IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小松製作所の特許一覧

<>
  • 特開-ステータ及びモータ 図1
  • 特開-ステータ及びモータ 図2
  • 特開-ステータ及びモータ 図3
  • 特開-ステータ及びモータ 図4
  • 特開-ステータ及びモータ 図5
  • 特開-ステータ及びモータ 図6
  • 特開-ステータ及びモータ 図7
  • 特開-ステータ及びモータ 図8
  • 特開-ステータ及びモータ 図9
  • 特開-ステータ及びモータ 図10
  • 特開-ステータ及びモータ 図11
  • 特開-ステータ及びモータ 図12
  • 特開-ステータ及びモータ 図13
  • 特開-ステータ及びモータ 図14
  • 特開-ステータ及びモータ 図15
  • 特開-ステータ及びモータ 図16
  • 特開-ステータ及びモータ 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084826
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】ステータ及びモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/28 20060101AFI20230613BHJP
   H02K 3/00 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
H02K3/28 J
H02K3/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199159
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土方 大樹
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 夏樹
【テーマコード(参考)】
5H603
【Fターム(参考)】
5H603AA04
5H603BB01
5H603BB07
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB01
5H603CC04
5H603CC17
5H603CD05
5H603CD13
5H603CD22
(57)【要約】
【課題】コイルの絶縁破壊を抑制すること。
【解決手段】ステータは、ステータコアと、2スロットピッチでステータコアに支持される複数の第1相コイルと、2スロットピッチでステータコアに支持される複数の第2相コイルと、を備える。複数の第1相コイルは、電流の第1入力端部と第1出力端部との間において直列に接続される。複数の第2相コイルは、電流の第2入力端部と第2出力端部との間において直列に接続される。複数の第1相コイルのそれぞれに、第1入力端部からの順番を示す第1序数が付与される。複数の第2相コイルのそれぞれに、第2入力端部からの順番を示す第2序数が付与される。1つの第1相コイルと、1つの第1相コイルの一部に重なるように配置される1つの第2相コイルとにより1つのコイルセットが形成される。コイルセットを形成する第1相コイルの第1序数と第2相コイルの第2序数とは、異なる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアと、
2スロットピッチで前記ステータコアに支持される複数の第1相コイルと、
2スロットピッチで前記ステータコアに支持される複数の第2相コイルと、を備え、
複数の前記第1相コイルは、電流の第1入力端部と第1出力端部との間において直列に接続され、
複数の前記第2相コイルは、電流の第2入力端部と第2出力端部との間において直列に接続され、
複数の前記第1相コイルのそれぞれに、前記第1入力端部からの順番を示す第1序数が付与され、
複数の前記第2相コイルのそれぞれに、前記第2入力端部からの順番を示す第2序数が付与され、
1つの前記第1相コイルと、1つの前記第1相コイルの一部に重なるように配置される1つの前記第2相コイルとにより1つのコイルセットが形成され、
前記コイルセットを形成する前記第1相コイルの前記第1序数と前記第2相コイルの前記第2序数とは、異なる、
ステータ。
【請求項2】
複数の前記第1相コイルと複数の前記第2相コイルとにより複数のコイルセットが形成され、
複数の前記コイルセットのそれぞれの前記第1序数と前記第2序数との和は、相互に等しい、
請求項1に記載のステータ。
【請求項3】
2スロットピッチで前記ステータコアに支持される複数の第3相コイルを備え、
前記第1相コイルの数と前記第2相コイルの数と前記第3相コイルの数とは、等しく、
前記第1相コイルの数をNcとし、前記和をSとした場合、
S=Nc+1、
の条件を満足する、
請求項2に記載のステータ。
【請求項4】
2以上の整数をnとした場合、前記ステータコアのスロットの数は、12×nの条件を満足する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のステータと、
前記ステータコアに対向するロータと、を備える、
モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ステータ及びモータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータに係る技術分野において、特許文献1に開示されているような回転電機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-068441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モータのステータは、ステータコアと、ステータコアに支持される複数のコイルとを備える。コイルが絶縁破壊すると、モータにおいてショートが発生したり、モータが発生するトルクが低下したりして、モータの性能が低下する可能性がある。
【0005】
本開示は、コイルの絶縁破壊を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、ステータコアと、2スロットピッチでステータコアに支持される複数の第1相コイルと、2スロットピッチでステータコアに支持される複数の第2相コイルと、を備え、複数の第1相コイルは、電流の第1入力端部と第1出力端部との間において直列に接続され、複数の第2相コイルは、電流の第2入力端部と第2出力端部との間において直列に接続され、複数の第1相コイルのそれぞれに、第1入力端部からの順番を示す第1序数が付与され、複数の第2相コイルのそれぞれに、第2入力端部からの順番を示す第2序数が付与され、1つの第1相コイルと、1つの第1相コイルの一部に重なるように配置される1つの第2相コイルとにより1つのコイルセットが形成され、コイルセットを形成する第1相コイルの第1序数と第2相コイルの前記第2序数とは、異なる、ステータが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、コイルの絶縁破壊が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るモータを模式的に示す図である。
図2図2は、実施形態に係るステータを示す斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るステータコアを示す斜視図である。
図4図4は、実施形態に係るモータの駆動回路を示す図である。
図5図5は、実施形態に係るU相駆動部の動作例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係るU相駆動部の動作例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る駆動回路の駆動例を模式的に示す図である。
図8図8は、実施形態に係る駆動回路の駆動例を模式的に示す図である。
図9図9は、実施形態に係る駆動回路の駆動例を模式的に示す図である。
図10図10は、実施形態に係るステータコアに支持されたコイルセットを示す斜視図である。
図11図11は、実施形態に係るコイルセットを形成するコイルを説明するための図である。
図12図12は、実施形態に係る駆動回路の駆動例を模式的に示す図である。
図13図13は、実施形態に係るステータコアに支持されたコイルセットを示す斜視図である。
図14図14は、実施形態に係るコイルセットを形成するコイルを説明するための図である。
図15図15は、実施形態に係る駆動回路の駆動例を模式的に示す図である。
図16図16は、実施形態に係るステータコアに支持されたコイルセットを示す斜視図である。
図17図17は、実施形態に係るコイルセットを形成するコイルを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[モータ]
図1は、実施形態に係るモータ1を模式的に示す図である。実施形態において、モータ1は、スイッチトリラクタンスモータである。図1に示すように、モータ1は、ステータ2と、ロータ3とを備える。
【0011】
