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特開2023-84947画像処理装置及びそれを備えた眼科装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084947
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】画像処理装置及びそれを備えた眼科装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20230613BHJP
【FI】
A61B3/10 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199358
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】501299406
【氏名又は名称】株式会社トーメーコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸谷 皇太
(72)【発明者】
【氏名】杉山 聡
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA09
4C316AB02
4C316AB08
4C316AB11
4C316AB16
4C316FB05
4C316FB12
4C316FB13
4C316FB16
4C316FB21
4C316FB24
(57)【要約】
【課題】被検眼の同一の部位から取得した複数の画像を容易に比較し、かつ、細部を容易に確認する。
【解決手段】 画像処理装置は、被検眼の特定部位を撮影することで得られる第1の撮影画像を入力する第1画像入力部と、被検眼の特定部位を撮影することで得られる第2の撮影画像を入力する第2画像入力部と、第1の撮影画前記第2の撮影画像を合成した合成画像を表示する表示部と、を備えている。合成画像は、第1の境界線によって少なくとも第1の領域と第2の領域とに分割されている。第1の領域には、第1の撮影画像の一部であって、特定部位のうち第1の領域に対応する部分が少なくとも表示される。第2の領域には、第2の撮影画像の一部であって、特定部位のうち第2の領域に対応する部分が少なくとも表示される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼を撮影した画像を処理する画像処理装置であり、
被検眼の特定部位を撮影することで得られる第1の撮影画像を入力する第1画像入力部と、
前記被検眼の前記特定部位を撮影することで得られる第2の撮影画像を入力する第2画像入力部と、
前記第1の撮影画像と前記第2の撮影画像を合成した合成画像を表示する表示部と、を備え、
前記合成画像は、第1の境界線によって少なくとも第1の領域と第2の領域とに分割されており、
前記第1の領域には、前記第1の撮影画像の一部であって、前記特定部位のうち前記第1の領域に対応する部分が少なくとも表示され、
前記第2の領域には、前記第2の撮影画像の一部であって、前記特定部位のうち前記第2の領域に対応する部分が少なくとも表示され、
前記第1の領域に表示される画像は、前記第2の領域に表示される画像とは異なる、画像処理装置。
【請求項2】
前記第1の境界線の位置を入力する第1境界線入力部と、をさらに備え、
前記第1の領域は、前記合成画像を前記第1の境界線で分割した2つの領域の一方であり、
前記第2の領域は、前記合成画像を前記第1の境界線で分割した2つの領域の他方であり、
前記第1境界線入力部は、オペレータによって操作可能とされ、前記第1の境界線の位置が変更可能となっている、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記被検眼の前記特定部位を撮影することで得られる第3の撮影画像を入力する第3画像入力部と、をさらに備え、
前記表示部は、前記第1の撮影画像と前記第2の撮影画像と前記第3の撮影画像を合成した合成画像を表示し、
前記合成画像は、前記第1の境界線と第2の境界線によって少なくとも前記第1の領域と前記第2の領域と第3の領域に分割されており、
前記第3の領域には、前記第3の撮影画像の一部であって、前記特定部位のうち前記第3の領域に対応する部分が少なくとも表示される、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1の境界線の位置を入力する第1境界線入力部と、
前記第2の境界線の位置を入力する第2境界線入力部と、をさらに備え、
前記第1境界線入力部は、オペレータによって操作可能とされ、前記第1の境界線の位置が変更可能となっており、
前記第2境界線入力部は、オペレータによって操作可能とされ、前記第2の境界線の位置が変更可能となっている、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1の領域と前記第2の領域と前記第3の領域の少なくとも1つには、前記第1の撮影画像と前記第2の撮影画像と前記第3の撮影画像のうち少なくとも2つの撮影画像を重畳した重畳画像が表示され、
