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特開2023-84828ケーソン用ゴムマットおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084828
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】ケーソン用ゴムマットおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 23/16 20060101AFI20230613BHJP
   E02B 3/06 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
E02D23/16
E02B3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199164
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000196624
【氏名又は名称】西武ポリマ化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(74)【代理人】
【識別番号】100177149
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 浩義
(72)【発明者】
【氏名】魚瀬 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】中垣 政則
(72)【発明者】
【氏名】城戸▲崎▼ 新
【テーマコード(参考)】
2D118
【Fターム(参考)】
2D118AA11
2D118DA05
2D118FA06
2D118GA01
(57)【要約】
【課題】雌ねじ部材の埋設位置や埋設姿勢を規制することで連結強度を確保でき、腐食を防止することができるケーソン用ゴムマットおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】ケーソン用ゴムマット1は、鋼製ケーソンAの底面部bに固定されるケーソン用ゴムマット1であって、ゴムマット1の厚さt方向中間部に埋設され鋼製ケーソンAと連結される雌ねじ部11を有する雌ねじ部材10と、雌ねじ部材10に取り付けられて埋設され引き抜き方向の面積を増大する抵抗部材20と、を備え、雌ねじ部材10にねじ込まれてゴムマット1内に雌ねじ部材10および抵抗部材20を仮止めする雄ねじ部材でゴムマット1への厚さt方向中間部に埋設位置および埋設姿勢を規制して雌ねじ部材10および抵抗部材20が埋設される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーソンの底面部に固定されるケーソン用ゴムマットであって、
前記ゴムマットの厚さ方向中間部に埋設され前記ケーソンと連結される雌ねじ部を有する雌ねじ部材と、
前記雌ねじ部材に取り付けられて埋設され引き抜き方向の面積を増大する抵抗部材と、を備え、
前記雌ねじ部材にねじ込まれて前記ゴムマット内に前記雌ねじ部材および前記抵抗部材を仮止めする雄ねじ部材で前記ゴムマットへの厚さ方向中間部に埋設位置および埋設姿勢を規制して前記雌ねじ部材および前記抵抗部材が埋設されている、
ことを特徴とするケーソン用ゴムマット。
【請求項2】
前記抵抗部材は、前記雌ねじ部材の上下方向中間部あるいは上下の一端部に固定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のケーソン用ゴムマット。
【請求項3】
前記雌ねじ部材の下端部の前記抵抗部材は、前記雄ねじ部材を貫通させる貫通孔を有しないものである、
ことを特徴とする請求項2に記載のケーソン用ゴムマット。
【請求項4】
前記雄ねじ部材は、皿ボルトであり、前記ゴムマットに円錐状のガイド凹部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のケーソン用ゴムマット。
【請求項5】
ケーソン用ゴムマットを製造するに際し、
