(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084909
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
F04B 49/10 20060101AFI20230613BHJP
【FI】
F04B49/10 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199295
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 章太
【テーマコード(参考)】
3H145
【Fターム(参考)】
3H145AA16
3H145AA23
3H145AA42
3H145BA41
3H145CA22
3H145DA02
3H145DA39
3H145EA26
(57)【要約】
【課題】 給水装置の設置現場毎に閾値を予め決定することは、非常に煩雑、かつ、時間を要する作業であるため、当該点に鑑みた給水装置の一例を開示する。
【解決手段】 給水装置1では、現実に同一の現場に設置された複数の電動ポンプ3それぞれの騒音値を比較し、最大値と最小値との差が所定値以上となったときに、最大値に対応する電動ポンプ3に異常が発生したと判断する。したがって、給水装置1の設置現場毎に閾値を予め決定することなく、容易、かつ、簡便に適切な摩耗や劣化の判断が可能となり得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の給水用の電動ポンプと、
複数の前記電動ポンプそれぞれの停止及び稼働を制御するポンプ制御部と、
前記電動ポンプの稼働状態が予め決められた状態になったときに、当該電動ポンプの発する音を検出するためのマイクロフォンと、
前記マイクロフォンの検出値を利用して前記電動ポンプに異常が発生したか否かを判断する異常判断部とを備え、
前記異常判断部は、前記マイクロフォンの最大検出値と最小検出値との差が予め決められた値以上となったときに、当該最大検出値が検出された前記電動ポンプに異常が発生した旨の信号を発する給水装置。
【請求項2】
前記異常判断部は、複数の前記電動ポンプが全て停止している状態からいずれか1台の前記電動ポンプが起動したときに前記マイクロフォンが検出した値を、当該電動ポンプについての検出値として利用する請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記異常判断部は、給水量が予め決められた流量以下となって前記電動ポンプが停止するときに前記マイクロフォンが検出した値を、当該電動ポンプについての検出値として利用する請求項1に記載の給水装置。
【請求項4】
複数の前記電動ポンプが全て停止している状態から最初に起動させる電動ポンプを先発ポンプとし、前記最小検出値が検出された前記電動ポンプを低騒音ポンプとし、少なくとも午前0時から午前4時までを含む時間帯を夜間帯としたとき、
前記ポンプ制御部は、少なくとも夜間帯においては、低騒音ポンプを先発ポンプとして起動させる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の給水装置。
【請求項5】
前記異常判断部により異常が発生したとみなされた前記電動ポンプを異常ポンプとしたとき、
前記ポンプ制御部は、異常ポンプの起動を禁止する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の電動ポンプを備える給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の給水装置では、電動ポンプの軸受部の摩耗や劣化を検知するために、振動センサや騒音センサを設けている。その理由は、軸受部の摩耗や劣化が進行すると、大きな振動や騒音が発生するからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
振動センサや騒音センサの検出値を利用した摩耗や劣化の判断は、通常、予め決められた閾値と現実の検出値とが比較されることにより行われる。当該閾値は、通常、摩耗や劣化及び不具合が全く無い新品の電動ポンプにて発生する振動や騒音の検出値(以下、基準値という。)を基準として予め決定される。
【0005】
