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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084964
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】部品組み付け装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/04 20060101AFI20230613BHJP
   H01M 50/645 20210101ALN20230613BHJP
【FI】
B23P19/04 E
H01M50/645
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199378
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】野田 敏弘
【テーマコード(参考)】
3C030
5H023
【Fターム(参考)】
3C030BB05
3C030BC03
5H023AA00
5H023BB10
5H023CC11
(57)【要約】
【課題】従来の部品組み付け装置は、組み付け対象の部品の位置決めに高い精度が要求される問題がある。
【解決手段】本発明の部品組み付け装置は、吸着面が一端に設けられる保持部31と、保持部31の側面を、保持部31が吸着面と直交する方向に摺動可能に把持するガイド部32と、保持部31の吸着面を、ガイド部32の端部よりも埋没する第1の状態と、ガイド部42の端部よりも突出する第2の状態と、の間で摺動させる摺動制御部33と、を有し、保持部41は、吸着面に設けられ、吸引方向の気流により部品に吸着力を与える第1の開口と、保持部41の側面に設けられ、吸引方向で気流を吸引する第2の開口と、第1の開口により部品に与えられる吸着力が第1の状態よりも第2の状態の時の方が小さくなるようにし、第2の開口から吸引される気流が第1の状態よりも第2の状態の時の方が大きくなるようにする気流制御構造と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着面が一端に設けられる保持部と、
前記保持部のうち前記吸着面と直交する側面を、前記保持部が前記吸着面と直交する方向に摺動可能に把持するガイド部と、
前記保持部を、前記ガイド部の前記保持部の摺動方向の端部よりも前記吸着面が埋没する第1の状態と、前記ガイド部の前記端部よりも前記吸着面が突出する第2の状態と、の間で摺動させる摺動制御部と、を有し、
前記保持部は、
前記吸着面に設けられ、吸引方向の気流により部品に吸着力を与える第1の開口と、
前記保持部の前記側面に設けられ、前記吸引方向で気流を吸引する第2の開口と、
前記第1の開口により前記部品に与えられる前記吸着力が前記第1の状態よりも前記第2の状態の時の方が小さくなるようにし、前記第2の開口から吸引される気流が前記第1の状態よりも前記第2の状態の時の方が大きくなるようにする気流制御構造と、を有する部品組み付け装置。
【請求項2】
前記気流制御構造は、
前記第1の開口に連通し、前記吸引方向の気流を流す主経路と、
前記主経路と前記第2の開口とを連通する副経路と、を有し、
前記第2の開口は、前記第1の状態で前記ガイド部に覆われ、前記第2の状態で露出する位置に設けられる請求項1に記載の部品組み付け装置。
【請求項3】
前記吸引方向の気流を供給する吸引配管と、
前記吸引方向とは逆の吹き出し方向の気流を供給する吹き出し配管と、をさらに有し、
前記気流制御構造は、
前記第1の開口と連通する第1の配管と、
前記第2の開口と連通する第2の配管と、を有し、
前記第1の配管の前記第1の開口とは逆の位置にある開口は、前記第1の状態においてを前記吸引配管と接続され、前記第2の状態において前記吹き出し配管と接続される位置に設けられ、
前記第2の配管の前記第2の開口とは逆の位置にある開口は、前記第1の状態において開放状態され、前記第2の状態において前記吸引配管と接続される位置に設けられる請求項1に記載の部品組み付け装置。
【請求項4】
吸引方向の気流により部品に吸着力を与える第1の開口が設けられる吸着面が一端に設けられ、前記吸引方向で気流を吸引する第2の開口が側面に設けられる保持部と、
