(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084838
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】チップ剥離装置およびチップ剥離方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/67 20060101AFI20230613BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
H01L21/68 E
H01L21/78 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199182
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】石本 達也
(72)【発明者】
【氏名】梶並 将人
(72)【発明者】
【氏名】高田 直幸
(72)【発明者】
【氏名】徳宮 孝弘
【テーマコード(参考)】
5F063
5F131
【Fターム(参考)】
5F063AA05
5F063AA18
5F063DD87
5F131AA04
5F131BA53
5F131BA54
5F131CA09
5F131CA23
5F131CA37
5F131CA38
5F131DA33
5F131DA42
5F131DB22
5F131DB62
5F131EA07
5F131EB01
5F131EC33
5F131EC72
5F131EC74
(57)【要約】
【課題】割れや欠けを生じさせずにチップをテープから剥離させることを容易化するチップ剥離装置およびチップ剥離方法を提供する。
【解決手段】実施形態に係るチップ剥離装置1000は、上面にチップ10を貼り付けたテープ20の下方に配置される剥離機構100を備える。剥離機構100の上面は、真空吸着孔110、および真空吸着孔110の周辺に配置されたエアブロー孔120を備える。剥離機構100は、真空吸着孔110からの吸着、およびエアブロー孔120からの加圧により、チップ10をテープ20から剥離させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面にチップを貼り付けたテープの下方に配置される剥離機構を備え、
前記剥離機構の上面は、真空吸着孔、および前記真空吸着孔の周辺に配置されたエアブロー孔を備え、
前記剥離機構は、前記真空吸着孔からの吸着、および前記エアブロー孔からのエアブローにより、前記チップを前記テープから剥離させる、
チップ剥離装置。
【請求項2】
前記エアブロー孔の数は複数であり、
前記剥離機構は、複数のエアブロー孔と加圧源とをそれぞれ接続する複数の加圧バルブを備え、
各加圧バルブの開閉は、前記チップのサイズに応じて設定される、
請求項1に記載のチップ剥離装置。
【請求項3】
前記剥離機構は、
前記エアブロー孔と加圧源とを接続するサーボバルブを備え、
前記チップを前記テープから剥離させるとき、前記サーボバルブの開放と閉鎖を繰り返す、
請求項1または2のいずれかに記載のチップ剥離装置。
【請求項4】
前記サーボバルブの閉鎖期間は、前記サーボバルブの開放期間より長い
請求項3に記載のチップ剥離装置。
【請求項5】
前記チップ剥離装置は、前記チップの上面を吸着してピックアップするピックアップ機構を備え、
前記ピックアップ機構の下面は、前記チップの外周より外側に配置されたエアブロー孔を備え、
前記ピックアップ機構は、前記ピックアップ機構の下面に配置されたエアブロー孔からのエアブローにより、前記チップの剥離を促進する、
請求項1から4のいずれか1項に記載のチップ剥離装置。
【請求項6】
前記チップ剥離装置は、
前記チップの上面を吸着してピックアップするピックアップ機構、および前記チップ越しに前記テープを撮像する赤外カメラを備え、
前記赤外カメラの撮像画像に基づいて、前記ピックアップ機構をピックアップ位置に移動させる、
請求項1から5のいずれか1項に記載のチップ剥離装置。
【請求項7】
上面にチップを貼り付けたテープの下方に配置された剥離機構を用いて、前記チップを前記テープから剥離させる剥離ステップを含み、
前記剥離機構の上面は、真空吸着孔、および前記真空吸着孔の周辺に配置されたエアブロー孔を備え、
前記剥離ステップは、前記真空吸着孔からの吸着、および前記エアブロー孔からのエアブローにより、前記チップを前記テープから剥離させる、
チップ剥離方法。
【請求項8】
前記エアブロー孔の数は複数であり、
前記剥離機構は、複数のエアブロー孔と加圧源とをそれぞれ接続する複数の加圧バルブを備え、
各加圧バルブの開閉は、前記チップのサイズに応じて設定される、
請求項7に記載のチップ剥離方法。
【請求項9】
前記剥離機構は、前記エアブロー孔と加圧源とを接続するサーボバルブを備え、
前記剥離ステップは、前記サーボバルブの開放と閉鎖を繰り返す、
請求項7または8のいずれかに記載のチップ剥離方法。