前記ゴムマットに埋設する雌ねじ部材に引き抜き抵抗を増大する抵抗部材を上下の一端部あるいは中間部に固定する第1の工程と、
仮止め用の雄ねじ部材を前記雌ねじ部材にねじ込んで組み立てる第2の工程と、
前記第2の工程で組み立てられた仮止め用の前記雄ねじ部材の上面を押さえて成形型内のゴムマット材料に埋設位置および埋設姿勢を規制して前記雌ねじ部材および前記抵抗部材を仮止めする第3の工程と、
前記成形型内のゴムマット材料をプレス加硫して前記雌ねじ部材および前記抵抗部材を埋設固定した後、仮止め用の前記雄ねじ部材を取り外す第4の工程と、を有する、
ことを特徴とするケーソン用ゴムマットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーソン用ゴムマットおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
防波堤、岸壁、護岸などの堤体を構築する方法の一つに、ケーソンを用いる方法があり、海底などの地盤上に設けた捨石マウンドにケーソンを設置することが行われ、捨石マウンドとの間の摩擦力を増大し、安定性を高めるためゴムマットを介在させることが行われている。
【0003】
ゴムマットは、ケーソンの製作時に取り付けることが行われており、ゴムマットとケーソンとの取り付け強度を確保する必要がある。このため、コンクリートケーソンでは、ゴムマットに多数のアンカーを取り付けておき、打設するコンクリートに埋設して固定する。また、鋼製ケーソンでは、ゴムマットと鋼殻とをボルトなどで連結することが行われている。
【0004】
このようなケーソン用ゴムマットとしては、例えば特許文献1に開示されたものがあり、ゴムマットに貫通孔と、貫通孔の底部側に座ぐり部を形成し、座ぐり部からボルトを差し込んでゴムマットの上面に突き出すようにし、鋼殻の底面部を貫通させたボルトにナットを締め付けてゴムマットを取り付ける。
【0005】
また、ゴムマットの表面側から施工できるようにするため、ゴムマットの取り付け位置に予め袋ナットを接着剤などで埋設固定しておき、鋼殻側からゴムマットの表面に埋設した袋ナットにボルトをねじ込むことで鋼殻の底面部に取り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平5-19617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、ゴムマットの裏側の座ぐり部からボルトを差し込む場合には、座ぐり部でボルト頭部が露出した状態となり、捨石マウンドの捨石の突起部が直接当たって破損する恐れやボルトが突き上げられて締め付けた鋼殻にまで損傷が及ぶ恐れがある。また、ボルトが突き上げられたことによりボルトが破損し鋼殻まで腐食が連鎖する恐れもある。
また、予めゴムマットの表面に埋設固定した袋ナットにボルトをねじ込んで鋼殻と連結する場合には、袋ナットの埋め込み強度が不足する恐れや袋ナットを鉛直の埋設姿勢を保って固定することが難しく、ボルトを鉛直にして鋼殻と締め付けることができないなどの問題がある。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、雌ねじ部材の埋設位置や埋設姿勢を規制することで連結強度を確保でき、腐食を防止することができるケーソン用ゴムマットおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明の第1の観点にかかるケーソン用ゴムマットは、
ケーソンの底面部に固定されるケーソン用ゴムマットであって、
前記ゴムマットの厚さ方向中間部に埋設され前記ケーソンと連結される雌ねじ部を有する雌ねじ部材と、
前記雌ねじ部材に取り付けられて埋設され引き抜き方向の面積を増大する抵抗部材と、を備え、
前記雌ねじ部材にねじ込まれて前記ゴムマット内に前記雌ねじ部材および前記抵抗部材を仮止めする雄ねじ部材で前記ゴムマットへの厚さ方向中間部に埋設位置および埋設姿勢を規制して前記雌ねじ部材および前記抵抗部材が埋設されている、
ことを特徴とする。
【0010】
前記抵抗部材は、前記雌ねじ部材の上下方向中間部あるいは上下の一端部に固定されている、ことが好ましい。
