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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084905
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/00 20220101AFI20230613BHJP
   G01F 1/08 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
G01F1/00 F
G01F1/00 W
G01F1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199291
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 章太
【テーマコード(参考)】
2F030
【Fターム(参考)】
2F030CC02
2F030CD05
2F030CE02
2F030CF05
2F030CF07
2F030CG01
(57)【要約】
【課題】 予め決められた関数のみを用いて流量を演算する給水装置では、正確な流量を得ることができない点を改善する。
【解決手段】 給水装置1は、給水用の電動ポンプ3と、給水流量を検出するための流量センサFsであって、給水流量に応じた検出信号を出力する流量センサFsと、検出信号を変数とする関数を利用して給水流量を演算するとともに、当該関数を外部から入力された関数に更新する更新機能を有する流量演算部とを備える。これにより、当該給水装置1では、給水流量を演算するための関数を外部から入力された関数に更新する更新機能を有するので、最適化された関数を用いて流量を演算することが可能となり得る。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水用の電動ポンプと、
給水流量を検出するための流量センサであって、給水流量に応じた検出信号を出力する流量センサと、
前記検出信号を変数とする関数を利用して給水流量を演算するとともに、当該関数を外部から入力された関数に更新する更新機能を有する流量演算部と
を備える給水装置。
【請求項2】
前記流量センサは、流水の動圧を受けて回転する羽根車を有するとともに、当該羽根車の回転速度を示す信号を前記検出信号として出力し、
さらに、前記流量演算部は、複数の関数を利用して給水流量を演算し、かつ、それら複数の関数は、前記検出信号の値域に応じて異なる請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の給水装置の出荷調整に用いられる関数設定装置において、
前記給水装置の送水量を検出する流量計と、
前記流量計により検出された流量(以下、検出流量という。)及び前記検出信号を利用して前記関数を決定する関数決定部とを備え、
前記関数決定部は、決定された関数を前記流量演算部に入力する関数設定装置。
【請求項4】
前記検出流量と当該検出流量が検出された時に前記流量演算部により演算された給水流量(以下、演算流量という。)とを比較し、当該演算流量と当該検出流量との差が予め決められた範囲内にあるか否かを判断する検査部
を備える請求項3に記載の関数設定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給水装置及び当該給水装置の出荷調整に用いられる関数設定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の給水装置では、流水の動圧を受けて回転する羽根車を有する流量センサを備えている。そして、流量検出装置は、羽根車の回転速度を示すパルス信号数を予め決められた換算式(以下、関数ともいう。)を用いて流量に換算する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-9343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者等は、種々の給水装置について試験を行ったところ、「電動ポンプの種類や吐出し口の口径等が異なると、電動ポンプの吐出し流量が同一であっても、配管内における流速分布が大きく異なる」ことを発見した。
【0005】
このため、予め決められた関数のみを用いて流量を演算する給水装置では、正確な流量を得ることができない可能性が高い。つまり、正確な流量を得るには、給水装置毎に最適化された関数を用いて流量を演算する必要がある。本開示は、当該点に鑑みた給水装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
