(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008496
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】高温ガス生成装置および高温ガス生成方法
(51)【国際特許分類】
F23B 90/06 20110101AFI20230112BHJP
【FI】
F23B90/06
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112109
(22)【出願日】2021-07-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】599149175
【氏名又は名称】柴田 勝美
(71)【出願人】
【識別番号】518001357
【氏名又は名称】株式会社JRTEC
(71)【出願人】
【識別番号】518001368
【氏名又は名称】ベスト・アライアンス有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100159178
【弁理士】
【氏名又は名称】榛葉 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】柴田 勝美
(72)【発明者】
【氏名】並松 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】伊海 政子
【テーマコード(参考)】
3K046
【Fターム(参考)】
3K046AA05
3K046AA17
3K046AB03
3K046AC06
3K046BA01
3K046CA02
3K046FA06
(57)【要約】
【課題】燃料にバーク材や枝葉などの比較的燃焼しにくいバイオマス原料を含む場合でも、高温ガスを効率良く生成することができる、高温ガス生成装置および高温ガス生成方法を提供する。
【解決手段】第1燃料を完全燃焼しない空気量で不完全燃焼させる第1燃焼部10と、第2燃料を、第1燃焼部10により不完全燃焼させた第1燃料と共に、第1燃焼部10に供給した空気量よりも多い空気量で燃焼させる、第2燃焼部20と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1燃料を完全燃焼しない空気量で不完全燃焼させる第1燃焼部と、
第2燃料を、前記第1燃焼部により不完全燃焼させた前記第1燃料と共に、前記第1燃焼部に供給した空気量よりも多い空気量で燃焼させる、第2燃焼部と、を有する、高温ガス生成装置。
【請求項2】
前記第2燃焼部では、前記第2燃料を、前記第1燃焼部により不完全燃焼させた前記第1燃料と共に、前記第1燃料と第2燃料とを完全燃焼させる空気量よりも多い空気量で燃焼させる、請求項1に記載の高温ガス生成装置。
【請求項3】
前記第1燃焼部は、燃焼バーナーである、請求項1または2に記載の高温ガス生成装置。
【請求項4】
前記第2燃焼部で燃焼しなかった前記第1燃料および前記第2燃料の燃焼残渣物および/または前記第2燃焼部で生じた可燃性ガスを燃焼させる、第3燃焼部を、さらに有する、請求項1ないし3のいずれかに記載の高温ガス生成装置。
【請求項5】
前記第2燃焼部は、スクリューキルンと、当該スクリューキルン内に設置された複数の掻き板とを有し、
前記第2燃焼部において、前記スクリューキルンを回転させるとともに、前記複数の掻き板を前記スクリューキルンの回転軸を中心として旋回させることで、前記第1燃料および前記第2燃料を攪拌しながら燃焼させる、請求項1ないし4のいずれかに記載の高温ガス生成装置。
【請求項6】
前記第1燃料を前記第1燃焼部に投入するための第1燃料投入口と、
前記第2燃料を前記第2燃焼部に投入するための第2燃料投入口と、を有する、請求項1ないし5のいずれかに記載の高温ガス生成装置。
【請求項7】
前記第1燃料および前記第2燃料は、バイオマス原料である、請求項1ないし6のいずれかに記載の高温ガス生成装置。
【請求項8】
前記第1燃料は、5mm以下に破砕したバイオマス原料である、請求項1ないし7のいずれかに記載の高温ガス生成装置。
【請求項9】
前記第2燃料は、前記第1燃料よりも燃焼しにくい燃料、または、前記第1燃料よりも破砕しにくい燃料である、請求項1ないし8のいずれかに記載の高温ガス生成装置。
【請求項10】
高温燃焼ガスを生成する第1燃焼部と、
前記第1燃焼部で生成された高温燃焼ガスを用いて、燃料を燃焼させる第2燃焼部と、を有し、
前記第2燃焼部は、
ロケットストーブ構造を有するとともに、
高温燃焼ガスを用いて燃料を燃焼させるための燃焼室と、
燃料を前記燃焼室に投入するための燃料投入部と、
前記第1燃焼部で生成された高温燃焼ガスを前記燃焼室に導入するための流路と、を有する、高温ガス生成装置。
【請求項11】
前記燃料投入部は、スクリュープレス式のスクリューコンベアを有しており、
前記スクリューコンベアは、ピッチが出口側ほど狭くなっている、請求項10に記載の高温ガス生成装置。
【請求項12】
前記第2燃焼部には、前記流路と前記燃焼室との間に、複数の孔を有する仕切り板が介在しており、前記仕切り板に対して、前記流路が下側、前記燃焼室が上側に配置される、請求項10または11に記載の高温ガス生成装置。
【請求項13】
前記流路のうち、前記燃焼室の下部の位置には、前記燃焼室で燃焼した燃料の灰を外部に排出するための灰排出用スクリュウーコンベアが設置されている、請求項10ないし12のいずれかに記載の高温ガス生成装置。
【請求項14】
第1燃料を完全燃焼しない空気量で不完全燃焼させる第1燃焼工程と、
前記第1燃料とは異なる第2燃料を、不完全燃焼させた前記第1燃料と共に、前記第1燃焼工程よりも多い空気量で燃焼させる、第2燃焼工程と、を有する、高温ガス生成方法。
【請求項15】
高温燃焼ガスを生成する第1燃焼部と、
ロケットストーブ構造を有し、前記第1燃焼部で生成された高温燃焼ガスを用いて、燃料を燃焼させる第2燃焼部と、を有する、高温ガス生成装置を用いて、高温ガスを生成する高温ガス生成方法であって、
前記第1燃焼部において、高温燃焼ガスを生成する第1燃焼工程と、
前記第2燃焼部において、前記第1燃焼工程で生成した高温燃焼ガスを用いて、第1燃料および前記第1燃料とは異なる第2燃料を燃焼させる、第2燃焼工程と、を有する、高温ガス生成方法。
【請求項16】
