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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084794
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】船舶
(51)【国際特許分類】
   B63H 21/17 20060101AFI20230613BHJP
   B63H 25/06 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
B63H21/17
B63H25/06
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199091
(22)【出願日】2021-12-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】516259608
【氏名又は名称】加藤 真士
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】弁理士法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真士
(57)【要約】
【課題】航行中にCO2を発生させることなく、バッテリで駆動される、船舶を提供する。
【解決手段】船舶1は、スクリュー10を駆動する電動モータ11と、電動モータ11に接続された変圧器12と、変圧器12に接続されたバッテリ13と、バッテリ13に接続されたDCモータ14と、DCモータ14によって駆動され、変圧器12に接続された発電機15と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリューを駆動する電動モータと、
前記電動モータに接続された変圧器と、
前記変圧器に接続されたバッテリと、
前記バッテリに接続されたDCモータと、
前記DCモータによって駆動され、前記変圧器に接続された発電機と、
を備える、船舶。
【請求項2】
前記スクリュー及び前記電動モータは、船舶前方の左右に1つずつ配置される、請求項1に記載された、船舶。
【請求項3】
前記電動モータは、ACモータである、請求項1又は請求項2に記載された、船舶。
【請求項4】
前記スクリューの船舶後方側に配置されて、船舶前後方向に伸びる筒体と、
前記筒体の途中に配置されて船舶の航行方向を変える操舵機構と、
をさらに備える、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載された、船舶。
【請求項5】
前記操舵機構は、前記筒体の船舶外側に設けた開口部と、前記筒体の内部に配置されたフラップと、から構成され、前記フラップは、前記開口部を塞ぐ後方噴射位置と前記筒体の断面を塞ぐ側方噴射位置とに回転遷移可能にされている、請求項4に記載された、船舶。
【請求項6】
前記筒体は、船舶前方から船舶後方まで伸びるとともに、前記操舵機構は、前記筒体の船舶前方寄りと船舶後方寄りに1つずつ配置される、請求項4又は請求項5のいずれか一項に記載された、船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリで駆動されて航行する船舶に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、船舶の主機関としてディーゼル機関が採用されている。しかし、ディーゼル機関は燃料として重油が使用されており、CO2、NOx、SOxといった大気汚染物質が排出されることが問題となっている。そのため、近年では、環境への配慮から電気による駆動方式が注目されている。
【0003】
電気による駆動方式としては、モータを回し、モータに直結したプロペラを回すことにより推進力を得る方式が一般的である。このようにモータを使用した船舶として、例えば、特許文献1の船舶では、航行中は、モータによってスクリュープロペラを回転させて推進し、停泊中は、潮流によりスクリュープロペラを回転させて電力を回生することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-126830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を含む従来の方式の船舶は、ガスエンジン発電機によって電力を生成するようになっている。そのため、ガスを燃焼させる際にCO2が発生することが問題である。
【0006】
そこで、本発明は、航行中にCO2を発生させることなく、バッテリで駆動される、船舶を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の船舶は、スクリューを駆動する電動モータと、前記電動モータに接続された変圧器と、前記変圧器に接続されたバッテリと、前記バッテリに接続されたDCモータと、前記DCモータによって駆動され、前記変圧器に接続された発電機と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明の船舶は、電動モータと、変圧器と、バッテリと、DCモータと、発電機と、を備えている。したがって、航行中にCO2を発生することのない、バッテリで駆動される船舶となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例の船舶の構成を説明する平面図である。
