(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084985
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/02 20060101AFI20230613BHJP
B23D 51/01 20060101ALI20230613BHJP
B27B 19/09 20060101ALI20230613BHJP
B23D 49/16 20060101ALN20230613BHJP
【FI】
B25F5/02
B23D51/01
B27B19/09
B23D49/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199420
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】318001706
【氏名又は名称】京セラインダストリアルツールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】松廣 裕二
【テーマコード(参考)】
3C040
3C064
【Fターム(参考)】
3C040AA12
3C040DD07
3C040GG36
3C040LL16
3C064AA06
3C064AB01
3C064AC02
3C064AC03
3C064BA03
3C064BA07
3C064BA13
3C064BB01
3C064BB47
3C064BB74
3C064CA03
3C064CA08
3C064CA25
3C064CA53
3C064CA60
3C064CA61
3C064CB06
3C064CB08
3C064CB17
3C064CB43
3C064CB46
3C064CB63
3C064CB68
3C064CB74
3C064CB77
3C064CB78
(57)【要約】
【課題】作業性を維持しながら、防振性能を向上させる。
【解決手段】電動工具(100)は、モータ(4)と、モータ(4)を収容する第1ハウジング(1)と、第1ハウジング(1)より後方に位置し、把持部を有する第2ハウジング(2)と、を備える。第1ハウジング(1)又は第2ハウジング(2)のいずれか一方は、内面に第1リブ(21)及び第2リブ(22)を有する。第1ハウジング(1)又は第2ハウジング(2)のいずれか他方は、第1リブ(21)が挿通された枠状の第1被挿通部(11)と、第2リブ(22)の上部及び下部が当接した状態で第2リブ(22)が挿通された枠状の第2被挿通部(12)と、を有する。第1被挿通部(11)の内部における第1リブ(21)の前後に、第1弾性体(8)を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータを収容する第1ハウジングと、
前記第1ハウジングより後方に位置し、把持部を有する第2ハウジングと、を備え、
前記第1ハウジング又は前記第2ハウジングのいずれか一方は、内面に第1リブ及び第2リブを有し、
前記第1ハウジング又は前記第2ハウジングのいずれか他方は、
前記第1リブが挿通された枠状の第1被挿通部と、
前記第2リブの上部及び下部が当接した状態で前記第2リブが挿通された枠状の第2被挿通部と、を有し、
前記第1被挿通部の内部における前記第1リブの前後に、第1弾性体を有する、電動工具。
【請求項2】
前記第1弾性体は、前記第1被挿通部の内側面に対し、前後方向及び左右方向の少なくとも一方に隙間を有する状態で位置する、請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記第1被挿通部と前記第2被挿通部とは、上下方向に並んでいる、請求項1又は2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記第2リブは、前記第2被挿通部に線接触している、請求項1から3のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項5】
前記第2リブは、円筒形状をなす、請求項1から4のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項6】
前記第2リブは、複数の円筒形状が連なった形状をなす、請求項5に記載の電動工具。
【請求項7】
モータと、
