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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084906
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】受水槽装置
(51)【国際特許分類】
   E03B 5/00 20060101AFI20230613BHJP
【FI】
E03B5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199292
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 章太
(57)【要約】
【課題】 受水槽に水が長時間に貯留されてしまうことを抑制可能な受水槽装置の一例を開示する。
【解決手段】 受水槽装置10では、給水需要が小さいとき、つまり低需要時間においては、受水槽11内の水位が高需要時間に比べて低い水位に保持され、かつ、高需要時間に比べて低い水位の状態で流入弁13が開く。したがって、当該受水槽装置10では、少なくとも給水需要が小さい場合に、受水槽11に水が長時間に貯留されてしまうことを抑制され得る。給水需要が大きいとき、つまり高需要時間においては、受水槽11内の水位が低需要時間に比べて高い水位に保持され、かつ、低需要時間に比べて高い水位の状態で流入弁13が開く。したがって、当該受水槽装置10では、給水用の水が不足することが抑制されながら、受水槽11に水が長時間に貯留されてしまうことを抑制され得る。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水用の水が貯留される受水槽と、
前記受水槽内の水量を検出するための水量センサと、
前記受水槽に供給する水量を調節する流入弁と、
前記水量センサの検出値が入力され、当該検出値を利用して前記流入弁の開閉を制御可能な受水制御部とを備え、
前記受水制御部は、水量が第1水量となったときに前記流入弁を閉じる第1受水制御、及び水量が前記第1水量より大きい第2水量となったときに前記流入弁を閉じる第2受水制御が実行可能である受水槽装置。
【請求項2】
前記受水槽から外部への給水量を検出する給水量センサを備え、
前記受水制御部は、
前記給水量センサにより検出された給水量と当該給水量が検出された時刻とに基づいて、単位時間あたりの給水量が予め決められた給水量未満となった時間帯(以下、低需要時間という。)を決定するとともに、
前記低需要時間に前記第1受水制御を実行する低需要制御が実行可能である請求項1に記載の受水槽装置。
【請求項3】
前記受水制御部は、カレンダー機能を有するとともに、予め決められた日程に従って前記第1受水制御を実行する日程制御が実行可能である請求項1又は2に記載の受水槽装置。
【請求項4】
電源スイッチの投入後において最初に前記流入弁が開かれたときには、前記受水制御部は、水量が前記第1水量より大きい予め決められた水量となったときに当該流入弁を閉じる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の受水槽装置。
【請求項5】
給水用の水が貯留される受水槽と、
前記受水槽内の水量を検出するための水量センサと、
前記受水槽から外部への給水量を検出する給水量センサと、
前記受水槽内への水の供給を調節する流入弁と、
前記水量センサの検出値が入力され、当該検出値を利用して前記流入弁の開閉を制御可能な受水制御部と、
前記水量センサの検出水量、前記給水量センサの検出給水量、及び前記流入弁の開閉回数を少なくとも含むデータを教師データとして、予め決められた期間内における前記流入弁の開閉回数が予め決められた回数以下になる貯水量を推定する学習モデルを作成する学習モデル作成部と
を備える受水槽装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の受水槽装置と、
前記受水槽の水を送水する電動ポンプと
を備える給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給水装置に用いられる受水槽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の受水槽装置では、受水槽内の水位が予め決められた1つの水位に到達すると、受水槽への水の供給が停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-18188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