前記第1燃料は、5mm以下に粉砕したバイオマス原料であり、
前記第2燃料は、前記第1燃料よりも燃焼性の低いバイオマス原料、または、前記第1燃料よりも破砕しにくいバイオマス原料である、請求項14または15に記載の高温ガス生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラー、乾燥機、小型炉などの熱源として用いることが可能な高温ガスを生成することができる、高温ガス生成装置および高温ガス生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題やエネルギー問題の観点から、植物由来バイオマスからバイオマス固形燃料を生成する技術の研究が盛んに行われている。たとえば、特許文献1では、バイオマス原料を半炭化処理して成形加工することで、バイオマス固形燃料を生成する方法が例示されている。
一方で、バイオマス原料の半炭化処理などの加熱処理では、通常、石油や石炭などの化石燃料が用いられるが、バイオマス原料が水分を多く含む場合、化石燃料を用いて加熱処理を行うと、コストの増加や排ガスによる環境への悪影響が懸念される。そのため、化石燃料を用いることなく、バイオマス原料の乾燥処理が行われることが好ましい。この点、たとえば、特許文献2では、薪や木廃材などの木材を燃料として用いて、高温のガスを生成する燃焼装置を開示しており、このような燃焼装置を用いることで、化石燃料を用いずに、バイオマス原料の乾燥処理に用いる熱源を確保することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-183494号公報
【特許文献2】特開2019-066048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2に記載の燃焼装置では、薪や廃木材など比較的燃焼性の高い木材を利用しており、燃料にバーク材や枝葉などの燃焼性の低い木材を含む場合には、効率的に高温ガスを生成することができないという問題があった。
本発明は、燃料にバーク材や枝葉などの比較的燃焼しにくいバイオマス原料を含む場合でも、高温ガスを効率良く生成することができる、高温ガス生成装置および高温ガス生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の観点に係る高温ガス生成装置は、第1燃料を完全燃焼しない空気量で不完全燃焼させる第1燃焼部と、第2燃料を、前記第1燃焼部により不完全燃焼させた前記第1燃料と共に、前記第1燃焼部に供給した空気量よりも多い空気量で燃焼させる、第2燃焼部と、を有する。
上記高温ガス生成装置において、前記第2燃焼部では、前記第2燃料を、前記第1燃焼部により不完全燃焼させた前記第1燃料と共に、前記第1燃料と第2燃料とを完全燃焼させる空気量よりも多い空気量で燃焼させる構成とすることができる。
上記高温ガス生成装置において、前記第1燃焼部は、燃焼バーナーである構成とすることができる。
上記高温ガス生成装置において、前記第2燃焼部で燃焼しなかった前記第1燃料および前記第2燃料の燃焼残渣物および/または前記第2燃焼部で生じた可燃性ガスを燃焼させる、第3燃焼部を、さらに有する構成とすることができる。
上記高温ガス生成装置において、前記第2燃焼部は、スクリューキルンと、当該スクリューキルン内に設置された複数の掻き板とを有し、前記第2燃焼部において、前記スクリューキルンを回転させるとともに、前記複数の掻き板を前記スクリューキルンの回転軸を中心として旋回させることで、前記第1燃料および前記第2燃料を攪拌しながら燃焼させる構成とすることができる。
上記高温ガス生成装置において、前記第1燃料を前記第1燃焼部に投入するための第1燃料投入口と、前記第2燃料を前記第2燃焼部に投入するための第2燃料投入口と、を有する構成とすることができる。
上記高温ガス生成装置において、前記第1燃料および前記第2燃料は、バイオマス原料である構成とすることができる。
上記高温ガス生成装置において、前記第1燃料は、5mm以下に破砕したバイオマス原料である構成とすることができる。
上記高温ガス生成装置において、前記第2燃料は、前記第1燃料よりも燃焼しにくい燃料、または、前記第1燃料よりも破砕しにくい燃料である構成とすることができる。
本発明の第2の観点に係る高温ガス生成装置は、高温燃焼ガスを生成する第1燃焼部と、前記第1燃焼部で生成された高温燃焼ガスを用いて、燃料を燃焼させる第2燃焼部と、を有し、前記第2燃焼部は、ロケットストーブ構造を有するとともに、高温燃焼ガスを用いて燃料を燃焼させるための燃焼室と、燃料を前記燃焼室に投入するための燃料投入部と、前記第1燃焼部で生成された高温燃焼ガスを前記燃焼室に導入するための流路と、を有する。
上記高温ガス生成装置において、前記燃料投入部は、スクリュープレス式のスクリューコンベアを有しており、前記スクリューコンベアは、ピッチが出口側ほど狭くなっている構成とすることができる。
上記高温ガス生成装置において、前記第2燃焼部には、前記流路と前記燃焼室との間に、複数の孔を有する仕切り板が介在しており、前記仕切り板に対して、前記流路が下側、前記燃焼室が上側に配置される構成とすることができる。
上記高温ガス生成装置において、前記流路のうち、前記燃焼室の下部の位置には、前記燃焼室で燃焼した燃料の灰を外部に排出するための灰排出用スクリュウーコンベアが設置されている構成とすることができる。
本発明の第1の観点に係る高温ガス生成方法は、第1燃料を完全燃焼しない空気量で不完全燃焼させる第1燃焼工程と、前記第1燃料とは異なる第2燃料を、不完全燃焼させた前記第1燃料と共に、前記第1燃焼工程よりも多い空気量で燃焼させる、第2燃焼工程と、を有する。
本発明の第2の観点に係る高温ガス生成方法は、高温燃焼ガスを生成する第1燃焼部と、ロケットストーブ構造を有し、前記第1燃焼部で生成された高温燃焼ガスを用いて、燃料を燃焼させる第2燃焼部と、を有する、高温ガス生成装置を用いて、高温ガスを生成する高温ガス生成方法であって、前記第1燃焼部において、高温燃焼ガスを生成する第1燃焼工程と、前記第2燃焼部において、前記第1燃焼工程で生成した高温燃焼ガスを用いて、第1燃料および前記第1燃料とは異なる第2燃料を燃焼させる、第2燃焼工程と、を有する。