前記保持部のうち前記吸着面と直交する側面を、前記保持部が前記吸着面と直交する方向に摺動可能に把持するガイド部と、
前記保持部を、前記ガイド部の前記保持部の摺動方向の端部よりも前記吸着面が埋没する第1の状態と、前記ガイド部の前記端部よりも前記吸着面が突出する第2の状態と、の間で摺動させる摺動制御部と、を有し、
前記保持部は、
前記第1の開口に連通し、前記吸引方向の気流を流す主経路と、
前記主経路と前記第2の開口とを連通する副経路と、を有し、
前記第2の開口は、前記第1の状態で前記ガイド部に覆われ、前記第2の状態で露出する位置に設けられる部品組み付け装置。
【請求項5】
吸引方向の気流により部品に吸着力を与える第1の開口が設けられる吸着面が一端に設けられ、前記吸引方向で気流を吸引する第2の開口が側面に設けられる保持部と、
前記保持部のうち前記吸着面と直交する側面を、前記保持部が前記吸着面と直交する方向に摺動可能に把持するガイド部と、
前記保持部を、前記ガイド部の前記保持部の摺動方向の端部よりも前記吸着面が埋没する第1の状態と、前記ガイド部の前記端部よりも前記吸着面が突出する第2の状態と、の間で摺動させる摺動制御部と、
前記吸引方向の気流を供給する吸引配管と、
前記吸引方向とは逆の吹き出し方向の気流を供給する吹き出し配管と、を有し、
前記保持部は、
前記第1の開口と連通する第1の配管と、
前記第2の開口と連通する第2の配管と、を有し、
前記第1の配管の前記第1の開口とは逆の位置にある開口は、前記第1の状態においてを前記吸引配管と接続され、前記第2の状態において前記吹き出し配管と接続される位置に設けられ、
前記第2の配管の前記第2の開口とは逆の位置にある開口は、前記第1の状態において開放状態され、前記第2の状態において前記吸引配管と接続される位置に設けられる部品組み付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、部品をピックアップし、ピックアップした部品を所定の位置に組み付ける部品組み付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池の組み立てでは、様々な部品の位置合わせが必要になり、部品の搬送と組付け位置の位置合わせを行う部品組み付け装置が利用される。この部品組み付け装置の1つに気流により吸引力を発生させることで組み立て対象の部品をピックアップし、ピックアップした部品を所定の位置に組み付ける部品組み付け装置がある。そこで、部品を吸着させて搬送する技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の真空吸着装置は、半導体ウエハを吸着保持して搬送する際には、切換バルブを吸引源側に切り換えて、吸引路を介して吸引口の吸引を行い、載置部上に半導体ウエハを吸着保持する。載置部のクリーニングを行う場合は、切換バルブを清浄用気体供給源側に切り換えて、清浄用気体供給源から、吸引路を介して清浄用気体(例えば、空気、窒素ガス等)を供給し、吸引口から噴出させる。
【0004】
また、二次電池において組み付けが必要な部品の1つに、注液孔を塞ぐキャップがある。そこで、キャップの組み付ける技術が特許文献2に開示されている。特許文献2に記載の二次電池の製造方法は、蓋材に設けられた注液孔を塞ぐように、第1磁性体を含むキャップを配置するキャップ配置工程と、外装ケースの開口部を塞ぐように蓋材を配置する蓋材配置工程と、第1磁性体と第1磁性体に磁力を付与する第2磁性体とを近づけることで、注液孔を塞ぐように配置されるキャップの位置を第2磁性体から第1磁性体に付与される磁力により保持するキャップ位置保持工程と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-119488号公報
【特許文献2】特許第6288065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
