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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084864
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】流体圧アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/10 20060101AFI20230613BHJP
【FI】
F15B15/10 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199226
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】厨 義典
【テーマコード(参考)】
3H081
【Fターム(参考)】
3H081AA18
3H081CC29
(57)【要約】
【課題】リング状の拘束部材を用いてアクチュエータ本体部を封止部材にかしめる構造を用いつつ、リサイクル性を改善した流体圧アクチュエータを提供する。
【解決手段】流体圧アクチュエータ10の封止機構は、アクチュエータ本体部100が挿通される封止部材と、封止部材に挿通されたアクチュエータ本体部100の外周面に設けられ、アクチュエータ本体部100を拘束するかしめリング230と、封止部材にスリーブ120を係止する係止リング220とを備える。封止部材は、チューブ110が挿通される胴体部212と、軸方向において胴体部212の外側に設けられ、胴体部212と別体の頭部211とを有する。係止部材は、胴体部212の軸方向外側端に設けられ、頭部211及び胴体部212には、軸方向に沿った挿通孔が形成される。頭部211と胴体部212とは、挿通孔に挿通されるボルト240によって固定される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の圧力によって膨張及び収縮する円筒状のチューブと、所定方向に配向されたコードを編み込んだ構造体であり、前記チューブの外周面を覆うスリーブとによって構成されるアクチュエータ本体部と、
前記アクチュエータ本体部の軸方向において、前記アクチュエータ本体部の端部を封止する封止機構と
を備える流体圧アクチュエータであって、
前記封止機構は、
前記アクチュエータ本体部が挿通される封止部材と、
前記封止部材に挿通された前記アクチュエータ本体部の外周面に設けられ、前記アクチュエータ本体部を拘束する拘束部材と、
前記封止部材に前記スリーブを係止する係止部材と
を備え、
前記封止部材は、
前記チューブが挿通される胴体部と、
前記軸方向において前記胴体部の外側に設けられ、前記胴体部と別体の頭部と
を有し、
前記係止部材は、前記胴体部の前記軸方向外側端に設けられ、
前記頭部及び前記胴体部には、前記軸方向に沿った挿通孔が形成され、
前記頭部と前記胴体部とは、前記挿通孔に挿通される締結器具によって固定される流体圧アクチュエータ。
【請求項2】
前記締結器具には、長手方向に沿った貫通孔が形成され、
前記貫通孔は、前記アクチュエータ本体部の外部に連通する請求項1に記載の流体圧アクチュエータ。
【請求項3】
前記締結器具は、前記頭部及び前記胴体部を貫通する請求項2に記載の流体圧アクチュエータ。
【請求項4】
前記貫通孔は、前記頭部に形成された前記流体の接続口と連通する請求項2に記載の流体圧アクチュエータ。
【請求項5】
前記胴体部の前記頭部側の端部には、角部が面取りされたテーパー部分が形成され、
前記係止部材は、前記テーパー部分に適合した傾斜面を有する円環状である請求項1乃至4の何れか一項に記載の流体圧アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体または液体を用いてチューブを膨張及び収縮させる流体圧アクチュエータに関し、具体的には、いわゆるマッキベン型の流体圧アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述したようなチューブを膨張及び収縮させる流体圧アクチュエータとしては、空気圧によって膨張、収縮するゴム製のチューブ(管状体)と、チューブの外周面を覆うスリーブ(網組補強構造)とを有する構造(いわゆるマッキベン型)が広く用いられている。
【0003】
チューブ及びスリーブによって構成されるアクチュエータ本体部の両端は、金属で形成された封止部材を用いて封止される。
【0004】
スリーブは、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維またはガラス繊維、カーボン繊維などの無機繊維を編み込んだ筒状の構造体であり、チューブの膨張運動を所定範囲に規制する。
【0005】
このようなマッキベン型の流体圧アクチュエータ作動時の負荷によって、スリーブが封止部材から抜けてしまうことを防止するため、スリーブは、係止部材(係止用リング)を介してアクチュエータ本体部の径方向外側に折り返され、リング状の拘束部材(かしめ用リング)によってかしめる構造が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-035930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような流体圧アクチュエータは、リング状の拘束部材を用いてアクチュエータ本体部を封止部材にかしめる構造のため、寿命を迎えた流体圧アクチュエータのリサイクル性について改善の余地がある。
