(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008481
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】薬剤チェックシステム、薬剤チェック方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20230112BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112087
(22)【出願日】2021-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】514084923
【氏名又は名称】株式会社Ubicomホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】上野 直
(72)【発明者】
【氏名】北岡 明哲
(72)【発明者】
【氏名】安念 香奈子
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】情報提供等記録開示システムを活用した薬剤チェックを可能とし、安心の医療を実現したり、医療費を削減したりすることができる薬剤チェックシステム、薬剤チェック方法およびコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】薬剤チェックシステム1は、情報提供等記録開示システム3から取得した薬剤情報を取得するデータ取得手段11と、薬剤情報から一の服用日に服用する薬剤の医薬品コードを抽出する抽出手段12と、グループマスタを参照して医薬品コードが属するグループコードを取得するグループコード取得手段13と、取得したグループコードが警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在するかを判定する判定手段14と、グループコードの組み合わせが存在する場合、当該組み合わせとして存在するグループコードに属する、一の服用日に服用する医薬品コードに対応する薬剤について警告を出力する出力手段15とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処方箋に基づいて調剤薬局で調剤された薬剤の情報を含む薬剤情報が蓄積された情報提供等記録開示システムから取得した前記薬剤情報を含むデータを、一の患者について取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段が取得したデータから、前記一の患者が一の服用日に服用する薬剤の医薬品コードを抽出する抽出手段と、
グループコードと、少なくとも1つの医薬品コードとを対応させて記憶するグループマスタを参照して、前記抽出手段が抽出した医薬品コードについて、当該医薬品コードが属するグループコードを取得するグループコード取得手段と、
組み合わせが禁止される薬剤を複数のグループコードの組み合わせとして記憶する警告マスタを参照して、前記グループコード取得手段が取得したグループコードが、前記警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在するかを判定する判定手段と、
前記判定手段が、前記グループコード取得手段が取得したグループコードが、前記警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在すると判定した場合、当該組み合わせとして存在するグループコードに属する、前記一の服用日に服用する医薬品コードに対応する薬剤について警告を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする薬剤チェックシステム。
【請求項2】
前記警告マスタは、グループコードの組み合わせに対応させて、当該組み合わせが意味する警告の種別を示す警告コードをさらに記憶しており、
前記出力手段は、前記判定手段が、前記グループコード取得手段が取得したグループコードが、前記警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在すると判定した場合、前記警告コードに対応した警告文を記憶する警告文マスタを参照して、前記警告マスタに存在するグループコードの組み合わせに対応する警告文を出力することを特徴とする請求項1に記載の薬剤チェックシステム。
【請求項3】
前記出力手段が出力する警告の内容は、薬剤間の成分が重複していること、および、薬剤間の相互作用があることの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薬剤チェックシステム。
【請求項4】
前記データ取得手段が取得したデータは、薬剤ごとに調剤月日および調剤数量の情報を有し、
前記抽出手段は、一の薬剤について調剤月日を起算日として当該起算日以後の調剤数量に対応する数の日にフラグを立て、フラグを立てた日を当該一の薬剤の服用日とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の薬剤チェックシステム。
【請求項5】
前記データ取得手段が取得したデータは、薬剤ごとに処方月日および調剤数量の情報を有し、
前記抽出手段は、一の薬剤について処方月日を起算日として当該起算日以後の調剤数量に対応する数の日にフラグを立て、フラグを立てた日を当該一の薬剤の服用日とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の薬剤チェックシステム。
【請求項6】
前記データ取得手段が取得したデータは、患者の属性に関する情報を有し、
前記グループマスタは、さらに、グループコードと、患者の属性に関する情報とを対応させて記憶しており、
前記警告マスタは、組み合わせが禁止される、患者の属性に関するグループコードと、医薬品に関するグループコードとの組み合わせをさらに記憶しており、
前記グループコード取得手段は、前記グループマスタを参照して、前記データ取得手段が取得したデータから、患者の属性に関するグループコードを取得し、
前記判定手段は、前記グループコード取得手段が取得した、患者の属性に関するグループコードと、医薬品に関するグループコードとが、前記警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在するかを判定し、
前記判定手段が、前記グループコード取得手段が取得した、患者の属性に関するグループコードと、医薬品に関するグループコードとが、前記警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在すると判定した場合、前記出力手段は、当該組み合わせとして存在するグループコードに属する医薬品コードに対応する薬剤について警告を出力することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の薬剤チェックシステム。
【請求項7】
患者の属性に関する情報は、患者の年齢に関する情報、患者の性別に関する情報、患者の状態に関する情報、患者の身長に関する情報、患者の体重に関する情報、および、患者の体質に関する情報の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項6に記載の薬剤チェックシステム。
【請求項8】