前記第1の領域に前記重畳画像が表示されるときは、前記第1の撮影画像の一部であって前記特定部位のうち前記第1の領域に対応する部分と、前記第2の撮影画像と前記第3の撮影画像の少なくとも1つの撮影画像の一部であって前記特定部位のうち前記第1の領域に対応する部分と、を重畳した画像が前記第1の領域に表示され、
前記第2の領域に前記重畳画像が表示されるときは、前記第2の撮影画像の一部であって前記特定部位のうち前記第2の領域に対応する部分と、前記第1の撮影画像と前記第3の撮影画像の少なくとも1つの撮影画像の一部であって前記特定部位のうち前記第2の領域に対応する部分と、を重畳した画像が前記第2の領域に表示され、
前記第3の領域に前記重畳画像が表示されるときは、前記第3の撮影画像の一部であって前記特定部位のうち前記第3の領域に対応する部分と、前記第1の撮影画像と前記第2の撮影画像の少なくとも1つの撮影画像の一部であって前記特定部位のうち前記第3の領域に対応する部分と、を重畳した画像が前記第3の領域に表示される、請求項3又は4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記被検眼の前記特定部位を撮影することで得られる第3の撮影画像を入力する第3画像入力部と、をさらに備え、
前記表示部は、前記第1の撮影画像と前記第2の撮影画像と前記第3の撮影画像を合成した合成画像を表示し、
前記合成画像は、矩形状の画像であり、X軸方向に伸びる一対の第1の辺と、Y軸方向に伸びる一対の第2の辺を備えており、
前記合成画像は、前記第1の境界線及び第2の境界線によって複数の領域に分割され、
前記第1の境界線と前記第2の境界線のそれぞれは、前記一対の第1の辺又は前記一対の第2の辺と平行に伸びる直線であり、
前記合成画像のうち、前記第1の境界線と、前記第1の境界線と平行となる前記一対の第1の辺又は前記一対の第2の辺の一方とで挟まれた領域には、当該領域に対応する前記第1の撮影画像の一部と前記第2の撮影画像の一部とが重畳表示され、
前記合成画像のうち、前記第2の境界線と、前記第1の境界線と平行となる前記一対の第1の辺又は前記一対の第2の辺の他方とで挟まれた領域には、当該領域に対応する前記第2の撮影画像の一部と前記第3の撮影画像の一部とが重畳表示され、
前記第1の境界線が前記一対の第1の辺又は前記一対の第2の辺の一方側に位置し、かつ、前記第2の境界線が前記一対の第1の辺又は前記一対の第2の辺の他方側に位置するときは、前記第1の境界線と前記第2の境界線とで挟まれた領域には、当該領域に対応する前記第2の撮影画像の一部が表示され、
前記第1の境界線が前記一対の第1の辺又は前記一対の第2の辺の他方側に位置し、かつ、前記第2の境界線が前記一対の第1の辺又は前記一対の第2の辺の一方側に位置するときは、前記第1の境界線と前記第2の境界線とで挟まれた領域には、当該領域に対応する前記第1の撮影画像の一部と前記第2の撮影画像の一部と前記第3の撮影画像の一部とが重畳表示される、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第1の撮影画像は、偏光型OCTで前記被検眼を撮影することで得られる複屈折画像であり、
前記第2の撮影画像は、偏光型OCTで前記被検眼を撮影することで得られる光散乱強度画像であり、
前記第3の撮影画像は、偏光型OCTで前記被検眼を撮影することで得られるエントロピー画像である、請求項3~6のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
被検眼を撮影する偏光型OCTと、
前記偏光型OCTで前記被検眼の特定部位を撮影することで複数の画像を生成する画像生成部と、
画像生成部で生成された複数の画像を処理する請求項1~7のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
を備える眼科装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、被検眼を撮影した画像を処理する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科装置では、患者の症状に応じて被検眼の特定部位(例えば、水晶体、網膜等)が撮影される。この際、被検眼の状態を詳細に把握するために、同一の部位を撮影した画像データを処理することで複数の画像を取得することがある。例えば、特許文献1の偏光型OCTでは、同一の部位を撮影した画像データから複数の画像(例えば、断層画像、複屈折画像、エントロピー画像)が取得される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-57197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、同一の部位から取得した複数の画像を1枚ずつ1つの画面に表示したり、あるいは、複数の画像を1つの画面に同時に表示したりしていた。複数の画像を1枚ずつ1つの画面に表示する場合は、1枚の画像が大きく表示されるため細部の確認を容易に行うことができるが、複数の画像を比較することは難しい。一方、複数の画像を1つの画面に同時に表示する場合は、複数の画像を比較することは容易となるが、複数の画像のそれぞれが小さく表示されるため、各画像の細部を確認することは難しい。
【0005】
