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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084923
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】ケラチン繊維のための組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/31 20060101AFI20230613BHJP
   A61K 8/97 20170101ALI20230613BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230613BHJP
   A61K 8/40 20060101ALI20230613BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20230613BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230613BHJP
   A61Q 5/08 20060101ALI20230613BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20230613BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
A61K8/31
A61K8/97
A61K8/37
A61K8/40
A61K8/41
A61K8/73
A61Q5/08
A61Q5/10
A61K8/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021199318
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】原 卓也
(72)【発明者】
【氏名】アデリーノ・ナカノ
(72)【発明者】
【氏名】笠井 章弘
(72)【発明者】
【氏名】マチルド・ガファール
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA162
4C083AB081
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC331
4C083AC352
4C083AC541
4C083AC542
4C083AD211
4C083AD281
4C083AD282
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD391
4C083AD392
4C083BB04
4C083BB11
4C083BB21
4C083BB43
4C083BB60
4C083DD06
4C083EE09
4C083EE26
4C083EE27
(57)【要約】
【課題】ケラチン繊維に、環境に優しいものでありうると同時に良好な脱色又は染色効果をもたらすことができる、ケラチン繊維のための組成物、詳細にはケラチン繊維を脱色する又は染色するための組成物を提供すること。
【解決手段】ケラチン繊維のための組成物であって、(a)少なくとも1種の生分解性液体脂肪物質と、(b)少なくとも1種のアルカリ剤と、(c)少なくとも1種の増粘剤と、(d)水とを含み、(a)生分解性液体脂肪物質の量が、組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上である、組成物を提供する。本発明による組成物は、毛髪等のケラチン繊維を酸化染色する又は脱色するのに使用することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維のための組成物であって、
(a)少なくとも1種の生分解性液体脂肪物質と、
(b)少なくとも1種のアルカリ剤と、
(c)少なくとも1種の増粘剤と、
(d)水と
を含み、
(a)生分解性液体脂肪物質の量が、組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上である、組成物。
【請求項2】
(a)生分解性液体脂肪物質が、植物由来の油、エステル油、及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
植物由来の油が、炭化水素油、好ましくはアルカン、より好ましくはC15~19アルカンを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物中の(a)生分解性液体脂肪物質の量が、組成物の総質量に対して、10質量%~80質量%、好ましくは30質量%~75質量%、より好ましくは50質量%~70質量%である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(b)アルカリ剤が、アンモニア、アルカノールアミン、それらの誘導体、及びそれらの塩から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
アルカノールアミンが、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-ジメチルエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、3-ジメチルアミノ-1,2-プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチルアミノ)メタン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
組成物中の(b)アルカリ剤の量が、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(c)増粘剤が、多糖から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
(c)増粘剤が、セルロース誘導体、変性グアーガム、及びこれらの混合物、より好ましくはヒドロキシアルキルセルロース、C1~C6ヒドロキシアルキル基で変性されたグアーガム、及びこれらの混合物、更により好ましくはヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルグアー、及びこれらの混合物から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
組成物中の(c)増粘剤の量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
組成物中の(d)水の量が、組成物の総質量に対して、10質量%~50質量%、好ましくは15質量%~45質量%、より好ましくは20質量%~40質量%である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
(e)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、好ましくは少なくとも1種の液体非イオン性界面活性剤、より好ましくは液体アルキルポリグルコシドから選択される液体非イオン性界面活性剤を更に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
組成物中の(e)非イオン性界面活性剤の量が、組成物の総質量に対して、0.1質量%~15質量%、好ましくは0.5質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~5質量%である、請求項11又は12に記載の組成物。
【請求項14】
(f)少なくとも1種の染料を更に含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
ケラチン繊維のための方法であって、
(1)第1の組成物と第2の組成物とを混合して混合物を調製する工程であり、
第1の組成物が、
(a)少なくとも1種の生分解性液体脂肪物質、
(b)少なくとも1種のアルカリ剤、
(c)少なくとも1種の増粘剤、並びに
(d)水、並びに任意選択で(e)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤及び/又は(f)少なくとも1種の染料
を含み、
(a)生分解性液体脂肪物質の量が、第1の組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上であり、
第2の組成物が、
(g)少なくとも1種の酸化剤
を含む、
工程と、
(2)混合物をケラチン繊維に適用する工程と
を含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維のための組成物、詳細には、毛髪等のケラチン繊維を脱色する又は染色するための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に酸化ベースと呼ばれる酸化性着色前駆体、例えばオルト-又はパラ-フェニレンジアミン、オルト-又はパラ-アミノフェノール及び複素環式化合物を含有する染色組成物を使用して、ケラチン繊維、詳細には毛髪を染色することが、周知である。これらの酸化ベースは、一般にカップラーと組み合わされる。これらの酸化ベース及びカップラーは、無色又は弱着色の化合物である。しかしながら、酸化剤と組み合わされたとき、それらは、酸化縮合プロセスを通じて着色染料分子を付与することができる。
【0003】
酸化によるこのタイプの着色、すなわち酸化染色は、非常に高い視認性、白髪の被覆及び多様な色調を伴う色を得ることを可能にする。酸化染色は広く用いられており、その理由は、いわゆる直接染料を使用した直接染色と比べて色の取込み量が多いためである。
【0004】
酸化染色を実施するために、典型的には、酸化ベース及びカップラーを含む組成物は、アルカリ剤と共に、酸化剤を含む顕色剤組成物と混合されて、すぐ使える組成物を調製し、次いですぐ使える組成物がケラチン繊維上へ塗布される。
【0005】
顕色剤組成物は、組成物中の酸化剤の機能に起因して、ケラチン繊維を脱色することが可能である。したがって、顕色剤組成物及びすぐ使える組成物(これは、任意のカップラーありで又はなしで、酸化ベースを一切含まないことがある)を、ケラチン繊維を脱色するのに使用することができる。
【0006】
最近、比較的多量の脂肪物質を含む毛髪の染色性又は脱色性組成物が提案されてきた。例えば、US-A-2010/0154140は、石油に由来する鉱油を含むこのような組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US-A-2010/0154140
【特許文献2】US-A-5364633
【特許文献3】US-A-5411744
【特許文献4】GB 1,026,978
【特許文献5】GB 1,153,196
【特許文献6】DE 2 359 399
【特許文献7】JP 88-169571
【特許文献8】JP 91-10659
【特許文献9】WO 96/15765
【特許文献10】FR-A-2 750 048
【特許文献11】DE 3 843 892
【特許文献12】DE 4 133 957
【特許文献13】WO 94/08969
【特許文献14】WO 94/08970
【特許文献15】FR-A-2 733 749
【特許文献16】DE 195 43 988
【非特許文献】
【0008】
【特許文献17】Organization for Economic Cooperation and Development (OECD)が展開するOECD Guidelines for the Testing of Chemicals、第3章
【特許文献18】「Encyclopedia of Chemical Technology」、Kirk-Othmer、第3版、1982年、第3巻、896~900頁、及び第15巻、439~458頁
【特許文献19】E. A. MacGregor及びC. T. Greenwoodによる「Polymers in Nature」、John Wiley & Sons社発行、第6章、240~328頁、1980年
【特許文献20】「Industrial Gums-Polysaccharides and their Derivatives」、Roy L. Whistler編、第2版、Academic Press Inc.社発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
組成物が、ケラチン繊維に、環境に優しいものでありうると同時に良好な脱色又は染色効果をもたらすことができる、毛髪等のケラチン繊維を脱色する又は染色することができる組成物への必要性が存在する。
【0010】
そのため、本発明の目的は、ケラチン繊維に、環境に優しいものでありうると同時に良好な脱色又は染色効果をもたらすことができる、ケラチン繊維のための組成物、詳細にはケラチン繊維を脱色する又は染色するための組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的は、ケラチン繊維のための組成物であって、
(a)少なくとも1種の生分解性液体脂肪物質と、
(b)少なくとも1種のアルカリ剤と、
(c)少なくとも1種の増粘剤と、
(d)水と
を含み、
(a)生分解性液体脂肪物質の量が、組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上である、組成物によって達成することができる。
【0012】
(a)生分解性液体脂肪物質は、植物由来の油、エステル油、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0013】
植物由来の油は、炭化水素油、好ましくはアルカン、より好ましくはC15~19アルカンを含んでよい。
【0014】
本発明による組成物中の(a)生分解性液体脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、10質量%~80質量%、好ましくは30質量%~75質量%、より好ましくは50質量%~70質量%であってよい。
