(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084920
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】ポリイオンコンプレックス粒子を含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/55 20060101AFI20230613BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20230613BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20230613BHJP
A61Q 3/02 20060101ALI20230613BHJP
A61K 8/88 20060101ALI20230613BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20230613BHJP
A61Q 1/04 20060101ALI20230613BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
A61K8/55
A61K8/02
A61Q1/00
A61Q3/02
A61K8/88
A61K8/73
A61Q1/04
A61Q5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021199315
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】河西 毅彦
(72)【発明者】
【氏名】淺沼 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】新美 類
(72)【発明者】
【氏名】光田 紫乃布
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC582
4C083AC901
4C083AC902
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD301
4C083AD302
4C083AD321
4C083AD322
4C083AD331
4C083AD332
4C083AD341
4C083AD342
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD371
4C083AD372
4C083BB33
4C083BB34
4C083BB42
4C083CC11
4C083CC28
4C083CC31
4C083DD01
4C083EE01
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】カチオン性ポリマーの分子量を変化させることなくそのサイズを制御することができるポリイオンコンプレックス粒子を含む組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、ケラチン物質のための、組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは化粧用組成物であって、(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマーと;(b)少なくとも1種のアニオン性ポリマーと;(c)少なくとも1種の非ポリマー酸又はその塩と;(d)水とを含み、(a)カチオン性ポリマーのカチオンの量の、(b)アニオン性ポリマーのアニオンの量に対する比が、0.3超かつ0.8未満であり、カチオン性ポリマーのカチオンの量の、(b)アニオン性ポリマーのアニオンの量及び(c)非ポリマー酸又はその塩のアニオンの量の合計に対する比が、0.2超かつ0.5未満であり、カチオン性ポリマーの電荷濃度が、0.71mmol/g超であり、アニオン性ポリマーの電荷濃度が、2.04mmol/g超かつ10.64mmol/g未満であり、かつ(a)カチオン性ポリマー、(b)アニオン性ポリマー及び(c)非ポリマー酸又はその塩が、1000nm未満の粒径を有する少なくとも1つのポリイオンコンプレックス粒子を形成することが可能である、組成物に関する。カチオン性ポリマー又はアニオン性ポリマーの分子量を変化させることなく、ポリイオンコンプレックス粒径を制御することが可能である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマーと、
(b)少なくとも1種のアニオン性ポリマーと、
(c)少なくとも1種の非ポリマー酸又はその塩と、
(d)水と
を含む、組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくはケラチン繊維のための化粧用組成物であって、
(a)カチオン性ポリマーのカチオンの量の、(b)アニオン性ポリマーのアニオンの量に対する比が、0.3超かつ0.8未満であり、
(a)カチオン性ポリマーのカチオンの量の、(b)アニオン性ポリマーのアニオンの量及び(c)非ポリマー酸又はその塩のアニオンの量の合計に対する比が、0.2超かつ0.5未満であり、
(a)カチオン性ポリマーの電荷濃度が、0.71mmol/g超であり、
(b)アニオン性ポリマーの電荷濃度が、2.04mmol/g超かつ10.64mmol/g未満であり、
かつ
(a)カチオン性ポリマー、(b)アニオン性ポリマー及び(c)非ポリマー酸又はその塩が、1000nm未満の粒径を有する少なくとも1つのポリイオンコンプレックス粒子を形成することが可能である、
組成物。
【請求項2】
(a)カチオン性ポリマーが、(コ)ポリアミンから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(a)カチオン性ポリマーが、ポリリジン、キトサン及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物中の(a)カチオン性ポリマーの量が、組成物の総質量に対して、0.001~2質量%、好ましくは0.005~1.5質量%、より好ましくは0.01~1質量%である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(b)アニオン性ポリマーが、多糖から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
(b)アニオン性ポリマーが、ヒアルロネート、ι-カラゲナン、Λ-カラゲナン、アルギン、コンドロイチン硫酸、ペクチン及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
組成物中の(b)アニオン性ポリマーの量が、組成物の総質量に対して、0.001質量%~2質量%、好ましくは0.005質量%~1.5質量%、より好ましくは0.01質量%~1質量%である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(c)非ポリマー酸が、2つ以上のpKa値を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
(c)非ポリマー酸が、フィチン酸、クエン酸、乳酸及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
組成物中の(c)非ポリマー酸又はその塩の量が、組成物の合計質量に対して0.001質量%~1質量%、好ましくは0.005質量%~0.5質量%、より好ましくは0.01質量%~0.1質量%である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
組成物中の(d)水の量が、組成物の総質量に対して、60質量%~97質量%、好ましくは70質量%~96質量%、より好ましくは80質量%~95質量%である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
組成物のpHが、3~9、好ましくは3.5~8.5、より好ましくは4~8である、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
ケラチン物質のための美容方法であって、
請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物をケラチン物質に塗布する工程と、
組成物を乾燥させてケラチン物質上に化粧皮膜を形成する工程と
を含む、美容方法。
【請求項14】
(d)水を含む組成物中における、
(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、
(b)少なくとも1種のアニオン性ポリマー、及び
(c)少なくとも1種の非ポリマー酸又はその塩
の、
(a)カチオン性ポリマー、(b)アニオン性ポリマー及び(c)非ポリマー酸又はその塩を含む、1000nm未満の粒径を有する少なくとも1つのポリイオンコンプレックス粒子を形成するための使用であって、
(a)カチオン性ポリマーのカチオンの量の、(b)アニオン性ポリマーのアニオンの量に対する比が、0.3超かつ0.8未満であり、
(a)カチオン性ポリマーのカチオンの量の、(b)アニオン性ポリマーのアニオンの量及び(c)非ポリマー酸又はその塩のアニオンの量の合計に対する比が、0.2超かつ0.5未満であり、
(a)カチオン性ポリマーの電荷濃度が、0.71mmol/g超であり、かつ
(b)アニオン性ポリマーの電荷濃度が、2.04mmol/g超かつ10.64mmol/g未満である、
使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイオンコンプレックス粒子を含む、組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくはケラチン物質のための化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アニオン性ポリマー及びカチオン性ポリマーで形成されうるポリイオンコンプレックスは、既に公知である。
【0003】
例えば、WO2017/104221は、美容処置に有用であり、少なくとも1種のカチオン性ポリマー、少なくとも1種のアニオン性ポリマー、及び2つ以上のpKa値を有する少なくとも1種の非ポリマー酸を含む少なくとも1種のポリイオンコンプレックス粒子を含む組成物を開示している。
【0004】
また、WO2018/230673は、そのようなポリイオンコンプレックス粒子及び油を含み、油ゲル化剤を更に含んでもよい組成物を開示している。油ゲル化剤は、組成物の安定性を強化するために使用される。
【0005】
更に、JP-A-2014-114272は、カチオン性ポリマーの分子量を変化させることによって、ポリイオンコンプレックス粒子の粒径を制御することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2017/104221
【特許文献2】WO2018/230673
【特許文献3】JP-A-2014-114272
【特許文献4】欧州特許出願第0080976号
【特許文献5】仏国特許第2077143号
【特許文献6】仏国特許第2393573号
【特許文献7】仏国特許第1492597号
【特許文献8】米国特許第4,131,576号
【特許文献9】米国特許第3,589,578号
【特許文献10】米国特許第4,031,307号
【特許文献11】仏国特許第2162025号
【特許文献12】仏国特許第2280361号
【特許文献13】仏国特許第2252840号
【特許文献14】仏国特許第2368508号
【特許文献15】仏国特許第1583363号
【特許文献16】米国特許第3,227,615号
【特許文献17】米国特許第2,961,347号
【特許文献18】仏国特許第2080759号
【特許文献19】仏国特許第2190406号
【特許文献20】仏国特許第2320330号
【特許文献21】仏国特許第2270846号
【特許文献22】仏国特許第2316271号
【特許文献23】仏国特許第2336434号
【特許文献24】仏国特許第2413907号
【特許文献25】米国特許第2,273,780号
【特許文献26】米国特許第2,375,853号
【特許文献27】米国特許第2,388,614号
【特許文献28】米国特許第2,454,547号
【特許文献29】米国特許第3,206,462号
【特許文献30】米国特許第2,261,002号
【特許文献31】米国特許第2,271,378号
【特許文献32】米国特許第3,874,870号
【特許文献33】米国特許第4,001,432号
【特許文献34】米国特許第3,929,990号
【特許文献35】米国特許第3,966,904号
【特許文献36】米国特許第4,005,193号
【特許文献37】米国特許第4,025,617号
【特許文献38】米国特許第4,025,627号
【特許文献39】米国特許第4,025,653号
【特許文献40】米国特許第4,026,945号
【特許文献41】米国特許第4,027,020号
【特許文献42】欧州特許出願第0122324号
【特許文献43】EP-A-0750899
【特許文献44】EP-A-1069172