ところで、電動ポンプが設置される環境、又は振動センサもしくは騒音センサの配置位置が異なると、同一の電動ポンプであっても基準値が異なる可能性が極めて高い。このため、理想的には、電動ポンプの環境や騒音センサ等の配置位置に応じた閾値、つまり給水装置の設置現場毎に決定された閾値を用いて劣化等の判断を行うことが望ましい。
【0006】
しかし、給水装置の設置現場毎に閾値を予め決定することは、非常に煩雑、かつ、時間を要する作業である。したがって、給水装置の設置現場毎に閾値を予め決定することは、非現実的である。本開示は、当該点に鑑みた給水装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
給水装置は、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。すなわち、当該構成要件は、複数の給水用の電動ポンプ(3)と、複数の電動ポンプ(3)それぞれの停止及び稼働を制御するポンプ制御部(11)と、電動ポンプ(3)の稼働状態が予め決められた状態になったときに、当該電動ポンプ(3)の発する音を検出するためのマイクロフォン(5)と、マイクロフォン(5)の検出値を利用して電動ポンプ(3)に異常が発生したか否かを判断する異常判断部(11)とを備え、異常判断部(11)は、マイクロフォン(5)の最大検出値と最小検出値との差が予め決められた値以上となったときに、当該最大検出値が検出された電動ポンプ(3)に異常が発生した旨の信号を発することである。
【0008】
これにより、当該給水装置では、現実に同一の現場に設置された複数の電動ポンプ(3)それぞれの検出値を比較することにより、電動ポンプ(3)の異常、つまり摩耗や劣化の判断をする構成となる。
【0009】
具体的には、当該給水装置では、複数の電動ポンプ(3)それぞれの検出値のうち、最大検出値と最小検出値との差が予め決められた値以上となったときに、異常判断部(11)は、当該最大検出値が検出された電動ポンプ(3)に異常が発生したものみなす。
【0010】
したがって、当該給水装置では、給水装置の設置現場毎に閾値を予め決定することなく、容易、かつ、簡便に適切な摩耗や劣化の判断が可能となり得る。
【0011】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る給水装置を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る給水装置を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る給水装置を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る異常判制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0014】
少なくとも符号が付されて説明された機器や部材等の構成要素は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該構成要素は2以上設けられていてもよい。本開示に示された給水装置は、少なくとも符号が付されて説明された構成要素等を備える。
【0015】
(第1実施形態)
<1.給水装置の概要>
本実施形態は、例えば、マンションや商業ビル等の建物に適用される給水装置に本開示に係る給水装置の一例が適用されたものである。
【0016】
本実施形態に係る給水装置1は、
図1に示されるように、複数(例えば、3つ)の電動ポンプ3、少なくとも1つ(本実施形態では、電動ポンプ3と同数)のマイクロフォン5及び流量センサ7、圧力センサ9並びに制御装置11等を少なくとも備える。
【0017】
各電動ポンプ3は、全て同一構造である。具体的には、各電動ポンプ3は、ポンプ部3A及びモータ部3Bを有する電動式のポンプである。以下、電動ポンプ3のうち任意の電動ポンプを意図する場合又は総称する場合は電動ポンプ3と記す。
【0018】
各電動ポンプ3の吐出し口から吐出された水は、連結管4A(
図2参照)を介して合流管4B(
図3参照)に集合する。なお、合流管4Bは建物の配水管(図示せず。)に接続される。このため、給水装置1の給水量とは、合流管4Bから配水管に供給される給水量をいう。
【0019】
各電動ポンプ3は、ポンプ制御部より制御される。つまり、ポンプ制御部は各モータ部3Bを制御する。当該ポンプ制御部は、各モータ部3Bを駆動するための駆動回路(本実施形態では、インバータ方式の駆動回路)3Cを介して各電動ポンプ3制御する。
