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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084857
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】シート状化粧品
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/00 20060101AFI20230613BHJP
【FI】
A45D40/00 Z
A45D40/00 V
A45D40/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199215
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000176637
【氏名又は名称】日本製紙パピリア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】515215416
【氏名又は名称】大阪化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】鹿又 喜輝
(72)【発明者】
【氏名】小田 誠志
(57)【要約】
【課題】 本発明は、合成樹脂の使用を抑制して、紙などの自然素材で形成したシート状化粧品を提供する。
【解決手段】 紙製のシート状基材10と、前記シート状基材上に配置された化粧料30と、前記化粧料を覆うように配置したカバー部材50とを含み、前記カバー部材が、少なくとも前記化粧料の色を視認できる程度の透明性を有する薄葉紙で形成されているシート状化粧品1。更に、必要により接着層と共に耐油紙20や嵩上げ部材40を配置してもよい。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙製のシート状基材と、
前記シート状基材上に配置された化粧料と、
前記化粧料を覆うように配置したカバー部材とを含み、
前記カバー部材が、少なくとも前記化粧料の色を視認できる程度の透明性を有する薄葉紙で形成されている、ことを特徴とするシート状化粧品。
【請求項2】
前記シート状基材と前記化粧料との間に更に接着層が設けてある、ことを特徴とする請求項1に記載のシート状化粧品。
【請求項3】
前記薄葉紙の不透明度が5~40%である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート状化粧品。
【請求項4】
前記化粧料と前記シート状基材との間には更に耐油紙が配置され、前記耐油紙と前記シート状基材との間に接着層が設けてある、ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のシート状化粧品。
【請求項5】
前記耐油紙と前記化粧料との間に更に接着層が設けてある、ことを特徴とする請求項4に記載のシート状化粧品。
【請求項6】
前記耐油紙は、JIS P8146-1976によって規定される油バリア性が300秒以上である、ことを特徴とする4又は5に記載のシート状化粧品。
【請求項7】
前記化粧料の外周を囲むように嵩上げ部材が設けてあり、前記嵩上げ部材は厚紙で形成されている、ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のシート状化粧品。
【請求項8】
前記接着層は、自然素材から製造した接着剤を用いて形成されている、ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のシート状化粧品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試供品、テスター、携行用などとして、数回分の化粧料をシート状部材に担持してあるシート状化粧品に関する。より詳細には、環境保護の観点から合成樹脂材料の使用を抑制して自然素材で形成してあるシート状化粧品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来にあっては、合成樹脂フィルムなどのシート基材の上に数回分の化粧料を担持させた薄手のシート状化粧品が提供されている。このような化粧品は薄くて嵩張らないので扱いに便利であり、化粧品会社の試供品やトラベル用の携行化粧品などとして、近年において広く活用されている。更に、特許文献1で開示されるように、この種のシート状化粧品をより積極的に楽しむように工夫した新たな提案もされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2017/061437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようにシート状化粧品について種々の提案がなされているが、ここで使用される多くの部材が合成樹脂によるものであった。シート状化粧品は名刺程度の大きさであり使用する合成樹脂の量は多くはないが、マイクロプラスチックによる環境汚染が近年、大きな問題になっている。よって、シート状化粧品についても、可能な限り環境に優しい素材で形成するのが望ましい。
