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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084961
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 21/032 20060101AFI20230613BHJP
【FI】
B65D21/032
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199374
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡野 啓人
(72)【発明者】
【氏名】大篭 幸治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光
【テーマコード(参考)】
3E006
【Fターム(参考)】
3E006AA01
3E006BA01
3E006CA04
3E006DA01
3E006DB03
(57)【要約】
【課題】複数の包装箱が収納物を収納しているときでも、複数の包装箱を安定した状態で上下方向に積み重ねることができる包装箱を提供する。
【解決手段】包装箱1は、4つの側板2~5で構成された側壁部と、4つのフラップ6~9で構成された底部と、支持部材20とを有している。支持部材20の上端は、側壁部の上端よりも下側に配置されており、2つの側板の境界部には、境界部の上端から下端側に向かって切込線c2が設けられている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つ以上の側板からなる多角筒状の側壁部と、
当該側壁部の下端を封止する底部と、
当該底部から上方に向かって延びる支持部と、を有する包装箱であって、
前記支持部の上端は、前記側壁部の上端よりも下側に配置されており、
互いに隣り合う2つの前記側板の境界部には、当該境界部の上端から下端側に向かって切込線が設けられていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の包装箱において、
前記切込線は、前記境界部の上端から下方に第1所定長さで延びる縦線部と、当該縦線部の下端から前記互いに隣り合う2つの側板の間において横方向に第2所定長さで延びる横線部と、を有していることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項2に記載の包装箱において、
前記縦線部の下端は、前記支持部の上端以下の高さになるように構成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の包装箱において、
前記支持部は、第1支持部及び第2支持部を有しており、当該第1支持部及び当該第2支持部は、平面視したときに互いに屈曲又は湾曲するように構成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の包装箱において、
前記3つ以上の側板の少なくとも1つの側板は、当該少なくとも1つの側板の上端の左右方向の中間部から下方に向かって凸に切り欠かれた形状の窓部を有していることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下方向に積み重ねて使用される包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装箱として特許文献1に記載されたものが知られている。この包装箱は、角柱状に配置された4つの側板と、包装箱の天壁を形成する4つの天壁フラップなどを備えている。この包装箱の上端の四隅には、4つの切欠きがそれぞれ形成されている。各切欠きは、隣り合う2つの側板の境目の上端部分と、天壁フラップと側板との境目の部分とを円形に切り欠くことによって構成されている。
【0003】
この包装箱では、包装箱が空の状態にある場合、天壁フラップが開いている状態で複数の包装箱が上下方向に積み重ねられる。その際、下側の包装箱においては、天壁フラップが側板とほぼ平行な姿勢に保持され、上側の包装箱の底は、下側の包装箱における4つの切欠きの縁に係止される(同文献の図2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3202257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の包装箱によれば、包装箱が空の状態ではなく、収納物が包装箱に収納されている場合には、収納物の重みによって、上側の包装箱の底の四隅と下側の包装箱の切欠きの縁との係止が外れて、包装箱が斜めに傾いた姿勢になったり、下方に落ちたりしてしまうおそれがある。その結果、複数の包装箱を上下方向に安定した状態で積み重ねることができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、複数の包装箱が収納物を収納しているときでも、複数の包装箱を安定した状態で上下方向に積み重ねることができる包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、3つ以上の側板からなる多角筒状の側壁部と、側壁部の下端を封止する底部と、底部から上方に向かって延びる支持部と、を有する包装箱であって、支持部の上端は、側壁部の上端よりも下側に配置されており、互いに隣り合う2つの側板の境界部には、境界部の上端から下端側に向かって切込線が設けられていることを特徴とする。