本明細書は、同一の部位から取得した複数の画像を容易に比較することができると共に、複数の画像の細部を容易に確認することができる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示する画像処理装置は、被検眼を撮影した画像を処理する。この画像処理装置は、被検眼の特定部位を撮影することで得られる第1の撮影画像を入力する第1画像入力部と、被検眼の特定部位を撮影することで得られる第2の撮影画像を入力する第2画像入力部と、第1の撮影画像と第2の撮影画像を合成した合成画像を表示する表示部と、を備えている。合成画像は、第1の境界線によって少なくとも第1の領域と第2の領域とに分割されている。第1の領域には、第1の撮影画像の一部であって、特定部位のうち第1の領域に対応する部分が少なくとも表示される。第2の領域には、第2の撮影画像の一部であって、特定部位のうち第2の領域に対応する部分が少なくとも表示される。第1の領域に表示される画像は、第2の領域に表示される画像とは異なる。
【0007】
上記の画像処理装置では、被検眼の特定部位を撮影することで得られる第1の撮影画像と第2の撮影画像とを合成した合成画像が表示部に表示される。合成画像は、第1の境界線によって第1の領域と第2の領域に分割され、第1の領域には第1の撮影画像の一部(特定部位のうち第1の領域に対応する部分)が表示され、第2の領域には第2の撮影画像の一部(特定部位のうち第2の領域に対応する部分)が表示される。第1の撮影画像の一部と第2の撮影画像の一部とが合成されて表示されるため、撮影画像の縮尺が小さくなることを抑制することができる。このため、撮影画像の細部を容易に確認することができる。また、第1の撮影画像と第2の撮影画像が同時に表示されるため、これらの画像を容易に比較することができる。
【0008】
また、本明細書に開示する眼科装置は、被検眼を撮影する偏光型OCTと、偏光型OCTで被検眼の特定部位を撮影することで複数の画像を生成する画像生成部と、画像生成部で生成された複数の画像を処理する、本明細書に開示する画像処理装置と、を備える。
【0009】
上記の眼科装置では、偏光型OCTで被検眼の特定部位を撮影することで生成される複数の画像が、本明細書に開示する画像処理装置を用いて表示される。複数の画像が同時に表示されると共に、複数の画像の縮尺(サイズ)が小さくなることが抑制される。このため、複数の画像の細部を容易に確認でき、かつ、複数の画像を容易に比較することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例に係る眼科装置の概略構成を示すブロック図。
図2】実施例に係る眼科装置の表示装置に表示される画像の一例。
図3】実施例に係る眼科装置の表示装置に表示される画像の他の一例。
図4】実施例に係る眼科装置の表示装置に表示される画像の他の一例。
図5図4に示す画像の一部を拡大して示す図。
図6図5に示す画像において境界線の位置を変更したときに表示される画像。
図7図6に示す画像において境界線の位置を変更したときに表示される画像。
図8】境界線の位置を変更しながら画像の細部を確認するときに表示される画像の一例。
図9】境界線の位置を変更しながら画像の細部を確認するときに表示される画像の他の例。
図10図4に表示されるアンファス画像(Enface画像)の拡大図。
図11】表示装置に表示される他のアンファス画像(OCT-A画像)の一例。
図12】表示装置に表示される他のアンファス画像(Enface画像)の一例。
図13】表示装置に表示される他のアンファス画像(Enface画像)の他の例。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【0012】
本明細書が開示する画像処理装置では、第1の境界線の位置を入力する第1境界線入力部と、をさらに備えてもよい。第1の領域は、合成画像を第1の境界線で分割した2つの領域の一方であり、第2の領域は、合成画像を第1の境界線で分割した2つの領域の他方であってもよい。第1境界線入力部は、オペレータによって操作可能とされ、第1の境界線の位置が変更可能となっていてもよい。このような構成によると、第1の境界線の位置を変更しながら第1の撮影画像と第2の撮影画像を比較することができる。
【0013】
本明細書が開示する画像処理装置では、被検眼の特定部位を撮影することで得られる第3の撮影画像を入力する第3画像入力部と、をさらに備えてもよい。表示部は、第1の撮影画像と第2の撮影画像と第3の撮影画像を合成した合成画像を表示してもよい。合成画像は、第1の境界線と第2の境界線によって少なくとも第1の領域と第2の領域と第3の領域に分割されていてもよい。第3の領域には、第3の撮影画像の一部であって、特定部位のうち第3の領域に対応する部分が少なくとも表示されてもよい。このような構成によると、第1の撮影画像と第2の撮影画像と第3の撮影画像のそれぞれを容易に比較することができる。
【0014】
本明細書が開示する画像処理装置では、第1の境界線の位置を入力する第1境界線入力部と、第2の境界線の位置を入力する第2境界線入力部と、をさらに備えてもよい。第1境界線入力部は、オペレータによって操作可能とされ、第1の境界線の位置が変更可能となっていてもよい。第2境界線入力部は、オペレータによって操作可能とされ、第2の境界線の位置が変更可能となっていてもよい。このような構成によると、2つの境界線の位置を変更しながら第1の撮影画像と第2の撮影画像と第3の撮影画像を比較することができる。
