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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084786
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】表示システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20230613BHJP
【FI】
G06T19/00 A
G06T19/00 600
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199081
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】521150558
【氏名又は名称】株式会社palan
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 瑛史
【テーマコード(参考)】
5B050
【Fターム(参考)】
5B050CA08
5B050DA04
5B050EA02
5B050EA06
5B050FA02
(57)【要約】
【課題】商品の実サイズに対応する3次元の画像を現実空間に重ねて表示することを可能とする表示システムを提供することである。
【解決手段】表示システム10は、現実空間にコンテンツを重ねて表示することで、現実空間を仮想的に拡張するシステムにおいて、現実空間を撮像するユーザ端末4の撮像部と、ユーザ端末4の撮像部に撮像された現実空間にコンテンツを重ねて表示するユーザ端末4の表示部と、ユーザ端末4の表示部へのコンテンツの表示に関する表示制御を実行する制御部12と、商品の画像を含む2次元の画像データを商品の実サイズに相当する3次元の画像データに変換するデータ変換部14と、を備え、制御部12は、データ変換部14により変換された3次元の画像データをコンテンツとしてユーザ端末4の表示部に表示させることを特徴とする。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを表示する表示部と、
前記表示部への前記コンテンツの表示に関する表示制御を実行する制御部と、
商品の画像を含む2次元の画像データを前記商品の実サイズに相当する3次元の画像データに変換するデータ変換部と、
を備え、
前記制御部は、
前記データ変換部により変換された前記3次元の画像データを前記コンテンツとして前記表示部に表示させることを特徴とする表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の表示システムにおいて、
前記データ変換部は、
前記2次元の画像データを入力するための入力処理部と、
前記入力処理部により入力された前記2次元の画像データに含まれる前記商品の前記画像の背景色を取得する背景色取得処理部と、
前記背景色取得処理部により取得された前記背景色を閾値として前記2次元の画像データを2値化する2値化処理部と、
前記2値化処理部により前記2値化された前記2次元の画像データの輪郭線を抽出する輪郭抽出処理部と、
前記輪郭抽出処理部により抽出された輪郭線に基づいて2枚の平面に基づいてジオメトリ部を作成するジオメトリ作成処理部と、
前記ジオメトリ作成処理部により作成した前記ジオメトリ部に前記2次元の画像データを貼り付けて前記3次元の画像データを生成する3次元データ生成処理部と、
を備えることを特徴とする表示システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の表示システムにおいて、
前記表示部は、現実空間に前記コンテンツを重ねて表示することで、前記現実空間を仮想的に拡張する拡張現実を表示することを特徴とする表示システム。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の表示システムにおいて、
前記表示部は、前記コンテンツを含む仮想空間を構築した仮想現実を表示することを特徴とする表示システム。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の表示システムにおいて、
前記表示部は、現実空間に前記コンテンツを含む仮想空間を構築し、前記現実空間と前記仮想空間を融合した複合現実を表示することを特徴とする表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、拡張現実(AR:Augmented Reality)、仮想現実(VR:Virtual Reality)、複合現実(MR:Mixed Reality)等の技術が注目されている。
【0003】