前記データ取得手段が取得したデータは、ユーザによって入力された、調剤薬局で調剤される前の薬剤の情報、または、処方箋を必要とせずに購入可能な薬剤の情報を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の薬剤チェックシステム。
【請求項9】
コンピュータが備える手段が、
処方箋に基づいて調剤薬局で調剤された薬剤の情報を含む薬剤情報が蓄積された情報提供等記録開示システムから取得した前記薬剤情報を含むデータを、一の患者について取得するデータ取得ステップと、
前記データ取得ステップで取得したデータから、前記一の患者が一の服用日に服用する薬剤の医薬品コードを抽出する抽出ステップと、
グループコードと、少なくとも1つの医薬品コードとを対応させて記憶するグループマスタを参照して、前記抽出ステップで抽出した医薬品コードについて、当該医薬品コードが属するグループコードを取得するグループコード取得ステップと、
組み合わせが禁止される薬剤を複数のグループコードの組み合わせとして記憶する警告マスタを参照して、前記グループコード取得ステップで取得したグループコードが、前記警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在するかを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで、前記グループコード取得ステップで取得したグループコードが、前記警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在すると判定した場合、当該組み合わせとして存在するグループコードに属する、前記一の服用日に服用する医薬品コードに対応する薬剤について警告を出力する出力ステップと、を実行することを特徴とする薬剤チェック方法。
【請求項10】
コンピュータを、
処方箋に基づいて調剤薬局で調剤された薬剤の情報を含む薬剤情報が蓄積された情報提供等記録開示システムから取得した前記薬剤情報を含むデータを、一の患者について取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段が取得したデータから、前記一の患者が一の服用日に服用する薬剤の医薬品コードを抽出する抽出手段と、
グループコードと、少なくとも1つの医薬品コードとを対応させて記憶するグループマスタを参照して、前記抽出手段が抽出した医薬品コードについて、当該医薬品コードが属するグループコードを取得するグループコード取得手段と、
組み合わせが禁止される薬剤を複数のグループコードの組み合わせとして記憶する警告マスタを参照して、前記グループコード取得手段が取得したグループコードが、前記警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在するかを判定する判定手段と、
前記判定手段が、前記グループコード取得手段が取得したグループコードが、前記警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在すると判定した場合、当該組み合わせとして存在するグループコードに属する、前記一の服用日に服用する医薬品コードに対応する薬剤について警告を出力する出力手段として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤チェックシステム、薬剤チェック方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信網と中継基地局を通じて登録ユーザのユーザ端末(携帯電話機)と通信可能になっており、登録ユーザに処方された薬品に関する薬品情報を登録ユーザごとに保管することで、サーバ版の「お薬手帳」としての役割を果たすサービスを提供する薬品情報サーバシステムが知られている(特許文献1)。この薬品情報サーバシステムは、ジェネリック医薬品のように同一の効能・成分等を有する薬品が異なる薬名で複数存在する状況であっても、新たに処方された薬品と同等の成分を含む薬品が過去に処方された中に含まれるかをチェックするととともに、新たに処方された薬品と飲み合わせの悪い薬品(相互作用のある薬品)が過去に処方された中に含まれるかをチェックし、チェック結果をユーザに伝える機能も有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、個人情報を、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号)(マイナンバー法)に基づいて設置された情報提供等記録開示システム(マイナポータル(登録商標))に蓄積し、この蓄積された情報を本人がオンラインで確認できるようにする仕組み作りが進められている。そして、その一環として、調剤薬局が提出した調剤レセプトに記録された医薬品(以下、「薬剤」ともいう。)の情報や、調剤薬局が電子処方箋管理サービスに登録した調剤済みの薬剤の情報等を含む薬剤情報を情報提供等記録開示システムに蓄積し、患者本人や、患者本人の同意を得た医療機関、調剤薬局等で確認、利用できるようにする仕組み作りも進められている。
【0005】
本願出願人は、このような仕組みを利用し、情報提供等記録開示システムに蓄積された薬剤情報に基づいて、例えば、新たに処方された薬剤と現在服用中の薬剤との成分重複や相互作用等のチェックを行うことを検討している。これにより、例えば、薬剤の服用に伴う健康被害や薬剤の好ましくない処方等を未然に防ぐことができるので、安心の医療を実現したり、医療費を削減したりすることができる。
【0006】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、情報提供等記録開示システムを活用した薬剤チェックを可能とし、安心の医療を実現したり、医療費を削減したりすることができる薬剤チェックシステム、薬剤チェック方法およびコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するための薬剤チェックシステムは、処方箋に基づいて調剤薬局で調剤された薬剤の情報を含む薬剤情報が蓄積された情報提供等記録開示システムから取得した前記薬剤情報を含むデータを、一の患者について取得するデータ取得手段と、前記データ取得手段が取得したデータから、前記一の患者が一の服用日に服用する薬剤の医薬品コードを抽出する抽出手段と、グループコードと、少なくとも1つの医薬品コードとを対応させて記憶するグループマスタを参照して、前記抽出手段が抽出した医薬品コードについて、当該医薬品コードが属するグループコードを取得するグループコード取得手段と、組み合わせが禁止される薬剤を複数のグループコードの組み合わせとして記憶する警告マスタを参照して、前記グループコード取得手段が取得したグループコードが、前記警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在するかを判定する判定手段と、前記判定手段が、前記グループコード取得手段が取得したグループコードが、前記警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在すると判定した場合、当該組み合わせとして存在するグループコードに属する、前記一の服用日に服用する医薬品コードに対応する薬剤について警告を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