【0008】
この包装箱によれば、互いに隣り合う2つの側板の境界部には、境界部の上端から下端側に向かって切込線が設けられているので、複数の包装箱を上下方向に重ねた場合、上側の包装箱の底部は、下側の包装箱の側板間の間隔を切込線に沿って押し広げるとともに、下側の包装箱の支持部によって下方から支持された状態になる。その際、支持部の上端は、側壁部の上端よりも下側に配置されているので、上側の包装箱の側壁部の下端部は、下側の包装箱の側壁部の上端部によって横方向からも支持された状態となる。以上により、この包装箱によれば、複数の包装箱の各々が収納物を収納しているときでも、複数の包装箱を安定した状態で上下方向に積み重ねることができる。なお、本明細書における「2つの側板の境界部」は、2つの側板の境界線又は境界線を含む境界線付近の領域であって境界線から所定距離(例えば、数~数十ミリ程度)離れた部分までの領域を意味する。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の包装箱において、切込線は、境界部の上端から下方に第1所定長さで延びる縦線部と、縦線部の下端から互いに隣り合う2つの側板の間において横方向に第2所定長さで延びる横線部と、を有していることを特徴とする。
【0010】
この包装箱によれば、複数の包装箱を上下方向に積み重ねた場合、下側の包装箱の側板の境界部は、上側の包装箱の底部の角部により、切込線の縦線部及び横線部に沿って押し広げられることになる。その際、切込線の横線部は、2つの側板の間において横方向に第2所定長さで延びているので、上側の包装箱の底部の角部は、2つの側板の間に入りやすくなり、複数の包装箱の積み重ね作業を容易に実施できる。さらに、その積み重ね作業時、下側の包装箱の側板の一部が、上側の包装箱の底部により、切込線の横線部に沿って左右方向に破断されたとしても、横方向にしか破断されないので、上側の包装箱が斜めに傾いた姿勢になることがなく、複数の包装箱を上下方向に安定した状態で積み重ねることができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の包装箱において、縦線部の下端は、支持部の上端以下の高さになるように構成されていることを特徴とする。
【0012】
この包装箱によれば、切込線の縦線部の下端は、支持部の上端以下の高さになるように構成されているので、複数の包装箱を上下方向に重ねた場合、上側の包装箱の底部は、下側の包装箱の支持部よって下方から主に支持されることなる。その結果、下側の包装箱の切込線の横線部の縁に過大な荷重が作用するのを回避することができ、複数の包装箱を上下方向に積み重ねた際の包装箱の変形を抑制することができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の包装箱において、第1支持部及び第2支持部を有しており、第1支持部及び第2支持部は、平面視したときに互いに屈曲又は湾曲するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
この包装箱によれば、複数の包装箱を上下方向に重ねた場合、上側の包装箱の底部は、下側の包装箱の支持部によって下方から支持された状態となる。その際、支持部の第1支持部及び第2支持部は、平面視したときに互いに屈曲又は湾曲するように構成されているので、これらの支持部の第1支持部及び第2支持部により、上側の包装箱を安定した状態で支持することができる。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の包装箱において、3つ以上の側板の少なくとも1つの側板は、少なくとも1つの側板の上端の左右方向の中間部から下方に向かって凸に切り欠かれた形状の窓部を有していることを特徴とする。
【0016】
この包装箱によれば、少なくとも1つの側板がその上端の左右方向の中間部から下方に向かって凸に切り欠かれた形状の窓部を有しているので、複数の包装箱を積み重ねた際でも、この窓部を介して、包装箱内の収納物を外から確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る包装箱の封緘状態を示す斜視図である。
図2図1のA部の拡大図である。