【0015】
本明細書が開示する画像処理装置では、第1の領域と第2の領域と第3の領域の少なくとも1つには、第1の撮影画像と第2の撮影画像と第3の撮影画像のうち少なくとも2つの撮影画像を重畳した重畳画像が表示されてもよい。第1の領域に重畳画像が表示されるときは、第1の撮影画像の一部であって特定部位のうち第1の領域に対応する部分と、第2の撮影画像と第3の撮影画像の少なくとも1つの撮影画像の一部であって特定部位のうち第1の領域に対応する部分と、を重畳した画像が第1の領域に表示されてもよい。第2の領域に重畳画像が表示されるときは、第2の撮影画像の一部であって特定部位のうち第2の領域に対応する部分と、第1の撮影画像と第3の撮影画像の少なくとも1つの撮影画像の一部であって特定部位のうち第2の領域に対応する部分と、を重畳した画像が第2の領域に表示されてもよい。第3の領域に重畳画像が表示されるときは、第3の撮影画像の一部であって特定部位のうち第3の領域に対応する部分と、第1の撮影画像と第2の撮影画像の少なくとも1つの撮影画像の一部であって特定部位のうち第3の領域に対応する部分と、を重畳した画像が第3の領域に表示されてもよい。このような構成によると、複数の撮影画像を重畳した重畳画像を表示することで、複数の撮影画像を容易に比較することができる。
【0016】
本明細書が開示する画像処理装置では、被検眼の特定部位を撮影することで得られる第3の撮影画像を入力する第3画像入力部と、をさらに備えてもよい。表示部は、第1の撮影画像と第2の撮影画像と第3の撮影画像を合成した合成画像を表示してもよい。合成画像は、矩形状の画像であり、X軸方向に伸びる一対の第1の辺と、Y軸方向に伸びる一対の第2の辺を備えていてもよい。合成画像は、第1の境界線及び第2の境界線によって複数の領域に分割されていてもよい。第1の境界線と第2の境界線のそれぞれは、一対の第1の辺又は一対の第2の辺と平行に伸びる直線であってもよい。合成画像のうち、第1の境界線と、第1の境界線と平行となる一対の第1の辺又は一対の第2の辺の一方とで挟まれた領域には、当該領域に対応する第1の撮影画像の一部と第2の撮影画像の一部とが重畳表示されてもよい。合成画像のうち、第2の境界線と、第1の境界線と平行となる一対の第1の辺又は一対の第2の辺の他方とで挟まれた領域には、当該領域に対応する第2の撮影画像の一部と第3の撮影画像の一部とが重畳表示されてもよい。第1の境界線が一対の第1の辺又は一対の第2の辺の一方側に位置し、かつ、第2の境界線が一対の第1の辺又は一対の第2の辺の他方側に位置するときは、第1の境界線と第2の境界線とで挟まれた領域には、当該領域に対応する第2の撮影画像の一部が表示されてもよい。第1の境界線が一対の第1の辺又は一対の第2の辺の他方側に位置し、かつ、第2の境界線が一対の第1の辺又は一対の第2の辺の一方側に位置するときは、第1の境界線と第2の境界線とで挟まれた領域には、当該領域に対応する第1の撮影画像の一部と第2の撮影画像の一部と第3の撮影画像の一部とが重畳表示されてもよい。このような構成によっても、複数の撮影画像を容易に比較することができる。
【0017】
本明細書が開示する画像処理装置では、第1の撮影画像は、偏光型OCTで被検眼を撮影することで得られる複屈折画像であってもよい。第2の撮影画像は、偏光型OCTで被検眼を撮影することで得られる光散乱強度画像であってもよい。第3の撮影画像は、偏光型OCTで被検眼を撮影することで得られるエントロピー画像であってもよい。
【実施例0018】
以下、本実施例に係る眼科装置について説明する。本実施例に係る眼科装置は、偏光型OCT20と、偏光型OCT20で検出される干渉信号から複数の画像を生成し、それら生成した複数の画像を合成する演算装置10と、演算装置10で生成及び/又は合成された画像を表示する表示装置24と、演算装置20にオペレータの指示を入力するための入力装置22と、を備える。なお、本実施例では、演算装置10と表示装置24と入力装置22によって、本明細書に開示する「画像処理装置」の一例が構成されている。
【0019】
偏光型OCT20は、波長掃引型の光源を用いたフーリエドメイン方式のOCT(swept-source optical coherence tomography:SS-OCT)であって、被検眼の偏光特性を捉えることが可能な偏光感受型OCT(polarization-sensitive OCT:PS-OCT)である。偏光型OCT20は、光源から出力される光を被検眼に照射することで得られる測定光(被検眼からの反射光)と、光源から出力される光から生成される参照光とを合波して干渉光を生成し、生成した干渉光を検出する。偏光型OCT20で検出された干渉光は、干渉信号(すなわち、画像データ)に変換されて演算装置10に入力される。本実施例の偏光型OCT20では、光源からの光が垂直偏光成分と水平偏光成分に分割されて第1照射光と第2照射光が生成されると共に、光源からの光が垂直偏光成分と水平偏光成分に分割されて第1参照光と第2参照光が生成される。