給水装置の給水量が増大したときに、給水用の水が不足することを防止するには、受水槽に多量の水を貯留すればよい。しかし、受水槽に水を長時間に貯留すると、例えば、消毒のために混入されている塩素濃度が低下する可能性がある。
【0005】
本開示は、上記点に鑑み、受水槽に水が長時間に貯留されてしまうことを抑制可能な受水槽装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
受水槽装置は、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。すなわち、当該構成要件は、給水用の水が貯留される受水槽(11)と、受水槽(11)内の水量を検出するための水量センサ(22)と、受水槽(11)に供給する水量を調節する流入弁(13)と、水量センサ(22)の検出値が入力され、当該検出値を利用して流入弁(13)の開閉を制御可能な受水制御部(7)とを備え、受水制御部(7)は、水量が第1水量となったときに流入弁(13)を閉じる第1受水制御、及び水量が第1水量より大きい第2水量となったときに流入弁(13)を閉じる第2受水制御が実行可能であることである。
【0007】
これにより、当該受水槽装置では、需要者は、給水需要に応じた水量を選択することができる。つまり、給水需要が小さい場合に、第1受水制御が実行されれば、受水槽(11)に水が長時間に貯留されてしまうことを抑制され得る。なお、給水需要が大きい場合に、第2受水制御が実行されれば、給水用の水が不足することが抑制され得る。
【0008】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る給水装置を示す図である。
図2】流入弁の開閉制御を示すフローチャートである。
図3】分析制御の説明図である。
図4】開閉水位決定制御を示すフローチャートである。
図5】第2実施形態に係るカレンダー機能の説明図である。
図6】第3実施形態に係る給水装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0011】
少なくとも符号が付されて説明された機器や部材等の構成要素は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該構成要素は2以上設けられていてもよい。本開示に示された給水装置は、少なくとも符号が付されて説明された構成要素等を備える。
【0012】
(第1実施形態)
<1.給水装置の概要>
本実施形態は、例えば、マンションや商業ビル等の建物に適用される給水装置に本開示に係る受水槽装置及び給水装置の一例が適用されたものである。当該給水装置1は、図1に示されるように、電動ポンプ3、蓄圧器5、制御装置7及び受水槽装置10等を少なくとも備える。
【0013】
<1.1 電動ポンプ等>
電動ポンプ3は、ポンプ部3A及びモータ部3B等を有する電動式のポンプである。電動ポンプ3の吐出し側は、建物の配水管側に接続されている。そして、電動ポンプ3は、受水槽11に貯留された水を配水管を通して建物に供給する。
【0014】
電動ポンプ3の作動は、ポンプ制御部により制御される。本実施形態に係るポンプ制御部は制御装置7に設けられている。すなわち、制御装置7は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータで構成されている。
【0015】
そして、制御装置7、つまりCPUにてポンプ制御用のソフトウェアが実行されることにより、ポンプ制御部が実現される。ポンプ制御部、つまり制御装置7は、駆動部3Cを介して電動ポンプ3の停止及び稼働を制御する。
【0016】
本実施形態に係る駆動部3Cは、インバータ方式の駆動回路にて構成されている。駆動部3Cは、制御装置7から出力される指令周波数に応じた周波数の駆動電流をモータ部3Bに供給する。これにより、電動ポンプ3が制御装置7により可変制御される。
【0017】
蓄圧器5は、電動ポンプ3の吐出し側に接続されて当該電動ポンプ3が停止しているときに給水圧を保持する。蓄圧器5は、不活性ガスが充填されたガス室5Aの内圧により、電動ポンプ3が停止しているときの給水圧を保持する。
【0018】