前記モータを収容する第1ハウジングと、
前記第1ハウジングより後方に位置し、把持部を有する第2ハウジングと、を備え、
前記第1ハウジング又は前記第2ハウジングのいずれか一方は、内面に第1リブを有し、
前記第1ハウジング又は前記第2ハウジングのいずれか他方は、前記第1リブが挿通された枠状の第1被挿通部を有し、
前記第1被挿通部の内側面に対し、上下方向において当接する第1弾性体を有する、電動工具。
【請求項8】
前記第1弾性体は、前記第1被挿通部の内側面に対し、前後方向及び左右方向の少なくとも一方に隙間を有する状態で位置する、請求項7に記載の電動工具。
【請求項9】
前記第1弾性体は中空状をなし、前記第1リブに外嵌めされた状態で、前記第1被挿通部の前記内側面に内嵌めされる、請求項7又は8に記載の電動工具。
【請求項10】
前記第1弾性体は、前後方向に長い、請求項7から9のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項11】
前記モータを収容し、外面には枠状の第3被挿通部を有するモータケースを備え、
前記第1ハウジングは、前記第3被挿通部に挿通され、前記モータケースと接続される第3リブを有し、
前記第3被挿通部の内部における前記第3リブの前後に、前後方向に隙間を有する状態で位置する第2弾性体を有する、請求項1から10のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項12】
前記第1被挿通部、前記第1リブ、及び前記第1弾性体により前後方向及び左右方向に防振され、
前記第3被挿通部、前記第3リブ、及び前記第2弾性体により前後方向に防振される、請求項11に記載の電動工具。
【請求項13】
前記第1被挿通部は、前記第3被挿通部より後方に位置する、請求項11又は12に記載の電動工具。
【請求項14】
前記第1被挿通部は、上下方向において前記第3被挿通部の外側に位置する、請求項11から13のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項15】
前記第1被挿通部の前後方向の長さは、前記第3被挿通部の前後方向の長さより短い、請求項11から13のいずれか1項に記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
前側ハウジングと後側ハウジングとの連結部に防振構造を有する電動工具が、従来から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような防振構造を有する電動工具において、作業性を維持しながら、防振性能を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における限定されない一例の電動工具は、モータと、前記モータを収容する第1ハウジングと、前記第1ハウジングより後方に位置し、把持部を有する第2ハウジングと、を備える。前記第1ハウジング又は前記第2ハウジングのいずれか一方は、内面に第1リブ及び第2リブを有する。前記第1ハウジング又は前記第2ハウジングのいずれか他方は、前記第1リブが挿通された枠状の第1被挿通部と、前記第2リブの上部及び下部が当接した状態で前記第2リブが挿通された枠状の第2被挿通部と、を有する。前記第1被挿通部の内部における前記第1リブの前後に、第1弾性体を有する。
【0006】
本開示における限定されない一例の電動工具は、モータと、前記モータを収容する第1ハウジングと、前記第1ハウジングより後方に位置し、把持部を有する第2ハウジングと、を備える。前記第1ハウジング又は前記第2ハウジングのいずれか一方は、内面に第1リブを有し、前記第1ハウジング又は前記第2ハウジングのいずれか他方は、前記第1リブが挿通された枠状の第1被挿通部を有する。前記第1被挿通部の内側面に対し、上下方向において当接する第1弾性体を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、作業性を維持しながら、防振性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の限定されない実施形態1に係る電動工具を示す側面図である。
【
図2】電動工具を左右方向の中央を通り、かつ左右方向に直交する分割面(XZ平面)で切断した場合の縦断面図である。
【