モータ1は、インナロータ型である。ステータ2は、ロータ3の周囲に配置される。ロータ3は、ステータ2に対向する。ロータ3は、回転軸AXを中心に回転する。
【0012】
実施形態においては、回転軸AXに平行な方向を適宜、軸方向、と称し、回転軸AXの周囲を周回する方向を適宜、周方向、と称し、回転軸AXの放射方向を適宜、径方向、と称する。
【0013】
軸方向においてモータ1の中心から規定の方向に離隔する方向又は位置を適宜、軸方向一方側、と称し、軸方向一方側の反対側を適宜、軸方向他方側、と称する。周方向において規定の方向を適宜、周方向一方側、と称し、周方向一方側の反対側を適宜、周方向他方側、と称する。径方向において回転軸AXから離隔する方向又は位置を適宜、径方向外側、と称し、径方向外側の反対側を適宜、径方向内側、と称する。
【0014】
ステータ2は、ステータコア4と、コイル5とを有する。ステータコア4は、回転軸AXの周囲に配置される。コイル5は、ステータコア4に支持される。
【0015】
ロータ3は、ステータコア4の内側に配置される。ロータ3は、ロータホルダ6と、ロータコア7と、ロータシャフト8とを有する。ロータホルダ6は、非磁性体である。ロータコア7は、磁性体である。ロータコア7は、ロータホルダ6に保持される。ロータコア7は、ロータ3の極として機能する。
【0016】
ロータ3は、ロータシャフト8を介して対象物RSに接続される。対象物RSとして、建設機械の一種であるハイブリッドショベルに搭載されるエンジンが例示される。モータ1は、エンジンにより駆動される発電機として機能する。
【0017】
[ステータ]
図2は、実施形態に係るステータ2を示す斜視図である。図3は、実施形態に係るステータコア4を示す斜視図である。
【0018】
ステータコア4は、相互に積層された複数の鋼板を含む。ステータコア4は、ヨーク9と、ティース10とを有する。ヨーク9は、回転軸AXの周囲に配置される。ヨーク9は、回転軸AXを中心とする筒状である。回転軸AXに直交する面内において、ヨーク9の外形は、円形状である。ティース10は、ヨーク9の内面から径方向内側に突出する。ティース10は、周方向に間隔をあけて複数配置される。
【0019】
ステータコア4の表面は、端面4Aと、端面4Bと、内面4Sと、外面4Tとを含む。
【0020】
端面4Aは、軸方向一方側を向く。端面4Aは、軸方向一方側を向くヨーク9の端面と、軸方向一方側を向くティース10の端面とを含む。ヨーク9の端面とティース10の端面とは、面一である。端面4Aと回転軸AXに平行な軸とは、直交する。
【0021】
端面4Bは、軸方向他方側を向く。端面4Bは、軸方向他方側を向くヨーク9の端面と、軸方向他方側を向くティース10の端面とを含む。ヨーク9の端面とティース10の端面とは、面一である。端面4Bと回転軸AXに平行な軸とは、直交する。
【0022】
内面4Sは、径方向内側を向く。内面4Sは、ティース10の内面を含む。内面4Sは、ロータ3に対向する。内面4Sは、回転軸AXに平行である。
【0023】
外面4Tは、径方向外側を向く。外面4Tは、ヨーク9の外面を含む。外面4Tは、回転軸AXに平行である。回転軸AXに直交する面内において、外面4Tは、回転軸AXを中心とする円形状である。
【0024】
コイル5は、不図示のインシュレータを介してティース10に装着される。コイル5は、複数設けられる。複数のコイル5は、別々に形成される。実施形態において、コイル5は、所謂カセットコイルである。1つのコイル5は、1つの導体を螺旋状に巻くことにより形成される。螺旋状に巻かれる導体として、真四角線、平角線、又は丸線が例示される。なお、1つのコイル5は、複数の導体を螺旋状に接続することにより形成されてもよい。螺旋状に接続される導体として、板状のセグメント導体が例示される。
【0025】
隣り合うティース10の間にスロット13が設けられる。コイル5の一部は、スロット13に配置される。コイル5の一部は、ステータコア4から軸方向に突出する。
【0026】
スロット13は、周方向に複数設けられる。スロット13は、軸方向に延伸する。スロット13の軸方向一方側の端部は、端面4Aに接続される。スロット13の軸方向他方側の端部は、端面4Bに接続される。スロット13は、内面4Sから径方向外側に凹むように形成される。スロット13は、ロータ3に対向する開口13Aと、外端面13Bとを有する。開口13Aは、内面4Sに形成される。外端面13Bは、径方向内側を向く。外端面13Bは、端面4A及び端面4Bのそれぞれに接続される。外端面13Bは、ヨーク9との境界を形成する。スロット13の内面において、外端面13Bは、最も径方向外側に配置される。
【0027】
実施形態において、2以上の整数をnとした場合、ステータコア4のスロット13の数は、12×nの条件を満足する。図2及び図3に示す例において、スロット13の数は、24(=12×2)である。ティース10の数は、24である。
【0028】
コイル5は、複数のティース10のうち、一部のティース10に装着される。ティース10は、コイル5が装着される装着ティース11と、コイル5が装着されない非装着ティース12とを含む。
【0029】
実施形態において、コイル5の巻線方式は、1つのコイル5が複数のティース10に装着される分布巻である。実施形態において、1つのコイル5が2つのティース10(装着ティース11)に装着される。すなわち、コイル5は、2スロットピッチでステータコア4に支持される。また、コイル5の巻線方式は、1つのコイル5が1つのスロット13に配置される単層巻である。
【0030】
コイル5は、コイル本体部15と、コイルエンド部16とを有する。コイル本体部15は、スロット13に配置される。コイルエンド部16は、ステータコア4から軸方向に突出する。
【0031】
コイル本体部15は、コイル5に一対設けられる。コイル本体部15は、第1コイル本体部151と、第2コイル本体部152とを含む。1つのコイル本体部15が1つのスロット13に配置される。第1コイル本体部151が所定のスロット13に配置された場合、第2コイル本体部152は、第1コイル本体部151が配置されているスロット13の2つ隣のスロット13に配置される。
【0032】
コイルエンド部16は、コイル5に一対設けられる。コイルエンド部16は、第1コイルエンド部161と、第2コイルエンド部162とを含む。第1コイルエンド部161は、ステータコア4の端面4Aから軸方向一方側に突出する。第2コイルエンド部162は、ステータコア4の端面4Bから軸方向他方側に突出する。
【0033】
コイル5は、ステータコア4の中心から第1距離に配置される外側コイル5oと、ステータコア4の中心から第1距離も短い第2距離に配置される内側コイル5iとを含む。ステータコア4の中心は、回転AXに一致する。
【0034】
第1距離とは、径方向における回転軸AXと外側コイル5oの径方向内側の端部との距離をいう。第2距離とは、径方向における回転軸AXと内側コイル5iの径方向内側の端部との距離をいう。
【0035】
内側コイル5iの径方向内側の端部は、外側コイル5oの径方向内側の端部よりも径方向内側に配置される。実施形態においては、内側コイル5iの全部が、外側コイル5oよりも径方向内側に配置される。
【0036】
モータ1は、3相モータである。コイル5は、U相コイル5Uと、V相コイル5Vと、W相コイル5Wとを含む。U相コイル5Uは、複数設けられる。U相コイル5Uは、2スロットピッチでステータコア4に支持される。V相コイル5Vは、複数設けられる。V相コイル5Vは、2スロットピッチでステータコア4に支持される。W相コイル5Wは、複数設けられる。W相コイル5Wは、2スロットピッチでステータコア4に支持される。
【0037】
U相コイル5Uの数とV相コイル5Vの数とW相コイル5Wの数とは、等しい。図2に示す例において、U相コイル5Uは、4個設けられる。V相コイル5Vは、4個設けられる。W相コイル5Wは、4個設けられる。コイル5の数は、12である。
【0038】
外側コイル5oは、外側U相コイル5Uoと、外側V相コイル5Voと、外側W相コイル5Woとを含む。内側コイル5iは、内側U相コイル5Uiと、内側V相コイル5Viと、内側W相コイル5Wiとを含む。
【0039】
U相コイル5Uは、外側U相コイル5Uoと、内側U相コイル5Uiとを含む。複数のU相コイル5Uは、周方向において相互に異なる位置に配置される。U相コイル5Uが4個設けられる場合、4個のU相コイル5Uは、回転軸AXを中心に約90[°]の間隔で配置される。U相コイル5Uが4個設けられる場合、外側U相コイル5Uoは、2個設けられ、内側U相コイル5Uiは、2個設けられる。外側U相コイル5Uoと内側U相コイル5Uiとは、周方向に交互に配置される。2個の外側U相コイル5Uoは、径方向に対向して配置される。2個の内側U相コイル5Uiは、径方向に対向して配置される。
【0040】
V相コイル5Vは、外側V相コイル5Voと、内側V相コイル5Viとを含む。複数のV相コイル5Vは、周方向において相互に異なる位置に配置される。V相コイル5Vが4個設けられる場合、4個のV相コイル5Vは、回転軸AXを中心に約90[°]の間隔で配置される。V相コイル5Vが4個設けられる場合、外側V相コイル5Voは、2個設けられ、内側V相コイル5Viは、2個設けられる。外側V相コイル5Voと内側V相コイル5Viとは、周方向に交互に配置される。2個の外側V相コイル5Voは、径方向に対向して配置される。2個の内側V相コイル5Viは、径方向に対向して配置される。
