(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084988
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】中綴じ折り装置および中綴じ折り方法
(51)【国際特許分類】
B42B 4/00 20060101AFI20230613BHJP
B65H 37/06 20060101ALI20230613BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
B42B4/00
B65H37/06
B65H37/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199426
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000109727
【氏名又は名称】株式会社デュプロ
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 政幸
(72)【発明者】
【氏名】八高 辰朗
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108GA01
3F108GB01
3F108GB03
3F108HA02
3F108HA32
3F108HA46
(57)【要約】
【課題】カレンダー製本が可能な中綴じ折り装置を提供する。
【解決手段】中綴じ折り装置は、複数枚のシートが重ねられたシート束を綴じる綴じ部と、綴じた箇所でシート束を2つ折りする折り部と、制御部と、を備える。綴じ部は、ストッパと、ストッパに当接して停止したシートの後端に当接し、シートを搬送方向に位置決めするバックジョガーと、を含む。制御部は、バックジョガーまたはストッパを制御し、バックジョガーによって、第1のシートをストッパから第1の距離に押し揃え、第1のシートよりも搬送方向に長く第1のシートの後に搬送されて第1のシートの上に重ねられる第2のシートを、ストッパから第2の距離に押し揃え、前記第2の距離は、前記第1の距離よりも長い。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシートが重ねられたシート束を綴じる綴じ部と、
綴じた箇所でシート束を2つ折りする折り部と、
制御部と、
を備え、
前記綴じ部は、
ストッパと、
前記ストッパに当接して停止したシートの後端に当接し、シートを搬送方向に位置決めするバックジョガーと、
を含み、
前記制御部は、前記バックジョガーまたは前記ストッパを制御し、前記バックジョガーによって、第1のシートを前記ストッパから第1の距離に押し揃え、第1のシートよりも搬送方向に長く第1のシートの後に搬送されて第1のシートの上に重ねられる第2のシートを、前記ストッパから第2の距離に押し揃え、
前記第2の距離は、前記第1の距離よりも長い、中綴じ折り装置。
【請求項2】
第2のシートは、シート束の最上位のシートを含む、請求項1に記載の中綴じ折り装置。
【請求項3】
前記制御部は、第1、第2のシートの搬送方向の長さを取得し、取得した第1、第2のシートの長さに基づいて、前記第1、第2の距離を決定する、請求項1または2に記載の中綴じ折り装置。
【請求項4】
第2のシートが搬送されるときの前記バックジョガーの待機位置は、第1のシートが搬送されるときの前記バックジョガーの待機位置よりも搬送方向上流側である、請求項1から3のいずれかに記載の中綴じ折り装置。
【請求項5】
第2のシートが搬送されるときの前記ストッパの位置は、第1のシートが搬送されるときの前記ストッパの位置よりも搬送方向下流側である、請求項1から3のいずれかに記載の中綴じ折り装置。
【請求項6】
複数枚のシートが重ねられたシート束を綴じるステップと、
綴じた箇所でシート束を2つ折りするステップと、
を含み、
前記綴じるステップは、
ストッパに当接して停止した複数枚の第1のシートをバックジョガーによって押し揃えるステップと、
前記ストッパと前記バックジョガーの待機位置との距離を長くするステップと、
前記ストッパに当接して停止して第1のシートの上に重ねられる第2のシートを押し揃えるステップと、
第1および第2のシートを含むシート束を綴じるステップと、
を含む、中綴じ折り方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中綴じ折り装置および中綴じ折り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シート束を綴じ、綴じた箇所で2つ折りして冊子を作成するシート処理装置が開示されている。このシート処理装置では、綴じ部において、シートの束を、綴じストッパで停止させ、幅方向の両側をサイドガイドでガイドし、バックジョガーで後端を押し揃えて綴じ位置に位置決めし、ステッチャで綴じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1は、カレンダー製本を示す図である。カレンダー製本では、冊子の背に対して一方側のみ、表紙あるいは表紙を含む数枚のシートS2の背から小口までの寸法D2を、その他のシートS1の背から小口までの寸法D1よりも大きくする。このようなカレンダー製本の需要がある。
