合は整流回路を介し、直流の場合は整流回路を介せずして、前記始端に接続した異常検知回路とを設け、前記異常検知回路の入力が所定の上下限基準電圧の範囲からはずれた時、この回路の出力によってそれぞれ作動する断線表示用継電器回路および浸水・漏水表示用継電器回路とを備えたことを特徴とする(以上、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の浸水・漏水検出装置には、以下に示すような改善すべき点がある。前述の浸水・漏水検出装置では、比較的長い長さを有する検知線、つまり、線状の検知線を用いた漏水センサによって、浸水・漏水を検知するものであるが、その他のセンサ、例えば、スポット漏水センサのような、点状の電極を有するセンサによっては、漏水を検知できない。つまり、検知したい場所に適したセンサを選択できない、という改善すべき点がある。
【0005】
そこで、本発明は、検知したい場所に合わせて検知部選択できる漏液検知装置を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明における課題を解決するための手段及び発明の効果を以下に示す。
【0007】
本発明に係る漏液検知装置は、一対の線状の電極である線状電極部を有する線状漏液検知部を接続する接続端子部、前記接続端子部に接続される一対の点状の電極である点状電極部を有する点状漏液検知部、前記接続端子部の間の電圧を用いて、漏液の発生を判断する漏液判断部、前記漏液判断部において漏液が発生していると判断した場合に、漏液発生情報を送信する通信部、を有する。
【0008】
これにより、必要に応じて、点状漏液検知部、及び/又は、線状漏液検知部を選択して、漏液を検知できる。
【0009】
本発明に係る漏液検知装置では、前記漏液判断部は、前記接続端子部の間の予め定めた基準電圧と、前記接続端子部の間の測定電圧とを比較することによって、漏液発生を判断すること、を特徴とする。
【0010】
これにより、簡単な構成で、点状漏液検知部を用いて、及び/又は、線状漏液検知部を用いて、同時に、漏液を検知できる。
【0011】
本発明に係る漏液検知装置では、さらに、前記接続端子部に前記線状漏液検知部を接続したとき、前記接続端子部の間の電圧を用いて、前記線状漏液検知部における断線の発生を判断する断線判断部、を有する。
【0012】
これにより、線状漏液検知部を用いたときの線状漏液検知部における断線の発生を判断できる。
【0013】
本発明に係る漏液検知装置では、前記断線判断部は、前記接続端子部の間の予め定めた基準電圧と、前記接続端子部に前記線状漏液検知部を接続したときの前記接続端子部の間の測定電圧とを比較することによって、前記線状漏液検知部における断線の発生を判断すること、を特徴とする。
【0014】
これにより、簡単な構成で、線状漏液検知部を用いたときの線状漏液検知部における断線の発生を判断できる。
【0015】
本発明に係る漏液検知装置では、少なくとも前記漏液判断部を収納する筐体部であって、背面に沿って前記点状漏液検知部の前記点状電極を配置する筐体、を有し、前記筐体部は、外部から前記点状電極まで漏液を取り込むスリット部を有すること、を特徴とする。
【0016】
これにより、筐体部の背面に点状漏液検知部を配置した場合であっても、漏液の発生を判断できる。
【0017】
本発明に係る漏液検知装置では、前記筐体部は、前記漏液判断部、及び/又は、前記断線判断部の動作を指示する操作部、前記漏液判断部、及び/又は、前記断線判断部による判断を表示する表示部、を有すること、を特徴とする。
【0018】
これにより、操作部を用いて、容易に、漏液判断部、断線判断部の動作を制御できる。また、漏液判断部、断線判断部の判断を、表示部を確認するだけで、確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る漏液検知装置の一実施例である漏液検知装置100を示す図である。
【
図2】漏液検知装置100の制御部105の構成を示す図である。
【
図3】漏液検知装置100の筐体部111の構成を示す図であり、Aは正面側から見た状態を、Bは、背面側から見た状態を、それぞれ示す。