このようなシステムによれば、情報提供等記録開示システムを活用した薬剤チェックが可能となり、安心の医療を実現したり、医療費を削減したりすることができる。
【0009】
また、前記警告マスタは、グループコードの組み合わせに対応させて、当該組み合わせが意味する警告の種別を示す警告コードをさらに記憶しており、前記出力手段は、前記判定手段が、前記グループコード取得手段が取得したグループコードが、前記警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在すると判定した場合、前記警告コードに対応した警告文を記憶する警告文マスタを参照して、前記警告マスタに存在するグループコードの組み合わせに対応する警告文を出力する構成とすることができる。
【0010】
これによれば、ユーザに対し、分かりやすい情報を提供することが可能となる。
【0011】
また、前記出力手段が出力する警告の内容は、薬剤間の成分が重複していること、および、薬剤間の相互作用があることの少なくとも1つを含む構成とすることができる。
【0012】
また、前記データ取得手段が取得したデータは、薬剤ごとに調剤月日および調剤数量の情報を有し、前記抽出手段は、一の薬剤について調剤月日を起算日として当該起算日以後の調剤数量に対応する数の日にフラグを立て、フラグを立てた日を当該一の薬剤の服用日とする構成とすることができる。
【0013】
また、前記データ取得手段が取得したデータは、薬剤ごとに処方月日および調剤数量の情報を有し、前記抽出手段は、一の薬剤について処方月日を起算日として当該起算日以後の調剤数量に対応する数の日にフラグを立て、フラグを立てた日を当該一の薬剤の服用日とする構成とすることができる。
【0014】
これによれば、データ取得手段が取得したデータに調剤月日の情報が含まれていない場合でも、薬剤チェックを行うことができる。
【0015】
また、前記データ取得手段が取得したデータは、患者の属性に関する情報を有し、前記グループマスタは、さらに、グループコードと、患者の属性に関する情報とを対応させて記憶しており、前記警告マスタは、組み合わせが禁止される、患者の属性に関するグループコードと、医薬品に関するグループコードとの組み合わせをさらに記憶しており、前記グループコード取得手段は、前記グループマスタを参照して、前記データ取得手段が取得したデータから、患者の属性に関するグループコードを取得し、前記判定手段は、前記グループコード取得手段が取得した、患者の属性に関するグループコードと、医薬品に関するグループコードとが、前記警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在するかを判定し、前記判定手段が、前記グループコード取得手段が取得した、患者の属性に関するグループコードと、医薬品に関するグループコードとが、前記警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在すると判定した場合、前記出力手段は、当該組み合わせとして存在するグループコードに属する医薬品コードに対応する薬剤について警告を出力する構成とすることができる。
【0016】
これによれば、医薬品に対する患者属性に応じた注意事項のチェックが可能となる。
【0017】
また、患者の属性に関する情報は、患者の年齢に関する情報、患者の性別に関する情報、患者の状態に関する情報、患者の身長に関する情報、患者の体重に関する情報、および、患者の体質に関する情報の少なくとも1つを含む構成とすることができる。
【0018】
また、前記データ取得手段が取得したデータは、ユーザによって入力された、調剤薬局で調剤される前の薬剤の情報、または、処方箋を必要とせずに購入可能な薬剤の情報を含む構成とすることができる。
【0019】
これによれば、患者が現在服用している薬剤と、これから処方、調剤しようとする薬剤との間の薬剤チェックが可能となる。また、患者が現在服用している薬剤と、処方箋を必要とせずに購入可能な薬剤との間の薬剤チェックが可能となる。
【0020】
また、前記した目的を達成するための薬剤チェック方法は、コンピュータが備える手段が、処方箋に基づいて調剤薬局で調剤された薬剤の情報を含む薬剤情報が蓄積された情報提供等記録開示システムから取得した前記薬剤情報を含むデータを、一の患者について取得するデータ取得ステップと、前記データ取得ステップで取得したデータから、前記一の患者が一の服用日に服用する薬剤の医薬品コードを抽出する抽出ステップと、グループコードと、少なくとも1つの医薬品コードとを対応させて記憶するグループマスタを参照して、前記抽出ステップで抽出した医薬品コードについて、当該医薬品コードが属するグループコードを取得するグループコード取得ステップと、組み合わせが禁止される薬剤を複数のグループコードの組み合わせとして記憶する警告マスタを参照して、前記グループコード取得ステップで取得したグループコードが、前記警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在するかを判定する判定ステップと、前記判定ステップで、前記グループコード取得ステップで取得したグループコードが、前記警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在すると判定した場合、当該組み合わせとして存在するグループコードに属する、前記一の服用日に服用する医薬品コードに対応する薬剤について警告を出力する出力ステップと、を実行することを特徴とする。
【0021】
このような方法によれば、情報提供等記録開示システムを活用した薬剤チェックが可能となり、安心の医療を実現したり、医療費を削減したりすることができる。
【0022】
また、前記した目的を達成するためのコンピュータプログラムは、コンピュータを、処方箋に基づいて調剤薬局で調剤された薬剤の情報を含む薬剤情報が蓄積された情報提供等記録開示システムから取得した前記薬剤情報を含むデータを、一の患者について取得するデータ取得手段と、前記データ取得手段が取得したデータから、前記一の患者が一の服用日に服用する薬剤の医薬品コードを抽出する抽出手段と、グループコードと、少なくとも1つの医薬品コードとを対応させて記憶するグループマスタを参照して、前記抽出手段が抽出した医薬品コードについて、当該医薬品コードが属するグループコードを取得するグループコード取得手段と、組み合わせが禁止される薬剤を複数のグループコードの組み合わせとして記憶する警告マスタを参照して、前記グループコード取得手段が取得したグループコードが、前記警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在するかを判定する判定手段と、前記判定手段が、前記グループコード取得手段が取得したグループコードが、前記警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在すると判定した場合、当該組み合わせとして存在するグループコードに属する、前記一の服用日に服用する医薬品コードに対応する薬剤について警告を出力する出力手段として機能させることを特徴とする。
【0023】
このようなプログラムによれば、情報提供等記録開示システムを活用した薬剤チェックが可能となり、安心の医療を実現したり、医療費を削減したりすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、情報提供等記録開示システムを活用した薬剤チェックが可能となり、安心の医療を実現したり、医療費を削減したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態に係る薬剤チェックシステム、ユーザが使用する端末、および、情報提供等記録開示システムを示す図である。