【0011】
前記雌ねじ部材の下端部の前記抵抗部材は、前記雄ねじ部材を貫通させる貫通孔を有しないものである、ことが好ましい。
【0012】
前記雄ねじ部材は、皿ボルトであり、前記ゴムマットに円錐状のガイド凹部が形成されている、ことが好ましい。
【0013】
本発明の第2の観点にかかるケーソン用ゴムマットの製造方法は、
ケーソン用ゴムマットを製造するに際し、
前記ゴムマットに埋設する雌ねじ部材に引き抜き抵抗を増大する抵抗部材を上下の一端部あるいは中間部に固定する第1の工程と、
仮止め用の雄ねじ部材を前記雌ねじ部材にねじ込んで組み立てる第2の工程と、
前記第2の工程で組み立てられた仮止め用の前記雄ねじ部材の上面を押さえて成形型内のゴムマット材料に埋設位置および埋設姿勢を規制して前記雌ねじ部材および前記抵抗部材を仮止めする第3の工程と、
前記成形型内のゴムマット材料をプレス加硫して前記雌ねじ部材および前記抵抗部材を埋設固定した後、仮止め用の前記雄ねじ部材を取り外す第4の工程と、を有する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のケーソン用ゴムマットおよびその製造方法によれば、雌ねじ部材の埋設位置や埋設姿勢を規制することで連結強度を確保でき、腐食を防止することができるケーソン用ゴムマットおよびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態の雌ねじ部材および抵抗部材にかかり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図2】本発明の一実施の形態の雄ねじ部材にかかり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図3】本発明のケーソン用ゴムマットの製造方法の一実施の形態にかかり、(a)は第1の工程の説明図、(b)は第2の工程の説明図、(c)は第3の工程の説明図、(d)は第4の工程の説明図である。
図4】本発明の一実施の形態のケーソン用ゴムマットにかかり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図5】本発明の一実施の形態にかかる鋼製ケーソンに取り付けた状態の一部分を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のケーソン用ゴムマットおよびその製造方法の一実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
ケーソン用ゴムマット1は、例えば、図5に一部分を拡大して示すように、鋼製ケーソンAの鋼殻aの底面部bにボルトcなどで連結固定することで取り付けられるものである。なお、取り付け対象となるケーソンは、鋼製ケーソンAに限るものでなくコンクリートケーソンやハイブリッドケーソン、フラップゲートなどであっても良いが、後述するように、ボルトcで連結固定する雌ねじ部材10の埋設位置や埋設姿勢を規制することで特に、鋼製ケーソンAに好適なものであり、以下の説明では、鋼製ケーソンAを例に説明する。
【0017】
ケーソン用ゴムマット1は、鋼製ケーソン(ケーソン)Aの底面部bに固定されるケーソン用ゴムマット(以下単に、ゴムマットとする。)1であって、ゴムマット1の厚さt方向の中間部に埋設され鋼製ケーソンAと連結される雌ねじ部11を有する雌ねじ部材10と、雌ねじ部材10に取り付けられて埋設され、引き抜き方向の面積を増大する抵抗部材20と、を備える(図5図3(d)参照)。雌ねじ部材10および抵抗部材20は、雌ねじ部材10にねじ込まれてゴムマット1内に雌ねじ部材10および抵抗部材20を仮止めする雄ねじ部材30でゴムマット1への厚さt方向の中間部に埋設位置および埋設姿勢を規制して埋設されている(図2図3(c)参照)。ここでの雌ねじ部材10および抵抗部材20の埋設姿勢は、図5に示すように、ゴムマット1の表裏面に直交する方向(厚さt方向に沿う鉛直方向)であり、鋼製ケーソンAの底面部bにゴムマット1を密着させて鋼殻aとゴムマット1とを鉛直方向のボルトcと雌ねじ部材10とで固定できる姿勢である。言い換えれば、雌ねじ部11のねじの中心線がゴムマット1に垂直(通常は、鉛直)となる方向である。また、埋設位置は、ゴムマット1の厚さt方向の中間部である。