本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、カメラ、表示部及び制御部を有する端末装置上で、拡張現実(AR)映像を表示するための方法であって、前記制御部が、前記カメラが取得した映像に関するカメラ品質情報を取得するステップと、前記制御部が、前記カメラが取得した映像からARマーカーを検出したか否かを判定するステップと、前記制御部が、前記ARマーカーが検出された場合、当該検出したARマーカーのパターン形状に対応するAR情報を取得するステップと、前記制御部が、当該取得したA R情報を、前記カメラ品質情報を用いて加工するステップと、前記制御部が、当該加工したAR情報を前記カメラが撮影した映像に重畳することによりAR映像を生成するステップと、前記制御部が、当該生成したAR映像を前記表示部で表示するステップと、を含むことを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-114135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、複合現実(MR)は、仮想空間と現実空間を利用して表示している。一般的に、これらは予め準備された3次元のデータを用いて表示されるため、ユーザの所望のデータを表示することが難しい場合がある。
【0006】
本発明の目的は、2次元の写真データなどから3Dモデル化されたデータを生成して表示できるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表示システムは、コンテンツを表示する表示部と、前記表示部への前記コンテンツの表示に関する表示制御を実行する制御部と、商品の画像を含む2次元の画像データを前記商品の実サイズに相当する3次元の画像データに変換するデータ変換部と、を備え、前記制御部は、前記データ変換部により変換された前記3次元の画像データを前記コンテンツとして前記表示部に表示させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る表示システムにおいて、前記データ変換部は、前記2次元の画像データを入力するための入力処理部と、前記入力処理部により入力された前記2次元の画像データに含まれる前記商品の前記画像の背景色を取得する背景色取得処理部と、前記背景色取得処理部により取得された前記背景色を閾値として前記2次元の画像データを2値化する2値化処理部と、前記2値化処理部により前記2値化された前記2次元の画像データの輪郭線を抽出する輪郭抽出処理部と、前記輪郭抽出処理部により抽出された輪郭線に基づいて2枚の平面に基づいてジオメトリ部を作成するジオメトリ作成処理部と、前記ジオメトリ作成処理部により作成した前記ジオメトリ部に前記2次元の画像データを貼り付けて前記3次元の画像データを生成する3次元データ生成処理部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る表示システムにおいて、前記表示部は、現実空間に前記コンテンツを重ねて表示することで、前記現実空間を仮想的に拡張する拡張現実を表示することが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る表示システムにおいて、前記表示部は、前記コンテンツを含む仮想空間を構築した仮想現実を表示することが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る表示システムにおいて、前記表示部は、現実空間に前記コンテンツを含む仮想空間を構築し、前記現実空間と前記仮想空間を融合した複合現実を表示することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、2次元の写真データなどから3Dモデル化されたデータを生成して表示させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る実施形態の表示システムを示す図である。
図2】本発明に係る実施形態の表示システムにおいて、2次元の画像データの背景色を取得し、2値化処理を行って、輪郭線を抽出している様子を示す図である。
図3】本発明に係る実施形態の表示システムにおいて、ジオメトリ部を作成し、3次元の画像データを生成している様子を示す図である。
図4】本発明に係る実施形態において、2次元の画像データから3次元の画像データを生成する手順を示すフローチャートである。
図5】本発明に係る実施形態において、輪郭線の抽出を行う際のプログラムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0015】
図1は、本発明に係る実施形態の表示システム10を示す図である。図2は、本発明に係る実施形態の表示システム10において、2次元の画像データの背景色を取得し、2値化処理を行って、輪郭線を抽出している様子を示す図である。
【0016】
図3は、本発明に係る実施形態の表示システム10において、ジオメトリ部を作成し、3次元の画像データを生成している様子を示す図である。図4は、本発明に係る実施形態において、2次元の画像データから3次元の画像データを生成する手順を示すフローチャートである。
【0017】
図5は、本発明に係る実施形態において、輪郭線の抽出を行う際のプログラムを示している。
【0018】
表示システム10は、現実空間にコンテンツを重ねて表示することで、現実空間を仮想的に拡張し、商品の実サイズの3次元の画像(3Dモデル)を現実空間に重ねて表示する拡張現実(AR)機能を有する。表示システム10は、制御部12と、データ変換部14とを備えている。
【0019】