図3】
図2に示す電動工具のIII-III線矢視断面図である。
【
図4】
図2に示す電動工具のIV-IV線矢視断面図である。
【
図5】第1被挿通部及び第2被挿通部を示す一部拡大断面図である。
【
図7】変形例に係る電動工具の第1被挿通部及び第2被挿通部を示す一部拡大断面図である。
【
図8】実施形態2に係る電動工具をXZ平面で切断した場合の縦断面図である。
【
図9】
図8に示す電動工具のIX-IX線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一例である実施形態の電動工具について、図面を用いて詳細に説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、実施形態を説明する上で必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、以下に説明する電動工具は、参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。接続部材を除く各部材の外形はあくまで一例であり、任意に設計変更してもよい。各図におけるX軸方向を前後方向とし、Y軸方向を左右方向とし、Z軸方向を上下方向とする。
図1において、X軸正方向を後方向、Y軸正方向を左方向、Z軸正方向を上方向とする。
【0010】
本実施形態では、電動工具としてレシプロソーを例に挙げる。レシプロソーとは、鋸刃が工具の本体に対して往復動することにより、木材等の切断を行う工具をいう。
【0011】
[実施形態1]
(電動工具の基本構成)
まず、
図1~
図6を用いて、電動工具100の基本構成について説明する。
図1は、電動工具100を示す側面図である。
図2は、電動工具100における左右方向の中央を通り、かつ左右方向に直交する分割面(XZ平面)で、電動工具100を切断した場合の縦断面図である。
図3は、
図2に示す電動工具100のIII-III線矢視断面図である。
図4は、
図2に示す電動工具100のIV-IV線矢視断面図である。
図5は、第1被挿通部11及び第2被挿通部12を示す一部拡大断面図である。
図6は、モータ4を示す一部拡大断面図である。
【0012】
(電動工具)
図1及び
図2に示すように、電動工具100は、第1ハウジング1と、第2ハウジング2と、第3ハウジング3と、モータ4と、ギア部5と、装着部6と、制御部7とを備えている。各ハウジングは、XZ面で分割された2つの半体からなる。そして、半体同士が連結されて2つの半体が一体化されることにより、各ハウジングが構成される。
【0013】
電動工具100において、前方から第3ハウジング3、第1ハウジング1、第2ハウジング2が、この順に位置し、第3ハウジング3と第1ハウジング1とが前後方向で連結され、第1ハウジング1と第2ハウジング2とが前後方向で連結されている。2つのハウジングの連結構造については後述する。第3ハウジング3の先端部には、不図示の被切断材に当接する当接板部10が設けられている。第2ハウジング2の後端部には、ユーザが切断作業時に把持する把持部2aが形成されている。モータ4は、第1ハウジング1に収容されている。ギア部5及び装着部6は第3ハウジング3に収容されている。
【0014】
(モータ)
モータ4は、第1ハウジング1の中央部に収容されている。モータ4は、回転子41と、固定子42と、ケース44とを備える。ケース44は円筒状をなし、前後方向に延びる。回転子41は、ケース44内の上下方向の中央部に位置する。回転子41は、前後方向に延びるモータ軸43を有し、モータ軸43は先端部にピニオン43aを有する。モータ軸43の前側部分は第3ハウジング3内に挿入されている。固定子42は、回転子41の外周を覆う状態で、ケース44内に位置する。固定子42が回転子41を回転させる。電動工具100が本実施形態のような電池パックBを装着する方式の場合、モータ4として例えばブラシレスDCモータが用いられる。この場合、回転子41は永久磁石を有し、固定子42は複数のコイルを有する。ケース44には、上部及び下部の外面に、側面視が、前後方向に延びる矩形枠状をなす固定部(第3被挿通部)45と固定部46とが設けられている。
【0015】
(モータの固定構造)
図2及び
図3に示すように、第1ハウジング1は、右側の内側面の上端部に第3リブ15を有する。第3リブ15は角筒状をなす。第3リブ15は、