【0041】
W相コイル5Wは、外側W相コイル5Woと、内側W相コイル5Wiとを含む。複数のW相コイル5Wは、周方向において相互に異なる位置に配置される。W相コイル5Wが4個設けられる場合、4個のW相コイル5Wは、回転軸AXを中心に約90[°]の間隔で配置される。W相コイル5Wが4個設けられる場合、外側W相コイル5Woは、2個設けられ、内側W相コイル5Wiは、2個設けられる。外側W相コイル5Woと内側W相コイル5Wiとは、周方向に交互に配置される。2個の外側W相コイル5Woは、径方向に対向して配置される。2個の内側W相コイル5Wiは、径方向に対向して配置される。
【0042】
実施形態において、スロット13は、外側コイル5oが配置される第1スロット131と、内側コイル5iが配置される第2スロット132とを含む。
【0043】
第1スロット131は、複数設けられる。複数の第1スロット131は、周方向において異なる位置に設けられる。第2スロット132は、複数設けられる。複数の第2スロット132は、周方向において異なる位置に設けられる。
【0044】
実施形態においては、1つの第1スロット131と1つの第2スロット132とが、周方向に交互に配置される。
【0045】
外側U相コイル5Uoのコイル本体部15、外側V相コイル5Voのコイル本体部15、及び外側W相コイル5Woのコイル本体部15のそれぞれが、第1スロット131に配置される。外側U相コイル5Uoの第1コイル本体部151が所定の第1スロット131に配置された場合、外側U相コイル5Uoの第2コイル本体部152は、第1コイル本体部151が配置されている第1スロット131の隣の第1スロット131に配置される。外側V相コイル5Vo及び外側W相コイル5Woについても同様である。
【0046】
内側U相コイル5Uiのコイル本体部15、内側V相コイル5Viのコイル本体部15、及び内側W相コイル5Wiのコイル本体部15のそれぞれが、第2スロット132に配置される。内側U相コイル5Uiの第1コイル本体部151が所定の第2スロット132に配置された場合、内側U相コイル5Uiの第2コイル本体部152は、第1コイル本体部151が配置されている第2スロット132の隣の第2スロット132に配置される。内側V相コイル5Vi及び内側W相コイル5Wiについても同様である。
【0047】
第1スロット131の深さは、第2スロット132の深さよりも深い。スロット13の深さとは、径方向におけるスロット13の寸法をいう。すなわち、スロット13の深さとは、径方向における内面4S(開口13A)と外端面13Bとの距離をいう。
【0048】
図3に示すように、第1スロット131におけるヨーク厚さD1は、第2スロット132におけるヨーク厚さD2よりも小さい。スロット13におけるヨーク厚さとは、径方向における外端面13Bと外面4Tとの距離をいう。
【0049】
実施形態においては、外側コイル5oと内側コイル5iの一部とが径方向に重なるように配置される。1つの内側コイル5iと、内側コイル5iの一部に径方向に重なるように配置される1つの外側コイル5oとにより、1つのコイルセット30が形成される。
【0050】
コイルセット30は、装着ティース11に装着される。コイルセット30は、非装着ティース12には装着されない。
【0051】
1つのコイルセット30において、内側コイル5iの位置と外側コイル5oの位置とは、周方向において1つのティース10の寸法だけずれている。
【0052】
1つのコイルセット30において、内側コイル5iの相と外側コイル5oの相とは、異なる。
【0053】
図2に示す例において、コイル5の数は、12である。コイル5の数が12である場合、コイルセット30は、第1コイルセット31と、第2コイルセット32と、第3コイルセット33と、第4コイルセット34と、第5コイルセット35と、第6コイルセット36とを含む。
【0054】
第1コイルセット31は、内側U相コイル5Uiと、内側U相コイル5Uiの一部に重なるように配置される外側V相コイル5Voとにより形成される。内側U相コイル5Uiは、外側V相コイル5Voよりも径方向内側に配置される。周方向において、内側U相コイル5Uiの位置と外側V相コイル5Voの位置とは、1つのティース10の寸法だけずれている。
【0055】
第2コイルセット32は、内側V相コイル5Viと、内側V相コイル5Viの一部に重なるように配置される外側W相コイル5Woとにより形成される。内側V相コイル5Viは、外側W相コイル5Woよりも径方向内側に配置される。周方向において、内側V相コイル5Viの位置と外側W相コイル5Woの位置とは、1つのティース10の寸法だけずれている。
【0056】
第3コイルセット33は、内側W相コイル5Wiと、内側W相コイル5Wiの一部に重なるように配置される外側U相コイル5Uoとにより形成される。内側W相コイル5Wiは、外側U相コイル5Uoよりも径方向内側に配置される。周方向において、内側W相コイル5Wiの位置と外側U相コイル5Uoの位置とは、1つのティース10の寸法だけずれている。
【0057】
第4コイルセット34は、内側U相コイル5Uiと、内側U相コイル5Uiの一部に重なるように配置される外側V相コイル5Voとにより形成される。内側U相コイル5Uiは、外側V相コイル5Voよりも径方向内側に配置される。周方向において、内側U相コイル5Uiの位置と外側V相コイル5Voの位置とは、1つのティース10の寸法だけずれている。
【0058】
第5コイルセット35は、内側V相コイル5Viと、内側V相コイル5Viの一部に重なるように配置される外側W相コイル5Woとにより形成される。内側V相コイル5Viは、外側W相コイル5Woよりも径方向内側に配置される。周方向において、内側V相コイル5Viの位置と外側W相コイル5Woの位置とは、1つのティース10の寸法だけずれている。
【0059】
第6コイルセット36は、内側W相コイル5Wiと、内側W相コイル5Wiの一部と重なるように配置される外側U相コイル5Uoとにより形成される。内側W相コイル5Wiは、外側U相コイル5Uoよりも径方向内側に配置される。周方向において、内側W相コイル5Wiの位置と外側U相コイル5Uoの位置とは、1つのティース10の寸法だけずれている。
【0060】
第1コイルセット31と第2コイルセット32と第3コイルセット33と第4コイルセット34と第5コイルセット35と第6コイルセット36とは、重ならないように配置される。すなわち、周方向において、第1コイルセット31の位置と第2コイルセット32の位置と第3コイルセット33の位置と第4コイルセット34の位置と第5コイルセット35の位置と第6コイルセット36の位置とは、異なる。
【0061】
[第1実施例:スロットの数が24である場合]
以下、ステータコア4のスロット13の数が24であり、コイル5の数が12である場合について説明する。2以上の整数をnとした場合、第1実施例に係るステータコア4のスロット13の数は、12×nの条件を満足する。
【0062】
<駆動回路>
図4は、実施形態に係るモータ1の駆動回路20を示す図である。図4に示すように、駆動回路20は、U相コイル5Uに電流を供給するU相駆動部20Uと、V相コイル5Vに電流を供給するV相駆動部20Vと、W相コイル5Wに電流を供給するW相駆動部20Wとを含む。U相コイル5UとV相コイル5Vとは、結線されていない。V相コイル5VとW相コイル5Wとは、結線されていない。W相コイル5WとU相コイル5Uとは、結線されていない。
【0063】
U相駆動部20Uは、電源部14のプラス側端子に接続される接続部21A及び接続部21Bと、電源部14のマイナス側端子に接続される接続部21C及び接続部21Dとを有する。
【0064】
また、U相駆動部20Uは、U相コイル5Uの一端側及び他端側のそれぞれに接続されるスイッチング素子Sを有する。スイッチング素子Sは、第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2、第3スイッチング素子S3、及び第4スイッチング素子S4を含む。第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2、第3スイッチング素子S3、及び第4スイッチング素子S4のそれぞれに、ダイオードDが並列に接続される。
【0065】
スイッチング素子Sとして、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)又はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が例示される。なお、スイッチング素子Sは、MOSFET又はIGBTでなくてもよい。
【0066】
第1スイッチング素子S1と第3スイッチング素子S3とは、接続部21Aと接続部21Cとの間において直列に接続される。第1スイッチング素子S1は、第3スイッチング素子S3よりも接続部21Aに近い位置に配置される。第4スイッチング素子S4と第2スイッチング素子S2とは、接続部21Bと接続部21Dとの間において直列に接続される。第4スイッチング素子S4は、第2スイッチング素子S2よりも接続部21Bに近い位置に配置される。第1スイッチング素子S1及び第3スイッチング素子S3と、第4スイッチング素子S4及び第2スイッチング素子S2とは、並列に接続される。