給水装置は、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。すなわち、当該構成要件は、給水用の電動ポンプ(3)と、給水流量を検出するための流量センサ(Fs)であって、給水流量に応じた検出信号(Sf)を出力する流量センサ(Fs)と、検出信号(Sf)を変数とする関数を利用して給水流量を演算するとともに、当該関数を外部から入力された関数に更新する更新機能を有する流量演算部(72)とである。
【0007】
これにより、当該給水装置では、給水流量を演算するための関数を外部から入力された関数に更新する更新機能を有するので、最適化された関数を用いて流量を演算することが可能となり得る。
【0008】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る給水装置及び関数設定装置を示す図である。
図2】給水装置の制御盤を示すブロック図である。
図3】関数設定装置の管理装置を示すブロック図である。
図4】給水装置のシーケンスを示すフローチャートである。
図5】管理装置のシーケンスを示すフローチャートである。
図6】給水装置のシーケンスを示すフローチャートである。
図7】管理装置のシーケンスを示すフローチャートである。
図8】パルス信号数と流量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0011】
少なくとも符号が付されて説明された機器や部材等の構成要素は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該構成要素は2以上設けられていてもよい。本開示に示された給水装置は、少なくとも符号が付されて説明された構成要素等を備える。
【0012】
(第1実施形態)
<1.給水装置>
<1.1 給水装置の概要>
本実施形態は、マンションや商業ビル等の建物に適用される給水装置、及び当該給水装置用の関数設定装置に、本開示に係る給水装置及び関数設定装置の一例が適用されたものである。なお、本実施形態に係る関数設定装置は、例えば、給水装置の製造時に利用されるものである。
【0013】
本実施に係る給水装置1は、図1に示されるように、電動ポンプ3、流量センサFs、圧力センサPs(図2参照)、蓄圧器5及び制御盤7等を少なくとも備えて構成されている。電動ポンプ3は、ポンプ部3A及びモータ部3B等を有する給水用ポンプである。
【0014】
なお、本実施形態では、同一仕様の電動ポンプ3が複数設けられている。各電動ポンプ3の吐出し側は、建物の配水管(図示せず。)側に接続されている。そして、各電動ポンプ3は、受水槽14に貯留された水を当該配水管を通して建物に供給する。
【0015】
流量センサFsは、電動ポンプ3の吐出し流量に応じた検出信号を出力するセンサである。具体的には、当該流量センサFsは、流水の動圧を受けて回転する羽根車(図示せず。)を有するとともに、当該羽根車の回転速度を示す信号を上記検出信号として出力する。
【0016】
本実施形態に係る流量センサFsは、羽根車の回転速度に比例した数のパルス信号を出力する。つまり、流量センサFsは、単位時間あたりのパルス信号数を示す信号を検出信号として出力する。
【0017】
圧力センサPsは、電動ポンプ3の吐出し側に配置されて給水圧に応じた信号を出力する。蓄圧器5は、電動ポンプ3の吐出し側に接続されて全ての電動ポンプ3が停止しているときに給水圧を保持する。
【0018】
制御盤7は、図2に示されるように、ポンプ制御部71、流量演算部72、通信部73及び記憶部74等が収納されたケーシングである。ポンプ制御部71は、圧力センサPsの検出値及び流量センサFsの検出値を利用して電動ポンプ3の作動を制御する。
【0019】
具体的には、ポンプ制御部71は、全ての電動ポンプ3が停止している状態において、給水圧が予め決められた圧力以下となったときに電動ポンプ3を起動するとともに、起動後においては、給水圧が目標とする圧力となるように電動ポンプ3を制御する。
【0020】
ポンプ制御部71は、給水流量が予め決められた流量以下となったときに、電動ポンプ3を停止させる。なお、ポンプ制御部71は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータに構成されている。そして、CPUにてポンプ制御用ソフトウェアが実行されることにより、上記のポンプ制御が実現される。
【0021】
なお、ポンプ制御用ソフトウェアは、記憶部74に記憶されている。当該記憶部74は、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置により構成されている。通信部73は、給水装置1と他の機器との間で、無線通信又は有線通信を実現する。
【0022】
<1.2 流量演算部>
流量演算部72は、流量センサFsの検出信号Sfを利用して流量を演算する。具体的には、当該検出信号Sfを変数とする関数F(Sf)を利用して給水流量を演算する。なお、本実施形態に係る流量演算部72は、複数の関数F(Sf)を利用して給水流量を演算する。