【
図2】情報提供等記録開示システムへの薬剤情報の蓄積を説明する図である。
【
図3】医薬品・患者属性マスタの一例を説明する図である。
【
図7】情報提供等記録開示システムから取得した薬剤情報を説明する図(a)と、薬剤情報から抽出したデータの一例を説明する図(b)である。
【
図8】薬剤チェックシステムの動作の一例を説明する図(a)と、薬剤チェックシステムが出力するデータの一例を説明する図(b)である。
【
図9】ユーザが使用する端末のディスプレイに表示される画面の一例を示す図である。
【
図10】薬剤チェックシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図11】第2実施形態に係る薬剤チェックシステム、ユーザが使用する端末、および、情報提供等記録開示システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、第1実施形態について説明する。
図1に示すように、第1実施形態に係る薬剤チェックシステム1は、医薬品間の成分重複のチェック、医薬品間の相互作用のチェック、および、医薬品に対する患者属性に応じた注意事項のチェックを実行し、チェック結果をユーザが使用する端末2に送信するサービスを提供するシステムである。
【0027】
薬剤チェックシステム1は、インターネット等のネットワークを通じて、ユーザが使用する端末2および情報提供等記録開示システム3に接続されている。
ユーザが使用する端末2は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。なお、第1実施形態では、ユーザとして、病院や診療所等の医療機関、調剤薬局にかかった個人(患者)を想定している。
【0028】
情報提供等記録開示システム3は、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号)(マイナンバー法)に基づいて設置された情報提供等記録開示システムであり、マイナポータルとも呼ばれている。情報提供等記録開示システム3には、例えば、処方箋に基づいて調剤薬局で調剤された薬剤の情報を含む薬剤情報が蓄積されている。
【0029】
ここで、情報提供等記録開示システム3への薬剤情報の蓄積について説明する。
図2に示すように、医療機関は、診療行為や処方した薬剤の情報等を含む医科レセプトを作成し、調剤薬局は、調剤した薬剤の情報等を含む調剤レセプトを作成する。そして、医療機関、調剤薬局は、作成したレセプト(レセプトデータ)を診療月、調剤月の翌月の所定の期日までにオンライン請求システム4に送信する。オンライン請求システム4に送信されたレセプトデータに含まれる薬剤情報は、オンライン資格確認等システム5に登録されるとともに、情報提供等記録開示システム3にも登録され、蓄積される。レセプトデータから抽出され、情報提供等記録開示システム3に蓄積された薬剤情報は、前月以前の薬剤情報である。
【0030】
また、日々の業務の中で、医療機関は、電子処方箋を発行し、電子処方箋管理サービス6に登録する。そして、調剤薬局は、電子処方箋管理サービス6に登録された電子処方箋を取得して調剤を行い、調剤済みの電子処方箋を電子処方箋管理サービス6に登録する。調剤済みの電子処方箋に含まれる薬剤情報は、逐次、オンライン資格確認等システム5に登録されるとともに、情報提供等記録開示システム3にも登録され、蓄積される。電子処方箋から抽出され、情報提供等記録開示システム3に蓄積された薬剤情報は、当月の薬剤情報、詳しくは、当月の調剤日当日までの薬剤情報である。
【0031】
図1に戻り、薬剤チェックシステム1は、図示しないCPU、RAM、ROM等と、記憶装置19とを備えるコンピュータからなる。記憶装置19には、医薬品・患者属性マスタと、グループマスタと、警告マスタと、警告文マスタとが記憶されている。
【0032】
図3に示すように、医薬品・患者属性マスタは、医薬品コードと、医薬品名(薬剤名)とを対応させて記憶するテーブルとして構成されている。例えば、医薬品コード「A0002」と医薬品名「ドパゾール錠200mg」とが対応させて記憶され、また、医薬品コード「A0005」と医薬品名「ネオドパストン配合錠L100」とが対応させて記憶されている。
【0033】
また、医薬品・患者属性マスタは、患者属性コードと、患者の属性に関する情報とを対応させて記憶している。例えば、患者属性コード「B0001」と患者属性「男」とが対応させて記憶され、また、患者属性コード「C0021」と患者属性「妊婦」とが対応させて記憶されている。また、患者属性コード「E0025」と患者属性「医薬品アレルギー(ペニシリン系)」(ペニシリン系の薬剤に対して医薬品アレルギーがあることを示す。)とが対応させて記憶され、また、患者属性コード「F0002」と患者属性「食物アレルギー(牛乳)」(牛乳アレルギーがあることを示す。)とが対応させて記憶されている。
【0034】
患者の属性に関する情報は、例えば、患者の年齢に関する情報、患者の性別に関する情報、患者の状態に関する情報、患者の身長に関する情報、患者の体重に関する情報、および、患者の体質に関する情報の少なくとも1つを含む。
【0035】
患者の年齢に関する情報は、例えば、患者の生年月日の情報であり、生年月日から患者の年齢を計算し、計算した年齢に基づいて、患者が、新生児か、乳児か、幼児/小児か、高齢者か等を区別することができる。なお、患者の年齢に関する情報は、患者の年齢自体の情報であってもよい。また、患者の状態に関する情報は、例えば、患者が、妊婦か、授乳婦か、特定の疾患があるか等の情報である。また、患者の体質に関する情報は、例えば、患者が、虚弱者か、医薬品アレルギーがあるか、食物アレルギーがあるか等の情報である。
【0036】
なお、医薬品コードと医薬品名とを対応させて記憶するマスタ(医薬品マスタ)と、患者属性コードと患者属性とを対応させて記憶するマスタ(患者属性マスタ)とは、別のテーブルとして構成されていてもよい。
【0037】
図4に示すように、グループマスタは、グループコードと、少なくとも1つの医薬品コードとを対応させて記憶するテーブルとして構成されている。例えば、グループコード「G-06」と医薬品コード「A0005」とが対応させて記憶され、また、グループコード「G-08」と医薬品コード「A0002」とが対応させて記憶されている。医薬品に関するグループは、例えば、薬剤に含まれる成分に関するグループ、薬効に関するグループ、薬剤が使用される症状に関するグループ等である。
【0038】
一のグループコードに対応する医薬品コード(薬剤)は、複数の場合もあるし、1つだけの場合もある。例えば、グループコード「G-06」に対応する医薬品コードは、「A0005」と「A0017」の複数である。逆に、一の薬剤に対応する一の医薬品コードが、複数のグループコードに対応づけられている場合もある。例えば、医薬品コード「A0005」は、複数のグループコード「G-06」、「G-17」に対応づけられている。なお、医薬品に関するグループコードは、個々の医薬品ごとに一対一の関係で割り当てられていてもよい。
【0039】