ここでは、表示システム10は、拡張現実(AR)機能であるものとして説明するが、もちろん、その他の表示機能にも適用可能である。例えば、表示システム10は、コンテンツを含む仮想空間を構築した仮想現実を表示する仮想現実(VR)機能を有してもよい。また、他には、表示システム10は、現実空間にコンテンツを含む仮想空間を構築し、現実空間と仮想空間を融合した複合現実を表示する複合現実(MR)機能を有してもよい。
【0020】
表示システム10の各機能は、ハードウェア構成、ソフトウェア構成の何れによっても実現することが可能である。例えば、ソフトウェアによって実現する場合、これらの機能は、実際にはCPUあるいはMPU、RAM、ROMなどを備えて構成されたサーバー装置上において、RAMやROM、ハードディスク等の記録媒体に記憶されたアプリケーションソフトウェアが動作することによって実現することができる。
【0021】
表示システム10は、ネットワーク2を介して、ユーザ端末4と接続されている。ユーザ端末4は、カメラなどの撮像部と、液晶画面などの表示部とを有する携帯端末であり、例えば、タブレット端末やスマートフォンなどである。
【0022】
ユーザ端末4の撮像部は、現実空間を撮像する機能を有する。ユーザ端末4の撮像部は、ユーザ端末4の表示部に表示される操作画面を操作することでカメラ機能に切り替わり、ユーザ端末4の撮像部により撮像するための操作画面をユーザ端末4の表示部に表示する。
【0023】
ユーザ端末4の表示部は、カメラ機能に切り替わったときに、ユーザ端末4の撮像部に撮像された現実空間を表示する液晶画面を備えている。そして、ユーザ端末4の表示部は、制御部12の制御により、現実空間に3次元の画像データ(3Dモデル)を重ねて表示する機能を有する。
【0024】
制御部12は、ユーザ端末4の表示部へのコンテンツの表示に関する表示制御を実行する。制御部12は、データ変換部14により変換された3次元の画像データ(3Dモデル)を現実空間に重ねてコンテンツとしてユーザ端末4の表示部に表示させる。
【0025】
データ変換部14は、商品の画像を含む2次元の画像データ(静止画像)を商品の実サイズに相当する3次元の画像データ(3Dモデル)に変換する機能を有する。ここでは、商品は、Tシャツであるものとして説明するが、その他のものであってもよく、例えば、ソファ、テーブル、ベッドなどの家具や、テレビ、冷蔵庫などの家電であってもよい。
【0026】
データ変換部14は、入力処理部16と、背景色取得処理部18と、2値化処理部20と、輪郭抽出処理部22と、ジオメトリ作成処理部24と、3次元データ生成処理部26とを備えている。
【0027】
入力処理部16は、2次元の画像データ(商品の静止画像(写真))を入力する。ユーザが3次元の画像データにモデル化したい商品の2次元の画像データ(例えば、Tシャツ)について、入力処理部16を用いて入力する。
【0028】
ここで、2次元の画像データの商品(例えば、Tシャツ)の画像には、背景となる余白部分が存在することが好適である。また、画像データの拡張子は、png、jpegであることが好ましい。これらの画像データをユーザがユーザ端末4などを用いてアップロードする。
【0029】
背景色取得処理部18は、入力処理部16により入力された2次元の画像データに含まれる商品の画像の背景色を取得する機能を有する。
【0030】
背景色取得処理部18は、入力処理部16によりユーザが入力した2次元の画像データの背景色を特定する。具体的には、背景色取得処理部18は、画像をピクセル単位で見た際に、1行1列目のピクセルの色が画像全体の背景色であると仮定して、1行1列目のピクセルのRGBA値を取得する。
【0031】
ここで、上述したように、2次元の画像データの商品(例えば、Tシャツ)の画像には、背景となる余白部分がなければ、3次元化したい商品の画像の一部が背景として認識され、正しい輪郭抽出ができないので、アップロードする画像には留意する必要がある。
【0032】
2値化処理部20は、背景色取得処理部18により取得された背景色を閾値として2次元の画像データを2値化する。2値化処理部20は、例えば、背景色が赤色だった場合、画像内の赤色の部分は白色(RGB=255)に、それ以外の部分は黒色(RGB=0)と2値化する。
【0033】
具体的には、2値化処理部20は、背景色のRGB値にそれぞれ-5を加えた値から背景色のRGB値にそれぞれ+5を加えた値を2値化の検出範囲として、検出範囲内の色は白、範囲外の色は黒へと2値化する。
【0034】
これにより、検出範囲内の間にある色は全て白に、それ以外の色は全て黒になる。図2(a)は、2値化される前の2次元の画像データが示されており、図2(b)は、2値化処理部20により2値化された後の2次元の画像データが示されている。
【0035】
2値化に用いている閾値をそれぞれ実際の背景色からそれぞれ-5、+5を加えているのは、ある程度の曖昧さを実現するためである。例えば、被写体を実世界で撮影した画像を用いて3次元化する場合について考える。
【0036】
実世界で撮影された画像は、光の加減で背景の中に多少の色の斑が出てくる場合がある。閾値に全く幅を持たさずにそのような画像を3次元の画像データ(3Dモデル)を作成しようとすると、被写体の実際の輪郭と異なる輪郭が抽出される場合がある。
【0037】