【0015】
(b)アルカリ剤は、アンモニア、アルカノールアミン、それらの誘導体、及びそれらの塩から選択することができる。
【0016】
アルカノールアミンは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-ジメチルエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、3-ジメチルアミノ-1,2-プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチルアミノ)メタン、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0017】
本発明による組成物中の(b)アルカリ剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%であってよい。
【0018】
(c)増粘剤は、多糖から選択することができる。
【0019】
(c)増粘剤は、セルロース誘導体、変性グアーガム、及びこれらの混合物から、より好ましくはヒドロキシアルキルセルロース、C1~C6ヒドロキシアルキル基で変性されたグアーガム、及びこれらの混合物から、更により好ましくはヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルグアー、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0020】
本発明による組成物中の(c)増粘剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%であってよい。
【0021】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、10質量%~50質量%、好ましくは15質量%~45質量%、より好ましくは20質量%~40質量%であってよい。
【0022】
本発明による組成物は、(e)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、好ましくは少なくとも1種の液体非イオン性界面活性剤、より好ましくは液体アルキルポリグルコシドから選択される非イオン性界面活性剤を更に含んでよい。
【0023】
本発明による組成物中の(e)非イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~15質量%、好ましくは0.5質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~5質量%であってよい。
【0024】
本発明による組成物は、(f)少なくとも1種の染料を更に含んでよい。
【0025】
本発明はまた、ケラチン繊維のための方法であって、
(1)第1の組成物と第2の組成物とを混合して混合物を調製する工程であり、
第1の組成物が、
(a)少なくとも1種の生分解性液体脂肪物質、
(b)少なくとも1種のアルカリ剤、
(c)少なくとも1種の増粘剤、並びに
(d)水、並びに任意選択で(e)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤及び/又は(f)少なくとも1種の染料
を含み、
(a)生分解性液体脂肪物質の量が、第1の組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上であり、
第2の組成物が、
(g)少なくとも1種の酸化剤
を含む、
工程と、
(2)混合物をケラチン繊維に適用する工程と
を含む、
方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
鋭意検討の結果、発明者らは、環境に優しくありうると同時にケラチン繊維に良好な脱色又は染色効果をもたらすことができる、ケラチン繊維のための組成物、詳細にはケラチン繊維の脱色又は染色のための組成物を提供することが可能であることを発見した。
【0027】
そのため、本発明による組成物は、
(a)少なくとも1種の生分解性液体脂肪物質と、
(b)少なくとも1種のアルカリ剤と、
(c)少なくとも1種の増粘剤と、
(d)水と
を含み、
(a)生分解性液体脂肪物質の量が、組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。
【0028】
本発明による組成物は、毛髪等のケラチン繊維のための化粧用組成物として、好ましくはケラチン繊維の脱色又は染色のための化粧用組成物として、より好ましくは毛髪の脱色又は酸化的染色のための化粧用組成物として、使用することができる。
【0029】
本発明による組成物は、ケラチン繊維に、ケラチン繊維を脱色する又は染色するための従来の組成物によって付与されるものと少なくとも適合性がある、良好な脱色又は染色効果をもたらすことができる。
【0030】
本発明による組成物は環境に優しく、その理由は、それが生分解性脂肪物質を使用しているからである。そのため、本発明による組成物は、ケラチン繊維を脱色する又は染色するために使用された後、例えば微生物の作用によって環境中に分解されうる。
【0031】
増粘剤もまた、生分解性であることが好ましい。本発明による組成物に添加されうる非イオン性界面活性剤が生分解性であることもまた好ましい。
【0032】
加えて、本発明は、アンモニアがアルカリ剤として使用されない場合、臭いを減少させることができる。一般に、アンモニアが、アルカリ剤として使用される。しかしながら、アンモニアは、強い臭いを引き起こしうる。したがって、本発明が、アンモニアがアルカリ剤として使用されない場合、臭いを防止する又は減少させることもまた可能である。
【0033】
更に、本発明による組成物のために使用される生分解性脂肪物質が液体であるため、組成物を調製するときに生分解性脂肪物質を加熱して溶融させることは必要でない。したがって、本発明による組成物を調製する方法は多くのエネルギーを必要とせず、したがって、該方法はまた環境に優しくもある。
【0034】
本発明はまた、ケラチン繊維のための方法であって、
(1)第1の組成物と第2の組成物とを混合して混合物を調製する工程であり、
ここで、
第1の組成物が、
(a)少なくとも1種の生分解性液体脂肪物質、
(b)少なくとも1種のアルカリ剤、
(c)少なくとも1種の増粘剤、並びに
(d)水、並びに任意選択で(e)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤及び/又は(f)少なくとも1種の染料
を含み、
(a)生分解性液体脂肪物質の量が、第1の組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上であり、
第2の組成物が、
(g)少なくとも1種の酸化剤
を含む、
工程と、
(2)該混合物をケラチン繊維に適用する工程と
を含む、
方法にも関する。
【0035】
本明細書でこれ以降、本発明による組成物及び方法が詳細に説明されることになる。
【0036】
[組成物]
本発明による組成物は、ケラチン繊維を処理することが意図されており、
(a)少なくとも1種の生分解性液体脂肪物質と、
(b)少なくとも1種のアルカリ剤と、
(c)少なくとも1種の増粘剤と、
(d)水と
を含み、
(a)生分解性液体脂肪物質の量が、組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。
【0037】
(脂肪物質)
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の生分解性液体脂肪物質を含む。2種以上の生分解性液体脂肪物質を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの生分解性液体脂肪物質、又は異なるタイプの生分解性液体脂肪物質の組み合わせを使用することができる。
【0038】
用語「脂肪物質」は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)において水に不溶性(溶解度が、5質量%未満、好ましくは1質量%未満、更により優先的には0.1質量%未満)である有機化合物を意味する。
【0039】
脂肪物質は、その構造中に、少なくとも6個の炭素原子を含有する少なくとも1つの炭化水素系鎖を含有しうる。加えて、脂肪物質は、同じ温度及び圧力条件下で、有機溶媒、例としてはクロロホルム、エタノール、ベンゼン又はデカメチルシクロペンタシロキサンに可溶性でありうる。
【0040】
本発明に使用される脂肪物質は、生分解性である。そのため、生分解性脂肪物質が、本発明のために使用される。
【0041】
用語「生分解性」は、本明細書では、脂肪物質が、土、空気、川及び海等の環境中に存在する微生物等の任意の生き物によって分解されうる(degraded)又は分解されうる(decomposed)ことを意味する。
【0042】
生分解性脂肪物質が、Organization for Economic Cooperation and Development (OECD)によって展開されたOECD Guidelines for the Testing of Chemicals、第3章に基づいて、40%超、より好ましくは60%超、更により好ましくは70%超の生分解度を有することが好ましい。
【0043】
本発明のために使用される脂肪物質は、液体である。
【0044】
用語「液体」は、本明細書では、大気圧(760mmHg)下で室温(25℃)にて流動性を有することを意味する。大気圧下で室温にて液体の形態にある脂肪物質は、「油」と称されうる。
【0045】
本発明による組成物は、油相を有することができる。
【0046】
(a)生分解性液体脂肪物質は、極性油、非極性油、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0047】
(a)生分解性液体脂肪物質は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0048】
(a)生分解性液体脂肪物質は、動物若しくは植物起源の油、合成グリセリド、動物若しくは植物油及び合成グリセリド以外の脂肪族アルコール及び/又は脂肪酸のエステル(脂肪酸エステル)、脂肪酸、脂肪族アルコール、並びに炭化水素からなる群から選択することができる。
【0049】
植物油の例として挙げることができるのは、例えば、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ヒマワリ油、アプリコット油、ダイズ油、アララ油、ヘーゼルナッツ油、コーン油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ(種子)油、アーモンド油、ブドウ種子油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナッツ油、及びこれらの混合物である。
【0050】
動物油の例として挙げることができるのは、例えば、スクワレン、ペルヒドロスクワレン及びスクワランである。
【0051】
合成グリセリドの例として挙げることができるのは、例としては、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例としてはStearineries Dubois社により販売されているもの、又はDynamit Nobel社により名称Miglyol(登録商標)810、812及び818で販売されているものである。
【0052】
上に記載の動物又は植物油及び合成グリセリドとは異なる脂肪族アルコール及び/又は脂肪酸のエステルの例として、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族モノ-又はポリ酸のエステル、及び飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族モノ-又はポリアルコールのエステルで、エステルの総炭素数が10以上であるものを特に挙げることができる。
【0053】
モノエステルの中で、ベヘン酸ジヒドロアビエチル;ベヘン酸オクチルドデシル;ベヘン酸イソセチル;乳酸セチル;C12~C15乳酸アルキル;乳酸イソステアリル;乳酸ラウリル;乳酸リノレイル;乳酸オレイル;オクタン酸(イソ)ステアリル;オクタン酸イソセチル;オクタン酸オクチル;オクタン酸セチル;オレイン酸デシル;イソステアリン酸イソセチル;ラウリン酸イソセチル;ステアリン酸イソセチル;オクタン酸イソデシル;オレイン酸イソデシル;イソノナン酸イソノニル;パルミチン酸イソステアリル;リシノール酸メチルアセチル;ステアリン酸ミリスチル;イソノナン酸オクチル;イソノナン酸2-エチルヘキシル;パルミチン酸オクチル;ペラルゴン酸オクチル;ステアリン酸オクチル;エルカ酸オクチルドデシル;エルカ酸オレイル;パルミチン酸エチル及びパルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル、ブチル、セチル、2-オクチルドデシル、ミリスチル又はステアリル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル;リンゴ酸ジオクチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシルを挙げることができる。
【0054】
なおもこの変形形態の関連で、C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、並びにモノ-、ジ-又はトリカルボン酸と、C2~C26のジ-、トリ-、テトラ-又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルもまた使用することができる。
【0055】