【0005】
本発明はこうした状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、カレンダー製本が可能な中綴じ折り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の中綴じ折り装置は、複数枚のシートが重ねられたシート束を綴じる綴じ部と、綴じた箇所でシート束を2つ折りする折り部と、制御部と、を備える。綴じ部は、ストッパと、ストッパに当接して停止したシートの後端に当接し、シートを搬送方向に位置決めするバックジョガーと、を含む。制御部は、バックジョガーまたはストッパを制御し、バックジョガーによって、第1のシートをストッパから第1の距離に押し揃え、第1のシートよりも搬送方向に長く第1のシートの後に搬送されて第1のシートの上に重ねられる第2のシートを、ストッパから第2の距離に押し揃え、第2の距離は、第1の距離よりも長い。
【0007】
本発明の別の態様は、中綴じ折り方法である。この方法は、複数枚のシートが重ねられたシート束を綴じるステップと、綴じた箇所でシート束を2つ折りするステップと、を含む。綴じるステップは、ストッパに当接して停止した複数枚の第1のシートをバックジョガーによって押し揃えるステップと、ストッパとバックジョガーの待機位置との距離を長くするステップと、ストッパに当接して停止して第1のシートの上に重ねられる第2のシートを押し揃えるステップと、第1および第2のシートを含むシート束を綴じるステップと、を含む。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カレンダー製本が可能な中綴じ折り装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】実施の形態に係る製本システムの全体構成を示す図である。
【
図3】
図2の中綴じ折り装置および角背成形装置の側面図である。
【
図4】実施の形態に係る製本システムの制御装置を中心とする機能構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5(a)~(h)は、実施例1の綴じ部の動作を時系列で説明する図である。
【
図6】
図6(a)~(h)は、実施例2の綴じ部の動作を時系列で説明する図である。
【
図7】
図7(a)~(h)は、実施例3の綴じ部の動作を時系列で説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。
【0012】
図2は、実施の形態に係る製本システム10の全体構成を示すブロック図である。製本システム10は、文字や画像が印刷されたシートに後処理を施すシステムであり、シート供給装置100と、中綴じ折り装置200と、角背成形装置300と、断裁装置400と、スタッカ500と、制御装置600と、を備える。シートは、特に限定されないが、典型的には紙である。
【0013】
シート供給装置100は、シートを1枚ずつ供給する。なお、シート供給装置100は、複数枚ずつ供給してもよいし、冊子に含める全枚数をまとめて供給してもよい。中綴じ折り装置200は、シート供給装置100から供給されたシートに中綴じ折り処理を施す。具体的には中綴じ折り装置200は、シート供給装置100から供給されるシートを重ねてシート束を作成し、シート束を例えば中央で綴じ、綴じた箇所で2つ折りして冊子を作成する。角背成形装置300は、中綴じ折り装置200が作成した冊子の背を角形に成形する。断裁装置400は、冊子の小口、天、地を断裁して切り揃えて冊子を完成させる。完成した冊子は、スタッカ500に積載される。制御装置600は、例えばPCなどの情報処理端末であり、製本システム10を統括的に制御する。
【0014】
図3は、中綴じ折り装置200および角背成形装置300を模式的に示す側面図である。シートは、中綴じ折り装置200および角背成形装置300の並び方向に搬送される。以降、シートが搬送される方向(
図2において右から左に向かう方向)を搬送方向Y、搬送方向Yと直交する方向(
図2において紙面に直交する方向)を幅方向Xと呼ぶ。また、幅方向Xについて、上流側から搬送方向Yに見て右側を幅方向Xにおける右側、左側を幅方向Xにおける左側と呼ぶ。また、シートおよび冊子について、搬送方向Yにおける下流側の端縁を先端、上流側の端縁を後端と呼ぶ。
【0015】
中綴じ折り装置200は、シート束を作成してシート束を綴じる綴じ部202と、綴じられたシート束を綴じた箇所で折りたたむ折り部204と、折りたたまれたシート束を角背成形装置300に排出する排出部206と、を備える。
【0016】
綴じ部202は、シートを下流側へ搬送する搬送機構210と、綴じストッパ212と、一対のサイドガイド214と、バックジョガー216と、綴じユニット218と、を含む。シート供給装置100から供給されるシートは、綴じストッパ212に当接して停止し、この位置でシートが積載されてシート束が作成される。