【0067】
また、U相駆動部20Uは、第1スイッチング素子S1と第3スイッチング素子S3との間に配置される電流の第1入力端部21iと、第4スイッチング素子S4と第2スイッチング素子S2との間に配置される電流の第1出力端部21oとを有する。U相コイル5Uの一端部は、第1入力端部21iに接続される。U相コイル5Uの他端部は、第1出力端部21oに接続される。
【0068】
第1スイッチング素子S1のコレクタ端子は、接続部21Aに接続される。第1スイッチング素子S1のエミッタ端子は、第1入力端部21iを介して第3スイッチング素子S3のコレクタ端子のそれぞれに接続される。第3スイッチング素子S3のエミッタ端子は、接続部21Cに接続される。
【0069】
第4スイッチング素子S4のコレクタ端子は、接続部21Bに接続される。第4スイッチング素子S4のエミッタ端子は、第1出力端部21oを介して第2スイッチング素子S2のコレクタ端子に接続される。第2スイッチング素子S2のエミッタ端子は、接続部21Dに接続される。
【0070】
複数のU相コイル5Uは、電流の第1入力端部21iと電流の第1出力端部21oとの間において直列に接続される。U相コイル5Uは、第1U相コイル5U1と、第2U相コイル5U2と、第3U相コイル5U3と、第4U相コイル5U4とを含む。第1U相コイル5U1の一端部は、第1入力端部21iに接続される。第1U相コイル5U1の他端部は、渡り線24Aを介して第2U相コイル5U2の一端部に接続される。第2U相コイル5U2の他端部は、渡り線24Bを介して第3U相コイル5U3の一端部に接続される。第3U相コイル5U3の他端部は、渡り線24Cを介して第4U相コイル5U4の一端部に接続される。第4U相コイル5U4の他端部は、第1出力端部21oに接続される。
【0071】
V相駆動部20Vは、電源部14のプラス側端子に接続される接続部22A及び接続部22Bと、電源部14のマイナス側端子に接続される接続部22C及び接続部22Dとを有する。
【0072】
また、V相駆動部20Vは、第1スイッチング素子S1と、第2スイッチング素子S2と、第3スイッチング素子S3と、第4スイッチング素子S4とを有する。
【0073】
V相駆動部20Vにおいて、第1スイッチング素子S1と第3スイッチング素子S3とは、接続部22Aと接続部22Cとの間において直列に接続される。第1スイッチング素子S1は、第3スイッチング素子S3よりも接続部22Aに近い位置に配置される。V相駆動部20Vにおいて、第4スイッチング素子S4と第2スイッチング素子S2とは、接続部22Bと接続部22Dとの間において直列に接続される。第4スイッチング素子S4は、第2スイッチング素子S2よりも接続部22Bに近い位置に配置される。
【0074】
また、V相駆動部20Vは、第1スイッチング素子S1と第3スイッチング素子S3との間に配置される電流の第2入力端部22iと、第4スイッチング素子S4と第2スイッチング素子S2との間に配置される電流の第2出力端部22oとを有する。V相コイル5Vの一端部は、第2入力端部22iに接続される。V相コイル5Vの他端部は、第2出力端部22oに接続される。
【0075】
V相駆動部20Vにおいて、第1スイッチング素子S1のコレクタ端子は、接続部22Aに接続される。第1スイッチング素子S1のエミッタ端子は、第2入力端部22iを介して第3スイッチング素子S3のコレクタ端子のそれぞれに接続される。第3スイッチング素子S3のエミッタ端子は、接続部22Cに接続される。
【0076】
V相駆動部20Vにおいて、第4スイッチング素子S4のコレクタ端子は、接続部22Bに接続される。第4スイッチング素子S4のエミッタ端子は、第2出力端部22oを介して第2スイッチング素子S2のコレクタ端子に接続される。第2スイッチング素子S2のエミッタ端子は、接続部22Dに接続される。
【0077】
複数のV相コイル5Vは、電流の第2入力端部22iと電流の第2出力端部22oとの間において直列に接続される。V相コイル5Vは、第1V相コイル5V1と、第2V相コイル5V2と、第3V相コイル5V3と、第4V相コイル5V4とを含む。第1V相コイル5V1の一端部は、第2入力端部22iに接続される。第1V相コイル5V1の他端部は、渡り線25Aを介して第2V相コイル5V2の一端部に接続される。第2V相コイル5V2の他端部は、渡り線25Bを介して第3V相コイル5V3の一端部に接続される。第3V相コイル5V3の他端部は、渡り線25Cを介して第4V相コイル5V4の一端部に接続される。第4V相コイル5V4の他端部は、第2出力端部22oに接続される。
【0078】
W相駆動部20Wは、電源部14のプラス側端子に接続される接続部23A及び接続部23Bと、電源部14のマイナス側端子に接続される接続部23C及び接続部23Dとを有する。
【0079】
また、W相駆動部20Wは、第1スイッチング素子S1と、第2スイッチング素子S2と、第3スイッチング素子S3と、第4スイッチング素子S4とを有する。
【0080】
W相駆動部20Wにおいて、第1スイッチング素子S1と第3スイッチング素子S3とは、接続部23Aと接続部23Cとの間において直列に接続される。第1スイッチング素子S1は、第3スイッチング素子S3よりも接続部23Aに近い位置に配置される。W相駆動部20Wにおいて、第4スイッチング素子S4と第2スイッチング素子S2とは、接続部23Bと接続部23Dとの間において直列に接続される。第4スイッチング素子S4は、第2スイッチング素子S2よりも接続部23Bに近い位置に配置される。
【0081】
また、W相駆動部20Wは、第1スイッチング素子S1と第3スイッチング素子S3との間に配置される電流の第3入力端部23iと、第4スイッチング素子S4と第2スイッチング素子S2との間に配置される電流の第3出力端部23oとを有する。W相コイル5Wの一端部は、第3入力端部23iに接続される。W相コイル5Wの他端部は、第3出力端部23oに接続される。
【0082】
W相駆動部20Wにおいて、第1スイッチング素子S1のコレクタ端子は、接続部23Aに接続される。第1スイッチング素子S1のエミッタ端子は、第3入力端部23iを介して第3スイッチング素子S3のコレクタ端子のそれぞれに接続される。第3スイッチング素子S3のエミッタ端子は、接続部23Cに接続される。
【0083】
W相駆動部20Wにおいて、第4スイッチング素子S4のコレクタ端子は、接続部23Bに接続される。第4スイッチング素子S4のエミッタ端子は、第3出力端部23oを介して第2スイッチング素子S2のコレクタ端子に接続される。第2スイッチング素子S2のエミッタ端子は、接続部23Dに接続される。
【0084】
複数のW相コイル5Wは、電流の第3入力端部23iと電流の第3出力端部23oとの間において直列に接続される。W相コイル5Wは、第1W相コイル5W1と、第2W相コイル5W2と、第3W相コイル5W3と、第4W相コイル5W4とを含む。第1W相コイル5W1の一端部は、第3入力端部23iに接続される。第1W相コイル5W1の他端部は、渡り線26Aを介して第2W相コイル5W2の一端部に接続される。第2W相コイル5W2の他端部は、渡り線26Bを介して第3W相コイル5W3の一端部に接続される。第3W相コイル5W3の他端部は、渡り線26Cを介して第4W相コイル5W4の一端部に接続される。第4W相コイル5W4の他端部は、第3出力端部23oに接続される。
【0085】
図5及び図6のそれぞれは、実施形態に係るU相駆動部20Uの動作例を示す図である。スイッチング素子Sは、オン又はオフされる。実施形態においては、第1スイッチング素子S1と第2スイッチング素子S2とが同時にオン又はオフされる。第3スイッチング素子S3と第4スイッチング素子S4とが同時にオン又はオフされる。第1スイッチング素子S1及び第2スイッチング素子S2がオンされる場合、第3スイッチング素子S3及び第4スイッチング素子S4がオフされる。第1スイッチング素子S1及び第2スイッチング素子S2がオフされる場合、第3スイッチング素子S3及び第4スイッチング素子S4がオンされる。
【0086】
図5は、接続部21Aの電圧がプラスの状態で、第1スイッチング素子S1及び第2スイッチング素子S2がオンされ、第3スイッチング素子S3及び第4スイッチング素子S4がオフされた状態を示す。図5に示す状態の場合、接続部21Aから第1スイッチング素子S1及び第1入力端部21iを介してU相コイル5Uの一端部に電流が流れ、U相コイル5Uの他端部から第1出力端部21o及び第2スイッチング素子S2を介して接続部21Dに電流が流れる。
【0087】
図5に示す状態においては、第1入力端部21iの電圧がプラスであり、第1出力端部21oの電圧がマイナスである。また、接続部21Aの電圧を+Vとし、接続部21Dの電圧を-Vとした場合、第1入力端部21iの電圧が+V/2であり、第1出力端部21oの電圧が-V/2である。
【0088】