【0018】
雌ねじ部材10は、図1に示すように、例えば中空六角形状(ナット形状)に形成され、中空部に雌ねじ部11が形成される。雌ねじ部11の高さHが鋼殻aとの締め付けに必要な強度を確保できる高さとしてある(図5参照)。
なお、雌ねじ部材10は、中空六角形状に限らず円筒形状としたものであっても良く、他の横断面形状の中空体であっても良いが、雌ねじ部11の高さHは、締め付けに必要な強度を確保できるようにしておく。
【0019】
抵抗部材20は、図1に示すように、平面視(図1(a)参照)、雌ねじ部材10の面積よりも大きい円板状に形成されており、ゴムマット1に埋設した状態で引き抜き方向(ゴムマット1の厚さt方向(図3図5参照))の面積が大きくなるように形成されている。抵抗部材20の平面視の面積は、ゴムマット1に埋設した状態で引き抜き方向の引き抜き抵抗力を生じる剪断表面積となり、この剪断表面積によってゴムマット1の取り付け強度(引き抜き強度)が定まる。
抵抗部材20には、雌ねじ部材10を高さH方向の中間部に位置させるため、中心部に雌ねじ部材10を貫通させることができる貫通孔21が形成してある。抵抗部材20に形成する貫通孔21は、雌ねじ部材10を貫通させることができる形状であれば良く、六角形状や円形形状などであってもよい。
【0020】
抵抗部材20は、図1(b)に示すように、例えば雌ねじ部材10の高さH方向の中間部に溶接などで取り付けられ、一体に固定される。この工程がゴムマット1の製造における第1の工程である(図3(a)参照)。
なお、抵抗部材20は、雌ねじ部材10の高さH方向の中間部に限らず、上端や下端に溶接などで取り付けて一体に固定されるものであっても良い。抵抗部材20を下端に取り付ける場合には、ボルトcを貫通させる必要がなく、中心部に貫通孔21がないものであっても良い。また、抵抗部材20は、剪断表面積(平面への投影面積)を確保できれば、円形に限らず他の形状であっても良く、板材を十字状などに組み合わせた形状などであっても良い。素材は、金属や合成樹脂などであっても良く、雌ねじ部材10との接合は、溶接に限らず接着剤や機械的な連結固定であっても良い。
【0021】
このような雌ねじ部材10と抵抗部材20との2つの部材を一体に固定して用いることで、図5に示すように、ボルトcによるゴムマット1の締め付けに必要な雌ねじ部11の高さHを確保するとともに、抵抗部材20による剪断表面積を確保しながら、ゴムマット1の全面に内層鉄板を入れたものと比べた場合に軽量化を図ることができる。すなわち、抵抗部材20だけで構成する場合には、締め付け強度の確保に必要な雌ねじ部11の高さHの板厚としなければならず、重量の増大を招く一方、薄い抵抗部材20では、雌ねじ部11の高さHを確保することできず、締め付け強度が不足することになる。
【0022】
ゴムマット1は、雌ねじ部材10と抵抗部材20とを一体に組み立てた後(図3(a)参照)、加硫前のゴムマット素材内に埋設位置および埋設姿勢を規制して埋設される。このため、図2および図3(b)に示すように、雄ねじ部材30が用いられる。雄ねじ部材30は、例えば6角穴付きの皿ボルトが用いられる。
【0023】
雄ねじ部材30は、雌ねじ部材10および抵抗部材20の埋設位置をゴムマット1の厚さt方向の中間に位置させるとともに、埋設姿勢を雌ねじ部11の中心線をゴムマット1の表裏面に対して垂直(鉛直)とするための治具として用いられる。雄ねじ部材30は、雌ねじ部11にねじ込まれる。この工程がゴムマット1の製造における第2の工程である(図3(b),(c)参照)。雄ねじ部材30にねじ込むことで、雄ねじ部材30の上面からの距離を調整し、埋設位置を設定し、雌ねじ部11へのゴムの浸入を防止する。
【0024】
また、雄ねじ部材30に組み立てられた雌ねじ部材10および抵抗部材20は、ゴムマット1の成形金型(図示せず)内のゴムマット材料中に位置させ、雄ねじ部材30の上面を平坦な押え板40で水平に押さえることで、雄ねじ部材30を押え板40に対して垂直にし、埋設姿勢を鉛直に規制する。この工程がゴムマット1の製造における第3の工程である(図3(c)参照)。