【特許文献45】EP-A-0173109
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】CTFA辞典
【非特許文献2】「Micelle formation of random copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and nonionic surfactant macromonomer in water as studied by fluorescence and dynamic light scattering」- Macromolecules、2000年、第33巻、第10号-3694~3704頁
【非特許文献3】Organic Synthetic Chemistry、第25巻、第2号、167~179頁(1967)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、カチオン性ポリマーの分子量を変化させることなくそのサイズを制御することができるポリイオンコンプレックス粒子を含む組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記の目的は、
(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマーと、
(b)少なくとも1種のアニオン性ポリマーと、
(c)少なくとも1種の非ポリマー酸又はその塩と、
(d)水と
を含む組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくはケラチン物質のための化粧用組成物であって、
(a)カチオン性ポリマーのカチオンの量の、(b)アニオン性ポリマーのアニオンの量に対する比が、0.3超かつ0.8未満であり、
(a)カチオン性ポリマーのカチオンの量の、(b)アニオン性ポリマーのアニオンの量及び(c)非ポリマー酸又はその塩のアニオンの量の合計に対する比が、0.2超かつ0.5未満であり、
(a)カチオン性ポリマーの電荷濃度が、0.71mmol/g超であり、
(b)アニオン性ポリマーの電荷濃度が、2.04mmol/g超かつ10.64mmol/g未満であり、
かつ
(a)カチオン性ポリマー、(b)アニオン性ポリマー及び(c)非ポリマー酸又はその塩が、1000nm未満の粒径を有する少なくとも1つのポリイオンコンプレックス粒子を形成することが可能である、
組成物によって実現することができる。
【0010】
(a)カチオン性ポリマーは、(コ)ポリアミンから選択されうる。
【0011】
(a)カチオン性ポリマーは、ポリリジン、キトサン及びそれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0012】
本発明による組成物中の(a)カチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~2質量%、好ましくは0.005質量%~1.5質量%、より好ましくは0.01質量%~1質量%であってもよい。
【0013】
(b)アニオン性ポリマーは、多糖から選択されうる。
【0014】
(b)アニオン性ポリマーは、ヒアルロネート、ι-カラゲナン、Λ-カラゲナン、アルギン、コンドロイチン硫酸、ペクチン及びそれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0015】
本発明による組成物中の(b)アニオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~2質量%、好ましくは0.005質量%~1.5質量%、より好ましくは0.01質量%~1質量%であってもよい。
【0016】
(c)非ポリマー酸は、2つ以上のpKa値を有してもよい。
【0017】
(c)非ポリマー酸は、フィチン酸、クエン酸、乳酸及びそれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0018】
本発明による組成物中の(c)非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~1質量%、好ましくは0.005質量%~0.5質量%、より好ましくは0.01質量%~0.1質量%であってもよい。
【0019】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、60質量%~97質量%、好ましくは70質量%~96質量%、より好ましくは80質量%~95質量%であってもよい。
【0020】
本発明による組成物のpHは、3~9、好ましくは3.5~8.5、より好ましくは4~8であってもよい。
【0021】
本発明はまた、ケラチン物質のための美容方法であって、本発明による組成物をケラチン物質に塗布する工程と、組成物を乾燥させてケラチン物質上に化粧皮膜を形成する工程とを含む、美容方法に関する。
【0022】
本発明はまた、
(d)水を含む組成物中における、
(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、
(b)少なくとも1種のアニオン性ポリマー、及び
(c)少なくとも1種の非ポリマー酸又はその塩
の、
(a)カチオン性ポリマー、(b)アニオン性ポリマー及び(c)非ポリマー酸又はその塩を含む、1000nm未満の粒径を有する少なくとも1つのポリイオンコンプレックス粒子を形成するための使用であって、
(a)カチオン性ポリマーのカチオンの量の、(b)アニオン性ポリマーのアニオンの量に対する比が、0.3超かつ0.8未満であり、
(a)カチオン性ポリマーのカチオンの量の、(b)アニオン性ポリマーのアニオンの量及び(c)非ポリマー酸又はその塩のアニオンの量の合計に対する比が、0.2超かつ0.5未満であり、
(a)カチオン性ポリマーの電荷濃度が、0.71mmol/g超であり、かつ
(b)アニオン性ポリマーの電荷濃度が、2.04mmol/g超かつ10.64mmol/g未満である、
使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
鋭意検討の結果、本発明者らは、カチオン性ポリマーの分子量を変化させることなくそのサイズを制御することができるポリイオンコンプレックス粒子を含む組成物を提供することか可能であることを発見した。
【0024】
したがって、本発明による組成物は、
(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマーと、
(b)少なくとも1種のアニオン性ポリマーと、
(c)少なくとも1種の非ポリマー酸又はその塩と、
(d)水と
を含む組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくはケラチン物質のための化粧用組成物であって、
(a)カチオン性ポリマーのカチオンの量の、(b)アニオン性ポリマーのアニオンの量に対する比が、0.3超かつ0.8未満であり、
(a)カチオン性ポリマーのカチオンの量の、(b)アニオン性ポリマーのアニオンの量及び(c)非ポリマー酸又はその塩のアニオンの量の合計に対する比が、0.2超かつ0.5未満であり、
(a)カチオン性ポリマーの電荷濃度が、0.71mmol/g超であり、
(b)アニオン性ポリマーの電荷濃度が、2.04mmol/g超かつ10.64mmol/g未満であり、
かつ
(a)カチオン性ポリマー、(b)アニオン性ポリマー及び(c)非ポリマー酸又はその塩が、1000nm未満の粒径を有する少なくとも1つのポリイオンコンプレックス粒子を形成することが可能である、
組成物である。
【0025】
本発明は、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー及び非ポリマー酸又はその塩によって形成されたポリイオンコンプレックス粒子の粒径を制御するための、カチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマー、並びに非ポリマー酸又はその塩の電荷に関する特定の条件を満たすことを特徴とすることができる。
【0026】
本発明によると、カチオン性ポリマー又はアニオン性ポリマーの分子量を変化させることなく、ポリイオンコンプレックス粒径を制御することが可能である。
【0027】
ポリイオンコンプレックス粒子の粒径は、本発明によって、1000nm未満に制御することができる。
【0028】
ポリイオンコンプレックス粒子は、「ナノ」サイズであるように制御することもできるため、本発明による組成物は、透明又は半透明、好ましくは透明でありうる。
【0029】
これ以降、本発明による組成物等を、より詳細に説明する。
【0030】
[電荷条件]
本発明によると、(a)カチオン性ポリマーの電荷濃度は、0.71mmol/g超であり、(b)アニオン性ポリマーの電荷濃度は、2.04mmol/g超かつ10.64mmol/g未満である。
【0031】
ここでの「電荷濃度」とは、分子、例えば、カチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーの電荷を有する(イオン化)又は電荷を有することができる(イオン化可能)官能基の濃度を意味する。電荷濃度は、「電荷密度」又は「電荷当量(charge equivalent)」と考えることができる。ここでの「電荷濃度」は、絶対値である。
【0032】
電荷濃度は、水等の水性媒体中でカチオン又はアニオンとして作用しうる官能基の密度を反映する。水中でカチオンとして作用しうる官能基の例としては、アミノ基及びアンモニウム基を挙げることができる。水中でアニオンとして作用しうる官能基の例としては、スルホン酸基及びリン酸基を挙げることができる。
【0033】
電荷濃度は、以下の通り計算することができる。
【0034】
電荷濃度=(分子の電荷を有する又は電荷を有することができる部位の数)/(存在する場合、対イオンを有する分子の分子量)
(式中、分子がポリマーの形態である場合、分子は、ポリマーの繰り返し単位を意味する)。
【0035】
本発明によると、(a)カチオン性ポリマーのカチオンの量の、(b)アニオン性ポリマーのアニオンの量に対する比は、0.3超かつ0.8未満である。
【0036】
(a)カチオン性ポリマーのカチオンの量は、(a)カチオン性ポリマーの電荷濃度に、(a)カチオン性ポリマーの量を掛けることによって計算することができる。
【0037】
(b)アニオン性ポリマーのアニオンの量は、(b)アニオン性ポリマーの電荷濃度に、(b)アニオン性ポリマーの量を掛けることによって計算することができる。
【0038】
(a)カチオン性ポリマーのカチオンの量の、(b)アニオン性ポリマーのアニオンの量に対する比は、(a)カチオン性ポリマーのカチオンの量を、(b)アニオン性ポリマーのアニオンの量で割ることによって計算することができる。
【0039】
上記の比は、(a)カチオン性ポリマーのカチオン性官能基のモル数の、(b)アニオン性ポリマーのアニオン性官能基のモル数に対する比を反映しうる。
【0040】
本発明によると、(a)カチオン性ポリマーのカチオンの量の、(b)アニオン性ポリマーのアニオンの量及び(c)非ポリマー酸又はその塩のアニオンの量の合計に対する比は、0.2超かつ0.5未満である。
【0041】
(c)非ポリマー酸又はその塩のアニオンの量は、成分(c)の電荷濃度に、(c)成分の量を掛けることによって計算することができる。
【0042】
(a)カチオン性ポリマーのカチオンの量の、(b)アニオン性ポリマーのアニオンの量及び(c)非ポリマー酸又はその塩のアニオンの量の合計に対する比は、(a)カチオン性ポリマーのカチオンの量を、(b)アニオン性ポリマーのアニオンの量及び(c)非ポリマーアニオン酸又はその塩のアニオンの量の合計で割ることによって計算することができる。
【0043】
上記の比は、(a)カチオン性ポリマーのカチオン性官能基のモル数の、(b)アニオン性ポリマー及び(c)非ポリマー酸又はその塩のアニオン性官能基のモル数に対する比を反映しうる。
【0044】
[ポリイオンコンプレックス]
本発明によると、(a)カチオン性ポリマー、(b)アニオン性ポリマー及び(c)非ポリマー酸又はその塩は、1000nm未満の粒径を有する少なくとも1つのポリイオンコンプレックス粒子を形成することが可能である。
【0045】
本発明による組成物中のポリイオンコンプレックス粒子の粒径は、1000nm未満、好ましくは800nm未満、より好ましくは600nm未満、更により好ましくは400nm未満、特に好ましくは200nmである。
【0046】
本発明による組成物中のポリイオンコンプレックス粒子の粒径は、2nm以上、好ましくは4nm以上、より好ましくは6nm以上、更により好ましくは8nm以上、特に10nm以上であってもよい。
【0047】
この粒径は、動的光散乱法によって測定することができる。粒径は、体積平均直径に基づきうる。
【0048】
したがって、本発明による組成物は、少なくとも1種のポリイオンコンプレックス粒子を含みうる。2種以上の異なるタイプのポリイオンコンプレックス粒子を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一タイプのポリイオンコンプレックス粒子又は異なるタイプのポリイオンコンプレックス粒子の組合せを使用してもよい。