上記高温ガス生成方法において、前記第1燃料は、5mm以下に粉砕したバイオマス原料であり、前記第2燃料として、前記第1燃料よりも燃焼性の低いバイオマス原料、または、前記第1燃料よりも破砕しにくいバイオマス原料である構成とすることができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、燃料にバーク材や枝葉などの比較的燃焼しにくいバイオマス原料を含む場合でも、高温ガスを効率良く生成することができる、高温ガス生成装置および高温ガス生成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る高温ガス生成装置の側面断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る高温ガス生成装置の正面図である。
【
図3】第2実施形態に係る高温ガス生成装置を示す構成図である。
【
図4】第3実施形態に係る高温ガス生成装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、図を参照して、本発明の実施形態を説明する。本実施形態に係る高温ガス生成装置は、バイオマス原料(たとえば廃木材、未利用のバーク材、ホワイトペレット、ブラックペレット、枝葉など)を燃料として高温ガスを生成することを特徴とする。また、本実施形態では、バーク材や枝葉などの比較的燃焼しにくいバイオマス原料である第2燃料を最初に着火させるのではなく、バーナーなどで火種や高温燃焼ガスを最初に生成することで、生成した火種や高温燃焼ガスを用いて、燃焼しにくい第2燃料を効率的に燃焼させることを特徴とする。
【0009】
≪第1実施形態≫
図1は、第1実施形態に係る高温ガス生成装置1の側面断面図であり、
図2は、第1実施形態に係る高温ガス生成装置1の正面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る高温ガス生成装置1は、第1燃焼部10と、第2燃焼部20と、第3燃焼部30とを有する。なお、
図1においては、高温ガス生成装置1内を流通する空気の流れを矢印で示している。また、
図2では、説明の便のため、キルン本体21内部に配設されている掻き板211を破線で示している。
【0010】
第1燃焼部10は、燃焼バーナーを備えており、5mm以下に粉砕したバイオマス原料(以下、第1燃料ともいう。)を、空気と混合し、燃焼する。具体的には、第1燃焼部10の第1燃料投入口11から第1燃焼部10の内部に第1燃料を投入するとともに、第1燃焼部10の内部に第1燃料を燃焼するための空気が導入され、パイロットバーナーなどで、第1燃料と空気との混合体に着火を行い燃焼する。なお、第1燃料として使用するバイオマス原料は、5mm以下に粉砕してあれば特に限定されないが、3mm以下とすることが好ましく、1mm以下とすることがより好ましい。また、上記第1燃料の大きさ(たとえば5mm、3mm、1mm)は、平均粒径(平均粒径5mm、平均粒径3mm、平均粒径1mm)で定義することができる。さらに、第1燃料は、バイオマス原料とすることが好ましく、特に、燃焼性の高い廃木材、乾燥材またはトレファクション材などとすることが好ましい。
【0011】
また、第1燃焼部10では、第1燃料を完全燃焼するために必要な空気量よりも少ない量の空気のみが供給され、第1燃料の燃焼が行われる。そのため、第1燃焼部10において、第1燃料は不完全燃焼することとなり、燃焼により発生した高温燃焼ガスと、不完全燃焼により一部が未燃焼の、あるいは炭化または半炭化した第1燃料とが、第2燃焼部20へと投入される。本実施形態では、第1燃焼部10に供給する空気を第1燃料の投入量に合わせた空気量とするため、図示しない燃焼ブロワーと空気量調整弁(たとえばバタフライ弁)とを設ける構成とすることができる。なお、燃焼ブロワーを設ける場合には、インバーターにてブロワーの回転数を制御し、400~600mmAqの低い圧力(火炎長が短くなる圧力)となるように、第1燃料と空気とを同時にエアー搬送することが好ましい。また、第1燃焼部10に供給される空気の量は、投入された第1燃料を完全燃焼させるために必要な空気量を1とした場合に、0.6~0.98の範囲の量とすることが好ましく、また、0.7~0.95の範囲の量とすることが好ましい。
【0012】
第2燃焼部20は、
図1および
図2に示すように、キルン本体21と、第2燃料投入部22と、空気吹き込み部23と、を有する。第2燃焼部20のキルン本体21は、ロータリーキルンとすることができ、第1燃焼部10で不完全燃焼した第1燃料が第1燃焼部10から供給される。また、本実施形態では、第2燃料を第2燃焼部20に投入するための第2燃料投入部22を有している。
図1に示すように、本実施形態に係る第2燃料投入部22は、ホッパー221と、搬送路222と、スクリューコンベア223とを有している。これにより、ホッパー221に第2燃料を投入することで、スクリューコンベア223により第2燃料が搬送路222を搬送されて、キルン本体21の内部へと供給されることとなる。
【0013】
さらに、本実施形態では、
図1に示すように、第2燃焼部20において、第1燃料および第2燃料を燃焼させるための、空気吹き込み部23を有している。空気吹き込み部23は、空気吹き込み口231から空気を取り込み、キルン本体21内部へと取り込んだ空気を吹き込む。キルン本体21には、第1燃焼部10から不完全燃焼した第1燃料が投入されるため、この第1燃料を火種とし、空気吹き込み口231から供給した空気を用いて、第1燃料および第2燃料の燃焼が行われる。
【0014】
特に、第2燃焼部20に供給される空気の量は、不完全燃焼した第1燃料と、第2燃料とを完全燃焼させるために必要な空気の量を1とした場合に、1.2~2.0の範囲の量とすることが好ましく、1.3~1.6の範囲の量とすることがより好ましい。なお、第2燃焼部20に供給する空気の量は、生成する高温ガスの温度や量に応じて適宜変更することもできる。また、第2燃焼部20に供給する空気の量を制御するため、第2燃焼部20は、図示しない燃焼ブロワーと空気量調整弁(たとえばバタフライ弁)を有する構成とすることができる。
【0015】
本実施形態において、キルン本体21は、入口側(第2燃料投入部22側)から出口側(第3燃焼部30側)に向かって下向きに1~5度の傾斜が設けられている。これにより、キルン本体21が回転することで、キルン本体21に投入された第1燃料および第2燃料が入口側から出口側へと搬送され、第3燃焼部30内へと投入される。また、本実施形態では、キルン本体21の内面に複数の掻き板211が固設されている。具体的には、