【
図4】漏液検知装置100の使用方法を示す図である。
【
図5】漏液検知装置100の使用方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明していく。
【実施例0021】
本発明に係る漏水検出装置について、一実施例である漏液検知装置100を例に説明する。漏液検知装置100は、所定領域における所定の液体、例えば、水の漏れ、つまり、漏液を検出する装置である。
【0022】
第1 漏液検知装置100の構成
漏液検知装置100の概要を
図1に示す。漏液検知装置100は、線状漏液検知部101、点状漏液検知部103、制御部105、通信部107、及び、電源部109を有している。
【0023】
線状漏液検知部101は、2本の線状電極部101a、線状電極部101b、終端抵抗部101c、及び、接続端部101dを有している。線状電極部101aは、所定長さを有し、所定間隔で、平行に配置されている。線状電極部101aは、所定の金属、例えば、ステンレスにより形成されている。線状電極部101bについては、線状電極部101aと同様である。なお、線状電極部101aと線状電極部101bとは、絶縁部材により一体化されている。また、線状電極部101a、及び、線状電極部101bは、一部が絶縁部材に対して露出し、漏液発生時の液体と接触するように構成されている。
【0024】
終端抵抗部101cは、線状電極部101a、線状電極部101b、それぞれの一端部に、線状抵抗部材101aと線状電極部101bとを接続するように配置される。つまり、終端抵抗部101cを介して、線状電極部101aと線状電極部101bとは、互いに接続される。なお、終端抵抗部101cは、制御部105の漏液判断部105b(後述)において接続端子部105a間に接続する抵抗値と同等の抵抗値を有するように設定する。
【0025】
接続端部101dは、線状電極部101a、線状電極部101b、それぞれの終端抵抗部101cに接続される端部とは異なる端部に配置される。なお、必要に応じて、接続端部101dを、制御部105の接続端子部105a(後述)と接続し、線状漏液検知部101を用いて漏液の発生を検知する。
【0026】
点状漏液検知部103は、点状電極部103a、点状電極部103b、及び、接続端部103cを有している。点状電極部103aは、線状漏液検知部101の線状電極部101aに比して短い長さを有している。点状電極部103aは、所定の金属、例えば、ステンレスにより形成されている。点状電極部103bについては、点状電極部103aと同様である。
【0027】
接続端部103cは、点状電極部103a、点状電極部103b、それぞれの一端部に配置される。接続端部103cを、制御部105の接続端子部105a(後述)と接続することによって、点状漏液検知部103を用いて漏液の発生を検知できるようにする。
【0028】
なお、点状漏液検知部103は、常時、制御部105の接続端子部105a(後述)と接続されている。
【0029】
制御部105は、接続端子部105a、漏液判断部105b、及び、断線判断部105cを有している。接続端子部105aは、線状漏液検知部101の接続端部101d、及び/又は、点状漏液検知部103の接続端部103cと接続される。接続端子部105aに線状漏液検知部101の接続端部101d、及び/又は、点状漏液検知部103の接続端部103cを接続することによって、線状漏液検知部101、及び/又は、点状漏液検知部103を用い漏液の発生を検知できるようにする。
【0030】
漏液判断部105bは、線状漏液検知部101の接続端部101dの間、及び/又は、点状漏液検知部103の接続端部103cの間の電圧を用いて、漏液が発生しているか否かを判断する。漏液判断部105bは、予め定めた所定の基準電圧VTH1よりも、接続端子部105aの間の電圧が低くなると、漏液が発生したと判断する。つまり、漏液判断部105bは、漏液の発生を、線状漏液検知部101の接続端部101d、及び/又は、点状漏液検知部103の接続端部103c、それぞれの間の電圧を用いて判断する。このように、線状漏液検知部101の接続端部101d、及び/又は、点状漏液検知部103の接続端部103c、それぞれの間の電圧を用いて漏液の発生を判断することによって、簡単な構成で、漏液を検出できる。