グループマスタは、さらに、グループコードと、患者の属性に関する情報、具体的には、患者属性コードとを対応させて記憶している。例えば、グループコード「G-51」と患者属性コード「C0021」とが対応させて記憶され、また、グループコード「G-66」と患者属性コード「F0002」とが対応させて記憶されている。
【0040】
一のグループコードに対応する患者属性コードは、複数の場合もあるし、1つだけの場合もある。例えば、グループコード「G-55」に対応する患者属性コードは、「C0025」と「C0026」の複数である。逆に、一の患者属性コードが、複数のグループコードに対応づけられている場合もある。例えば、患者属性コード「C0021」は、複数のグループコード「G-51」、「G-63」に対応づけられている。
【0041】
図5に示すように、警告マスタは、組み合わせが禁止される薬剤を複数の医薬品に関するグループコードの組み合わせとして記憶するテーブルとして構成されている。また、警告マスタは、組み合わせが禁止される、患者の属性に関するグループコードと、医薬品に関するグループコードとの組み合わせをさらに記憶している。また、警告マスタは、グループコードの組み合わせに対応させて、当該組み合わせが意味する警告の種別を示す警告コードをさらに記憶している。
【0042】
例えば、医薬品に関するグループコード「G-06」と「G-08」の組み合わせと、警告コード「Bun-08」とが対応させて記憶されている。この組み合わせは、グループコード「G-06」に属する薬剤と、グループコード「G-08」に属する薬剤との間で成分の重複があることを意味している。また、医薬品に関するグループコード「G-08」と「G-09」の組み合わせと、警告コード「Bun-05」とが対応させて記憶されている。この組み合わせは、グループコード「G-08」に属する薬剤と、グループコード「G-09」に属する薬剤との間で相互作用があることを意味している。また、医薬品に関するグループコード「G-14」と患者の属性に関するグループコード「G-51」の組み合わせと、警告コード「Bun-14」とが対応させて記憶されている。この組み合わせは、グループコード「G-14」に属する薬剤が、グループコード「G-51」に属する患者に対して使用することが禁止であることを意味している。
【0043】
図6に示すように、警告文マスタは、警告コードと、警告の内容と、警告コードに対応した警告文とを記憶するテーブルとして構成されている。例えば、警告コード「Bun-07」と、警告内容「相互作用」と、警告文「飲み合わせが良くないお薬です。かかりつけ医にご相談ください。」とが対応させて記憶されている。また、警告コード「Bun-08」と、警告内容「成分重複」と、警告文「お薬の成分が重複しています。かかりつけ医にご相談ください。」とが対応させて記憶されている。薬剤チェックシステム1の後述する出力手段15が出力する警告の内容は、薬剤間の成分が重複していること(成分重複)、および、薬剤間の相互作用があること(相互作用)の少なくとも1つを含む。
【0044】
また、患者の属性に関して説明すれば、例えば、警告コード「Bun-14」と、警告内容「服用禁止」と、警告文「妊娠中に飲むことが禁止されています。かかりつけ医にご相談ください。」とが対応させて記憶されている。また、警告コード「Bun-22」と、警告内容「服用禁止」と、警告文「お薬にアレルギー物質が含まれています。かかりつけ医にご相談ください。」とが対応させて記憶されている。
【0045】
図1に示すように、薬剤チェックシステム1は、データ取得手段11と、抽出手段12と、グループコード取得手段13と、判定手段14と、出力手段15とを備える。薬剤チェックシステム1は、ROMや記憶装置19に記憶させておいたコンピュータプログラムをRAMに読み込んで実行することで各手段を実現する。言い換えると、コンピュータプログラムは、薬剤チェックシステム1を構成するコンピュータを、データ取得手段11と、抽出手段12と、グループコード取得手段13と、判定手段14と、出力手段15として機能させる。
【0046】
データ取得手段11は、医薬品間の成分重複のチェック、医薬品間の相互作用のチェック、患者属性に応じたチェックを実行するのに必要なデータを、チェック対象となる一の患者について取得する。
【0047】
詳しくは、データ取得手段11は、情報提供等記録開示システム3からAPI連携により薬剤情報を取得する。このため、データ取得手段11が取得したデータは、薬剤情報が蓄積された情報提供等記録開示システム3から取得した薬剤情報を含む。薬剤情報は、
図7(a)に示すように、薬剤ごとに、例えば、薬局名称、調剤年月、処方箋発行元医療機関名、生年月日、性別、用法、特別指示、剤形コード、処方月日、調剤月日、調剤数量、医薬品コード、使用量等の情報を有している。
【0048】
データ取得手段11は、取得した薬剤情報から、例えば、
図7(b)に示すように、調剤年月に対応する「調剤月」、処方箋発行元医療機関名に対応する「病院名」、薬局名称に対応する「薬局名」、処方月日に対応する「処方日」、調剤月日に対応する「調剤日」、「用法」、「特別指示」、剤形コードに対応する「内服/頓服/外用等」の別、先発医薬品か後発医薬品かを示す「先発/後発」の別、「医薬品コード」、使用量に対応する「数量単位」(1回に服用する量)、調剤数量に対応する「回数」等、必要な情報を抽出する。なお、
図7(b)および後で参照する
図8(a)では、参考までに薬剤名を示しているが、データ取得手段11が薬剤情報から抽出した情報に薬剤名は含まれていなくてもよい。
【0049】
データ取得手段11は、患者属性に応じたチェックを実行する場合、データとして、薬剤情報(医薬品に関する情報)のほか、さらに、患者の属性に関する情報を取得する。この場合、データ取得手段11が取得したデータは、患者の属性に関する情報をさらに有している。患者の属性に関する情報は、例えば、ユーザに薬剤チェックシステム1を利用する際に入力してもらうことで取得してもよいし、予めユーザに登録してもらい、ユーザごとに記憶装置19に記憶しておいたデータから取得してもよい。
【0050】
抽出手段12は、データ取得手段11が取得したデータから、医薬品コード、患者属性コードを抽出する。詳しくは、抽出手段12は、データ取得手段11が取得したデータ、具体的には、情報提供等記録開示システム3から取得した薬剤情報から、一の患者が一の服用日に服用する薬剤の医薬品コードを抽出する。抽出手段12は、薬剤情報から服用日を算出し、算出した服用日に服用する薬剤の医薬品コードを抽出する。
【0051】
より詳しくは、抽出手段12は、一の薬剤について調剤日を起算日として当該起算日以後の回数に対応する数の日にフラグを立て、フラグを立てた日を当該一の薬剤の服用日とする。例えば、
図8(a)に示すように、抽出手段12は、ガスターD錠 20mgについて、調剤日である「5日」(10月5日)を起算日として当該起算日以後の回数「5」に対応する数の日、すなわち、10月の5日、6日、7日、8日および9日を示すデータ格納領域にフラグ「1」を立て、フラグ「1」を立てた日(10月5日~9日)をガスターD錠 20mgの服用日とする。
【0052】
服用日を算出したら、抽出手段12は、抽出した服用日に服用する薬剤の医薬品コードを抽出する。例えば、
図8(a)に示すように、抽出手段12は、服用日「(10月)11日」について、ドパゾール錠200mgに対応する医薬品コード「A0002」、アーチスト錠 10mgに対応する医薬品コード「A0027」、ネオドパストン配合錠L100に対応する医薬品コード「A0005」、および、タンニン酸アルブミンに対応する医薬品コード「A0037」を抽出する。