図3に示すように、第1ハウジング1の右側の内側面に、左側に向かって延びるように設けられている。第3リブ15は、前後方向の中央部に仕切り板部15aを有する。第3リブ15の先端側の部分は、固定部45の中央部を挿通されている。これにより、第1ハウジング1がケース44と接続される。固定部45の内部における第3リブ15の前後には、例えばゴム製の第2弾性体9がそれぞれ位置する。第2弾性体9は、角柱状をなし、左右方向に延びる。
【0016】
図2、
図3、及び
図6に示すように、第2弾性体9は、上下方向及び左右方向に隙間を有しない状態で、固定部45に収容されている。これにより、固定部45は、第1ハウジング1の内側面に対し上下方向及び左右方向において位置決めされ、位置ずれが生じず、モータ4が第1ハウジング1内で固定される。モータ4により鋸刃を装着した装着部6を前後方向に往復動させるので、モータ4は上下方向及び左右方向において、第1ハウジング1の内側面に位置決めされている必要がある。
【0017】
第2弾性体9は、固定部45に対し前後方向に隙間を有する状態で収容されている。後述するように、切断時に発生する振動により、第1ハウジング1が後方又は前方へ作用する力を受け、後方又は前方へ移動したときに第2弾性体9は前後方向に動き、変形して衝撃を吸収し、ユーザに振動が伝達されることが低減される。
【0018】
第1ハウジング1は、右側の内側面の下端部に第3リブ16を有する。第3リブ16は第3リブ15と同じ形状を有する。第3リブ15は、固定部46の中央部を挿通されている。固定部46の内部における第3リブ16の前後には、第2弾性体9がそれぞれ位置する。第2弾性体9は、角柱状をなし、上下方向及び左右方向に隙間を有しない状態で、固定部46に収容されている。
【0019】
(ギア部)
ギア部5は、モータ4と装着部6との間に位置する。ギア部5は、モータ4のモータ軸43の回転運動を前後方向の往復動に変換する。ギア部5は、傘歯ギア51と、ピン52と、プランジャ53と、ピンガイド54とを有する。
【0020】
傘歯ギア51は、モータ軸43のピニオン43aと噛合している。傘歯ギア51は、モータ4のモータ軸43の軸方向に交叉し、上下方向に延びる軸部51aを有する。
【0021】
ピン52は略円柱状をなし、上下方向に延びる。ピン52の下部は、傘歯ギア51の軸部51aから後方に少しずれた位置に、嵌め込まれている。ピン52の上部は、傘歯ギア51から突出している。
【0022】
プランジャ53は、前後方向に延びる棒状をなし、第3ハウジング3内において往復動可能に支持されている。プランジャ53は、前後方向において、ピンガイド54と一体的に移動する。
【0023】
ピンガイド54は、プランジャ53の後部に設けられており、ピンガイド54の下部には上側に凹み、前後方向に延びる凹部54aが形成されている。凹部54aに、ニードルベアリングを介してピン52が収容されている。ピン52は、ピンガイド54に対して前後方向の移動が規制され、左右方向には移動可能である。
【0024】
(装着部)
装着部6は、プランジャ53の前方に設けられ、先端部に鋸刃を着脱自在に装着する。
【0025】
(制御部)
図2に示すように、制御部7は、第1ハウジング1の後部に収容されている。制御部7は上下方向に延びる板状をなし、モータ4側に少し傾いた状態で、第1ハウジング1の後部に位置する。制御部7は、ユーザの操作に応じて駆動信号を出力し、モータ軸43の回転方向及び回転速度の制御等を行う。
【0026】
(電池パック)
電池パックBは、第2ハウジング2の下端部に着脱自在に取り付けられている。電池パックBは、直方体状のケースにリチウムイオン電池等の1又は複数の蓄電池を収容してなる。電池パックBの前後方向の長さは左右方向の長さおよび上下方向の長さよりも長い。電池パックBは、後端部に、上部に突出し、側面視で山状をなすストッパB1を有する。
【0027】
(第1ハウジングと第2ハウジングとの連結構造)
第1ハウジング1は、後部の上端部に、側面視が矩形枠状をなす第1被挿通部11と、側面視が矩形枠状をなす第2被挿通部12と、を有する。第1被挿通部11と第2被挿通部12とは、ともに前後方向に延び、第2被挿通部12が第1被挿通部11の下側に位置する状態で上下方向に並んでいる。第2被挿通部12の前後方向及び上下方向の長さはそれぞれ、第1被挿通部11の前後方向及び上下方向の長さより短い。