図6は、接続部21Aの電圧がマイナスの状態で、第3スイッチング素子S3及び第4スイッチング素子S4がオンされ、第1スイッチング素子S1及び第2スイッチング素子S2がオフされた状態を示す。図6に示す状態の場合、接続部21Cから第3スイッチング素子S3及び第1入力端部21iを介してU相コイル5Uの一端部に電流が流れ、U相コイル5Uの他端部から第1出力端部21o及び第4スイッチング素子S4を介して接続部21Bに電流が流れる。
【0089】
図6に示す状態においては、第1入力端部21iの電圧がマイナスであり、第1出力端部21oの電圧がプラスである。また、接続部21Cの電圧を-Vとし、接続部21Dの電圧を+Vとした場合、第1入力端部21iの電圧が-V/2であり、第1出力端部21oの電圧が+V/2である。
【0090】
以上、図5及び図6を参照しながらU相駆動部20Uの動作例について説明した。U相駆動部20Uと同様、第2入力端部22iの電圧がプラスであり第2出力端部22oの電圧がマイナスである状態と、第2入力端部22iの電圧がマイナスであり第2出力端部22oの電圧がプラスである状態とに変化するように、V相駆動部20Vのスイッチング素子Sが制御される。第3入力端部23iの電圧がプラスであり第3出力端部23oの電圧がマイナスである状態と、第3入力端部23iの電圧がマイナスであり第3出力端部23oの電圧がプラスである状態とに変化するように、W相駆動部20Wのスイッチング素子Sが制御される。
【0091】
以下の説明において、図5に示した状態のような、入力端部(21i,22i,23i)の電圧がプラスであり出力端部(21o,22o,23o)の電圧がマイナスである状態を適宜、第1印加状態、と称し、図6に示した状態のような、入力端部(21i,22i,23i)の電圧がマイナスであり出力端部(21o,22o,23o)の電圧がプラスである状態を適宜、第2印加状態、と称する。
【0092】
図7図8、及び図9のそれぞれは、実施形態に係る駆動回路20の駆動例を模式的に示す図である。モータ1を駆動する場合、U相駆動部20U、V相駆動部20V、及びW相駆動部20Wのそれぞれが、第1印加状態と第2印加状態とに変化するように制御される。
【0093】
図7に示すように、U相駆動部20Uが第2印加状態になるようにU相駆動部20Uのスイッチング素子Sが制御された場合、V相駆動部20Vが第1印加状態になるようにV相駆動部20Vのスイッチング素子Sが制御される。図7に示すU相駆動部20Uにおいて、第1入力端部21iの電圧は-V/2であり、第1U相コイル5U1と第2U相コイル5U2との間の電圧は-V/4であり、第2U相コイル5U2と第3U相コイル5U3との間の電圧は0であり、第3U相コイル5U3と第4U相コイル5U4との間の電圧は+V/4であり、第1出力端部21oの電圧は+V/2である。図7に示すV相駆動部20Vにおいて、第2入力端部22iの電圧は+V/2であり、第1V相コイル5V1と第2V相コイル5V2との間の電圧は+V/4であり、第2V相コイル5V2と第3V相コイル5V3との間の電圧は0であり、第3V相コイル5V3と第4V相コイル5V4との間の電圧は-V/4であり、第2出力端部22oの電圧は-V/2である。
【0094】
図8に示すように、V相駆動部20Vが第2印加状態になるようにV相駆動部20Vのスイッチング素子Sが制御された場合、W相駆動部20Wが第1印加状態になるようにW相駆動部20Wのスイッチング素子Sが制御される。図8に示すV相駆動部20Vにおいて、第2入力端部22iの電圧は-V/2であり、第1V相コイル5V1と第2V相コイル5V2との間の電圧は-V/4であり、第2V相コイル5V2と第3V相コイル5V3との間の電圧は0であり、第3V相コイル5V3と第4V相コイル5V4との間の電圧は+V/4であり、第2出力端部22oの電圧は+V/2である。図8に示すW相駆動部20Wにおいて、第3入力端部23iの電圧は+V/2であり、第1W相コイル5W1と第2W相コイル5W2との間の電圧は+V/4であり、第2W相コイル5W2と第3W相コイル5W3との間の電圧は0であり、第3W相コイル5W3と第4W相コイル5W4との間の電圧は-V/4であり、第3出力端部23oの電圧は-V/2である。
【0095】
図9に示すように、W相駆動部20Wが第2印加状態になるようにW相駆動部20Wのスイッチング素子Sが制御された場合、U相駆動部20Uが第1印加状態になるようにU相駆動部20Uのスイッチング素子Sが制御される。図9に示すW相駆動部20Wにおいて、第3入力端部23iの電圧は-V/2であり、第1W相コイル5W1と第2W相コイル5W2との間の電圧は-V/4であり、第2W相コイル5W2と第3W相コイル5W3との間の電圧は0であり、第3W相コイル5W3と第4W相コイル5W4との間の電圧は+V/4であり、第3出力端部23oの電圧は+V/2である。図9に示すU相駆動部20Uにおいて、第1入力端部21iの電圧は+V/2であり、第1U相コイル5U1と第2U相コイル5U2との間の電圧は+V/4であり、第2U相コイル5U2と第3U相コイル5U3との間の電圧は0であり、第3U相コイル5U3と第4U相コイル5U4との間の電圧は-V/4であり、第1出力端部21oの電圧は-V/2である。
【0096】
<コイルセット>
複数のU相コイル5Uのそれぞれに、第1入力端部21iからのU相コイル5Uの順番を示す序数(第1序数)が付与される。第1入力端部21iからU相コイル5Uまでの距離(電気的距離)が長いほど、付与される序数が大きい。第1U相コイル5U1は、第1入力端部21iから1番目のU相コイル5Uである。第2U相コイル5U2は、第1入力端部21iから2番目のU相コイル5Uである。第3U相コイル5U3は、第1入力端部21iから3番目のU相コイル5Uである。第4U相コイル5U4は、第1入力端部21iから4番目のU相コイル5Uである。
【0097】
複数のV相コイル5Vのそれぞれに、第2入力端部22iからのV相コイル5Vの順番を示す序数(第2序数)が付与される。第2入力端部22iからV相コイル5Vまでの距離(電気的距離)が長いほど、付与される序数が大きい。第1V相コイル5V1は、第2入力端部22iから1番目のV相コイル5Vである。第2V相コイル5V2は、第2入力端部22iから2番目のV相コイル5Vである。第3V相コイル5V3は、第2入力端部22iから3番目のV相コイル5Vである。第4V相コイル5V4は、第2入力端部22iから4番目のV相コイル5Vである。
【0098】
複数のW相コイル5Wのそれぞれに、第3入力端部23iからのW相コイル5Wの順番を示す序数(第3序数)が付与される。第3入力端部23iからW相コイル5Wまでの距離(電気的距離)が長いほど、付与される序数が大きい。第1W相コイル5W1は、第3入力端部23iから1番目のW相コイル5Wである。第2W相コイル5W2は、第3入力端部23iから2番目のW相コイル5Wである。第3W相コイル5W3は、第3入力端部23iから3番目のW相コイル5Wである。第4W相コイル5W4は、第3入力端部23iから4番目のW相コイル5Wである。
【0099】
なお、入力端部(21i,22i,23i)からコイル5(5U,5V,5W)までの距離(電気的距離)とは、入力端部(21i,22i,23i)からコイル5(5U,5V,5W)まで電流が流れる距離をいう。
【0100】
図10は、実施形態に係るステータコア4に支持されたコイルセット30を示す斜視図である。図11は、実施形態に係るコイルセット30を形成するコイル5を説明するための図である。
【0101】
図10及び図11に示すように、複数のU相コイル5Uと複数のV相コイル5Vと複数のW相コイル5Wとにより複数のコイルセット30が形成される。
【0102】
コイルセット30を形成する第1入力端部21iからのU相コイル5Uの序数(第1序数)と、第2入力端部22iからのV相コイル5Vの序数(第2序数)とは、異なる。
【0103】
コイルセット30を形成する第2入力端部22iからのV相コイル5Vの序数(第2序数)と、第3入力端部23iからのW相コイル5Wの序数(第3序数)とは、異なる。
【0104】
コイルセット30を形成する第3入力端部23iからのW相コイル5Wの序数(第3序数)と、第1入力端部21iからのU相コイル5Uの序数(第1序数)とは、異なる。
【0105】
第1入力端部21iから1番目の第1U相コイル5U1と、第2入力端部22iから4番目の第4V相コイル5V4とにより、第1コイルセット31が形成される。第4V相コイル5V4は、第1U相コイル5U1の一部に重なるように配置される。第1U相コイル5U1の序数(1番目)と第4V相コイル5V4の序数(4番目)との和は、5である。
【0106】
第2入力端部22iから1番目の第1V相コイル5V1と、第3入力端部23iから4番目の第4W相コイル5W4とにより、第2コイルセット32が形成される。第4W相コイル5W4は、第1V相コイル5V1の一部に重なるように配置される。第1V相コイル5V1の序数(1番目)と第4W相コイル5W4の序数(4番目)との和は、5である。
【0107】
第3入力端部23iから1番目の第1W相コイル5W1と、第1入力端部21iから4番目の第4U相コイル5U4とにより、第3コイルセット33が形成される。第4U相コイル5U4は、第1V相コイル5V1の一部に重なるように配置される。第1W相コイル5W1の序数(1番目)と第4U相コイル5U4の序数(4番目)との和は、5である。
【0108】