【0053】
また、抽出手段12は、
図3に示した医薬品・患者属性マスタを参照して、データ取得手段11が取得したデータ、具体的には、患者の属性に関する情報から、患者属性コードをさらに抽出する。例えば、患者に牛乳アレルギーがある場合、抽出手段12は、医薬品・患者属性マスタを参照して、患者属性「食物アレルギー(牛乳)」から患者属性コード「F0002」を抽出する。
【0054】
グループコード取得手段13は、
図4に示したグループマスタを参照して、抽出手段12が抽出した医薬品コードについて、当該医薬品コードが属するグループコードを取得する。例えば、
図8(a)に示すように、グループコード取得手段13は、グループマスタを参照して、抽出手段12が抽出した医薬品コード「A0002」についてグループコード「G-08」を取得し、医薬品コード「A0027」についてグループコード「G-11」を取得し、医薬品コード「A0005」についてグループコード「G-06」、「G-17」を取得し、医薬品コード「A0037」についてグループコード「G-23」を取得する。
【0055】
また、グループコード取得手段13は、グループマスタを参照して、データ取得手段11が取得したデータに基づいて抽出手段12が抽出した患者属性コードから、患者の属性に関するグループコードをさらに取得する。例えば、グループコード取得手段13は、抽出手段12が患者属性コード「F0002」(牛乳アレルギー)を抽出した場合、グループマスタを参照して、患者属性コード「F0002」についてグループコード「G-66」を取得する。
【0056】
判定手段14は、
図5に示した警告マスタを参照して、グループコード取得手段13が取得したグループコードが、警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在するかを判定する。グループコードには、医薬品コードが対応していることもあるし、患者属性コードが対応していることもあるので、判定手段14は、警告マスタを参照して、グループコード取得手段13が取得した複数の医薬品に関するグループコードが、警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在するかを判定するとともに、グループコード取得手段13が取得した、患者の属性に関するグループコードと、医薬品に関するグループコードとが、警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在するかを判定する。そして、判定手段14は、警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在すると判定した場合、警告マスタを参照して、警告コードを取得する。
【0057】
例えば、
図8(a)に示すように、抽出手段12が一の服用日(例えば、10月11日)に服用する医薬品コードとして「A0002」、「A0027」、「A0005」、「A0037」を抽出し、患者属性コードとして「F0002」を抽出した場合、グループコード取得手段13は、医薬品に関するグループコードとして「G-08」、「G-11」「G-06」、「G-17」、「G-23」を取得し、患者の属性に関するグループコードとして「G-66」を取得する。
【0058】
この場合、判定手段14は、医薬品に関するグループコード「G-06」と「G-08」が、警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在すると判定し、対応する警告コード「Bun-08」を取得する。また、判定手段14は、医薬品に関するグループコード「G-23」と、患者の属性に関するグループコード「G-66」とが、警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在すると判定し、警告コード「Bun-22」を取得する。
【0059】
出力手段15は、判定手段14が、グループコード取得手段13が取得したグループコードが、警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在すると判定した場合、当該組み合わせとして存在するグループコードに属する医薬品コードに対応する薬剤について警告を出力する。
【0060】
詳しくは、出力手段15は、医薬品間の成分重複、相互作用のチェックを実行する場合、判定手段14が、グループコード取得手段13が取得した複数の医薬品に関するグループコードが、警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在すると判定した場合、当該組み合わせとして存在するグループコードに属する、一の服用日に服用する医薬品コードに対応する薬剤について警告を出力する。
【0061】
また、出力手段15は、患者属性に応じたチェックを実行する場合、判定手段14が、グループコード取得手段13が取得した、患者の属性に関するグループコードと、医薬品に関するグループコードとが、警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在すると判定した場合、当該組み合わせとして存在するグループコードに属する医薬品コードに対応する薬剤について警告を出力する。
【0062】
出力手段15は、判定手段14が、グループコード取得手段13が取得したグループコードが、警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在すると判定した場合、警告文マスタを参照して、警告マスタに存在するグループコードの組み合わせに対応する警告文を出力する。具体的には、出力手段15は、
図6に示した警告文マスタを参照して、判定手段14が取得した警告コードに対応する警告の内容と警告文を取得し、警告の内容、警告文、対応する薬剤(薬剤名)、および、服用期間の情報をユーザの端末2に出力する。
【0063】
例えば、
図8(a)に示すように、判定手段14は、グループコード取得手段13が取得した医薬品に関するグループコード「G-08」と「G-06」が、警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在すると判定した場合、警告コード「Bun-08」を取得する。また、判定手段14は、グループコード取得手段13が取得した、医薬品に関するグループコード「G-23」と、患者の属性に関するグループコード「G-66」が、警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在すると判定した場合、警告コード「Bun-22」を取得する。
【0064】
次に、出力手段15は、
図6に示した警告文マスタを参照して、判定手段14が取得した、警告コード「Bun-08」に対応する警告の内容と警告文を取得するとともに、警告コード「Bun-22」に対応する警告の内容と警告文を取得する。また、出力手段15は、医薬品・患者属性マスタを参照して、組み合わせとして存在するグループコード「G-08」、「G-06」に属する医薬品コード「A0002」、「A0005」から、薬剤名「ドパゾール錠200mg」、「ネオドパストン配合錠L100」を取得するとともに、組み合わせとして存在するグループコード「G-23」に属する医薬品コード「A0037」から、薬剤名「タンニン酸アルブミン」を取得する。