詳細には、次のものを挙げることができる:セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ジオクチル、ウンデシレン酸グリセリル、ステアロイルステアリン酸オクチルドデシル、モノリシノール酸ペンタエリスリチル、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、テトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、エルカ酸トリデシル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソステアリル、三乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコール及びジステアリン酸ポリエチレングリコール。
【0056】
上に挙げた脂肪エステルの中で、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル又はパルミチン酸ステアリル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸アルキル、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸セチル又はミリスチン酸2-オクチルドデシル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、リンゴ酸ジオクチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル又はオクタン酸セチルを使用することが好ましい。
【0057】
該組成物は、脂肪エステルとして、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルもまた含むことができる。用語「糖」は、アルデヒド又はケトン官能基ありで又はなしで、いくつかのアルコール官能基を含有し、少なくとも4個の炭素原子を含有する、酸素保持炭化水素系化合物を意味する。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖とすることができる。
【0058】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フルクトース、マルトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにそれらの誘導体、特に、メチル誘導体等のアルキル誘導体、例としてはメチルグルコースがある。
【0059】
脂肪酸の糖エステルは、先に記載した糖と、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステル混合物を含む群から、特に選択することができる。脂肪酸が不飽和の場合、これらの化合物は、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含みうる。
【0060】
この変形形態によるエステルはまた、モノ-、ジ-、トリ-、テトラエステル及びポリエステル、並びにこれらの混合物から選択することもできる。
【0061】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ油脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えば、詳細には、オレオ-パルミチン酸、オレオ-ステアリン酸及びパルミト-ステアリン酸の各混合エステルから選択することができる。
【0062】
より特定すると、モノエステル及びジエステル、詳細には、スクロース、グルコース又はメチルグルコースのモノ-又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル及びオレオステアリン酸エステルを使用することが好ましい。
【0063】
挙げることができる例は、Amerchol社により名称Glucate(登録商標)DOで販売されている製品であり、これはジオレイン酸メチルグルコースである。
【0064】
また挙げることができる糖と脂肪酸とのエステル又はエステル混合物の例には、以下がある:
- Crodesta社により名称F160、F140、F110、F90、F70及びSL40で販売されている、それぞれ、73%モノエステルと、27%ジエステル及びトリエステル、61%モノエステルと、39%ジエステル、トリエステル及びテトラエステル、52%モノエステルと、48%ジエステル、トリエステル及びテトラエステル、45%モノエステルと、55%ジエステル、トリエステル及びテトラエステル、39%モノエステルと、61%ジエステル、トリエステル及びテトラエステルから形成されるパルミトステアリン酸スクロース、並びにモノラウリン酸スクロースを示す製品、
- 例えばB370と称する、20%モノエステルと80%ジ-トリエステル-ポリエステルから形成されるベヘン酸スクロースに相当する、名称Ryoto Sugar Estersで販売されている製品、
- Goldschmidt社により名称Tegosoft(登録商標)PSEで販売されているモノ-ジパルミト-ステアリン酸スクロース。
【0065】
(a)生分解性液体脂肪物質は、少なくとも1種の脂肪酸であってもよく、2種以上の脂肪酸が使用されてもよい。
【0066】
脂肪酸は、酸性形態(すなわち、石けんを回避するため、塩化されていない)であるべきであり、飽和であっても不飽和であってもよく、6~30個の炭素原子、特に9~30個の炭素原子を含有し、特に1個又は複数(特に1~4個)のヒドロキシル基で任意選択で置換されている。脂肪酸が不飽和である場合、これらの化合物は、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含みうる。それらは、より特定すると、カプリン酸、カプリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及びイソステアリン酸から選択することができる。
【0067】
(a)生分解性液体脂肪物質は、少なくとも1種の脂肪族アルコールであってもよく、2種以上の脂肪族アルコールが使用されてもよい。
【0068】
用語「脂肪族アルコール」は、本明細書では、任意の、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状C8~C30脂肪族アルコールを意味し、これは、特に1個又は複数の(特定すると1~4個の)ヒドロキシル基で任意選択で置換されている。脂肪族アルコールが不飽和である場合、これらの化合物は、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含みうる。
【0069】
C8~C30脂肪族アルコールの中で、例えば、C12~C22脂肪族アルコールが使用される。これらの中で、ラウリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0070】
炭化水素の例として、例えば、直鎖状又は分枝状炭化水素、好ましくは脂肪族炭化水素、より好ましくはアルカンを挙げることができる。アルカンの例として、直鎖状若しくは分枝状の又は場合により環状のC6~C16低級アルカンもまた挙げることができる。挙げることができる例には、C9-12アルカン、C13、14アルカン及びC15~19アルカンがある。
【0071】
石油に由来する鉱油等の炭化水素は、(a)生分解性液体脂肪物質に相当しない。
【0072】
(a)生分解性液体脂肪物質が、植物由来の油、エステル油、及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。「エステル油」は、上に説明した合成グリセリド、脂肪エステル、及びこれらの混合物を含む。植物由来の油は、炭化水素油、好ましくはアルカン、より好ましくはC15~19アルカンを含んでよい。
【0073】
本発明による組成物中の(a)生分解性液体脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上であってよい。
【0074】
更に、本発明による組成物中の(a)生分解性液体脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、80質量%以下、好ましくは75質量%以下、より好ましくは70質量%以下であってよい。
【0075】
本発明による組成物中の(a)生分解性液体脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、10質量%~80質量%、好ましくは30質量%~75質量%、より好ましくは50質量%~70質量%であってよい。
【0076】
(アルカリ剤)
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種のアルカリ剤を含む。2種以上の(b)アルカリ剤が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0077】
(b)アルカリ剤は、アンモニア、アルカノールアミン、アルカノールアミンの誘導体(アルカノールアミン誘導体)、及びアルカノールアミンの塩又はアルカノールアミン誘導体の塩から選択することができる。
【0078】
アルカノールアミンは、少なくとも1個のヒドロキシル基と少なくとも1個のアミノ基とを有するアルカン構造を有する。
【0079】
アルカノールアミンとして挙げることができるのは、例えば、モノ-、ジ-及びトリ-エタノールアミンである。アルカノールアミンは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-ジメチルエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、3-ジメチルアミノ-1,2-プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチルアミノ)メタン、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0080】
アルカノールアミン誘導体は、そこでアルカノールアミン中のアミノ基の、存在する場合、窒素原子上の水素原子が、少なくとも1つの置換基で置換されているアルカノールアミンから選択することができる。
【0081】
置換基として挙げることができるのは、例えば、アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基である。
【0082】
アルキル基は、直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基であってよい。アルキル基は、直鎖状又は分枝状の、C1~C6アルキル基、好ましくはC1~C4アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基及びブチル基であってよい。その一方で、アルキル基は、環状C3~C6アルキル基、例えばシクロペンチル基及びシクロヘキシル基であってよい。
【0083】
アルケニル基は、C2~C6アルケニル基、例えばビニル基、アリル基、ブチレン基、ペンテニル基及びヘキセニル基であってよい。
【0084】
アルキニル基は、C2~C6アルキニル基、例えばエチニル基及びプロパニル基であってよい。
【0085】
上記の置換基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基等の少なくとも1つの基、並びにフェニル基等の芳香族基で、更に置換されうる。
【0086】
アルカノールアミンの塩及びアルカノールアミン誘導体の塩のタイプは限定されない。該塩は酸性塩であってよい。酸性塩として挙げることができるのは、例えば、無機酸性塩、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩及びリン酸塩、並びに有機酸性塩、例えばクエン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、マレイン酸塩及び酒石酸塩である。
【0087】
本発明による組成物中の(b)アルカリ剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってよい。
【0088】
本発明による組成物中の(b)アルカリ剤の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってよい。
【0089】
本発明による組成物中の(b)アルカリ剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%であってよい。
【0090】
(増粘剤)
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種の増粘剤を含む。単一のタイプの増粘剤を使用してもよいが、2種以上の異なるタイプの増粘剤を組み合わせて使用することもできる。
【0091】
(c)増粘剤が多糖から選択されることが好ましく、その理由は、多糖が生分解性であるからである。
【0092】
多糖は、例えば、グルカン、変性及び非変性デンプン(例えば、穀物、例としてはコムギ、トウモロコシ又はコメに由来するもの、野菜、例としては黄色エンドウに由来するもの、及び塊茎、例としてはジャガイモ又はキャッサバに由来するもの)、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、デキストラン、セルロース、及びそれらの誘導体(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース)、マンナン、キシラン、リグニン、アラバン、ガラクタン、ガラクツロナン、キチン、キトサン、グルクロノキシラン、アラビノキシラン、キシログルカン、グルコマンナン、ペクチン酸及びペクチン、アルギン酸及びアルギネート、アラビノガラクタン、カラゲナン、寒天、グリコサミノグルカン、アラビアガム、トラガカントガム、ガッティガム、カラヤガム、カロブガム、ガラクトマンナン、例えばグアーガム、及びそれらの非イオン性誘導体(例えばヒドロキシプロピルグアー)、スクレロチウムガム及びキサンタンガム、並びにこれらの混合物から選ばれる。