【0049】
本発明による組成物中のポリイオンコンプレックス粒子の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であってもよい。
【0050】
本発明による組成物中のポリイオンコンプレックス粒子の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0051】
本発明による組成物中のポリイオンコンプレックス粒子の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~15質量%、好ましくは0.005質量%~10質量%、より好ましくは0.01質量%~5質量%であってもよい。
【0052】
(カチオン性ポリマー)
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマーを含む。2種以上のカチオン性ポリマーを、組み合わせて使用してもよい。したがって、単一タイプのカチオン性ポリマー、又は異なるタイプのカチオン性ポリマーの組合せを使用してもよい。
【0053】
(a)カチオン性ポリマーは、1つ又は複数の正電荷を有するか又は有することができる。
【0054】
(a)カチオン性ポリマーの電荷濃度又は電荷密度は、0.71mmol/g超、好ましくは1mmol/g超、より好ましくは2mmol/g超、より好ましくは3mmol/g超、より好ましくは4mmol/g超、より好ましくは5mmol/g超、より好ましくは6mmol/g超、更により好ましくは7mmol/g超である。
【0055】
カチオン性ポリマーの分子量は、1000以上、好ましくは50000以上、より好ましくは100000以上、更により好ましくは1000000以上であってもよい。
【0056】
本明細書に別段の定義がない限り、「分子量」は数平均分子量を意味する。
【0057】
カチオン性ポリマーは、第一級、第二級又は第三級アミノ基、第四級アンモニウム基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基及びピリジル基からなる群から選択される少なくとも1つの正電荷を有することができる及び/又は正電荷を有する部分を有してもよい。ここでの(第一級)「アミノ基」という用語は、-NH2基を意味する。
【0058】
カチオン性ポリマーは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。「コポリマー」という用語は、2種類のモノマーから得たコポリマー、及び2種類超のモノマーから得たもの、例えば3種類のモノマーから得たターポリマーの両方を意味すると理解される。
【0059】
カチオン性ポリマーは、天然及び合成カチオン性ポリマーから選択されうる。カチオン性ポリマーの非限定例は、以下の通りである。
【0060】
(1)アクリル酸又はメタクリル酸のエステル及びアミドに由来し、以下の式:
【0061】
【0062】
(式中、
R1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、水素、及び1~6個の炭素原子を含むアルキル基、例えば、メチル及びエチル基から選択され、
R3は、同一であっても異なっていてもよく、水素及びCH3から選択され、
記号Aは、同一であっても異なっていてもよく、1~6個の炭素原子、例えば2~3個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状アルキル基、及び1~4個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基から選択され、
R4、R5及びR6は、同一であっても異なっていてもよく、1~18個の炭素原子を含むアルキル基、及びベンジル基、及び少なくとも1つの実施形態では、1~6個の炭素原子を含むアルキル基から選択され、
Xは、無機又は有機酸に由来するアニオン、例えばメト硫酸アニオン及びハロゲン化物イオン、例えば、塩化物イオン及び臭化物イオンである)
の単位から選択される少なくとも1つの単位を含むホモポリマー及びコポリマー。
【0063】
ファミリー(1)のコポリマーはまた、コモノマーに由来する少なくとも1つの単位も含んでよく、これは、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、窒素原子が(C1~C4)低級アルキル基で置換されているアクリルアミド及びメタクリルアミド、アクリル又はメタクリル酸及びそれらのエステルに由来する基、ビニルラクタム、例えばビニルピロリドン及びビニルカプロラクタム、並びにビニルエステルから選択されうる。
【0064】
ファミリー(1)のコポリマーの例としては、限定されないが、以下が挙げられる:
アクリルアミドと、硫酸ジメチル又はハロゲン化ジメチルで四級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルとのコポリマー、
例えば欧州特許出願第0080976号に記載されている、アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー、
アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメトサルフェートとのコポリマー、
例えば仏国特許第2077143号及び同第2393573号に記載されている、四級化又は非四級化ビニルピロリドン/アクリル酸又はメタクリル酸ジアルキルアミノアルキルコポリマー、
メタクリル酸ジメチルアミノエチル/ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドンターポリマー、
ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルジメチルアミンコポリマー、四級化ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドコポリマー、並びに
架橋メタクリロイルオキシ(C1~C4)アルキルトリ(C1~C4)アルキルアンモニウム塩ポリマー、例えば塩化メチルで四級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルの単独重合、又はアクリルアミドと、塩化メチルで四級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルとの共重合、その単独重合又は共重合に続いて、オレフィン性不飽和を含有する化合物、例えばメチレンビスアクリルアミドで架橋することによって得られるポリマー。
【0065】
(2)カチオン性セルロース誘導体、例えば第四級アンモニウム基を含むセルロースエーテル誘導体は、例えば仏国特許第1492597号に記載されているもの、例えばUnion Carbide Corporation社により名称「JR」(JR 400、JR 125、JR 30M)又は「LR」(LR 400、LR 30M)で販売されているポリマー。これらのポリマーはまた、CTFA辞典において、トリメチルアンモニウム基で置換されているエポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの第四級アンモニウムとして定義されている。
【0066】
(3)第四級アンモニウムの水溶性モノマーとグラフトされたカチオン性セルロース誘導体、例えばセルロースコポリマー及びセルロース誘導体、例えば、米国特許第4,131,576号に記載されているもの、例えば、メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム及びジメチルジアリルアンモニウム塩から選択される塩とグラフトされたヒドロキシアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシメチル-、ヒドロキシエチル-及びヒドロキシプロピルセルロース。
【0067】
これらのポリマーに相当する市販製品としては、例えば、National Starch社により名称「Celquat(登録商標)L 200」及び「Celquat(登録商標)H 100」で販売されている製品が挙げられる。
【0068】
(4)米国特許第3,589,578号及び同第4,031,307号に記載されている、非セルロース系カチオン性多糖、例えばカチオン性トリアルキルアンモニウム基を含むグアーガム、カチオン性ヒアルロン酸及びデキストランヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド。塩、例えば2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウムの塩化物で修飾されたグアーガム(グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)もまた、使用してもよい。
【0069】
このような製品は、例えば、MEYHALL社により商品名JAGUAR(登録商標)C13 S、JAGUAR(登録商標)C15、JAGUAR(登録商標)C17及びJAGUAR(登録商標)C162で販売されている。
【0070】
(5)ピペラジニル単位、及び酸素、硫黄、窒素、芳香族環及び複素環式環から選択される少なくとも1つの要素により任意選択で割り込まれた直鎖又は分枝鎖を含む二価のアルキレン又はヒドロキシアルキレン基を含むポリマー、並びにまたこれらのポリマーの酸化及び/又は四級化生成物。このようなポリマーは、例えば仏国特許第2162025号及び同第2280361号に記載されている。
【0071】
(6)例えば酸性化合物をポリアミンと重縮合させることによって調製される水溶性ポリアミノアミド;これらのポリアミノアミドは、エピハロヒドリン;ジエポキシド;二無水物;不飽和二無水物;ビス不飽和誘導体;ビスハロヒドリン;ビスアゼチジニウム;ビスハロアシルジアミン(bishaloacyidiamine);ビスアルキルハライド;ビスハロヒドリン、ビスアゼチジニウム、ビスハロアシルジアミン、ビスアルキルハライド、エピハロヒドリン、ジエポキシド及びビス不飽和誘導体から選択される要素と反応性である二官能性化合物の反応から得られるオリゴマーから選択される要素で架橋されている場合があり;架橋剤は、ポリアミノアミドのアミン基1つ当たり0.025~0.35molの範囲の量で使用され;これらのポリアミノアミドは、任意選択でアルキル化されているか、又はこれらが少なくとも1つの第三級アミン官能基を含む場合、それらは、四級化されていてもよい。このようなポリマーは、例えば仏国特許第2252840号及び同第2368508号に記載されている。
【0072】
(7)ポリアルキレンポリアミンをポリカルボン酸と縮合させ、続いて二官能性作用剤でアルキル化することから得られるポリアミノアミド誘導体、例えば、メチル、エチル及びプロピル基等、アルキル基が1~4個の炭素原子を含み、エチレン基等、アルキレン基が1~4個の炭素原子を含む、アジピン酸/ジアルキルアミノヒドロキシアルキルジアルキレントリアミンポリマー。このようなポリマーは、例えば、仏国特許第1583363号に記載されている。少なくとも1つの実施形態では、これらの誘導体は、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンポリマーから選択されうる。
【0073】
(8)2つの第一級アミン基及び少なくとも1つの第二級アミン基を含むポリアルキレンポリアミンと、ジグリコール酸、及び3~8個の炭素原子を含む飽和脂肪族ジカルボン酸から選択されるジカルボン酸との反応によって得られるポリマー。ポリアルキレンポリアミンのジカルボン酸に対するモル比は、0.8:1~1.4:1の範囲であってもよく、それから得られるポリアミノアミドを、エピクロロヒドリンと、エピクロロヒドリンの、ポリアミノアミドの第二級アミン基に対するモル比0.5:1~1.8:1の範囲で反応させる。このようなポリマーは、例えば、米国特許第3,227,615号及び同第2,961,347号に記載されている。
【0074】
(9)アルキルジアリルアミンのシクロポリマー、及びジアルキルジアリル-アンモニウムのシクロポリマー、例えば、鎖の主要構成要素として、以下の式(Ia)及び(Ib):
【0075】
【0076】
(式中、
k及びtは、同一であっても異なっていてもよく、0又は1に等しく、和k+tは、1に等しく、
R12は、水素及びメチル基から選択され、
R10及びR11は、同一であっても異なっていてもよく、1~6個の炭素原子を含むアルキル基、アルキル基が例えば1~5個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基、及び低級(C1~C4)アミドアルキル基から選択され、又はR10及びR11は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、複素環式基、例えばピペリジニル及びモルホリニルを形成してもよく、
Y'は、アニオン、例えば臭化物イオン、塩化物イオン、酢酸イオン、ホウ酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸水素イオン、亜硫酸水素イオン、硫酸イオン及びリン酸イオンである)