【0025】
雌ねじ部材10および抵抗部材20を雄ねじ部材30で埋設位置および埋設姿勢を規制して埋設したゴムマット1は、成形金型内のゴムマット材料がプレス加硫され、雄ねじ部材30を取り外してゴムマット1が完成する。この工程がゴムマット1の製造における第4の工程である(図3(d)参照)。
【0026】
雄ねじ部材30は、6角穴付きの皿ボルトとすることで、ゴムマット1に埋設した状態であっても、ナットのように外側に工具をかける必要がなく、6角穴を介して雌ねじ部11から外すことができる。さらに、皿ボルト(雄ねじ部材30)を外すことで、雌ねじ部材10の上端面からゴムマット1の表面までに表面に向かって大径となる円錐状のガイド凹部2が形成される(図3(d)参照)。この円錐状のガイド凹部2によって鋼殻aを固定するボルトcを雌ねじ部材10の雌ねじ部11にねじ込む際のガイドとして雌ねじ部11に導くことができボルトcによる締め付け作業が容易となる(図5参照)。
なお、雄ねじ部材30は、皿ボルトとする場合に限らず、他の形状のボルトであっても良く、雌ねじ部材10にねじ込むことでゴムの浸入を防止でき、プレス加硫後に取り外すことができるものであれば良い。
【0027】
ゴムマット1は、例えば1000mm×2000mm×30mmの大きさとされ、この寸法に対応した図示しない成形金型が用意される。
成形金型のゴムマット材料には、雌ねじ部材10と一体の抵抗部材20が雄ねじ部材30にねじ込まれて厚さt方向の中間部に配置されるとともに、埋設姿勢が押え板40で調整されて、水平面上で略等間隔に8個埋設される(図3(c)、図4参照)。成形金型内のゴムマット材料は、プレス加硫され、雌ねじ部材10と一体の抵抗部材20を埋設固定し、雄ねじ部材30を取り外す(図3(d)参照)。なお、ゴムマット材料は、これまでのゴムマット1と同様に、ゴムマット用に配合された粉末ゴムが用いられ、例えば使用済みのタイヤなどゴム製品を粉砕して架橋剤と混合したものやこれに加硫前の新しいゴム粉末を混合したものなどが用いられる。
【0028】
ゴムマット1は、例えばヤード上などに敷設され、ゴムマット1上に鋼製ケーソンAを構築し、鋼殻aの底面部bに当てられた状態で、鋼殻aを挟んでボルトcを雌ねじ部材10にねじ込むことで、鋼製ケーソンAに取り付けられる(図5参照)。
なお、ゴムマット1は、構築途中で取り付けるなど、捨石マウンドへの設置前に取り付けるようにすれば良い。
【0029】
このようなゴムマット1によれば、雌ねじ部材10の埋設位置や埋設姿勢を規制することでボルトcを雌ねじ部材10に垂直にねじ込むことができ、抵抗部材20で引き抜き抵抗力を高めることで、ゴムマット1と鋼製ケーソンAとの連結強度を確保でき、雌ねじ部材10および抵抗部材20を露出させずにゴムマット1内に埋設することで、腐食を防止することができる(図5参照)。
また、雌ねじ部材10および抵抗部材20がゴムマット1内に埋設されていることで、直接捨石マウンドの突起部が当たって損傷する恐れやボルトcが突き上げられる恐れもなく、鋼殻aに損傷が及ぶ恐れもない(図5参照)。
【0030】
ゴムマット1を製造する際に、雄ねじ部材30を用い、雄ねじ部材30に一体に組み立てた雌ねじ部材10および抵抗部材20をねじ込んで位置を調整した後、ゴムマット材料中に位置させ、雄ねじ部材30を押え板40で押さえ、プレス加硫することで、雌ねじ部材10および抵抗部材20をゴムマット1内に埋設位置および埋設姿勢を簡単に規制して埋設することができ、ゴムマット1の製造が容易となる。これにより、ボルトcを雌ねじ部材10に垂直にねじ込むことができ、抵抗部材20で引き抜き抵抗力を高め、ゴムマット1と鋼製ケーソンAとの連結強度を確保でき、雌ねじ部材10および抵抗部材20を露出させずにゴムマット1内に埋設して腐食を防止することができる(図5参照)。
【0031】