制御装置7には、流量センサFs及び圧力センサPsそれぞれの検出値が入力されている。流量センサFsは、電動ポンプ3の吐出し流量、つまり給水量を検出する。圧力センサPsは、電動ポンプ3の吐出し側の圧力、つまり給水圧を検出する。
【0019】
<1.2 ポンプ制御>
制御装置7は、流量センサFsを利用して小水量停止制御を実行する。小水量停止制御は、流量センサFsの検出流量、つまり給水量が予め決められた流量以下となったときに電動ポンプ3を停止させる制御である。
【0020】
制御装置7は、圧力センサPsを利用して起動制御及び目標圧力制御を実行する。起動制御は、電動ポンプ3が停止している状態において、給水圧が予め決められた値以下となったときに電動ポンプ3を起動させる制御である。
【0021】
目標圧力制御は、給水圧が目標とする圧力(以下、目標圧力という。)となるように電動ポンプ3の回転速度を調整する制御である。なお、目標圧力は、例えば、予め決められた値、又は給水量もしくは指令周波数の関数として決定される値である。
【0022】
<2.受水槽装置>
受水槽装置10は、受水槽11、流入弁13、オーバフロー管15、水位検出器20及び受水制御部等を少なくとも備える。受水槽11には、給水用の水が貯留される。当該受水槽11内の下方には流出口11Aが設けられている。流出口11Aは、電動ポンプ3の吸込み側に連通している。
【0023】
流入弁13は、受水槽11に供給する水量を調節する電動式の開閉弁である。当該流入弁13の開閉は受水制御部によって制御される。受水制御部は、水位検出器20の検出値を利用して流入弁13の開閉、つまり受水槽11に供給する水量を調節する。
【0024】
流入弁13の流入側は、水道配管に接続されている。なお、本実施形態に係る受水制御部は、制御装置7、つまりCPUにて受水制御用のソフトウェアが実行されることにより実現される。このため、以下、受水制御部を制御装置7と記す。
【0025】
オーバフロー管15は、受水槽11内の水位が予め決められた水位を越えたとき、越えた分の水を排水する管である。水位検出器20は、受水槽11内の水位、つまりを受水槽11内の水量を検出する。
【0026】
本実施形態に係る水位検出器20は、水位検出管21及び圧力センサ22等を少なくとも有する。水位検出管21は、受水槽11内に配置された中空管である。当該水位検出管21は、上端側が閉塞され、かつ、下端側に受水槽11内に連通する連通口21Aを有する。
【0027】
圧力センサ22は、水位検出管21内に存在する気体の圧力を検出するとともに、検出した圧力に応じた信号を出力する。制御装置7は、当該信号を利用して受水槽11内の水位を演算する。つまり、圧力センサ22は、受水槽11内の水量を検出するための水量センサとして機能する。
【0028】
<水位検出器の原理>
連通口21Aは、受水槽11内で開口しているので、水位検出管21内の水位は受水槽11内の水位に連動して変位する。このため、水位検出管21内が密閉空間となるとともに、当該水位検出管21内の気体の体積が受水槽11内の水位に連動して増減する。
【0029】
つまり、水位検出管21内に存在する気体の圧力は、受水槽11内の水位に連動して増減する。このため、圧力センサ22の検出値に対して水位が一義的に決まる。そして、制御装置7は、圧力センサ22の検出値を利用して水位を演算する。
【0030】
<3.流入弁の開閉制御(受水制御)>
<3.1 開閉制御の概要>
制御装置7は、受水槽11内の水位WLが開弁水位Lo以下となったときに流入弁13を開き、かつ、水位WLが閉弁水位Lcとなったときに流入弁13を閉じる。なお、閉弁水位Lcは、開弁水位Loより高い水位である。
【0031】
具体的には、給水装置1の電源スイッチ(図示せず。)が投入されると、流入弁13の開閉制御が起動する。なお、電源スイッチが遮断されると、当該開閉制御は、その時点で停止する。
【0032】
開閉制御が起動すると、図2に示されるように、制御装置7は、現時の水位WLが開弁水位Lo以下であるか否かを判断する(S1)。現時の水位WLが開弁水位Lo以下である場合には(S1:YES)、制御装置7は、流入弁13を開く(S2)。
【0033】
現時の水位WLが開弁水位Loより高い場合には(S1:NO)、制御装置7は、水位WLが閉弁水位Lc以上であるか否かを判断する(S3)。水位WLが閉弁水位Lc以上である場合には(S3:YES)、制御装置7は、流入弁13を閉じる(S4)。
【0034】