図3】包装箱の組立前の構成を示す平面図である。
図4】支持部材の組立前の構成を示す平面図である。
図5図5Aは、包装箱を組み立てた状態を示す斜視図、図5Bは、支持部材を2つ折りにした状態を示す斜視図、図5Cは、折り曲げた支持部材を包装箱に収納する状態を示す斜視図である。
図6】収納物及び支持部材を包装箱に収納した状態を示す斜視図である。
図7】包装箱を開封した状態を示す斜視図である。
図8】開封状態の包装箱を上下方向に積み重ねた状態を示す正面図である。
図9】開封状態の包装箱を上下方向に積み重ねた状態を示す斜視図である。
図10図9のB部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る包装箱について説明する。図1に示すように、本実施形態の包装箱1は、外観が直方体状に形成された、いわゆるA式段ボール箱タイプのものである。
【0019】
この包装箱1の場合、支持部材20及び収納物Sが内部に収納された状態(図6参照)で封緘されるとともに、開封時には箱の一部が破断される(図7参照)。
【0020】
この包装箱1は、図3に示すほぼ矩形状の段ボール板紙1xを原紙から打抜いて形成した後、これを折り曲げて組み立てられる。以下、図3を参照しながら、段ボール板紙1xの構成について説明する。なお、以下の段ボール板紙1xの説明においては、便宜上、図3の上下方向を「上下」、左右方向を「左右」という。
【0021】
図3に示すように、段ボール板紙1xは、左側板2、前側板3、右側板4及び後側板5を備えている。これら4つの側板2~5はいずれも平面視矩形でかつ一体に形成されているとともに、上下方向の長さが同一に設定されている。本実施形態の包装箱1の場合、これら4つの側板2~5によって四角筒状の側壁部が構成されている。
【0022】
左側板2の上下端部には、上下一対の外フラップ6,6が連設されている。これらの外フラップ6,6の各々は、平面視矩形に形成され、左右方向の長さが左側板2よりも若干短く設定されている。また、各外フラップ6の上下方向の長さは、後述する外フラップ8及び内フラップ7,9と同一であるとともに、前側板3の左右方向の長さのほぼ半分のサイズに設定されている。
【0023】
また、左側板2と上外フラップ6の境目には、折目線f1及び破断可能線c1の一部が形成され、左側板2と下外フラップ6の境目には、折目線f2が形成されている。これらの折目線f1,f2は、段ボール板紙1xの折り曲げを容易にするための罫線(又は、ミシン目状の線)であり、この点は後述する他の折目線においても同様である。
【0024】
さらに、折目線f1は、左側板2と上外フラップ6の境界線の左右方向の中央部において所定長さで左右方向に延びている。破断可能線c1は、左側板2と上外フラップ6の境界線の左右両端と折目線f1の両端との間に延びているとともに、折目線f1の両端から下方に凸に台形状に延びている。この破断可能線c1は、段ボール板紙1xの折り曲げ及び破断を容易にするためのミシン目線で構成されており、この点は後述する他の破断可能線においても同様である。
【0025】
また、破断可能線c1は、その下側部分の中央において2つに分岐した後、1つに合流する形状を有しており、これらの分岐した2つの破断可能線c1で囲まれた部分は、包装箱1の開梱時、作業者が破断して指を差し込むための指差込部2aになっている。後述するように、包装箱1の開梱時、左側板2がこの破断可能線c1に沿って破断されることにより、左側板2には、窓部2b(図7に一部のみ図示)が形成される。
【0026】
一方、左側板2の左端部には、折目線f3を介して、接着片10が連設されており、この接着片10は、平面視台形に形成されている。この接着片10の上端部と左側板2の上端部との境目には、切込線c2が設けられている。
【0027】
この切込線c2は、ほぼ逆さT字状に形成されており、縦線部c21及び横線部c22を有している(図2参照)。この縦線部c21は、前側板3と右側板4と境界線の上端から下方に第1所定長さで延びており、横線部c22は、縦線部c21の下端から前側板3と右側板4の間において横方向に第2所定長さで延びている。この縦線部c21の下端は、後述する支持部材20が包装箱1内に収納された場合において、支持部材20の上端以下の位置になるように設定されている。
【0028】
この切込線c2は、接着片10の上端部と左側板2の上端部との境目、左側板2の上端部と前側板3の上端部との境目、及び、右側板4の上端部と後側板5の上端部との境目にもそれぞれ設けられている。
【0029】
左側板2の右端部には、折目線f4を介して、前側板3が連設されている。前側板3は、上下方向の長さが左側板2と同一で、左右方向の長さが左側板2よりも短く構成されている。
【0030】