の単位から選択される少なくとも1つの単位を含むホモポリマー及びコポリマー。これらのポリマーは、例えば仏国特許第2080759号及びその追加特許第2190406号に記載されている。
【0077】
一実施形態では、R10及びR11は、同一であっても異なっていてもよく、1~4個の炭素原子を含むアルキル基から選択される。
【0078】
このようなポリマーの例としては、これらに限定されないが、(コ)ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、例えばCALGON社により名称「MERQUAT(登録商標)100」で販売されているジメチルジアリルアンモニウムクロリドホモポリマー(及び低平均分子量のそのホモログ)、並びに名称「MERQUAT(登録商標)550」で販売されているジアリルジメチルアンモニウムクロリドとアクリルアミドとのコポリマーが挙げられる。
【0079】
(10)式(II):
【0080】
【0081】
{式中、
R13、R14、R15及びR16は、同一であっても異なっていてもよく、1~20個の炭素原子を含む脂肪族、脂環式及びアリール脂肪族基、並びに低級ヒドロキシアルキル脂肪族基から選択され、或いは、R13、R14、R15及びR16は、それらが結合している窒素原子と一緒になって又は別々に、窒素以外の第2のヘテロ原子を任意選択で含む複素環を形成してもよく、或いは、R13、R14、R15及びR16は、同一であっても異なっていてもよく、ニトリル基、エステル基、アシル基、アミド基、-CO-O-R17-E基及び-CO-NH-R17-E基(式中、R17は、アルキレン基であり、Eは、第四級アンモニウム基である)から選択される少なくとも1つの基で置換されている直鎖状又は分枝状C1~C6アルキル基から選択され、
A1及びB1は、同一であっても異なっていてもよく、2~20個の炭素原子を含むポリメチレン基から選択され、これは、直鎖状又は分枝状、飽和又は不飽和であってもよく、これは、芳香族環、酸素、硫黄、スルホキシド基、スルホン基、ジスルフィド基、アミノ基、アルキルアミノ基、ヒドロキシル基、第四級アンモニウム基、ウレイド基、アミド基及びエステル基から選択される少なくとも1つの要素を、主鎖中に、連結又は挿入されて含んでもよく、
X-は、無機又は有機酸に由来するアニオンであり、
A1、R13及びR15は、それらが結合している2個の窒素原子と一緒になってピペラジン環を形成してもよく、
A1が、直鎖状又は分枝状、飽和又は不飽和アルキレン又はヒドロキシアルキレン基から選択される場合、B1は、以下:
-(CH2)n-CO-E'-OC-(CH2)n-
[式中、E'は、以下:
a)式-O-Z-O-(式中、Zは、直鎖状又は分枝状炭化水素ベースの基、及び以下の式:
-(CH2-CH2-O)x-CH2-CH2-
-[CH2-CH(CH3)-O]y-CH2-CH(CH3)-
(式中、x及びyは、同一であっても異なっていてもよく、定義された独自の重合度を表す1~4の範囲の整数、及び平均重合度を表す1~4の範囲の数から選択される)
の基から選択される)
のグリコール残基、
b)ビス-第二級ジアミン残基、例えばピペラジン誘導体、
c)式-NH-Y-NH- (式中、Yは、直鎖状又は分枝状炭化水素ベースの基及び二価基-CH2-CH2-S-S-CH2-CH2-から選択される)のビス-第一級ジアミン残基、並びに
d)式-NH-CO-NH-のウレイレン基
から選択される]
から選択されうる}
の少なくとも1つの繰り返し単位を含む第四級ジアンモニウムポリマー。
【0082】
少なくとも1つの実施形態では、X-は、アニオン、例えば塩化物イオン又は臭化物イオンである。
【0083】
このタイプのポリマーは、例えば、仏国特許第2320330号;同第2270846号;同第2316271号;同第2336434号;及び同第2413907号、並びに米国特許第2,273,780号;同第2,375,853号;同第2,388,614号;同第2,454,547号;同第3,206,462号;同第2,261,002号;同第2,271,378号;同第3,874,870号;同第4,001,432号;同第3,929,990号;同第3,966,904号;同第4,005,193号;同第4,025,617号;同第4,025,627号;同第4,025,653号;同第4,026,945号;及び同第4,027,020号に記載されている。
【0084】
このようなポリマーの非限定的な例としては、式(III):
【0085】
【0086】
(式中、
R13、R14、R15及びR16は、同一であっても異なっていてもよく、1~4個の炭素原子を含むアルキル及びヒドロキシアルキル基から選択され、n及びpは、同一であっても異なっていてもよく、2~20の範囲の整数であり、X-は、無機又は有機酸に由来するアニオンである)
の少なくとも1つの繰り返し単位を含むものが挙げられる。
【0087】
(11)式(IV):
【0088】
【0089】
(式中、
R18、R19、R20及びR21は、同一であっても異なっていてもよく、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、β-ヒドロキシエチル基、β-ヒドロキシプロピル基、-CH2CH2(OCH2CH2)pOH基(式中、pは、0~6の範囲の整数から選択される)から選択され、但し、R18、R19、R20及びR21が同時に水素であることはなく、
r及びsは、同一であっても異なっていてもよく、1~6の範囲の整数から選択され、
qは、0~34の範囲の整数から選択され、
X-は、アニオン、例えばハロゲン化物イオンであり、
Aは、ジハライド及び-CH2-CH2-O-CH2-CH2-の基から選択される)
の単位を含むポリ四級アンモニウムポリマー。
【0090】
このような化合物は、例えば、欧州特許出願第0122324号に記載されている。
【0091】
(12)ビニルピロリドンとビニルイミダゾールとの第四級ポリマー。
【0092】
好適なカチオン性ポリマーの他の例としては、これらに限定されないが、カチオン性タンパク質及びカチオン性タンパク質加水分解物、ポリアルキレンイミン、例えばポリエチレンイミン、ビニルピリジン単位及びビニルピリジニウム単位から選択される単位を含むポリマー、ポリアミンとエピクロロヒドリンとの縮合物、第四級ポリウレイレン、並びにキチン誘導体が挙げられる。
【0093】
本発明の一実施形態によると、少なくとも1種のカチオン性ポリマーは、第四級アンモニウム基を含むセルロースエーテル誘導体、例えばUNION CARBIDE CORPORATION社により名称「JR 400」で販売されている製品、カチオン性シクロポリマー、例えばCALGON社により名称MERQUAT(登録商標)100、MERQUAT(登録商標)550及びMERQUAT(登録商標)Sで販売されているジメチルジアリルアンモニウムクロリドのホモポリマー及びコポリマー、2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウム塩で修飾されたグアーガム、並びにビニルピロリドンとビニルイミダゾールとの第四級ポリマーから選択される。
【0094】
(13)ポリアミン
カチオン性ポリマーとして、複数のアミノ基を有する、ホモポリマー又はコポリマーでありうる(コ)ポリアミンを使用することもまた可能である。アミノ基は、第一級、第二級、第三級又は第四級アミノ基であってもよい。アミノ基は、(コ)ポリアミンのポリマー主鎖、又は存在する場合はペンダント基中に存在してもよい。
【0095】
(コ)ポリアミンの例として、キトサン、(コ)ポリアリルアミン、(コ)ポリビニルアミン、(コ)ポリアニリン、(コ)ポリビニルイミダゾール、(コ)ポリジメチルアミノエチレンメタクリレート、(コ)ポリビニルピリジン、例えば(コ)ポリ-1-メチル-2-ビニルピリジン、(コ)ポリイミン、例えば(コ)ポリエチレンイミン、(コ)ポリピリジン、例えば(コ)ポリ(第四級ピリジン)、(コ)ポリビグアニド、例えば(コ)ポリアミノプロピルビグアニド、(コ)ポリリジン、(コ)ポリオルニチン、(コ)ポリアルギニン、(コ)ポリヒスチジン、アミノデキストラン、アミノセルロース、アミノ(コ)ポリビニルアセタール、及びそれらの塩を挙げることができる。
【0096】
(コ)ポリアミンとしては、(コ)ポリリジンを使用することが好ましい。ポリリジンは周知である。ポリリジンは、細菌発酵によって生成されうるL-リジンの天然ホモポリマーであってもよい。例えば、ポリリジンは、食品中の天然保存料として典型的に使用されるε-ポリ-L-リジンであってもよい。ポリリジンは、水、プロピレングリコール及びグリセロール等の極性溶媒に可溶である高分子電解質である。ポリリジンは、ポリD-リジン及びポリL-リジン等の様々な形態で市販されている。ポリリジンは、塩及び/又は溶液の形態であってもよい。
【0097】
(14)カチオン性ポリアミノ酸
カチオン性ポリマーとして、複数のアミノ基及びカルボキシル基を有する、カチオン性ホモポリマー又はコポリマーでありうるカチオン性ポリアミノ酸を使用することもまた可能でありうる。アミノ基は、第一級、第二級、第三級又は第四級アミノ基であってもよい。アミノ基は、カチオン性ポリアミノ酸のポリマー主鎖、又は存在する場合はペンダント基中に存在してもよい。カルボキシル基は、存在する場合はカチオン性ポリアミノ酸のペンダント基中に存在してもよい。
【0098】
カチオン性ポリアミノ酸の例として、カチオン化コラーゲン、カチオン化ゼラチン、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク質、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク質、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コンキオリンタンパク質、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク質、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ダイズタンパク質、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク質等を挙げることができる。
【0099】
(a)カチオン性ポリマーは、(コ)ポリアミンから選択されることが好ましい場合がある。
【0100】
(a)カチオン性ポリマーは、ポリリジン、キトサン及びそれらの混合物からなる群から選択されることがより好ましい場合がある。
【0101】
本発明による組成物中の(a)カチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であってもよい。
【0102】
本発明による組成物中の(a)カチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、2質量%以下、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってもよい。
【0103】
本発明による組成物中の(a)カチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~2質量%、好ましくは0.005質量%~1.5質量%、より好ましくは0.01質量%~1質量%であってもよい。
【0104】
(アニオン性ポリマー)
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種のアニオン性ポリマーを含む。2種以上のアニオン性ポリマーを、組み合わせて使用してもよい。したがって、単一タイプのアニオン性ポリマー、又は異なるタイプのアニオン性ポリマーの組合せを使用してもよい。
【0105】
(b)アニオン性ポリマーは、1つ又は複数の負電荷を有するか又は有することができる。
【0106】
(b)アニオン性ポリマーの電荷濃度又は電荷密度は、2.04mmol/g超、好ましくは2.20mmol/g超、より好ましくは2.40mmol/g超である。
【0107】
(b)アニオン性ポリマーの電荷濃度又は電荷密度は、10.64mmol/g未満、好ましくは8.00mmol/g未満、より好ましくは6.00mmol/g未満である。
【0108】
(b)アニオン性ポリマーの電荷濃度又は電荷密度は、5.00mmol/g未満、より好ましくは4.70mmol/g未満、更により好ましくは4.40mmol/g未満であることが好ましい。
【0109】
(b)アニオン性ポリマーの電荷濃度又は電荷密度は、2.04mmol/g超かつ10.64mmol/g未満、好ましくは2.20mmol/g超かつ8.00mmol/g未満、より好ましくは2.40mmol/g超かつ6.00mmol/g未満である。
【0110】
(b)アニオン性ポリマーの電荷濃度又は電荷密度は、2.04mmol/g超かつ5.00mmol/g未満、より好ましくは2.20mmol/g超かつ4.70mmol/g未満、更により好ましくは2.40mmol/g超かつ4.40mmol/g未満であることが好ましい。
【0111】
アニオン性ポリマーの分子量は、1,000以上、好ましくは10,000以上、より好ましくは50,000以上、更により好ましくは100,000以上であってもよい。
【0112】