水位WLが閉弁水位Lc未満である場合には(S3:NO)、制御装置7は、流入弁13の開閉状態を維持する。つまり、制御装置7は、流入弁13が開いている場合には開いた状態を維持し、流入弁13が閉じている場合には閉じた状態を維持する。
【0035】
さらに、制御装置7は、閉弁水位Lc及び開弁水位Lo(以下、開閉水位Wcという。)の具体的な値を、給水需要に応じて、決定・変更する水位決定制御が実行可能である。具体的には、当該水位決定制御では、給水需要が大きいときの開閉水位Wcが、給水需要が小さいときの開閉水位Wcに比べて高くなるような値が選定される。
【0036】
<3.2 水位決定制御の詳細>
本実施形態に係る制御装置7は、給水需要を複数のレベルに分けて開閉水位Wcを選定可能である。具体的には、水位決定制御は、少なくとも分析制御及び開閉水位決定制御により構成されている。
【0037】
分析制御は、現実の給水需要を収集・分析するとともに、開閉水位Wcの具体的な値を決定する制御である。開閉水位決定制御は、分析制御の結果を利用して、開閉水位Wcの具体的な値を変更する制御である。
【0038】
<分析制御>
分析制御は、初回の電源スイッチ投入後、予め決められた期間(本実施形態では、30日)が経過した時以降、少なくとも1回実行される。なお、本実施形態では、初回の電源スイッチ投入後、30日が経過する毎に分析制御が実行される。
【0039】
すなわち、制御装置7は、流量センサFsが検出した流量を「受水槽11から外部への給水量」とし、当該給水量と当該給水量が検出された時刻とが関連付けられたデータをROM等の不揮発性記憶部に記憶させる。なお、データの収集及び当該データの記憶は、連続的又は30分~60分間隔で実行される。
【0040】
次に、制御装置7は、上記データに基づいて、給水需要を、例えば低需要時間と高需要時間とに分ける。本実施形態に係る制御装置7は、例えば、単位時間あたりの給水量が予め決められた給水量未満となった時間帯を低需要時間とし、単位時間あたりの給水量が当該給水量以上となった時間帯を高需要時間としている。
【0041】
具体的には、図3に示されるように、制御装置7は、1日を1時間毎に分け、各時間の30日分の積算給水量を利用して、低需要時間と高需要時間とに分けている。つまり、積算給水量が所定積算給水量未満となる時間帯が低需要時間となり、積算給水量が所定積算給水量以上となる時間帯が高需要時間となる。
【0042】
そして、制御装置7は、時間帯毎に開閉水位Wcの具体的な値を決定するとともに、その決定された開閉水位Wcの値と時間帯とが関連付けられたレコードをROM等の不揮発性記憶部に記憶させる。
【0043】
本実施形態では、低需要時間の閉弁水位Lcは40cmであり、低需要時間の開弁水位Loは30cmであり、高需要時間の閉弁水位Lcは80cmであり、高需要時間の開弁水位Loは60cmである。
【0044】
当該不揮発性記憶部には、予め初期値をなすレコード(以下、初期値レコードという。)が記憶されている。初期値レコードでは、低需要時間に用いる開閉水位Wcの値より大きな値が、全ての時間帯に関連付けられている。なお、本実施形態に係る初期値レコードの開閉水位Wcは、高需要時間用の開閉水位Wcと同じ値である。
【0045】
<開閉水位決定制御>
開閉水位決定制御は、分析制御の結果を利用して開閉水位Wcの具体的な値を変更する制御である。つまり、現時の時間帯が低需要時間に属する場合には、制御装置7は、開閉水位Wcの具体的な値を低需要時間用の値に変更する。現時の時間帯が高需要時間に属する場合には、制御装置7は、開閉水位Wcの具体的な値を高需要時間用の値に変更する。
【0046】
具体的には、電源スイッチが投入されると、開閉水位決定制御が起動される。そして、図4に示されるように、制御装置7は、現時の時刻が低需要時間又は高需要時間のいずれに属するかを判断する(S10)。現時の時刻が低需要時間に属する場合には(S10:低需要時間)、制御装置7は、開閉水位Wcの値を低需要時間用に変更する(S11)。
【0047】
現時の時刻が高需要時間に属する場合には(S10:高需要時間)、制御装置7は、開閉水位Wcの値を高需要時間用に変更する(S12)。なお、分析制御、開閉水位決定制御(図4)、及び上記流入弁13の開閉制御(図2)は、互いに独立して並列作動する制御である。
【0048】