図2】実施例の操舵機構の構成を説明する説明図である。(a)はフラップが後方噴射位置にある状態であり、(b)はフラップが側方噴射位置にある状態である。
図3】実施例の船舶の航行状態を説明する説明図である。(a)は直進状態であり、(b)は回転状態であり、(c)は並進状態である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成要素は例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例0011】
(構成)
まず、図1を用いて本実施例の船舶1の全体構成を説明する。船舶1は、図1に示すように、スクリュー10を駆動する電動モータ11と、電動モータ11に接続された変圧器12と、変圧器12に接続されたバッテリ13と、バッテリ13に接続されたDCモータ14と、DCモータ14によって駆動され、変圧器12に接続された発電機15と、を備えている。そして、変圧器12とバッテリ13の間には切替スイッチ41が設置され、バッテリ13とDCモータ14の間には別の切替スイッチ42が設置される。
【0012】
すなわち、バッテリ13からの電気でDCモータ14を回転させて発電機15を駆動して発電し、発電された電力を変圧器12を介して電動モータ11(及びバッテリ13)に供給してスクリュー10を回転させるようになっている。
【0013】
ここにおいて、本実施例の船舶1の駆動装置であるスクリュー10及び電動モータ11は、船舶前方の左右に1つずつ、合計2つ配置されている。スクリュー10の回転軸には図示しないシャフトを介して電動モータ11が連結されている。電動モータ11は、好ましくは、ACモータであるが、DCモータであってもよい。
【0014】
変圧器12は、発電機15によって生成された交流電気の電圧を、電動モータ11とバッテリ13に適切な電圧に変圧する機能を有している。
【0015】
バッテリ13は、停泊中に充電できることはもちろんであるが、発電機15によって発電されて電動モータ11で使用されない電気や、停止途中の負荷を回生して蓄電するようになっている。
【0016】
DCモータ14は、バッテリ13からの電気によって回転して、発電機15を回転させて交流電力を発生させる。
【0017】
発電機15は、変圧器12に接続されており、電圧を調整された電気を電動モータ11に供給するようになっている。
【0018】
そして、本実施例の船舶1は、スクリュー10の船舶後方側に配置されて、船舶前後方向に伸びる筒体20と、筒体20の途中に配置されて船舶の航行方向を変える操舵機構30と、をさらに備えている。
【0019】
筒体20は、船舶前後方向に伸びる円形や四角形の筒である。筒体20は、船舶前方から船舶後方まで長く伸びている。そして、筒体20の船舶前方寄りの位置と、船舶後方寄りの位置と、に船舶外側の側面に1箇所ずつ開口部21、21が配置されている。筒体20の内部には、ひと回り径(断面積)の小さい別の筒体を配置することもできる。
【0020】
操舵機構30は、この筒体20の船舶外側に設けた開口部21と、開口部21の船舶後方に軸支された回転軸に取り付けられたフラップ22と、から構成されている。フラップ22は、開口部21を塞ぐ後方噴射位置と、開口部21を塞がずに筒体20の断面を塞ぐ側方噴射位置と、に揺動(回動;回転)できるようになっている。なお、フラップ22の揺動は、電気的に制御してもよいし、例えば上方まで伸びたシャフトを手動で操作してもよい。
【0021】
したがって、図2(a)に示すように、フラップ22を船舶前後方向に揺動させることで、側方には噴射させずに後方に噴射させる後方噴射位置にすれば、全推進力を直進航行に利用できる。あるいは、図2(b)に示すように、フラップ22を船舶左右方向に揺動させることで、後方には噴射させずに側方に噴射させる側方噴射位置にすれば、全推進力を横方向の推進力として利用できる。
【0022】
(電気の流れについて)
バッテリ13の電力でモータ14を回す。モータ14は、発電機15と繋がっており、発電機15は回転する。そうすることにより、電気が作られ、電気は変圧器12で変圧され各部所に配電される。
【0023】
変圧器12からモータ14へ配電された電気は、モータ14を回し続けるが、モータ14が一定の回転数に達すると切替スイッチ42が働いて、バッテリ13からモータ14への電力供給が止まる。
【0024】
また、変圧器12からバッテリ13への電力供給もバッテリ13内の電力量(蓄電量)が規定量に達すると、切替スイッチ41が働いて、変圧器12からバッテリ13への電力供給が止まる。
【0025】
初期バッテリ13からの電力でモータ14を回し、発電機15から発電し変圧器12で変圧した電気をモータ14へ配電する。こうすることにより、バッテリ13から電気の供給がなくても、モータ14は回りつづけ、発電をつづける。したがって、この装置は、電気を生産するのに機械的なエンジンの使用はなく、CO2の発生はない。また、陸上においても、同様の方法の発電設備が可能となり、現有の火力発電所へも設備可能性が持てる。