【0008】
具体的には、有機繊維及びゴム製のアクチュエータ本体部と、金属製の封止部材、係止部材及び拘束部材とを分別して回収するには、大きな手間が掛かる問題がある。
【0009】
金属製の部材を回収するため、寿命を迎えた流体圧アクチュエータを焼却する方法も考えられるが、資源の有効活用及び二酸化炭素排出量抑制の観点で問題がある。
【0010】
そこで、以下の開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、リング状の拘束部材を用いてアクチュエータ本体部を封止部材にかしめる構造を用いつつ、リサイクル性を改善した流体圧アクチュエータの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一態様は、流体の圧力によって膨張及び収縮する円筒状のチューブと、所定方向に配向されたコードを編み込んだ構造体であり、前記チューブの外周面を覆うスリーブとによって構成されるアクチュエータ本体部と、前記アクチュエータ本体部の軸方向において、前記アクチュエータ本体部の端部を封止する封止機構とを備える流体圧アクチュエータであって、前記封止機構は、前記アクチュエータ本体部が挿通される封止部材と、前記封止部材に挿通された前記アクチュエータ本体部の外周面に設けられ、前記アクチュエータ本体部を拘束する拘束部材と、前記封止部材に前記スリーブを係止する係止部材とを備える。
【0012】
前記封止部材は、前記チューブが挿通される胴体部と、前記軸方向において前記胴体部の外側に設けられ、前記胴体部と別体の頭部とを有する。
【0013】
前記係止部材は、前記胴体部の前記軸方向外側端に設けられ、前記頭部及び前記胴体部には、前記軸方向に沿った挿通孔が形成される。前記頭部と前記胴体部とは、前記挿通孔に挿通される締結器具によって固定される。
【発明の効果】
【0014】
上述した流体圧アクチュエータによれば、リング状の拘束部材を用いてアクチュエータ本体部を封止部材にかしめる構造を用いつつ、リサイクル性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、流体圧アクチュエータ10の側面図である。
図2図2は、流体圧アクチュエータ10の一部分解斜視図である。
図3図3は、流体圧アクチュエータ10の軸方向DAXに沿った一部断面図である。
図4図4は、流体圧アクチュエータ10Xの一部分解斜視図である。
図5図5は、流体圧アクチュエータ10Xの軸方向DAXに沿った一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。なお、同一の機能や構成には、同一または類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0017】
[第1実施形態]
(1)流体圧アクチュエータの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る流体圧アクチュエータ10の側面図である。図1に示すように、流体圧アクチュエータ10は、アクチュエータ本体部100、封止機構200及び封止機構300を備える。
【0018】
封止機構200及び封止機構300は、軸方向DAXにおけるアクチュエータ本体部100の両端部を封止する。具体的には、封止機構200は、封止部材210及びかしめリング230を含む。封止部材210は、アクチュエータ本体部100の軸方向DAXの端部を封止する。また、かしめリング230は、アクチュエータ本体部100を封止部材210とともにかしめる(「加締める」と表記されてもよい)。
【0019】
封止機構200は、ボルト240を用いてアクチュエータ取付部20に固定される。同様に、封止機構300は、ボルト340を用いてアクチュエータ取付部30に固定される。アクチュエータ取付部20及びアクチュエータ取付部30の形状やサイズは特に限定されず、流体圧アクチュエータ10の用途などに応じて変更されてよい。
【0020】
封止機構200をアクチュエータ取付部20に固定するボルト240には、流体が通過する貫通孔244(図1において不図示、図3参照)が形成されるが、封止機構300をアクチュエータ取付部30に固定するボルト340には、そのような貫通孔は形成されない点において相違する。
【0021】
アクチュエータ本体部100は、チューブ110とスリーブ120とによって構成される。
【0022】
アクチュエータ本体部100は、チューブ110内への流体の流入によって、アクチュエータ本体部100の軸方向DAXにおいて収縮し、径方向DRにおいて膨張する。また、アクチュエータ本体部100は、チューブ110から流体の流出によって、アクチュエータ本体部100の軸方向DAXにおいて伸長し、径方向DRにおいて収縮する。このようなアクチュエータ本体部100の形状変化によって、流体圧アクチュエータ10は、アクチュエータとしての機能を発揮する。
【0023】