ところで、初回の電源スイッチ投入後、初回の分析制御が実行されるまでは、開閉水位決定制御は、分析制御の結果を利用して開閉水位Wcの具体的な値を変更することができない。つまり、電源スイッチの投入後において、最初に流入弁13が開かれたときには、制御装置7は、初期値レコードを用いて流入弁13の開閉を制御する。
【0049】
つまり、初回の分析制御が終了する前においては、制御装置7は、初期値レコードの開閉水位Wcを選択する。したがって、電源スイッチの投入後において、最初に流入弁13が開かれたときには、水位が高需要時間用の閉弁水位Lcになったときに流入弁13が閉じる。
【0050】
<4.本実施形態に係る給水装置(特に、受水槽装置)の特徴>
本実施形態に係る受水槽装置10では、給水需要が小さいとき、つまり低需要時間においては、受水槽11内の水位が高需要時間に比べて低い水位に保持され、かつ、高需要時間に比べて低い水位の状態で流入弁13が開く。したがって、当該受水槽装置10では、給水需要が小さい場合に、受水槽11に水が長時間に貯留されてしまうことを抑制され得る。
【0051】
給水需要が大きいとき、つまり高需要時間においては、受水槽11内の水位が低需要時間に比べて高い水位に保持され、かつ、低需要時間に比べて高い水位の状態で流入弁13が開く。したがって、当該受水槽装置10では、給水用の水が不足することが抑制されながら、受水槽11に水が長時間に貯留されてしまうことを抑制され得る。
【0052】
さらに、電源スイッチの投入後において最初に流入弁13が開かれたとき、つまり、初回の分析制御が実行される前においては、制御装置7は、水位WLが低需要時間の閉弁水位Lcより高い水位となったときに流入弁13を閉じる。これにより、給水用の水が不足することが抑制される。
【0053】
(第2実施形態)
上述の実施形態に係る受水槽装置10は、時間帯に応じて変化する給水需要に対応した構成であった。これに対して、本実施形態に係る受水制御装置は、カレンダー機能を有するとともに、予め決められた日程に従って開閉水位Wcの値を決定・選択する。
【0054】
すなわち、本実施形態に係る制御装置7は、分析制御機能に代えて、カレンダー機能を有している。カレンダー機能とは、例えば、図5に示されるように、開閉水位Wcと日時とが予め関連付けられたレコードの集合である。
【0055】
具体的には、例えば、オフィスビル用のカレンダー機能では、休日及び19時以降の平日は低需要時間の開閉水位Wcとして関連付けられ、平日の10時から19時までは高需要時間の開閉水位Wcとして関連付けられている。
【0056】
そして、制御装置7、つまり開閉水位決定制御は、当該レコードに従って開閉水位Wcを決定・変更する。このため、上記オフィスビルの例では、休日及び19時以降においては、水位が低い状態に維持され、平日の10時から19時までは、水位が高い状態に維持される。
【0057】
(第3実施形態)
上述の実施形態に係る受水槽装置10では、開閉水位Wcの値を予め決められたルールに従って決定・変更する構成であった。これに対して、本実施形態では、貯水量、つまり水位を決定するための学習モデルを作成する学習モデル作成部を有する(図6参照)。
【0058】
学習モデル作成部は、水位検出器20の検出水位、流量センサFsの検出給水量、及び流入弁13の開閉回数を少なくとも含むデータを教師データとして、予め決められた期間(例えば、30日)内における流入弁13の開閉回数が予め決められた回数以下になる貯水量を推定する学習モデルを作成する。
【0059】
学習モデル作成部は、GPU、ROM、RAM及び学習モデルを作成するためのソフトウェアが記憶された記憶部等を有して構成されている。なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0060】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、現時の時刻が低需要時間又は高需要時間のいずれに属するかを判断し、当該判断結果に基づいて開弁水位Loが決定される構成であった。つまり、流入弁13が開くタイミングは、水位WLが開弁水位Lo以下となったときであった。
【0061】
しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、現時が低需要時間であって、かつ、現時の水位が高需要時間の閉弁水位Lc(以下、高閉弁水位という。)より低い場合には、高需要時間となる前に水位が高閉弁水位に到達しているように流入弁13を開く高需要準備制御が実行可能であってもよい。
【0062】