【0093】
例えば、使用されうる多糖は、例えば、「Encyclopedia of Chemical Technology」、Kirk-Othmer、第3版、1982年、第3巻、896~900頁、及び第15巻、439~458頁、E. A. MacGregor及びC. T. Greenwoodによる「Polymers in Nature」、John Wiley & Sons社発行、第6章、240~328頁、1980年、並びに「Industrial Gums-Polysaccharides and their Derivatives」、Roy L. Whistler編、第2版、Academic Press Inc.社発行に記載されているものから選ばれ、これらの3つの刊行物の内容は、参照により全体が組み込まれる。
【0094】
例えば、デンプン、グアーガム、セルロース、及びこれらの誘導体を使用することができる。
【0095】
使用されうるデンプンの中で挙げることができるのは、例えば、無水グルコース単位であるベース単位を含むポリマーの形態にある高分子である。これらの単位の数及びこれらのアセンブリは、アミロース(直鎖状ポリマー)とアミロペクチン(分枝状ポリマー)とを区別することを可能にする。アミロースとアミロペクチンとの相対的比率、並びにそれらの重合度は、デンプンの植物起源に応じて変わりうる。
【0096】
使用されるデンプンの分子は、それらの植物起源として、穀物又は塊茎を有してもよい。そのため、デンプンは、例えば、トウモロコシ、コメ、キャッサバ、タピオカ、オオムギ、ジャガイモ、コムギ、モロコシ及びエンドウマメの各デンプンから選ぶことができる。
【0097】
デンプンは、一般に、冷水中で不溶性である白色粉末の形態で存在し、その初期の粒径は、3~100ミクロンの範囲である。
【0098】
デンプンは、任意選択でC1~C6ヒドロキシアルキル化されていてもよく、又はC1~C6アシル化(例えばアセチル化)されていてもよい。デンプンはまた、加熱処理を受けてもよい。
【0099】
リン酸二デンプン、又はリン酸二デンプンに富む化合物、例えばAVEBE社により参照名PREJEL VA-70-T AGGL(ゼラチン化ヒドロキシプロピル化キャッサバのリン酸二デンプン)、又はPREJEL TK1(ゼラチン化キャッサバのリン酸二デンプン)、又はPREJEL 200(ゼラチン化アセチル化キャッサバのリン酸二デンプン)で提供されている製品もまた使用することができる。
【0100】
グアーガムは、変性されていても変性されていなくてもよい。
【0101】
非変性グアーガムは、例えば、Unipectine社により名称Vidogum GH 175で、及びMeyhall社により名称Meypro-Guar 50及びJaguar Cで販売されている製品である。
【0102】
変性非イオン性グアーガムは、例えば、C1~C6ヒドロキシアルキル基で変性されている。
【0103】
挙げることができるヒドロキシアルキル基の中で、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル及びヒドロキシブチルの各基を挙げることができる。
【0104】
これらのグアーガムは、従来技術において周知であり、例えば、ヒドロキシプロピル基で変性されたグアーガムを得るために、プロピレンオキシド等の相当するアルケンオキシドをグアーガムと反応させることによって調製することができる。
【0105】
グアーガム上に存在する遊離ヒドロキシ官能基の数によって消費されるアルキレンオキシド分子の数に相当するヒドロキシアルキル化度は、例えば0.4~1.2の範囲であってもよい。
【0106】
ヒドロキシアルキル基で任意選択で変性されたこのような非イオン性グアーガムは、例えば、Rhodia Chimie社(Meyhall)により商品名Jaguar HP8、Jaguar HP60、Jaguar HP120、Jaguar DC 293及びJaguar HP 105で、又はAqualon社により名称Galactasol 4H4FD2で販売されている。
【0107】
使用されるセルロース及びセルロース誘導体、例えばヒドロキシアルキル基で変性されたセルロースの中で、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース、並びに疎水性化されているヒドロキシプロピルメチルセルロースがある。Aqualon社により名称Klucel E F、Klucel H、Klucel L H F、Klucel M F及びKlucel Gで販売されている製品を挙げることができる。
【0108】
(c)増粘剤が親水性増粘剤から選択されることが好ましい。親水性増粘剤は、本発明による組成物の(d)水によって形成された水性相を、増粘することができる。
【0109】
(c)増粘剤が、セルロース誘導体、変性グアーガム、及びこれらの混合物、より好ましくはヒドロキシアルキルセルロース、C1~C6ヒドロキシアルキル基で変性されたグアーガム、及びこれらの混合物、更により好ましくはヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルグアー、及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0110】
本発明による組成物中の(c)増粘剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってよい。
【0111】
本発明による組成物中の(c)増粘剤の量は、組成物の総質量に対して、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってよい。
【0112】
本発明による組成物中の(c)増粘剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%であってよい。
【0113】
(水)
本発明による組成物は、(d)水を含む。
【0114】
(d)水は、本発明による組成物の水性相を形成することができ、その一方で、(a)生分解性液体脂肪物質は、油相を形成することができる。
【0115】
本発明による組成物がW/O又はO/Wエマルションの形態にある場合、本発明による組成物の水性相は、W/Oエマルション中で分散することができ、若しくは内相であることができ、又はO/Wエマルション中の連続相若しくは外相であることができる。
【0116】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上であってよい。
【0117】
その一方で、本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以下、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下であってよい。
【0118】
(d)水の量は、組成物の総質量に対して、10質量%~50質量%、好ましくは15質量%~45質量%、より好ましくは20質量%~40質量%であってよい。
【0119】
本発明による組成物のpHは、7超、好ましくは7.5以上、より好ましくは8以上であってよい。そのため、本発明による組成物は、アルカリ性である。本発明による組成物のpHが、13以下、より好ましくは12以下、更により好ましくは11以下であることが好ましい。
【0120】
該pHは、(b)アルカリ剤及び/又は少なくとも1種の酸性化剤を使用して、所望の値に調整することができる。
【0121】
酸性化剤は、例えば、鉱酸又は有機酸、例としては塩酸、リン酸、カルボン酸、例としては酒石酸、クエン酸及び乳酸、又はスルホン酸、又はアスコルビン酸とすることができる。
【0122】
酸性化剤は、組成物の総質量に対して、1質量%未満、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3%以下の範囲の量で存在してよい。
【0123】
(非イオン性界面活性剤)
本発明による組成物は、(e)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含んでよい。単一のタイプの非イオン性界面活性剤を使用してもよいが、2種以上の異なるタイプの非イオン性界面活性剤を組み合わせて使用することもできる。
【0124】
非イオン性界面活性剤は、3.0~7.0、好ましくは3.5~6.0、より好ましくは4.0~5.0のHLB(親水性親油性バランス)値を有してもよい。或いは、非イオン性界面活性剤は、11~17、好ましくは12~16、より好ましくは13~15のHLB値を有してもよい。2種以上の非イオン性界面活性剤が使用される場合、HLB値は、全ての非イオン性界面活性剤のHLB値の秤量された平均により決定される。
【0125】
非イオン性界面活性剤は、以下から選ぶことができる:
(1)ポリグリセリル脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン化アルキルグリセリド及びポリオキシアルキレン化脂肪エーテルから選ばれる界面活性剤、
(2)脂肪酸又は脂肪族アルコールと、カルボン酸と、グリセロールとの混合エステル、
(3)糖の脂肪酸エステル、及び糖の脂肪族アルコールエーテル、
(4)ソルビタンの脂肪エステル及びソルビタンのオキシアルキレン化脂肪エステル、並びにオキシアルキレン化脂肪エステルから選ばれる界面活性剤、
(5)エチレンオキシド(A)とプロピレンオキシド(B)とのブロックコポリマー、
(6)ポリオキシエチレン化(1~40EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30PO)アルキル(C16~C30)エーテル、
(7)シリコーン界面活性剤、並びに
(8)これらの混合物。
【0126】
界面活性剤(1)は、温度45℃以下にて流体であってよい。
【0127】
界面活性剤(1)は、詳細には以下であってよい:
- 少なくとも1つの飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状C8~C22炭化水素基、例えばC8~C22アルキル又はアルケニル基、好ましくはC8~C18アルキル又はアルケニル基、より好ましくはC8~C12アルキル又はアルケニル基を含む、少なくとも1種の、好ましくは1種の、脂肪酸と、2~12個のグリセロール、好ましくは2~10個のグリセロール、より好ましくは2~8個のグリセロールとの、ポリグリセリル脂肪酸エステル、
- ポリオキシエチレン化(PEG化)アルキルグリセリド、例えばカプリル酸及びカプリン酸のモノ-、ジ-及びトリ-グリセリドの混合物のポリエチレングリコール誘導体(好ましくは2~30個のエチレンオキシド単位、より好ましくは2~20個のエチレンオキシド単位、更により好ましくは2~10個のエチレンオキシド単位)、例えば、PEG-6(カプリル酸/カプリン酸)グリセリド、PEG-7(カプリル酸/カプリン酸)グリセリド、及びグリセリルヤシ油脂肪酸PEG-7、
- 少なくとも1個の飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状C8~C22炭化水素基、例えばC8~C22アルキル又はアルケニル基、好ましくはC8~C18アルキル又はアルケニル基、より好ましくはC8~C12アルキル又はアルケニル基を含む、少なくとも1種の、好ましくは1種の、脂肪族アルコールと、2~60個のエチレンオキシド、好ましくは2~30個のエチレンオキシド、より好ましくは2~10個のエチレンオキシドとの、ポリオキシエチレン化脂肪エーテル、並びに
- これらの混合物。
【0128】
ポリグリセリル脂肪酸エステルが、2~10個のグリセロール、より好ましくは2~8個のグリセロール、更により好ましくは4~6個のグリセロールに由来するポリグリセロール部分を有することが好ましい。
【0129】
ポリグリセリル脂肪酸エステルは、8~22個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子、より好ましくは8~12個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の酸、好ましくは飽和の酸、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸及びミリスチン酸のモノ、ジ及びトリエステルから選ぶことができる。
【0130】
