IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社川本製作所の特許一覧

<>
  • 特開-給水システム 図1
  • 特開-給水システム 図2
  • 特開-給水システム 図3
  • 特開-給水システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084907
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】給水システム
(51)【国際特許分類】
   E03B 5/00 20060101AFI20230613BHJP
【FI】
E03B5/00 B
E03B5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199293
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 章太
(57)【要約】
【課題】 給水需要を把握可能な給水システムの一例を開示する。
【解決手段】 給水システムは、給水用の電動ポンプ3、及び給水流量を検出する流量計5を有するポンプ装置2と、流量計5が検出した給水流量を利用して一日の給水量の変化を示す給水情報を生成するとともに、当該給水情報とポンプ装置2を特定するための特定情報とを関連付けて記憶する情報処理装置7Bを備える。これにより、当該給水システムを用いれば、給水需要を把握することが可能となる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水用の電動ポンプ、及び給水流量を検出する流量計を有するポンプ装置と、
前記流量計が検出した給水流量を利用して一日の給水量の変化を示す給水情報を生成するとともに、前記ポンプ装置を特定するための特定情報と当該給水情報とを関連付けて記憶する情報処理装置と
を備える給水システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記給水情報と前記電動ポンプの運転時刻とを関連付けて記憶することが可能である請求項1に記載の給水システム。
【請求項3】
前記情報処理装置は、前記給水流量を利用して前記ポンプ装置の消費電力を推定するとともに、当該推定された消費電力量を利用して一日の消費電力量の変化を示す情報を生成可能である請求項2に記載の給水システム。
【請求項4】
前記ポンプ装置の消費電力を検出する電力計を備え、
前記情報処理装置は、前記電力計が検出した消費電力量を利用して一日の消費電力量の変化を示す情報を生成可能である請求項1又は2に記載の給水システム。
【請求項5】
前記電力計は、前記電動ポンプの電動モータを駆動するインバータ装置に組み込まれている請求項4に記載の給水システム。
【請求項6】
前記ポンプ装置と無線通信又は有線通信にて通信可能な遠隔管理装置を備え、
前記情報処理装置は、前記遠隔管理装置に設けられている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の給水システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポンプ装置を備える給水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
給水装置等の給水システムは、例えば、特許文献1にも記載されているように、給水需要に応じて給水することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-217267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
給水需要に適切に応答可能な給水システムを得るには、開発・設計時において、適切な給水需要を把握する必要がある。本開示は、上記点に鑑み、給水需要を把握可能な給水システムの一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
給水システムは、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。すなわち、当該構成要件は、給水用の電動ポンプ(3)、及び給水流量を検出する流量計(5)を有するポンプ装置(2)と、流量計(5)が検出した給水流量を利用して一日の給水量の変化を示す給水情報を生成するとともに、当該給水情報とポンプ装置(2)を特定するための特定情報とを関連付けて記憶する情報処理装置(7B)とである。
【0006】
これにより、当該給水システムを用いれば、給水需要を把握することが可能となる。
【0007】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る給水システムを示す図である。
図2】給水情報の一例を示す図である。
図3】消費電力情報の一例を示す図である。
図4】第2実施形態に係る給水システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0010】
少なくとも符号が付されて説明された機器や部材等の構成要素は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該構成要素は2以上設けられていてもよい。本開示に示された給水システムは、少なくとも符号が付されて説明された構成要素等を備える。
【0011】
(第1実施形態)
<1.給水システムの概要>
本実施形態は、例えば、マンションや商業ビル等の建物に適用される給水システムに本開示に係る給水システムの一例が適用されたものである。本実施形態に係る給水システムは、図1に示されるように、少なくとも1つの遠隔管理装置1及び少なくとも1つの給水装置2等を備えて構成されている。