流体圧アクチュエータ10の駆動に用いられる流体は、空気などの気体、または水、鉱物油などの液体のどちらでもよいが、特に、流体圧アクチュエータ10は、アクチュエータ本体部100に高い圧力が掛かる液圧駆動にも耐え得る高い耐久性を有する。
【0024】
また、このような流体圧アクチュエータ10は、いわゆるマッキベン型であり、高い能力(収縮力)が要求されるロボットの体肢(上肢や下肢など)用(人工筋肉用)としても好適に用い得る。
【0025】
さらに、流体圧アクチュエータ10は、人体装着型のパワーアシスト装置、歩行アシスト装置、筋力などのトレーニング装置としても用い得る。
【0026】
図2は、流体圧アクチュエータ10の一部分解斜視図である。図2示すように、流体圧アクチュエータ10は、アクチュエータ本体部100及び封止機構200を備える。
【0027】
アクチュエータ本体部100は、上述したように、チューブ110とスリーブ120とによって構成される。
【0028】
チューブ110は、流体の圧力によって膨張及び収縮する円筒状の筒状体である。チューブ110は、流体による収縮及び膨張を繰り返すため、流体の封止が可能なゴムなど弾性材料によって構成される。チューブ110の内径は、特に限定されないが、本実施形態では、10mm程度である。
【0029】
流体圧アクチュエータ10を油圧駆動とする場合には、チューブ110の材料として、耐油性が高いNBR(ニトリルゴム)、または水素化NBR、クロロプレンゴム、及びエピクロロヒドリンゴムからなる群より選択される少なくとも一種であってもよい。
【0030】
スリーブ120は、円筒状であり、チューブ110の外周面を覆う。スリーブ120は、所定方向に配向されたコードを編み込んだ構造体であり、配向されたコードが交差することによって菱形の形状が繰り返されている。スリーブ120は、このような形状を有することによって、パンタグラフ変形し、チューブ110の収縮及び膨張を規制しつつ追従する。
【0031】
スリーブ120を構成するコードとしては、芳香族ポリアミド(アラミド繊維)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、PBO繊維(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)などの有機繊維コードを用いることが好ましい。但し、このような種類の有機繊維コードに限定されるものではなく、例えば、極細のフィラメントによって構成される無機繊維コードでもよい。
【0032】
封止機構200はアクチュエータ本体部100の軸方向DAXにおける端部を封止する。封止機構200は、封止部材210、係止リング220及びかしめリング230によって構成される。
【0033】
封止部材210には、アクチュエータ本体部100が挿通される。封止部材210としては、ステンレス鋼などの金属を好適に用い得るが、このような金属に限定されず、硬質プラスチック材料などを用いてもよい。封止部材210は、頭部211及び胴体部212によって構成される。
【0034】
胴体部212の外周面には、チューブ110が封止部材210から抜け難くするため、段状部分212aが形成される。
【0035】
係止リング220は、封止部材210にスリーブ120を係止する。本実施形態において、係止リング220は、係止部材を構成する。具体的には、スリーブ120は、係止リング220を介して径方向DR外側に折り返される(図2において不図示、図3参照)。
【0036】
係止リング220は、胴体部212の径サイズ及びスリーブ120の厚さに対応した径サイズを有する円環状である。係止リング220には、胴体部212のテーパー部分212cとフィットする傾斜面221が形成されている。
【0037】
係止リング220としては、封止部材210と同様の金属や硬質プラスチック材料などを用いることができる。
【0038】
かしめリング230は、封止部材210に挿通されたアクチュエータ本体部100の外周面に設けられ、アクチュエータ本体部100を拘束する。本実施形態において、かしめリング230は、拘束部材を構成する。
【0039】
かしめリング230は、アクチュエータ本体部100を封止部材210とともにかしめる。かしめリング230としては、アルミニウム合金、真鍮及び鉄などの金属を用いることができる。
【0040】
かしめ用の治具は特に限定されないが、かしめリング230の外周面と接触する複数のダイス(例えば、周上に8分割されたダイス)を径方向内側にかしめることによってアクチュエータ本体部100が拘束される。
【0041】
ボルト240は、封止機構200に挿通される。具体的には、ボルト240は、封止部材210、係止リング220及びかしめリング230に挿通される。
【0042】
封止部材210の頭部211及び胴体部212には、軸方向DAXに沿った挿通孔が形成される。具体的には、頭部211及び胴体部212には、ボルト240の径サイズに対応した挿通孔211b及び挿通孔212bが形成されている。ボルト240は、挿通孔211b及び挿通孔212bに挿通される。
【0043】
また、アクチュエータ取付部20には、ネジ孔21が形成される。ボルト240は、挿通孔212b側から封止部材210に挿通される。アクチュエータ取付部20のネジ孔21が形成される部分には、ボルト240のネジ部243と対応したピッチのネジ溝が形成される。このように、ボルト240は、頭部211及び胴体部212を貫通し、アクチュエータ取付部20によって係止される。
