(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084969
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】工作機械用工具交換装置および工作機械
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/157 20060101AFI20230613BHJP
【FI】
B23Q3/157 J
B23Q3/157 A
B23Q3/157 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199390
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000152675
【氏名又は名称】コマツNTC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 康弘
(72)【発明者】
【氏名】東 禎二
【テーマコード(参考)】
3C002
【Fターム(参考)】
3C002AA08
3C002DD13
3C002DD14
3C002GG02
3C002KK04
3C002LL09
(57)【要約】
【課題】複数の主軸に取り付ける工具を多数収納しつつ小型化を図ることができる工作機械用工具交換装置および工作機械を提供する。
【解決手段】工具交換装置2は、前後方向に並んで配置され、工具Tを収納可能な複数のマガジン3,4を備えている。複数のマガジン3,4は、主軸11~14の軸方向に平行な中心軸CLを中心として回転可能な前方から見て多角形状のマガジン本体31,41と、マガジン本体31,41の外周側に設けられた複数の工具保持部5と、をそれぞれ有している。複数のマガジン本体31,41のうちの最前方以外のマガジン本体31は、外周の一部が切り欠かれた切欠部を有している。工具保持部5は、マガジン本体31,41における切欠部が設けられた辺以外の各辺に対して、複数の主軸11~14に取り付ける個数分の工具Tを保持可能に、複数個ずつ設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の主軸を有する工作機械の前記主軸に取り付ける工具を交換するための工作機械用工具交換装置であって、
前記主軸の軸方向に沿う先端側を前方、基端側を後方とした場合に前後方向に並んで配置され、前記工具を収納可能な複数のマガジンを備え、
複数の前記マガジンは、前記主軸の軸方向に平行な中心軸を中心として回転可能な前方から見て多角形状のマガジン本体と、前記マガジン本体の外周側に設けられた複数の工具保持部と、をそれぞれ有し、
複数の前記マガジン本体のうちの最前方以外の前記マガジン本体は、外周の一部が切り欠かれた切欠部を有し、
前記工具保持部は、前記マガジン本体における前記切欠部が設けられた辺以外の各辺に対して、複数の前記主軸に取り付ける個数分の前記工具を保持可能に、複数個ずつ設けられていることを特徴とする工作機械用工具交換装置。
【請求項2】
前記主軸は、前方から見て一直線上に等しい間隔Aを置いて複数個配置されており、
前記工具保持部は、前記マガジン本体における前記切欠部が設けられた辺以外の各辺に対して、該各辺に沿って一直線上に等しい間隔Bを置いて複数個ずつ配置されており、
間隔Aは間隔Bの2以上の整数倍に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の工作機械用工具交換装置。
【請求項3】
複数の前記マガジン本体は、中心軸が同一直線上に配置されており、外接円の直径が等しいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の工作機械用工具交換装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の工作機械用工具交換装置を備えることを特徴とする工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械用工具交換装置および工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
自動工具交換装置(ATC)を備える工作機械には、ワークの加工に用いられる複数の工具を保持するマガジンが設けられている。マガジンは、例えば、回転可能な円盤状のマガジン本体と、マガジン本体の外周側に設けられた複数の工具保持部とを有している。工作機械は、工作機械の主軸に取り付けられた工具と、マガジンに収納された工具とを自動的に交換しながら、ワークに種々の加工を連続して施す。
【0003】
特許文献1には、複数の主軸を有する工作機械において、複数の主軸に取り付けられる複数の工具を同時に交換する工具交換装置が開示されている(引用文献1の第1欄第18-20行)。この工具交換装置では、回転可能なターレット板(マガジン本体)の周辺部に、工作機械の複数の主軸の配列状態に合わせた配列で複数の工具が保持され、該工具の複数個1組が複数の主軸に一度に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の工具交換装置では、マガジン本体の外周側に工具保持部が設けられているため、複数の主軸に取り付ける工具を多数収納する場合には、マガジン本体の径がかなり大きくなってしまう。