図2に示すように、キルン本体21の周方向の複数の位置(
図2に示す例では周方向における4箇所)に掻き板211が配置して固設されるとともに、
図1に示すように、キルン本体21の延在方向(回転軸方向)に複数の掻き板211が並んで配置されている。これにより、キルン本体21の回転に応じて、掻き板211も、キルン本体21の回転軸を中心としてキルン本体21の周方向に旋回するため、キルン本体21内部に投入された第1燃料および第2燃料は、キルン本体21の回転に応じて、掻き板211により上方まで持ち上げられ、掻き板211が上方に到達したタイミングで落下されることを繰り返すこととなり、第1燃料および第2燃料を攪拌しながら燃焼することができる。なお、掻き板211を有する構成に代えて、キルン本体21内部にスクリューコンベアを設ける構成とし、スクリューコンベアを用いて、第1燃料および第2燃料を攪拌しながら搬送する構成とすることもできる。
【0016】
続いて、第3燃焼部30について説明する。第3燃焼部30は、
図1および
図2に示すように、キルン本体31と、スクリューコンベア32と、高温ガス排出口33とを有する。第3燃焼部30には、第2燃焼部20で生成された高温ガスが流入することに加えて、第2燃焼部20で燃焼されなかった油分などの残渣や、第2燃焼部20で発生した乾留ガスなどの可燃性ガスが供給され、キルン本体31内において、さらに燃焼が行われる。これにより、より高温(たとえば850℃以上)の高温ガスが生成される。そして、生成された高温ガスは、キルン本体31の天井部に設置された高温ガス排出口33から各設備へと供給されることとなる。なお、第1燃焼部10、第2燃焼部20および第3燃焼部30で燃焼された第1燃料および第2燃料の灰は、スクリューコンベア32により、図示しない灰排出口から外部へと排出される。
【0017】
以上のように、第1実施形態に係る高温ガス生成装置1では、第1燃料を、当該第1燃料が完全燃焼しない空気量で不完全燃焼させる第1燃焼部10と、第2燃料を、第1燃焼部10により不完全燃焼させた第1燃料と共に、第1燃焼部10に供給した空気量よりも多い空気量で燃焼させる、第2燃焼部20と、を有することで、第1燃料を火種として、第1燃料よりも燃焼性の低いバーク材や枝葉などの第2燃料を効率的に燃焼させることができる。その結果、バーク材や枝葉などの比較的燃焼しにくいバイオマス原料を燃料として利用した場合でも、高温ガスを効率的に生成することができる。特に、従来の燃焼バーナーを用いた装置では、燃料が燃焼フレーム(火炎)内で完全に燃焼するように様々な工夫がなされているが、本実施形態に係る第1燃焼部10の燃焼バーナーでは、敢えて、燃焼フレーム中にて第1燃料を完全燃焼させずに燃焼途中の状態にて、第2燃焼部20のキルン本体21に落下させる。これにより、第1燃焼部10から供給される第1燃料を、バーク材や枝葉などの形状が不ぞろいの第2燃料の火種とすることができ、装置全体の燃焼効率を向上することができる。また、第1燃焼部10において第1燃料を完全に燃焼させないことで、第1燃焼部10における火炎の温度を低く抑えることができ、第1燃焼部10から排出されるNOxを低減することもできる。
【0018】
また、第1実施形態では、第2燃焼部20で燃焼しなかった第1燃料および第2燃料の燃焼残渣物、および/または、第2燃焼部20で生じた可燃性ガスを燃焼させる第3燃焼部30をさらに有するため、高温ガスの温度をたとえば850℃以上まで高めることができ、より高温の高温ガスを供給することが可能となる。また、第1実施形態に係る高温ガス生成装置1では、第1燃料を5mm以下に粉砕することで、第1燃料を容易に燃焼させることができ、また、これを火種として第2燃料を燃焼させることで、第1燃料よりも燃焼性の低い第2燃料も効率的に燃焼させることができるため、全体的に燃料の燃焼効率を高めることができ、高温ガスを効率的に生成することができる。生成した高温ガスは、廃熱ボイラー、過熱蒸気発生器、乾燥機などに供給され、利用することができる。
【0019】
加えて、本実施形態では、キルン本体21としてロータリーキルンを用いることで、第2燃焼部20において、第1燃料および第2燃料を攪拌しながら燃焼することができ、第1燃料および第2燃料の発熱量や水分のバラツキに対応することができる。すなわち、第1燃料および第2燃料の搬送燃焼手段として、流動床式やストーカ式などの搬送燃焼手段も用いることができるが、これら手段を用いた場合には、燃料の発熱量が高すぎたり、少なすぎる場合は適さない。また水分のバラツキが大きい場合も問題が生じる。これに対して、本実施形態では、キルン本体21を回転させることで、第1燃料および第2燃料を攪拌することができるため、第1燃料および第2燃料を均一に加熱することができ、第1燃料および第2燃料を効率よく燃焼させることができる。さらに、本実施形態では、
図1および
図2に示すように、キルン本体21内に複数の掻き板211を設けて、掻き板211で第1燃料および第2燃料をキルン本体21内部の上方まで持ち上げて落下させることを繰り返すことで、第1燃料および第2燃料をより攪拌することができるため、第1燃料および第2燃料を効率よく燃焼させることができる。
【0020】
≪第2実施形態≫
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態に係る高温ガス生成装置1のように火炎長が長くなる燃焼バーナーを設けるスペースがない場合でも利用できる、小型の高温ガス生成装置1aを例示して説明する。ここで、
図3は、第2実施形態に係る高温ガス生成装置1aを示す構成図である。
図3に示すように、第2実施形態に係る高温ガス生成装置1aは、高温燃焼ガスを生成し供給するための第1燃焼部10aと、第1燃料および第2燃料を燃焼させるための第2燃焼部20aとを有する。
【0021】
第2実施形態に係る第1燃焼部10aは、燃焼バーナーではないが、高温燃焼ガスを生成し、第2燃焼部20に生成した高温燃焼ガスを供給することができるものであればよい。第1燃焼部10aでは、たとえば、燃えやすい紙や小枝と、比較的大きなサイズの薪や木炭とを入れて点火し、燃焼させることで、高温燃焼ガスが生成される。また、第1燃焼部10aには、高温ガス生成装置1aのドラフトにより外気が取り込まれ、高温燃焼ガスの生成に用いられる。なお、第1燃料や第2燃料が大量にある場合は、第1燃焼部10aで第1燃料および/または第2燃料を燃焼させてもよい。第1燃焼部10aで生成された高温燃焼ガスは、ドラフトの通風力により、第2燃焼部20aへと供給される。