【請求項10】
前記サーボバルブの閉鎖期間は、前記サーボバルブの開放期間よりも長い、
請求項9に記載のチップ剥離方法。
【請求項11】
前記チップの上面を吸着してピックアップするピックアップ機構の下面は、前記チップの外周より外側に配置されたエアブロー孔を備え、
前記剥離ステップは、前記ピックアップ機構の下面に配置されたエアブロー孔からのエアブローにより、前記チップの剥離を促進させる、
請求項7から10のいずれか1項に記載のチップ剥離方法。
【請求項12】
前記チップ剥離方法は、
赤外カメラを用いて前記チップ越しに前記テープを撮像し、前記赤外カメラの撮像画像に基づいて、前記チップの上面を吸着するピックアップ機構をピックアップ位置に移動させるステップ、
を含む請求項7から11のいずれか1項に記載のチップ剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ剥離装置およびチップ剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体実装工程には、ダイシングしたチップをチップ剥離装置で剥離させ、ピックアップして別のウェハへ搭載するダイボンディング工程が含まれる。従来のチップ剥離方法として、鋭利なピンでダイシングテープごとチップを突き上げる方式が知られている。しかし、薄いチップ(例えば、10mm角で厚みが30μm以下のチップ)を鋭利なピン等で突き上げた場合、ピンの先端が起点となり割れや欠けが発生するという問題がある。
【0003】
チップの割れや欠けを防止するため、特許文献1は、ダイシングテープを載置するステージに、固定ステージ、およびスライド可能な可動ステージを設ける技術を提案している。また、特許文献2は、ダイエジェクタに複数のプレートを設け、複数のプレートを用いてチップを剥離する技術を提案している。特許文献3は、エジェクタの上面に突状部を設け、剥離を容易化する技術を提案している。しかしながら、これらの方式によると機構や構造が複雑化し、装置が大型化してしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5184303号公報
【特許文献2】特開2013-214739号公報
【特許文献3】特許第4816598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の通り、割れや欠けを生じさせずに薄いチップをテープから剥離させることは困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、割れや欠けを生じさせずにチップをテープから剥離することを容易化するチップ剥離装置およびチップ剥離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態のチップ剥離装置は、上面にチップを貼り付けたテープの下方に配置される剥離機構を備え、
前記剥離機構の上面は、真空吸着孔、および前記真空吸着孔の周辺に配置されたエアブロー孔を備え、
前記剥離機構は、前記真空吸着孔からの吸着、および前記エアブロー孔からのエアブローにより、前記チップを前記テープから剥離させる。
【0008】
一実施形態のチップ剥離方法は、上面にチップを貼り付けたテープの下方に配置された剥離機構を用いて、前記チップを前記テープから剥離させる剥離ステップを含み、
前記剥離機構の上面は、真空吸着孔、および前記真空吸着孔の周辺に配置されたエアブロー孔を備え、
前記剥離ステップは、前記真空吸着孔からの吸着、および前記エアブロー孔からのエアブローにより、前記チップを前記テープから剥離させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、割れや欠けを生じさせずにチップをテープから剥離させることを容易化するチップ剥離装置およびチップ剥離方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係るチップ剥離装置の模式側面図である。
【
図2】実施形態1に係るチップ剥離装置の模式上面図である。
【
図3】実施形態1に係るチップ剥離装置の上面を例示する模式図である。
【
図4】実施形態1に係るチップ剥離装置において、チップサイズを例示する模式図である。
【
図5】実施形態1に係るチップ剥離装置におけるバルブの配置を例示する模式図である。
【
図6】実施形態2に係るチップ剥離装置の模式側面図である。
【
図7】実施形態3に係るチップ剥離装置の模式側面図である。
【
図8】実施形態4に係るチップ剥離装置の模式側面図である。
【
図9】実施形態4に係るチップ剥離装置において、赤外カメラの撮像画像を例示する模式図である。
【
図10】実施形態4に係るチップ剥離装置において、ピックアップ機構を移動させる方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0012】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るチップ剥離装置1000の構成を示す模式側面図である。チップ剥離装置1000は、チップ10をテープ20から剥離させる装置である。チップ10は、テープ20の上面に貼り付けられている。