【0031】
断線判断部105cは、線状漏液検知部101の接続端部101dの間、及び/又は、点状漏液検知部103の接続端部103cの間の電圧を用いて、漏液検知の際の電気回路に断線が発生していないかを判断する。断線判断部105cは、予め定めた所定の基準電圧VTH2よりも、接続端子部105aの間の電圧が高くなると、断線が発生したと判断する。つまり、断線判断部105cは、断線の発生を、線状漏液検知部101の接続端部101d、及び/又は、点状漏液検知部103の接続端部103c、それぞれの間の電圧を用いて判断する。このように、線状漏液検知部101の接続端部101d、及び/又は、点状漏液検知部103の接続端部103c、それぞれの間の電圧を用いて断線の発生を判断することによって、簡単な構成で、断線の発生と漏液の発生を、同時に、検出できる。
【0032】
通信部107は、制御部105と接続される。通信部107は、所定のネットワーク、例えば、無線LANネットワーク、に接続し、所定の通信装置と通信し、漏液発生情報等、各種情報を無線送信する。
【0033】
電源部109は、所定の電力源を有し、電力源から取得した電力を、制御部105、通信部107等、各構成要素に供給する。電源部109は、電力源として、例えば、ボタン電池を用いる。
【0034】
制御部105の漏液判断部105b、及び、断線判断部105cの構成について
図2を用いて説明する。漏液判断部105bは、直列に接続される2つの抵抗R1、R2、同様に、直列に接続される2つの抵抗R3、R4、及び、抵抗R4に対して並列に線状漏液検知部101、及び/又は、点状漏液検知部103が接続されるように配置される接続端子部105aを有している。抵抗R1と抵抗R2との間の接続点P1で測定される電圧を基準電圧V
TH1、抵抗R3と抵抗R4との間の接続点P2で測定される電圧を電圧V
1とし、基準電圧V
TH1と電圧V
1とを比較することによって、漏液の発生を判断する。なお、抵抗R4の抵抗値が、漏液検知の対象とする液体の電気的抵抗値よりも高くなるように、予め設定しておく。
【0035】
漏液が発生し、線状漏液検知部101の線状電極部101aと線状電極部101bとが電気的に接続されると、電圧V1が、漏液が発生していない時に比して低くなる。漏液判断部105bは、電圧V1が基準電圧VTH1よりも低いと判断すると、漏液発生情報を、通信部107へ送信する。
【0036】
断線判断部105cは、直列に接続される2つの抵抗R5、R6、直列に接続される2つの抵抗R3、R4、及び、接続端子部105aを有している。なお、接続端子部105aには、抵抗R4に対して並列に線状漏液検知部101、及び/又は、点状漏液検知部103、さらに、線状漏液検知部101の終端抵抗部101cが合成抵抗として接続される。抵抗R5と抵抗R6との間の接続点P3で測定される電圧を基準電圧VTH2、接続端子部105a間で測定される電圧を電圧V2とし、基準電圧VTH2と電圧V2とを比較することによって、断線の発生を判断する。
【0037】
なお、漏液判断部105bは、断線判断部105c用に接続された終端抵抗部101cによる合成抵抗の値が、電圧V1が基準電圧VTH1よりも低い値になると漏水と誤検知してしまうため、終端抵抗部101cを接続しても電圧V1が基準電圧VTH1よりも低い値にならないように、終端抵抗部101c、及び、各抵抗の値を調整する。
【0038】
断線が発生し、線状漏液検知部101、及び/又は、点状漏液検知部103を介した電気経路が消失すると、接続点P4の電圧V2が、断線が発生していない時に比して高くなる。断線判断部105cは、電圧V2が基準電圧VTH2よりも高いと判断すると、断線発生情報を、通信部107へ送信する。
【0039】
筐体部111は、制御部105を収納する。筐体部111の外観を
図3に示す。
図3Aは、筐体部111の正面側から見た状態を、