以上、実施の形態とともに、具体的に説明したように、本発明のケーソン用ゴムマット1は、鋼製ケーソンAの底面部bに固定されるケーソン用ゴムマット1であって、ゴムマット1の厚さt方向中間部に埋設され鋼製ケーソンAと連結される雌ねじ部11を有する雌ねじ部材10と、雌ねじ部材10に取り付けられて埋設され引き抜き方向の面積を増大する抵抗部材20と、を備え、雌ねじ部材10にねじ込まれてゴムマット1内に雌ねじ部材10および抵抗部材20を仮止めする雄ねじ部材30でゴムマット1への厚さt方向中間部に埋設位置および埋設姿勢を規制して雌ねじ部材10および抵抗部材20が埋設される。
かかる構成によれば、雌ねじ部材10の埋設位置や埋設姿勢を雄ねじ部材30で仮止めして規制することで鋼製ケーソンAにゴムマット1を取り付けるボルトcを雌ねじ部材10に垂直にねじ込むことができ、抵抗部材20で引き抜き抵抗力を高め、ゴムマット1と鋼製ケーソンAとの連結強度を確保でき、雌ねじ部材10および抵抗部材20を露出させずにゴムマット1内に埋設して腐食を防止することができる。
また、雌ねじ部材10および抵抗部材20がゴムマット1内に埋設されることで、直接捨石マウンドの突起部が当たって損傷する恐れやボルトcが突き上げられる恐れもなく、鋼殻aに損傷が及ぶ恐れもない。
【0032】
ケーソン用ゴムマット1は、抵抗部材20が、雌ねじ部材10の上下方向中間部あるいは上下の一端部に固定されている。
かかる構成によれば、抵抗部材20により引き抜き抵抗力を増大でき、剪断表面積を確保しながら、ゴムマット1の全面に内層鉄板を入れたものと比べた場合に軽量化を図ることができる。また、抵抗部材20と一体の雌ねじ部材10の雌ねじ部11の高さHを抵抗部材20の板厚と関係なく締め付け強度の確保に必要な高さHにすることができる。これにより、薄い抵抗部材20と雌ねじ部11の高さを確保した雌ねじ部材10で引き抜き抵抗力と締め付け強度の両方を確保することができる。
【0033】
ケーソン用ゴムマット1は、雌ねじ部材10の下端部の抵抗部材20が、雄ねじ部材30を貫通させる貫通孔21を有しないものとされる。
かかる構成によれば、抵抗部材20の構造が簡素化でき、雌ねじ部材10との組み立ての際に抵抗部材20上に雌ねじ部材10を置くだけで良く、位置合わせなどが容易となる。また、雌ねじ部材10の雌ねじ部11へのゴム材料の下方からの浸入を防止することもできる。
【0034】
ケーソン用ゴムマット1は、雄ねじ部材30が、皿ボルトであり、ゴムマット1に円錐状のガイド凹部2が形成される。
かかる構成によれば、雄ねじ部材30である皿ボルトによって雌ねじ部材10を仮止めすることで雌ねじ部11の上方に円錐状のガイド凹部2が形成され、このガイド凹部2によってゴムマット1を鋼製ケーソンAなどに取り付ける際のボルトcの位置合わせや連結が容易となる。
【0035】
ケーソン用ゴムマット1およびその製造方法は、ケーソン用ゴムマット1を製造するに際し、ゴムマット1に埋設する雌ねじ部材10に引き抜き抵抗を増大する抵抗部材20を上下の一端部あるいは中間部に固定する第1の工程と、仮止め用の雄ねじ部材30を雌ねじ部材10にねじ込んで組み立てる第2の工程と、第2の工程で組み立てられた仮止め用の雄ねじ部材30の上面を押さえて成形型内のゴム材料に埋設位置および埋設姿勢を規制して雌ねじ部材10および抵抗部材20を仮止めする第3の工程と、成形型内のゴムマット材料をプレス加硫して雌ねじ部材10および抵抗部材20を埋設固定した後、仮止め用の雄ねじ部材30を取り外す第4の工程と、を有する。
かかる構成によれば、雌ねじ部材10および抵抗部材20の埋設位置や埋設姿勢を雄ねじ部材30で規制することで連結強度を確保でき、埋設状態の雌ねじ部材10および抵抗部材20の腐食を防止することができるケーソン用ゴムマットを製造することができる。
【0036】
本発明は、上記の実施の形態に限定するものでなく、発明の要旨を変更しない範囲で各構成要件について適宜変更できるものである。
【符号の説明】
【0037】
1 ケーソン用ゴムマット(ゴムマット)
2 ガイド凹部
10 雌ねじ部材
11 雌ねじ部(皿ボルト)
20 抵抗部材
21 貫通孔
30 雄ねじ部材
40 押え板
A 鋼製ケーソン(ケーソン)
a 鋼殻
b 底面部
c ボルト
H 雌ねじ部の高さ
t ゴムマットの厚さ
図1
図2
図3
図4
図5