【0013】
テープ20は、例えばダイシングテープである。このような場合、先行するダイシング工程において、テープ20に固定されたウェハは、個々のチップ10に分割される。テープ20は、図示しないウェハリングと一体化している。なお、チップ剥離装置1000は、ダイシングテープ以外のテープからチップを剥離するときに使用されてもよい。
【0014】
図1では、説明の明確化のため、XYZの3次元直交座標系を示している。尚、Z方向が鉛直方向であり、チップ10の厚さ方向と平行な方向である。したがって、Z方向が高さ方向となる。X方向、およびY方向は、チップ10の端辺と平行な方向となっている。
【0015】
チップ剥離装置1000は、剥離機構100およびピックアップ機構200を備えている。剥離機構100はテープ20の下方に配置されており、ピックアップ機構200はチップ10の上方に配置されている。
【0016】
剥離機構100は、エジェクタとも称される。剥離機構100の上面は、真空吸着孔110、およびエアブロー孔120を有している。真空吸着孔110は、真空ポンプなどの真空吸着源(不図示)に接続されており、真空ポートとも称される。なお、X方向に隣り合う真空吸着孔110の間隔は、等間隔であってもよい。真空吸着孔110からの真空吸着の圧力は、例えば70kPa~83kPaである。
【0017】
エアブロー孔120は、圧縮空気などのエアーを吹き出す加圧源(不図示)に接続されており、加圧ポートとも称される。エアブロー孔120からのエアブローの圧力は、例えば0.2MPa~0.6MPaである。1組の矢印31は、エアブロー孔120から噴出するエアーの流れを示している。
【0018】
剥離機構100の上面は、テープ20の下面に接触している。真空吸着孔110からは、矢印32に示すようにZ軸負方向、矢印33に示すようにX軸負方向、または矢印34に示すようにX軸正方向に真空引きが行われる。また、エアブロー孔120には、矢印35に示すように、Z軸正方向にエアーが供給される。
【0019】
図2は、剥離機構100の模式上面図を示している。チップ10の形状の一例が、実線で示されている。なお、後述するように、剥離機構100は、様々なサイズのチップ10の剥離に対応できる。剥離機構100の上面は、複数の真空吸着孔110および複数のエアブロー孔120を備えている。複数の真空吸着孔110は、略正方格子状に配置されている。X方向またはY方向に隣り合う真空吸着孔110の間隔L1は、例えば、1mm程度であってもよい。
【0020】
エアブロー孔120は、真空吸着孔110の周辺に配置されている。
図2では、各真空吸着孔110は、複数のエアブロー孔120に囲まれている。なお、複数の真空吸着孔110が各エアブロー孔120を囲むような場合も、実施形態1にかかるチップ剥離装置には含まれ得る。つまり、エアブロー孔120は、真空吸着孔110の外周に配置されていてもよく、複数の真空吸着孔110の内周に配置されていてもよい。
【0021】
図2では、X方向またはY方向に隣り合うエアブロー孔120の間隔L2は、間隔L1の約半分である。このような配置によると、エアブローを行ったとしても、テープ20が真空吸着孔110から離れることはない。エアブロー孔120のサイズ(例えば、直径0.2mm以下)は、真空吸着孔110のサイズ(例えば、直径1mm)よりも小さくてもよい。これにより、エアブロー孔120から噴出されるエアーが、真空吸着孔110に流れ込むことを防止できる。エアブロー孔は極小径の孔であってよい。
【0022】
真空吸着孔110の形状は円形には限られない。
図3は、剥離機構100の上面を例示する模式図である。チップ10の形状を例が、実線で示されている。
図2と
図3とを比較すると、チップ10の外周上に配置された複数の真空吸着孔110と、溝状の真空吸着孔110xとが置き換わっている。なお、エアブロー孔120の形状も円形には限られず、溝状であってもよい。
【0023】
図1に戻り説明を続ける。ピックアップ機構200の下面は、吸着溝210を有している。ピックアップ機構200は、チップ10の上面を吸着溝210により吸着してピックアップする。ピックアップ機構200の下面は、チップ10の上面に当てられている。ピックアップ機構200の下面に形成された吸着溝210からは、矢印36に示すようにZ軸正方向に真空引きが行われる。
【0024】
次に、