図3Bは、筐体部111を背面側から見た状態を示す。
【0040】
図3Aに示すように、筐体部111は、角柱形状を有している。筐体部111は、防滴、防水を考慮した嵌合を行う組立で一体化される。筐体部111は、スリット部111a、操作部111b、状態表示部111c、及び、固定部111dを有している。スリット部111aは筐体部111の各側面底縁に沿って配置される。スリット部111aは、筐体部111の内部と外部とを連通する複数の孔によって形成される。
【0041】
スリット部111aは、筐体部111の内部、背面側に配置される点状漏液検知部103(
図3B参照)を用いて漏液を検知できるように、漏液を筐体部111の内部、背面側に漏液を誘導するために、及び、筐体部111の内部に侵入した漏液を排出するために配置される。また、スリット部111aは、筐体部111の内部に昆虫類やゴミの侵入による誤動作を防止するために、昆虫類やゴミ等が侵入しない程度の大きさの孔として配置される。
【0042】
なお、スリット部111aに、線状漏液検知部101を接続する際に、線状漏液検知部101の接続端部101dと、制御部105の接続端子部105aとを接続するハーネスを通せるように、隣接する孔の間に存在する壁を取り除くことができる割り加工を加えてもよい。線状漏液検知部101を用いる場合には、割り加工部に沿って壁を切り取り、線状漏液検知部101のハーネスを通すことで、ハーネスによる筐体部111の設置面からの浮きを防止できる。
【0043】
操作部111bは、漏液検知装置100の制御部105に各種の動作を指示する際に用いるボタンである。例えば、点状漏液検知部103のみを用いて漏液を検知する場合には、断線判断部105cによる判断を無効とする動作モードを選択できるようにする。これは、点状漏液検知部103のみを用いて漏液を検知する場合には、点状漏液検知部103は終点抵抗部を有していないため、漏液を検知していない状態では、断線判断部105cは、常時、断線が発生していると判断してしまうことを防止するためである。
【0044】
状態表示部111cは、漏液検知装置100の動作状態を表示する。例えば、漏液検知装置100が漏液を検知していない状態にある場合には緑色を、漏液を検知した状態にある場合には、状態表示部111cは赤色を、断線の発生時には黄色を、表示する。これにより、通信部107を介して送信される漏液発生情報、断線発生情報によって漏液の発生、断線の発生を確認せずとも、状態表示部111cを確認するだけで、リアルタイムに、漏液の発生、断線の発生等、漏液検知装置100の状態を確認できる。固定部111dは、ネジ、ボルト等を用いて、漏液の発生時に漏液検知装置100が流されないように、所望の場所に漏液検知装置100を固定する際に用いる孔である。
【0045】
図3Bに示すように、筐体部111の内部、背面側には、接続端子部105aが配置されている。接続端子部105aには、点状漏液検知部103の点状電極部103a、点状電極部103bから連続する接続端部103cが接続される。なお、
図3Aに示すように、点状漏液検知部103は、正面側から見ると、筐体部111の内部に収納されるように配置される。点状漏液検知部103の点状電極部103a、及び、点状電極部103bは、筐体部111のスリット部111aを介して、筐体部111の内部に侵入してきた漏液と接触することによって、漏液の発生を検知する。
【0046】
2.漏液検知装置100の配置
漏液検知装置100の配置例について
図4~
図5を用いて説明する。線状漏液検知部101を用いる場合、
図4Aに示すように、線状漏液検知部101を壁に水平に配置することによって、例えば、壁を垂直方向に沿って流れてくるように発生する漏液を検知できる。また、
図4Bに示すように、床に矩形状を形成するように線状漏液検知部101を配置することによって、矩形状内から流出する、又は、矩形状外から流入する漏液を検知できる。
【0047】
また、点状漏液検知部103を用いる場合、
図5に示すように、複数の点状漏液検知部103を、マトリクス状に、漏液を検出したい場所に配置するようにしてもよい。