【0005】
よって、本発明は、合成樹脂の使用を抑制して、紙などの自然素材で形成したシート状化粧品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、紙製のシート状基材と、前記シート状基材上に配置された化粧料と、前記化粧料を覆うように配置したカバー部材とを含み、前記カバー部材が、少なくとも前記化粧料の色を視認できる程度の透明性を有する薄葉紙で形成されている、ことを特徴とするシート状化粧品により達成することができる。
【0007】
また、前記シート状基材と前記化粧料との間に更に接着層を設けてもよい。
そして、前記薄葉紙の不透明度は5~40%であるのが好ましい。
【0008】
また、前記化粧料と前記シート状基材との間には更に耐油紙が配置され、前記耐油紙と前記シート状基材との間に接着層を設けてもよい。
そして、前記耐油紙と前記化粧料との間に更に接着層を設けてもよい。
前記耐油紙は、JIS P8146-1976によって規定される油バリア性が300秒以上であるものが好ましい。
【0009】
また、前記化粧料の外周を囲むように嵩上げ部材が設けてあり、前記嵩上げ部材は厚紙で形成されているのが好ましい。
【0010】
また、前記接着層は、自然素材から製造した接着剤を用いて形成されているのがより好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、合成材料の使用を抑制して、自然素材を用いた自然に優しいシート状化粧品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係るシート状化粧品の構成を説明するための図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係るシート状化粧品の構成を説明するための図である。
図3】本発明の第3の実施形態に係るシート状化粧品の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るシート状化粧品1Aの断面構成を模式的に示した図である。
【0014】
シート状化粧品1Aは、ベースとなるシート状基材10、シート状基材10の上に配置される耐油紙20、耐油紙20の上に配置される化粧料30、化粧料30が存在する領域を避けてこの化粧料30を囲むように配置される嵩上げ部材40、更に化粧料30および嵩上げ部材40を覆うようにして配置されるカバー部材50を含んで形成されている。
【0015】
シート状基材10は、紙製の材料、例えば坪量70~200g/mの厚紙、コート紙を用いて形成されている。設計するシート状化粧品1Aにより必要な剛性や厚さを考慮して、好適な厚紙、コート紙を採用すればよい。
【0016】
耐油紙20は、この上に配置される化粧料30が油分の多い口紅、油性ファンデーション、コンシーラーなどである場合に採用するのが好ましい部材である。紙製のシート状基材10に直接、油分の多い化粧料を載せると油染みなどの問題を生じるおそれがあるので、耐油紙20を設けてこれを防止する。
耐油紙20は、化粧料の油分の透過を防ぐという点から所定の油バリア性を備えていることが望ましい。耐油紙20の油バリア性は、JIS P8146-1976に規定されている紙の耐油度試験方法に従って300秒以上であるのが好ましく、1200秒以上であることがより好ましい。
耐油紙20としては、高度に叩解したパルプを用いて抄造した後、水溶性高分子を塗布して目止めしたり、カレンダー処理して高密度化して得られる油バリア性のある耐油紙の他、例えばグラシン紙、パラフィン紙、トレーシングペーパー、剥離紙用原紙、パーチメント紙などから選択することができる。耐油紙20は坪量30~60g/m、透気抵抗度50,000~300,000秒のものを用いるのが好ましい。耐油紙20の坪量が30g/m未満、又は透気抵抗度が50,000秒未満ではピンホールが多くなり油バリア性が不足し、坪量が60g/mを超える、又は透気抵抗度が300,000秒を超えると抄紙する際の脱水や乾燥工程で効率が低下するためコストが上昇する。
上記シート状基材10と耐油紙20とは接着層15を介して接続されている。接着層15は接着剤を薄く塗布したり、両面テープにより形成することができる。ここで使用する接着剤としてはアクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコーン樹脂系、合成ゴム系などの一般的な接着剤を用いることもできるが、自然素材から製造される天然ゴム系や澱粉系、セルロース系のものを用いるのが好ましい。