そして、第1照射光を被検眼に照射することで得られる第1測定光の垂直偏光成分と第1参照光とを合波することによる第1干渉光と、第1測定光の水平偏光成分と第1参照光とを合波することによる第2干渉光を生成する。同様に、第2照射光を被検眼に照射することで得られる第2測定光の垂直偏光成分と第2参照光とを合波することによる第3干渉光と、第2測定光の水平偏光成分と第2参照光とを合波することによる第4干渉光を生成する。したがって、偏光型OCT20は、被検眼の同一部位から第1~第4干渉光を生成し、それら第1~第4干渉光から得られる第1~第4干渉信号を演算装置10に入力する。また、偏光型OCT20は、被検眼の前眼部画像を撮影するカメラ(図示省略)や、眼底画像を撮影するカメラ(図示省略)を備えており、これらカメラで撮影された画像も演算装置10に入力される。なお、偏光型OCT20の構成については、公知の構成(例えば、特開2016-57197号公報に開示の構成)を採用することができるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0020】
演算装置10は、CPU,ROM,RAMを備えたコンピュータによって構成することができ、ROMに記憶されたプログラムを実行することで、偏光型OCT20に被検眼を撮影する撮影処理を実行させたり、被検眼を撮影することで得られる断層画像等を表示装置24に表示させる表示処理を実行させたりする。すなわち、演算装置10は、画像生成部12と画像合成部14と画像記憶部16として機能する。
【0021】
画像生成部12は、偏光型OCT20から入力される第1~第4干渉信号に対してフーリエ変換処理等の演算処理を行うことで、被検眼の同一部位から4つの偏光特性(HH、HV、VH、VV)を有する断層画像を生成する。また、画像生成部12は、被検眼に垂直波を照射することによって撮影される断層画像(VH,VV断層画像)と、被検眼に水平波を照射することによって撮影される断層画像(HH,HV断層画像)とを用いることによって、被検眼内の組織を光の散乱強度で示す断層画像(いわゆる、通常の断層画像(以下、光散乱強度断層画像という))だけでなく、被検眼内のエントロピーを示す断層画像(以下、エントロピ―断層画像という)と、被検眼内の複屈折を示す断層画像(以下、複屈折断層画像という)、被検眼内の線維の走行方向を示す断層画像、被検眼内の血流を示す断層画像等を生成することができる。なお、4つの偏光特性(HH、HV、VH、VV)を有する断層画像から各種の断層画像を生成する処理については、公知の方法で生成することができるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0022】
画像合成部14は、画像生成部12で生成される各種断層画像を合成(本明細書において、「合成」には後で詳述する「重畳」が含まれる)することで、表示装置24に表示される画像を生成する。表示装置24に表示される画像の具体例については、後で詳述する。なお、画像生成部12及び画像合成部14で生成される各種画像データは、被検眼を特定するための識別情報(例えば、患者ID等)や撮影日等のデータと共に画像記憶部16に記憶される。
【0023】
表示装置24は、画像生成部12及び/又は画像合成部14から出力される画像を表示する。オペレータは、表示装置24に表示される画像から被検眼の状態を把握することができる。
【0024】
入力装置22は、キーボードやマウス等のポインティングデバイスによって構成される。オペレータが入力装置22を介して演算装置20に指示を入力することで、偏光型OCT20に被検眼を撮影する処理を実行させ、あるいは、表示装置24に所望の画像を表示させることができる。なお、本実施例では、表示装置24と入力装置22とを別々の装置としたが、例えば、表示装置と入力装置とを兼用したタッチパネルディスプレイ等を用いてもよい。
【0025】
次に、表示装置24に表示される各種画像について説明する。上述したように本実施例の眼科装置は、被検眼の同一部位(例えば、網膜)を撮影することで、同一の部位から複数の画像(例えば、光散乱強度断層画像、エントロピー断層画像、複屈折断層画像等)を生成する。被検眼の同一部位から取得した複数の画像を比較することで、オペレータは被検眼の状態を詳細に把握することができる。
【0026】
図2は、表示装置24に表示される画像の一例を示している。図2に示す画像30では、被検眼の眼底画像32と、光散乱強度断層画像34と、エントロピー断層画像36と、複屈折断層画像38が同一画面に表示されている。眼底画像32は、偏光型OCT20で撮影された領域を示す矩形状の領域表示32aと、表示されている各種断層画像34,36,38の位置を示す直線状の位置表示32bを含んでいる。眼底画像32内に位置表示32bが表示されることで、オペレータは、被検眼の撮影領域(すなわち、領域表示32a)内のどの位置の断層画像が表示されているかを容易に把握することができる。光散乱強度断層画像34は、被検眼内の各組織から反射された光の散乱強度を示しており、光散乱強度断層画像34を解析することで得られる各組織の厚みを示すグラフ35が合わせて示されている。エントロピー断層画像36は、被検眼内の各組織のエントロピー値を示しており、エントロピー断層画像の特定部位におけるエントロピー値を示すグラフ37が合わせて示されている。具体的にグラフ37では、網膜色素上皮(Retinal Pigment Epithelium)におけるエントロピー値(平均値)を表示している。複屈折断層画像38は、被検眼内の各組織の複屈折値を示しており、複屈折断層画像の特定部位における複屈折値を示すグラフ39が合わせて示されている。具体的にグラフ39では、網膜における複屈折値(平均値)を表示している。図から明らかなように、画像30では、被検眼の同一断面における光散乱強度断層画像34とエントロピー断層画像36と複屈折断層画像38が同時に表示されているため、これらの断層画像を容易に比較することができる。一方、断層画像34,36,38のそれぞれのサイズは小さくなるため、これらの画像34,36,38の細部を確認することは難しい。