キャップの組み付けでは、注液孔に対するキャップの位置決め精度が重要になる。この位置決め精度は、高めるほどに時間と費用が多くかかる傾向にある。しかしながら、特許文献1、2では、部品の位置決め精度を緩和するための開示も示唆もない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、組み付け対象の部品の位置決め精度を緩和することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる部品組み付け装置の一態様は、吸着面が一端に設けられる保持部と、前記保持部のうち前記吸着面と直交する側面を、前記保持部が前記吸着面と直交する方向に摺動可能に把持するガイド部と、前記保持部を、前記ガイド部の前記保持部の摺動方向の端部よりも前記吸着面が埋没する第1の状態と、前記ガイド部の前記端部よりも前記吸着面が突出する第2の状態と、の間で摺動させる摺動制御部と、を有し、前記保持部は、前記吸着面に設けられ、吸引方向の気流により部品に吸着力を与える第1の開口と、前記保持部の前記側面に設けられ、前記吸引方向で気流を吸引する第2の開口と、前記第1の開口により前記部品に与えられる前記吸着力が前記第1の状態よりも前記第2の状態の時の方が小さくなるようにし、前記第2の開口から吸引される気流が前記第1の状態よりも前記第2の状態の時の方が大きくなるようにする気流制御機構と、を有する。
【0009】
本発明にかかる部品組み付け装置の一態様は、吸引方向の気流により部品に吸着力を与える第1の開口が設けられる吸着面が一端に設けられ、前記吸引方向で気流を吸引する第2の開口が側面に設けられる保持部と、前記保持部のうち前記吸着面と直交する側面を、前記保持部が前記吸着面と直交する方向に摺動可能に把持するガイド部と、前記保持部を、前記ガイド部の前記保持部の摺動方向の端部よりも前記吸着面が埋没する第1の状態と、前記ガイド部の前記端部よりも前記吸着面が突出する第2の状態と、の間で摺動させる摺動制御部と、を有し、前記保持部は、前記第1の開口に連通し、前記吸引方向の気流を流す主経路と、前記主経路と前記第2の開口とを連通する副経路と、を有し、前記第2の開口は、前記第1の状態で前記ガイド部に覆われ、前記第2の状態で露出する位置に設けられる。
【0010】
本発明にかかる部品組み付け装置の一態様は、吸引方向の気流により部品に吸着力を与える第1の開口が設けられる吸着面が一端に設けられ、前記吸引方向で気流を吸引する第2の開口が側面に設けられる保持部と、前記保持部のうち前記吸着面と直交する側面を、前記保持部が前記吸着面と直交する方向に摺動可能に把持するガイド部と、前記保持部を、前記ガイド部の前記保持部の摺動方向の端部よりも前記吸着面が埋没する第1の状態と、前記ガイド部の前記端部よりも前記吸着面が突出する第2の状態と、の間で摺動させる摺動制御部と、前記吸引方向の気流を供給する吸引配管と、前記吸引方向とは逆の吹き出し方向の気流を供給する吹き出し配管と、を有し、前記保持部は、前記第1の開口と連通する第1の配管と、前記第2の開口と連通する第2の配管と、を有し、前記第1の配管の前記第1の開口とは逆の位置にある開口は、前記第1の状態においてを前記吸引配管と接続され、前記第2の状態において前記吹き出し配管と接続される位置に設けられ、前記第2の配管の前記第2の開口とは逆の位置にある開口は、前記第1の状態において開放状態され、前記第2の状態において前記吸引配管と接続される位置に設けられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の部品組み付け装置によれば、組み付け対象の部品の位置決め精度を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1にかかる二次電池の概略図である。
図2】実施の形態1にかかる二次電池の組み立て工程のフローチャートである。
図3】実施の形態1にかかる部品組み付け装置の構造を説明する図である。
図4】実施の形態1にかかる部品組み付け装置の横滑り効果を説明する図である。
図5】実施の形態2にかかる部品組み付け装置の構造を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0014】
実施の形態1
まず、実施の形態1にかかる部品組み付け装置は、二次電池の製造において用いられる。そして、以下の説明では、二次電池の組み立てにおいて溶接時のゴミの侵入を防止するキャップの組み付けを行う部品組み付け装置について説明する。なお、部品組み付け装置が組み付け対象とする部品は、位置決め精度が必要で吸着による部品保持が可能な部品であればどのような部品であっても組み付け対象とすることができる。そこで、実施の形態1にかかる部品組み付け装置が組み付け対象とする部品を説明するために、まず、二次電池の構成について説明する。なお、以下で説明する部品組み付け装置30は、キャップ21を下向き挿入するように組み付ける例について説明するが、キャップ21の挿入方向は特に限定されない。