【0028】
第1ハウジング1は、後部の下端部に、矩形枠状をなす第1被挿通部13と、矩形枠状をなす第2被挿通部14と、を有する。第1被挿通部13及び第2被挿通部14は、第1被挿通部11及び第2被挿通部12と同じ形状を有する。第1被挿通部13と第2被挿通部14とは、第2被挿通部14が第1被挿通部13の下側に位置するように、上下方向に並んでいる。
【0029】
第2ハウジング2は、右側の内側面の前側の上端部に、第1リブ21と、第2リブ22と、を有する。第1リブ21は、角筒状をなす。第1リブ21は、
図4に示すように、第2ハウジング2の右側の内側面に、左側に向かって延びるように設けられている。第1リブ21は、第1被挿通部11の中央部を挿通されている。第1被挿通部11の内部における第1リブ21の前後には、例えばゴム製の第1弾性体8がそれぞれ位置する。第1弾性体8は、角柱状をなし、左右方向に延びる。
図4及び
図5に示すように、第1弾性体8は、前後方向及び左右方向に隙間を有しない状態で、第1被挿通部11に収容されている。第1弾性体8は、上下方向には隙間を有する状態で、第1被挿通部11に収容されている。第1弾性体8は、上下方向には隙間を有するので、前後方向又は左右方向に力を受けたときに上下方向に伸びることができる。
【0030】
第2リブ22は、第1リブ21の下側に位置し、2つの円筒形状が連なった形状をなし、第2ハウジング2の右側の内側面に、左右方向の左側に向かって延びるように設けられている。第2リブ22は、上部及び下部が第2被挿通部12に内接する状態で、第2被挿通部12を挿通されている。円筒形状が連なった形状をなすので、第2リブ22は、第2被挿通部12に線接触している。
【0031】
第2ハウジング2は、右側の内側面の前部の下端部に、第1リブ23と、第2リブ24と、を有する。第1リブ23は、第1リブ21と同じ形状を有し、第2ハウジング2の右側の内側面に、左側に向かって延びるように設けられている。第1リブ23は、第1被挿通部13の中央部を挿通されている。第1被挿通部13の内部における第1リブ23の前後には、第1弾性体8がそれぞれ位置する。第1弾性体8は、前後方向及び左右方向に隙間を有さず、上下方向には隙間を有する状態で、第1被挿通部13に収容されている。
【0032】
第2リブ24は、第1リブ23の下側に位置し、第2リブ22と同じ形状を有し、第2ハウジング2の内面に、左側に向かって延びるように設けられている。第2リブ24は、上部及び下部が第2被挿通部14に線接触する状態で、第2被挿通部14を挿通されている。
【0033】
第1被挿通部11、第2被挿通部12、第1リブ21、及び第2リブ22により、第1ハウジング1と第2ハウジング2との上部同士は、前後方向における相対移動が可能な状態で連結されている。第1被挿通部13、第2被挿通部14、第1リブ23、及び第2リブ24により、第1ハウジング1と第2ハウジング2との下部同士は、前後方向における相対移動が可能に連結されている。
【0034】
(ハウジングの連結構造が奏する防振効果)
切断作業を行う場合、ユーザは、装着部6に鋸刃(不図示)を装着し、被切断材(不図示)に当接板部10を当接させる。そして、ユーザの操作により、電池パックBからモータ4に電力が供給され、モータ4が駆動される。モータ4の駆動によりモータ軸43が回転し、ピニオン43aが回転する。ピニオン43aと噛み合う傘歯ギア51が軸部51aを中心として回転する。傘歯ギア51の回転に従って、ピン52が軸部51aを中心として回転する。ピン52の回転運動における前後方向の成分がピンガイド54に伝達され、ピンガイド54、プランジャ53、装着部6、及び鋸刃が前後方向に往復動し、鋸刃によって被切断材が切断される。
【0035】
装着部6の前後方向の往復動に従って、第1ハウジング1は前後方向に往復動する。装着部6が前方へ移動した場合、第1ハウジング1は、後方へ作用する力を受け、後方へ移動する。このとき、第1被挿通部11の第1弾性体8が、前後方向に縮み、上下方向に伸びるように変形して衝撃を吸収し、ユーザに振動が伝達されることが低減される。
【0036】