ポリグリセリル脂肪酸エステルは、カプリン酸PG2、ジカプリン酸PG2、トリカプリン酸PG2、カプリル酸PG2、ジカプリル酸PG2、トリカプリル酸PG2、ラウリン酸PG2、ジラウリン酸PG2、トリラウリン酸PG2、ミリスチン酸PG2、ジミリスチン酸PG2、トリミリスチン酸PG2、ステアリン酸PG2、ジステアリン酸PG2、トリステアリン酸PG2、イソステアリン酸PG2、ジイソステアリン酸PG2、トリイソステアリン酸PG2、オレイン酸PG2、ジオレイン酸PG2、トリオレイン酸PG2、カプリン酸PG3、ジカプリン酸PG3、トリカプリン酸PG3、カプリル酸PG3、ジカプリル酸PG3、トリカプリル酸PG3、ラウリン酸PG3、ジラウリン酸PG3、トリラウリン酸PG3、ミリスチン酸PG3、ジミリスチン酸PG3、トリミリスチン酸PG3、ステアリン酸PG3、ジステアリン酸PG3、トリステアリン酸PG3、イソステアリン酸PG3、ジイソステアリン酸PG3、トリイソステアリン酸PG3、オレイン酸PG3、ジオレイン酸PG3、トリオレイン酸PG3、カプリン酸PG4、ジカプリン酸PG4、トリカプリン酸PG4、カプリル酸PG4、ジカプリル酸PG4、トリカプリル酸PG4、ラウリン酸PG4、ジラウリン酸PG4、トリラウリン酸PG4、ミリスチン酸PG4、ジミリスチン酸PG4、トリミリスチン酸PG4、ステアリン酸PG4、ジステアリン酸PG4、トリステアリン酸PG4、イソステアリン酸PG4、ジイソステアリン酸PG4、トリイソステアリン酸PG4、オレイン酸PG4、ジオレイン酸PG4、トリオレイン酸PG4、カプリン酸PG5、ジカプリン酸PG5、トリカプリン酸PG5、カプリル酸PG5、ジカプリル酸PG5、トリカプリル酸PG5、ラウリン酸PG5、ジラウリン酸PG5、トリラウリン酸PG5、ミリスチン酸PG5、ジミリスチン酸PG5、トリミリスチン酸PG5、ステアリン酸PG5、ジステアリン酸PG5、トリステアリン酸PG5、イソステアリン酸PG5、ジイソステアリン酸PG5、トリイソステアリン酸PG5、オレイン酸PG5、ジオレイン酸PG5、トリオレイン酸PG5、カプリン酸PG6、ジカプリン酸PG6、トリカプリン酸PG6、カプリル酸PG6、ジカプリル酸PG6、トリカプリル酸PG6、ラウリン酸PG6、ジラウリン酸PG6、トリラウリン酸PG6、ミリスチン酸PG6、ジミリスチン酸PG6、トリミリスチン酸PG6、ステアリン酸PG6、ジステアリン酸PG6、トリステアリン酸PG6、イソステアリン酸PG6、ジイソステアリン酸PG6、トリイソステアリン酸PG6、オレイン酸PG6、ジオレイン酸PG6、トリオレイン酸PG6、カプリン酸PG10、ジカプリン酸PG10、トリカプリン酸PG10、カプリル酸PG10、ジカプリル酸PG10、トリカプリル酸PG10、ラウリン酸PG10、ジラウリン酸PG10、トリラウリン酸PG10、ミリスチン酸PG10、ジミリスチン酸PG10、トリミリスチン酸PG10、ステアリン酸PG10、ジステアリン酸PG10、トリステアリン酸PG10、イソステアリン酸PG10、ジイソステアリン酸PG10、トリイソステアリン酸PG10、オレイン酸PG10、ジオレイン酸PG10及びトリオレイン酸PG10からなる群から選択することができる。
【0131】
ポリオキシアルキレン化脂肪エーテル、好ましくはポリオキシエチレン化脂肪エーテルは、2~60個のエチレンオキシド単位、好ましくは2~30個のエチレンオキシド単位、より好ましくは2~10個のエチレンオキシド単位を含んでよい。エーテルの脂肪鎖は、ラウリル、ベヘニル、アラキジル、ステアリル及びセチルの各単位、並びにこれらの混合物、例えばセテアリルから特に選ぶことができる。挙げることができるエトキシル化脂肪エーテルの例は、2、3、4及び5個のエチレンオキシド単位を含むラウリルアルコールエーテル(CTFA名:ラウレス-2、ラウレス-3、ラウレス-4、及びラウレス-5)、例えば、日光ケミカルズ株式会社により名称Nikkol BL-2で、日本エマルジョン株式会社社により名称Emalex 703で、日光ケミカルズ株式会社により名称Nikkol BL-4で、及び日本エマルジョン株式会社により名称EMALEX 705で販売されている製品である。更に挙げることができるのは、例えば、2、3、4及び5個のエチレンオキシド単位を含むステアリルアルコールエーテル(CTFA名:ステアレス-2、ステアレス-3、ステアレス-4及びステアレス-5)、例えば、日本エマルジョン株式会社により名称Emalex 602で、日本エマルジョン株式会社により名称Emalex 603で、日光ケミカルズ株式会社により名称Nikkol BS-4で、及び日本エマルジョン株式会社により名称Emalex 605で販売されている製品である。
【0132】
(2)脂肪酸又は脂肪族アルコールと、カルボン酸及びグリセロールとの混合エステルを、上記の非イオン性界面活性剤として使用することができ、8~22個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子、より好ましくは8~12個の炭素原子を含有するアルキル又はアルケニル鎖を有する脂肪酸又は脂肪族アルコール、並びにα-ヒドロキシ酸及び/又はコハク酸とグリセロールとの混合エステルを含む群から特に選ぶことができる。α-ヒドロキシ酸は、例えば、クエン酸、乳酸、グリコール酸又はリンゴ酸、及びこれらの混合物であってよい。
【0133】
本発明のナノエマルション中で使用されうる混合エステルに由来する脂肪酸又はアルコールのアルキル鎖は、直鎖状であっても分枝状であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。これらは、特に、ステアレート、イソステアレート、リノレエート、オレエート、ベヘネート、アラキドネート、パルミテート、ミリステート、ラウレート、カプレート、イソステアリル、ステアリル、リノレイル、オレイル、ベヘニル、ミリスチル、ラウリル又はカプリルの各鎖、及びこれらの混合物であってよい。
【0134】
本発明のナノエマルション中で使用されうる混合エステルの例は、Huls社により名称Imwitor 375で販売されている、グリセロールと、クエン酸、乳酸、リノール酸及びオレイン酸の混合物との混合エステル(CTFA名:クエン酸/乳酸/リノール酸/オレイン酸グリセリル);Huls社により名称Imwitor 780 Kで販売されている、コハク酸とイソステアリルアルコール及びグリセロールとの混合エステル(CTFA名:コハク酸イソステアリルジグリセリル);Huls社により名称Imwitor 370で販売されている、クエン酸とステアリン酸及びグリセロールとの混合エステル(CTFA名:クエン酸ステアリン酸グリセリル);Danisco社により名称Lactodan B30又はRylo LA30で販売されている、乳酸とステアリン酸及びグリセロールとの混合エステル(CTFA名:乳酸ステアリン酸グリセリル)を挙げることができる。
【0135】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(3)糖の脂肪酸エステルは、C8~C22脂肪酸と、スクロース、マルトース、グルコース又はフルクトースとのエステル又はエステル混合物、並びにC14~C22脂肪酸とメチルグルコースとのエステル又はエステル混合物を含む群から特に選ぶことができる。
【0136】
本発明において使用されうるエステルの脂肪単位を形成するC8~C22又はC14~C22脂肪酸は、それぞれ8~22個又は14~22個の炭素原子を含有する、飽和又は不飽和の、直鎖状アルキル鎖又はアルケニル鎖を含む。エステルの脂肪単位は、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、アラキドン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ラウリン酸エステル及びカプリン酸エステル、並びにこれらの混合物から特に選ぶことができる。ステアリン酸エステルが、好ましく使用される。
【0137】
脂肪酸と、スクロース、マルトース、グルコース又はフルクトースとのエステル又はエステル混合物の例として挙げることができるのは、モノステアリン酸スクロース、ジステアリン酸スクロース及びトリステアリン酸スクロース、並びにこれらの混合物、例えばCroda社により名称Crodesta F50、F70、F110及びF160で販売されている製品であり、挙げることができる脂肪酸とメチルグルコースとのエステル又はエステル混合物の例は、Goldschmidt社により名称Tego-care 450で販売されているジステアリン酸ポリグリセリル-3メチルグルコースである。また挙げることができるのは、グルコース又はマルトースのモノエステル、例えばメチルo-ヘキサデカノイル-6-D-グルコシド及びo-ヘキサデカノイル-6-D-マルトシドである。
【0138】
上記の非イオン界面活性剤として使用されうる(3)糖の脂肪族アルコールエーテルは、45℃以下の温度にて固体であり得、且つ詳細にはC8~C22脂肪族アルコールと、グルコース、マルトース、スクロース又はフルクトースとのエーテル又はエーテル混合物、並びにC14~C22脂肪族アルコールとメチルグルコースとのエーテル又はエーテル混合物を含む群から選ぶことができる。これらは、特定すると、アルキルポリグルコシドである。
【0139】
本発明のナノエマルション中で使用されうるエーテルの脂肪単位を形成するC8~C22又はC14~C22脂肪族アルコールは、それぞれ8~22個又は14~22個の炭素原子を含有する飽和又は不飽和の、直鎖状アルキル又はアルケニル鎖を含む。該エーテルの脂肪単位は、詳細には、デシル、セチル、ベヘニル、アラキジル、ステアリル、パルミチル、ミリスチル、ラウリル、カプリル及びヘキサデカノイルの各単位、並びにこれらの混合物、例えばセテアリルから選ぶことができる。
【0140】
糖の脂肪族アルコールエーテルの例として挙げることができるのは、アルキルポリグルコシド、例えばデシルグルコシド及びラウリルグルコシドであり、これは、例えば、Henkel社によりそれぞれの名称Plantaren 2000及びPlantaren 1200で販売されており、任意選択でセトステアリルアルコールとの混合物としてのセトステアリルグルコシドであり、例えばSEPPIC社により名称Montanov 68で、Goldschmidt社により名称Tego-care CG90で、及びHenkel社により名称Emulgade KE3302で販売されており、且つ例えばアラキジルアルコール及びベヘニルアルコールと、アラキジルグルコシドとの混合物の形態にあるアラキジルグルコシドであり、SEPPIC社により名称Montanov 202で販売されている。
【0141】
より特定して使用される界面活性剤は、モノステアリン酸スクロース、ジステアリン酸スクロース又はトリステアリン酸スクロース、及びこれらの混合物、ジステアリン酸ポリグリセリル-3メチルグルコース、及びアルキルポリグルコシドである。
【0142】
アルキルポリグルコシドとして、6~30個の炭素原子、好ましくは8~16個の炭素原子を含むアルキル基を含有するもの、及び好ましくは1.2~3個のサッカリド単位を含む親水基(グルコシド)を含有するものが、好ましく使用される。例えば挙げることができるのは、デシルグルコシドアルキル-C9/C11-ポリグルコシド(1.4)、例えばKao Chemicals社により名称MYDOL 10(登録商標)で市販されている製品、Cognis社により名称PLANTAREN 2000 UP(登録商標)で市販されている製品、及びSeppic社により名称ORAMIX NS 10(登録商標)で市販されている製品;カプリリル/カプリルグルコシド、例えばSeppic社により名称ORAMIX CG 110(登録商標)で市販されている製品、又はCognis社によりPLANTACARE 810 Pで市販されている製品;ラウリルグルコシド、例えばCognis社により名称PLANTAREN 1200 N(登録商標)及び名称PLANTACARE 1200(登録商標)で市販されている製品;並びにヤシ油アルキルグルコシド、例えば、Cognis社により名称PLANTACARE 818/UP(登録商標)で市販されている製品、任意選択でセトステアリルアルコールと混合されているセトステアリルグルコシド、例えばSeppic社により名称MONTANOV 68で、Goldschmidt社により名称TEGO-CARE CG90で、及びHenkel社により名称EMULGADE KE3302で市販されているもの;アラキジルグルコシド、例えばアラキジンアルコール及びベヘンアルコール並びにアラキジルグルコシドの混合物の形態で、Seppic社により名称MONTANOV 202で市販されているもの;ココイルエチルグルコシド、例えばセチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物(35/65)の形態で、Seppic社により名称MONTANOV 82で市販されているもの、C12~C20アルキルグルコシド、例えば、C14~C22脂肪族アルコールとの混合物としてSeppic社により参照名MONTANOV Lで市販されているものである。
【0143】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(4)ソルビタンの脂肪エステル及びソルビタンのオキシアルキレン化脂肪エステルは、ソルビタンのC16~C22脂肪酸エステル及びソルビタンのオキシエチレン化C16~C22脂肪酸エステルを含む群から選ぶことができる。これらは、16~22個の炭素原子をそれぞれ含有する少なくとも1個の飽和直鎖状アルキル鎖を含む少なくとも1種の脂肪酸と、ソルビトール又はエトキシル化ソルビトールとから形成することができる。オキシエチレン化エステルは、一般に、1~100個のエチレングリコール単位、好ましくは2~40個のエチレンオキシド(EO)単位を含んでよい。
【0144】
これらのエステルは、特定すると、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、アラキジン酸エステル、パルミチン酸エステル、及びこれらの混合物から選ぶことができる。ステアリン酸エステル及びパルミチン酸エステルが好ましくは使用される。
【0145】
本発明において使用されうる上記の非イオン性界面活性剤の例として挙げることができるのは、ICI社により名称Span 60で販売されているモノステアリン酸ソルビタン(CTFA名:ステアリン酸ソルビタン)、ICI社により名称Span 40で販売されているモノパルミチン酸ソルビタン(CTFA名:パルミチン酸ソルビタン)、及びICI社により名称Tween 65で販売されているトリステアリン酸ソルビタン20EO(CTFA名:ポリソルベート65)である。
【0146】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(4)オキシアルキレン化脂肪エステル、好ましくはエトキシル化脂肪エステルは、1~100個のエチレンオキシド単位、好ましくは2~60個のエチレンオキシド単位、より好ましくは2~30個のエチレンオキシド単位と、8~22個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子、より好ましくは8~12個の炭素原子を含有する少なくとも1つの脂肪酸鎖とから形成されたエステルであってよい。エステルの脂肪鎖は、特定すると、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、アラキジン酸エステル及びパルミチン酸エステルの各単位、並びにそれらの混合物から選ぶことができる。挙げることができるエトキシル化脂肪エステルの例は、40個のエチレンオキシド単位を含むステアリン酸のエステル、例えばICI社により名称Myrj 52(CTFA名:ステアリン酸PEG-40)で販売されている製品、及び8個のエチレンオキシド単位を含むベヘン酸のエステル(CTFA名:ベヘン酸PEG-8)、例えばGattefosse社により名称Compritol HD5 ATOで販売されている製品である。