アニオン性ポリマーは、硫酸基、スルフェート基、スルホン酸基、スルホネート基、リン酸基、ホスフェート基、ホスホン酸基、ホスホネート基、カルボン酸基及びカルボキシレート基からなる群から選択される少なくとも1つの負電荷を有することができる及び/又は負電荷を有する部分を有してもよい。
【0113】
アニオン性ポリマーは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。「コポリマー」という用語は、2種類のモノマーから得たコポリマー、及び2種類超のモノマーから得たもの、例えば3種類のモノマーから得たターポリマーの両方を意味すると理解される。
【0114】
アニオン性ポリマーは、天然の及び合成のアニオン性ポリマーから選択されうる。
【0115】
アニオン性ポリマーは、少なくとも1つの疎水性鎖を含んでもよい。
【0116】
少なくとも1つの疎水性鎖を含んでもよいアニオン性ポリマーは、α,β-エチレン性不飽和を含むカルボン酸(モノマーa')及び2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(モノマーa'')から選択されるモノマー(a)を、(a)以外のエチレン性不飽和を含む非表面活性モノマー(b)、及び/又はα,β-モノエチレン性不飽和を含むアクリルモノマー若しくはモノエチレン性不飽和を含むイソシアネートモノマーと、一価の非イオン性両親媒性成分又は第一級若しくは第二級脂肪アミンとの反応から得られるエチレン性不飽和を含むモノマー(c)と、共重合させることによって得ることができる。
【0117】
したがって、少なくとも1つの疎水性鎖を有するアニオン性ポリマーは、以下の2種の合成経路のいずれかによって得ることができる:
- モノマー(a')と(c)、若しくは(a')と(b)と(c)、若しくは(a'')と(c)、若しくは(a'')と(b)と(c)との共重合、
- 或いはモノマー(a')から、又はモノマー(a')と(b)、若しくは(a'')と(b)とから形成されたコポリマーを、一価の非イオン性両親媒性化合物又は第一級若しくは第二級脂肪アミンでの修飾(特にエステル化若しくはアミド化)。
【0118】
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸コポリマーとしては、特に、論文「Micelle formation of random copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and nonionic surfactant macromonomer in water as studied by fluorescence and dynamic light scattering」- Macromolecules、2000年、第33巻、第10号-3694~3704頁並びに出願EP-A-0750899及びEP-A-1069172に開示されているものを挙げることができる。
【0119】
モノマー(a')を構成する、α,β-モノエチレン性不飽和を含むカルボン酸は、多数の酸から、特に、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸及びマレイン酸から選択することができる。これは、好ましくは、アクリル酸又はメタクリル酸である。
【0120】
コポリマーは、界面活性剤特性を有さないモノエチレン性不飽和を含むモノマー(b)を含んでもよい。好ましいモノマーは、単独重合する場合に水不溶性ポリマーをもたらすものである。これらは、例えば、C1~C4アルキルアクリレート及びメタクリレート、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル又は対応するメタクリレートから選択することができる。より特に好ましいモノマーは、アクリル酸メチル及びアクリル酸エチルである。使用することができる他のモノマーは、例えば、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル及び塩化ビニリデンである。非反応性モノマーが好ましく、これらのモノマーは、単一のエチレン性基が、重合条件下で反応性である唯一の基であるものである。しかしながら、熱の作用下で反応する基を含むモノマー、例えばアクリル酸ヒドロキシエチルを任意選択で使用することができる。
【0121】
モノマー(c)は、α,β-モノエチレン性不飽和を含むアクリルモノマー、例えば(a)、又はモノエチレン性不飽和を含むイソシアネートモノマーと、一価の非イオン性両親媒性化合物又は第一級若しくは第二級脂肪アミンとの反応によって得られる。
【0122】
非イオン性モノマー(c)を生成するのに使用される一価の非イオン性両親媒性化合物又は第一級若しくは第二級脂肪アミンは、周知である。一価の非イオン性両親媒性化合物は、一般に、分子の親水性部分を形成するアルキレンオキシドを含むアルコキシル化疎水性化合物である。疎水性化合物は、一般に、脂肪族アルコール又はアルキルフェノールで構成され、その化合物中、少なくとも6個の炭素原子を含む炭素性鎖が、両親媒性化合物の疎水性部分を構成する。
【0123】
好ましい一価の非イオン性両親媒性化合物は、以下の式(V):
R-(OCH2CHR')m-(OCH2CH2)n-OH (V)
(式中、Rは、6~30個の炭素原子を含むアルキル又はアルキレン基、及び8~30個の炭素原子を含むアルキル基を有するアルキルアリール基から選択され、R'は、1~4個の炭素原子を含むアルキル基から選択され、nは、およそ1~150の範囲の平均数であり、mは、およそ0~50の範囲の平均数であり、但し、nは、少なくともmと同じ大きさである)
を有する化合物である。
【0124】
好ましくは、式(V)の化合物中、R基は、12から26個の炭素原子を含むアルキル基及びアルキル基がC8~C13であるアルキルフェニル基から選択され、R'基は、メチル基であり、m=0であり、n=1~25である。
【0125】
好ましい第一級及び第二級脂肪アミンは、6~30個の炭素原子を含む1つ又は2つのアルキル鎖で構成される。
【0126】
非イオン性ウレタンモノマー(c)を形成するのに使用されるモノマーは、きわめて多様な化合物から選択することができる。共重合性不飽和、例えばアクリル性、メタクリル性又はアリル性不飽和を含む、任意の化合物を使用してもよい。モノマー(c)は、特に、モノエチレン性不飽和を含むイソシアネート、例えば特にα,α-ジメチル-m-イソプロペニルベンジルイソシアネートから得ることができる。
【0127】
モノマー(c)は、特に、オキシエチレン化(1~50EO)C6~C30脂肪アルコールのアクリレート、メタクリレート又はイタコネート、例えばメタクリル酸ステアレス-20、オキシエチレン化(25EO)ベヘニルメタクリレート、オキシエチレン化(20EO)モノセチルイタコネート、オキシエチレン化(20EO)モノステアリルイタコネート又はポリオキシエチレン化(25EO)C12~C24アルコールで修飾されたアクリレートから、及びオキシエチレン化(1~50EO)C6~C30脂肪アルコールのジメチル-m-イソプロペニルベンジルイソシアネート、例えば特にオキシエチレン化ベヘニルアルコールのジメチル-m-イソプロペニルベンジルイソシアネートから選択することができる。
【0128】
本発明の特定の実施形態によると、アニオン性ポリマーは、(a)α,β-エチレン性不飽和を含むカルボン酸、(b)(a)以外のエチレン性不飽和を含む非表面活性モノマー、及び(c)一価の非イオン性両親媒性化合物と、モノエチレン性不飽和を含むイソシアネートとの反応生成物である非イオン性ウレタンモノマーから得られるアクリルターポリマーから選択される。
【0129】
少なくとも1つの疎水性鎖を含むアニオン性ポリマーとしては、特に、アクリル酸/アクリル酸エチル/アルキルアクリレートターポリマー、例えばRohm & Haas社によって名称Acusol 823で販売されている30%水性分散体としての製品;アクリレート/メタクリル酸ステアレス-20コポリマー、例えばRohm & Haas社によって名称Aculyn 22で販売されている製品;(メタ)アクリル酸/アクリル酸エチル/オキシエチレン化(25EO)ベヘニルメタクリレートターポリマー、例えばRohm & Haas社によって名称Aculyn 28で販売されている水性エマルジョンとしての製品;アクリル酸/オキシエチレン化(20EO)モノセチルイタコネートコポリマー、例えばNational Starch社によって名称Structure 3001で販売されている30%水性分散体としての製品;アクリル酸/オキシエチレン化(20EO)モノステアリルイタコネートコポリマー、例えばNational Starch社によって名称Structure 2001で販売されている30%水性分散体としての製品;アクリレート/ポリオキシエチレン化(25EO)C12~C24アルコールで修飾されたアクリレートのコポリマー、例えば3V SA社によって名称Synthalen W2000で販売されている30~32%コポリマーラテックス;又はメタクリル酸/アクリル酸メチル/エトキシル化ベヘニルアルコールのジメチル-メタ-イソプロペニルベンジルイソシアネートのターポリマー、例えば文献EP-A-0173109に開示された40個のエチレンオキシド基を含む24%水性分散体としての製品を挙げることができる。
【0130】
アニオン性ポリマーはまた、ポリエステル-5、例えば、以下の化学式を有する、EASTMAN CHEMICAL社により名称Eastman AQ(商標)55S Polymerで販売されている製品であってもよい。
【0131】
【0132】
A:ジカルボン酸部分
G:グリコール部分
SO3
-Na+:ナトリウムスルホ基
OH:ヒドロキシル基
【0133】
アニオン性ポリマーが、多糖、例えば、カラゲナン(例えば、ι-カラゲナン及びΛ-カラゲナン)、ペクチン、アルギン酸(アルギン)、ヒアルロン酸及びセルロースポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロース)、アニオン性(コ)ポリアミノ酸、例えば、(コ)ポリグルタミン酸、(コ)ポリ(メタ)アクリル酸、(コ)ポリアミン酸、(コ)ポリスチレンスルホネート、(コ)ポリ(ビニルサルフェート)、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、(コ)ポリマレイン酸、(コ)ポリフマル酸、マレイン酸(コ)ポリマー、並びにそれらの塩からなる群から選択されることが好ましい場合がある。
【0134】
マレイン酸コポリマーは、1つ又は複数のマレイン酸コモノマー、並びに酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、2~20個の炭素原子を含むオレフィン、及びスチレンから選択される1つ又は複数のコモノマーを含んでもよい。
【0135】
したがって、「マレイン酸コポリマー」は、1つ又は複数のマレイン酸コモノマーと、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、2~20個の炭素原子を含むオレフィン、例えばオクタデセン、エチレン、イソブチレン、ジイソブチレン又はイソオクチレン、及びスチレンから選択される1つ又は複数のコモノマーとの共重合によって得られる任意のポリマーを意味すると理解され、マレイン酸コモノマーは、任意選択で部分的に又は完全に加水分解されている。好ましくは、親水性ポリマー、すなわち水溶解度が2g/l以上であるポリマーが使用される。
【0136】
本発明の有利な態様では、マレイン酸コポリマーは、マレイン酸単位のモル分率が、0.1~1の間、より好ましくは0.4~0.9の間であってもよい。
【0137】
マレイン酸コポリマーの質量平均モル質量は、1,000~500,000の間、好ましくは1,000~50,000の間であってもよい。
【0138】
マレイン酸コポリマーが、スチレン/マレイン酸コポリマー、より好ましくはスチレン/マレイン酸コポリマーナトリウムであることが好ましい。
【0139】
好ましくは、50/50の比のスチレンとマレイン酸とのコポリマーが使用される。
【0140】
例えば、Cray Valley社により参照名SMA1000H(登録商標)で販売されている、水中30%のアンモニウム塩の形態のスチレン/マレイン酸(50/50)コポリマー、又はCray Valley社により参照名SMA1000HNa(登録商標)で販売されている、水中40%のナトリウム塩の形態のスチレン/マレイン酸(50/50)コポリマーを使用してもよい。
【0141】
アニオン性ポリマーは、多糖から選択されることが好ましい場合がある。
【0142】
アニオン性ポリマーは、ヒアルロネート、ι-カラゲナン、Λ-カラゲナン、アルギン、コンドロイチン硫酸、ペクチン及びそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい場合がある。
【0143】
本発明による組成物中の(b)アニオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であってもよい。
【0144】