【0022】
また、第2実施形態に係る第2燃焼部20aは、
図3に示すように、ロケットストーブ構造を有している。具体的には、第2燃焼部20aは、第1燃料および第2燃料を投入するための燃料投入部21aと、第1燃料および第2燃料を燃焼するための燃焼室22aと、第1燃焼部10aで生成した高温燃焼ガスが供給される燃焼ガス吹き込み口23aと、燃焼ガス吹き込み口23aから吹き込まれた高温燃焼ガスが流入する流路24aと、燃焼室22aで生成した高温の高温ガスを排出するための高温ガス排出口25aと、燃焼室22aで燃焼した第1燃料および第2燃料の灰を排出するための灰排出口26aと、を有する。また、一般的なロケットストーブ構造では、第1燃料および第2燃料を投入するための燃料投入口211aと、燃焼に必要な空気を取り込む空気取り入れ口とは兼用されるが、本実施形態に係る高温ガス生成装置1aでは、第1燃料および第2燃料を投入するための燃料投入口211aとは別に、高温燃焼ガスを第1燃焼部10aから取り込むための燃焼ガス吹き込み口23aを有しており、第1燃料および第2燃料の効率的な燃焼を可能としている。
【0023】
第2実施形態でも、高温燃焼ガスを効率的に生成するために、5mm以下に破砕した廃木材などの第1燃料をある程度燃焼させた後に、バーク材や枝葉などの第2燃料が投入され、第1燃料を火種として、第2燃料の燃焼が行われる。第1燃料および第2燃料は、燃料投入部21aの燃料投入口211aから燃焼室22a内に投入される。第2燃料は、不揃いの葉や枝からなる場合があるため、ドラフトだけでは第2燃料を燃焼室22aまで搬送できない場合がある。そのため、燃料投入部21aには、スクリューコンベア212aを備えている。スクリューコンベア212aは、出口側(燃焼室22a側)ほどピッチが狭くなるように設計されたスクリュープレス式のスクリューコンベアであり、第2燃料をプレス圧縮しながら燃焼室22aに投入することができる。このように、スクリューコンベア212aで第2燃料を圧縮することで、燃料投入部21aの断面全体を第2燃料で塞いで燃料投入口211aをシールすることができ、その結果、燃料投入口211aから外部に炎(あるいは高温の空気やガス)が漏れ出さないようにすることができるため、作業者の安全を図ることができる。
【0024】
燃焼室22aでは、第1燃焼部10aで生成された高温燃焼ガスを用いて、第1燃料および第2燃料の一次燃焼および二次燃焼が行われ、二次燃焼で生成された高温の高温ガスが高温ガス排出口25aからボイラー、乾燥機、脱臭装置などの設備に供給される。なお、燃焼室22aは、図示しないパイロットバーナーを有し、第1燃料および第2燃料に着火を行う。また、灰排出口26a付近に図示しない火炎検知器を設置し、燃焼室22a内部での第1燃料および第2燃料の着火状態を検知することで、パイロットバーナーによる第1燃料および第2燃料の着火を制御する構成とすることができる。
【0025】
また、第2実施形態に係る第2燃焼部20aでは、流路24aと燃焼室22aとの間に、仕切り板27aが介在している。仕切り板27aは、複数の孔を有しており、仕切り板27aの孔を通って、流路24aを通過した高温燃焼ガスが燃焼室22aに供給されるとともに、第1燃料および第2燃料を燃焼した後の灰が、仕切り板27aの孔を通って流路24a側に落下する。なお、この灰は、高温燃焼ガスの流れによって、灰排出口26aへと運ばれて、灰排出口26aから排出することが可能となっている。本実施形態では、流路24aのうち、燃焼室22aの下方の灰が落下する位置に、耐熱性の灰排出用スクリューコンベア28aを設けることで、燃焼室22aにおいて燃焼させた第1燃料および第2燃料の灰を外部へと排出可能な構成としている。
【0026】
第2実施形態に係る高温ガス生成装置1aでは、小型化のため、第2燃焼部20に送風機や燃料供給装置を設けず、ドラフト(燃焼室22aと高温ガス排出口25aの高低差)による通風力により、第1燃焼部10aからの高温燃焼ガスが第2燃焼部20に送風される構造となっている。ただし、ドラフトの通風力だけで十分な送風力が得られない場合や、高温ガスの供給先のボイラーなどで圧力損失が大きい場合には、第1燃焼部10aまたは第2燃焼部20aにブロワーを設けて、第1燃焼部10aから第2燃焼部20aへと高温燃焼ガスを送り込む構成とすることができる。
【0027】
また、第2実施形態では、第1燃焼部10aと第2燃焼部20aとの間に調整バルブ13を有し、第1燃焼部10aから供給される高温燃焼ガスの流量を調整することができる。なお、調整バルブ13による高温燃焼ガスの流量の調整は、たとえば燃焼室22aの温度に基づいて、手動または自動で行うことができる。なお、不完全燃焼の燃料や灰が、第1燃焼部10aから燃焼室22aへと流入する場合があるが、不完全燃焼の燃料は、第2燃焼部20aにおいて、第1燃料および第2燃料とともに燃焼させて灰とすることができ、第1燃焼部10aから流入した灰とともに、灰排出用スクリューコンベア28aで外部へと排出することができる。
【0028】
以上のように、第2実施形態に係る高温ガス生成装置1aでは、第1燃焼部10aにおいて燃焼バーナーを用いずに高温燃焼ガスを生成し、第2燃焼部20aをロケットストーブ構造として、第1燃焼部10aで生成した高温燃焼ガスを用いて第1燃料および第2燃料を燃焼させることで、第1実施形態に係る高温ガス生成装置1と同様に廃熱ボイラーなどの設備に高温ガスを供給することができるとともに、第1実施形態に係る高温ガス生成装置1よりも装置全体のサイズを小さくすることができる。
【0029】