【0027】
そこで、本実施例の眼科装置では、オペレータが入力装置22から所定の指示を入力すると、図3に示す画像30が表示装置24に表示される。図3に示す画像30では、光散乱強度断層画像34のみが拡大して表示され、光散乱強度断層画像34の右側に各グラフ25,37,39が表示される。図3から明らかなように、光散乱強度断層画像34が拡大して表示されるため、光散乱強度断層画像34の細部を確認することは容易となるが、エントロピー断層画像36や複屈折断層画像38との比較はできない。なお、図3に示すように、画像30には、光散乱強度断層画像34を分割する指示を入力するためのスプリットボタン40と、各種設定を行うツールボタン42がさらに表示されている。また、眼底画像32の下方には、領域表示32aで囲まれた部分のアンファス画像46が表示されている。アンファス画像46は、走査線毎に生成した光散乱強度断層画像34(すなわち、領域表示32aで囲まれた部分の全ての走査線について生成した複数の光散乱強度断層画像34)を処理することで生成される。なお、図3に示す画像30では、光散乱強度断層画像34が拡大して表示されたが、エントロピー断層画像36又は複屈折断層画像38が拡大して表示されてもよい。
【0028】
図3に示す画像30では、光散乱強度断層画像34のみが表示されるため、光散乱強度断層画像34と他の断層画像36,38との比較はできない。そこで、本実施例の眼科装置では、オペレータが入力装置22を操作して、画面内に表示されるポインタをスプリットボタン40上に移動させてクリックする。すると、表示装置24には、図4に示す画像が表示される。なお、図4では、図3に示す画像30のうち、眼底画像32とアンファス画像46と光散乱強度断層画像34に対応する部分のみが表示されている。すなわち、図4では、グラフ25,37,39の図示を省略している。
【0029】
図4から明らかなように、画像50は、第1境界線44と第2境界線46によって、3つの領域52,54,56に分割されている。第1境界線44及び第2境界線46は、矩形状の画像50の垂直方向(Y軸方向)に伸びる辺(すなわち、縦辺)と平行に伸びている。画像50は垂直方向(Y軸方向)に伸びる2つの境界線44,46によって分割されるため、分割された領域52,54,56のそれぞれも矩形状となり、これらの領域52,54,56は水平方向(X軸方向)に並んで配置されている。
【0030】
領域52(画像50の左側の縦辺と第1境界線44との間の領域)には、光散乱強度断層画像34と複屈折断層画像38が重畳して表示される。すなわち、領域52には、光散乱強度断層画像34のうち領域52に対応する部分と、複屈折断層画像38のうち領域52に対応する部分とが重畳して表示される。領域54(第1境界線44と第2境界線46との間の領域)には、光散乱強度断層画像34のみが表示される。すなわち、領域54には、光散乱強度断層画像34のうち領域54に対応する部分のみが表示される。領域56(画像50の右側の縦辺と第2境界線46との間の領域)には、光散乱強度断層画像34とエントロピー断層画像36が重畳して表示される。すなわち、領域56には、光散乱強度断層画像34のうち領域56に対応する部分と、エントロピー断層画像36のうち領域56に対応する部分とが重畳して表示される。
【0031】
図4、10に示すように、アンファス画像60も、上述した画像50と同様に、第1境界線44と第2境界線46によって、3つの領域62,64,66に分割されている。領域62には、領域62に対応する光散乱強度断層画像34で生成されたアンファス画像と、領域62に対応する複屈折断層画像38で生成されたアンファス画像とが重畳して表示される。領域64には、領域64に対応する光散乱強度断層画像34で生成されたアンファス画像が表示される。領域66には、領域66に対応する光散乱強度断層画像34で生成されたアンファス画像と、領域66に対応するエントロピー断層画像36で生成されたアンファス画像とが重畳して表示される。
【0032】
なお、図4から明らかなように、眼底画像32には、領域表示32aと位置表示32bの他にさらに第1境界線44を示す直線44aと、第2境界線46を示す直線46aとが表示されている。これによってオペレータは、第1境界線44と第2境界線46の位置を容易に把握することができる。
【0033】