本実施形態の電動工具100においては、第2ハウジング2が、上部及び下部が第2被挿通部に当接する第2リブ22を有するので、第1ハウジング1と第2ハウジング2との間で上下方向の位置ずれが生じる虞が低減する。即ち、切断時の上下方向のがたつきが低減され、作業性が向上する。第1ハウジング1が後方へ移動する場合、上下方向にがたつかないので、後方への衝撃が良好に吸収される。以上のように、電動工具100によれば、作業性を維持しながら、防振性能を向上させることができる。
【0037】
装着部6が後方へ移動した場合、第1ハウジング1は、前方へ作用する力を受け、前方へ移動する。このとき、第1被挿通部11の後部に位置する第1弾性体8が変形して衝撃を吸収し、ユーザに振動が伝達されることが低減される。第2ハウジング2が、上部及び下部が第2被挿通部に当接する第2リブ22を有するので、切断時の上下方向のがたつきが低減され、作業性が向上する。第1ハウジング1が前方へ移動する場合、上下方向にがたつかないので、前方への衝撃が良好に吸収される。
【0038】
切断の作業時に、第1ハウジング1が左側又は右側に移動した場合においても、第2リブ22により上下方向のがたつきが低減され、作業性が向上した状態で、第1弾性体8の左側部分が良好に変形して衝撃を吸収し、ユーザに伝達される振動を低減できる。
【0039】
第1被挿通部11と第2被挿通部12とは上下方向に並んでいるので、作業時の上下のがたつきが低減した状態で、良好に前後方向及び左右方向の振動を吸収できる。第2リブ22は、第2被挿通部12に面接触ではなく、線接触しているので、第2リブ22と第2被挿通部12との接触部分が擦れて摩耗する可能性を低減できる。
【0040】
第2リブ22は、円筒形状をなすので、第2リブ22と第2被挿通部12とは容易に線接触できる。第2リブ22は、複数の円筒形状が連なった形状をなすので、第2リブ22は第2被挿通部12と複数箇所で線接触でき、上下方向のがたつきがより低減する。
【0041】
第1被挿通部13及び第1リブ23による第1ハウジング1と第2ハウジング2との下側の連結構造においても、第2リブ24により、切断作業時の上下方向のがたつきが低減され、作業性が向上させながら、前後方向及び左右方向の防振性能を向上させることができる。
【0042】
上記では、第1弾性体8が、第1被挿通部11及び13の内部に前後方向及び左右方向に隙間を有しない状態で位置する場合につき説明したが、この場合に限定されない。第1弾性体8は、第1被挿通部11及び13の内部に、前後方向及び左右方向の少なくとも一方に隙間を有する状態で位置することにしてもよい。これにより、第1ハウジング1が前後方向及び/又は左右方向に動いたとき、第1弾性体8が動き、変形して衝撃を吸収することができる。
【0043】
(モータの固定構造が奏する防振効果)
ユーザによる切断作業時に、装着部6の前後方向の往復動に従って、第1ハウジング1は前後方向に往復動する。装着部6が前方へ移動した場合、第1ハウジング1は、後方へ作用する力を受け、後方へ移動する。このとき、固定部45及び46の第2弾性体9が前後方向に縮むように変形して衝撃を吸収し、ユーザに振動が伝達されることが低減される。第1ハウジング1が前方へ移動した場合、固定部45及び46の後部に位置する第2弾性体9が変形して衝撃を吸収し、ユーザに振動が伝達されることが低減される。固定部45及び46内における第3リブ15及び16の前後に、前後方向に隙間を有する状態で第2弾性体9が位置することから、モータケースの前後方向の振動が吸収される。
【0044】
第1被挿通部11及び13、第1リブ21及び23、並びに第1弾性体8により前後方向及び左右方向に防振され、固定部45及び46、第3リブ15及び16、並びに第2弾性体9により前後方向に防振される。第1被挿通部11及び13の内部には、第1弾性体8が位置するので、電動工具100の作業時の前後方向及び左右方向の振動が吸収される。固定部45及び46の内部には、前後方向に隙間を有する状態で第2弾性体9が位置するので、モータ4の前後方向の振動が吸収される。
【0045】
(連結構造とモータの固定構造)
図2に示すように、連結構造における第1被挿通部11及び13は、モータ4の固定構造における固定部45及び46より後方に位置する。これにより、電動工具100を小型化しつつ、良好な防振性能を得ることができる。
図2においては、第1被挿通部13が第1被挿通部11より前方に位置しているが、この場合に限定されない。
【0046】