なお、高需要準備制御の実行時においては、制御装置7は、流入弁13にて供給可能な単位時間あたりの給水量(以下、補給流量という。)を利用して流入弁13を開く時刻を決定する。
【0063】
そして、制御装置7は、流入弁13が開き、かつ、外部への給水が停止しているときの給水量の変化率を演算することにより、補給流量を把握する。つまり、制御装置7は、受水槽11内の水位の変化率を演算し、この変化率を利用して補給流量を把握する。
【0064】
制御装置7は、「外部への給水が停止している状態で流入弁13を開く旨の指令をしたときに、水量が上昇しない場合に、当該流入弁13が故障している旨を報知する第1機能」、及び「外部への給水が停止している状態で流入弁13を閉じる旨の指令をしたときに、水量が上昇した場合に、当該流入弁13が故障している旨を報知する第2機能」のうち少なくとも一方の機能を備えていてもよい。
【0065】
上述の第2実施形態では、開閉水位Wcと日時とが予め関連付けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、「開閉水位Wcと日時との予め関連付け」を制御装置7が自ら実行するための分析制御機能を備える構成であってもよい。
【0066】
上述の実施形態では、流入弁13が開くタイミングは水位WLが開弁水位Lo以下となったときであった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、電動ポンプ3が起動した時に連動して流入弁13が開く構成であってもよい。なお、流入弁13が閉じるタイミングは、水位が予め決められた水位に到達したときである。
【0067】
上述の実施形態では、ポンプ装置の流量センサFsを利用して、受水槽11から外部への給水量を検出した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、専用の給水量センサを設けてもよい。
【0068】
上述の実施形態に係る水位検出器20、つまり水量センサは、水位検出管21内に存在する気体の圧力を検出することにより水位を検出した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、受水槽11の底部にて水圧を検出することにより水位を検出してもよい。
【0069】
上述の実施形態に係る制御装置は、給水需要を高需要及び低需要の2つのレベルに分けて開閉水位Wcを決定した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、給水需要が3つ以上のレベルに分けられて開閉水位Wcが決定される構成であってもよい。
【0070】
なお、給水需要を複数のレベルに分けるための閾値をなす給水量は、現実に給水需要が高い時間帯(以下、真の高需要時間という。)となる前に水位が高閉弁水位になるような値に設定することが望ましい。具体的には、例えば、真の高需要時間の前後1時間を含めた時間を高需要時間とすればよい。
【0071】
上述の実施形態では、高需要時間及び低需要時間それぞれの開閉水位Wcは、予め決められていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、分析制御の結果を利用して制御装置7が自ら開閉水位Wcを決定してもよい。
【0072】
上述の実施形態では、水位WLが開弁水位Loになった時に流入弁13が開く構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、現時の時刻と高需要時間までの時間が予め決められ時間以下となった時に流入弁13が開く構成であってもよい。
【0073】
上述の実施形態では、給水需要に応じて制御装置7が開閉水位Wcを切り替える構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、給水需要に応じて作業者が手動操作にて開閉水位Wcを切り替える構成であってもよい。
【0074】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1… 給水装置 3…電動ポンプ 5… 蓄圧器
7… 制御装置 10…受水槽装置 11… 受水槽
13… 流入弁 20…水位検出器 21… 水位検出管
22… 圧力センサ Fs…流量センサ Ps… 圧力センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6