【0012】
なお、ポンプ装置の一例である給水装置2と遠隔管理装置1とは、無線通信又は有線通信(無線通信と有線通信とを組み合わせた通信も含む。)にて互いに通信可能である。このため、遠隔管理装置1及び給水装置2それぞれには、通信部7C、1Aが設けられている。
【0013】
<1.1 給水装置の概要>
給水装置2、つまりポンプ装置は、図1に示されるように、電動ポンプ3、流量計5及び制御盤7等を少なくとも備える。電動ポンプ3は、ポンプ部及びモータ部等を有する給水用ポンプである。
【0014】
なお、本実施形態では、同一仕様の電動ポンプ3が複数設けられている(図示せず。)。各電動ポンプ3の吐出し側は、建物の配水管側に接続されている。そして、各電動ポンプ3は、受水槽9に貯留された水を配水管を通して建物に供給する。
【0015】
流量計5は電動ポンプ3の吐出し流量を検出する。本実施形態では、電動ポンプ3の台数と同数の流量計5を有し、かつ、各流量計5は、対応する電動ポンプ3の吐出し口にて流量を検出する。
【0016】
このため、本実施形態では、1台の電動ポンプ3が稼働している場合には、当該電動ポンプ3の吐出し流量を検出する流量計5の検出値が給水流量となる。また、複数の電動ポンプ3が稼働している場合には、それら電動ポンプ3の吐出し流量を検出する各流量計5の検出値の合計流量が給水流量となる。
【0017】
本実施形態に係る流量計5は、流水の動圧を受けて回転する羽根車(図示せず。)の回転速度を検出することにより、流量を検出する方式の流量計である。このため、本実施形態に係る流量計5は、流量を連続的に検出することが可能である。
【0018】
なお、給水装置2は、電動ポンプ3及び流量計5等に加えて、蓄圧器(図示せず。)及び圧力センサ(図示せず。)それぞれを少なくとも1つ備える。蓄圧器は、全ての電動ポンプ3が停止しているときに給水圧を保持する。圧力センサは給水圧を検出する。
【0019】
制御盤7は、ポンプ制御部7A及び情報処理部7B等を収納するケーシングである。当該制御盤7内には、通信部7Cも等が収納されている。
【0020】
<ポンプ制御部>
ポンプ制御部7Aは、圧力センサ及び流量計5の検出値を利用して各電動ポンプ3の作動を制御する。ポンプ制御部7Aは、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータで構成されている。
【0021】
そして、当該CPUにてポンプ制御用のソフトウェアが実行されることにより、電動ポンプ3の作動が制御される。ポンプ制御部7Aは、駆動装置(図示せず。)を介して電動ポンプ3の停止及び稼働を制御する。
【0022】
駆動装置は、ポンプ制御部7Aから出力される指令周波数に応じた周波数(以下、出力周波数という。)の駆動電流をモータ部に供給する。これにより、電動ポンプ3の回転速度がポンプ制御部7Aにより可変制御される。
【0023】
ポンプ制御部7Aは、圧力センサを利用して起動制御及び目標圧力制御を実行する。起動制御は、全ての電動ポンプ3が停止している状態において、給水圧が予め決められた値以下となったときに電動ポンプ3を起動させる制御である。
【0024】
目標圧力制御は、給水圧が目標とする圧力(以下、目標圧力という。)となるように電動ポンプ3の回転速度を調整する制御である。なお、目標圧力は、例えば、予め決められた値、又は給水量もしくは指令周波数の関数として決定される値である。
【0025】
ポンプ制御部7Aは、流量計5を利用して小水量停止制御を実行する。小水量停止制御は、流量計5の検出流量、つまり給水量が予め決められた流量以下となったときに電動ポンプ3を停止させる制御である。
【0026】
<1.2 給水情報の生成機能>
給水情報とは、例えば図2に示されるように、一日の給水量の変化を示す情報である。具体的には、給水情報とは、特定の時間帯(例えば、0時から24時まで)において、給水装置2が現実に供給した給水量をいう。
【0027】
そして、情報処理部7Bは、流量計5が検出した給水流量を利用して給水情報を生成するとともに、当該給水情報と給水装置を特定するための特定情報(以下、機種情報という。)とを関連付けて不揮発性の記憶部(図示せず。)に記憶する。
【0028】
なお、情報処理部7Bは、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータで構成されている。そして、CPUにて情報処理用のソフトウェアが実行されることにより、上記作動等が実現される。
【0029】
<1.3 ポンプ運転情報の生成機能>
情報処理部7Bは、ポンプ運転情報を生成し、当該ポンプ運転情報も記憶部に記憶する。ポンプ運転情報とは、給水情報と電動ポンプ3の運転時刻とが関連付けられた情報をいう。
【0030】
具体的には、ポンプ運転情報とは、特定の時間帯(例えば、0時から24時まで)において、電動ポンプ3が現実に稼働した時刻及び停止した時刻と給水装置2が現実に供給した給水量との関係を示す情報である。
【0031】
<1.4 消費電力情報の生成機能>
情報処理部7Bは、消費電力情報を生成し、当該消費電力情報も記憶部に記憶する。消費電力情報とは、給水装置2の消費電力と給水情報とが関連付けられた情報、又は一日の消費電力量の変化を示す情報をいう。
【0032】
具体的には、消費電力情報とは、特定の時間帯(例えば、0時から24時まで)において、給水装置2が消費した電力(例えば図3参照)と給水装置2が現実に供給した給水量との関係を示す情報である。
【0033】