【0023】
具体的には、流量演算部72は、例えば図8に示されるように、検出信号Sfの値域が第1値域の範囲では、第1の関数F(Sf)を利用して給水流量を演算し、検出信号Sfの値域が第2値域の範囲では、第2の関数F(Sf)を利用して給水流量を演算する。因みに、第1の関数F(Sf)は、n次関数(但し、n>2)であり、第2の関数F(Sf)は1次関数である。
【0024】
流量演算部72は、関数F(Sf)を外部から入力された関数F(Sf)に更新する機能(以下、更新機能という。)も有する。例えば、図1に示されるように、給水装置1と管理装置11とが通信可能に接続されている場合において、管理装置11から関数F(Sf)が給水装置1に送信されると、流量演算部72は、既存の関数F(Sf)をその送信されてきた関数F(Sf)に更新する。
【0025】
「外部から入力された関数F(Sf)に更新する」とは、以下の(a)又は(b)をいう。
【0026】
(a)給水装置1(本実施形態では、記憶部74)に既に関数F(Sf)が記憶されている場合には、更新とは、その既存の関数F(Sf)が外部から入力された関数F(Sf)に置換されることをいう。
【0027】
(b)記憶部74に未だ関数F(Sf)が記憶されていない場合には、更新とは、外部から入力された関数F(Sf)が新たに記憶部74に記憶されることをいう。
【0028】
なお、流量演算部72は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータに構成されている。そして、CPUにて演算用ソフトウェアが実行されることにより、上記の作動が実現される。
【0029】
<2.給水装置用の関数設定装置(図1参照)>
<2.1 関数設定装置の概要>
関数設定装置10は、給水装置1の出荷調整に用いられる装置であって、関数F(Sf)を決定し、その決定された関数F(Sf)を給水装置1、つまり流量演算部72に入力する装置である。具体的には、関数設定装置10は、管理装置11、流量計12、流量調整弁13及び受水槽14等を有する。
【0030】
流量計12は、給水装置1の送水量を検出する。流量計12は、電磁式流量計等の検出精度が高い流量検出器である。なお、当該流量計12は、電動ポンプ3の吐出し口から十分な助走距離が確保された位置に配置されている。
【0031】
流量調整弁13は、給水負荷を生成するとともに、予め決められた回転速度で電動ポンプ3が稼働しているときの吐出し流量、つまり給水流量を調整する。管理装置11は、流量調整弁13の開度を制御するとともに、流量計12により検出された流量(以下、検出流量Dfという。)及び流量センサFsの検出信号Sfを利用して関数F(Sf)を決定する。
【0032】
すなわち、管理装置11は、図3に示されるように、関数決定部11A、バルブ制御部11B及び検査部11C等を有する。関数決定部11Aは、検出流量Df及び検出信号Sfを利用して関数F(Sf)を決定する。バルブ制御部11Bは、流量調整弁13を制御する。
【0033】
関数F(Sf)の決定手法は不問である。なお、関数F(Sf)の決定手法の具体例として、本実施形態では、例えば、ラグランジュの補完式、ニュートンの補完式、スプラインの補完式、ペジエ曲線を用いた補完等を用いている。
【0034】
検査部11Cは、検出流量Dfと当該検出流量Dfが検出された時に流量演算部72により演算された給水流量とを比較し、当該演算された給水流量と当該検出流量Dfとの差が予め決められた範囲内にあるか否かを判断する。
【0035】
なお、管理装置11は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータに構成されている。そして、CPUにて関数決定用ソフトウェア、バルブ制御用ソフトウェア及び検査制御用ソフトウェアが実行されることにより、上記の作動が実現される。
【0036】
受水槽14は、給水用の水が貯留されたタンクである。給水装置1は、受水槽14から水を吸引した後、当該受水槽14に送水する。つまり、関数設定装置10にて関数F(Sf)が決定される際には、給水装置1と受水槽14との間で水が循環する。
【0037】
<2.2 出荷調整時における関数決定シーケンスの詳細>
<給水装置における関数決定シーケンス(図4参照)>
図4に示される関数決定シーケンスは、作業者により当該シーケンスの起動指示がされたときに起動する。当該シーケンスが起動すると、流量演算部72は、給水装置1、つまり電動ポンプ3が予め決められた回転速度に稼働している旨を管理装置11に送信する(S1)
次に、流量演算部72は、管理装置11から検出信号Sfの出力要求があったか否かを判断する(S2)。管理装置11から検出信号Sfの出力要求があった場合には(S2:YES)、流量演算部72は、現時の検出信号Sf、つまり単位時間あたりのパスル信号数を管理装置11に送信する(S3)。