前側板3の上下端部には、上下一対の内フラップ7,7が連設されている。これらの内フラップ7,7の各々は、平面視矩形に形成され、左右方向の長さが前側板3よりも若干短く設定されている。前側板3と上内フラップ7との境目には、破断可能線c3の一部及び折目線f5が形成され、前側板3と下内フラップ7との境目は、折目線f6が形成されている。
【0031】
折目線f5は、前側板3と上内フラップ7の境界線の左右方向の中央部において所定長さで左右方向に延びている。破断可能線c3は、前側板3と上外フラップ6の境界線の左右両端と折目線f5の両端との間に延びているとともに、折目線f5の両端から下方に凸に台形状に延びている。
【0032】
また、破断可能線c3は、その下側部分の中央において2つに分岐した後、1つに合流する形状を有しており、これらの分岐した2つの破断可能線c3で囲まれた部分は、包装箱1の開梱時、作業者が破断して指を差し込むための指差込部3aになっている。
【0033】
包装箱1の開梱時、後述するように、前側板3が破断可能線c3に沿って破断されることにより、前側板3には、窓部3b(図7参照)が形成される。この窓部3bは、前側板3の上端の中間部(上端の左右両端から所定距離、中央寄りの部位)から下方に向かって凸に切り欠かれた台形の形状となる。
【0034】
また、前側板3の右端部には、折目線f7を介して、右側板4が連設されている。この右側板4は、左側板2と同一サイズで、面対称に構成されている。また、右側板4の上下端部には、上下一対の外フラップ8,8が連設されており、これらの外フラップ8,8は、前述した外フラップ6,6と同一に構成されている。
【0035】
さらに、右側板4と上外フラップ8との境目には、破断可能線c4の一部及び折目線f8が形成され、右側板4と下外フラップ8との境目は、折目線f9が形成されている。これらの折目線f8,f9は、前述した折目線f1,f2と同一に構成されている。
【0036】
また、破断可能線c4は、破断可能線c1と同一に構成されている。すなわち、破断可能線c4は、折目線f8の両端から下方に凸に台形状に延びているとともに、その下端部の中央において2つに分岐した後、1つに合流する形状を有している。これらの分岐した2つの破断可能線c4で囲まれた部分は、包装箱1の開梱時、作業者が破断して指を差し込むための指差込部4aになっている。
【0037】
包装箱1の開梱時、後述するように、右側板4が破断可能線c4に沿って破断されることにより、右側板4には、台形の窓部4b(図7参照)が形成される。この窓部4bは、右側板4の上端の中間部(上端の左右両端から所定距離、中央寄りの部位)から下方に向かって凸に切り欠かれた台形の形状となる。
【0038】
右側板4の右端部には、折目線f10を介して、後側板5が連設されている。この後側板5は、前側板3と同一のサイズを有しており、その上下端部には、破断可能線c5及び折目線f11を介して、上下一対の内フラップ9,9が連設されている。これらの内フラップ9,9の各々は、前述した内フラップ7と同一のサイズ及び形状に構成されている。
【0039】
次に、図4を参照しながら、支持部材20について説明する。この支持部材20は、段ボール板紙で構成されており、後述するように、包装箱1を封緘する際に、平面視コ字状に折り曲げて包装箱1内に収納されるものである。なお、以下の支持部材20の説明においては、便宜上、図4の上下方向を「上下」、左右方向を「左右」という。
【0040】
同図に示すように、支持部材20は、外側部21、内側部22及び連結部23で構成されている。外側部21は、支持部材20を平面視コ字状に折り曲げた際、外側に位置する部分であり、平面視横長の矩形に形成されている。
【0041】
外側部21は、いずれも平面視矩形の中央部21a及び左右の折曲げ部21b,21bを備えており、左右の折曲げ部21b,21bは、一対の折目線f21,f21を介して中央部21aの左右両端部に連設されている。なお、本実施形態では、中央部21aが第1支持部に相当し、折曲げ部21b,21bが第2支持部に相当する。
【0042】
また、内側部22は、支持部材20を平面視コ字状に折り曲げた際、内側に位置する部分であり、平面視横長の矩形に形成されている。内側部22は、外側部21と上下方向の長さが同じで、左右方向の長さが若干短いサイズになっている。
【0043】
内側部22は、いずれも平面視矩形の中央部22a及び左右の折曲げ部22b,22bを備えており、左右の折曲げ部22b,22bは、一対の折目線f22,f22を介して中央部22aの左右両端部に連設されている。なお、本実施形態では、中央部22aが第1支持部に相当し、折曲げ部22b,22bが第2支持部に相当する。
【0044】
さらに、連結部23は、一対の折目線f23,f23を介して、外側部21の中央部21aと内側部22の中央部22aとの間に連設されている。連結部23は、平面視横長の矩形で、上下方向の長さが外側部21及び内側部22よりもかなり短く、左右方向の長さが内側部22の中央部22aと同一に形成されている。
【0045】