図1を参照して、実施形態1にかかるチップ剥離方法の一例を説明する。まず、ダイシングされたリング付きのウェハが、剥離機構100の上方に配置される。次に、剥離機構100と剥離させるチップ10の位置合わせを行う。次に、剥離機構100の真空吸着孔110を用いて、テープ20を真空吸着する。次に、ピックアップ機構200(ピックアップヘッドとも称される)をチップ10の上方に配置した後、ピックアップ機構200を下降させ、チップ10に接近させる。ピックアップ機構200がチップ10を吸引可能な位置に到達すると、吸着溝210からの吸着によりチップ10を吸着する。最後に、剥離機構100のエアブロー孔120からのエアブローを開始してチップ10の剥離を促すと同時に、ピックアップ機構200を上昇させ、チップ10を剥離する。
【0025】
剥離機構100は、真空吸着孔110からの吸着、およびエアブロー孔120からのエアブローにより、チップ10をテープ20から剥離させる。つまり、エアブロー孔120からの加圧によりテープ20を下から局所的に持ち上げつつ真空吸着を行うことで、真空吸着孔110の位置において、テープ20が剥離する。これにより、チップ10とテープ20の粘着面積が減少し、ピックアップ機構200は、チップ10を容易にピックアップできる。
【0026】
チップ剥離装置1000は、複数のサイズのチップ10の剥離に対応できる。
図4は、チップ剥離装置1000が対応可能なチップ10のサイズを例示する模式図である。
図4に示す剥離機構100は、チップ10x、チップ10y、およびチップ10zの剥離に対応できる。
【0027】
図5は、
図4に示す剥離機構100の模式側面図を示している。幅lx、ly、およびlzは、それぞれチップ10x、10y、および10zの幅を示している。剥離機構100は、真空吸着源130、加圧源140、真空バルブ150、および加圧バルブ160を備えている。真空バルブ150は、真空吸着源130と真空吸着孔110を接続している。加圧バルブ160は、加圧源140とエアブロー孔120を接続している。真空バルブ150は各真空吸着孔110に対して用意されていてもよい。加圧バルブ160は各エアブロー孔120に対して用意されていてもよい。
【0028】
各加圧バルブ160の開閉は、チップ10のサイズに応じて設定される。具体的には、剥離対象のチップ10の外周よりも外側のエアブロー孔120に接続される加圧バルブ160は閉鎖され、それ以外の加圧バルブ160は開放される。これにより、剥離機構100は、複数のサイズのチップ10の剥離に対応できる。
【0029】
剥離機構100は、真空吸着孔110でテープ20を吸着しながら、エアブロー孔120からの加圧を行うことで、テープ20を局所的に浮かせることができる。剥離機構100は、加圧バルブ160を制御することにより、テープ20を浮かせる領域を変化させ、チップ10のエッジから中央に向かってチップ10を剥離させてもよい。なお、剥離機構100は、チップ10の中央を起点として、チップ10を剥離させてもよい。
【0030】
実施形態1にかかるチップ剥離装置は、真空吸着孔からの吸着およびエアブロー孔からのエアブローによりチップを剥離する。したがって、エアーの圧力制御のみでチップを剥離できるため、機構が簡素であり小型化が可能である。また、実施形態1にかかるチップ剥離装置はエアーを使用するため、剥離が連続的に進行する。さらに、実施形態1にかかるチップ剥離装置によると、ニードルなどをチップに機械的に接触させる必要がないため、チップの割れや欠けなどを低減できる。
【0031】
(実施形態2)
図6は、実施形態2にかかるチップ剥離装置1000aの構成を示す模式側面図である。
図1と
図6とを比較すると、剥離機構100と剥離機構100aとが置き換わっている。剥離機構100aは、エアブロー孔120と加圧源(不図示)とを接続するサーボバルブ170を備えている。なお、上述した加圧バルブ160が、バルブの開閉を電気的に制御する機能を備えていてもよい。また、剥離機構100aは、実施形態1と同様に、真空吸着源130を備えている。
【0032】
剥離機構100aは、チップ10をテープ20から剥離させるとき、サーボバルブ170の開放と閉鎖を繰り返す。換言すると、剥離機構100aは、チップ10をテープ20から剥離させるとき、エアブロー孔120からのエアブローのオンオフを繰り返す。エアブローのオンオフは、例えば、数10ms程度の時間で切り替えられてもよい。
【0033】
エアブローによってテープ20を局所的に押し上げた後、エアブローを停止すると、テープ20の剥離部分がZ軸負方向に移動する。したがって、エアブローのオンオフを繰り返すと、テープ20の剥離部分は上下動を繰り返す。これにより、チップ10の剥離を促進できる。エアブローのオンオフを繰り返すとき、ピックアップ機構200により、チップ10およびテープ20がZ軸正方向に持ち上げられてもよい。
【0034】
サーボバルブ170の閉鎖期間(例えば、60ms)は、サーボバルブ170の開放期間(例えば、30ms)より長くてもよい。これにより、テープ20の剥離部分が元の位置に戻るまでの時間を確保できるため、チップ10の剥離をより促進できる。
【0035】
(実施形態3)
図7は、実施形態3にかかるチップ剥離装置1000bの構成を示す模式側面図である。
図1と
図7とを比較すると、ピックアップ機構200とピックアップ機構200bとが置き換わっている。