【0026】
また、導水管(筒体20)の内部には、螺旋や異形の筒が施してあり、スクリュープロペラ10が前方の水を導水管(筒体20)に掻き出すので、水は勢いがつき、スクリュープロペラ10から発生されたエネルギーは100%推進力となる。
【0027】
(操舵機構の作用)
そして、本実施例の操舵機構30を備える船舶1であれば、例えば、図3(a)、(b)、(c)のような航行が可能となる。
図3(a):直進
船舶1を直進させる場合には、両方の電動モータ11、11を回転させ、4つの操舵機構30の全てでフラップ22を0度の位置(筒体20の断面が全開)とする。
図3(b):回転
船舶1を例えば右に回転させる場合には、両方の電動モータ11、11を回転させ、4つの操舵機構30のうち、左前のフラップ22を90度の位置(筒体20の断面が全閉)とし、右後のフラップ22を90度の位置(筒体20の断面が全閉)とする。
図3(c):並進
船舶1を例えば右に並進させる場合には、左の電動モータ11のみを回転させ、4つの操舵機構30のうち、左前のフラップ22を45度の位置(筒体20の断面が半閉)とし、左後のフラップ22を90度の位置(筒体20の断面が全閉)とする。
【0028】
(効果)
次に、本実施例の船舶1の奏する効果を列挙して説明する。
【0029】
(1)上述してきたように、本実施例の船舶1は、スクリュー10を駆動する電動モータ11と、電動モータ11に接続された変圧器12と、変圧器12に接続されたバッテリ13と、バッテリ13に接続されたDCモータ14と、DCモータ14によって駆動され、変圧器12に接続された発電機15と、を備えている。したがって、航行中にCO2を発生することのない、バッテリ13で駆動される船舶となる。さらに、発電機15を備えることで、効率よくエネルギーを使用することができる。
【0030】
(2)また、スクリュー10及び電動モータ11は、船舶前方の左右に1つずつ配置されることによって、左右の電動モータ11を制御することで、船舶1の方向を制御しやすくなる。さらに、船舶1の前方にスクリュー10があることで、得られた水流を後方で利用しやすくなる。
【0031】
(3)さらに、電動モータ11は、ACモータであることが好ましい。このような構成であれば、発電機15で発電されて変圧器12によって変圧された交流電気を効率よく利用することができる。
【0032】
(4)また、スクリュー10の船舶後方側に配置されて、船舶前後方向に伸びる筒体20と、筒体20の途中に配置されて船舶の航行方向を変える操舵機構30と、をさらに備えることで、簡単な構成によって、船舶の航行方向を自在に変えることができる。
【0033】
(5)さらに、操舵機構30は、筒体20の船舶外側に設けた開口部21と、筒体20の内部に配置されたフラップ22と、から構成され、フラップ22は、開口部21を塞ぐ後方噴射位置と筒体20の断面を塞ぐ側方噴射位置とに回転遷移可能にされていることが好ましい。このような構成であれば、図2(a)、(b)、図3(a)~(c)に示したように、少ない推進装置を効率よく利用して、様々な航行方法が可能となる。
【0034】
(6)また、筒体20は、船舶前方から船舶後方まで伸びるとともに、操舵機構30は、筒体20の船舶前方寄りと船舶後方寄りに1つずつ配置されることで、図3(a)~(c)に示したように、前後の推進装置を効率よく利用して、自在な方向転換(回転・旋回)が可能となる。
【0035】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
1 船舶
10 スクリュー
11 電動モータ(ACモータ)
12 変圧器
13 バッテリ
14 DCモータ
15 発電機
20 筒体
21 開口部
22 フラップ
30 操舵機構
41 切替スイッチ
42 切替スイッチ
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-02-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリューを駆動する電動モータと、
前記電動モータに接続された変圧器と、
前記変圧器に接続されたバッテリと、
前記バッテリに接続されたDCモータと、
前記DCモータによって駆動され、前記変圧器に接続された発電機と、
備え、
前記スクリューの船舶後方側に配置されて、船舶前後方向に伸びる筒体と、前記筒体の途中に配置されて船舶の航行方向を変える操舵機構と、をさらに備え、
前記操舵機構は、前記筒体の船舶外側に設けた開口部と、前記筒体の内部に配置されたフラップと、から構成され、前記フラップは、前記開口部を塞ぐ後方噴射位置と前記筒体の断面を塞ぐ側方噴射位置とに回転遷移可能にされている、船舶。
【請求項2】
前記スクリュー及び前記電動モータは、船舶前方の左右に1つずつ配置される、請求項1に記載された、船舶。
【請求項3】
前記電動モータは、ACモータである、請求項1又は請求項2に記載された、船舶。
【請求項4】
前記筒体は、船舶前方から船舶後方まで伸びるとともに、前記操舵機構は、前記筒体の船舶前方寄りと船舶後方寄りに1つずつ配置される、請求項1に記載された、船舶。