【0147】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(5)エチレンオキシド(A)とプロピレンオキシド(B)とのブロックコポリマーは、詳細には、式(I):
HO(C2H4O)x(C3H6O)y(C2H4O)zH (I)
(式中、x、y及びzは、x+zが2~100の範囲であり、yが14~60の範囲であるような整数である)のブロックコポリマー、及びそれらの混合物から、より特定すると、8.0~14.0の範囲のHLB値を有する式(I)のブロックコポリマーから選ぶことができる。
【0148】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(6)ポリオキシエチレン化(1~40EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30PO)アルキル(C16~C30)エーテルは、以下からなる群から選択することができる:
PPG-6デシルテトラデセス-30;ポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(6)テトラデシルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PEN-4630で販売されているもの、
PPG-6デシルテトラデセス-12;ポリオキシエチレン(12)ポリオキシプロピレン(6)テトラデシルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PEN-4612で販売されているもの、
PPG-13デシルテトラデセス-24;ポリオキシエチレン(24)ポリオキシプロピレン(13)デシルテトラデシルエーテル、例えばNOF Corporation社からUNILUBE 50MT-2200Bで販売されているもの、
PPG-6デシルテトラデセス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PEN-4620で販売されているもの、
PPG-4セテス-1;ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-31で販売されているもの、
PPG-8セテス-1;ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-41で販売されているもの、
PPG-4セテス-10;ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-33で販売されているもの、
PPG-4セテス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-34で販売されているもの、
PPG-5セテス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(5)セチルエーテル、例えばCroda Inc.社からProcetyl AWSで販売されているもの、
PPG-8セテス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-44で販売されているもの、及び
PPG-23ステアレス-34;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル(34 O)(23PO)、例えばポーラ化成工業株式会社からUnisafe 34S-23で販売されているもの。これらは、比較的短時間のうちに組成物の温度が上下する場合であっても、長時間にわたり安定性を伴う組成物を提供することができる。
【0149】
ポリオキシエチレン化(1~40EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30PO)アルキル(C16~C30)エーテルが、PPG-6デシルテトラデセス-30、PPG-13デシルテトラデセス-24、PPG-6デシルテトラデセス-20、PPG-5セテス-20、PPG-8セテス-20及びPPG-23ステアレス-34からなる群から選択することができる、(15~40EO)及びポリオキシプロピレン化(5~30PO)アルキル(C16~C24)エーテルであることが、より好ましい。
【0150】
ポリオキシエチレン化(1~40EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30PO)アルキル(C16~C30)エーテルが、PPG-6デシルテトラデセス-30、PPG-13デシルテトラデセス-24、PPG-5セテス-20及びPPG-8セテス-20からなる群から選択することができる、(15~40EO)及びポリオキシプロピレン化(5~30PO)アルキル(C16~C24)エーテルであることが、更により好ましい。
【0151】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(7)シリコーン界面活性剤として挙げることができるのは、文献、US-A-5364633及びUS-A-5411744に開示されているものである。
【0152】
上記の非イオン性界面活性剤としての(7)シリコーン界面活性剤は、好ましくは式(I):
【0153】
【化1】
【0154】
[式中、
R1、R2及びR3は、互いに独立に、C1~C6アルキル基、又は-(CH2)x-(OCH2CH2)y-(OCH2CH2CH2)z-OR4基を表し、少なくとも1つのR1、R2又はR3基はアルキル基ではなく、R4は、水素、アルキル基又はアシル基であり、
Aは、0~200の範囲の整数であり、
Bは、0~50の範囲の整数であり、但し条件としてAとBとが同時に0に等しいことはなく、
xは、1~6の範囲の整数であり、
yは、1~30の範囲の整数であり、
zは、0~5の範囲の整数である]
の化合物であってよい。
【0155】
本発明の好ましい一実施形態によれば、式(I)の化合物中、アルキル基は、メチル基であり、xは、2~6の範囲の整数であり、yは、4~30の範囲の整数である。
【0156】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として挙げることができるのは、式(II):
【0157】
【化2】
【0158】
(式中、Aは、20~105の範囲の整数であり、Bは、2~10の範囲の整数であり、yは、10~20の範囲の整数である)
の化合物である。
【0159】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として、また挙げることができるのは、式(III):
H-(OCH2CH2)y-(CH2)3-[(CH3)2SiO]A'-(CH2)3-(OCH2CH2)y-OH (III)
(式中、A'及びyは、10~20の範囲の整数である)
の化合物でもある。
【0160】
使用されうる本発明の化合物は、Dow Corning社により名称DC 5329、DC 7439-146、DC 2-5695及びQ4-3667で販売されているものである。化合物DC 5329、DC 7439-146及びDC 2-5695は、式(II)(式中、それぞれ、Aは22、Bは2、yは12であり;Aは103、Bは10、yは12であり;Aは27、Bは3、yは12である)の化合物である。
【0161】
化合物Q4-3667は、式(III)(式中、Aは15であり、yは13である)の化合物である。
【0162】
(e)非イオン性界面活性剤が液体であることが好ましい。
【0163】
用語「液体」は、本明細書では、大気圧(760mmHg)下で室温(25°C)にて流動性を有することを意味する。
【0164】
液体非イオン性界面活性剤が、液体アルキルポリグルコシドから選択されることがより好ましい。
【0165】
本発明による組成物中の(e)非イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってよい。
【0166】
その一方で、本発明による組成物中の(e)非イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってよい。
【0167】
本発明による組成物中の(e)非イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~15質量%、好ましくは0.5質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~5質量%であってよい。
【0168】
(染料)
本発明による組成物は、(f)少なくとも1種の染料を含んでよい。2種以上の(f)染料が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0169】
染料が、酸化染料から選択されることが好ましい。
【0170】
酸化染料は、酸化ベース及びカップラーから選択することができる。
【0171】
酸化ベースは、酸化染色において従来既知であるものから、好ましくはオルト-及びパラ-フェニレンジアミン、二重ベース、オルト-及びパラ-アミノフェノール、複素環ベース、並びにそれらの酸付加塩からなる群から選択することができる。
【0172】
具体的には、以下を挙げることができる:
- (I)式(I)
【0173】
【化3】
【0174】
[式中、
R1は、水素原子、C1~C4アルキル基、モノヒドロキシ(C1~C4アルキル)基、ポリヒドロキシ(C2~C4アルキル)基、(C1~C4)アルコキシ(C1~C4)アルキル基、窒素含有基で置換されているC1~C4アルキル基、フェニル基又は4'-アミノフェニル基を表し、
R2は、水素原子、C1~C4アルキル基、モノヒドロキシ(C1~C4アルキル)基、ポリヒドロキシ(C2~C4アルキル)基、(C1~C4)アルコキシ(C1~C4)アルキル基、又は窒素含有基で置換されているC1~C4アルキル基を表し、
R1及びR2はまた、それらを保持する窒素原子と共に、1つ又は複数のアルキル、ヒドロキシル又はウレイドの各基で任意選択で置換されている5員又は6員の窒素含有複素環を形成してもよく、
R3は、水素原子、塩素原子等のハロゲン原子、C1~C4アルキル基、スルホ基、カルボキシル基、モノヒドロキシ(C1~C4アルキル)基、ヒドロキシ(C1~C4アルコキシ)基、アセチルアミノ(C1~C4アルコキシ)基、メシルアミノ(C1~C4アルコキシ)基又はカルバモイルアミノ(C1~C4アルコキシ)基を表し、
R4は、水素原子若しくはハロゲン原子、又はC1~C4アルキル基を表す]
のパラ-フェニレンジアミン、及びそれらの酸付加塩。
【0175】
上記式(I)の窒素含有基の中で特定して挙げることができるのは、アミノ、モノ(C1~C4)アルキルアミノ、(C1~C4)ジアルキルアミノ、(C1~C4)トリアルキルアミノ、モノヒドロキシ(C1~C4)アルキルアミノ、ジ(モノヒドロキシ(C1~C4)アルキル)アミノ、イミダゾリニウム及びアンモニウムの各基である。
【0176】
上記式(I)のパラ-フェニレンジアミンの中で、より特定して挙げることができるのは、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トリレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジプロピル-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノ-N,N-ジエチル-3-メチルアニリン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルアニリン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-クロロアニリン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-フルオロ-パラ-フェニレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-3-メチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-(エチル-β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(4'-アミノフェニル)-パラ-フェニレンジアミン、N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノ-エチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-メトキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2-メチル-1-N-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、N-(4-アミノフェニル)-3-ヒドロキシ-ピロリジン、2-[{2-[(4-アミノフェニル)アミノ]エチル}(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-エタノール、及びそれらの酸付加塩である。
【0177】
上記式(I)のパラ-フェニレンジアミンの中で最も特に好ましいのは、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トリレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン、及びそれらの酸付加塩である。
【0178】
