(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084799
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】多色式筆記具
(51)【国際特許分類】
B43K 27/08 20060101AFI20230613BHJP
B43K 1/12 20060101ALI20230613BHJP
B43K 8/02 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
B43K27/08
B43K1/12
B43K8/02 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199098
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】390017891
【氏名又は名称】シヤチハタ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 武佐士
【テーマコード(参考)】
2C350
2C353
【Fターム(参考)】
2C350GA04
2C350HA15
2C350NA17
2C353KA02
2C353KA09
2C353KA12
2C353KA19
(57)【要約】
【課題】
本発明の目的は、筆記時において、少なくとも同一形状の2つの芯体を、組み合わせることにより、多彩なパターンの筆記線を描くことが出来、また、通常の筆記を行う場合は、外接線に対して加わる垂直方向の力が、接合面の傾斜により外側に変換され、ペン芯が膨らむことのない多色式筆記具を提供することにある。
【解決するための手段】
少なくとも2本の芯体と、前記少なくとも2本の芯体を接合させて単一の先端部を形成する多色式筆記具であって、前記2本の芯体が接合することにより表される接合面が、相対する1組の外接線に直交するとともに、他の相対する1組の外接線に平行である第1接合面と、前記相対する1組の外接線に平行であるとともに、前記他の相対する1組の外接線と直交関係にある第2接合面からなることを特徴とする多色式筆記具である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2本の芯体と、
前記少なくとも2本の芯体を接合させて単一の先端部を形成する多色式筆記具であって、
前記2本の芯体が接合することにより表される接合面が、相対する1組の外接線に直交するとともに、他の相対する1組の外接線に平行である第1接合面と、
前記相対する1組の外接線に平行であるとともに、前記他の相対する1組の外接線と直交関係にある第2接合面からなることを特徴とする多色式筆記具。
【請求項2】
前記少なくとも2本の芯体の形状が同一であることを特徴とする請求項1に記載の多色式筆記具。
【請求項3】
前記少なくとも2本の芯体の接合面の少なくとも一部に遮蔽部を介してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の多色式筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェルトペン、サインペン、マーキングペン等の筆記具に関するものであり、特に、インキが含浸された2本の芯体により単一の先端部を形成し、筆記を行う筆記具に関するものである。本発明において、「上」はペン芯先端部側を指し、「下」とはインキ尾栓側を指す。
【背景技術】
【0002】
従来、インキを含浸する不織布からなるフェルトペン等の芯体においては、芯体の太さに応じた単一の線しか描くことが出来ず、その線は変化に乏しいものとなっていた。
そこで、例えば特許文献1には、色彩の異なるインキが含浸された複数の芯体により単一の先端部を形成し、複数本の線を一度に描くことが出来る複数色フェルトペンが提案されている。また、色彩の異なるインキが含浸された同一形状の2つの台形の芯体を、接着により組み合わせることにより、最大4パターンの異なる筆記線を描くことが出来る2色フェルトペンも提案されている。