次に、以上の図3に示す段ボール板紙1x及び図4に示す支持部材20を用いて、図1に示す包装箱1を組み立てる手順について説明する。なお、以下の説明においては、図1の矢印X1-X2で示す方向を「前後方向」、矢印Y1-Y2で示す方向を「左右方向」、上下方向を「上下方向」とそれぞれ呼ぶ。
【0046】
まず、作業者によって、段ボール板紙1xの左側板2が、折目線f4を介して、前側板3に対して直角になるように組立方向に折り曲げられる。この場合の「組立方向」とは、図3の4つの側板2~5がいずれも包装箱1の表側になるような方向である。
【0047】
さらに、前側板3が、折目線f7を介して、右側板4に対して直角になるように組立方向に折り曲げられ、右側板4が、折目線f10を介して、後側板5に対して直角になるように組立方向に折り曲げられる。
【0048】
次いで、接着片10が、折目線f3を介して、左側板2に対して組立方向に折り曲げられた後、接着剤を介して、後側板5に固定される。その後、下内フラップ7が、折目線f6を介して、前側板3に対して直角になるように包装箱1の内側に向かって折り曲げられ、下内フラップ9が、折目線f11を介して、後側板5に対して直角になるように包装箱1の内側に向かって折り曲げられる。
【0049】
そして、下外フラップ6が、折目線f2を介して、左側板2に対して直角になるように包装箱1の内側に向かって折り曲げられた後、接着剤を介して、下内フラップ7,9の表面に固定される。さらに、下外フラップ8が、折目線f9を介して、右側板4に対して直角になるように包装箱1の内側に向かって折り曲げられた後、接着剤を介して、下内フラップ7,9の表面に固定される。
【0050】
以上により、図5Aに示す状態の包装箱1が作成される。同図に示す包装箱1の場合、その底部が下内フラップ7,9及び下外フラップ6,8によって構成され、側壁部の下端が底部によって封止されているとともに、上内フラップ7,9及び上外フラップ6,8が開いた状態になっている。
【0051】
次いで、図5Bに示すように、作業者により、支持部材20の外側部21及び内側部22が、一対の折目線f23,f23を介して、連結部23に対して折り曲げられるとともに、支持部材20が、その連結部23が上に来るような姿勢にされる。
【0052】
さらに、図5Cに示すように、支持部材20において、内側部22の左右の折曲げ部22b,22bが、一対の折目線f22,f22を介して、中央部22aに対して平面視コ字状になるように直角に折り曲げられる。これと同時に、外側部21の左右の折曲げ部21b,21bが、一対の折目線f21,f21を介して、中央部21aに対して平面視コ字状になるように直角に折り曲げられる。
【0053】
支持部材20は、以上のように折り曲げられた後、包装箱1内に収納される。その後、収納物Sが、例えば、図6に示す状態で包装箱1に収納される。そして、図6に示す状態の包装箱1において、上内フラップ7,9が閉じられた後、上外フラップ6,8が上内フラップ7,9に固定されることにより、図1に示す封緘状態の包装箱1が完成する。
【0054】
図1に示す封緘状態の包装箱1を開封する際、作業者は、両手の指で左右の側板2,4の指差込部2a,4aを内側に押圧し、これを破断可能線c1,c4を介して破断しながら両手の指を包装箱1内に差し込むとともに、その状態で、左右の側板2,4を破断可能線c1,c4に沿って破断する。
【0055】
作業者は、以上と同じ手順により、前側板3を破断可能線c3に沿って破断し、さらに、後側板5を破断可能線c5に沿って破断する。以上の動作により、図7に示すように、包装箱1が開封される。このように包装箱1が開封された場合、前側板3には、正面視台形の窓部3bが形成され、左右の側板2,4には、側面視台形の窓部2b,4bがそれぞれ形成される。
【0056】
このように開封された状態では、1個の収納物Sが支持部材20と前側板3との隙間に収納されているので、この収納物Sは、前側板3の窓部3bを介して、視認可能な状態になる。これと同様に、複数の収納物Sが、左右の側板2,4の窓部2b,4bを介して、視認可能な状態になる。
【0057】
そして、本実施形態の包装箱1の場合、図8及び図9に示すように、複数(図では3つ)の開封状態の包装箱1を上下方向に積み重ねることができる。なお、図8では,理解の容易化のために収納物Sが省略されている。このように包装箱1を積み重ねた場合、上側の包装箱1の底部が平面視コ字状の支持部材20の上面によって支持された状態になる。これと同時に、図9及び図10に示すように、上側の包装箱1の底部の角部は、下側の包装箱1の四隅の切込線c2の縦線部c21を押し開きながら、横線部c22によって下方から支持された状態となる。
【0058】
以上のように、本実施形態の包装箱1によれば、開封状態の複数の包装箱1を上下方向に重ねた場合、上側の包装箱1の底部の角部が、下側の包装箱1の側板間の間隔を切込線c2の縦線部c21に沿って押し広げながら、下側の包装箱1内に容易に入り込むことになる。これに加えて、支持部材20の上端は、左右前後の側板2~5の上端よりも下側に配置されているので、上側の包装箱1の底部の下端部は、下側の包装箱1の左右前後の側板2~5の上端部によって横方向から支持された状態となる。