第1入力端部21iから3番目の第3U相コイル5U3と、第2入力端部22iから2番目の第2V相コイル5V2とにより、第4コイルセット34が形成される。第2V相コイル5V2は、第3U相コイル5U3の一部に重なるように配置される。第3U相コイル5U3の序数(3番目)と第2V相コイル5V2の序数(2番目)との和は、5である。
【0109】
第2入力端部22iから3番目の第3V相コイル5V3と、第3入力端部23iから2番目の第2W相コイル5W2とにより、第5コイルセット35が形成される。第2W相コイル5W2は、第3V相コイル5V3の一部に重なるように配置される。第3V相コイル5V3の序数(3番目)と第2W相コイル5W2の序数(2番目)との和は、5である。
【0110】
第3入力端部23iから3番目の第3W相コイル5W3と、第1入力端部21iから2番目の第2U相コイル5U2とにより、第6コイルセット36が形成される。第2U相コイル5U2は、第3W相コイル5W3の一部に重なるように配置される。第3W相コイル5W3の序数(3番目)と第2U相コイル5U2の序数(2番目)との和は、5である。
【0111】
このように、第1コイルセット31の序数の和、第2コイルセット32の序数の和、第3コイルセット33の序数の和、第4コイルセット34の序数の和、第5コイルセット35の序数の和、及び第6コイルセット36の序数の和は、いずれも5である。すなわち、複数のコイルセット30(31,32,33,34,35,36)のそれぞれの序数の和は、相互に等しい。
【0112】
[第2実施例:スロットの数が36である場合]
次に、ステータコア4のスロット13の数が36であり、コイル5の数が18である場合について説明する。2以上の整数をnとした場合、第2実施例に係るステータコア4のスロット13の数は、12×nの条件を満足する。
【0113】
<駆動回路>
図12は、実施形態に係る駆動回路20の駆動例を模式的に示す図である。実施形態において、コイル5は、18個設けられる。U相コイル5Uは、6個設けられる。V相コイル5Vは、6個設けられる。W相コイル5Wは、6個設けられる。
【0114】
6個のU相コイル5Uは、電流の第1入力端部21iと第1出力端部21oとの間において直列に接続される。U相コイル5Uは、第1入力端部21iから1番目の第1U相コイル5U1と、2番目の第2U相コイル5U2と、3番目の第3U相コイル5U3と、4番目の第4U相コイル5U4と、5番目の第5U相コイル5U5と、6番目の第6U相コイル5U6とを含む。
【0115】
6個のV相コイル5Vは、電流の第2入力端部22iと第2出力端部22oとの間において直列に接続される。V相コイル5Vは、第2入力端部22iから1番目の第1V相コイル5V1と、2番目の第2V相コイル5V2と、3番目の第3V相コイル5V3と、4番目の第4V相コイル5V4と、5番目の第5V相コイル5V5と、6番目の第6V相コイル5V6とを含む。
【0116】
6個のW相コイル5Wは、電流の第3入力端部23iと第3出力端部23oとの間において直列に接続される。W相コイル5Wは、第3入力端部23iから1番目の第1W相コイル5W1と、2番目の第2W相コイル5W2と、3番目の第3W相コイル5W3と、4番目の第4W相コイル5W4と、5番目の第5W相コイル5W5と、6番目の第6W相コイル5W6とを含む。
【0117】
図12に示すように、U相駆動部20Uが第2印加状態になるようにU相駆動部20Uのスイッチング素子Sが制御された場合、V相駆動部20Vが第1印加状態になるようにV相駆動部20Vのスイッチング素子Sが制御される。図12に示すU相駆動部20Uにおいて、第1入力端部21iの電圧は-V/2であり、第1U相コイル5U1と第2U相コイル5U2との間の電圧は-V/3であり、第2U相コイル5U2と第3U相コイル5U3との間の電圧は-V/6であり、第3U相コイル5U3と第4U相コイル5U4との間の電圧は0であり、第4U相コイル5U4と第5U相コイル5U5の間の電圧は+V/6であり、第5U相コイル5U5と第6U相コイル5U6の間の電圧は+V/3であり、第1出力端部21oの電圧は+V/2である。図12に示すV相駆動部20Vにおいて、第2入力端部22iの電圧は+V/2であり、第1V相コイル5V1と第2V相コイル5V2との間の電圧は+V/3であり、第2V相コイル5V2と第3V相コイル5V3との間の電圧は+V/6であり、第3V相コイル5V3と第4V相コイル5V4との間の電圧は0であり、第4V相コイル5V4と第5V相コイル5V5との間の電圧は-V/6であり、第5V相コイル5V5と第6V相コイル5V6との間の電圧は-V/3であり、第2出力端部22oの電圧は-V/2である。
【0118】
なお、V相駆動部20Vが第2印加状態になるようにV相駆動部20Vのスイッチング素子Sが制御された場合、W相駆動部20Wが第1印加状態になるようにW相駆動部20Wのスイッチング素子Sが制御される。W相駆動部20Wが第2印加状態になるようにW相駆動部20Wのスイッチング素子Sが制御された場合、U相駆動部20Uが第1印加状態になるようにU相駆動部20Uのスイッチング素子Sが制御される。
【0119】
<コイルセット>
図13は、実施形態に係るステータコア4に支持されたコイルセット30を示す斜視図である。図14は、実施形態に係るコイルセット30を形成するコイル5を説明するための図である。
【0120】
実施形態において、ステータコア4には、スロット13が36個設けられる。複数のU相コイル5Uと複数のV相コイル5Vと複数のW相コイル5Wとにより複数のコイルセット30が形成される。
【0121】
第1入力端部21iから1番目の第1U相コイル5U1と、第2入力端部22iから6番目の第6V相コイル5V6とにより、第1コイルセット31が形成される。第1U相コイル5U1の序数(1番目)と第6V相コイル5V6の序数(6番目)との和は、7である。
【0122】
第2入力端部22iから1番目の第1V相コイル5V1と、第3入力端部23iから6番目の第6W相コイル5W6とにより、第2コイルセット32が形成される。第1V相コイル5V1の序数(1番目)と第6W相コイル5W6の序数(6番目)との和は、7である。
【0123】
第3入力端部23iから1番目の第1W相コイル5W1と、第1入力端部21iから6番目の第6U相コイル5U6とにより、第3コイルセット33が形成される。第1W相コイル5W1の序数(1番目)と第6U相コイル5U6の序数(6番目)との和は、7である。
【0124】
第1入力端部21iから5番目の第5U相コイル5U5と、第2入力端部22iから2番目の第2V相コイル5V2とにより、第4コイルセット34が形成される。第5U相コイル5U5の序数(5番目)と第2V相コイル5V2の序数(2番目)との和は、7である。
【0125】
第2入力端部22iから3番目の第3V相コイル5V3と、第3入力端部23iから4番目の第4W相コイル5W4とにより、第5コイルセット35が形成される。第3V相コイル5V3の序数(3番目)と第4W相コイル5W4の序数(4番目)との和は、7である。
【0126】
第3入力端部23iから3番目の第3W相コイル5W3と、第1入力端部21iから4番目の第4U相コイル5U4とにより、第6コイルセット36が形成される。第3W相コイル5W3の序数(3番目)と第4U相コイル5U4の序数(4番目)との和は、7である。
【0127】
第1入力端部21iから3番目の第3U相コイル5U3と、第2入力端部22iから4番目の第4V相コイル5V4とにより、第7コイルセット37が形成される。第3U相コイル5U3の序数(3番目)と第4V相コイル5V4の序数(4番目)との和は、7である。
【0128】
第2入力端部22iから5番目の第5V相コイル5V5と、第3入力端部23iから2番目の第2W相コイル5W2とにより、第8コイルセット38が形成される。第5V相コイル5V5の序数(5番目)と第2W相コイル5W2の序数(2番目)との和は、7である。
【0129】
第3入力端部23iから5番目の第5W相コイル5W5と、第1入力端部21iから2番目の第2U相コイル5U2とにより、第9コイルセット39が形成される。第5W相コイル5W5の序数(5番目)と第2U相コイル5U2の序数(2番目)との和は、7である。
【0130】
このように、第1コイルセット31の序数の和、第2コイルセット32の序数の和、第3コイルセット33の序数の和、第4コイルセット34の序数の和、第5コイルセット35の序数の和、第6コイルセット36の序数の和、第7コイルセット37の序数の和、第8コイルセット38の序数の和、及び第9コイルセット39の序数の和は、いずれも7である。すなわち、複数のコイルセット30(31,32,33,34,35,36,37,38,39)のそれぞれの序数の和は、相互に等しい。
【0131】
[第3実施例:スロットの数が48である場合]
次に、ステータコア4のスロット13の数が48であり、コイル5の数が24である場合について説明する。2以上の整数をnとした場合、第3実施例に係るステータコア4のスロット13の数は、12×nの条件を満足する。
【0132】
<駆動回路>
図15は、実施形態に係る駆動回路20の駆動例を模式的に示す図である。実施形態において、コイル5は、24個設けられる。U相コイル5Uは、8個設けられる。V相コイル5Vは、8個設けられる。W相コイル5Wは、8個設けられる。