【0015】
図1に実施の形態1にかかる二次電池の概略図を示す。図1に示すように、実施の形態1にかかる二次電池1は、ケース10、蓋11を有する。ケース10には、電力体が収納される。蓋11は、ケース10に電力体が収納された状態でケース10を密閉状態とする。そして、蓋11には、負極端子12、正極端子13が設けられる。負極端子12は、ケース10内の電力体の負極から電力を取り出す電極であり、蓋11を貫通して設けられる負極極柱と負極かしめ具12aにより接合される。負極極柱、負極かしめ具12a、負極端子12は、レーザー溶接により接合される。正極端子13は、ケース10内の電力体の正極から電力を取り出す電極であり、蓋11を貫通して設けられる正極極柱と正極かしめ具13aにより接合される。正極極柱、正極かしめ具13a、正極端子13は、レーザー溶接により接合される。
【0016】
また、蓋11には、開放弁14及び注液孔15が設けられる。開放弁14は、密閉されたケース10内の内圧が一定以上となった時にケース10の内圧を低減する弁である。注液孔15は、ケース10に電解液を注液するために設けられる孔であり、注液後に封止部材22により封止される。しかし、ケース10への電解液の注液は、蓋11をケース10に溶接した後に行われるため、蓋11をケース10に溶接する際に、何もしなければ注液孔15からゴミがケース10内に侵入するおそれがある。そこで、二次電池の製造工程では、蓋11をケース10に溶接する際にキャップ21を注液孔15に填めて注液孔15からゴミがケース10に侵入することを防止する。
【0017】
ここで、図2に実施の形態1にかかる二次電池の組み立て工程のフローチャートを示す。図2に示すように、二次電池の組み立てでは、まず、電極体に集電体を溶接し、集電体と蓋11を貫通する電極と溶接し、電極体をケース10に収納した状態でケース10の開口を蓋11で塞ぐ部材組み立て工程を実施する(ステップS1)。続いて、蓋11の注液孔15にキャップ21を挿入する(ステップS2)。続いて、ケース10と蓋11とを溶接する(ステップS3)。続いて、注液孔15からキャップ21を外して、ケース10に注液孔15から電解液を注液する(ステップS4)。続いて、注液孔15に封止部材22を置いた状態で蓋11と注液孔15とを溶接することで、注液孔15を封止部材22で封止する(ステップS5)。これにより、二次電池の組み立て工程は終了する。このような工程において、実施の形態1にかかる部品組み付け装置は、ステップS2のキャップ21を注液孔15に挿入する工程で用いられる。
【0018】
実施の形態2にかかる部品組み付け装置30について詳細に説明する。図3に実施の形態1にかかる部品組み付け装置30の構造を説明する図を示す。図3に示すように、実施の形態1にかかる部品組み付け装置30は、保持部31、ガイド部32、摺動制御部33を有する。また、図3では、部品組み付け装置30が搬送する部品としてキャップ21を示し、キャップ21の組み付け対象となる蓋11を示した。
【0019】
保持部31は、キャップ21を吸着する吸着面が一端に設けられる。また、保持部31は、第1の開口、第2の開口及び気流制御構造を有する。第1の開口は、吸着面に設けられ、吸引方向の気流により部品に吸着力を与える。第2の開口は、保持部31の側面に設けられ、吸引方向で気流を吸引する。気流制御構造の詳細は後述する。
【0020】
ガイド部32は、保持部31のうち吸着面と直交する側面を、保持部31が吸着面と直交する方向に摺動可能に把持する。このガイド部32は、図示しないロボットアーム等のガイド部移動手段によりキャップ21が準備された場所から注液孔15のある位置まで移動する。
【0021】
摺動制御部33は、保持部31を、ガイド部32の保持部31の摺動方向の端部よりも吸着面が埋没する第1の状態と、ガイド部32の端部よりも吸着面が突出する第2の状態と、の間で摺動させる。図3では、部品組み付け装置30が第1の状態となっている時の構成を上図に示し、部品組み付け装置30が第2の状態となっているときの構成を下図に示した。
【0022】