- (II)本発明によれば、「二重ベース」は、そこにアミノ基及び/又はヒドロキシル基が保持されている少なくとも2つの芳香族環を含有する化合物を意味すると理解される。
【0179】
本発明による染色用組成物中の酸化ベースとして使用されうる二重ベースの中で特に挙げることができるのは、式(II):
【0180】
【化4】
【0181】
[式中、
- Z1及びZ2は、同一であり又は異なり、C1~C4アルキル基で又は連結アームYで置換されうるヒドロキシル基又はNH2基を表し、
- 連結アームYは、1~14個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状のアルキレン鎖を表し、これは、1つ若しくは複数の窒素含有基及び/又は1個若しくは複数のヘテロ原子、例えば酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子に割り込まれていてもよく、且つ任意選択で1つ又は複数のヒドロキシル基若しくはC1~C6アルコキシ基で置換されており、
- R5及びR6は、水素若しくはハロゲン原子、C1~C4アルキル基、モノヒドロキシ(C1~C4アルキル)基、ポリヒドロキシ(C2~C4アルキル)基、アミノ(C1~C4アルキル)基又は連結アームYを表し、
- R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、同一であり又は異なり、水素原子、連結アームY、又はC1~C4アルキル基を表し、式(II)の化合物が1分子当たり1個のみの連結アームYを含有することが理解される]
に相当する化合物、及びそれらの酸付加塩である。
【0182】
上記式(II)の窒素含有基の中で特に挙げることができるのは、アミノ、モノ(C1~C4)アルキルアミノ、(C1~C4)ジアルキルアミノ、(C1~C4)トリアルキルアミノ、モノヒドロキシ(C1~C4)アルキルアミノ、イミダゾリニウム及びアンモニウムの各基である。
【0183】
上記式(II)の二重ベースの中でより特定して挙げることができるのは、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N'-ビス(4-アミノフェニル)-テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(4-メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(エチル)-N,N'-ビス(4'-アミノ-3'-メチルフェニル)エチレン-ジアミン、1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,5-ジオキサオクタン、及びそれらの酸付加塩である。
【0184】
式(II)のこれらの二重ベースの中で、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,5-ジオキサオクタン、又はそれらの酸付加塩が特に好ましい。
【0185】
- (III)式(III)
【0186】
【化5】
【0187】
[式中、
- R13は、水素原子、若しくはフッ素等のハロゲン原子、C1~C4アルキル、モノヒドロキシ(C1~C4アルキル)、(C1~C4)アルコキシ(C1~C4)アルキル、アミノ(C1~C4アルキル)又はヒドロキシ(C1~C4)アルキルアミノ(C1~C4アルキル)基を表し、
- R14は、水素原子、又はフッ素等のハロゲン原子、C1~C4アルキル、モノヒドロキシ(C1~C4アルキル)、ポリヒドロキシ(C2~C4アルキル)、アミノ(C1~C4アルキル)、シアノ(C1~C4アルキル)又は(C1~C4)アルコキシ(C1~C4)アルキルの各基を表す]
に相当するパラ-アミノフェノール、及びそれらの酸付加塩。
【0188】
上記式(III)のパラ-アミノフェノールの中でより特定して挙げることができるのは、パラ-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール、及びそれらの酸付加塩である。
【0189】
- (IV)本発明との関連において酸化ベースとして使用されうるオルト-アミノフェノールは、2-アミノフェノール、2-アミノ-1-ヒドロキシ-5-メチルベンゼン、2-アミノ-1-ヒドロキシ-6-メチルベンゼン、5-アセタミド-2-アミノフェノール、及びそれらの酸付加塩から特に選ばれる。
【0190】
- (V)本発明による染色組成物中の酸化ベースとして使用されうる複素環ベースの中でより特定して挙げることができるのは、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラゾール誘導体、及びそれらの酸付加塩である。
【0191】
ピリジン誘導体の中でより特定して挙げることができるのは、例えば特許、GB 1,026,978及びGB 1,153,196に記載されている化合物、例えば2,5-ジアミノピリジン、2-(4-メトキシフェニル)アミノ-3-アミノピリジン、2,3-ジアミノ-6-メトキシピリジン、2-(β-メトキシエチル)アミノ-3-アミノ-6-メトキシピリジン、3,4-ジアミノピリジン、及びそれらの酸付加塩である。
【0192】
ピリミジン誘導体の中でより特定して挙げることができるのは、例えば特許、DE 2 359 399、JP 88-169571及びJP 91-10659、又は特許出願WO 96/15765に記載されている化合物、例えば、2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン、2-ヒドロキシ-4,5,6-トリアミノピリミジン、2,4-ジヒドロキシ-5,6-ジアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノピリミジン、及びピラゾロピリミジン誘導体、例えば特許出願、FR-A-2 750 048で挙げられているものであり、その中で挙げることができるのは、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン、2,5-ジメチル-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,5-ジアミン、2,7-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,5-ジアミン、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-オール、3-アミノ-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-5-オール、2-(3-アミノ-ピラゾロ-[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミノ)エタノール、2-(7-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イルアミノ)エタノール、2-[(3-アミノ-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)-(2-ヒドロキシ-エチル)アミノ]-エタノール、2-[(7-アミノピラゾロ[1,5-a]-ピリミジン-3-イル)-(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、5,6-ジメチルピラゾロ-[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン、2,6-ジメチルピラゾロ-[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン、2,5,N7,N7-テトラメチル-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン、3-アミノ-5-メチル-7-イミダゾリルプロピル-アミノピラゾロ[1,5-a]-ピリミジン、それらの付加塩、及び互変異性平衡が存在する場合にはそれらの互変異性型、並びにそれらの酸付加塩である。
【0193】
ピラゾール誘導体の中でより特定して挙げることができるのは、特許、DE 3 843 892及びDE 4 133 957、並びに特許出願WO 94/08969、WO 94/08970、FR-A-2 733 749及びDE 195 43 988に記載されている化合物、例えば4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、3,4-ジアミノピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(4'-クロロベンジル)-ピラゾール、4,5-ジアミノ-1,3-ジメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-フェニルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-メチル-3-フェニルピラゾール、4-アミノ-1,3-ジメチル-5-ヒドラジノピラゾール、1-ベンジル-4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-tert-ブチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-tertブチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-(4'-メトキシフェニル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-ヒドロキシ-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-イソプロピル-ピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-イソプロピル-ピラゾール、4-アミノ-5-(2'-アミノエチル)アミノ-1,3-ジメチルピラゾール、3,4,5-トリアミノピラゾール、1-メチル-3,4,5-トリアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-1-メチル-4-メチルアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-4-(β-ヒドロキシ-エチル)アミノ-1-メチルピラゾール、及びそれらの酸付加塩である。
【0194】
酸化ベースとして使用されうる複素環ベースの中でより特定して挙げることができるのは、ジアミノピラゾロピラゾロン、特に2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H5H-[ピラゾロ1,2,a]ピラゾール-1-オン、並びにこれらのジアミノピラゾロピラゾロンとの酸付加塩である。
【0195】
カップラーは、酸化染色において従来既知であるものから、好ましくは、メタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、ナフトール、複素環カップラー、及びそれらの酸付加塩からなる群から選択されうる酸化カップラーであってもよい。
【0196】
複素環カップラーは、インドール誘導体、インドリン誘導体、セサモール及びその誘導体、ピリジン誘導体、ピラゾロトリアゾール誘導体、ピラゾロン、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、1,3-ベンゾジオキソール、キノリン、並びにそれらの酸付加塩からなる群から選択することができる。
【0197】
これらのカップラーは、より特定すると、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-メチル-5-アミノフェノール、5-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルフェノール、3-アミノフェノール、2-クロロ-3-アミノ-6-メチルフェノール、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)-プロパン、セサモール、1-アミノ-2-メトキシ-4,5-メチレン-ジオキシベンゼン、α-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、6-ヒドロキシ-インドリン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、1-H-3-メチルピラゾール-5-オン、1-フェニル-3-メチルピラゾール-5-オン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、3,6-ジメチル-ピラゾロ[3,2-c]-1,2,4-トリアゾール、2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、及びそれらの酸付加塩から選ばれる。
【0198】
一般に、酸化ベース及びカップラーの酸付加塩は、特に、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、リン酸塩及び酢酸塩から選ばれる。
【0199】
本発明による組成物中の(f)染料の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってよい。
【0200】
その一方で、本発明による組成物中の(f)染料の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってよい。
【0201】
本発明による組成物中の(f)染料の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~15質量%、好ましくは0.5質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~5質量%であってよい。
【0202】
(他の成分)