【0133】
8個のU相コイル5Uは、電流の第1入力端部21iと第1出力端部21oとの間において直列に接続される。U相コイル5Uは、第1入力端部21iから1番目の第1U相コイル5U1と、2番目の第2U相コイル5U2と、3番目の第3U相コイル5U3と、4番目の第4U相コイル5U4と、5番目の第5U相コイル5U5と、6番目の第6U相コイル5U6と、7番目の第7U相コイル5U7と、8番目の第8U相コイル5U8とを含む。
【0134】
8個のV相コイル5Vは、電流の第2入力端部22iと第2出力端部22oとの間において直列に接続される。V相コイル5Vは、第2入力端部22iから1番目の第1V相コイル5V1と、2番目の第2V相コイル5V2と、3番目の第3V相コイル5V3と、4番目の第4V相コイル5V4と、5番目の第5V相コイル5V5と、6番目の第6V相コイル5V6と、7番目の第7V相コイル5V7と、8番目の第8V相コイル5V8とを含む。
【0135】
8個のW相コイル5Wは、電流の第3入力端部23iと第3出力端部23oとの間において直列に接続される。W相コイル5Wは、第3入力端部23iから1番目の第1W相コイル5W1と、2番目の第2W相コイル5W2と、3番目の第3W相コイル5W3と、4番目の第4W相コイル5W4と、5番目の第5W相コイル5W5と、6番目の第6W相コイル5W6と、7番目の第7W相コイル5W7と、8番目の第8W相コイル5W8とを含む。
【0136】
図15に示すように、U相駆動部20Uが第2印加状態になるようにU相駆動部20Uのスイッチング素子Sが制御された場合、V相駆動部20Vが第1印加状態になるようにV相駆動部20Vのスイッチング素子Sが制御される。図15に示すU相駆動部20Uにおいて、第1入力端部21iの電圧は-V/2であり、第1U相コイル5U1と第2U相コイル5U2との間の電圧は-3V/8であり、第2U相コイル5U2と第3U相コイル5U3との間の電圧は-V/4であり、第3U相コイル5U3と第4U相コイル5U4との間の電圧は-V/8であり、第4U相コイル5U4と第5U相コイル5U5の間の電圧は0であり、第5U相コイル5U5と第6U相コイル5U6の間の電圧は+V/8であり、第6U相コイル5U6と第7U相コイル5U7の間の電圧は+V/4であり、第7U相コイル5U7と第8U相コイル5U8の間の電圧は+3V/8であり、第1出力端部21oの電圧は+V/2である。図15に示すV相駆動部20Vにおいて、第2入力端部22iの電圧は+V/2であり、第1V相コイル5V1と第2V相コイル5V2との間の電圧は+3V/8であり、第2V相コイル5V2と第3V相コイル5V3との間の電圧は+V/4であり、第3V相コイル5V3と第4V相コイル5V4との間の電圧は+V/8であり、第4V相コイル5V4と第5V相コイル5V5との間の電圧は0であり、第5V相コイル5V5と第6V相コイル5V6との間の電圧は-V/8であり、第6V相コイル5V6と第7V相コイル5V7との間の電圧は-V/4であり、第7V相コイル5V7と第8V相コイル5V8との間の電圧は-3V/8であり、第2出力端部22oの電圧は-V/2である。
【0137】
なお、V相駆動部20Vが第2印加状態になるようにV相駆動部20Vのスイッチング素子Sが制御された場合、W相駆動部20Wが第1印加状態になるようにW相駆動部20Wのスイッチング素子Sが制御される。W相駆動部20Wが第2印加状態になるようにW相駆動部20Wのスイッチング素子Sが制御された場合、U相駆動部20Uが第1印加状態になるようにU相駆動部20Uのスイッチング素子Sが制御される。
【0138】
<コイルセット>
図16は、実施形態に係るステータコア4に支持されたコイルセット30を示す斜視図である。図17は、実施形態に係るコイルセット30を形成するコイル5を説明するための図である。
【0139】
実施形態において、ステータコア4には、スロット13が48個設けられる。複数のU相コイル5Uと複数のV相コイル5Vと複数のW相コイル5Wとにより複数のコイルセット30が形成される。
【0140】
第1入力端部21iから1番目の第1U相コイル5U1と、第2入力端部22iから8番目の第8V相コイル5V8とにより、第1コイルセット31が形成される。第1U相コイル5U1の序数(1番目)と第8V相コイル5V8の序数(8番目)との和は、9である。
【0141】
第2入力端部22iから1番目の第1V相コイル5V1と、第3入力端部23iから8番目の第8W相コイル5W8とにより、第2コイルセット32が形成される。第1V相コイル5V1の序数(1番目)と第8W相コイル5W8の序数(8番目)との和は、9である。
【0142】
第3入力端部23iから1番目の第1W相コイル5W1と、第1入力端部21iから8番目の第8U相コイル5U8とにより、第3コイルセット33が形成される。第1W相コイル5W1の序数(1番目)と第8U相コイル5U8の序数(8番目)との和は、9である。
【0143】
第1入力端部21iから7番目の第7U相コイル5U7と、第2入力端部22iから2番目の第2V相コイル5V2とにより、第4コイルセット34が形成される。第7U相コイル5U7の序数(7番目)と第2V相コイル5V2の序数(2番目)との和は、9である。
【0144】
第2入力端部22iから3番目の第3V相コイル5V3と、第3入力端部23iから6番目の第6W相コイル5W6とにより、第5コイルセット35が形成される。第3V相コイル5V3の序数(3番目)と第6W相コイル5W6の序数(6番目)との和は、9である。
【0145】
第3入力端部23iから3番目の第3W相コイル5W3と、第1入力端部21iから6番目の第6U相コイル5U6とにより、第6コイルセット36が形成される。第3W相コイル5W3の序数(3番目)と第6U相コイル5U6の序数(6番目)との和は、9である。
【0146】
第1入力端部21iから5番目の第5U相コイル5U5と、第2入力端部22iから4番目の第4V相コイル5V4とにより、第7コイルセット37が形成される。第5U相コイル5U5の序数(5番目)と第4V相コイル5V4の序数(4番目)との和は、9である。
【0147】
第2入力端部22iから5番目の第5V相コイル5V5と、第3入力端部23iから4番目の第4W相コイル5W4とにより、第8コイルセット38が形成される。第5V相コイル5V5の序数(5番目)と第4W相コイル5W4の序数(4番目)との和は、9である。
【0148】
第3入力端部23iから5番目の第5W相コイル5W5と、第1入力端部21iから4番目の第4U相コイル5U4とにより、第9コイルセット39が形成される。第5W相コイル5W5の序数(5番目)と第4U相コイル5U4の序数(4番目)との和は、9である。
【0149】
第1入力端部21iから3番目の第3U相コイル5U3と、第2入力端部22iから6番目の第6V相コイル5V6とにより、第10コイルセット310が形成される。第3U相コイル5U3の序数(3番目)と第6V相コイル5V6の序数(6番目)との和は、9である。
【0150】
第2入力端部22iから7番目の第7V相コイル5V7と、第3入力端部23iから2番目の第2W相コイル5W2とにより、第11コイルセット311が形成される。第7V相コイル5V7の序数(7番目)と第2W相コイル5W2の序数(2番目)との和は、9である。
【0151】
第3入力端部23iから7番目の第7W相コイル5W7と、第1入力端部21iから2番目の第2U相コイル5U2とにより、第12コイルセット312が形成される。第7W相コイル5W7の序数(7番目)と第2U相コイル5U2の序数(2番目)との和は、9である。
【0152】
このように、第1コイルセット31の序数の和、第2コイルセット32の序数の和、第3コイルセット33の序数の和、第4コイルセット34の序数の和、第5コイルセット35の序数の和、第6コイルセット36の序数の和、第7コイルセット37の序数の和、第8コイルセット38の序数の和、第9コイルセット39の序数の和、第10コイルセット310の序数の和、第11コイルセット311の序数の和、及び第12コイルセット312の序数の和は、いずれも9である。すなわち、複数のコイルセット30(31,32,33,34,35,36,37,38,39,310,311,312)のそれぞれの序数の和は、相互に等しい。
【0153】
[コイルの数と序数の和との関係]
上述の第1実施例においては、複数のコイルセット30(31,32,33,34,35,36)のそれぞれの序数の和は、いずれも5である。また、U相コイル5Uの数とV相コイル5Vの数とW相コイル5Wの数とは、等しい。U相コイル5Uの数は、4である。V相コイル5Vの数及びW相コイル5Wの数のそれぞれも4である。
【0154】
上述の第2実施例においては、複数のコイルセット30(31,32,33,34,35,36,37,38,39)のそれぞれの序数の和は、いずれも7である。また、U相コイル5Uの数とV相コイル5Vの数とW相コイル5Wの数とは、等しい。U相コイル5Uの数は、6である。V相コイル5Vの数及びW相コイル5Wの数のそれぞれも6である。
【0155】