このため、工具交換装置が大型化し、これを搭載する工作機械の設置スペースを広く確保する必要があるという大きな制約が発生する。また、マガジン本体が大径化すると動作速度が遅くなって工作機械の非加工時間が増加するため、生産性が低下する。
【0006】
本発明は、複数の主軸に取り付ける工具を多数収納しつつ小型化を図ることができる工作機械用工具交換装置および工作機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、複数の主軸を有する工作機械の前記主軸に取り付ける工具を交換するための工作機械用工具交換装置である。前記工作機械用工具交換装置は、前記主軸の軸方向に沿う先端側を前方、基端側を後方とした場合に前後方向に並んで配置され、前記工具を収納可能な複数のマガジンを備えている。複数の前記マガジンの各々は、前記主軸の軸方向に平行な中心軸を中心として回転可能な前方から見て多角形状のマガジン本体と、前記マガジン本体の外周側に設けられた複数の工具保持部と、を有している。複数の前記マガジン本体のうちの最前方以外の前記マガジン本体は、外周の一部が切り欠かれた切欠部を有している。前記工具保持部は、前記マガジン本体における前記切欠部が設けられた辺以外の各辺に対して、複数の前記主軸に取り付ける個数分の前記工具を保持可能に、複数個ずつ設けられている。
また、本発明は、前記工作機械用工具交換装置を備えることを特徴とする工作機械である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の主軸に取り付ける工具を多数収納しつつ小型化を図ることができる工作機械用工具交換装置および工作機械を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る工作機械用工具交換装置を搭載した工作機械を示す側面図である。
【
図2】
図1に示す工具交換装置を搭載した工作機械の正面図である。
【
図5】主軸装置が工具取付けに必要な高さまで上昇した状態を示す
図1のV-V線から見た図である。
【
図6】主軸装置が工具取付けに必要な高さまで上昇した状態を示す
図1のVI-VI線から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各図において、共通する構成要素または同種の構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を適宜省略する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る工作機械用工具交換装置(以下、単に「工具交換装置」ともいう)を搭載した工作機械100を示す側面図である。
図2は、
図1に示す工具交換装置2を搭載した工作機械100の正面図である。以下、説明の都合上、主軸11~14の軸方向に沿う先端側を前方、その反対側である基端側を後方とする。
図1~
図2において、X軸方向は左右方向(横方向)、Y軸方向は上下方向(鉛直方向)、Z軸方向は前後方向(奥行き方向)に相当する。
【0012】
図1、
図2に示すように、本実施形態では、工作機械100は、主軸11~14を有している。この工作機械100は、主軸11~14が水平方向に沿うように配置される横形の工作機械である。
【0013】
工作機械100は、ベース101と、コラム102と、コラム支持部103と、主軸装置1と、ワーク支持装置104と、工具交換装置2と、制御装置(図示せず)とを備えている。主軸装置1は、4個の主軸11~14を有しており、これらはモータ15~18によってそれぞれ回転させられる。
【0014】
ベース101上には、コラム支持部103がベース101に対してX軸方向(左右方向)に移動可能に設けられている。コラム支持部103は、モータ106によるねじ軸(図示せず)の正逆回転によってねじ送りされることで、X軸方向に沿って移動させられる。コラム102は、コラム支持部103に対してZ軸方向(前後方向)に移動可能に設けられている。コラム102は、モータ107(
図1参照)によるねじ軸(図示せず)の正逆回転によってねじ送りされることで、Z軸方向に沿って移動させられる。主軸装置1は、コラム102に対してY軸方向(上下方向)に移動可能に設けられている。主軸装置1は、コラム102に取り付けられたモータ108によるねじ軸109(
図2参照)の正逆回転によってねじ送りされることで、Y軸方向に沿って移動させられる。
【0015】
ワーク支持装置104は、加工対象のワークWを支持する。ワーク支持装置104は、ワークWを保持する保持部105を備えている。保持部105は、例えば、X軸に平行な軸を中心として揺動可能に、Y軸に平行な軸を中心として旋回可能に構成される。
【0016】