【0020】
各駆動回路3Cは、ポンプ制御部から出力される指令周波数に応じた周波数を有する駆動電流を対応するモータ部3Bに供給する。これにより、モータ部3Bの回転速度がポンプ制御部により可変制御される。
【0021】
ポンプ制御部には、流量センサ7の検出値及び圧力センサ9の検出値が入力されている。なお、本実施形態では、電動ポンプ3と同数の流量センサ7が設けられている。そして、各流量センサ7は、各電動ポンプ3の吐出し側に配置されて、その吐出し流量を検出する。
【0022】
したがって、給水装置1の給水量は、各流量センサ7の検出流量の和となる。圧力センサ9は、給水装置1の給水圧を検出する。具体的には、圧力センサ9は、合流管4B内の水圧を検出する。
【0023】
ポンプ制御部は制御装置11に設けられている。制御装置11は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータ等にて構成されている。そして、ポンプ制御用のソフトウェアが制御装置11にて実行されることにより、ポンプ制御部が実現される。なお、当該ソフトウェアは、ROM等の不揮発性記憶部(図示せず。)に予め記憶されている。
【0024】
<1.1 ポンプ制御>
ポンプ制御部、つまり制御装置11は、各電動ポンプ3の制御として、(a)小水量停止制御、(b)目標圧力制御、(c)増台制御・減台制御、(d)起動制御、及び(e)ローテーション制御等が実行可能である。
【0025】
<小水量停止制御>
小水量停止制御は、給水量が予め決められた流量(以下、停止流量という。)まで低下したときに、稼働中の電動ポンプ3を停止させる制御である。なお、給水量が停止流量まで低下したときには、下記の減台制御により、稼働中の電動ポンプ3は1台となっている。このため、小水量停止制御が実行されると、全ての電動ポンプ3が停止する。
【0026】
<目標圧力制御>
目標圧力制御は、圧力センサ9の検出圧力が目標とする圧力(以下、目標圧力という。)となるように稼働している1つ又は複数の電動ポンプ3の稼働状態を調整する制御である。
【0027】
具体的には、制御装置11は、検出圧力が目標圧力に近づくように指令周波数を、PID制御等により変化させる。なお、目標圧力は、予め決められた固定値、又は給水量もしくは指令周波数の関数値である。
【0028】
<増台制御・減台制御>
増台制御は、稼働している電動ポンプ3のみで十分な給水量を確保できなくなったときに、停止している電動ポンプ3を稼働させる制御である。減台制御は、増台制御と逆に、稼働している電動ポンプ3の台数を漸次減らしていく制御である。
【0029】
「十分な給水量を確保できなくなったとき」とは、例えば、稼働している電動ポンプ3に対する指令周波数が予め決められた上限周波数に到達している状態で、圧力センサ9の検出圧力が目標圧力を下回っているとき等である。
【0030】
因みに、本実施形態では、少なくとも1台の電動ポンプは、電動ポンプの故障時に備えたバックアップ用電動ポンプである。つまり、本実施形態では、増台制御が実行されても、最大2台の電動ポンプ3が同時に稼働し、3台の電動ポンプ3が稼働することはない。
【0031】
<起動制御>
起動制御は、全ての電動ポンプ3が停止している状態において、圧力センサ9の検出圧力が予め決められた圧力以下となったときに、予め決められた規則に従って、複数の電動ポンプ3のうちいずれかの電動ポンプ3を起動させる制御である。
【0032】
なお、制御装置11は、起動制御の実行時には、吐出し圧力が予め決められた圧力(以下、起動時目標圧力という。)となるまで電動ポンプ3の回転速度を加速する。そして、吐出し圧力が起動時目標圧力と到達すると、ポンプ制御は、起動制御から目標圧力制御に移行する。
【0033】
<ローテーション制御>
ローテーション制御は、全ての電動ポンプ3が停止している状態から最初に起動させる電動ポンプ3(以下、先発ポンプという。)を予め決められた規則に従って順次変更する制御をいう。
【0034】
すなわち、制御装置11は、前回、先発ポンプとして起動させた電動ポンプと異なる電動ポンプを今回の先発ポンプとして起動する。具体的には、制御装置11は、原則として、電動ポンプ31→電動ポンプ32→電動ポンプ33→電動ポンプ31→電動ポンプ32→電動ポンプ33→電動ポンプ31→・・・・の順に先発ポンプを変更する。