【0036】
ピックアップ機構200bの下面は、吸着溝210の他にエアブロー孔220を備えている。エアブロー孔220は、チップ10の外周よりも外側に配置されている。エアブロー孔220は、吸着溝210の周辺に配置されている。エアブロー孔220には、矢印37に示すように、Z軸負方向にエアーが供給される。
【0037】
ピックアップ機構200bは、例えば、チップ10のエッジが剥離したタイミングで、エアブロー孔220からエアブローを行う。エアブロー孔220からのエアーの一部は、矢印38に示すように、チップ10とテープ20の間に供給され、チップ10の剥離を促進する。エアブロー孔からのエアーの一部は、矢印39に示すように他のチップの周辺に流れてもよい。
【0038】
実施形態3にかかるチップ剥離装置1000bは、ピックアップ機構からエアブローを行うことにより、チップの剥離をより容易化できる。
【0039】
(実施形態4)
図8は、実施形態4にかかるチップ剥離装置1000cの構成を示す模式側面図である。
図1と
図8とを比較すると、ピックアップ機構200とピックアップ機構200cとが置き換わり、筐体310、照明320、鏡筒330、および赤外カメラ340が追加されている。
【0040】
ピックアップ機構200cは、吸引部210cを備えている。吸引部210cは、
図1の吸着溝210に対応している。ピックアップ機構200cは、筐体310に収容されている。
【0041】
筐体310は、ピックアップ機構200c、照明320、鏡筒330、および、赤外カメラ340を収容する。ピックアップ機構200cは、筐体310のY軸負方向側に収容されている。照明320、鏡筒330、および赤外カメラ340は、筐体310のY軸正方向側に収容されている。一点鎖線で示すように、照明320、鏡筒330、および赤外カメラ340は、チップ10の真上に配置されている。
【0042】
照明320は、赤外光によりテープ20を照明する照明光源であり、例えばLED(Light Emitting Diode)リング照明であってもよい。照明320は、赤外光を用いるため、チップ10越しにテープ20を照明できる。
【0043】
鏡筒330は、レンズ等を保持しており、テープ20からの赤外光を赤外カメラ340に導く。テープ20からの赤外光は、チップ10を透過している。赤外カメラ340には、テープ20からの赤外光が入射される。赤外カメラ340は、チップ10越しにテープ20を撮像する。
【0044】
図9は、赤外カメラ340の撮像画像を例示する概略図である。なお、
図9には、チップ10、真空吸着孔110、およびエアブロー孔120も図示されている。中央の未剥離領域Aは、テープ20がチップ10から剥離していない領域を表している。未剥離領域Aと剥離領域とでは輝度が異なっているため、赤外カメラ340の撮像画像において未剥離領域Aを識別できる。したがって、未剥離領域Aの大きさや、未剥離領域Aと他の領域のコントラスト差に基づいて、テープ20が十分に剥離されているかを確認できる。
【0045】
赤外カメラ340の撮像画像に基づき、剥離が十分に行われていると判断された場合、チップ剥離装置1000cは、ピックアップ機構200cをピックアップ位置に移動させる。ピックアップ位置とは、チップ10をピックアップ可能な位置を意味している。
図10は、ピックアップ機構200cを移動させる方法の概要を示す模式図である。
【0046】
剥離が十分に行われている場合、筐体310は、矢印40で示すようにX軸正方向に移動する。このとき、一点鎖線で示すように、ピックアップ機構200cはチップ10の真上に配置されている。次に、筐体310は、矢印41で示すように、Z軸負方向に移動する。これにより、ピックアップ機構200cは、チップ10をピックアップ可能な位置に移動する。
【0047】
実施形態4にかかるチップ剥離装置は、チップ10の剥離状態を確認して、チップ10をピックアップする。したがって、実施形態4にかかるチップ剥離装置は、チップ10の剥離不良を低減できる。
【0048】
本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、実施形態1~4の各構成は相互に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0049】
1000、1000a、1000b、1000c チップ剥離装置
100、100a、100b、100c 剥離機構
110、110x 真空吸着孔
120 エアブロー孔
130 真空吸着源
140 加圧源
150 真空バルブ
160 加圧バルブ
170 サーボバルブ
200、200a、200b、200c ピックアップ機構
210 吸着溝
310 筐体
320 照明
330 鏡筒
340 赤外カメラ
10、10x、10y、10z チップ
20 テープ
31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41 矢印