工作機械100は、主軸装置1における回転する主軸11~14の先端に取り付けた工具Tによって、ワークWに対して加工を行う。また、工具交換装置2によって、工具Tの交換動作が行われるようになっている。工作機械100の各部の動作は、制御装置によって統括的に制御される。
【0017】
図1に示すように、工具Tは、主軸11~14に取り付けられるホルダTaと、ホルダTaに固定される刃部Tbとから構成されている。主軸11~14の先端部には、例えば同種の工具Tがそれぞれ取り外し可能に装着される。なお、理解の容易化のため、
図1では前方のマガジン4と後方のマガジン3にそれぞれ1本ずつの工具Tが保持された図とし、
図2では工具Tの図示を省略した。
【0018】
図1、
図2に示すように、本実施形態では、工具交換装置2は、4個の主軸11~14を有する工作機械100の主軸11~14に取り付ける工具Tを交換するための工作機械用工具交換装置である。工具交換装置2は、本実施形態では、前後方向に並んで配置された2個のマガジン3,4を備えている。マガジン3,4は、工具Tを収納可能に構成されている。
【0019】
図3は、
図1に示す後方のマガジン3の正面図である。
図4は、
図1に示す前方のマガジン4の正面図である。
図3、
図4に示すように、マガジン3,4は、マガジン本体31,41と、複数の工具保持部5と、モータ32,42(
図1参照)と、をそれぞれ有している。マガジン本体31,41は、主軸11~14の軸方向に平行な中心軸CLを中心としてそれぞれ独立して回転可能な板状体である。マガジン本体31,41は、前方から見て多角形状(ここでは四角形状)を呈している。マガジン本体31,41は、ここでは、円錐台筒状の内周部、内周部の径方向外側に位置する多角形状枠体である外周部、および内周部と外周部とを繋ぐ放射状に延びる複数のアームを有している。ただし、マガジン本体31,41は、このような構造に限定されるものではない。
【0020】
工具保持部5は、マガジン本体31,41の外周側に設けられている。工具保持部5は、工具TのホルダTaを例えば弾性力により挟み込むことによって、工具Tを保持する。モータ32,42は、
図1に示すように、マガジン本体31,41を、中心軸CLを中心としてそれぞれ独立して所定角度回転させることができる。モータ32,42は、ベース101上に設置された門型の支持部111,112の上にそれぞれ固定されている。
【0021】
図3に示すように、後方のマガジン3のマガジン本体31は、外周の一部が内側に切り欠かれた切欠部33を有している。具体的には、切欠部33は、マガジン本体31の多角形所の一辺に形成された凹状部である。つまり、切欠部33は、主軸11~14が工具交換のために前方のマガジン4に接近することを許容するための逃げ構造として機能する。なお、
図1では、後方のマガジン3のマガジン本体31は、切欠部33の無い辺が下方位置にある状態を示している。
【0022】
図3、
図4に示すように、本実施形態では、工具保持部5は、マガジン本体31,41における切欠部33が設けられた辺以外の各辺に対して、8個ずつ設けられている。つまり、後方のマガジン3は、24個の工具Tを収納可能であり、前方のマガジン4は、32個の工具Tを収納可能である。マガジン本体31,41の一辺に設けられた8個の工具保持部5は、4個の主軸11~14に取り付ける個数分の工具Tを保持可能である。
【0023】
図2に示すように、主軸11~14は、前方から見て一直線上(本実施形態では一の水平線上)に等しい間隔Aを置いて4個配置されている。一方、
図3、
図4に示すように、工具保持部5は、マガジン本体31,41における切欠部33が設けられた辺以外の各辺に対して、該各辺に沿って一直線上に等しい間隔Bを置いて8個ずつ配置されている。そして、間隔Aは、ここでは間隔Bの2倍に設定されている。
【0024】
2つのマガジン本体31,41は、中心軸CLが同一直線上に配置されており、外接円の直径が等しい。つまり、本実施形態では、切欠部33の有無を除けば、マガジン本体31とマガジン本体41とは正面視で同一形状である。
【0025】
次に、このように構成された工作機械100の動作について説明する。
図3、
図4に示すように、ここでは、4個の主軸11~14に同じ種類の工具Tを取り付ける場合を想定して説明する。この場合、マガジン本体31,41の各辺における8個の工具保持部5には、2種類の工具Tが順次繰り返されて交互に並ぶように、1種類につき4個ずつ合計8個保持される。つまり、工具交換装置2には、全体として、14種類の工具Tが、1種類につき4個ずつ合計56個収納される。
【0026】
まず、工具Tが未だ取り付けられていない状態の主軸11~14に、前方のマガジン4に収納された工具Tが取り付けられる場合の動作の一例について説明する。
図5は、主軸装置1が工具取付けに必要な高さまで上昇した状態を示す
図1のV-V線から見た図である。
図6は、主軸装置1が工具取付けに必要な高さまで上昇した状態を示す
図1のVI-VI線から見た図である。なお、
図5、
図6では、理解の容易化のため、工具T、モータ32,42等の図示を省略した。
【0027】