ここで、本実施例の眼科装置では、第1境界線44の位置と第2境界線46の位置は、オペレータの操作によって移動させることができる。具体的には、オペレータが入力装置22を操作して、画面内のポインタを第1境界線44又は第2境界線46の上に移動させ、次いで、第1境界線44又は第2境界線46をドラッグする(クリックした状態で移動させる)。これによって、第1境界線44の位置と、第2境界線46の位置を所望の位置に移動させることができる。
【0034】
第1境界線44及び第2境界線44の位置を変更したときの画像50の変化について、図5~7を参照して説明する。図5に示すように、画像50では、第1境界線44と第2境界線46によって3つの領域52,54,56に分割されており、第1境界線44は、第2境界線46に対して左側に位置している。上述したように、図5に示す状態では、領域52には光散乱強度断層画像34と複屈折断層画像38が重畳して表示され、領域54には光散乱強度断層画像34のみが表示され、領域56には光散乱強度断層画像34とエントロピー断層画像36が重畳して表示されている。
【0035】
図5に示す状態から図6に示すように、第2境界線46の位置を第1境界線44に向かって移動させると、第2境界線46の移動に伴って領域54が狭くなる一方で、領域56が広くなる。その結果、領域54に表示される光散乱強度断層画像34の面積が狭くなり、領域56に表示される光散乱強度断層画像34とエントロピー断層画像36との重畳画像の面積が広くなる。
【0036】
次に、図7に示すように、第1境界線44を第2境界線46を超えて右側に移動させる。第1境界線44が第2境界線46を超えるまでは、第1境界線44が右側に移動するに伴って、光散乱強度断層画像34と複屈折断層画像38が重畳表示される領域52が広がる一方で、光散乱強度断層画像34のみが表示される領域54が狭くなる。第1境界線44が第2境界線46を超えてさらに右側に移動すると、第2境界線46の左側の領域52(第2境界線46と画像50の左側の縦辺との間の領域)では、光散乱強度断層画像34と複屈折断層画像38が重畳表示される。一方、第2境界線46と第1境界線44とで挟まれた領域54には、光散乱強度断層画像34とエントロピー断層画像36と複屈折断層画像38が重畳表示される。また、第1境界線44の右側の領域56(第1境界線44と画像50の右側の縦辺との間の領域)では、光散乱強度断層画像34とエントロピー断層画像36が重畳表示される。すなわち、本実施例では、第1境界線44によって複屈折断層画像38が表示される領域が制御され、第1境界線44より左側には複屈折断層画像38が表示され、第1境界線44より右側には複屈折断層画像38が表示されないようになっている。また、第2境界線46によってエントロピー断層画像36が表示される領域が制御され、第2境界線46より右側にはエントロピー断層画像36が表示され、第2境界線46より左側にはエントロピー断層画像36が表示されないようになっている。なお、全ての領域52,54,56に光散乱強度断層画像34が表示されている。
【0037】
なお、各領域52,54,56に複数の断層画像34,36,38を重畳表示する場合は、オペレータの操作によって、所望の順番で重畳することができる。具体的には、オペレータが入力装置22を操作して、ツールボタン42(図3に図示)をクリックする。すると、表示装置24に設定画面が表示され、複数の断層画像34,36,38を重畳する順番を設定することができる。例えば、光散乱強度断層画像34、エントロピー断層画像36、複屈折断層画像38の順に下から重畳することができる。あるいは、光散乱強度断層画像34、複屈折断層画像38、エントロピー断層画像36の順に下から重畳してもよい。
【0038】
また、本実施例では、第1境界線44によって複屈折断層画像38が表示される領域が制御され、第2境界線46によってエントロピー断層画像36が表示される領域が制御されたが、このような例に限られない。例えば、第1境界線44によってエントロピー断層画像36が表示される領域を制御し、第2境界線46によって複屈折断層画像38が表示される領域を制御してもよい。あるいは、第1境界線44又は第2境界線46によって、光散乱強度断層画像34が表示される領域を制御するようにしてもよい。
【0039】
本実施例の眼科装置では、光散乱強度断層画像34とエントロピー断層画像36と複屈折断層画像38とが同一画面に表示される状態(図2に示す状態)と、光散乱強度断層画像34と複屈折断層画像38とエントロピー断層画像36のいずれかを拡大して表示する状態(図3,4に示す状態)とに切替えられる。光散乱強度断層画像34と複屈折断層画像38とエントロピー断層画像36の細部を容易に確認することができると共に、これらの断層画像の比較を容易に行うことができる。特に、境界線44,46をオペレータが任意に位置に移動させることができるため、例えば、図8,9に示すように、領域54に示される光散乱強度断層画像34と、領域56に示される光散乱強度断層画像34とエントロピー断層画像36とを重畳した画像との境界の位置(境界線46の位置)を変化させながら、各画像34,36の細部を比較することができる。これによって、被検眼の組織の状態と、被検眼の断層画像の偏光状態とを容易に把握することができる。
【0040】