本発明による組成物中の(b)アニオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、2質量%以下、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってもよい。
【0145】
本発明による組成物中の(b)アニオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~2質量%、好ましくは0.005質量%~1.5質量%、より好ましくは0.01質量%~1質量%であってもよい。
【0146】
(非ポリマー酸又はその塩)
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種の非ポリマー酸又はその塩を含む。2種以上の非ポリマー酸又は塩を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一タイプの非ポリマー酸若しくはその塩、又は異なるタイプの非ポリマー酸若しくはその塩の組合せを使用してもよい。
【0147】
ここでの「非ポリマー」という用語は、酸が、2種以上のモノマーを重合することによって得られるものではないことを意味する。したがって、非ポリマー酸は、ポリアクリル酸等の2種以上のモノマーを重合することによって得られる酸には相当しない。
【0148】
ここでの「塩」という用語は、非ポリマー酸に、好適な塩基を添加することによって形成される塩を意味し、これは、当業者に公知の方法に従って、非ポリマー酸と、塩基との反応から得ることができる。塩としては、金属塩、例えば、Na及びK等のアルカリ金属との塩、並びにMg及びCa等のアルカリ土類金属との塩、並びにアンモニウム塩を挙げることができる。
【0149】
(c)非ポリマー酸又はその塩の分子量は、1000未満、好ましくは900以下、より好ましくは800以下であることが好ましい。
【0150】
(c)非ポリマー酸又はその塩は、ポリイオンコンプレックス粒子中に含まれうる。
【0151】
(c)非ポリマー酸又はその塩は、有機若しくは無機酸又はその塩、好ましくは有機酸又はその塩、より好ましくは親水性若しくは水溶性の有機酸又はその塩であってよい。
【0152】
(c)非ポリマー酸は、カルボン酸基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの酸基を有してもよい。
【0153】
(c)非ポリマー酸は、一価であってもよい。
【0154】
一価非ポリマー酸は、モノカルボン酸、好ましくはヒドロキシル酸、より好ましくはアルファ-ヒドロキシ酸から選択されうる。アルファ-ヒドロキシ酸としては、例えば、乳酸及びグリコール酸を挙げることができる。
【0155】
(c)非ポリマー酸は、二価であってもよい。
【0156】
(c)非ポリマー酸は、2つ以上のpKa値を有することが好ましい場合がある。pKa値(酸解離定数)は、当業者に周知であり、25℃等の定温で決定されるべきである。(c)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩は、カチオン性ポリマーの架橋剤として機能しうる。
【0157】
(c)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸は、ジカルボン酸、ジスルホン酸及びジホスホン酸、並びにこれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0158】
(c)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、アコニット酸、オキサロ酢酸、酒石酸、及びそれらの塩;アスパラギン酸、グルタミン酸、及びそれらの塩;テレフタリリデンジカンファースルホン酸、又はその塩(Mexoryl SX)、ベンゾフェノン-9;フィチン酸及びその塩;赤色2号(アマランス)、赤色102号(ニューコクシン)、黄色5号(タルトラジン)、黄色6号(サンセットイエローFCF)、緑色3号(ファストグリーンFCF)、青色1号(ブリリアントブルーFCF)、青色2号(インジゴカルミン)、赤色201号(リソールルビンB)、赤色202号(リソールルビンBCA)、赤色204号(レーキレッドCBA)、赤色206号(リソールレッドCA)、赤色207号(リソールレッドBA)、赤色208号(リソールレッドSR)、赤色219号(ブリリアントレーキレッドR)、赤色220号(ディープマルーン)、赤色227号(ファストアシッドマジェンタ)、黄色203号(キノリンイエローWS)、緑色201号(アリザニンシアニングリーンF)、緑色204号(ピラニンコンク)、緑色205号(ライトグリーンSF黄)、青色203号(パテントブルーCA)、青色205号(アルファズリンFG)、赤色401号(ビオラミンR)、赤色405号(パーマネントレッドF5R)、赤色502号(ポンソー3R)、赤色503号(ポンソーR)、赤色504号(ポンソーSX)、緑色401号(ナフトールグリーンB)、緑色402号(ギネアグリーンB)及び黒色401号(ナフトールブルーブラック);葉酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、及びそれらの塩;シスチン及びその塩;EDTA及びその塩;グリチルリチン及びその塩;並びにこれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0159】
(c)非ポリマー酸は、フィチン酸、クエン酸、乳酸及びそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい場合がある。
【0160】
本発明による組成物中の(c)非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であってもよい。
【0161】
本発明による組成物中の(c)非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下であってもよい。
【0162】
本発明による組成物中の(c)非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~1質量%、好ましくは0.005質量%~0.5質量%、より好ましくは0.01質量%~0.1質量%であってもよい。
【0163】
[水]
本発明による組成物は、(d)水を含む。
【0164】
(d)水は、本発明による組成物の水性相を形成しうる。
【0165】
(d)水の量は、組成物の総質量に対して、60質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上であってもよい。
【0166】
(d)水の量は、組成物の総質量に対して、97質量%以下、好ましくは96質量%以下、より好ましくは95質量%以下であってもよい。
【0167】
(d)水の量は、組成物の総質量に対して、60質量%~97質量%、好ましくは70質量%~96質量%、より好ましくは80質量%~95質量%であってもよい。
【0168】
[pH]
本発明による組成物のpHは、3~9、好ましくは3.5~8.5、より好ましくは4~8であってもよい。
【0169】
3~9のpHにおいて、ポリイオンコンプレックスは、非常に安定でありうる。
【0170】
本発明による組成物のpHは、少なくとも1種のアルカリ剤及び/又はポリイオンコンプレックスに組み込まれる(c)非ポリマー酸以外の少なくとも1種の酸を添加することによって調整することができる。本発明による組成物のpHはまた、少なくとも1種の緩衝剤を添加することによって調整することもできる。
【0171】
(アルカリ剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種のアルカリ剤を含んでもよい。2種以上のアルカリ剤を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一タイプのアルカリ剤、又は異なるタイプのアルカリ剤の組合せを使用してもよい。
【0172】
アルカリ剤は、無機アルカリ剤であってもよい。無機アルカリ剤は、アンモニア、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属リン酸塩及びリン酸一水素塩、例えばリン酸ナトリウム又はリン酸一水素ナトリウムからなる群から選択されることが好ましい。
【0173】
無機アルカリ金属水酸化物の例としては、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを挙げることができる。アルカリ土類金属水酸化物の例としては、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムを挙げることができる。無機アルカリ剤として、水酸化ナトリウムが好ましい。
【0174】
アルカリ剤は、有機アルカリ剤であってもよい。有機アルカリ剤は、モノアミン及びその誘導体;ジアミン及びその誘導体;ポリアミン及びその誘導体;塩基性アミノ酸及びその誘導体;塩基性アミノ酸のオリゴマー及びその誘導体;塩基性アミノ酸のポリマー及びその誘導体;尿素及びその誘導体;並びにグアニジン及びその誘導体からなる群から選択されることが好ましい。
【0175】
有機アルカリ剤の例として、アルカノールアミン、例えばモノ-、ジ-及びトリ-エタノールアミン、並びにイソプロパノールアミン;尿素、グアニジン及びそれらの誘導体;塩基性アミノ酸、例えばリジン、オルニチン又はアルギニン;並びにジアミン、例えば以下の構造:
【0176】
【0177】
(式中、Rは、任意選択でヒドロキシル又はC1~C4アルキル基によって置換されているプロピレン等のアルキレンを示し、R1、R2、R3及びR4は、独立して、水素原子、アルキル基又はC1~C4ヒドロキシアルキル基を示す)
で記載され、1,3-プロパンジアミン及びその誘導体によって例示することができるものを挙げることができる。アルギニン、尿素及びモノエタノールアミンが好ましい。
【0178】
アルカリ剤は、その溶解度に応じて、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%の総量で使用してもよい。
【0179】
(酸)
本発明による組成物は、(a)粒子に組み込まれる(d)酸以外の少なくとも1種の酸を含んでもよい。2種以上の酸を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一タイプの酸、又は異なるタイプの酸の組合せを使用してもよい。
【0180】
酸としては、化粧料中で一般に使用される任意の無機又は有機酸、好ましくは無機酸を挙げることができる。一価の酸及び/又は多価酸を使用してもよい。クエン酸、乳酸、硫酸、リン酸及び塩酸(HCl)等の一価の酸を使用してもよい。乳酸が好ましい場合がある。
【0181】
酸は、その溶解度に応じて、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%の総量で使用してもよい。
【0182】
(緩衝剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種の緩衝剤を含んでもよい。2種以上の緩衝剤を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一タイプの緩衝剤、又は異なるタイプの緩衝剤の組合せを使用してもよい。
【0183】
緩衝剤としては、酢酸緩衝剤(例えば、酢酸+酢酸ナトリウム)、リン酸緩衝剤(例えば、リン酸二水素ナトリウム+リン酸水素二ナトリウム)、クエン酸緩衝剤(例えば、クエン酸+クエン酸ナトリウム)、ホウ酸緩衝剤(例えば、ホウ酸+ホウ酸ナトリウム)、酒石酸緩衝剤(例えば、酒石酸+酒石酸ナトリウム二水和物)、トリス緩衝剤(例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、Hepes緩衝剤(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)を挙げることができる。
【0184】
[任意選択の添加剤]
本発明による組成物は(d)水を含むため、本発明による組成物は、少なくとも1つの水性相を含みうる。
【0185】
水性相は、少なくとも1種のC2~C6一価アルコールを含んでもよい。2種以上のC2~C6一価アルコールを組み合わせて使用してもよい。
【0186】
本発明に好適なC2~C6一価アルコールは、2~5個の炭素原子、好ましくは2~4個の炭素原子を含んでもよく、例えばエタノール、イソプロパノール、プロパノール又はブタノールである。
【0187】
エタノール及びイソプロパノール、好ましくはエタノールが、本発明に非常に特に好適である。
【0188】
本発明による組成物中のC2~C6一価アルコールの量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。他方、本発明による組成物中のC2~C6一価アルコールの量は、組成物の総質量に対して、5質量%以上、好ましくは6質量%以上、より好ましくは7質量%以上である。例えば、C2~C6一価アルコールの量は、組成物の総質量に対して、5質量%~20質量%、好ましくは6質量%~15質量%、より好ましくは7質量%~10質量%であってもよい。
【0189】