ここで、実施の形態1にかかる部品組み付け装置30の気流制御構造について詳細に説明する。気流制御構造は、第1の開口により部品に与えられる吸着力が第1の状態よりも第2の状態の時の方が小さくなるようにし、第2の開口から吸引される気流が第1の状態よりも第2の状態の時の方が大きくなるようにする。
【0023】
具体的には、実施の形態1にかかる部品組み付け装置30は、気流制御構造として主経路P11と、副経路P12と、を有する。主経路P11は、第1の開口に連通し、吸引方向の気流を流す。副経路P12は、主経路P11と第2の開口とを連通する。そして、第2の開口は、第1の状態でガイド部32に覆われ、第2の状態で露出する位置に設けられる。また、主経路P11の断面積は、副経路P12の断面積より大きくなるように設けられることが好ましい。主経路P11の断面積を副経路P12の断面積より大きくすることで、部品組み付け装置30は、第2の状態となったときに吸着面の吸着力を第1の状態よりも弱めつつ、キャップ21の吸着力を維持できる。
【0024】
図3に示すように、実施の形態1にかかる部品組み付け装置30では、キャップ21が強い吸引力で保持部31の吸着面に吸着されている第1の状態においては、ガイド部32が吸着面の周囲を覆う壁となり、吸着面においてキャップ21が横ずれすることを防止する。また、第1の状態では、ガイド部32とキャップ21との間の隙間は少なくなるように設定される。このように、保持部31の吸着面の面積とキャップ21の吸着部分の面積及び形状をほぼ同じに設定することで保持部31に対するキャップ21の位置精度を高めることができる。なお、第1の状態では、副経路P12の第2の開口はガイド部32により塞がれており、第1の開口には強い吸着力が生じる。
【0025】
また、図3の第2の状態を参照すると、実施の形態1にかかる部品組み付け装置30では、保持部31の吸着面がガイド部32の端部よりも突出し、かつ、第2の開口が露出した状態となる。そのため、主経路P11の吸引方向の気流の大部分が副経路P12を介して供給される。そして、第2の状態では、この副経路P12を流れる気流により部品組み付け装置30は、キャップ21の組み付け位置周辺のゴミを集塵して外部に排出する。このゴミには、部品組み付け装置30の摺動ゴミ、セルクランプ治具のゴミ、キャップ関連のゴミ等が考えられる。
【0026】
また、図3の第2の状態では、第1の開口から吸引される気流が第1の状態よりも減少するため保持部31の吸着面に生じる吸引力が第1の状態よりも減少する。また、第2の状態では、保持部31の吸着面がガイド部32の端部に対して突出した状態となる。これにより、実施の形態1にかかる部品組み付け装置30では、第2の状態において保持部31の周囲に壁がなくなるため、吸着面上をキャップ21が横滑り可能な状態になる。この横滑りについて図4を参照して説明する。
【0027】
図4に実施の形態1にかかる部品組み付け装置30の横滑り効果を説明する図を示す。図4では、横滑りの効果を説明するために、比較例として、吸着面の周囲にキャップ21の横滑りを止める側壁が固定的に設けられる部品組み付け装置300を示した。
【0028】
図4に示すように、キャップ21の先端にはテーパーが設けられている。そのため、テーパーの幅の範囲内であれば、キャップ21の中心軸が注液孔15の中心軸からずれた場合、キャップ21は、テーパーに沿って横ずれしながら注液孔15に挿入される。このとき、部品組み付け装置30では、第2の状態において保持部31の吸着面の周囲にはキャップ21の横ずれを阻害するものが無い。また、実施の形態1にかかる部品組み付け装置30では、第2の状態においてキャップ21を保持部31の吸着面に吸着する吸着力が第1の状態よりも弱くなる。そのため、実施の形態2にかかる部品組み付け装置30では、キャップ21の横ずれがスムーズに生じ、キャップ21が注液孔15に正確に填め込まれる。
【0029】
一方、比較例では、部品組み付け装置300の吸着面の周囲に設けられる側壁によりキャップ21の横ずれが制限される。そのため、比較例にかかる部品組み付け装置300を用いる場合において、キャップ21を正確に注液孔15に挿入するためには、部品組み付け装置300とキャップ21との相対位置精度(中心軸を合わせる精度)と、部品組み付け装置300と注液孔15の中心軸を合わせる精度と、の2つの精度を高く制御しなければならない問題がある。
【0030】