本発明の組成物はまた、少なくとも1種の任意選択の又は追加の成分も含んでよい。
【0203】
任意選択の又は追加の成分の量は限定されないが、本発明による組成物の総質量に対して、0.01~30質量%、好ましくは0.1質量%~20質量%、より好ましくは1質量%~10質量%であってよい。
【0204】
任意選択の又は追加の成分は、カチオン性、アニオン性又は両性界面活性剤、UV遮蔽剤、ペプチド及びその誘導体、タンパク質加水分解物、膨潤剤及び浸透剤、脱毛に有効な作用剤、ふけ防止剤、懸濁剤、金属イオン封鎖剤、乳白剤、ビタミン又はプロビタミン、香料、保存剤、安定剤、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0205】
本発明による組成物の水性相は、水に加えて、1種又は複数の、化粧料として許容される有機溶媒を含んでよく、この有機溶媒は、アルコール、特に一価アルコール、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコール、糖、糖アルコール、並びにエーテル、例えばエチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、並びにブチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテルであってよい。
【0206】
このとき、有機溶媒は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~30質量%、好ましくは0.1質量%~20質量%、より好ましくは1質量%~15質量%の濃度で存在してよい。
【0207】
本発明による組成物が、非生分解性又は不良な生分解性の成分、例えば鉱油を含まないことが好ましい。
【0208】
本発明による組成物中の鉱油等の非生分解性又は不良な生分解性の成分の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下であってよい。本発明による組成物が、非生分解性又は不良な生分解性の成分、例えば鉱油を含まないことが、特に好ましい。
【0209】
(調製)
本発明による組成物は、上に記載した必須成分と任意選択の成分とを従来の方法で混合して調製することができる。
【0210】
例えば、本発明による組成物は、
(a)少なくとも1種の生分解性液体脂肪物質と、
(b)少なくとも1種のアルカリ剤と、
(c)少なくとも1種の増粘剤と、
(d)水、並びに任意選択で(e)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤及び/又は(f)少なくとも1種の染料と
を混合する工程を含む方法によって調製することができ、
ここで、
(a)生分解性液体脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。
【0211】
上記の成分(a)~(f)について、上で説明したものを使用することができる。
【0212】
その中に、任意選択の成分のうちの任意のものを更に混合することが可能である。
【0213】
上記の方法は、加熱なしで実施することができる。例えば、上記の方法は、室温(25℃)にて実施することができる。
【0214】
本発明による組成物に使用される(a)生分解性液体脂肪物質が室温にて既に液体の形態にあるので、本発明による組成物を調製する上記方法を実施するときに生分解性脂肪物質を加熱して溶融させることは必要でない。したがって、本発明による組成物を調製する方法は、多くのエネルギーを必要とせず、したがって、該方法は、環境に優しい。
【0215】
[使用]
本発明による組成物は、好ましくは、ケラチン繊維の美容目的のために使用される。そのため、本発明による組成物は、好ましくはケラチン繊維のための、詳細にはケラチン繊維を脱色する又は着色するための化粧用組成物である。
【0216】
ケラチン繊維として挙げることができるのは、毛髪、まつ毛及び眉毛である。
【0217】
上で説明した本発明による組成物が、毛髪等のケラチン繊維を脱色するのに使用される場合、例えば、染料を含まない本発明による組成物は、以下に説明する(g)少なくとも1種の酸化剤を含む別の組成物との混合物として使用することができる。
【0218】
或いは、本発明による組成物が、毛髪等のケラチン繊維を染色するのに使用される場合、(f)少なくとも1種の染料を更に含む本発明による組成物は、(g)少なくとも1種の酸化剤を含む別の組成物との混合物として使用することができる。
【0219】
(g)少なくとも1種の酸化剤を含む上記の組成物は、顕色剤として機能することができる。
【0220】
上記の混合物は、すぐ使える組成物とみなすことができる。本発明の目的では、表現「すぐ使える組成物」は、本明細書では、毛髪等のケラチン繊維にすぐ塗布されることになる組成物であると定義される。すぐ使える組成物はまた、ケラチン繊維のための、特に毛髪等のケラチン繊維を脱色する又は着色するための、化粧用組成物でもありうる。
【0221】
本発明による組成物と別の組成物との混合比は限定されない。該混合比は、それらの質量比として、1:3~3:1、好ましくは1:2~2:1、より好ましくは1:1であってよい。
【0222】
(酸化剤)
本発明による組成物と組み合わされうる顕色剤は、少なくとも1種の(g)酸化剤を含む。2種以上の(g)酸化剤が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0223】
(g)酸化剤は、過酸化水素、過酸化された塩、及び加水分解により過酸化水素を生成することのできる化合物から選ぶことができる。例えば、(g)酸化剤は、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属臭素酸性塩及びフェリシアン化物、並びに過ホウ酸性塩及び過硫酸性塩等の過酸性塩から選ぶことができる。例えばラッカーゼ、ペルオキシダーゼ及び2-電子オキシドレダクターゼ、例えばウリカーゼから選ばれる少なくとも1種のオキシダーゼ酵素もまた、それらのそれぞれの供与体又は補助因子の存在下において適切な場合、(g)酸化剤として使用することができる。
【0224】
一実施形態では、(g)酸化剤は過酸化水素であり、顕色剤は過酸化水素水溶液である。
【0225】
一実施形態では、顕色剤が過酸化水素水溶液であるとき、該顕色剤は、少なくとも1種の過酸化水素安定剤を含んでもよく、それは、例えば、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のピロリン酸性塩、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のスズ酸性塩、フェナセチン、並びに酸とオキシキノリンとの塩、例えば硫酸オキシキノリンから選ぶことができる。別の実施形態では、少なくとも1種のピロリン酸性塩と任意選択で組み合わされた少なくとも1種のスズ酸性塩が使用される。
【0226】
サリチル酸及びその塩、ピリジンジカルボン酸及びその塩、並びにパラセタモールを使用することもまた可能である。
【0227】
過酸化水素水溶液の形態にある顕色剤中、過酸化水素安定剤の濃度は、顕色剤の総質量に対して、0.0001質量%~5質量%、例えば0.01質量%~2質量%の範囲であってよい。
【0228】
過酸化水素水溶液の形態にある顕色剤中、過酸化水素の、可能な少なくとも1種の安定剤に対する濃度比は、0.05:1~1,000:1、例えば0.1:1~500:1、更に例えば1:1~200:1の範囲であってよい。
【0229】
顕色剤中の(g)酸化剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってよい。
【0230】
顕色剤中の(g)酸化剤の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってよい。
【0231】
顕色剤中の(g)酸化剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%であってよい。
【0232】
[キット]
本発明はまた、ケラチン繊維のためのキット、好ましくは美容キット、より好ましくはケラチン繊維、詳細には毛髪を脱色する又は染色するための美容キットであって、
(a)少なくとも1種の生分解性液体脂肪物質、
(b)少なくとも1種のアルカリ剤、
(c)少なくとも1種の増粘剤、並びに
(d)水、並びに任意選択で(e)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤及び/又は(f)少なくとも1種の染料
を含む第1の組成物を含む第1の区画であり、
(a)生分解性液体脂肪物質の量が、第1の組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上である、第1の区画と、
(g)少なくとも1種の酸化剤
を含む第2の組成物を含む第2の区画と
を備えた、
キットにも関する。
【0233】
上記の成分(a)~(g)について、上で説明したものを使用することができる。
【0234】
例えば、第1の区画から第1の組成物を分配し又は放出し、一方で第2の区画から第2の組成物を分配し又は放出して、その後に毛髪等のケラチン繊維を、第1の組成物と第2の組成物との混合物で処理することによって、キットを使用することが可能である。
【0235】
第1の組成物と第2の組成物との混合物は、上で説明したすぐ使える組成物とみなされてよい。
【0236】
第1の組成物と第2の組成物との混合比は限定されない。該混合比は、それらの質量比として、1:3~3:1、好ましくは1:2~2:1、より好ましくは1:1であってよい。
【0237】
[方法]
本発明はまた、方法、好ましくは美容方法、より好ましくはケラチン繊維、詳細には毛髪を脱色する又は染色する美容方法であって、
(1)第1の組成物と第2の組成物とを混合して混合物を調製する工程であり、
第1の組成物が、
(a)少なくとも1種の生分解性液体脂肪物質、
(b)少なくとも1種のアルカリ剤、
(c)少なくとも1種の増粘剤、並びに
(d)水、並びに任意選択で(e)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤及び/又は(f)少なくとも1種の染料
を含み、
(a)生分解性液体脂肪物質の量が、第1の組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上であり、
第2の組成物が、
(g)少なくとも1種の酸化剤
を含む、
工程と、
(2)該混合物をケラチン繊維に適用する工程と
を含む、
方法にも関する。
【0238】
上記の成分(a)~(g)について、上で説明したものを使用することができる。
【0239】
第1の組成物と第2の組成物との混合物は、上で説明したすぐ使える組成物とみなされてよい。
【0240】
第1の組成物と第2の組成物との混合比は限定されない。該混合比は、それらの質量比として、1:3~3:1、好ましくは1:2~2:1、より好ましくは1:1であってよい。
【0241】
本発明による方法が、第1の組成物と第2の組成物との混合物をすぐ使える組成物としてケラチン繊維上に塗布する工程の前に及び/又は後に、乾燥ありで又はなしで、ケラチン繊維を洗浄する工程を更に含むことが好ましい。
【0242】
すぐ使える組成物をケラチン繊維上に塗布する工程は、ブラシ等の従来の塗布用器具、又は手によっても実施することができる。
【0243】
そこにすぐ使える組成物が塗布されたケラチン繊維は、ケラチン繊維を処理するのに必要とされる適切な時間の間、放置することができる。処理のための時間の長さは限定されないが、それは、1分間~1時間、好ましくは1分間~30分間、より好ましくは1分間~15分間であってよい。例えば、ケラチン繊維を染色する時間は、1~20分間、好ましくは5~15分間であってよい。
【0244】
ケラチン繊維は、室温にて処理されてもよい。或いは、ケラチン繊維は、すぐ使える組成物をケラチン繊維上に塗布する工程の前に及び/又はその間に及び/又はその後に、25℃~65℃、好ましくは30℃~60℃、より好ましくは35℃~55℃、更により好ましくは40℃~50℃にて加熱されてもよい。
【実施例0245】
本発明は、実施例によって、より詳細に記載することになる。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。以下の実施例は、本発明の分野における非限定的な例示として提示する。
【0246】
(実施例1~3及び比較例1)
表1に示す実施例1~3及び比較例1による以下の組成物を、表1に示す成分を混合して調製した。表1に示す成分の量についての数値は全て、原材料の「質量%」に基づく。
【0247】
【表1】
【0248】
[評価]
(脱色試験)
実施例1~3及び比較例1による組成物のそれぞれを、以下の表2に示す配合率の顕色剤と混合した。組成物と顕色剤との混合質量比は1対1とした。
【0249】
【表2】
【0250】
こうして得た混合物3gを、中国人の天然の黒髪の房1gに27℃にて50分間塗布し、続いて房を水で洗浄し、シャンプーし、1回濯ぎ、乾かした。
【0251】
上記の染色方法の前と後との房の色差を、Minolta CM-3600Aを用いて評価した。ΔΕ*をCIE1976に基づいて、次式(1)により算出した:
ΔΕ*i={(Li-L0)2+(ai-a0)2+(bi-b0)2}1/2 (1)
【0252】
式(1)中、(Li、ai、bi)は、脱色後の毛髪の房の(L*、a*、b*)値を指し、(L0、a0、b0)は、脱色前の毛髪の房の(L*、a*、b*)値を指す。
【0253】
ΔΕ*値を、以下の評価基準に従ってスコア付けした。ΔΕ*が大きいほど、脱色は大きい。
A:>12
B:<8~12
C:4~8
D:<4
【0254】
結果を表1に示す。
【0255】
生分解性液体脂肪物質を含む実施例1~3による組成物が、劣った生分解度を有する鉱油を含む比較例1による組成物による脱色効果に匹敵する十分な脱色効果をもたらしたことを見出した。
【外国語明細書】