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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084928
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】ラベル
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/02 20060101AFI20230613BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
G09F3/02 A
G09F3/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199330
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】疋田 英司
(57)【要約】
【課題】一部分を所定の箇所に付着させた状態で、変形による粘着力の低下を抑制させつつ他の一部分を所望の他の箇所に付着させる。
【解決手段】本発明に基づくラベル100は、複数の層が互いに積層することで構成されている。当該ラベル100は、粘着層110と、伸長層120と、保形層130とを備えている。伸長層120は、積層方向に交差する面内方向に伸長可能である。保形層130は、粘着層110および伸長層120を保形する。保形層130は、面内方向に互いに隣り合い、かつ、離間可能な第1保形部131および第2保形部132を有している。第1保形部131および第2保形部132を面内方向に互いに離間させたとき、伸長層120は、積層方向から見て第1保形部131および第2保形部132の間で伸長するように構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層が互いに積層することで構成されたラベルであって、
粘着面を有する粘着層と、
前記粘着層から見て前記粘着面側とは反対側に位置して、積層方向に交差する面内方向に伸長可能な伸長層と、
前記粘着層から見て前記粘着面側とは反対側に位置して、前記粘着層および前記伸長層を保形する保形層とを備え、
前記保形層は、前記面内方向に互いに隣り合い、かつ、離間可能な第1保形部および第2保形部を有しており、
前記第1保形部および前記第2保形部を前記面内方向に互いに離間させたとき、前記伸長層は、前記積層方向から見て前記第1保形部および前記第2保形部の間で伸長するように構成されている、ラベル。
【請求項2】
前記粘着層は、前記伸長層に追従して伸長可能に構成されている、請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
前記粘着層は、前記面内方向に互いに離間可能な第1粘着部および第2粘着部を有しており、
前記第1粘着部は、前記第1保形部に積層され、
前記第2粘着部は、前記第2保形部に積層されている、請求項1に記載のラベル。
【請求項4】
前記保形層は、基材層と、前記粘着層からみて前記伸長層側の外部から視認可能となるように前記基材層に積層された印刷層とを有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のラベル。
【請求項5】
繰り返し封止される開口を形成可能な収容部を有する収容体において、前記開口と重ならないように前記粘着面で前記収容部に付着され、前記収容部にて前記開口が封止されている状態において、前記第1保形部を含む部分を前記収容部に付着させたまま、前記第2保形部を前記第1保形部から前記面内方向に離間させた後に前記第2保形部を含む部分を前記収容部に付着させることで、前記開口が封止された状態を維持するための再封用ラベルである、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
ラベルの構成を開示した文献として、特開2005-067646号公報(特許文献1)がある。特許文献1には、蓋材に貼付されたラベルを利用して開封後に再封できることを特徴とする包装容器が開示されている。当該ラベルは、開封部分より大きな範囲に貼り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-067646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたラベルは、開封部分より大きな範囲に貼り付けられているが、従来公知のラベルとして、開封部分に重ならないように収容体に貼り付けられているものも知られている。このようなラベルを用いて収容体を再封する場合、一度ラベルを完全に収容体から引き剥がした後、所望の箇所(たとえば、蓋材と底材)にラベルを付着させる必要がある。この一連の作業は使用者にとって煩わしさを伴う。
【0005】