図5に示すように、後方のマガジン3のマガジン本体31は、切欠部33が下方位置に来ていない場合には下方位置に来るように回転させられる。また、2点鎖線で示す待機位置にある主軸装置1は、主軸11~14が取付け対象の工具T(
図1参照、以下同様)の保持高さに一致するまで上昇させられる。
【0028】
ここでは、待機位置にある主軸装置1の左右方向の中央位置は、マガジン3,4の左右方向の中央位置と一致しているとする(
図2参照)。また、前方のマガジン4の取付け対象の工具Tは、正面視でマガジン本体31の下辺の左端位置およびその右に1つ置きに並ぶ4個の工具保持部5aに保持されているとする(
図4参照)。
【0029】
この場合、主軸装置1は、
図5に示すように、上昇の前、後または途中で、工具保持部5の設置ピッチである間隔Bの1/2の距離だけ正面視で左方向に移動させられる。この状態において、後方のマガジン3を前方から見た場合、主軸装置1の先端側部分が切欠部33を通して完全に見える。
【0030】
続いて、
図6に示すように、主軸装置1の先端側が後方のマガジン3の切欠部33を通過して前方に移動させられる。そして、前方のマガジン4に収納された工具Tが、主軸11~14の先端にそれぞれ装着され、クランプ機構(図示せず)のクランプ動作によってクランプされることで取り付けられる。なお、前方のマガジン4の取付け対象の工具Tが正面視でマガジン本体41の下辺に無い場合には、マガジン本体41の下辺に来るように、マガジン本体41が回転させられる。
【0031】
続いて、主軸11~14に工具Tが取り付けられた主軸装置1がマガジン本体41の径方向外側(下方)に移動させられることで、工具Tが工具保持部5から取り外される。これにより、工具Tが未だ取り付けられていない状態の主軸11~14への前方のマガジン4に収納された工具Tの取付けが完了する。その後、工作機械100は、主軸装置1を移動させながら、主軸11~14に取り付けた工具TによってワークWを加工する。
【0032】
次に、主軸11~14に取り付けられた使用済の工具Tを、次に使用する別の工具Tに交換する場合の動作の一例について説明する。ここでは、交換対象の別の工具Tは、正面視でマガジン本体41の下辺の右端位置およびその左に1つ置きに並ぶ4個の工具保持部5bに保持されているとする(
図4参照)。
【0033】
この場合、使用済の工具Tが主軸11~14に取り付けられた主軸装置1が移動させられて、該工具Tが元々保持されていた工具保持部5a(
図4参照)に向けて下から上に移動させられることで工具Tが元の工具保持部5aに保持される。
【0034】
続いて、主軸11~14の先端への使用済の工具Tのクランプがクランプ機構のアンクランプ動作によって解除された後、主軸装置1が後方に所定距離移動させられることで、使用済の工具Tは主軸11~14の先端から取り外される。
【0035】
続いて、主軸装置1は、工具保持部5の設置ピッチである間隔Bの距離だけ正面視で右方向に移動させられる。この状態において、主軸11~14の先端は、正面視でマガジン本体41の下辺の右端位置およびその左に1つ置きに並ぶ4個の工具保持部5b(
図4参照)に保持された交換対象の別の工具Tの真後ろに位置する。
【0036】
続いて、主軸装置1が前方に移動させられると、交換対象の別の工具Tが、主軸11~14の先端にそれぞれ装着され、クランプ機構(図示せず)のクランプ動作によってクランプされることで取り付けられる。
【0037】
続いて、主軸11~14に交換対象の別の工具Tが取り付けられた主軸装置1がマガジン本体41の径方向外側(下方)に移動させられることで、工具Tが工具保持部5から取り外される。これにより、主軸11~14に取り付けられた使用済の工具Tを、次に使用する別の工具Tに交換する作業が完了する。
【0038】
前記したように、本実施形態に係る工具交換装置2は、工作機械100の複数の主軸11~14に取り付ける工具Tを交換するためのものである。工具交換装置2は、前後方向に並んで配置され、工具Tを収納可能な複数のマガジン3,4を備えている。複数のマガジン3,4は、主軸11~14の軸方向に平行な中心軸CLを中心として回転可能な前方から見て多角形状のマガジン本体31,41と、マガジン本体31,41の外周側に設けられた複数の工具保持部5と、をそれぞれ有している。複数のマガジン本体31,41のうちの最前方以外のマガジン本体31は、外周の一部が内側に切り欠かれた切欠部33を有している。工具保持部5は、マガジン本体31,41における切欠部33が設けられた辺以外の各辺に対して、複数の主軸11~14に取り付ける個数分の工具Tを保持可能に、複数個ずつ設けられている。
【0039】
本実施形態では、最前方(ここでは前方)のマガジン4に収納された工具Tを主軸11~14に取り付ける際には、最前方のマガジン4における取付対象の工具Tを保持した工具保持部5が交換位置(ここでは下方位置)に位置する。主軸11~14に取り付けられた工具Tを最前方のマガジン4に収納する場合も同様である、そして、最前方以外(ここでは後方)のマガジン3におけるマガジン本体の切欠部が交換位置(ここでは下方位置)に位置する。したがって、最前方以外のマガジン3におけるマガジン本体31の切欠部33が逃げ構造の機能を発揮することによって、主軸11~14は、最前方以外のマガジン3に干渉すること無く最前方のマガジン4に接近できる。このため、最前方のマガジン4を使用した工具交換が妨げられることはない。