また、第2実施形態において、燃料投入部21aは、燃料投入口211aから炎(あるいは高温の空気やガス)が漏れ出ないように、密閉機構(スクリュープレス式のスクリューコンベア212a)を備える構成とされている。これは、高温ガス排出口25a付近の温度が高い場合や、高温ガスの供給先の圧力損失が大きい場合に、十分なドラフトによる通風力が得られない場合があり、図示しないブロワーなどを用いて、高温燃焼ガスを第1燃焼部10aから第2燃焼部20aおよび高温ガス排出口25aを通過させて供給先の設備まで押し込む必要があり、このような場合に、燃料投入口211aから高温燃焼ガスが噴き出すおそれがあるためである。そこで、本実施形態に係る高温ガス生成装置1aでは、燃料投入部21aが、スクリュープレス式のスクリューコンベア212aを備え、スクリューコンベア212aにより、第1燃料および第2燃料を圧縮しながら搬送することで、燃料投入部21aの断面全体を圧縮した第1燃料および第2燃料で塞ぐことができ、燃料投入口211aをシールすることが可能となっている。
【0030】
また、第2実施形態に係る高温ガス生成装置1aでは、燃焼室22aと流路24aとの間に、複数の孔を有する仕切り板27aを設けるとともに、流路24aのうち、燃焼室22aの下部となる位置に灰排出用スクリューコンベア28aが設置されている。これにより、燃焼室22aで燃焼を終えた第1燃料および第2燃料が灰になった場合に、この灰を仕切り板27aの孔から燃焼室22aの下部へと落下させ、灰排出用スクリューコンベア28aで外部へと排出することができるため、灰が高温ガス排出口25aから各設備へと飛散してしまうことを有効に防止することができる。
【0031】
さらに、第2実施形態に係る高温ガス生成装置1aを、自動運転可能な装置とすることもきる。この場合、高温ガス生成装置1aに、燃料(第1燃料および第2燃料)の自動供給機能、パイロットバーナーによる着火と着火状態を確認する火炎検知器、高温燃焼ガスの流量を自動で制御する機能を有する調整バルブ13、灰の自動排出装置、投入した処理原料の量に対応した高温燃焼ガスの量の制御機能を設ける構成とすることが好ましい。なお、自動運転可能な構成とする場合、燃料の自動供給や高温燃焼ガスの流量の自動調整については、燃焼室22aの温度に基づいて、燃料の投入量や高温燃焼ガスの流量を制御する構成とすることが好ましい。言い換えると、自動運転を行う場合は、燃料の投入量や高温燃焼ガスの流量を制御することで、燃焼室22a内の温度が一定範囲内となるように温度制御を行う構成とすることができる。
【0032】
≪第3実施形態≫
次に、
図4に基づいて、本発明の第3実施形態について説明する。
図4は、第3実施形態に係る高温ガス生成装置1bを示す構成図である。第3実施形態では、小型の高温ガス生成装置1bを、脱臭炉などの小型炉2に設置し、小型炉2に高温ガスを供給する構成を例示して説明する。
【0033】
図4に示すように、高温ガス生成装置1bは、高温燃焼ガスを生成し供給するための第1燃焼部10aと、第1燃料および第2燃料を燃焼させるための第2燃焼部20bとを有する。なお、第1燃焼部10aは第2実施形態と同じ構成のため、その説明は割愛する。また、第2燃焼部20bの燃料投入部21a、燃焼室22a、燃焼ガス吹き込み口23a、流路24a、灰排出口26a、仕切り板27a、および灰排出用スクリューコンベア28aも、第2実施形態と同じ構成のため、その説明は割愛する。
【0034】
一方、第3実施形態に係る第2燃焼部20bは、燃焼室22aで第1燃料および第2燃料を燃焼させて生成した高温ガスを、小型炉2に供給するための連絡路25bを有している。高温ガスは、連絡路25bを通過して、小型炉2に供給され、小型炉2での燃料の燃焼や乾燥に用いられる。
【0035】
具体的には、第3実施形態において、小型炉2は、炉内201に燃料を投入するためのホッパー202と、燃料を炉内201まで搬送するための搬送路203およびスクリューコンベア204と、炉内201で燃料を燃焼して生じた灰を排出するための灰排出用スクリューコンベア205とを有する。ホッパー202から投入された燃料は、スクリューコンベア204により搬送路203内を搬送され、炉内201へと投入される。そして、炉内201へと投入された燃料は、炉内201において、高温ガス生成装置1bから供給された高温ガスにより燃焼され、灰が生じた場合には、灰が灰排出用スクリューコンベア205により外部へと排出される。なお、第2燃料が大量にある場合は、連絡路25bの出口付近(小型炉2側)に第2燃料の投入部を設け、小型炉2内で第2燃料を燃焼させる構成とすることもできる。なお、この場合も、この投入部には、スクリュープレス式のスクリューコンベアを設けることで、投入部のシール性を確保する構成とすることが好ましい。
【0036】
以上のように、第3実施形態に係る高温ガス生成装置1bでは、高温ガス生成装置1bを小型としながらも、第2燃焼部20aで第1燃料および第2燃料を燃焼させて生成した高温ガスを脱臭炉などの小型炉2に供給することができ、小型炉2などの熱源として利用することができる。
【0037】
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0038】
たとえば、上述した実施形態では、5mm以下に粉砕した廃木材を第1燃料として用いる構成を例示したが、これに限定されず、たとえば、油分を多く含む植物の種子や当該種子の搾りかすを、5mm以下に粉砕したものを第1燃料として使用することもできる。また、上述した実施形態では、第2燃料として、バーク材や枝葉などの、第1燃料よりも燃焼性の低い原料を例示したが、これに限定されず、たとえば、第2燃料を、第1燃料よりも破砕しにくい(たとえば5mm以下に粉砕することができない)バイオマス原料とすることもできる。また、第1燃料および第2燃料は、バイオマス原料に限定されず、有機性資源、草木、藻類、生ごみ、鶏糞、畜糞、都市汚泥、し尿汚泥、建設廃材、食品廃棄物、炭素を含む廃プラスチックなどを用いることもできる。
【0039】
また、上述した第2、第3実施形態では、燃料投入口211aが燃焼ガス吹き込み口23aの上方に配置される構成としたが、燃料投入口211aと燃焼ガス吹き込み口23aとの位置を入れ替え、燃焼ガス吹き込み口23aが燃料投入口211aの上方に配置される構成とすることもできる。
【0040】
さらに、上述した第2実施形態または第3実施形態に係る小型の高温ガス生成装置1a,1bにおいて、第2燃料として、バークなどの不定形木質燃料の量が多くなることが予想される場合には、第2燃焼部20aの燃焼室22aを小型のロータリーキルン(φ300mm以上)で形成する構成とすることができる。この場合、燃焼室22aである小型のロータリーキルン内部に、第2燃料を搬送することが容易となり、ロータリーキルン内部で、第2燃料を、第1燃焼部10aで生成した高温燃焼ガスで効率良く燃焼させることができる。