このため、ラベルの一部分を収容部の所定の箇所に付着させたままの状態で、ラベルを引き延ばして、他の一部分を収容部の他の箇所に付着させることも考えられる。しかしながら、ラベルを引き延ばした際にラベルの変形に伴う粘着層の変形により、粘着力が低下する場合がある。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、一部分を所定の箇所に付着させた状態で、変形による粘着力の低下を抑制させつつ他の一部分を所望の他の箇所に付着させることができる、ラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に基づくラベルは、複数の層が互いに積層することで構成されている。当該ラベルは、粘着層と、伸長層と、保形層とを備えている。粘着層は、粘着面を有している。伸長層は、積層方向に交差する面内方向に伸長可能である。伸長層は、粘着層から見て粘着面側とは反対側に位置している。保形層は、粘着層および伸長層を保形する。保形層は、粘着層から見て粘着面側とは反対側に位置している。保形層は、面内方向に互いに隣り合い、かつ、離間可能な第1保形部および第2保形部を有している。第1保形部および第2保形部を面内方向に互いに離間させたとき、伸長層は、積層方向から見て第1保形部および第2保形部の間で伸長するように構成されている。
【0008】
本発明の一形態において、粘着層は、伸長層に追従して伸長可能に構成されている。
【0009】
本発明の一形態において、粘着層は、面内方向に互いに離間可能な第1粘着部および第2粘着部を有している。第1粘着部は、第1保形部に積層されている。第2粘着部は、第2保形部に積層されている。
【0010】
本発明の一形態において、保形層は、基材層と、粘着層からみて伸長層側の外部から視認可能となるように基材層に積層された印刷層とを有している。
【0011】
本発明の一形態に基づくラベルは、繰り返し封止される開口を形成可能な収容部を有する収容体において、開口と重ならないように粘着面で収容部に付着され、収容部にて開口が封止されている状態において、第1保形部を含む部分を収容部に付着させたまま、第2保形部を第1保形部から上記面内方向に離間させた後に第2保形部を含む部分を収容部に付着させることで、開口が封止された状態を維持するための再封用ラベルである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1保形部を含む部分を所定箇所に付着させたまま、第2保形部を第1保形部から面内方向に離間させ、第2保形部を含む部分を所望の他の箇所に付着させることができる。すなわち、一部分を所定の箇所に付着させた状態で、変形による粘着力の低下を抑制させつつ他の一部分を所望の他の箇所に付着させることが可能なラベルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態1に係るラベルおよび収容体を示す正面図である。
図2】本発明の実施形態1に係るラベルおよび収容体を示す平面図である。
図3図2におけるIII-III線矢印方向から見た構成の一部分を示す部分断面図である。
図4図3のラベルについて第1保形部および第2保形部を互いに離間させた状態の構成を示す部分断面図である。
図5図4のラベル全体を再度収容部に付着させた状態の構成を示す部分断面図である。
図6】本発明の実施形態1の変形例に係る収容体を示す斜視図である。
図7】本発明の実施形態1の変形例に係る収容体を再封した状態を示す斜視図である。
図8】本発明の実施形態2に係るラベルおよび収容体を示す部分断面図である。
図9図8のラベルについて第1保形部および第2保形部を互いに離間させた状態の構成を示す部分断面図である。
図10図9のラベル全体を再度収容部に付着させた状態の構成を示す部分断面図である。
図11】本発明の実施形態3に係るラベルを示す断面図である。
図12】本発明の実施形態4に係るラベルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の各実施形態に係るラベルおよび収容体について図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0015】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るラベルおよび収容体を示す正面図である。図2は、本発明の実施形態1に係るラベルおよび収容体を示す平面図である。図1および図2に示すように、本実施形態に係る収容体1は、収容部10と、ラベル100とを備えている。
【0016】
収容部10は、本体部11と蓋部12とを有している。本体部11は、たとえばプラスチック製の容器であり、カップ状の外形を有している。蓋部12は、たとえばフィルム状であり、カップ状の本体部11の収容空間を閉じるように位置している。具体的には、蓋部12は、本体部11の縁に貼り付けられている。これにより、本体部11の収容空間が閉じられ、収容部10が封止される。
【0017】