第1被挿通部11及び13は、上下方向において固定部45及び46の外側に位置する。これにより、電動工具100の前後方向の長さを短くしつつ、本開示の連結構造により良好な防振性能を得ることができる。
【0047】
第1被挿通部11及び13の前後方向の長さは、固定部45及び46の前後方向の長さより短い。モータ4の固定のために、固定部45及び46は一定の前後方向の長さを要する。第1被挿通部11及び13の前後方向の長さを固定部45及び46の前後方向の長さより短くすることで、電動工具100の前後方向の長さを短くしつつ、本開示の連結構造により良好な防振性能を得ることができる。
【0048】
(変形例)
図7は、変形例に係る電動工具の連結構造を示す一部拡大断面図である。
図7中、
図5と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。変形例に係る電動工具の連結構造は、第2被挿通部12の内部に、第2リブ22に代えて、第2リブ25を備える。第2リブ25は、側面視が横長の楕円状をなす筒体である。第2リブ25は、第2ハウジング2の右側の内側面に、左右方向の左側に向かって延びるように設けられている。第2リブ25は、上部及び下部が第2被挿通部12に内接する状態で、第2被挿通部12を挿通されている。第2リブ25は、前後方向に長い側面が、第2被挿通部12に面接触しているので、第1ハウジング1と第2ハウジング2との間で上下方向の位置ずれが生じる虞がより低減する。
【0049】
別の変形例として、第2リブが、3以上の円筒形状が連なった形状を有してもよい。
【0050】
[実施形態2]
図8は、実施形態2に係る電動工具101をXZ平面で切断した場合の縦断面図である。
図9は、
図8に示す電動工具のIX-IX線矢視断面図である。
図8及び
図9中、
図2及び
図5と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0051】
電動工具101の第1ハウジング1は、後部の上端部に、側面視が矩形枠状をなす第1被挿通部17を有する。第1ハウジング1は、後部の下端部に、矩形枠状をなす第1被挿通部18を有する。
【0052】
第2ハウジング2は、右側の内側面の前側の上端部に、第1リブ26を有する。第1リブ26は、角筒状をなす。第1リブ26は、
図9に示すように、第2ハウジング2の右側の内側面に、左側に向かって延びるように設けられている。第1リブ26は、第1被挿通部17の中央部を挿通されている。第1被挿通部17の内側面に対し、上下方向に当接する、例えばゴム製の第1弾性体81が位置する。第1弾性体81は、側面視が、前後方向に長い楕円状をなす筒体である。即ち、第1弾性体81の前後方向の長さは上下方向の長さより長い。第1弾性体81は中空状をなすので、第1リブ26に外嵌めされた状態で、第1被挿通部17の内側面に内嵌めされている。第1弾性体81は、前後方向及び左右方向にも隙間を有しない状態で、第1被挿通部17の内側面に内嵌めされている。
【0053】
第2ハウジング2は、右側の内側面の後側の上端部に、第1リブ27を有する。第1リブ27は、角筒状をなす。第1リブ27は、第2ハウジング2の右側の内側面に、左側に向かって延びるように設けられている。第1リブ27は、第1被挿通部18の中央部を挿通されている。第1弾性体81が、第1リブ27に外嵌めされた状態で、第1被挿通部18の内側面に内嵌めされている。
【0054】
装着部6の前後方向の往復動に従って、第1ハウジング1は前後方向に往復動する。装着部6が前方又は後方へ移動した場合、第1ハウジング1は、後方又は前方へ作用する力を受け、後方又は前方へ移動する。このとき、第1被挿通部17の第1弾性体81が、前後方向に変形して衝撃を吸収し、ユーザに振動が伝達されることが低減される。第1弾性体81は、第1被挿通部17の内側面に対し、上下方向において当接することから、第1ハウジング1と第2ハウジング2との間で上下方向の位置ずれが生じる虞が低減する。即ち、切断時の上下方向のがたつきが低減され、作業性が向上する。第1ハウジング1が後方へ移動する場合、上下方向にがたつかないので、後方又は前方への衝撃が良好に吸収される。以上のように、電動工具100によれば、作業性を維持しながら、防振性能を向上させることができる。
【0055】