【0044】
(2)封止機構の構成
図3は、流体圧アクチュエータ10の軸方向DAXに沿った一部断面図である。図3に示すように、頭部211は、軸方向DAX図1参照)において、胴体部212の外側に設けられる。頭部211は、胴体部212とは別体であり、分離可能である。
【0045】
頭部211は、封止機構200の組み立て後において、胴体部212と連なるように設けられる。なお、頭部211と胴体部212との接触面からの流体の漏れを確実に防止するため、頭部211と胴体部212との境界部分にシールテープを巻くなどの措置が施されてもよい。
【0046】
胴体部212は、チューブ110が挿通される部分である。具体的には、胴体部212は、封止部材210に挿通されたチューブ110の内周面と接する。
【0047】
上述したように、胴体部212の外周面には、段状部分212aが形成される。段状部分212aは、チューブ110の胴体部212からの引き抜き方向に対して抵抗となるように、径方向DR図1参照)外側に向けて凸となっている。
【0048】
また、胴体部212の頭部211の端部には、角部が面取りされたテーパー部分212cが形成される。係止リング220は、テーパー部分212cに適合した傾斜面221を有する円環状である。
【0049】
ボルト240は、頭部241、胴部242及びネジ部243を有する。本実施形態において、ボルト240は、締結器具を構成する。本実施形態では、頭部241には、六角レンチなどと係合できる六角形の凹部が形成される。なお、頭部241の形状は、特に限定されず、頭部241の形状が六角形でもよい。
【0050】
また、ボルト240には、軸方向DAXに沿って、頭部241及び胴部242を貫通する貫通孔244が形成される。つまり、貫通孔244は、ボルト240の長手方向に沿って形成される。なお、ボルト240の緩み止めを確実にするため、緩み止め用接着剤が用いられてもよい。
【0051】
貫通孔244は、アクチュエータ本体部100の外部に連通する。具体的には、アクチュエータ取付部20から軸方向DAX外側に突出するボルト240の先端には、流体供給用のホースなどが接続される。空気などの流体は、貫通孔244を介してアクチュエータ本体部100の内部空間に供給される。
【0052】
係止リング220は、胴体部212の軸方向DAX外側端に設けられる。スリーブ120は、係止リング220を介して折り返された折り返し部分120aを有する。折り返し部分120aは、係止リング220を介して径方向DR外側に折り返されており、かしめリング230の内周面と当接する。
【0053】
係止リング220の傾斜面221は、胴体部212のテーパー部分212cと対向する。傾斜面221とテーパー部分212cとの間には、スリーブ120が介在する。このように、係止リング220の傾斜面221及び胴体部212のテーパー部分212cが形成されるため、係止リング220の最小径部分は、胴体部212の最大径部分よりも小さいため、アクチュエータ本体部100の膨張及び収縮動作によって、係止リング220が軸方向DAX内側(中央側)に移動することを確実に規制できる。
【0054】
頭部211と胴体部212とは、ボルト240によって固定される。具体的には、頭部211と胴体部212とは、挿通孔211b(図2参照)及び挿通孔212bに挿通されるボルト240によって固定される。
【0055】
ボルト240は、アクチュエータ取付部20のネジ孔21に螺入されることによって、頭部211と胴体部212が軸方向DAX及び径方向DRにずれないように固定する。頭部211及び胴体部212は、アクチュエータ取付部20と、ボルト240の頭部241とによって軸方向DAXにずれないように固定される。また、頭部211及び胴体部212は、ボルト240の胴部242によって径方向DRにずれないように固定される。
【0056】
[第2実施形態]
本実施形態では、第1実施形態と封止部材210の形状、及び締結器具(ボルト)による封止部材210の固定方法が異なる。以下、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0057】
図4は、流体圧アクチュエータ10Xの一部分解斜視図である。図5は、流体圧アクチュエータ10Xの軸方向DAXに沿った一部断面図である。
【0058】
図4及び図5に示すように、流体圧アクチュエータ10Xでは、ボルト240X及びボルト250を用いて封止部材210の頭部211Xと胴体部212とが固定される。
【0059】
頭部211Xには、流体用の接続口211aが形成される。流体圧アクチュエータ10Xでは、接続口211aを介して流体が供給される。
【0060】
ボルト240Xは、胴体部212の挿通孔212bに挿通される。また、ボルト240Xのネジ部243は、頭部211Xのネジ孔211cに螺入される。
【0061】
ボルト250は、アクチュエータ取付部20Xの挿通孔22に挿通される。また、ボルト250のネジ部253は、頭部211Xに形成されたネジ孔211dに螺入される。
【0062】
ボルト240Xの貫通孔244は、頭部211Xに形成された流体の接続口211aと連通する。空気などの流体は、接続口211a及び貫通孔244を介してアクチュエータ本体部100の内部空間に供給される。
【0063】
[作用・効果]