また、蓋部12は、本体部11から剥がすこともできる。蓋部12は、本体部11から一部分を剥がした後、その剥がした一部分を本体部11の縁に置くことで、繰り返し収容部10を封止することができる。すなわち、収容部10は、繰り返し封止される開口15を形成することができる。なお、本実施形態において、開口15とは、本体部11と蓋部12との間の隙間である。また、本明細書において、「封止する」とは、気密または液密に封止することに限定されず、開口15を形成する部材同士が単純に接することも含む。本実施形態に係る収容体1とは異なる開口15を有する変形例については後述する。
【0018】
ラベル100は、開口15(または開口15が形成される予定の位置)に重ならないように、収容部10に付着されている。具体的には、ラベル100は、蓋部12に付着されている。ラベル100は、本体部11に付着されていてもよい。ラベル100の外形は特に限定されないが、たとえば矩形状の外形を有している。
【0019】
次に、ラベル100の構造について説明する。図3は、図2のIII-III線矢印方向から見た構成の一部分を示す部分断面図である。図3に示すように、本実施形態に係るラベル100は、複数の層が互いに積層することで構成されており、具体的には、粘着層110と、伸長層120と、保形層130と、接着層160とを備えている。
【0020】
粘着層110は、粘着面111と、粘着面111の反対側に位置する支持面112とを有している。ラベル100は、粘着面111で収容部10に付着されている。支持面112も粘着力を有しており、粘着層110は、支持面112上に積層された他の層に支持されている。粘着層110は、他の層に追従して、ラベル100を構成する複数の層の積層方向に交差する面内方向に伸縮可能、かつ、他の層に追従して屈曲可能に構成されている。
【0021】
粘着層110の厚さは、たとえば、5μm以上20μm以下である。粘着層110を構成する材料は、特に限定されないが、たとえば、アクリル系樹脂またはゴム系のような樹脂を主成分とする粘着剤組成物が挙げられる。粘着層110の剥離強度は、たとえば2N/25mm以上20N/25mm以下である。なお、当該剥離強度は、測定対象となる層を基材上に設けた試験片を、被着体に貼り付けた後、試験片を被着体から引き剥がし、この剥離時に測定された粘着力を平均することで算出される。具体的な試験条件は、試験の環境温度および湿度がそれぞれ23℃および50%RH、試験片の幅が25mm、被着体が、#360番の研磨剤で研磨されたSUS304、貼り付け条件が、被着体上の試験片に対して2kgのゴムローラによる1往復押し付け、剥離条件が、貼り付けから30分後、剥離角度が180度、剥離速度が300mm/分である。
【0022】
伸長層120は、上記面内方向に伸長可能である。伸長層120は、外力を与えて伸ばした後に、元の大きさ(長さ)または元の大きさに近い大きさまでに戻るような、伸縮性を有していてもよい。伸長層120は、外力を与えて伸ばした後にほとんど縮小せず永久ひずみが残るような、伸張性を有していてもよい。
【0023】
伸長層120は、粘着層110から見て支持面112側に位置しており、換言すれば、粘着層110から見て粘着面111側とは反対側に位置している。伸長層120は、具体的には粘着層110の支持面112上に直接積層されている。
【0024】
伸長層120の厚さは、たとえば、15μm以上50μm以下である。伸長層120を構成する材料は、特に限定されないが、たとえば、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレンエラストマー、または、スチレンエラストマーなどの樹脂を主成分とする樹脂組成物が挙げられる。
【0025】
伸長層120は、少なくとも面内方向において60%以上の伸長が可能であることが好ましい。伸長層120は、面内方向における10%歪み時の引張応力が、たとえば1.0MPa以上10.0MPa以下であり、好ましくは5.0MPa以下である。伸長層120は、面内方向における25%歪み時の引張応力が、たとえば1.0MPa以上10.0MPa以下であり、好ましくは5.0MPa以下である。伸長層120は、面内方向における60%歪み時の引張応力が、たとえば1.0MPa以上10.0MPa以下であり、好ましくは5.0MPa以下である。なお、これらの引張応力は、評価サンプルを所定の速度で引っ張って伸長させたときに、引張試験機に作用する力である。評価サンプルは、引張方向に直交する方向である幅方向長さが15mmであり、引張速度が50mm/分である。また、試験環境温度および湿度は、23℃および48.0%RHである。
【0026】
伸長層120は、面内方向における60%伸長後の瞬間歪みが、たとえば0%以上または5%以上であり、50%以下または30%以下である。瞬間歪みは、上記引張試験後に評価サンプルが元の長さに戻らずに変形した度合いを示し、荷重を取り除いた直後に測定される。このため、瞬間歪みが小さいほど、ラベル100を引き剥がしたときの伸長層120の復元力が高く、瞬間歪みが大きいほど、伸長層120を伸ばしてラベル100を貼り付けたときの貼付安定性が向上する。
【0027】
保形層130は、粘着層110および伸長層120を保形する。具体的には、保形層130は、粘着層110および伸長層120を上記面内方向において保形する。保形層130は、ラベル100に含まれる層のうち外力による伸長性が最も低い。