【0038】
その後、流量演算部72は、管理装置11が送信した関数F(Sf)を受信したか否かを判断する(S4)。関数F(Sf)を受信していない場合には(S4:NO)、流量演算部72は、S2を再び実行する。
【0039】
関数F(Sf)を受信した場合には(S4:YES)、流量演算部72は、受信した関数F(Sf)に更新するとともに、当該関数F(Sf)を用いて給水流量を演算した後(S5)、その演算結果である給水流量を制御盤7の表示部(図示せず。)に表示する(S6)。
【0040】
<管理装置における関数決定シーケンス(図5参照)>
図5に示される関数決定シーケンスは、作業者により当該シーケンスの起動指示がされたときに起動する。当該シーケンスが起動すると、管理装置11は、給水装置1、つまり流量演算部72から電動ポンプ3の稼働信号を受信したか否かを判断する(S11)。
【0041】
稼働信号を受信した場合には(S11:YES)、管理装置11は、検出流量Dfが予め決められた値となるように、流量調整弁13の開度を制御した後(S12)、給水装置1、つまり流量演算部72に対して検出信Sfを管理装置11に送信すべき旨の要求を送信する(S13)。
【0042】
次に、管理装置11は、検出信Sfを受信したか否かを判断する(S14)。検出信Sfを受信した場合には(S14:YES)、管理装置11は、検出流量Df及び検出信号Sfを利用して関数F(Sf)を決定した後(S15)、その決定した関数F(Sf)を給水装置1、つまり流量演算部72に送信する(S16)。
【0043】
なお、本実施形態では、複数の関数F(Sf)を利用して給水流量を演算する。このため、本実施形態に係る管理装置11、つまり関数決定部11Aは、複数の関数F(Sf)及び対応する値域を決定した後、それらの決定された関数F(Sf)及び対応する値域を流量演算部72に送信する。
【0044】
<2.3 検査シーケンスの詳細>
<給水装置における検査シーケンスの詳細(図6参照)>
図6に示される関数決定シーケンスは、作業者により当該シーケンスの起動指示がされたときに起動する。
【0045】
当該シーケンスが起動すると、給水装置1、つまり流量演算部72は、「関数F(Sf)の更新が終了した」旨を管理装置11に送信した後(S21)、「更新された関数F(Sf)を用いて演算された給水流量を送信すべき」旨の要求が管理装置11からされたか否かを判断する(S22)。
【0046】
給水流量を送信すべき旨の要求がされた場合には(S22:YES)、流量演算部72は、当該関数F(Sf)を用いて受信時の給水流量を演算した後、その演算結果である給水流量を管理装置11に送信する(S23)。
【0047】
<管理装置における検査シーケンスの詳細(図7参照)>
図7に示される関数決定シーケンスは、作業者により当該シーケンスの起動指示がされたときに起動する。当該シーケンスが起動すると、管理装置11は、給水装置1から「関数F(Sf)の更新が終了した」旨の信号を受信したか否かを判断する(S31)。
【0048】
管理装置11が当該信号を受信した場合には(S31:YES)、管理装置11は、検出流量Dfが予め決められた流量(本実施形態では、当該給水装置1の最大給水流量)となるように、流量調整弁13の開度を調節する(S32)。
【0049】
次に、管理装置11は、検出流量Dfが予め決められた流量になった時に、給水装置1、つまり流量演算部72に対して「給水流量を送信すべき」旨の要求信号を送信した後(S33)、給水流量を受信したか否かを判断する(S34)。
【0050】
そして、管理装置11が給水流量を受信した場合には(S34:YES)、管理装置11は、検出流量Dfと受信した給水流量(以下、演算流量という。)とを比較し、当該演算流量と当該検出流量Dfとの差が予め決められた所定範囲内にあるか否かを判断する(S35)。
【0051】
なお、管理装置11は、検出流量Dfが予め決められた流量になった時に、給水装置1、つまり流量演算部72に対して「給水流量を送信すべき」旨の要求信号を送信するので、演算流量は、当該検出流量Dfが検出された時に流量演算部72により演算された給水流量に相当する。
【0052】
また、本実施形態では、演算流量と検出流量Dfとの差が当該検出流量Dfの3%以内であるか否かに基づいてS35の判断を実行する。そして、演算流量と当該検出流量Dfとの差が所定範囲内である場合には(S35:YES)、管理装置11は、管理装置11の表示部(図示せず。)に「OK」と表示する(S36)。
【0053】
演算流量と当該検出流量Dfとの差が所定範囲内でない場合には(S35:NO)、管理装置11は、管理装置11の表示部(図示せず。)に「NG」と表示した後(S37)、再びS11を実行して関数F(Sf)を再決定する。
【0054】
なお、上記のシーケンスは、電動ポンプ3毎に実行されることが望ましい。つまり、3台の電動ポンプ3を備える給水装置においては、上記のシーケンスが少なくとも3回実行されることが望ましい。