しかし、前記フェルトペンの芯体の形状は天面において台形であり、2つの芯体の接合面は、相対する1組の外接線に対して傾斜角を有していることから、通常の筆記を行う場合においては、外接線に対して加わる垂直方向の力が、接合面の傾斜によって外側に変換されることにより、ペン芯が膨らむこととなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、筆記時において、少なくとも同一形状の2つの芯体を、組み合わせることにより、多彩なパターンの筆記線を描くことが出来、また、通常の筆記を行う場合は、外接線に対して加わる垂直方向の力が、接合面の傾斜により外側に変換され、ペン芯が膨らむことのない多色マーカーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、少なくとも2本の芯体と前記少なくとも2本の芯体を接合させて単一の先端部を形成する多色式筆記具であって、前記2本の芯体が接合することにより表される接合面が、相対する1組の外接線に直交するとともに、他の相対する1組の外接線に平行である第1接合面と、前記相対する1組の外接線に平行であるとともに、前記他の相対する1組の外接線と直交関係にある第2接合面からなることを特徴とする多色式筆記具である。これにより、外接線に対して加わる垂直方向の力が、傾斜角を有する接合面によって、外側に変換されることがない為、ペン芯が膨らんで変形し、筆記線が歪むことがない。
請求項2に記載の発明は、前記少なくとも2本の芯体の形状が同一であることを特徴とする請求項1に記載の多色式である。これにより、異なる形状の芯体をそれぞれ製造する場合と比較し、部品点数が削減される為、製造コストを抑えることが出来る。
請求項3に記載の発明は、前記少なくとも2本の芯体の接合面の少なくとも一部に遮蔽部を介してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の多色式筆記具である。これにより、接合面に接着剤を塗布して、芯体同士貼り合わせるような工程を省くことが出来る。
【発明の効果】
【0006】
本発明の多色式マーカーによれば、製造コストを抑えつつ、多彩なパターンの筆記線を描くことが出来る。また、通常の筆記を行う場合に、外接線に対して加わる垂直方向の力が、接合面の傾斜によって、外側に変換されることがない為、ペン芯が膨らんで変形し、筆記線が歪むことがない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態におけるフェルトペンの外観斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態におけるフェルトペンの天面図である。
【
図3】本発明の実施形態におけるフェルトペンの芯体部分天面を表す図である。
【
図4】本発明の実施形態におけるフェルトペンのA-A断面図である。
【
図5】本発明の実施形態におけるフェルトペンのB-B断面図である。
【
図6】本発明の実施形態におけるフェルトペン芯体の上面斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態におけるフェルトペンの芯体部分上面斜視図である。
【
図8】従来実施形態におけるフェルトペンの芯体部分天面を表す図である。
【
図9】本発明の他の実施形態におけるフェルトペン本体の芯体部分の天面を表す図である。
【
図10】本発明の他の実施形態におけるフェルトペン本体の芯体部分の天面を表す図である。
【
図11】本発明の他の実施形態におけるフェルトペン本体の芯体部分の天面を表す図である。
【
図12】本発明の他の実施形態におけるフェルトペン本体の芯体部分の天面を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態におけるフェルトペンの外観斜視図である。
図2は、本発明の実施形態におけるフェルトペンの天面図である。
図3は、本発明の実施形態におけるフェルトペンの芯体部分天面を表す図である。
図4は、本発明の実施形態におけるフェルトペンのA-A断面図である。
図5は、本発明の実施形態におけるフェルトペンのB-B断面図である。
図6は、本発明の実施形態におけるフェルトペン芯体の上面斜視図である。
図7は、本発明の実施形態におけるフェルトペンの芯体部分上面斜視図である。
図8は、従来実施形態におけるフェルトペンの芯体部分天面を表す図である。
図9~12は、本発明の他の実施形態におけるフェルトペン本体の芯体部分の天面を表す図である。
【0009】