上述した実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。具体的には、流体圧アクチュエータ10(流体圧アクチュエータ10X)によれば、係止リング220は、頭部211(頭部211X)と別体の胴体部212の軸方向DAX外側端に設けられ、頭部211(頭部211X)と胴体部212とは、ボルト240(ボルト240X)によって固定される。
【0064】
このため、流体圧アクチュエータ10(流体圧アクチュエータ10X)が寿命を迎えた場合、有機繊維及びゴム製のアクチュエータ本体部100と、金属製の封止部材210、係止リング220及びかしめリング230とを容易に分別して回収できる。具体的には、頭部211(頭部211X)と胴体部212とに螺入されていたボルト240(ボルト240X)を取り外し、(頭部211X)と胴体部212とを分離する。さらに、分離された胴体部212からかしめリング230を引き抜くことによって、資源毎の分別が可能となり、流体圧アクチュエータ10(流体圧アクチュエータ10X)のリサイクル性を改善できる。
【0065】
このような資源毎の分別が難しい構造の場合、特に、アクチュエータ本体部100よりも寿命が長い金属製の封止部材210などを再利用が難しくなり、金属を回収しようとすると、分離できないスリーブ120などの有機物を焼却することとなり、二酸化炭素排出量の抑制及び資源の有効活用の観点で問題がある。
【0066】
流体圧アクチュエータ10(流体圧アクチュエータ10X)によれば、リング状のかしめリング230を用いてアクチュエータ本体部100を封止部材210にかしめる構造を用いつつ、リサイクル性を改善できる。例えば、チューブ110のゴムは、再生ゴムや粉ゴムへのリサイクル、スリーブ120の繊維は、再生繊維や短繊維へリサイクル、金属製の封止部材210及び係止リング220は、アクチュエータとして再利用、かしめリング230は、溶融して再利用することが可能となる。
【0067】
第1実施形態では、ボルト240には、長手方向に沿った貫通孔244が形成され、貫通孔244は、アクチュエータ本体部100の外部に連通する。具体的には、アクチュエータ取付部20から軸方向DAX外側に突出するボルト240の先端には、流体供給用のホースなどが接続され、空気などの流体は、貫通孔244を介してアクチュエータ本体部100の内部空間に供給される。このため、ボルト240を活用した流体の供給経路を容易に確保できる。
【0068】
第2実施形態では、ボルト240Xの貫通孔244は、頭部211Xに形成された流体の接続口211aと連通する。このため、空気などの流体は、接続口211a及び貫通孔244を介してアクチュエータ本体部100の内部空間に供給できる。一方、アクチュエータ取付部20Xと頭部211Xとは、ボルト240Xとは別のボルト250によって固定されるため、アクチュエータ取付部20Xのみを容易に着脱できる。
【0069】
また、係止リング220は、胴体部212のテーパー部分212cに適合した傾斜面221を有する円環状である。このため、係止リング220は、胴体部212と一体となり易く、かつスリーブ120がずれないように固定できるので、スリーブ120がずれることによって発生する製品不良を低減することができる。さらに、係止リング220の最小径部分は、胴体部212の最大径部分よりも小さいため、アクチュエータ本体部100の膨張及び収縮動作によって、係止リング220が軸方向DAX内側(中央側)に移動することを確実に規制できる。
【0070】
[その他の実施形態]
以上、実施形態について説明したが、当該実施形態の記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
【0071】
例えば、上述した実施形態では、締結器具として、頭部241を有するボルト240(ボルト240X)が用いられていたが、頭部211(頭部211X)と胴体部212とを容易に分離可能であれば、頭部のないスタッドボルトなどが用いられてもよい。
【0072】
また、上述した実施形態では、胴体部212のテーパー部分212cと、係止リング220の傾斜面221とがフィットする形状であったが、このような形状は必ずしも必要なく、係止リング220は、断面が円形のシンプルなリングであってもよい。但し、この場合、胴体部212の頭部211側の端部は、係止リング220の内径よりも少し小さいことが好ましい。
【0073】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0074】
10, 10X 流体圧アクチュエータ
20, 20X アクチュエータ取付部
21 ネジ孔
22 挿通孔
30 アクチュエータ取付部
100 アクチュエータ本体部
110 チューブ
120 スリーブ
120a 折り返し部分
200 封止機構
210 封止部材
211, 211X 頭部
211a 接続口
211b 挿通孔
211c, 211d ネジ孔
212 胴体部
212a 段状部分
212b 挿通孔
212c テーパー部分
220 係止リング
221 傾斜面
230 かしめリング
240, 240X ボルト
241 頭部
242 胴部
243 ネジ部
244 貫通孔
250 ボルト
253 ネジ部
300 封止機構
340 ボルト
図1
図2
図3
図4
図5