【0048】
さらに、
図4、及び、
図5に示すような線状漏液検知部101と点状漏液検知部103とを、同時に用いて、つまり、線状漏液検知部101の接続端部101d、及び、点状漏液検知部103の接続端部103cを、制御部105の接続端子部105aに並列に接続することによって、異なる場所で、異なる検知方法によって、漏液を検知できる。
【0049】
[その他の実施形態]
(1)漏液判断部105b:前述の実施例1においては、漏液判断部105bは、主として、抵抗R1~抵抗R4を用いて構成したが、接続端子部105aに接続した線状漏液検知部101の線状電極部101a、101bの間の電圧、及び/又は、点状漏液検知部103の点状電極部103a、103bの間の電圧を用いて、漏液の発生を判断するものであれば、例示のものに限定されない。
【0050】
(2)断線判断部105c:前述の実施例1においては、断線判断部105cは、主として、抵抗R5~抵抗R6を用いて構成したが、接続端子部105aに接続した線状漏液検知部101の線状電極部101a、101bの間の電圧、及び/又は、点状漏液検知部103の点状電極部103a、103bの間の電圧を用いて、断線の発生を判断するものであれば、例示のものに限定されない。
【0051】
(3)通信部107:前述の実施例1においては、通信部107は、無線LANを用いて通信するとしたが、携帯電話回線等を用いて、基地局を介して通信するようにしてもよい。また、Sigfox(登録商標)等、いわゆるLPWA (Low Power, Wide Area)に対応した「低消費電流」で「長距離のデータ通信」ができる通信方式を用いてもよい。
【0052】
また、無線通信ではなく、EthernetやMobBusのような有線通信を用いるようにしてもよい。
【0053】
(4)電源部109:前述の実施例1においては、電源部109は、ボタン電池を用いるとしたが、各構成要素を動作させることができる電力を供給できるものであれば、例示のものに限定されない。例えば、乾電池、太陽電池等の所定の電池を用いたり、一般的に設置されているACコンセントや蓄電池から電力を受給したりしてもよい。さらに、非接触型の給電、いわゆるワイヤレス給電や各種の環境発電を用いるようにしてもよい。
【0054】
(5)検知対象:前述の実施例1においては、検知対象として水を示したが、線状漏液検知部101の線状電極部101a、101bの間に存在して両電極部を電気的に接続し、抵抗を低減する液体であれば、例示のものに限定されない。例えば、動物の尿や昆虫の排出液を対象として検知できる。
【0055】
(6)熱感検知部:前述の実施例1において、更に、生物等の熱源物の移動を検知できる熱感検知部を配置するようにしてもよい。これにより、ネズミ等の動物を排出液による検知に加え、移動の際の熱変化でも検知できる。
【0056】
(7)検知対象:前述の実施例1においては、抵抗値の変化を閾値で判断したが、ADコンバータを用いて抵抗値の変化量を観測する構成に変更あるいは追加してもよい。これにより、対象の液体に浸かった状態に於いて液体の成分等の変化を検出できる。その際に温度変化による変化量を補正すべく温度センサを搭載してもよい。
【0057】
(8)筐体部111:前述の実施例1においては、筐体部111を角柱形状としたが、円柱状や半球上など設置しやすさやデザイン上の理由から他の形状としてもよい。
【0058】
(9)漏液発生、断線発生の通知:前述の実施例1においては、漏液発生、断線発生の通知を、漏液発生情報、断線発生情報として、通信部107を介して、所定の通信端末に送信するとしたが、例示のものに限定されない。例えば、漏液発生、弾性発生の際にブザー等の警告音を発生する警告音発生部を、漏液検知装置に配置するようにしてもよい。また、漏液発生、弾性発生の際に、スマートフォン等に配置されるような振動を発生させる振動発生部を配置するようにしてもよい。
本発明に係る漏液検知装置は、例えば、ビルや一般家屋の水回り近辺、雨漏りの可能性がある屋根裏、浸水リスクのある倉庫や工場等において、漏液発生を確認する必要がある場所で用いることができる。