第1弾性体81は中空状をなし、第1リブ26に外嵌めされた状態で、第1被挿通部17の内側面に内嵌めされる。第1ハウジング1を第2ハウジング2に位置決めするための嵌合構造を別に設けることなく、簡単な構成で、第1弾性体81を、第1被挿通部17の内側面に対し、上下方向において当接させて位置決めすることができる。
【0056】
第1弾性体81は、前後方向に長いので、前後方向の振動を良好に吸収できる。
【0057】
第1弾性体81が、第1リブ27に外嵌めされた状態で、第1被挿通部18の内側面に内嵌めされているので、切断時の上下方向のがたつきが低減され、作業性が向上する。第1ハウジング1が後方又は前方へ移動する場合、上下方向にがたつかないので、後方又は前方への衝撃が良好に吸収される。以上のように、電動工具101によれば、作業性を維持しながら、防振性能を向上させることができる。
【0058】
第1ハウジング1は、右側又は左側へ作用する力を受け、右側又は左側へ移動した場合、第1被挿通部17及び18の第1弾性体81が、左右方向に変形して衝撃を吸収し、ユーザに振動が伝達されることが低減される。
【0059】
上述したように、第1弾性体81は、第1被挿通部17及び18の内側面に、前後方向及び左右方向に隙間を有しない状態で、内嵌めされている。第1弾性体81は、第1リブ26及び27に外嵌めされているので、衝撃を柔軟に吸収できる。第1弾性体81は、第1被挿通部17及び18の内側面に、前後方向及び左右方向の少なくとも一方に隙間を有する状態で、内嵌めしてもよい。これにより、第1ハウジング1が前後方向又は左右方向に動いたとき、第1弾性体81が動き、変形して衝撃を吸収することができる。
【0060】
〔付記事項〕
以上、本開示に係る発明について、諸図面および実施形態に基づいて説明してきた。しかし、本開示に係る発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。すなわち、本開示に係る発明は本開示で示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示に係る発明の技術的範囲に含まれる。つまり、当業者であれば本開示に基づき種々の変形または修正を行うことが容易であることに注意されたい。また、これらの変形または修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。
【0061】
上述の実施形態においては、第1ハウジング1が第1被挿通部11及び第2被挿通部12を備え、第2ハウジング2が第1リブ21及び第2リブ22を備える場合について説明した。第2ハウジング2が第1被挿通部及び第2被挿通部を備え、第1ハウジング1が第1リブ及び第2リブを備えてもよい。第1ハウジング1又は第2ハウジング2のいずれか一方が、内面に第1リブ及び第2リブを有し、第1ハウジング1又は第2ハウジング2のいずれか他方が、第1被挿通部及び第2被挿通部を有していればよい。また、上述の実施形態においては、第1ハウジング1が第1被挿通部17を備え、第2ハウジング2が第1リブ26を備える場合について説明した。第2ハウジング2が第1被挿通部を備え、第1ハウジング1が第1リブを備えてもよい。第1ハウジング1又は第2ハウジング2のいずれか一方が内面に第1リブを有し、第1ハウジング1又は第2ハウジング2のいずれか他方が、第1被挿通部を有していればよい。そして、電動工具100のモータ4がブラシレスDCモータである場合につき説明したが、この場合に限定されない。そして、電動工具100が電池パックBにより電力を供給される場合につき説明したが、この場合に限定されない。電動工具100は電源コードを有し、AC電源により電力を供給されてもよく、この場合においても、本開示の構成により、良好に作業性を維持しながら、防振性能を向上できる。第1ハウジング1と第3ハウジング3とは一体化されていてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 第1ハウジング
11、13、17、18 第1被挿通部
12、14 第2被挿通部
15、16 第3リブ
2 第2ハウジング
21、23、26、27 第1リブ
22、24、25 第2リブ
3 第3ハウジング
4 モータ
41 回転子
42 固定子
43 モータ軸
44 ケース(モータケース)
45、46 固定部(第3被挿通部)
5 ギア部
6 装着部
7 制御部
8、81 第1弾性体
9 第2弾性体
100、101 電動工具