水性相は、2~8個の炭素原子を含有する多価アルコール、例えばプロピレングリコール、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、及びこれらの混合物を含んでもよい。
【0190】
存在する場合、本発明による水性相中のグリコール等の多価アルコールの量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~15質量%、好ましくは0.5質量%~12質量%、より好ましくは1質量%~8質量%の範囲であってもよい。
【0191】
本発明による組成物は、前述の成分に加え、化粧品中で典型的に用いられる成分、例えば、界面活性剤又は乳化剤、保存剤、例えばフェノキシエタノール及びカプリリルグリコール、有機不揮発性溶媒、植物由来の天然の抽出物等を、本発明の効果を損なわない範囲内で含んでもよい。
【0192】
本発明による組成物は、顔料又は染料を含まないことが好ましい。
【0193】
本発明による組成物は、上記の任意選択の添加剤を、組成物の総質量に対して、0.01質量%~50質量%、好ましくは0.05質量%~30質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%の量で含んでもよい。
【0194】
しかしながら、本発明による組成物は、非常に限られた量の界面活性剤又は乳化剤を含むことがある。本発明による組成物中の界面活性剤又は乳化剤の量は、組成物の総質量に対して1質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下であってもよい。本発明による組成物は、界面活性剤又は乳化剤を含まないことが特に好ましい。
【0195】
[調製]
本発明の組成物は、上記で説明した必須成分、及び必要な場合、上記で説明した任意選択の成分を混合することによって、調製することができる。
【0196】
上記の必須及び任意選択の成分を混合する方法及び手段は、限定されない。任意の従来の方法及び手段を、上記の必須成分及び任意選択の成分を混合して本発明による組成物を調製するために使用することができる。
【0197】
[形態]
本発明による組成物の形態は、限定されない。したがって、本発明による組成物は、溶液、ゲル又はエマルションの形態であってもよい。
【0198】
本発明の組成物は透明でありうる。
【0199】
透明度は、濁度を測定することによって測定されうる(例えば、濁度は、丸型セル(直径25mm及び高さ60mm)、及び可視光(400~800nmの間、好ましくは400~500nm)を発することができるタングステンフィラメントランプを有する2100Q(Hach Company社によって市販されている)を用いて測定することができる)。測定は、無希釈組成物において実施することができる。ブランクは、蒸留水を用いて決定できる。
【0200】
本発明による組成物は、濁度が、250NTU以下、好ましくは150NTU以下、より好ましくは50NTU以下であってもよい。
【0201】
[方法及び使用]
本発明はまた、
ケラチン物質のための美容方法であって、
本発明による組成物をケラチン物質に塗布する工程と、
組成物を乾燥させてケラチン物質上に化粧皮膜を形成する工程と
を含む、美容方法
及び
皮膜、好ましくは化粧皮膜を調製する方法であって、
本発明による組成物をケラチン物質に塗布する工程と、
組成物を乾燥させる工程と
を含む、方法
に関する。
【0202】
ここでのケラチン物質は、ケラチンを主要構成要素として含有する物質を意味し、その例としては、皮膚、頭皮、爪、唇、毛髪等が挙げられる。
【0203】
更に、本発明はまた、
(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマーと、
(b)少なくとも1種のアニオン性ポリマーと、
(c)少なくとも1種の非ポリマー酸又はその塩と、
を含む少なくとも1種のポリイオンコンプレックスを含む皮膜、好ましくは化粧皮膜であって、
(a)カチオン性ポリマーのカチオンの量の、(b)アニオン性ポリマーのアニオンの量に対する比が、0.3超かつ0.8未満であり、
(a)カチオン性ポリマーのカチオンの量の、(b)アニオン性ポリマーのアニオンの量及び(c)非ポリマー酸又はその塩のアニオンの量の合計に対する比が、0.2超かつ0.5未満であり、
(a)カチオン性ポリマーの電荷濃度が、0.71mmol/g超であり、かつ
(b)アニオン性ポリマーの電荷濃度が、2.04mmol/g超かつ10.64mmol/g未満である、
皮膜に関する。
【0204】
本発明はまた、ケラチン物質への化粧皮膜の調製のための、本発明による組成物の使用に関しうる。
【0205】
ここでの美容方法は、ケラチン物質をケアする非治療的美容方法を意味する。
【0206】
上記の皮膜、好ましくは化粧皮膜は、7以下のpHを有する水に耐性があり、7超、好ましくは8以上、より好ましくは9以上のpHを有する水で除去される。
【0207】
言い換えると、上記の皮膜、好ましくは化粧皮膜は、7以下、好ましくは6以上かつ7以下の範囲内、より好ましくは5以上かつ7以下の範囲内のpH等の中性又は酸性条件下で耐水性でありうる一方、上記の皮膜、好ましくは化粧皮膜は、7超、好ましくは8以上、より好ましくは9以上のpH等のアルカリ性条件下で除去することができる。pHの上限は、好ましくは13、より好ましくは12、更により好ましくは11である。
【0208】
したがって、上記の皮膜、好ましくは化粧皮膜は、耐水性でありえ、したがって、それは、ケラチン物質の表面が例えば汗及び雨により濡れている場合であっても、皮膚等のケラチン物質上に残存することができる。他方、上記の皮膜、好ましくは化粧皮膜は、アルカリ性条件下で、皮膚等のケラチン物質から容易に除去することができる。したがって、上記の皮膜、好ましくは化粧皮膜は、水で除去することは困難であるが、それは、例えば、アルカリ性条件をもたらすことができる石けんを用いて容易に除去することができる。
【0209】
更に、上記の皮膜は、皮膜が美容有効成分を一切含まない場合であっても、皮膜中のポリイオンコンプレックスの特性に起因して、悪臭を吸収若しくは吸着すること、皮膚等のケラチン物質の外観を変化させること、ケラチン物質の触感を変化させること、及び/又は例えば汚れ若しくは汚染物質からケラチン物質を保護すること等の美容効果を有しうる。
【0210】
本発明はまた、
(d)水を含む組成物中における、
(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、
(b)少なくとも1種のアニオン性ポリマー、及び
(c)少なくとも1種の非ポリマー酸又はその塩
の、
(a)カチオン性ポリマー、(b)アニオン性ポリマー及び(c)非ポリマー酸又はその塩を含む、1000nm未満の粒径を有する少なくとも1つのポリイオンコンプレックス粒子を形成するための使用であって、
(a)カチオン性ポリマーのカチオンの量の(b)アニオン性ポリマーのアニオンの量に対する比が、0.3超かつ0.8未満であり、
(a)カチオン性ポリマーのカチオンの量の、(b)アニオン性ポリマーのアニオンの量及び(c)非ポリマー酸又はその塩のアニオンの量の合計に対する比が、0.2超かつ0.5未満であり、
(a)カチオン性ポリマーの電荷濃度が、0.71mmol/g超であり、かつ
(b)アニオン性ポリマーの電荷濃度が、2.04mmol/g超かつ10.64mmol/g未満である、
使用に関する。
【0211】
本発明による組成物についての上記(a)~(d)に関する説明は、本発明による使用における説明に適用することができる。
【実施例0212】
本発明は、実施例によって、より詳細に記載される。しかしながら、それらは、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきでない。
【0213】
(実施例1-1~1-6及び比較例1-1~1-13)
[調製]
実施例1-1~1-6及び比較例1-1~1-13による組成物を、表1~3に示される成分を混合することによって調製した。上記の調製において使用した各成分の量を表1~3に示す。表1~3に示される成分の量についての数値は全て、原材料の「質量%」に基づく。
【0214】
【0215】
【0216】
【0217】
[評価]
(電荷濃度)
各カチオン又はアニオン成分の電荷濃度は、以下の式に従って計算した:
電荷濃度[mmol/g]=(分子の電荷を有する又は電荷を有することができる部位の数)/(存在する場合対イオンを有する分子の分子量)
(式中、
分子がポリマーの形態である場合、分子は、ポリマーの繰り返し単位を意味する)。
【0218】
例えば、分子がフィチン酸である場合、フィチン酸中の6つの酸基はおよそ1.84のpKa値を有することが既知であるため、pH5でのフィチン酸の電荷を有する部位の数は-6であると決定することができる(Organic Synthetic Chemistry、第25巻、第2号、167~179頁(1967)参照)。フィチン酸の分子量は660であるため、フィチン酸の電荷濃度は、-6/660=-0.00909=-9.09[mmol/g]と計算することができる。
【0219】
他方、例えば、分子がポリ-ε-リジンである場合、ポリ-ε-リジンの繰り返し単位は以下の通り表すことができるため、ポリ-ε-リジンの電荷を有することができる部位の数は1であると決定することができる。第一級アミノ基は、酸性条件下で荷電される。
【0220】
【0221】
上記繰り返し単位の分子量は128であるため、ポリ-ε-リジンの電荷濃度は、1/128=0.00781=+7.81[mmol/g]と計算することができる。
【0222】
表1~3の「電荷濃度」の列を参照されたい。「電荷濃度」の列の値は、絶対値である。
【0223】
(ポリカチオン)
カチオン性ポリマーのカチオンの量は、カチオン性ポリマーの電荷濃度にカチオン性ポリマーの量を掛けることによって決定した。
【0224】
結果を、表1~3の「ポリカチオン」の行に示す。
【0225】
(ポリアニオン)
アニオン性ポリマーのアニオンの量は、アニオン性ポリマーの電荷濃度にアニオン性ポリマーの量を掛けることによって決定した。
【0226】
結果を、表1~3の「ポリアニオン」の行に示す。
【0227】
(低Mwアニオン)
非ポリマー(低分子量)アニオン成分のアニオンの量は、非ポリマーアニオン成分の電荷濃度に非ポリマーアニオン成分の量を掛けることによって決定した。
【0228】
結果を、表1~3の「低Mwアニオン」の行に示す。
【0229】
(ポリカチオン/ポリアニオン比)
カチオン性ポリマーのカチオンの量の、アニオン性ポリマーのアニオンの量に対する比は、カチオン性ポリマーのカチオンの量をアニオン性ポリマーのアニオンの量で割ることによって決定した。
【0230】
結果を、表1~3の「ポリカチオン/ポリアニオン比」の行に示す。
【0231】
{ポリカチオン/(ポリアニオン+低Mwアニオン)比}
カチオン性ポリマーのカチオンの量の、アニオン性ポリマーのアニオンの量及び非ポリマーアニオン成分のアニオンの量の合計に対する比は、カチオン性ポリマーのカチオンの量を、アニオン性ポリマーのアニオンの量及び非ポリマーアニオン成分のアニオンの量の合計で割ることによって決定した。
【0232】
結果を、表1~3の「ポリカチオン/(ポリアニオン+低Mwアニオン)比」の行に示す。
【0233】
(外観)
実施例1-1~1-6及び比較例1-1~1-13による組成物の各々の外観を目視で観察した。目視観察の結果は、以下の通り分類した。
U:均一(外観は均一であった)
A:凝集体(凝集体に起因して外観は均一ではなかった)
【0234】
結果を表1~3に示す。
【0235】
実施例1-1~1-6による組成物は、均一な外観を有した一方、比較例1-1~1-13による組成物は、組成物中に存在する凝集体に起因して不均一な外観を有した。
【0236】
(透明度)
実施例1-1~1-6による組成物の各々の濁度を、濁度計(2100Qポータブル、Hach Company社)を使用することによって、室温(25℃)で測定した。
【0237】
結果を表1~3に「NTU」として示す。NTU値が小さいほど、組成物はより透明である。
【0238】
実施例1-1~1-6による組成物は透明であった一方、比較例1-1~1-13による組成物は透明ではなかったため、それらの濁度は試験しなかった。
【0239】
(粒径)
粒径分析器(動的光散乱、ELSZ2000、Otsuka社)を使用して、実施例1-1~1-6による組成物中の粒子のサイズを、室温(25℃)で決定した。測定データは、Marquardt法によってフィットさせた。
【0240】
結果を表1~3に示す。
【0241】
実施例1-1~1-6による組成物中のポリイオンコンプレックス粒子は小さく、ナノサイズであった一方、比較例1-1~1-13による組成物中の粒子のサイズは、凝集体の存在に起因して測定できなかった。
【0242】
(要約)
ポリイオンコンプレックスのナノ粒子は、ポリカチオン/ポリアニオン比が0.3超かつ0.8未満であり、ポリカチオン/(ポリアニオン+低Mwアニオン)比が0.2超かつ0.5未満であった場合に得られた。
【0243】
ポリイオンコンプレックス粒子の粒径は、約30nm~約700nmであった(実施例1-1~実施例1-6参照)。
【0244】