図1は、本発明の実施形態におけるフェルトペンの外観斜視図である。フェルトペン30は、両端部が開口された円筒状の本体1と、インキが含浸され、フェルト素材からなる2つの芯体、第1芯体7a及び第2芯体7bと、前記芯体第1芯体7a及び第2芯体7bの下端とそれぞれ接触するよう配置され、前記接触により、前記第1芯体7a及び第2芯体7bへインキをそれぞれ供給する底面が半円で、前記半円の直線部同士を貼り合わせることで、円柱形状となる第1吸収体11a及び第2吸収体11bと、第1吸収体11aと第2吸収体11bが貼り合わされる前記半円の直線部において、前記2つの吸収体が上下方向に分割されるよう配置され、吸収体同士のインキ移行を防止する略直方体板形状の仕切り板12と、前記第1芯体7a及び第2芯体7bを接合することにより表される接合面の間に上下方向に分割するよう配置され、芯体同士のインキ移行を防止する遮蔽部15と、本体1下端に配置されて本体1と嵌合し、下端部からのインキ漏出を防止する尾栓13からなる。
【0010】
図2は、本発明の実施形態におけるフェルトペンの天面図、
図4は、本発明の実施形態におけるフェルトペンのA-A断面図である。本体1は、両端部が開口された中空なる円筒形状を有し、下端の開口部に、尾栓13が嵌合されている。本体1の上端部には、第1段部2、第2段部3が形成されており、本体1は、第1段部2で内径が内側に絞られ、第2段部3でさらに内径が内側に絞られており、フェルトペン本体1の外周径と、第1段部2により絞られた内径と、第2段部3で絞られた内径とが、天面視で同心円状となる。
本体1中の前記第1段部2から前記第2段部3にかけて形成される略円筒形状の、芯体嵌合部5と、仕切り板12によって形成された2つの半円状の隙間に、後述する芯体のインキ誘導部8a及び8bをそれぞれ挿入することで、2つの芯体が嵌合固定される。
また、芯体嵌合部5は、芯体嵌合部5の円周状の外径から外側に延びる本体突起部6を備えており、前記本体突起部6は、キャップ下端部近傍から円周状に内側に延びる突起部(図示せず)と係合することにより、芯体嵌合部5に備える本体突起部6より上端の部分と、キャップ内側とで形成される空間内の機密が保たれる。なお、本発明に用いられる筆記具は、前記の様な嵌合による開閉キャップによる機密構成とする必要はなく、公知のノック式キャップレス機構の筆記具を採用しても良い。
【0011】
図6は、本発明の実施形態におけるフェルトペン芯体の上面斜視図である。芯体2の外周は、天面において略L字形状であり、天面から下側に向かうにつれ、外周が外側に傘状に広がる傾斜面14を形成する筆記部9aと、筆記部9aの下端側底面の略中央部に連接し、略角柱形状のインキ誘導部8aからなる。筆記部9aの天面の外周には、丸みを帯びたテーパー部10が設けられている。
図5は、本発明の実施形態におけるフェルトペンのB-B断面図である。前記傾斜面14によって生じる、第1芯体7a及び第2芯体7bの筆記部下端側底面の幅と、前記インキ誘導体上端天面の幅との差分幅αによって、筆記部の上下動が、本体1の第2段部3で規制されることとなり、芯体が本体1下端側に抜け落ちることを防止している。
なお、本実施形態の筆記部9aは、前記傾斜面14を設けているが、傾斜面14を設けずに、略角柱形状のインキ誘導体の外周と同形状とし、前記インキ誘導部の上側に延設する形状としても良い。その場合は、筆記部9aの側面にペン芯と本体1とを固定させる為、インキ誘導部の外周外側に周状に延びる突起等を設けることが望ましいが、前記傾斜部14を設ける構成とすることで、筆記時の芯体のブレが小さくなる為、より好ましい。
芯体は、微細気孔を有するフェルト素材で、第1芯体7aのインキ誘導部8a後端が第1吸収体11aに没入することにより、毛細管現象によって、前記第1吸収体11aに含浸されたインキは、第1芯体7aのインキ誘導部8a、筆記部9aへと吸い上げられる。第2芯体7bは、第1芯体7aと同形状であり、第1芯体7aと同様に、前記第2吸収体11bに含浸されたインキが、第2芯体7bのインキ誘導部8b、筆記部9bへと吸い上げられる。
第1芯体7aと第2芯体7bは、インキ誘導部8a(第1芯体)及びインキ誘導部8b(第2芯体)が芯体嵌合部5と、仕切り板12とによって、形成される隙間に嵌合することにより、本体1に固定される。なお、吸収体は、不織布、フェルトなど筆記具インキ含浸体を用いる必要はなく、含浸体を介さずに、インキタンクにインキを貯留するいわゆる公知の生インキ式機構を用いても良い。
【0012】
図3は、本発明の実施形態におけるフェルトペンの芯体部分天面を表す図である。本実施形態におけるフェルトペン30は、芯体天面において、外接線16a、16b、16c、16dを備える。また、本発明において、外接線とは、前記筆記具の天面外側がなす各々の線分16a?16dを指し、相対する1組の芯体の外接線とは、互いに向かい合う外接線の組であり、例えば