【0055】
<3.本実施形態に係る給水装置及び管理装置の特徴>
本実施形態に係る給水装置1では、給水流量を演算するための関数F(Sf)を外部から入力された関数F(Sf)に更新することができる。これにより、当該給水装置1では、当該給水装置1に最適化された関数F(Sf)を用いて給水流量を演算することが可能となり得る。
【0056】
ところで、本実施形態に係る給水装置1では、給水圧が目標とする圧力(以下、目標圧力という。)となるように電動ポンプ3の作動が制御されるとともに、目標圧力が給水流量の関数値として決定される。
【0057】
そして、本実施形態では、最適な関数F(Sf)を用いて給水流量が演算されるので、目標圧力も適切な値となり得る。延いては、ポンプ制御部71は、省エネ効果の高い状態で電動ポンプ3を運転することが可能となり得る。
【0058】
管理装置11は、流量計12により検出された検出流量Df及び流量センサFsの検出信号Sfを利用して関数F(Sf)を決定するとともに、その決定された関数F(Sf)を流量演算部72に送信する。
【0059】
これにより、給水装置の開発にあたって、搭載候補となるすべての口径、出力のポンプを運転し、検出信号Sfを計測して、関数F(Sf)を決定し、ポンプ制御部71に記憶させる必要がなくなる。
【0060】
ところで、給水装置毎に関数F(Sf)が異なる可能性がある。このため、従来では、これに対応すべく、複数の関数F(Sf)を記憶させる必要があった。
【0061】
これに対して、本実施形態に係る管理装置11及び給水装置1を用いれば、給水装置毎に関数F(Sf)が異なっていても、複数の関数F(Sf)を記憶させる必要がないため、記憶部74の容量を小さくすることが可能となる。
【0062】
延いては、新しい電動ポンプ3を搭載した給水装置をラインナップする場合に、ポンプ制御用のパラメータを当該新しい電動ポンプ3に適合したパラメータに更新する必要性も低下し得る。
【0063】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、演算流量と当該検出流量Dfとの差が所定範囲内でない場合には、管理装置11は、管理装置11の表示部に「NG」と表示した後(S37)、再びS11を実行した。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0064】
すなわち、当該開示は、例えば、演算流量と当該検出流量Dfとの差が所定範囲内でない場合に、作業者が給水装置の操作パネルで、既に記憶された関数F(Sf)を消去して、再度、出荷調整を実行してもよい。
【0065】
上述の実施形態に係る流量演算部72は、複数の関数F(Sf)を利用して給水流量を演算した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、1つの関数F(Sf)を利用して給水流量を演算する構成であってもよい。
【0066】
上述の実施形態では、管理装置11を利用して「外部から入力された関数F(Sf)に更新する」構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、作業者が関数F(Sf)を給水装置に入力する構成であってもよい。
【0067】
上述の実施形態では、流量調整弁13の開度を制御した後(S12)、流量演算部72に対して検出信Sfを管理装置11に送信すべき旨の要求し、その受信した検出信号Sf及び検出流量Dfを利用して関数F(Sf)を決定した。
【0068】
しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、流量調整弁13を廃止又は流量調整弁13の開度を固定した状態で電動ポンプ3を稼働させ、検出信Sfと検出時刻とが関連付けられたデータ、及び検出流量Dfと検出時刻とが関連付けられたデータとを利用して関数F(Sf)が決定される構成であってもよい。
【0069】
すなわち、同時刻において、流量計12が検出した検出流量Dfと流量センサFs検出信Sfから演算される流量とは同じなる、つまり関数F(Sf)=検出流量Dfを利用して当該関数F(Sf)を決定する構成であってもよい。
【0070】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1… 給水装置 3…電動ポンプ 5… 蓄圧器 7… 制御盤
10… 関数設定装置 11…管理装置 11A… 関数決定部
11B… バルブ制御部 11C…検査部 12… 流量計
13… 流量調整弁 14…受水槽 71… ポンプ制御部
72… 流量演算部 73…通信部 74… 記憶部
Fs… 流量センサ Ps…圧力センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8