【0059】
さらに、支持部材20の内側部22及び外側部21が、平面視コ字状に折り曲げた状態で包装箱1内に収納されているので、上側の包装箱1は、支持部材20の内側部22及び外側部21によって安定した状態で支持されることになる。以上により、この包装箱1によれば、複数の包装箱1の各々が収納物Sを収納しているときでも、複数の包装箱1を安定した状態で上下方向に積み重ねることができる。
【0060】
また、切込線c2の縦線部c21の下端は、支持部材20の上端以下の高さになるように設定されているので、複数の包装箱1を上下方向に重ねた場合、上側の包装箱1の底部は、下側の包装箱1の支持部材20によって下方から主に支持されることになる。その結果、下側の包装箱1の切込線c2の横線部c22の縁に過大な荷重が作用するのを回避することができ、複数の包装箱1を上下方向に積み重ねた際の包装箱1の変形を抑制することができる。
【0061】
また、開封状態の包装箱1の3つの側板2~4には、窓部2b~4bが形成されるので、複数の包装箱1を積み重ねた際でも、これらの窓部2b~4bを介して、包装箱1内の収納物Sを外から確認することができる。それにより、高い利便性を確保することができる。
【0062】
なお、開封状態の複数の包装箱1を上下方向に重ねる際、上側の包装箱1の底部と下側の包装箱1の支持部材20との間に、板状の部材を介在させるように構成してもよい。このように構成した場合、複数の包装箱1を上下方向に積み重ねた際の安定性をさらに向上させることができるとともに、下側の包装箱1内の収納品Sを保護することができる。
【0063】
なお、実施形態は、切込線として、縦線部c21及び横線部c22が設けられた例であるが、本発明の切込線はこれに限られず、少なくとも縦線部c21が設けられていればよい。その場合には、縦線部c21の下端から隣り合う2つの側板の上端まで延びるV字状の折目線を設けることで、包装箱1を積み重ねる際にV字状の折目線に沿って側板が折れ曲がり、境界部の上端が圧潰することを防止できる。
【0064】
また、実施形態は、包装箱として、上内フラップ7,9及び上外フラップ6,8付きで封緘時にこれらのフラップにより天壁が構成される包装箱1を用いた例であるが、本発明の包装箱は、これに限らず、多角筒状の側壁部と、側壁部の下端を封止する底部と、底部から上方に向かって延びる支持部とを有するものであればよい。例えば、実施形態の包装箱1において、上内フラップ7,9及び上外フラップ6,8を省略したものを用いてもよい。
【0065】
さらに、実施形態は、側壁部として、四角筒状のものを用いた例であるが、本発明の側壁部はこれに限らず、3つ以上の側板からなる多角筒状のものであればよい。例えば、側壁部として、3つの側板からなる三角筒状のものを用いてよく、4つ以上の側板からなる四角以上の多角筒状のものを用いてもよい。
【0066】
また、実施形態は、支持部としての支持部材20を包装箱1と別体に構成した例であるが、これに代えて、支持部材20を包装箱1と一体に構成してもよい。その場合には、支持部材20が段ボール板紙1xと一体に連設されているように構成すればよい。
【0067】
さらに、実施形態は、支持部として、平面視コ字状に変形させた支持部材20を用いた例であるが、本発明の支持部は、これに限らず、第1支持部及び第2支持部を有するものであって、これらの第1支持部及び第2支持部が平面視したときに互いに屈曲又は湾曲するように構成されているものであればよい。例えば、支持部として、第1支持部及び第2支持部が平面視T字状又はX字状に配置されたものや、第1支持部及び第2支持部が平面視S字状に配置されたものを用いてもよい。
【0068】
一方、実施形態は、台形の窓部2b~4bを用いた例であるが、本発明の窓部は、これらに限らず、側板の上端の左右方向の中間部から下方に向かって凸に切り欠かれた形状のものであればよい。例えば、窓部を、三角形、矩形、円形又は曲線形の形状に構成してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 包装箱
2 左側板(側壁部)
2b 窓部
3 前側板(側壁部)
3b 窓部
4 右側板(側壁部)
4b 窓部
5 後側板(側壁部)
6 下外フラップ(底部)
7 下内フラップ(底部)
8 下外フラップ(底部)
9 下内フラップ(底部)
20 支持部材(支持部)
21a 中央部(第1支持部)
21b 折曲げ部(第2支持部)
22a 中央部(第1支持部)
22b 折曲げ部(第2支持部)
c2 切込線
c21 縦線部
c22 横線部
図1
図2
図3
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図10