図4における外接線16aと外接線16c又は、外接線16bと外接線16dの組を指す。筆記時は、筆記部の外接線近傍部分を、紙などの筆記対象物に当接させることにより、筆記線を筆記する。
前記外接線16a側の面を筆記対象物に当接させて筆記線を描くと、第1芯体7a及び第2芯体7bに含浸されたインキが紙に筆記され、第1芯体7aに含浸されたインキの筆記線は太字、第2芯体7bに含浸されたインキの筆記線は細字で紙などの筆記対象物に筆記される。前記外接線16b側の面を筆記対象物に当接させて筆記線を描くと、第1芯体7aに含浸されたインキのみが紙に筆記される。前記外接線16c側の面を筆記対象物に当接させて筆記線を描くと、第1芯体7a及び第2芯体7bに含浸されたインキが紙に筆記され、第1芯体7aに含浸されたインキの筆記線は細字、第2芯体7bに含浸されたインキの筆記線は太字で筆記対象物に筆記される。前記外接線16d側の面を筆記対象物に当接させて、筆記線を描くと第2芯体7bに含浸されたインキのみが筆記対象物に筆記され、本実施形態の2色マーカーは、最大で4パターンの筆記線を描くことが出来る。本実施形態の筆記具によれば、筆記対象物に当接させる箇所を、外接線16a~16d近傍のいずれかの面を選択することによって、筆記線のバリエーションを多様なものとすることが出来る。
【0013】
本実施形態におけるフェルトペン30は、芯体上側の天面において、第1接合面17a、第1接合面17b及び第2接合面18aを備える。本発明における接合面とは、2本の芯体が接合することにより表される面であり、前記2つの芯体の接合によって、2つの芯体が接触又は、相対する境界面のことである。なお、接合面は、必ずしも2つの芯体が接している必要はなく互いに離間し相対していても良い。
また、第1接合面とは、接合面又はその延設面が、相対する1組の外接線(16a、16c)に直交するとともに、他の相対する1組の外接線(16b、16d)に平行である接合面をいい、第2接合面とは、前記相対する1組の外接線に平行(16a、16c)であるとともに、前記他の相対する1組の外接線(16b、16d)と直交関係にある接合面をいい、具体的には、その接合面の延設面が、前記他の相対する1組の外接線に直交(16b、16d)するとともに、前記相対する1組の外接線(16a、16c)に平行である接合面をいう。本実施形態において、前記第1接合面17a、第2接合面18a、第1接合面17bは、この順で互いに連接している。
さらに、本実施形態において、第1芯体7aと第2芯体7bを接合させることで表される、第1接合面17a、第1接合面17b及び第2接合面18aに前記仕切り材12より連接する遮蔽部15を配置しているが、必ずしも遮蔽部15を全ての接合面の全面に配置する構成とする必要はなく、第1接合面17a、第1接合面17b、第2接合面18aの内、外接線16a及び16cの方向と平行な第2接合面18aのみに遮蔽部15を配置する一方で、外接線16b及び16dと平行な第1接合面17a、第1接合面17bには、遮蔽部15を配置しない構成としても良いし、配置させる遮蔽部15を例えば第1接合面17bの略中央部のみに配置させ、前記第1接合面17bの端部に配置させない構成としても良い。また、遮蔽部15を介さず、第1芯体7aと第2芯体7bの接合面に、公知の接着剤を塗布して両者を嵌め合わせても良いが、作業効率の観点から、遮蔽部15を設ける構成とした方が好ましい。
【0014】
図7は、本発明の実施形態におけるフェルトペン30の芯体部分上面斜視図である。本実施形態のフェルトペン30は、芯体部分は、接合面を備えるとともに、延設面が備えられる。延設面とは、2本の芯体が接合することにより表される接合面から、前記接合面と同一平面上に延びる平面のことを指す。本実施形態においては、第1接合面17aの延設面20aは、外接線16aと直交しており、第1接合線17bの延設面20bは外接線16bと直交している。また、第2接合面18aは、いずれの外接線にも接しておらず、前記第2接合面18aの延設面21aは、外接線16b及び外接線16dと直交している。
【0015】
本実施形態において、筆記時においてペン芯にかかる作用を説明する。
図8は、従来実施形態におけるフェルトペン30の芯体部分天面を表す図である。従来の実施形態の2つのペン芯は、図示するように同形状であり、接合させると、天面視で台形となる。また、接合面は、外接線16eに対して傾斜角θを有している。前記従来の実施形態におけるフェルトペンの外接線16eを紙面に当てて筆記を行おうとした場合、芯体にかかる圧力は、外接線16eに対して垂直方向にかかる(A方向)。前記A方向に加えられた圧力の一部は、傾斜角θを有する接合面22によって、外側方向(B方向)に変換される。前記変換された外側方向(B方向)への力は、芯体は外側方向へ膨らんで変形したり、2つの芯体にずれが生じたりする原因となる。