上記説明より、実施の形態1にかかる部品組み付け装置30では、第2の状態において、キャップ21の横ずれ幅を大きく取れる。そのため、実施の形態1にかかる部品組み付け装置30を用いることで、キャップ21の中心軸と注液孔15の中心軸との芯合わせ精度を緩和することができる。
【0031】
また、この芯合わせ精度の緩和により、キャップ21及び注液孔15の大きさ等の公差を広く取れるため部材コストを低減することができる。さらに、芯合わせ精度が緩和されることにより、部品組み付け装置30を組付け位置に移動させる調整時間の低減、部品組み付け装置30の製造コストを削減することができる。
【0032】
また、実施の形態1にかかる部品組み付け装置30では、保持部31の吸着面におけるキャップ21の横滑り性を高めるために吸着力を減衰させるために、主経路P11に供給する吸引気流の減圧をさせる必要が無い。これにより、実施の形態1にかかる部品組み付け装置30では、部品組み付けサイクルの時間を短縮することができる。また、吸引器流の減圧が必要ないことから部品組み付け装置30の構成を簡易にすることができる。
【0033】
さらに、実施の形態1にかかる部品組み付け装置30では、キャップ21を注液孔15に挿入する第2の状態において、吸引器流を副経路P12から吸い込むことで、部位組み付け部位周辺の集塵を行う。これにより、部品組み付け部位の周辺を常に清掃し続けることができるため、ケース10内に異物が混入する可能性を低減することができる。
【0034】
実施の形態2
実施の形態2では、実施の形態1にかかる部品組み付け装置30の別の形態となる部品組み付け装置40について説明する。なお、部品組み付け装置40は、キャップ21を下向き挿入するように組み付ける例について説明するが、キャップ21を上向きに挿入する場合にも適用出来る。
【0035】
図5に実施の形態2にかかる部品組み付け装置40の構造を説明する図を示す。図5に示すように、実施の形態2にかかる部品組み付け装置40は、保持部41、ガイド部42、摺動制御部43、吸引配管44、吹き出し配管45を有する。また、図5では、部品組み付け装置40が搬送する部品としてキャップ21を示し、キャップ21の組み付け対象となる蓋11を示した。
【0036】
保持部41は、キャップ21を吸着する吸着面が一端に設けられる。また、保持部41は、第1の開口、第2の開口及び気流制御構造を有する。第1の開口は、吸着面に設けられ、吸引方向の気流により部品に吸着力を与える。第2の開口は、保持部41の側面に設けられ、吸引方向で気流を吸引する。気流制御構造の詳細は後述する。
【0037】
ガイド部42は、保持部41のうち吸着面と直交する側面を、保持部41が吸着面と直交する方向に摺動可能に把持する。このガイド部42は、図示しないロボットアーム等のガイド部移動手段によりキャップ21が準備された場所から注液孔15のある位置まで移動する。
【0038】
摺動制御部43は、保持部41を、ガイド部42の保持部41の摺動方向の端部よりも吸着面が埋没する第1の状態と、ガイド部42の端部よりも吸着面が突出する第2の状態と、の間で摺動させる。図5では、部品組み付け装置40が第1の状態となっている時の構成を上図に示し、部品組み付け装置40が第2の状態となっているときの構成を下図に示した。
【0039】
吸引配管44は、吸引方向の気流を供給する。吹き出し配管45は、吸引方向とは逆の吹き出し方向の気流を供給する。
【0040】
ここで、実施の形態2にかかる部品組み付け装置40の気流制御構造について詳細に説明する。気流制御構造は、第1の開口により部品に与えられる吸着力が第1の状態よりも第2の状態の時の方が小さくなるようにし、第2の開口から吸引される気流が第1の状態よりも第2の状態の時の方が大きくなるようにする。
【0041】
具体的には、実施の形態2にかかる部品組み付け装置40は、気流制御構造として第1の配管P21、第2の配管P22と、を有する。第1の配管P21は、第1の開口と連通する。第2の配管P22は、第2の開口と連通する。そして、第1の配管P21の第1の開口とは逆の位置にある開口は、第1の状態において吸引配管44と接続され、第2の状態において吹き出し配管45と接続される位置に設けられる。第2の配管P22の第2の開口とは逆の位置にある開口は、第1の状態において開放状態され、第2の状態において吸引配管44と接続される位置に設けられる。
【0042】