【符号の説明】
【0041】
1…高温ガス生成装置
10…第1燃焼部
11…第1燃料投入口
20…第2燃焼部
21…キルン本体
22…第2燃料投入部
221…ホッパー
222‥‥搬送路
223‥‥スクリューコンベア
23…空気吹き込み部
231…空気吹き込み口
30…第3燃焼部
31…キルン本体
32…スクリューコンベア
33…高温ガス排出口
1a,1b…高温ガス生成装置
10a…第1燃焼部
20a…第2燃焼部
21a…燃料投入部
211a…燃料投入口
212a…スクリューコンベア
22a…燃焼室
23a…燃焼ガス吹き込み口
24a…流路
25a…高温ガス排出口
25b…連絡路
26a…灰排出口
27a…仕切り板
28a…灰排出用スクリューコンベア
2…小型炉
201…炉内
202…ホッパー
203…搬送路
204…スクリューコンベア
205…灰排出用スクリューコンベア
【手続補正書】
【提出日】2021-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形または半固形の第1燃料を投入するための第1燃料投入口を有し、前記第1燃料投入口から投入した前記第1燃料を完全燃焼しない空気量で不完全燃焼させる第1燃焼部と、
前記第1燃料とは異なる固形または半固形の第2燃料を投入するための第2燃料投入部を有し、前記第2燃料投入部から前記第2燃料が新たに投入されるとともに、前記第1燃焼部と連通し、前記第1燃焼部で不完全燃焼させた前記第1燃料が投入され、前記第2燃料を、前記不完全燃焼させた前記第1燃料と共に、前記第1燃焼部に供給した空気量よりも多い空気量で燃焼させる、第2燃焼部と、を有する、高温ガス生成装置。
【請求項2】
前記第2燃焼部では、前記第2燃料を、前記第1燃焼部により不完全燃焼させた前記第1燃料と共に、前記第1燃料と第2燃料とを完全燃焼させる空気量よりも多い空気量で燃焼させる、請求項1に記載の高温ガス生成装置。
【請求項3】
前記第1燃焼部は、燃焼バーナーを有する、請求項1または2に記載の高温ガス生成装置。
【請求項4】
前記第2燃焼部で燃焼しなかった前記第1燃料および前記第2燃料の燃焼残渣物および/または前記第2燃焼部で生じた可燃性ガスを燃焼させる、第3燃焼部を、さらに有する、請求項1ないし3のいずれかに記載の高温ガス生成装置。
【請求項5】
前記第2燃焼部は、ロータリーキルンと、当該ロータリーキルン内に設置された複数の掻き板とを有し、
前記第2燃焼部において、前記ロータリーキルンを回転させるとともに、前記複数の掻き板を前記ロータリーキルンの回転軸を中心として旋回させることで、前記第1燃料および前記第2燃料を攪拌しながら燃焼させる、請求項1ないし4のいずれかに記載の高温ガス生成装置。
【請求項6】
前記第1燃料および前記第2燃料は、バイオマス原料である、請求項1ないし5のいずれかに記載の高温ガス生成装置。
【請求項7】
前記第1燃料は、5mm以下に破砕したバイオマス原料である、請求項1ないし6のいずれかに記載の高温ガス生成装置。
【請求項8】
前記第2燃料は、前記第1燃料よりも燃焼しにくい燃料、または、前記第1燃料よりも破砕しにくい燃料である、請求項1ないし7のいずれかに記載の高温ガス生成装置。
【請求項9】
固形または半固形の第1燃料を完全燃焼しない空気量で不完全燃焼させる第1燃焼工程と、
前記第1燃焼部で不完全燃焼させた前記第1燃料が投入されるとともに、新たに投入された前記第1燃料とは異なる固形または半固形の第2燃料を、不完全燃焼させた前記第1燃料と共に、前記第1燃焼工程よりも多い空気量で燃焼させる、第2燃焼工程と、を有する、高温ガス生成方法。
【請求項10】
前記第1燃料は、5mm以下に粉砕したバイオマス原料であり、
前記第2燃料は、前記第1燃料よりも燃焼性の低いバイオマス原料、または、前記第1燃料よりも破砕しにくいバイオマス原料である、請求項9に記載の高温ガス生成方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明に係る高温ガス生成装置は、固形または半固形の第1燃料を投入するための第1燃料投入口を有し、前記第1燃料投入口から投入した前記第1燃料を完全燃焼しない空気量で不完全燃焼させる第1燃焼部と、前記第1燃料とは異なる固形または半固形の第2燃料を投入するための第2燃料投入部を有し、前記第2燃料投入部から前記第2燃料が新たに投入されるとともに、前記第1燃焼部と連通し、前記第1燃焼部で不完全燃焼させた前記第1燃料が投入され、前記第2燃料を、前記不完全燃焼させた前記第1燃料と共に、前記第1燃焼部に供給した空気量よりも多い空気量で燃焼させる、第2燃焼部と、を有する。
上記高温ガス生成装置において、前記第2燃焼部では、前記第2燃料を、前記第1燃焼部により不完全燃焼させた前記第1燃料と共に、前記第1燃料と第2燃料とを完全燃焼させる空気量よりも多い空気量で燃焼させる構成とすることができる。
上記高温ガス生成装置において、前記第1燃焼部は、燃焼バーナーを有する構成とすることができる。
上記高温ガス生成装置において、前記第2燃焼部で燃焼しなかった前記第1燃料および前記第2燃料の燃焼残渣物および/または前記第2燃焼部で生じた可燃性ガスを燃焼させる、第3燃焼部を、さらに有する構成とすることができる。
上記高温ガス生成装置において、前記第2燃焼部は、ロータリーキルンと、当該ロータリーキルン内に設置された複数の掻き板とを有し、前記第2燃焼部において、前記ロータリーキルンを回転させるとともに、前記複数の掻き板を前記ロータリーキルンの回転軸を中心として旋回させることで、前記第1燃料および前記第2燃料を攪拌しながら燃焼させる構成とすることができる。
上記高温ガス生成装置において、前記第1燃料および前記第2燃料は、バイオマス原料である構成とすることができる。
上記高温ガス生成装置において、前記第1燃料は、5mm以下に破砕したバイオマス原料である構成とすることができる。
上記高温ガス生成装置において、前記第2燃料は、前記第1燃料よりも燃焼しにくい燃料、または、前記第1燃料よりも破砕しにくい燃料である構成とすることができる。
本発明に係る高温ガス生成方法は、固形または半固形の第1燃料を完全燃焼しない空気量で不完全燃焼させる第1燃焼工程と、前記第1燃焼部で不完全燃焼させた前記第1燃料が投入されるとともに、新たに投入された前記第1燃料とは異なる固形または半固形の第2燃料を、不完全燃焼させた前記第1燃料と共に、前記第1燃焼工程よりも多い空気量で燃焼させる、第2燃焼工程と、を有する。