なお、本実施形態に係る消費電力は、情報処理部7Bが推定した値である。例えば、情報処理部7Bは、流量計5が検出した給水流量、圧力センサが検出した給水時の給水圧、及び予め決められた電動ポンプ3の効率等を利用して消費電力を推定する。
【0034】
<1.5 情報送信機能>
情報処理部7Bは、通信部7Cを介して給水情報、ポンプ運転情報及び消費電力情報を遠隔管理装置1に送信する。なお、送信タイミングは、例えば、予め決められた定期タイミング(例えば、24時間毎)又は遠隔管理装置1から送信要求があった時等である。
【0035】
そして、情報処理部7Bは、給水情報、ポンプ運転情報及び消費電力情報(以下、これら情報を運転情報という。)の送信が正常終了すると、当該正常終了時から予め決められた時間が経過したときに、遠隔管理装置1に送信した情報を記憶部から削除する。
【0036】
なお、情報処理部7Bは、運転情報に加えて機種情報も遠隔管理装置1に送信する。遠隔管理装置1は、運転情報を受信すると、受信した運転情報を受信日時を示す情報と関連付けて当該機種情報に対応する記憶領域に逐次記憶していく。
【0037】
<2.本実施形態に係る給水システムの特徴>
本実施形態に係る給水システムに係る情報処理部7Bは、給水情報を生成する。したがって、当該給水システムを用いれば、給水需要を把握することが可能となる。
【0038】
本実施形態に係る給水システムに係る情報処理部7Bは、ポンプ運転情報を生成する。したがって、当該給水システムを用いれば、給水需要と電動ポンプ3の運転状態との対応関係を把握することが可能となる。
【0039】
そして、遠隔管理装置1及びサービスマンは、給水情報及びポンプ運転情報を利用して給水流量がゼロになる非稼働時間帯を探知して、定期点検、部品交換又は制御用ソフトウェアの更新等を行うための適切な時間帯、つまり断水させても大きな支障が発生しない時間帯を選定することが可能となる。
【0040】
さらに、遠隔管理装置1、サービスマン及び給水装置2の開発者は、給水情報及びポンプ運転情報を利用して、当該建物と給水装置2との関係において、最適な蓄圧器の容量や封入ガス圧力を再選定することが可能となる。
【0041】
本実施形態に係る給水システムに係る情報処理部7Bは、消費電力情報を生成する。したがって、当該給水システムを用いれば、給水需要と電動ポンプ3の運転状態と消費電力との対応関係を把握することが可能となる。
【0042】
(第2実施形態)
上述の実施形態に係る給水システムでは、給水装置2の消費電力を給水流量を利用して情報処理部7Bが推定した。
【0043】
これに対して、本実施形態に係る給水システムでは、図4に示されるように、給水装置2の消費電力を検出する電力計7Eを備える。そして、情報処理部7Bは、電力計7Eが検出した消費電力量を利用して消費電力情報を生成する。
【0044】
本実施形態に係る電力計7Eは、電動ポンプ3の電動モータを駆動するインバータ装置7Dに組み込まれている。なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、重複する説明は省略する。
【0045】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る情報処理部7Bは、給水装置2に設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、遠隔管理装置1に情報処理部7Bが設けられた構成であってよい。
【0046】
そして、当該構成においては、給水装置2は、運転情報を生成するための検出値(例えば、給水流量)を定期的又は連続的に遠隔管理装置1に送信する。遠隔管理装置1は、受信した検出値を利用して運転情報を生成する。
【0047】
上述の実施形態では、運転情報及び機種情報を遠隔管理装置1に送信した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、上記の情報に加えて、又は上記の情報に代えて、推定末端圧力一定制御における最低圧力と最高圧力を遠隔管理装置1に送信してもよい。
【0048】
これにより、遠隔管理装置1は、対象となる給水装置2の給水情報(図2参照)を収集することで、建物の種類による給水情報を類型化することが可能となる。そして、遠隔管理装置1は、類型化した資料をもとに、階数に応じた圧力設定や、給水戸数に応じたポンプ出力及び台数などを選定するデータベースを構築することができる。
【0049】
上述の実施形態に係る給水システムでは、給水装置2が運転情報や運転情報を生成するための検出値を遠隔管理装置1に送信した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、遠隔管理装置1が廃止され、サービスマンが定期点検時に運転情報等を給水装置2の記憶部から取得する構成であってもよい。
【0050】
上述の実施形態に係る電力計7Eは、インバータ装置7Dに組み込まれていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、インバータ装置7D外に設けられた電力計7Eを用いてよい。
【0051】
上述の実施形態に係る情報処理部7Bは、給水情報と機種情報とを関連付けて記憶及び送信する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、給水情報と機種情報とを関連付けることなく給水情報を記憶及び送信する構成であってもよい。
【0052】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1… 遠隔管理装置
2… 給水装置
3… 電動ポンプ
5… 流量計
7… 制御盤
7A… ポンプ制御部
7B… 情報処理部
7E… 電力計
7D… インバータ装置
9… 受水槽
図1
図2
図3
図4