【0017】
化粧料30としては、従来公知のファンデーション、アイシャドウ、口紅などの化粧料が薄膜状に配置される。ここで、化粧料30がファンデーションなど、その主体が粉体である化粧料である場合、耐油紙20との相性にもよるが接着性に劣り、脱落し易い(剥がれ易い)場合がある。このような場合の対処としては、耐油紙20シート上に接着層16を設けておくのが好ましい。その一方、化粧料30が油分の多い口紅などで一定以上の接着力を有する場合には接着層16を省略してもよい。接着層16は接着剤を薄く塗布することで形成してある。ここで使用する接着剤としては接着層15と同様に、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコーン樹脂系、合成ゴム系などの一般的な接着剤を用いることもできるが、自然素材から製造される天然ゴム系や澱粉系、セルロース系のものを用いるのが好ましい。
【0018】
そして、図1に示したシート状化粧品1Aは、化粧料30の外周を囲むように嵩上げ部材40が設けてあり、更に化粧料30を覆うようにカバー部材50が配置されている。
カバー部材50は、化粧料30の上部を保護しつつ、ユーザが化粧料30の色を視認することが可能である透明性を有する薄葉紙が採用されている。このような薄葉紙としては、グラシン紙、パラフィン紙、トレーシングペーパー、剥離紙用原紙、パーチメント紙、脂取紙などから選択することができ、坪量15~60g/m、不透明度5~40%であるものを採用するのが好ましい。薄葉紙の不透明度5~40%であれば、その直ぐ下に位置している化粧料30の色を視認可能である。このような薄葉紙は、カバー部材に求められる強度および透明性を備えている。
【0019】
嵩上げ部材40は、化粧料30を配置するための空間を確実に確保するという観点から化粧料30から距離をもって、その外周を囲むように配置しておくのが好ましい。このような嵩上げ部材40としては厚紙を採用すればよい。嵩上げ部材40は所望の厚さを備えた厚紙を1枚としてもよいし、必要により複数の厚紙を積層して形成してもよい。
嵩上げ部材40は、その下面は接着層41を設けて耐油紙20に固定し、上面については接着層42を介してカバー部材50の周部を剥離可能に固定しておけばよい。
なお、カバー部材50の嵩上げ部材40への固定に関しては、カバー部材50の周部に沿って環状のミシン目を形成しておき、このミシン目の外側を接着剤で嵩上げ部材40上に固着する。そして、ユーザが使用する際にミシン目に沿ってカバー部材50を破ることで、化粧料30を露出させるようにしてもよい。
【0020】
以上のようなシート状化粧品1Aは、従来の製品と比較して、合成樹脂材料の使用が確実に抑制されているので、環境に優しい新規なシート状化粧品として提案をすることができる。
【0021】
図2は、本発明の第2の実施形態に係るシート状化粧品1Bの断面構成を模式的に示した図である。シート状化粧品1Aと同一の部位には同じ符号を付している。
シート状化粧品1Bは、化粧料が粉体化粧料である場合に好適な構成を示している。前述したように化粧料が油分を多く含む場合には耐油紙が必要であるが、専ら粉体化粧料に使用するであれば耐油紙を省略し、シート状基材10上に接着層18を設けて、化粧料30を安定に保持すればよい。
以上のようなシート状化粧品1Bでも、従来の製品と比較して合成樹脂材料の使用が確実に抑制されているので、環境に優しい新規なシート状化粧品として提案をすることができる。
【0022】
図3は、本発明の第3の実施形態に係るシート状化粧品1Cの断面構成を模式的に示した図である。シート状化粧品1Aと同一の部位には同じ符号を付している。
シート状化粧品1Cは、シート状化粧品1Bと同様に化粧料が粉体化粧料である場合について示しているが、嵩上げ部材40を配置しない構成例を示している。
添付の図面では、シート状化粧品の構成を明示するために拡大して示しているが、実際の化粧料30は厚さ1mm未満の薄い層である。よって、図3で示すように、嵩上げ部材を省略して接着層45だけを設けたシート状化粧品1Cとすることも可能である。
以上のようなシート状化粧品1Cも、従来の製品と比較して合成樹脂材料の使用が確実に抑制されているので、環境に優しい新規なシート状化粧品として提案をすることができる。
【0023】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0024】
1A、1B、1C シート状化粧品
10 シート状基材
15 接着層
16 接着層
18 接着層
20 耐油紙
30 化粧料
40 嵩上げ部材
41 接着層
42 接着層
45 接着層
50 カバー部材
図1
図2
図3