ポリカチオン/ポリアニオン比が0.3以下若しくは0.8以上であった場合、及び/又はポリカチオン/(ポリアニオン+低Mwアニオン)比が0.2以下若しくは0.5以上であった場合、凝集体が形成し、ポリイオンコンプレックスナノ粒子は得られなかった(比較例1-1~比較例1-13参照)。
【0245】
(実施例2-1~2-6及び比較例2-1~2-2)
[調製]
実施例2-1~2-6及び比較例2-1~2-2による組成物を、表4に示される成分を混合することによって調製した。上記の調製において使用した各成分の量を表4に示す。表4に示される成分の量についての数値は全て、原材料の「質量%」に基づく。
【0246】
【0247】
【0248】
[評価]
(電荷濃度)
各カチオン又はアニオン成分の電荷濃度は、以下の式に従って計算した:
電荷濃度[mmol/g]=(分子の電荷を有する又は電荷を有することができる部位の数)/(存在する場合対イオンを有する分子の分子量)
(式中、
分子がポリマーの形態である場合、分子は、ポリマーの繰り返し単位を意味する)。
【0249】
表4の「電荷濃度」の列を参照されたい。「電荷濃度」の列の値は、絶対値である。
【0250】
(ポリカチオン)
カチオン性ポリマーのカチオンの量は、カチオン性ポリマーの電荷濃度にカチオン性ポリマーの量を掛けることによって決定した。
【0251】
結果を、表4の「ポリカチオン」の行に示す。
【0252】
(ポリアニオン)
アニオン性ポリマーのアニオンの量は、アニオン性ポリマーの電荷濃度にアニオン性ポリマーの量を掛けることによって決定した。
【0253】
結果を、表4の「ポリアニオン」の行に示す。
【0254】
(低Mwアニオン)
非ポリマー(低分子量)アニオン成分のアニオンの量は、非ポリマーアニオン成分の電荷濃度に非ポリマーアニオン成分の量を掛けることによって決定した。
【0255】
結果を表4中の「低Mwアニオン」の行に示す。
【0256】
(ポリカチオン/ポリアニオン比)
カチオン性ポリマーのカチオンの量の、アニオン性ポリマーのアニオンの量に対する比は、カチオン性ポリマーのカチオンの量をアニオン性ポリマーのアニオンの量で割ることによって決定した。
【0257】
結果を、表4の「ポリカチオン/ポリアニオン比」の行に示す。
【0258】
{ポリカチオン/(ポリアニオン+低Mwアニオン)比}
カチオン性ポリマーのカチオンの量の、アニオン性ポリマーのアニオンの量及び非ポリマーアニオン成分のアニオンの量の合計に対する比は、カチオン性ポリマーのカチオンの量を、アニオン性ポリマーのアニオンの量及び非ポリマーアニオン成分のアニオンの量の合計で割ることによって決定した。
【0259】
結果を、表4の「ポリカチオン/(ポリアニオン+低Mwアニオン)比」の行に示す。
【0260】
(外観)
実施例2-1~2-6及び比較例2-1~2-2による組成物の各々の外観を目視で観察した。目視観察の結果は、以下の通り分類した。
U:均一(外観は均一であった)
SA:いくらかの凝集体(凝集体に起因して外観はわずかに均一ではなかった)
A:凝集体(凝集体に起因して外観は均一ではなかった)
【0261】
結果を表4に示す。
【0262】
実施例2-1~実施例2-4及び比較例2-1による組成物は、均一な外観を有した一方、比較例2-2による組成物は、組成物中に存在する凝集体に起因して不均一な外観を有した。
【0263】
比較例2-5及び2-6による組成物は、いくらかの凝集体を含んだ。しかしながら、その均一性は許容されるものであった。
【0264】
(透明度)
実施例2-1~2-6及び比較例2-1による組成物の各々の濁度を、濁度計(2100Qポータブル、Hach Company社)を使用することによって、室温(25℃)で測定した。比較例2-2による組成物は、濁度が高すぎて、濁度の検出可能範囲外であったため、その濁度は測定できなかった。
【0265】
結果を表4に「NTU」として示す。NTU値が小さいほど、組成物はより透明である。
【0266】
比較例2-1~2-6による組成物は、透明であった。比較例2-1による組成物は、半透明であった。比較例2-2による組成物は、不透明であった。
【0267】
(粒径)
粒径分析器(動的光散乱、ELSZ2000、Otsuka社)を使用して、実施例2-1~2-6及び比較例2-1による組成物中の粒子のサイズを、室温(25℃)で決定した。測定データは、Marquardt法によってフィットさせた。比較例2-2による組成物中の粒子の粒径は、取得できなかった。
【0268】
結果を表4に示す。
【0269】
実施例2-1~2-4並びに実施例2-5及び2-6による組成物中のポリイオンコンプレックス粒子のサイズは、小さく、ナノサイズであった一方、比較例2-1による組成物中の粒子のサイズは大きかった。
【0270】
(要約)
ポリアニオンの電荷濃度が2.04mmol/gであった場合、ナノ粒子を得ることはできなかった(比較例2-1参照)。
【0271】
他方、ポリアニオンの電荷濃度が2.04mmol/g超であった場合、ナノ粒子が得られた(実施例2-1~実施例2-4参照)。
【0272】
ポリアニオンの電荷濃度が5.00mmol/g以上であった場合、ナノ粒子は得られたが、いくらかの凝集体も形成された(実施例2-5及び実施例2-6参照)。
【0273】
ポリアニオンの電荷濃度は10.64mmol/gであった場合、凝集体が形成された(比較例2-2参照)。
【0274】
(実施例3-1及び3-2、並びに比較例3-1)
[調製]
実施例3-1及び3-2、並びに比較例3-1による組成物を、表5に示される成分を混合することによって調製した。上記の調製において使用した各成分の量を表5に示す。表5に示される成分の量についての数値は全て、原材料の「質量%」に基づく。
【0275】
【0276】
[評価]
(電荷濃度)
各カチオン又はアニオン成分の電荷濃度は、以下の式に従って計算した:
電荷濃度[mmol/g]=(分子の電荷を有する又は電荷を有することができる部位の数)/(存在する場合対イオンを有する分子の分子量)
(式中、
分子がポリマーの形態である場合、分子は、ポリマーの繰り返し単位を意味する)。
【0277】
表5の「電荷濃度」の列を参照されたい。「電荷濃度」の列の値は、絶対値である。
【0278】
(ポリカチオン)
カチオン性ポリマーのカチオンの量は、カチオン性ポリマーの電荷濃度にカチオン性ポリマーの量を掛けることによって決定した。
【0279】
結果を、表5の「ポリカチオン」の行に示す。
【0280】
(ポリアニオン)
アニオン性ポリマーのアニオンの量は、アニオン性ポリマーの電荷濃度にアニオン性ポリマーの量を掛けることによって決定した。
【0281】
結果を、表5の「ポリアニオン」の行に示す。
【0282】
(低Mwアニオン)
非ポリマー(低分子量)アニオン成分のアニオンの量は、非ポリマーアニオン成分の電荷濃度に非ポリマーアニオン成分の量を掛けることによって決定した。
【0283】
結果を表5の「低Mwアニオン」の行に示す。
【0284】
(ポリカチオン/ポリアニオン比)
カチオン性ポリマーのカチオンの量の、アニオン性ポリマーのアニオンの量に対する比は、カチオン性ポリマーのカチオンの量をアニオン性ポリマーのアニオンの量で割ることによって決定した。
【0285】
結果を、表5の「ポリカチオン/ポリアニオン比」の行に示す。
【0286】
{ポリカチオン/(ポリアニオン+低Mwアニオン)比}
カチオン性ポリマーのカチオンの量の、アニオン性ポリマーのアニオンの量及び非ポリマーアニオン成分のアニオンの量の合計に対する比は、カチオン性ポリマーのカチオンの量を、アニオン性ポリマーのアニオンの量及び非ポリマーアニオン成分のアニオンの量の合計で割ることによって決定した。
【0287】
結果を、表5の「ポリカチオン/(ポリアニオン+低Mwアニオン)比」の行に示す。
【0288】
(外観)
実施例3-1及び3-2、並びに比較例3-1による組成物の各々の外観を目視で観察した。目視観察の結果は、以下の通り分類した。
U:均一(外観は均一であった)
A:凝集体(凝集体に起因して外観は均一ではなかった)
【0289】
結果を表5に示す。
【0290】
実施例3-1及び3-2による組成物は、均一な外観を有した一方、比較例3-1による組成物は、組成物中に存在する凝集体に起因して不均一な外観を有した。
【0291】
(透明度)
実施例3-1及び3-2による組成物の各々の濁度を、濁度計(2100Qポータブル、Hach Company社)を使用することによって、室温(25℃)で測定した。
【0292】
結果を表5に「NTU」として示す。NTU値が小さいほど、組成物はより透明である。
【0293】
実施例3-1及び3-2による組成物は透明であった一方、比較例3-1による組成物は透明ではなかったため、その濁度は試験しなかった。
【0294】
(粒径)
粒径分析器(動的光散乱、ELSZ2000、Otsuka社)を使用して、実施例3-1及び3-2による組成物中の粒子のサイズを、室温(25℃)で決定した。測定データは、Marquardt法によってフィットさせた。
【0295】
結果を表5に示す。
【0296】
実施例3-1及び3-2による組成物中のポリイオンコンプレックス粒子は小さく、ナノサイズであった一方、比較例3-1による組成物中の粒子のサイズは、凝集体の存在に起因して測定できなかった。
【0297】
(要約)
ポリアニオンの電荷濃度が0.71mmol/gである場合、凝集体が形成され、ナノ粒子を得ることはできなかった(比較例3-1参照)。
【0298】
ポリカチオンの電荷濃度が0.71mmol/g超である場合、ナノ粒子が得られた(実施例3-1及び実施例3-2参照)。
【0299】
(実施例4-1~4-3)
[調製]
実施例4-1~4-3による組成物を、表6に示される成分を混合して調製した。上記の調製において使用した各成分の量を表6に示す。表6に示される成分の量についての数値は全て、原材料の「質量%」に基づく。
【0300】
【0301】
[評価]
(電荷濃度)
各カチオン又はアニオン成分の電荷濃度は、以下の式に従って計算した:
電荷濃度[mmol/g]=(分子の電荷を有する又は電荷を有することができる部位の数)/(存在する場合対イオンを有する分子の分子量)
(式中、
分子がポリマーの形態である場合、分子は、ポリマーの繰り返し単位を意味する)。
【0302】
表6の「電荷濃度」の列を参照されたい。「電荷濃度」の列の値は、絶対値である。
【0303】
(ポリカチオン)
カチオン性ポリマーのカチオンの量は、カチオン性ポリマーの電荷濃度にカチオン性ポリマーの量を掛けることによって決定した。
【0304】
結果を、表6の「ポリカチオン」の行に示す。
【0305】
(ポリアニオン)
アニオン性ポリマーのアニオンの量は、アニオン性ポリマーの電荷濃度にアニオン性ポリマーの量を掛けることによって決定した。
【0306】
結果を、表6の「ポリアニオン」の行に示す。
【0307】
(低Mwアニオン)
非ポリマー(低分子量)アニオン成分のアニオンの量は、非ポリマーアニオン成分の電荷濃度に非ポリマーアニオン成分の量を掛けることによって決定した。
【0308】
結果を表6中の「低Mwアニオン」の行に示す。
【0309】
(ポリカチオン/ポリアニオン比)
カチオン性ポリマーのカチオンの量の、アニオン性ポリマーのアニオンの量に対する比は、カチオン性ポリマーのカチオンの量をアニオン性ポリマーのアニオンの量で割ることによって決定した。
【0310】
結果を、表6の「ポリカチオン/ポリアニオン比」の行に示す。
【0311】
{ポリカチオン/(ポリアニオン+低Mwアニオン)比}
カチオン性ポリマーのカチオンの量の、アニオン性ポリマーのアニオンの量及び非ポリマーアニオン成分のアニオンの量の合計に対する比は、カチオン性ポリマーのカチオンの量を、アニオン性ポリマーのアニオンの量及び非ポリマーアニオン成分のアニオンの量の合計で割ることによって決定した。
【0312】
結果を、表6の「ポリカチオン/(ポリアニオン+低Mwアニオン)比」の行に示す。
【0313】
(外観)
実施例4-1~4-3による組成物の各々の外観を目視で観察した。目視観察の結果は、以下の通り分類した。
U:均一(外観は均一であった)
A:凝集体(凝集体に起因して外観は均一ではなかった)
【0314】
結果を表6に示す。
【0315】
実施例4-1~4-3による組成物は、均一な外観を有した。
【0316】
(透明度)
実施例4-1~4-3による組成物の各々の濁度を、濁度計(2100Qポータブル、Hach Company社)を使用することによって、室温(25℃)で測定した。
【0317】
結果を表6に「NTU」として示す。NTU値が小さいほど、組成物はより透明である。
【0318】
実施例4-1~4-3による組成物は、透明であった。
【0319】
(粒径)
粒径分析器(動的光散乱、ELSZ2000、Otsuka社)を使用して、実施例4-1~4-3による組成物中の粒子のサイズを、室温(25℃)で決定した。測定データは、Marquardt法によってフィットさせた。
【0320】
結果を表6に示す。
【0321】
実施例4-1~4-3による組成物中のポリイオンコンプレックス粒子は、小さく、ナノサイズであった。
【0322】
(要約)
いずれの非ポリマー酸を使用してもナノ粒子が得られた(実施例4-1~実施例4-3参照)。