【0028】
保形層130は、粘着層110から見て支持面112側に位置しており、換言すれば、粘着層110から見て粘着面111側とは反対側に位置している。また、伸長層120から見て粘着層110側とは反対側に位置している。
【0029】
保形層130は、上記面内方向に互いに隣り合い、かつ、離間可能な第1保形部131および第2保形部132を有している。図2に示すように、上記積層方向から見て、第1保形部131および第2保形部132は、それぞれ矩形状の外形を有しているが、これらの外形については特に限定されない。また、図3に示すように、ラベル100は、後述する再封維持機能のため、第1保形部131から見て第2保形部132の向こう側に開口15が位置するように収容部10に付着されていることが好ましい。
【0030】
なお、本実施形態において、保形層130は、第1保形部131および第2保形部132を1つずつ有しているが、複数の第1保形部131および複数の第2保形部132を有していてもよい。この場合、第2保形部132は、積層方向から見てラベル100の外縁側に位置することが好ましい。たとえば、保形層130が2つの第2保形部132を有している場合、2つの第2保形部132は、上記積層方向から見て第1保形部131を挟むように位置していることが好ましい。
【0031】
また、本実施形態において、第1保形部131および第2保形部132は互いに完全に切り離されており、保形層130において第1保形部131と第2保形部132との間には、積層方向からみたときの外形が直線状である、スリットSが設けられている。ラベル100の美観向上のためスリットSの幅は狭いほうが好ましく、第1保形部131および第2保形部132が実質的に隣接していることが好ましい。本実施形態においては、保形層130から見て粘着層110側と反対側に他の層が位置していないため、スリットSの視認性が高い。これにより、使用者は、第1保形部131を含む部分および第2保形部132を含む部分のいずれか一方を容易につかむことができる。
【0032】
なお、第1保形部131および第2保形部132は人からの外力によって分離可能であれば、各々の一部分が互いに接続されていてもよい。この場合、積層方向から見て、第1保形部131および第2保形部132の間に設けられた直線状のスリットSに代えて、たとえばミシン目状もしくは点状のスリット、または、第1保形部131および第2保形部132の境界の端部に切れ込み(ノッチ)が設けられていてもよい。
【0033】
保形層130は、基材層140と、印刷層150とを有している。印刷層150は、粘着層110からみて伸長層120側の外部から視認可能となるように基材層140に積層されている。具体的には、印刷層150は、ラベル100において粘着層110側とは反対側において外部に露出するように位置している。これにより、印刷層150の視認性が向上する。保形層130はさらに他の層を1層以上有していてもよい。たとえば、保形層130から見て伸長層120側とは反対側に、さらに透光性の外表面層がラミネート加工により設けられていてもよい。
【0034】
保形層130の厚さは、たとえば12μm以上130μm以下である。基材層140の厚さは、たとえば12μm以上120μm以下である。基材層140を構成する材料は特に限定されないが、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)もしくは二軸延伸ポリプロピレン(OPP)などの樹脂材料を主成分とする樹脂組成物、または、紙などが挙げられる。印刷層150を構成する材料としては、たとえば水性インキ、溶剤揮発型インキ、UV光(紫外光)の照射により硬化可能な従来から公知のUV硬化インキ樹脂等のインキ樹脂が挙げられる。印刷層150は、視認性向上の観点から不透光性の材料で構成されていることが好ましい。印刷層150は、単色で構成されていてもよく、複数色を組み合わせて構成されていてもよい。当該複数色により、文字、図形または記号が視認可能に形成されていてもよい。
【0035】
接着層160は、伸長層120と保形層130との間に位置し、これらを互いに接続する。本実施形態において、接着層160は伸長層120および保形層130の各々と直接接するように積層されている。しかしながら、接着層160と伸長層120との間、または、接着層160と保形層130との間に、他の追加の層が位置していてもよい。
【0036】
接着層160は、粘着層110より剥離強度が強い。これにより、収容部10から粘着層110を剥がそうとしたときに、伸長層120と保形層130とが互いに層間剥離することを抑制できる。
【0037】
接着層160の厚さは、たとえば、1μm以上20μm以下である。接着層160を構成する材料は、たとえば、アクリル系樹脂またはゴム系のような樹脂を主成分とする粘着剤組成物が挙げられる。接着層160の剥離強度は、9N/25mm以上30N/25mm以下である。当該剥離強度の試験方法は、上述した粘着層110の剥離強度試験と同様である。