また、前記従来の実施形態におけるフェルトペン30の外接線16dを紙面に当てて筆記を行おうとした場合、芯体にかかる力は、外接線16dに対して垂直方向にかかる(B方向)。前記B方向に加えられた筆記による力の一部は、傾斜角θを有する接合面19によって、外側方向(A方向)に変換される。前記変換された外側(A方向)への力は、芯体は外側方向へ膨らんで変形したり、2つの芯体にずれが生じたりする原因となる。
一方、本実施形態におけるフェルトペン30は、図示するように同形状であり、接合させて単一の先端部を形成すると、前記先端部の天面はL字形状となる。また、接合されることにより第1接合面17a及び17b、第2接合面18aが表され、前記2つの第1接合面17a及び17b又はその延設面20a、20bは、相対する1組の外接線16a及び16cに直行するとともに、他の相対する1組の外接線16b及び16dに対して平行であり、また、第2接合面18aの延設面21aは、相対する1組の外接線16a及び16cに対して直交し、他の相対する1組の外接線16b及び16dに対して平行となる。本実施形態におけるフェルトペン30で、例えば外接線16aを紙面に当てて筆記を行おうとした場合、芯体にかかる力は、外接線16aに対し垂直方向にかかる(A方向)。第1接合面17a及び第1接合面17b、第2接合面18aは、外接線16aに対して垂直又は平行であり、前記外接線に直交する方向にかかる圧力に対しても垂直又は平行である為、前記A方向に加えられた圧力が、前記第1接合面17a及び第1接合面17b、第2接合面18aによって、外側方向(B方向)に変換されることがない。よって、芯体が外側に膨らんで変形したり、2つの芯体にずれが生じたりすることが無い。
【0016】
本発明における他の実施形態として、
図9に示すように、芯体筆記部天面外側の一部が内側に湾曲する凹部24を形成する構成としても良い。また、本発明における他の実施形態として、例えば
図10に示すように、先端部の天面が略L字形状である2つの芯体7a、7bを互いに組み合わせ、同様に、先端部の天面が略L字形状である2つの芯体7c、7dを互いに組み合わせて、組み合わされた同一の芯体を2組作成し、2組の芯体の側面同士とを接合するように構成しても良い。さらに、芯体の組み合わせを、例えば
図11に示すように、先端部の天面の外周が略L字形状である2つの芯体7a、7bを互いに組み合わせ、組み合わされた前記2つの芯体と、先端部天面の外周が略長方形である1つの長方形状芯体23の側面同士を接合するように構成しても良い。また、
図12に示すように、相対する1組の外接線16bと16dに対して平行な3つの第1接合面17a、第1接合面17b、第1接合面17cと、前記相対する1組の外接線16bと16dに対して、その延設面が直交する2つの第2接合面18a、第2接合面18bを備え、前記第2接合面18aの両端部にそれぞれ、第1接合面17a及び17bの端部と連接させ、前記第2接合面18bの両端部をそれぞれ、第1接合面17bの他端部及び17bの端部と連接させる構成としても良い。
【0017】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う多色式筆記具もまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
1 本体
2 第1段部
3 第2段部
4 第2段部の内壁
5 芯体嵌合部
6 本体突起部
7a 第1芯体
7b 第2芯体
8a インキ誘導部(第1芯体)
8b インキ誘導部(第2芯体)
9a 筆記部(第1芯体)
9b 筆記部(第2芯体)
10 テーパー部
11a 第1吸収体
11b 第2吸収体
12 仕切り板
13 尾栓
14 傾斜面
15 遮蔽部
16a 外接線
16b 外接線
16c 外接線
16d 外接線
16e 外接線
16f 外接線
16g 外接線
16h 外接線
17a 第1接合面
17b 第1接合面
17c 第1接合面
18a 第2接合面
18b 第2接合面
19 傾斜角を有する接合面
20a 第1接合面17aの延設面
20b 第1接合面17bの延設面
21a 第2接合面18aの延設面
22 接合面
23 長方形芯体
24 凹部
30 フェルトペン