図5に示すように、実施の形態2にかかる部品組み付け装置40では、キャップ21が強い吸引力で保持部41の吸着面に吸着されている第1の状態においては、ガイド部42が吸着面の周囲を覆う壁となり、吸着面においてキャップ21が横ずれすることを防止する。また、第1の状態では、ガイド部42とキャップ21との間の隙間は少なくなるように設定される。このように、保持部41の吸着面の面積とキャップ21の吸着部分の面積及び形状をほぼ同じに設定することで保持部41に対するキャップ21の位置精度を高めることができる。なお、第1の状態では、副経路P22の第2の開口はガイド部42により塞がれる。また、第1の開口には第1の配管P21及び吸引配管44を介して吸引方向の気流が供給され強い吸着力が生じる。
【0043】
また、図5の第2の状態を参照すると、実施の形態2にかかる部品組み付け装置40では、保持部41の吸着面がガイド部42の端部よりも突出した状態となる。また、第2の状態では、第1の配管P21は吹き出し配管45に接続されることで、保持部41の吸着面に設けられる第1の開口から気流が噴き出す方向の押し出し力が生じる。これにより、第1の配管P21は負圧の状態から正圧の状態に即座に状態が切り替わる。つまり、実施の形態2においても第2の状態では、保持部41の吸着面に生じる吸着力は第1の状態よりも減少する。一方、第2の状態では、第2の配管P22は、吸引配管44に接続される。そのため、第2の状態では、第2の配管P22には、吸引配管44から吸引方向の気流が供給され、この気流により第2の開口により部品取り付け部位周辺のゴミを吸引する集塵が行われる。
【0044】
また、図5の第1の状態から第2の状態に遷移する際、第1の配管P21及び第2の配管P22に吸引配管44も吹き出し配管45も接続されない状態が生じる。この状態においては、保持部41の吸着面には吸着力は発生しないため、キャップ21は、吸着面でスムーズに横滑りする。さらに、実施の形態2では、第2の状態において、キャップ21に上から下へ押す方向の力が吹き出し方向の気流によって生じる。これにより、実施の形態2にかかる部品組み付け装置40では、キャップ21を上から下に向かって組み付ける際に、キャップ21を上側から押し込むように注液孔15に挿入することも可能になる。
【0045】
上記説明より、実施の形態2にかかる部品組み付け装置40においても、第2の状態でキャップ21への吸着力が第1の状態よりも減少し、かつ、吸着面の周囲にキャップ21の横滑りを妨げる壁がないため実施の形態1と同様にキャップ21を組み付ける際の位置決め精度を緩和することができる。
【0046】
さらに、実施の形態2にかかる部品組み付け装置40では、第2の状態で吹き出し方向の気流をキャップ21に与えることで、第1の配管P21内を即座に負圧から正圧の状態に切り替えできるため、吸着面に吸着された状態のキャップ21の剥離性を向上させることができる。また、キャップ21の剥離性の向上はキャップ21の組み付け工程の時間短縮という効果を生じさせる。また、実施の形態2にかかる部品組み付け装置40では、第2の状態で吹き出し方向の気流をキャップ21に与えることで、キャップ21を挿入する際の挿入力を高めることが可能になる。
【0047】
また、実施の形態2においては、吸引方向の気流と吹き出し方向の気流との切り替えが保持部41の摺動動作により行われる。具体的には実施の形態2では、保持部41の摺動動作させることで、第1の配管P21及び第2の配管P22と吸引配管44及び吹き出し配管45との接続組み合わせを切り替える。これにより、実施の形態2にかかる部品組み付け装置40では、気流の方向の切り替えのためにバルブの切り替え、或いは、発生する気流の切り替えを行う必要がないため、装置の構成を簡素化することができる。
【0048】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 二次電池
10 ケース
11 蓋
12 負極端子
12a 負極かしめ具
13 正極端子
13a 正極かしめ具
14 開放弁
15 注液孔
21 キャップ
22 封止部材
30、40 部品組み付け装置
31、41 保持部
32、42 ガイド部
33、43 摺動制御部
44 吸引配管
45 吹き出し配管
P11 主経路
P12 副経路
P21 第1の配管
P22 第2の配管
図1
図2
図3
図4
図5