【0038】
接着層160は、第1接着部161と第2接着部162とを有している。積層方向から見て、第1接着部161および第2接着部162は互いに隣り合い、かつ、離間可能に形成されている。積層方向から見て、第1接着部161および第2接着部は、それぞれ、第1保形部131および第2保形部132に対応するように位置している。
【0039】
接着層160においては、第1接着部161および第2接着部162の間に保形層130から連続するようにスリットSが設けられている。接着層160において、スリットSは貫通しておらず、第1接着部161および第2接着部162は互いに切り離されていない。なお、スリットSが貫通していることにより、第1接着部161および第2接着部162が互いに完全に切り離されていてもよい。
【0040】
次に、収容部10の開口15が封止された状態を、ラベル100により維持させる方法について説明する。
【0041】
図4は、図3のラベルについて第1保形部および第2保形部を互いに離間させた状態の構成を示す部分断面図である。図4に示すように、第1保形部131および第2保形部132を面内方向に互いに離間させたとき、伸長層120は、積層方向から見て第1保形部131および第2保形部132の間で伸長する。粘着層110は、伸長層120に追従して伸長する。なお、本実施形態においては伸長層120が粘着層110の支持面112上に直接積層しているため、粘着層110が伸長する際に粘着層110の破断が伸長層120により抑制される。一方、接着層160は、第1接着部161と第2接着部162との間で破断し、第1保形部131および第2保形部132のそれぞれに対応するように第1接着部161および第2接着部162も上記面内方向に離間する。このようにして、開口15が封止されている状態において、ラベル100のうち第1保形部131を含む部分を収容部10(本実施形態においては、蓋部12)に付着させたまま、第2保形部132を第1保形部131から面内方向に離間させる。なお、ラベル100のうち第1保形部131を含む部分とは、換言すれば、積層方向から見て少なくとも第1保形部131と重なっている部分である。
【0042】
図5は、図4のラベル全体を再度収容部に付着させた状態の構成を示す部分断面図である。図4および図5に示すように、開口15が封止されている状態において、ラベル100のうち第1保形部131を含む部分を収容部10(本実施形態においては、蓋部12)に付着させたまま、第2保形部132を第1保形部131から面内方向に離間させた後に、第2保形部132を含む部分を、再度、収容部10(本実施形態においては、本体部11)に付着させる。また、必要に応じて、伸長層120および粘着層110を屈曲させてもよい。結果として、ラベル100が、開口15を跨いで、蓋部12および本体部11にそれぞれ付着している。このようにして、収容体1において、開口15が封止された状態を維持させることができる。
【0043】
上記のように、本実施形態に係るラベル100は、複数の層が互いに積層することで構成されている。当該ラベル100は、粘着層110と、伸長層120と、保形層130とを備えている。粘着層110は、粘着面111を有している。伸長層120は、積層方向に交差する面内方向に伸長可能である。伸長層120は、粘着層110から見て粘着面111側とは反対側に位置している。保形層130は、粘着層110および伸長層120を保形する。保形層130は、粘着層110から見て粘着面111側とは反対側に位置している。保形層130は、面内方向に互いに隣り合い、かつ、離間可能な第1保形部131および第2保形部132を有している。第1保形部131および第2保形部132を面内方向に互いに離間させたとき、伸長層120は、積層方向から見て第1保形部131および第2保形部132の間で伸長するように構成されている。これにより、第1保形部131を含む部分を所定箇所に付着させたまま、第2保形部132を第1保形部131から面内方向に離間させ、第2保形部132を含む部分を所望の他の箇所に付着させることができる。そして、粘着層110のうち、第1保形部131および第2保形部132のそれぞれに積層している部分は、伸長層120の伸長に伴う変形が抑制される。すなわち、一部分を所定の箇所に付着させた状態で、変形による粘着力の低下を抑制させつつ他の一部分を所望の他の箇所に付着させることが可能なラベルを提供できる。
【0044】
本実施形態において、粘着層110は、伸長層120に追従して伸長可能に構成されている。これにより、第1保形部131および第2保形部132を面内方向に互いに離間させたとき、粘着層110による伸長層120の伸びの阻害が抑制される。ひいては、伸長層120が、積層方向から見て第1保形部131および第2保形部132の間でより容易に伸長できる。また、粘着層110のうち積層方向から見て第1保形部131および第2保形部132の間に位置する部分は、変形するもののある程度の粘着力が維持される。このため、ラベルの100の粘着面積を拡げることができる。ひいては、ラベル100を再封用ラベルとして用いる場合には、ラベル100の粘着面積の拡大により、第1保形部131に対応する部分または第2保形部132に対応する部分の貼り付け位置を微調整する作業の発生を低減できる。