上記高温ガス生成方法において、前記第1燃料は、5mm以下に粉砕したバイオマス原料であり、前記第2燃料として、前記第1燃料よりも燃焼性の低いバイオマス原料、または、前記第1燃料よりも破砕しにくいバイオマス原料である構成とすることができる。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形または半固形の第1燃料を投入するための第1燃料投入口を有し、前記第1燃料投入口から投入した前記第1燃料を完全燃焼しない空気量で不完全燃焼させる第1燃焼部と、
前記第1燃料とは異なる固形または半固形の第2燃料を投入するための第2燃料投入部を有し、前記第2燃料投入部から前記第2燃料が新たに投入されるとともに、前記第1燃焼部と連通し、前記第1燃焼部で不完全燃焼させた前記第1燃料が投入され、前記第1燃料を火種として、前記第2燃料を、前記不完全燃焼させた前記第1燃料と共に、前記第1燃焼部に供給した空気量よりも多い空気量で燃焼させる、第2燃焼部と、を有し、
前記第1燃料および前記第2燃料はバイオマス原料であり、前記第2燃料は、前記第1燃料よりも燃焼しにくい燃料、または、前記第1燃料よりも破砕しにくい燃料である、高温ガス生成装置。
【請求項2】
前記第2燃焼部では、前記第2燃料を、前記第1燃焼部により不完全燃焼させた前記第1燃料と共に、前記第1燃料と第2燃料とを完全燃焼させる空気量よりも多い空気量で燃焼させる、請求項1に記載の高温ガス生成装置。
【請求項3】
前記第1燃焼部は、燃焼バーナーを有する、請求項1または2に記載の高温ガス生成装置。
【請求項4】
前記第2燃焼部で燃焼しなかった前記第1燃料および前記第2燃料の燃焼残渣物および/または前記第2燃焼部で生じた可燃性ガスを燃焼させる、第3燃焼部を、さらに有する、請求項1ないし3のいずれかに記載の高温ガス生成装置。
【請求項5】
前記第2燃焼部は、ロータリーキルンと、当該ロータリーキルン内に設置された複数の掻き板とを有し、
前記第2燃焼部において、前記ロータリーキルンを回転させるとともに、前記複数の掻き板を前記ロータリーキルンの回転軸を中心として旋回させることで、前記第1燃料および前記第2燃料を攪拌しながら燃焼させる、請求項1ないし4のいずれかに記載の高温ガス生成装置。
【請求項6】
前記第1燃料投入口および前記第2燃料投入部は、前記高温ガス生成装置の同じ面側に設置されている、請求項1ないし5のいずれかに記載の高温ガス生成装置。
【請求項7】
前記第1燃料は、5mm以下に破砕したバイオマス原料である、請求項1ないし6のいずれかに記載の高温ガス生成装置。
【請求項8】
固形または半固形の第1燃料を完全燃焼しない空気量で不完全燃焼させる第1燃焼工程と、
不完全燃焼させた前記第1燃料が投入されるとともに、前記第1燃料を火種として、新たに投入された前記第1燃料とは異なる固形または半固形の第2燃料を、不完全燃焼させた前記第1燃料と共に、前記第1燃焼工程よりも多い空気量で燃焼させる、第2燃焼工程と、を有し、
前記第1燃料および前記第2燃料はバイオマス原料であり、前記第2燃料は、前記第1燃料よりも燃焼しにくい燃料、または、前記第1燃料よりも破砕しにくい燃料である、高温ガス生成方法。
【請求項9】
前記第1燃料は、5mm以下に粉砕したバイオマス原料である、請求項8に記載の高温ガス生成方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明に係る高温ガス生成装置は、固形または半固形の第1燃料を投入するための第1燃料投入口を有し、前記第1燃料投入口から投入した前記第1燃料を完全燃焼しない空気量で不完全燃焼させる第1燃焼部と、前記第1燃料とは異なる固形または半固形の第2燃料を投入するための第2燃料投入部を有し、前記第2燃料投入部から前記第2燃料が新たに投入されるとともに、前記第1燃焼部と連通し、前記第1燃焼部で不完全燃焼させた前記第1燃料が投入され、前記第1燃料を火種として、前記第2燃料を、前記不完全燃焼させた前記第1燃料と共に、前記第1燃焼部に供給した空気量よりも多い空気量で燃焼させる、第2燃焼部と、を有し、前記第1燃料および前記第2燃料はバイオマス原料であり、前記第2燃料は、前記第1燃料よりも燃焼しにくい燃料、または、前記第1燃料よりも破砕しにくい燃料である。
上記高温ガス生成装置において、前記第2燃焼部では、前記第2燃料を、前記第1燃焼部により不完全燃焼させた前記第1燃料と共に、前記第1燃料と第2燃料とを完全燃焼させる空気量よりも多い空気量で燃焼させる構成とすることができる。
上記高温ガス生成装置において、前記第1燃焼部は、燃焼バーナーを有する構成とすることができる。
上記高温ガス生成装置において、前記第2燃焼部で燃焼しなかった前記第1燃料および前記第2燃料の燃焼残渣物および/または前記第2燃焼部で生じた可燃性ガスを燃焼させる、第3燃焼部を、さらに有する構成とすることができる。
上記高温ガス生成装置において、前記第2燃焼部は、ロータリーキルンと、当該ロータリーキルン内に設置された複数の掻き板とを有し、前記第2燃焼部において、前記ロータリーキルンを回転させるとともに、前記複数の掻き板を前記ロータリーキルンの回転軸を中心として旋回させることで、前記第1燃料および前記第2燃料を攪拌しながら燃焼させる構成とすることができる。
上記高温ガス生成装置において、前記第1燃料投入口および前記第2燃料投入部は、前記高温ガス生成装置の同じ面側に設置されている構成とすることができる。
上記高温ガス生成装置において、前記第1燃料は、5mm以下に破砕したバイオマス原料である構成とすることができる。
本発明に係る高温ガス生成方法は、固形または半固形の第1燃料を完全燃焼しない空気量で不完全燃焼させる第1燃焼工程と、不完全燃焼させた前記第1燃料が投入されるとともに、新たに投入された前記第1燃料とは異なる固形または半固形の第2燃料を、不完全燃焼させた前記第1燃料と共に、前記第1燃焼工程よりも多い空気量で燃焼させる、第2燃焼工程と、を有し、前記第1燃料および前記第2燃料はバイオマス原料であり、前記第2燃料は、前記第1燃料よりも燃焼しにくい燃料、または、前記第1燃料よりも破砕しにくい燃料である。
上記高温ガス生成方法において、前記第1燃料は、5mm以下に粉砕したバイオマス原料である構成とすることができる。