輪郭抽出処理部22は、2値化処理部20により2値化された2次元の画像データの輪郭線を抽出する。後述するジオメトリ作成処理部24等は、仮想的な座標を用意し、ブラウザ上で3次元の画像データ(3Dモデル)を作成する。この際、3Dモデル化する物体の輪郭の座標が必要になってくるので、輪郭抽出処理部22の機能を用いて輪郭線の抽出を行う。
【0038】
輪郭抽出処理部22は、2値化処理部20で得られた2値化画像の白色と黒色の境目を輪郭として抽出する。輪郭抽出処理部22は、輪郭を構成する全ての座標に対して操作を行う為、直線上に並んでいる輪郭座標はその始点と終点のみを記録し、輪郭の情報を圧縮している。また、図2(c)は、輪郭抽出処理部22により抽出された輪郭線に関する画像データが示されている。
【0039】
ここで、得られた輪郭の座標は全て整数である。しかしながら、3次元の画像データ(3Dモデル)を作成する座標系では基本の単位がmなので、実サイズのスケーリングに対応するために、図5に示されるような処理を施す。
【0040】
ジオメトリ作成処理部24は、輪郭抽出処理部22により抽出された輪郭線に基づいて2枚の平面を含むジオメトリ部を作成する。
【0041】
ジオメトリ作成処理部24は、ブラウザ上に作られた仮想的な座標を用いる。入力処理部16、背景色取得処理部18、2値化処理部20、及び輪郭抽出処理部22によって得られた座標配列を用いて、3次元の画像データ(3Dモデル)の正面と裏面を作る。座標配列の要素を線と面で結んでいき、ジオメトリ部を作る。
【0042】
ここで、ジオメトリ部とは形の情報を意味し、このジオメトリ部に基づいて、実際の3次元の画像データ(3Dモデル)が作られる。具体的には、座標配列の第1項を始点とし、その後の項に順番に線を引き、3つ以上の点がつながればそこに面を生成することでジオメトリ部が作成される。図3(a)は、ジオメトリ作成処理部24により作成されたジオメトリ部が示されている。
【0043】
次に、作成されたジオメトリ部を元に、入力画像を切り抜いたような平面モデルが作成される。正面、裏面用に2つ平面モデルを用意し、ユーザが入力した幅だけ離して配置する。
【0044】
3次元データ生成処理部26は、ジオメトリ作成処理部24により作成したジオメトリ部に2次元の画像データを貼り付けて3次元の画像データ(3Dモデル)を生成する。
【0045】
ここでは、3Dモデルに貼り付けるテクスチャに使用するために画像データを取り込む。そして、仮想的な座標と取り込んだ画像の原点が一致するようにジオメトリ部の画像を貼り付ける。
【0046】
次に、2枚の平面モデルの間をつなぐ側面の3次元の画像データ(3Dモデル)を作成する。隣り合う輪郭の座標をc1(x1,y1),c2(x2,y2)とし、2座標の距離distanceを三平方の定理より求める。
【0047】
3次元の画像データ(3Dモデル)の幅をdepthとして、非常に薄いジオメトリ部を幅distance、高さ0.00001、奥行きdepthの設定で作成する。図3(b)は、3次元データ生成処理部26により生成された3Dモデルが示されている。
【0048】
ここで、0.00001という数字が作成されるジオメトリ部の厚さである。次に作成したジオメトリ部が側面に沿うように移動・回転させる。作成したジオメトリ部は座標(9,0)にあるので、c1,c2の中点Mに移動させ、c1,c2の傾きに合うように、Math.atan(y2-y1,x2-x1)だけz軸周りに回転させる。この操作を隣り合う2組の座標全てに対して行う。
【0049】
画像によっては輪郭が非常に長くなり、その結果、非常に多くのジオメトリ部が生成されることになる。スマートフォンやタブレット端末等のユーザ端末4のスペックによっては処理落ちする可能がある。
【0050】
それを防ぐために、3次元データ生成処理部26では最適化処理を行っている。3次元座標上に正しく配置された全ての側面のジオメトリ部を、連結した3Dモデルとして一つにまとめることで、スマートフォンやタブレット端末等への描画命令の回数が圧倒的に少なくなり、処理落ちなどの心配が無くなる。
【0051】
続いて、上記構成の表示システム10の作用について説明する。ここでは、図4に示されるフローチャートを用いて説明する。
【0052】
最初に、入力処理部16の機能を用いて、3Dモデル(3次元の画像データ)にしたい2次元の画像データ(例えば、Tシャツ)を入力する(S2)。
【0053】
S2の工程の後、背景取得処理部18の機能を用いて、S2の工程において入力された2次元の画像データの背景色を取得する(S4)。
【0054】
S4の工程の後、2値化処理部20の機能を用いて、背景色を閾値として、2次元の画像データを2値化する(S6)。ここで、図2に示されるように、2値化される前は図2(a)に示される画像データ30であるが、2値化された後は図2(b)に示される画像データ32である。
【0055】
S6の工程の後、輪郭抽出処理部22の機能を輪郭線の抽出を行う(S8)。これにより、図2(c)に示されるような輪郭線のみが描かれるような画像データ34が抽出される。
【0056】
S8の工程の後は、ジオメトリ作成処理部24の機能を用いて、2枚のジオメトリ部を作成する(S10)。これにより、図3(a)に示されるような2枚の平面の画像データ36,38を含むジオメトリ部が生成される。