【0035】
<2.電動ポンプの異常(摩耗・劣化)判断>
制御装置11には、異常判断部が設けられている。異常判断部は、電動ポンプ3(特に、モータ部3B)の軸受部の摩耗や劣化を判断する。なお、本実施形態に係る異常判断部は、制御装置11にて異常判断用ソフトウェアが実行されることにより実現される。なお、当該ソフトウェアは、ROM等の不揮発性記憶部(図示せず。)に予め記憶されている。
【0036】
<2.1 異常判断部の概要>
<異常判断制御>
異常判断部、つまり制御装置11は、異常判断制御が実行可能である。異常判断制御は、各マイクロフォン5の検出値(以下、騒音値ともいう。)を利用して電動ポンプ3に異常が発生したか否かを判断する制御である。
【0037】
各マイクロフォン5は、対応する電動ポンプ3の発する音を検出するための騒音センサである。各マイクロフォン5は、その指向性が対応する電動ポンプ3のモータ部3Bに向かう向きと一致するように配置されている。
【0038】
このため、
図3に示されるように、マイクロフォン51は、その指向性が電動ポンプ31のモータ部3Bに向かう向きと一致するように配置されている。同様に、マイクロフォン52、53は、それぞれの指向が対応するモータ部3Bに向かって配置されている。
【0039】
そして、制御装置11は、騒音値の最大値と騒音値の最小値との差が予め決められた値以上となったときに、当該最大値の騒音値が検出された電動ポンプ3に異常が発生したと判断し、その旨の信号を発する。
【0040】
すなわち、制御装置11は、複数の電動ポンプ3が全て停止している状態からいずれか1台の電動ポンプ3が起動したときに、当該電動ポンプ3に対応するマイクロフォン5が検出した値を、当該電動ポンプ3についての検出値として利用する。
【0041】
具体的には、制御装置11は、先発ポンプが起動した時から当該先発ポンプの吐出し圧力が起動時目標圧力に到達した時までにマイクロフォン5が検出した検出値のうち、最大の検出値を当該先発ポンプの騒音値とする。
【0042】
つまり、制御装置11は、1台の電動ポンプ3が稼働し、かつ、その稼働中の電動ポンプ3が加速状態にあるときに検出された騒音値を異常判断に利用する。以下、電動ポンプ31の騒音値を第1騒音値と記し、電動ポンプ32の騒音値を第2騒音値と記し、電動ポンプ33の騒音値を第3騒音値と記す。
【0043】
そして、制御装置11は、第1騒音値、第2騒音値及び第3騒音値のうち最大の騒音値と最小の騒音値とを比較し、その差が予め決められた値以上となったときに、最大の騒音値に対応する電動ポンプ3(以下、異常ポンプという。)に異常が発生したと判断する。
【0044】
<起動禁止制御、静音起動制御>
制御装置11は、起動禁止制御、及び静音起動制御も実行可能である。
【0045】
起動禁止制御は、異常ポンプが発見されたとき以降に実行される制御であって、異常ポンプの起動を禁止する制御である。なお、異常ポンプが発見された時に当該異常ポンプが稼働中である場合には、次回の起動制御時から起動禁止制御が実行される。
【0046】
具体的には、例えば、電動ポンプ31が異常ポンプとされた場合には、制御装置11は、電動ポンプ32→電動ポンプ33→電動ポンプ32→電動ポンプ33→・・・・の順に先発ポンプを変更する。
【0047】
静音起動制御は、少なくとも夜間帯においては、最小の騒音値が検出された電動ポンプ3(以下、低騒音ポンプという。)を先発ポンプとして起動させる制御である。なお、「夜間帯」とは、例えば、少なくとも午前0時から午前4時までを含む時間帯をいう。因みに、本実施形態では、午後10時から翌日の午前4時までを夜間帯としている。
【0048】
つまり、本実施形態に係る制御装置11は、異常ポンプが発見されたとき以降の夜間帯においては、ローテーション制御を実行することなく、低騒音ポンプを先発ポンプとして起動制御を実行するとともに、異常ポンプの起動を禁止する。
【0049】
<2.1 異常判断制御の詳細>
異常判断制御は、起動制御の実行回数が電動ポンプ3の台数nの自然数倍となった場合に実行される。具体的には、本実施形態では、電動ポンプ3の台数nが3であるため、起動制御の実行回数が3の自然数倍、つまり、3、6、9・・・・・になったときに異常判断制御が実行される。
【0050】