【0065】
そして、出力手段15は、
図8(b)に示すように、警告の内容「成分重複」、警告文「お薬の成分が重複しています。かかりつけ医にご相談ください。」、および、対応する薬剤名「ドパゾール錠200mg」、「ネオドパストン配合錠L100」の情報と、警告の内容「服用禁止」、警告文「お薬にアレルギー物質が含まれています。かかりつけ医にご相談ください。」、および、対応する薬剤名「タンニン酸アルブミン」の情報と、服用期間「10月11日~17日」の情報を端末2(
図1参照)に送信する。
【0066】
図9に示すように、薬剤チェックシステム1から情報を受信した端末2は、ディスプレイDSPに、「ドパゾール錠200mg」と「ネオドパストン配合錠L100」との間で「成分重複」がある旨の警告と、「お薬の成分が重複しています。かかりつけ医にご相談ください。」との警告文(メッセージ)と、服用期間「10月11日~17日」を表示する。また、端末2は、ディスプレイDSPに、「タンニン酸アルブミン」について「服用禁止」である旨の警告と、「お薬にアレルギー物質が含まれています。かかりつけ医にご相談ください。」との警告文等を表示する。
【0067】
なお、ここでは、医薬品間に成分重複がある旨の警告と、特定の医薬品に対する患者属性に応じた注意事項がある旨の警告の2つの警告が出力された例を示したが、これに限定されない。すなわち、第1実施形態において警告が出力される場合、出力される警告は、医薬品間に成分重複がある旨の警告、医薬品間に相互作用がある旨の警告、および、特定の医薬品に対する患者属性に応じた注意事項がある旨の警告の少なくとも1つであり、いずれか1つの警告のみが出力されることもある。
【0068】
次に、薬剤チェックシステム1の動作(薬剤チェックシステム1を構成するコンピュータが備える手段が実行する薬剤チェック方法)の一例について、フローチャートを参照しながら説明する。
【0069】
図10に示すように、例えば、ユーザ(一の患者)が端末2を操作してチェックの実行を開始した場合、薬剤チェックシステム1は、当該ユーザについて、データを取得する(S110)(データ取得ステップ)。具体的には、情報提供等記録開示システム3から薬剤情報を取得したり、ユーザが入力した情報や記憶装置19、情報提供等記録開示システム3等から患者の属性に関する情報を取得したりする。
【0070】
次に、薬剤チェックシステム1は、データ取得ステップで取得したデータ(薬剤情報や患者の属性に関する情報)から、ユーザが一の服用日に服用する薬剤の医薬品コードを抽出するとともに、医薬品・患者属性マスタを参照して患者属性コードを抽出する(S120)(抽出ステップ)。
【0071】
次に、薬剤チェックシステム1は、グループマスタを参照して、抽出ステップで抽出した医薬品コードについて、当該医薬品コードが属するグループコードを取得するとともに、患者属性コードについて、当該患者属性コードが属するグループコードを取得する(S130)(グループコード取得ステップ)。
【0072】
次に、薬剤チェックシステム1は、警告マスタを参照して、グループコード取得ステップで取得した複数のグループコードが、警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在するかを判定する(S141)(判定ステップ)。詳しくは、薬剤チェックシステム1は、警告マスタを参照して、複数の医薬品に関するグループコードが、警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在するかを判定するとともに、医薬品に関するグループコードと、患者属性に関するグループコードとが、警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在するかを判定する。
【0073】
グループコード取得ステップで取得した複数のグループコードが、警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在しないと判定した場合(S141,No)、成分重複、相互作用の関係にある薬剤はなく、また、患者属性との関係で問題となる薬剤もないため、薬剤チェックシステム1は、ユーザの端末2に、問題がない旨のメッセージ等を出力し(S154)、動作を終了する。
【0074】
一方、ステップS141の判定ステップで、グループコード取得ステップで取得した複数のグループコードが、警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在すると判定した場合(Yes)、薬剤チェックシステム1は、警告マスタを参照して、グループコードの組み合わせに対応する警告コードを取得する(S142)。
【0075】
その後、薬剤チェックシステム1は、当該組み合わせとして存在するグループコードに属する、一の服用日に服用する医薬品コードに対応する薬剤について警告を出力する(出力ステップ)。詳しくは、薬剤チェックシステム1は、警告コードと警告文マスタに基づき、警告の内容と警告文を取得し(S151)、また、医薬品・患者属性マスタを参照して、組み合わせとして存在するグループコードに属する医薬品コードから薬剤名を取得する(S152)。
【0076】
その後、薬剤チェックシステム1は、ユーザの端末2に警告の内容、警告文、対応する薬剤名、服用期間の情報を出力し(S153)、動作を終了する。薬剤チェックシステム1からの情報を受信した端末2には、ディスプレイDSPに、警告とメッセージ、対象の薬剤等が表示され、ユーザによって確認することができる。
【0077】
以上の第1実施形態によれば、情報提供等記録開示システム3を活用した薬剤チェックが可能となる。詳しくは、情報提供等記録開示システム3に蓄積された、調剤日当日までの最新の薬剤情報を利用して、医薬品間の成分重複のチェックや医薬品間の相互作用のチェックが可能となる。これにより、例えば、重複投与された薬剤の服用に伴う健康被害等を未然に防ぐことができるので、安心の医療を実現したり、医療費を削減したりすることができる。
【0078】
また、医薬品に対する患者属性に応じた注意事項のチェックが可能となる。これによっても、薬剤の服用に伴う健康被害等を未然に防ぐことができるので、安心の医療を実現したり、医療費を削減したりすることができる。
【0079】
また、警告の内容に対応する警告文を出力するので、「成分重複」、「相互作用」等といった警告とともに、警告文として、ユーザに対し、例えば、「お薬の成分が重複しています。かかりつけ医にご相談ください。」、「飲み合わせが良くないお薬です。かかりつけ医にご相談ください。」等といった警告の内容を具体的に説明するメッセージや、次の行動を示唆するメッセージを提供することができる。これにより、「成分重複」、「相互作用」等の警告のみを出力する場合と比較して、ユーザ(患者)に対し、分かりやすい情報を提供することが可能となる。
【0080】
なお、薬剤チェックシステム1は、処方箋に基づいて調剤薬局で調剤された薬剤(以下、「処方箋医薬品」という。)と、処方箋を必要とせずに購入可能な薬剤(以下、「OTC医薬品」という。)との間の成分重複、相互作用のチェックを実行し、チェック結果を端末2に送信する機能をさらに有していてもよい。
【0081】