上述の第3実施例においては、複数のコイルセット30(31,32,33,34,35,36,37,38,39,310,311,312)のそれぞれの序数の和は、いずれも9である。また、U相コイル5Uの数とV相コイル5Vの数とW相コイル5Wの数とは、等しい。U相コイル5Uの数は、8である。V相コイル5Vの数及びW相コイル5Wの数のそれぞれも8である。
【0156】
第1実施例、第2実施例、及び第3実施例のそれぞれにおいて、U相コイル5Uの数をNcとし、複数のコイルセット30のそれぞれの序数の和をSとした場合、以下の(1)式の条件が成立する。
【0157】
S=Nc+1 …(1)
【0158】
[効果]
以上説明したように、実施形態によれば、1つのコイルセット30を形成する第1のコイル5の序数と第2のコイル5の序数とが異なるので、第1のコイル5と第2のコイル5との電位差が小さくなる。第1のコイル5と第2のコイル5との電位差が小さいので、コイル5の絶縁破壊が抑制される。
【0159】
例えば、第1実施例において、第1コイルセット31を形成する場合、序数が1番目の第1U相コイル5U1と組み合わせられるV相コイル5Vは、序数が1番目の第1V相コイル5V1ではなく、序数が4番目の第4V相コイル5V4である。図5図6、及び図7を参照して説明したように、U相コイル5Uに対する電圧の印加状態とV相コイル5Vに対する電圧の印加状態とは、異なる。U相コイル5Uが第2印加状態で電圧を印加される場合、V相コイル5Vは第1印加状態で電圧を印加される。図7に示した例において、第1U相コイル5U1と第4V相コイル5V4との電位差は、V/4である。一方、第1U相コイル5U1と第1V相コイル5V1との電位差は、Vである。そのため、仮に、第1コイルセット31が第1U相コイル5U1と第1V相コイル5V1とで形成された場合、第1コイルセット31を形成する2つのコイル5の間の電位差が大きくなる。1つのコイルセット30を形成する2つのコイル5の間の物理的距離は短い。そのため、1つのコイルセット30を形成する2つのコイル5の間の電位差が大きいと、コイル5が絶縁破壊する可能性が高くなる。
【0160】
第1実施例においては、第1コイルセット31を形成する場合、序数が1番目の第1U相コイル5U1と組み合わせられるV相コイル5Vが、序数が1番目の第1V相コイル5V1ではなく、序数が4番目の第4V相コイル5V4なので、第1コイルセット31を形成する2つのコイル5の間の電位差が小さくなる。1つのコイルセット30を形成する2つの間のコイル5の電位差が小さいので、コイル5の絶縁破壊が抑制される。第2コイルセット32から第6コイルセット36についても同様である。
【0161】
第2実施例において、例えば第1コイルセット31は、序数が1番目の第1U相コイル5U1と、序数が6番目の第6V相コイル5V6とで形成される。第1U相コイル5U1と第6V相コイル5V6との電位差は、V/6である。仮に、第1コイルセット31が第1U相コイル5U1と第1V相コイル5V1とで形成された場合、第1U相コイル5U1と第1V相コイル5V1との電位差は、Vである。このように、第2実施例においても、1つのコイルセット30を形成する2つのコイル5の間の電位差が小さいので、コイル5の絶縁破壊が抑制される。第2コイルセット32から第9コイルセット39についても同様である。
【0162】
第3実施例において、例えば第1コイルセット31は、序数が1番目の第1U相コイル5U1と、序数が8番目の第8V相コイル5V8とで形成される。第1U相コイル5U1と第8V相コイル5V8との電位差は、V/8である。仮に、第1コイルセット31が第1U相コイル5U1と第1V相コイル5V1とで形成された場合、第1U相コイル5U1と第1V相コイル5V1との電位差は、Vである。このように、第3実施例においても、1つのコイルセット30を形成する2つのコイル5の間の電位差が小さいので、コイル5の絶縁破壊が抑制される。第2コイルセット32から第12コイルセット312についても同様である。
【0163】
また、実施形態においては、1つのコイルセット30を形成する2つのコイル5の間の電位差が小さいので、コイル5を覆う絶縁膜を厚くしなくても、コイル5の絶縁破壊が抑制される。コイル5を覆う絶縁膜が薄い場合、コイル5の大型化が抑制される。コイル5の大型化が抑制されるので、ステータ2の大型化が抑制される。
【0164】
第1実施例、第2実施例、及び第3実施例のそれぞれにおいて、複数のコイルセット30のそれぞれの序数の和は、相互に等しい。これにより、複数のコイルセット30のそれぞれを形成する2つのコイル5の間の電位差が小さくなる。
【0165】
第1実施例、第2実施例、及び第3実施例のそれぞれにおいて、U相コイル5U、V相コイル5V、及びW相コイル5Wのそれぞれの数をNcとし、序数の和をSとした場合、上述の(1)式の条件を満足する。これにより、複数のコイルセット30のそれぞれを形成する2つのコイル5の間の電位差が小さくなる。
【0166】
第1実施例、第2実施例、及び第3実施例のそれぞれにおいて、2以上の整数をnとした場合、ステータコア4のスロット13の数は、12×nの条件を満足する。これにより、2スロットピッチの分布巻でステータコア4に支持されるコイル5を有するステータ2が形成される。
【0167】
[その他の実施形態]
上述の実施形態においては、モータ1は、ロータ3がステータコア4の内側に配置されるインナロータ型であることとした。ロータ3はステータコア4に対向する位置に配置されていればよい。モータ1は、ロータ3がステータコア4の外側に配置されるアウタロータ型でもよいし、ロータ3がステータコア4の内側及び外側の両方に配置されるデュアルロータ型でもよいし、ロータ3がステータコア4の軸方向側に配置されるアキシャルギャップ型でもよい。
【0168】
上述の実施形態においては、モータ1がスイッチトリラクタンスモータ(Switched Reluctance Motor)であることとした。モータ1は、シンクロナスリラクタンスモータ(Synchronous Reluctance Motor)でもよいし、フラックススイッチングモータ(Flux Switching Motor)でもよいし、永久磁石モータモータ(Permanent Magnet Motor)でもよいし、誘導モータ(Induction Motor)でもよいし、アキシャルギャップモータでもよいし、リニアアクチュエータでもよい。
【0169】
上述の実施形態においては、モータ1は、3相モータであることとした。モータ1は、4相モータでもよい。
【符号の説明】
【0170】
1…モータ、2…ステータ、3…ロータ、4…ステータコア、4A…端面、4B…端面、4S…内面、4T…外面、5…コイル、5i…内側コイル、5o…外側コイル、5U…U相コイル、5Uo…外側U相コイル、5Ui…内側U相コイル、5U1…第1U相コイル、5U2…第2U相コイル、5U3…第3U相コイル、5U4…第4U相コイル、5U5…第5U相コイル、5U6…第6U相コイル、5U7…第7U相コイル、5U8…第8U相コイル、5V…V相コイル、5Vo…外側V相コイル、5Vi…内側V相コイル、5V1…第1V相コイル、5V2…第2V相コイル、5V3…第3V相コイル、5V4…第4V相コイル、5V5…第5V相コイル、5V6…第6V相コイル、5V7…第7V相コイル、5V8…第8V相コイル、5W…W相コイル、5Wo…外側W相コイル、5Wi…内側W相コイル、5W1…第1W相コイル、5W2…第2W相コイル、5W3…第3W相コイル、5W4…第4W相コイル、5W5…第5W相コイル、5W6…第6W相コイル、5W7…第7W相コイル、5W8…第8W相コイル、6…ロータホルダ、7…ロータコア、8…ロータシャフト、9…ヨーク、10…ティース、11…装着ティース、12…非装着ティース、13…スロット、13A…開口、13B…外端面、14…電源部、15…コイル本体部、16…コイルエンド部、20…駆動回路、20U…U相駆動部、20V…V相駆動部、20W…W相駆動部、21A…接続部、21B…接続部、21C…接続部、21D…接続部、21i…第1入力端部、21o…第1出力端部、22A…接続部、22B…接続部、22C…接続部、22D…接続部、22i…第2入力端部、22o…第2出力端部、23A…接続部、23B…接続部、23C…接続部、23D…接続部、23i…第3入力端部、23o…第3出力端部、24A…渡り線、24B…渡り線、24C…渡り線、25A…渡り線、25B…渡り線、25C…渡り線、26A…渡り線、26B…渡り線、26C…渡り線、30…コイルセット、31…第1コイルセット、32…第2コイルセット、33…第3コイルセット、34…第4コイルセット、35…第5コイルセット、36…第6コイルセット、37…第7コイルセット、38…第8コイルセット、39…第9コイルセット、310…第10コイルセット、311…第11コイルセット、312…第12コイルセット、131…第1スロット、132…第2スロット、151…第1コイル本体部、152…第2コイル本体部、161…第1コイルエンド部、162…第2コイルエンド部、AX…回転軸、D…ダイオード、RS…対象物、S…スイッチング素子、S1…第1スイッチング素子、S2…第2スイッチング素子、S3…第3スイッチング素子、S4…第4スイッチング素子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17