【0045】
本実施形態において、保形層130は、基材層140と、粘着層110からみて伸長層120側の外部から視認可能となるように基材層140に積層された印刷層150とを有している。これにより、ラベル100の美観が向上する。
【0046】
本実施形態に係るラベル100は、繰り返し封止される開口15を形成可能な収容部10を有する収容体1において、開口15と重ならないように粘着面111で収容部10に付着され、収容部10にて前記開口15が封止されている状態において、第1保形部131を含む部分を収容部10に付着させたまま、第2保形部132を第1保形部131から上記面内方向に離間させた後に第2保形部132を含む部分を収容部10に付着させることで、開口15が封止された状態を維持するための再封用ラベルである。このように、本実施形態に係るラベル100は、再封用ラベルとして好適に用いることができる。
【0047】
なお、本実施形態に係るラベル100は、上述の本体部11および蓋部12を備える収容部とは異なる収容部においても、同様に、開口が封止された状態を維持させるように付着させることができる。図6は、本発明の実施形態1の変形例に係る収容体を示す斜視図である。図6に示すように、本発明の実施形態1の変形例に係る収容体1aは、本発明の実施形態1に係るラベル100と、ピロー袋状の収容部10aとを有している。図6においては、ピロー袋状の収容部10aの一端がすでに開封され、開口15aが設けられた状態を示している。
【0048】
図7は、本発明の実施形態1の変形例に係る収容体を再封した状態を示す斜視図である。図6および図7に示すように、本変形例においては、たとえばピロー袋状の収容部10aの開口15a側の一端を丸めることで、開口15aを封止する。この状態において、本発明の実施形態1に係る収容体1と同様に、ラベル100のうち第1保形部131を含む部分を収容部10aに付着させたまま、第2保形部132を第1保形部131から面内方向に離間させる。そうすると、伸長層120は、積層方向から見て第1保形部131および第2保形部132の間で伸長する。その後、収容部10a(本変形例においては、丸められた開口15a側の一端)に、ラベル100のうち第2保形部132を含む部分を、再度、付着させる。このようにして、収容体1aにおいて、開口15aが封止された状態を維持させることができる。このとき、第1保形部131を含む部分は変形による剥離が抑制され、第2保形部132を含む部分は使用者が容易につまめるため、使用者は容易にラベル100を引き延ばして第2保形部132を含む部分を収容部10aに貼り付けることができる。
【0049】
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2に係るラベルおよび収容体について説明する。本発明の実施形態2に係るラベルおよび収容体は、主に粘着層の構成が、本発明の実施形態1に係るラベル100と異なっている。よって、本発明の実施形態1に係るラベル100と同様の構成については説明を繰り返さない。
【0050】
図8は、本発明の実施形態2に係るラベルおよび収容体を示す部分断面図である。図8に示すように、本発明の実施形態2に係るラベル200において、粘着層210は、上記面内方向に互いに離間可能な第1粘着部213および第2粘着部214を有している。第1粘着部213は、第1保形部131に積層されている。第2粘着部214は、第2保形部132に積層されている。これにより、第1保形部131および第2保形部132を面内方向に互いに離間させたとき、第1粘着部213および第2粘着部214も互いに離間するため、伸長層220が、積層方向から見て第1保形部131および第2保形部132の間でより容易に伸長できる。
【0051】
本実施形態において、伸長層220は、ラベル200において粘着層210側とは反対側において外部に露出するように位置している。保形層130の印刷層150を、粘着層210からみて伸長層220側の外部から視認可能とするため、伸長層220は、透光性を有していることが好ましい。また、保形層130は、粘着層210の支持面212上に直接積層されている。
【0052】
接着層260は、本発明の実施形態1のようにスリットが設けられておらず、一様の厚みを有している。しかしながら、接着層260は、本発明の実施形態1と同様に、スリットが設けられることで、第1接着部と第2接着部とを有していてもよい。接着層260は、伸長層220に追従して、上記面内方向に伸縮可能、かつ、伸長層220に追従して屈曲可能に構成されている。また、保形層130の印刷層150を、粘着層210からみて伸長層220側の外部から視認可能とするため、接着層260は、透光性を有していることが好ましい。
【0053】
次に、収容部10の開口15が封止された状態を、ラベル200により維持させる方法について説明する。
【0054】