【0040】
一方、最前方以外のマガジン3を使用した工具交換は、2個のマガジン3,4が備えられている場合にはマガジン3よりも後方に他のマガジンが無いため、主軸11~14の干渉が無く、通常通り行われる。
【0041】
このように本実施形態は、主軸11~14の軸方向に沿う中心軸CLを有する多角形状のマガジン本体31,41を有するマガジン3,4が軸方向に多重に配置され、最前方以外のマガジン3の切欠部33によって、最前方のマガジン4を使用した工具交換を妨げることはない。このため、本実施形態は、多重に配置されたマガジン3,4によって、マガジン本体31,41が大径化することなく、より多くの工具Tを収納できる。
すなわち、本実施形態によれば、複数の主軸11~14に取り付ける工具Tを多数収納しつつ小型化を図ることができる工具交換装置2を提供できる。
したがって、工具交換装置2を搭載する工作機械100の設置スペースを広く確保する必要がなくなる。また、マガジン本体31,41の大径化を抑制することで動作速度の低下を最小限とすることができ、生産性の良い高効率の工作機械100を提供できる。
【0042】
また、本実施形態では、主軸11~14は、前方から見て一直線上に等しい間隔Aを置いて複数配置されている。また、工具保持部5は、マガジン本体31,41における切欠部33が設けられた辺以外の各辺に対して、該各辺に沿って一直線上に等しい間隔Bを置いて8個ずつ配置されている。そして、間隔Aは間隔Bの2倍に設定されている。この構成では、マガジン本体31,41の各辺に対して、4個の主軸11~14に対応する4個の工具Tを1組として種類の異なる2組を間隔Bだけずらして交互に一直線上に配置するとよい。この場合、主軸11~14をマガジン本体31,41の該当する辺に沿って直線方向に相対的に移動させることによって、4個の主軸11~14に取り付けられる4個の工具Tを一度に交換することができる。
【0043】
また、本実施形態では、複数のマガジン本体31,41は、中心軸CLが同一直線上に配置されており、外接円の直径が等しい。この構成では、複数のマガジン3,4は、最小限の占有スペースでありながら、より多くの工具を収納できる。
【0044】
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に記載した構成に限定されるものではない。本発明は、前記実施形態に記載した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。また、前記実施形態の構成の一部について、追加、削除、置換をすることができる。
【0045】
例えば、工具交換装置2は、前記した実施形態では2個のマガジン3,4を備えているが、これに限定されるものではなく、3個以上のマガジンを備えていてもよい。なお、3個以上のマガジンが備えられている場合で、工具交換に使用するマガジンの後方に他のマガジンが有るとき、当該他のマガジンのマガジン本体の切欠部が交換位置(ここでは下方位置)に位置する。これにより、工具交換が妨げられることはない。
マガジン本体31,41は、前記した実施形態では四角形を呈しているが、これに限定されるものではなく、六角形状等の他の多角形状を呈していてもよい。
複数のマガジン本体31,41は、前記した実施形態では切欠部33の有無を除けば同一形状であるが、これに限定されるものではなく、形状およびサイズの両方または一方が異なっていてもよい。
工具保持部5は、マガジン本体31,41の各辺に対して、前記した実施形態では8個ずつ配置されているが、これに限定されるものではなく、主軸11~14の個数の1以上の整数倍の個数が配置されているとよい。
主軸11~14の個数は、前記した実施形態では4個であるが、これに限定されるものではなく、4個以外の複数個であってもよい。
複数の主軸11~14の間隔Aは、前記した実施形態では複数の工具保持部5の間隔Bの2倍に設定されているが、3以上の整数倍に設定されていてもよい。
【0046】
工作機械100は、前記した実施形態では横形の工作機械であるが、これに限定されるものではなく、主軸11~14が鉛直方向に沿うように配置される縦形の工作機械であってもよい。この場合、工具交換装置2は、上下方向に並んで配置された2個のマガジンを備えているとよい。
ワーク支持装置104は、Z軸方向(前後方向)およびX軸方向(左右方向)の両方または一方の方向に移動可能に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 主軸装置
11~14 主軸
2 工具交換装置
3 マガジン
31 マガジン本体
33 切欠部
4 マガジン
41 マガジン本体
5 工具保持部
100 工作機械
A,B 間隔
CL 中心軸
T 工具