【0057】
S10の工程の後は、3次元データ生成処理部26の機能を用いて、3次元の画像データ(3Dモデル)を作成する(S12)。これにより、図3(b)に示されるような3Dモデルが生成される。
【0058】
ユーザ端末4の撮像部に撮像された現実空間とS2~S12の工程を経て形成された3Dモデルとに基づき、制御部12の機能によって当該現実空間に当該3Dモデルを重ねてユーザ端末4の表示部にする。これにより、2次元の画像データを用いて実サイズに相当する3次元の画像データを見ることができる。
【0059】
したがって、ユーザは、自宅の部屋に、例えば、新しいソファを購入しようとしているときに、そのソファの大きさが部屋にフィットしているか、あるいは、色や模様が部屋に馴染むのか等のようなことを事前に確認することができるという顕著な効果を奏する。
【0060】
以上のように、表示システム10によれば、商品に関する写真などの2次元の画像データから、当該商品の実サイズに対応する3Dモデルが作成され、このデータは上記のように、拡張現実(AR)に用いられるだけでなく、仮想現実(VR)や複合現実(MR)にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0061】
2 ネットワーク、4 ユーザ端末、10 表示システム、12 制御部、14 データ変換部、16 入力処理部、18 背景色取得処理部、20 2値化処理部、22 輪郭抽出処理部、24 ジオメトリ作成処理部、26 3次元データ生成処理部。

図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-06-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを表示する表示部と、
前記表示部への前記コンテンツの表示に関する表示制御を実行する制御部と、
商品の画像を含む2次元の画像データを前記商品の実サイズに相当する3次元の画像データに変換するデータ変換部と、
を備え、
前記制御部は、
前記データ変換部により変換された前記3次元の画像データを前記コンテンツとして前記表示部に表示させ
前記データ変換部は、
前記2次元の画像データを入力するための入力処理部と、
前記入力処理部により入力された前記2次元の画像データに含まれる前記商品の前記画像の背景色を取得する背景色取得処理部と、
前記背景色取得処理部により取得された前記背景色を閾値として前記2次元の画像データを2値化する2値化処理部と、
前記2値化処理部により前記2値化された前記2次元の画像データの輪郭線を抽出する輪郭抽出処理部と、
前記輪郭抽出処理部により抽出された前記2次元の画像データを正面用と裏面用として2つ準備し、前記正面用の前記2次元の画像データ及び前記裏面用の前記2次元の画像データを前記商品の厚み方向に並べたジオメトリ部を作成するジオメトリ作成処理部と、
前記ジオメトリ作成処理部により作成した前記ジオメトリ部に前記2次元の画像データを貼り付けて前記3次元の画像データを生成する3次元データ生成処理部と、
を備えることを特徴とする表示システム。
【請求項2】
請求項に記載の表示システムにおいて、
前記表示部は、現実空間に前記コンテンツを重ねて表示することで、前記現実空間を仮想的に拡張する拡張現実を表示することを特徴とする表示システム。
【請求項3】
請求項に記載の表示システムにおいて、
前記表示部は、前記コンテンツを含む仮想空間を構築した仮想現実を表示することを特徴とする表示システム。
【請求項4】
請求項に記載の表示システムにおいて、
前記表示部は、現実空間に前記コンテンツを含む仮想空間を構築し、前記現実空間と前記仮想空間を融合した複合現実を表示することを特徴とする表示システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明に係る表示システムは、コンテンツを表示する表示部と、前記表示部への前記コンテンツの表示に関する表示制御を実行する制御部と、商品の画像を含む2次元の画像データを前記商品の実サイズに相当する3次元の画像データに変換するデータ変換部と、を備え、前記制御部は、前記データ変換部により変換された前記3次元の画像データを前記コンテンツとして前記表示部に表示させ、前記データ変換部は、前記2次元の画像データを入力するための入力処理部と、前記入力処理部により入力された前記2次元の画像データに含まれる前記商品の前記画像の背景色を取得する背景色取得処理部と、前記背景色取得処理部により取得された前記背景色を閾値として前記2次元の画像データを2値化する2値化処理部と、前記2値化処理部により前記2値化された前記2次元の画像データの輪郭線を抽出する輪郭抽出処理部と、前記輪郭抽出処理部により抽出された前記2次元の画像データを正面用と裏面用として2つ準備し、前記正面用の前記2次元の画像データ及び前記裏面用の前記2次元の画像データを前記商品の厚み方向に並べたジオメトリ部を作成するジオメトリ作成処理部と、前記ジオメトリ作成処理部により作成した前記ジオメトリ部に前記2次元の画像データを貼り付けて前記3次元の画像データを生成する3次元データ生成処理部と、を備えることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】