図9は、図8のラベルについて第1保形部および第2保形部を互いに離間させた状態の構成を示す部分断面図である。図9に示すように、第1保形部131および第2保形部132を面内方向に互いに離間させたときに、第1粘着部213および第2粘着部214も互いに離間するため、伸長層220は容易に伸長する。なお、接着層260は、伸長層220に追従して伸長する。
【0055】
図10は、図9のラベル全体を再度収容部に付着させた状態の構成を示す部分断面図である。図9および図10に示すように、本実施形態においても、開口15が封止されている状態において、ラベル200のうち第1保形部131を含む部分を収容部10(本実施形態においては、蓋部12)に付着させたまま、第2保形部132を第1保形部131から面内方向に離間させた後に、第2保形部132を含む部分を、再度、収容部10(本実施形態においては、本体部11)に付着させる。必要に応じて、伸長層220および接着層260を屈曲させてもよい。結果として、ラベル200が、開口15を跨いで、蓋部12および本体部11にそれぞれ付着している。このようにして、本実施形態においても、開口15が封止された状態を維持させることができる。
【0056】
なお、本実施形態において露出した接着層260も収容部10に接触しているが、接着層260は粘着力を有していてもよいし、有していなくてもよい。接着層260が粘着力を有する場合、伸長層220側と反対側に露出した接着層260の粘着力は粘着層210より低くなっている。
【0057】
また、第1粘着部213および第2粘着部214の剥離強度が、互いに異なっていてもよい。たとえば、第1粘着部213の剥離強度が第2粘着部214の剥離強度より大きい場合には、作業者が第2粘着部214を収容部10から剥離させる際に、収容部10から第1粘着部213が剥離することをさらに抑制できる。
【0058】
(実施形態3)
以下、本発明の実施形態3に係るラベルについて説明する。本発明の実施形態3に係るラベルは、補助層をさらに備える点で本発明の実施形態1に係るラベル100と異なっている。よって、本発明の実施形態1に係るラベルと同様の構成については説明を繰り返さない。
【0059】
図11は、本発明の実施形態3に係るラベルを示す断面図である。図11に示すように、本発明の実施形態3に係るラベル300は、補助層370をさらに備える。補助層370は、伸長層120と接着層160との間の一部に位置している。また、補助層370は、積層方向から見て、第1保形部131と第2保形部132との間を跨ぐように位置している。補助層370は、接着層160より破断しやすい材料で構成されている。これにより、第1保形部131および第2保形部132を互いに離間させたときに、補助層370が第1保形部131と第2保形部132のそれぞれに対応するように優先的に破断することで、接着層160も容易に破断させることができる。また、ラベル300の製造時においては、各層を積層させた後にスリットSをスリット刃により形成する際に、スリット刃が伸長層120に到達することを抑制できる。
【0060】
なお、補助層370の厚さはたとえば5μmである。補助層370を構成する材料は、たとえばポリエチレンまたはポリエチレンテレフタラートである。
【0061】
(実施形態4)
以下、本発明の実施形態4に係るラベルについて説明する。本発明の実施形態4に係るラベルは、保護層をさらに備える点で本発明の実施形態1に係るラベル100と異なっている。よって、本発明の実施形態1に係るラベルと同様の構成については説明を繰り返さない。
【0062】
図12は、本発明の実施形態4に係るラベルを示す断面図である。図12に示すように、本発明の実施形態4に係るラベル400は、保護層480をさらに備える。保護層480は、粘着層110の粘着面111上に剥離可能に位置している。また、積層方向から見て、第2保形部132と重なるように位置している。これにより、第2保形部132を第1保形部131から離間させるときに、第2保形部132側の粘着層110の粘着面111が保護され、粘着力の低下を抑制できる。また、使用者は、保護層480側および第2保形部132側の両側からラベル400(第2保形部132を含む部分)を容易につまむことができる。なお、ラベル400の第2保形部132側の部分を付着させる際には、保護層480を剥離すればよい。
【0063】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
1,1a 収容体、10,10a 収容部、11 本体部、12 蓋部、15,15a 開口、100,200,300,400 ラベル、110,210 粘着層、111 粘着面、112,212 支持面、120,220 伸長層、130 保形層、131 第1保形部、132 第2保形部、140 基材層、150 印刷層、160,260 接着層、161 第1接着部、162 第2接着部、213 第1粘着部、214 第2粘着部、370 補助層、480 保護層、S スリット。
図1
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図12