(対応関係) 演算装置10が、「第1画像入力部」と「第2画像入力部」と「第3画像入力部」の一例である。表示装置24が、「表示部」の一例である。領域52,54,56が、「第1の領域」と「第2の領域」と「第3の領域」の一例である。第1境界線44が「第1の境界線」の一例であり、第2境界線46が「第2の境界線」の一例である。入力装置22が、「第1境界線入力部」と「第2境界線入力部」の一例である。光散乱強度断層画像34と複屈折断層画像38とエントロピー断層画像36が、「第1の撮影画像」と「第2の撮影画像」と「第3の撮影画像」の一例である。
【0041】
なお、上記した実施例では、例えば、図4,10に示すように、アンファス画像60を第1境界線44と第2境界線46によって3つの領域62,64,66に分割し、これら3つの領域62,64,66に各種のアンファス画像を重畳表示していたが、本明細書に開示の技術は、このような例に限られない。例えば、図11に示すように、アンファス画像70を3つの境界線44,46,49で分割するようにしてもよい。図11に示す例では、領域66が第3境界線49で分割され、領域66aと領域66bとに分割されている。そして、領域66bには、光散乱強度断層画像34で生成されたアンファス画像と、エントロピー断層画像36で生成されたアンファス画像と、血管像を抽出したアンファス画像(いわゆる、OCT-A画像)とが重畳表示されている。すなわち、第3境界線49は、血管像を抽出したアンファス画像(いわゆる、OCT-A画像)を表示する領域を制御するための境界線であり、第3境界線49の位置を変更することで、血管像を抽出したアンファス画像(いわゆる、OCT-A画像)を表示する領域を調整することができる。すなわち、撮影画像を分割する数は、上述した3分割、4分割に限られず、任意の数(例えば、2分割、5分割以上)としてもよい。
【0042】
また、上述した実施例では、境界線44,46で分割した領域52,54,56には各種断層画像34,36,38を重畳した画像を表示したが、本明細書に開示の技術は、このような例に限られない。例えば、領域52には第1の断層画像のみを表示し、領域54には第1の断層画像とは異なる第2の断層画像のみを表示し、領域56には第1の断層画像や第2の断層画像とは異なる第3の断層画像のみを表示してもよい。すなわち、このような場合は、第1の断層画像と第2の断層画像と第3の断層画像を重畳することなく単に合成のみしている。このような例であっても、第1の断層画像と第2の断層画像と第3の断層画像を容易に比較することができる。
【0043】
また、上述した実施例では、同一のタイミングで撮影された複数の画像を比較した例であったが、本明細書に開示の技術は、このような例に限られない。例えば、時間を空けて撮影された同一被検眼の同一部位の2つの画像(例えば、手術前の被検眼の断層画像と、手術後の被検眼の断層画像)を比較できるように表示してもよい。すなわち、1つの画面を境界線によって2つの領域に分割し、一方の領域に一方の画像(例えば、手術前の被検眼の断層画像)を表示し、他方の領域に他方の画像(例えば、手術後の被検眼の断層画像)を表示するようにしてもよい。このような例によると、境界線の位置を変えながら2つの画像(例えば、手術前の被検眼の断層画像と、手術後の被検眼の断層画像)を比較することで、被検眼に対する手術による影響を詳細に評価することができる。
【0044】
また、上述した実施例では、偏光感受型のOCTが用いられていたが、このような構成に限定されない。光干渉断層法の種類は特に限定されるものではなく、例えば、偏光感受型でない光断層画像撮影装置であってもよい。また、本明細書に開示の技術は、OCT以外の眼科装置(例えば、眼底カメラ等)にも適用することができる。
【0045】
また、上述した実施例では、外形状が矩形となる断層画像を境界線で分割して表示する例であったが、本明細書に開示の技術はこのような例に限られない。例えば、図12に示すように、外形状が円形となる画像70(例えば、眼底画像)を境界線(例えば、円の中心から半径方向に伸びる線分)によって周方向に分割し、分割された各扇形の領域72,74,76に異なる画像を表示するようにしてもよい。この場合、境界線を周方向に移動させることで、扇形となる各領域72,74,76の角度範囲が変化し、その角度範囲の変化に応じて表示される画像が変化してもよい。あるいは、図13に示すように、外形状が円形となる画像80を境界線(例えば、同心円状の円)によって径方向に分割し、分割された各領域(円形領域86又はリング形状領域84a~84d,82a~82d)に異なる画像を表示するようにしてもよい。この場合、境界線を径方向に移動させることで、各領域86,84a~84d,82a~82dの径方向の位置範囲が変化し、その位置範囲の変化に応じて表示される画像が変化してもよい。さらには、複数の領域に分割されたチャート図において、領域毎に、当該領域に割り当てられた画像を表示するようにしてもよい。この場合、各領域の境界となる境界線の位置を変更することで、各領域の面積が変化し、その面積変化に応じて表示される画像の面積が変化してもよい。
【0046】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0047】
10:演算装置
12:画像生成部
14:画像合成部
16:画像記憶部
20:偏光型OCT
22:入力装置
24:表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13