なお、異常ポンプが発見されたとき以降においては、電動ポンプ3の台数を(n-1)とし、当該台数の自然数倍となったときに異常判断制御が実行される。具体的には、本実施では、n=3であるため、異常ポンプが発見されたときを基準(起動回数を0)として、以降、起動制御の実行回数が偶数となったときに異常判断制御が実行される。
【0051】
そして、異常判断制御が起動されると、制御装置11は、
図4に示されるように、最大騒音値と最小騒音値との差が予め決められた値(以下、所定値という。)以上であるか否かを判断する(S1)。
【0052】
最大騒音値と最小騒音値との差が所定値未満である場合には(S1:NO)、制御装置11は、異常判断制御を終了する。最大騒音値と最小騒音値との差が所定値以上である場合には(S1:YES)、制御装置11は、起動禁止制御及び静音起動制御を実行する(S3、S5)。
【0053】
<3.本実施形態に係る給水装置の特徴>
本実施形態に係る給水装置1では、現実に同一の現場に設置された複数の電動ポンプ3それぞれの検出値を比較することにより、電動ポンプ3の異常、つまり摩耗や劣化の判断をする。したがって、給水装置1の設置現場毎に閾値を予め決定することなく、容易、かつ、簡便に適切な摩耗や劣化の判断が可能となり得る。
【0054】
制御装置11は、は、全ての前記電動ポンプ3が停止している状態からいずれか1台の電動ポンプ3が起動したときにマイクロフォン5が検出した値、つまり起動制御時にマイクロフォン5が検出した値を当該電動ポンプ3についての騒音値として利用する。
【0055】
これにより、当該給水装置1では、給水装置1の利用者が最も耳障りと感じる音域を利用して異常判断制御が実行される。したがって、利用者が大きな不快感を覚える前に電動ポンプ3の交換又は修理を実行することが可能となり得る。
【0056】
制御装置11は静音起動制御を実行する。これにより、夜間帯において、利用者が大きな不快感を覚えることを未然に抑制でき得る。さらに、本実施形態では、異常ポンプが発見されたとき以降に静音起動制御が実行される。これにより、利用者が大きな不快感を覚えることが確実に抑制され得る。
【0057】
(第2実施形態)
上述の実施形態に係る制御装置11は、1台の電動ポンプ3が稼働し、かつ、その稼働中の電動ポンプ3が加速状態にあるときに検出された騒音値を異常判断に利用した。
【0058】
これに対して、本実施形態に係る制御装置11は、電動ポンプ3が停止するとき、つまり小水量停止制御により電動ポンプ3が減速状態にあるときにマイクロフォン5が検出した値を、当該電動ポンプ3についての検出値として利用する。
【0059】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る制御装置11は、異常ポンプが発見されたとき以降の夜間帯においては、静音起動制御を実行した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、異常ポンプの有無によらず、夜間帯においては、常に静音起動制御を実行してもよい。
【0060】
上述の実施形態では、電動ポンプ3の起動後、加速状態にあるとき、又は電動ポンプ3を停止させる減速状態にあるときの騒音値を用いて異常判断制御を実行した。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0061】
すなわち、当該開示は、例えば、電動ポンプ3の稼働状態が予め決められた状態となったときの騒音値であれば十分である。例えば、電動ポンプ3が予め決められた回転速度で稼働しているときの騒音値を用いて異常判断を実行する構成であってもよい。
【0062】
同様に、制御装置11は、静音起動制御における低騒音ポンプの選択においても、例えば、電動ポンプ3が予め決められた回転速度で稼働しているときの騒音値を用いて、低騒音ポンプを選択してもよい。
【0063】
上述の実施形態では、電動ポンプ3の同数のマイクロフォン5が設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、電動ポンプ3の台数より少ない数のマイクロフォン5であってもよい。
【0064】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1… 給水装置
3… 電動ポンプ
5… マイクロフォン
7… 流量センサ
9… 圧力センサ
11… 制御装置