この場合、医薬品・患者属性マスタは、さらに、OTC医薬品の医薬品コード(例えば、OTC医薬品固有の番号等)と、OTC医薬品の名称(薬剤名、商品名等)とを対応させて記憶している。また、グループマスタは、グループコードと、少なくとも1つのOTC医薬品の医薬品コードとを対応させて記憶している。なお、一のグループコードには、処方箋医薬品の医薬品コードと、OTC医薬品の医薬品コードの両方が対応づけられていてもよい。
【0082】
また、この場合、データ取得手段11は、情報提供等記録開示システム3から薬剤情報(処方箋医薬品の情報)を取得するほか、OTC医薬品の情報を取得する。OTC医薬品の情報は、例えば、ユーザが端末2を操作してOTC医薬品の名称や服用日を入力したり、選択したりすることで取得することができる。すなわち、データ取得手段11が取得したデータは、ユーザである患者自身によって入力されたOTC医薬品の情報を含む。
【0083】
このような構成によれば、情報提供等記録開示システム3から取得した薬剤情報と、患者によって入力されたOTC医薬品の情報とに基づいて、患者が現在服用している処方箋医薬品と、これから服用しようとするOTC医薬品との間の薬剤チェックが可能となる。また、OTC医薬品と患者属性との関係もチェック可能となる。
【0084】
第1実施形態では、薬剤チェックシステム1は、医薬品間の成分重複、相互作用のチェックと、患者属性に応じたチェックを実行する構成であったが、例えば、医薬品間の成分重複、相互作用のチェックを実行し、患者属性に応じたチェックを実行しない構成であってもよい。
【0085】
次に、第2実施形態について説明する。なお、以下では、先に説明した実施形態と異なる点について詳細に説明し、同じ点については同一の要素に同一の符号を付す等して適宜説明を省略する。
【0086】
図11に示すように、第2実施形態に係る薬剤チェックシステム1は、医療機関で使用される端末2Aや、調剤薬局で使用される端末2Bから送信された情報に基づいて医薬品間の成分重複、相互作用のチェックを実行し、チェック結果を端末2A,2Bに送信するサービスを提供可能である。このため、薬剤チェックシステム1は、ネットワークを通じて、医療機関で医師が使用する端末2Aや、調剤薬局で薬剤師が使用する端末2Bに接続されている。
【0087】
データ取得手段11は、情報提供等記録開示システム3から薬剤情報を取得するほか、ユーザである医師や薬剤師によって端末2A,2Bから入力された、調剤薬局で調剤される前の薬剤の情報(以下、「調剤前薬剤情報」という。)を取得する。すなわち、第2実施形態では、データ取得手段11が取得したデータは、調剤前薬剤情報を含む。調剤前薬剤情報は、具体的には、医療機関の端末2Aに医師によって入力された処方前の薬剤の情報、または、調剤薬局の端末2Bに薬剤師によって入力された調剤前の薬剤の情報である。
【0088】
抽出手段12は、データ取得手段11が取得した薬剤情報から、一の患者が一の服用日に服用する薬剤の医薬品コードを抽出する。また、抽出手段12は、データ取得手段11が取得した調剤前薬剤情報から、一の患者が一の服用日に服用する薬剤の医薬品コードを抽出する。
【0089】
抽出手段12は、薬剤情報から服用日を算出する場合、第1実施形態と同様に、一の薬剤について調剤日を起算日として当該起算日以後の回数に対応する数の日にフラグを立て、フラグを立てた日を当該一の薬剤の服用日とする。
【0090】
一方、抽出手段12は、調剤前薬剤情報から服用日を算出する場合、まだ調剤日が確定していないので、医師や薬剤師が入力した処方月日と調剤数量に基づいて服用日を算出する。詳しくは、抽出手段12は、一の薬剤について処方月日を起算日として当該起算日以後の調剤数量に対応する数の日にフラグを立て、フラグを立てた日を当該一の薬剤の服用日とする。この場合、データ取得手段11が取得したデータは、薬剤ごとに処方月日および調剤数量の情報を有している。
【0091】
グループコード取得手段13は、グループマスタを参照して、抽出手段12が抽出した医薬品コードについて、当該医薬品コードが属するグループコードを取得する。
判定手段14は、抽出手段12が一の服用日に服用する医薬品コードを複数抽出した場合、警告マスタを参照して、グループコード取得手段13が取得したグループコードが、警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在するかを判定する。
【0092】
出力手段15は、判定手段14が、グループコード取得手段13が取得した複数の医薬品に関するグループコードが、警告マスタに記憶されたグループコードの組み合わせとして存在すると判定した場合、当該組み合わせとして存在するグループコードに属する、一の服用日に服用する医薬品コードに対応する薬剤について警告等を出力する。
【0093】
このような第2実施形態によれば、情報提供等記録開示システム3から取得した薬剤情報と、調剤前薬剤情報とに基づいて、患者が現在服用している薬剤と、これから処方、調剤しようとする薬剤との間の薬剤チェックが可能となる。詳しくは、医師による、患者が現在服用している薬剤とこれから処方しようとする薬剤との間の薬剤チェックや、薬剤師による、患者が現在服用している薬剤とこれから調剤しようとする薬剤との間の薬剤チェックが可能となる。これにより、例えば、重複投与などの薬剤の好ましくない処方等を未然に防ぐことができるので、安心の医療を実現したり、医療費を削減したりすることができる。
【0094】
また、抽出手段12が、処方月日および調剤数量の情報に基づいて服用日を設定するので、データ取得手段11が取得したデータに調剤月日の情報が含まれていない場合でも、薬剤チェックを行うことができる。
【0095】
なお、第2実施形態では、ユーザが医師や薬剤師等の薬剤の専門家であるため、例えば、薬剤チェックシステムは、「成分重複」、「相互作用」等といった警告と薬剤名の情報を出力し、警告の内容に対応する警告文を出力しない構成であってもよい。すなわち、薬剤チェックシステムは、警告文マスタを備えない構成であってもよい。
【0096】
以上、実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように適宜変形して実施することができる。
【0097】
前記実施形態では、警告マスタは、2つのグループコードの組み合わせが記憶されたレコードを有する構成であったが、3つ以上のグループコードの組み合わせが記憶されたレコードを含む構成であってもよい。一例として、警告マスタは、一の医薬品に関するグループコードと、患者の年齢に関するグループコードと、患者の性別に関するグループコードの組み合わせが記憶されたレコードを含んでいてもよい。
【0098】
前記実施形態では、薬剤チェックシステム1は、情報提供等記録開示システム3からAPI連携により薬剤情報を取得したが、例えば、ユーザ(患者本人)が情報提供等記録開示システムから取得したデータ(薬剤情報)をユーザから提供してもらうことにより薬剤情報を取得してもよい。
【0099】
前記実施形態では、グループマスタや警告マスタ等のマスタが記憶装置19に記憶されていたが、例えば、マスタの少なくとも一部は、記憶装置19を備えるコンピュータとは別に設けられたコンピュータの記憶装置に記憶されていてもよい。すなわち、薬剤チェックシステムは、複数のコンピュータから構成されていてもよい。
【0100】
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 薬剤チェックシステム
2 端末
3 情報提供等記録開示システム
11 データ取得手段
12 抽出手段
13 グループコード取得手段
14 判定手段
15 出力手段