【0017】
一対のサイドガイド214は、シートひいてはシート束を幅方向Xに位置決めする。詳しくは、一対のサイドガイド214は、幅方向Xの間隔が調整可能であり、あらかじめシートの幅に応じた(例えばシート幅に等しい)間隔に調整される。シートは、一対のサイドガイド214の間を搬送されることで、綴じストッパ212に当接するまでに、一対のサイドガイド214によって幅方向Xに位置決めされる。
【0018】
バックジョガー216は、シート束の後端から上流側に少し離れた位置と、シート束に当接する位置との間を複数回往復させることにより、シート束を綴じストッパ212に複数回押し付ける。これにより、シート束の前後の端面が揃えられるとともに、シート束が前後方向に位置決めされる。
【0019】
綴じユニット218は、シート束を綴じる。綴じユニット218は、ステッチャ220と、クリンチャ222と、を含む。ステッチャ220がシート束に綴じ針を打ち込み、打ち込まれた針の針先をクリンチャ222が折り曲げる。シート束が綴じられると、綴じストッパ212が下降し、シート束は折り部204に搬送される。
【0020】
折り部204は、シート束を下流側へ搬送する搬送機構230,231と、折りストッパ232と、
図3では図示しない一対のサイドガイドと、バックストッパ236と、一対の折りローラ238と、折りナイフ240と、を含む。綴じ部202から搬送されてきたシート束は、折りストッパ232に当接して停止する。
【0021】
一対のサイドガイドは、シート束を幅方向Xに位置決めする。詳しくは、一対のサイドガイドは、幅方向Xの間隔が調整可能であり、あらかじめシートの幅に応じた(例えばシート幅に等しい)間隔に調整される。シート束は、一対のサイドガイドの間を搬送されることで、折りストッパ232に当接するまでに、一対のサイドガイドによって幅方向Xに位置決めされる。バックストッパ236は、シート束の後端に当接してシート束を折りストッパ232に押し付け、シート束を搬送方向Yに位置決めする。
【0022】
一対の折りローラ238は、軸方向が幅方向Xを向くように搬送方向Yに並設される。折りストッパ232およびバックストッパ236によって搬送方向Yに位置決めされた状態で折りナイフ240を一対の折りローラ238の間に上昇させると、シート束が一対の折りローラ238の間に巻き込まれる。一対の折りローラ238は、巻き込まれたシート束を、2つ折りして冊子の形にするとともに、排出部206に送る。
【0023】
排出部206は、上流側搬送機構242と、下流側搬送機構244と、を含む。つまり、排出部206は、2つの搬送機構を備える。下流側搬送機構244は、上流側搬送機構242の下流側に設けられる。上流側搬送機構242は、折り部204から送り込まれた冊子の形のシート束を下流側搬送機構244に搬送する。下流側搬送機構244は、上流側搬送機構242から送り込まれた冊子を、角背成形装置300において角背成形するための位置である角背成形位置まで搬送する。角背成形位置では、冊子の先端(すなわち背)は角背成形装置300に位置し、冊子の後端は中綴じ折り装置200に位置する。つまり、角背成形のために角背成形位置に停止している冊子の後端側は、下流側搬送機構244のベルトによって支持される。下流側搬送機構244は、角背成形が終了すると、角背成形位置にある冊子をさらに下流へ搬送する。
【0024】
上流側搬送機構242は、中綴じ折り装置200の図示しないメインモータから駆動を取得し、ベルトを常時周回駆動する。下流側搬送機構244は、上流側搬送機構242とは異なる駆動源、すなわち中綴じ折り装置200のメインモータとは異なる駆動源から駆動を取得し、あるいは中綴じ折り装置200のメインモータから電磁クラッチ等を介して駆動を取得し、ベルトを周回駆動する。したがって、上述のように上流側搬送機構242ではベルトを常時周回駆動させつつも、下流側搬送機構244では、角背成形のために冊子を停止させる間、ベルトを停止させることができる。
【0025】
角背成形装置300は、角背ストッパ302と、一対のクランパ304と、角背ローラ306と、下面ガイド308と、を含む。背を先端側にして、かつ、背の長手方向が幅方向Xに一致した状態で、中綴じ折り装置200から搬送されてくる。冊子は、背が角背ストッパ302に当接して停止する。一対のクランパ304は、停止した冊子の背の近傍を把持する。
【0026】
角背ローラ306は、鉛直軸まわりに回転可能、かつ、幅方向Xに移動可能に構成される。角背ストッパ302が角背ローラ306の移動に干渉しない退避位置に退避し、一対のクランパ304が冊子を把持した状態において、角背ローラ306を幅方向Xに移動させると、角背ローラ306に冊子の背が押圧され、冊子は角背に仕上げられる。冊子が角背に仕上げられた後、一対のクランパ304による把持が解除され、角背に仕上げられた冊子は断裁装置400に搬送される。
【0027】
下面ガイド308は、板状の部材であり、軸方向に延在する回動軸310を中心に回動可能である。この回動軸310は、角背ストッパ302や角背ローラ306の下流側に配置された一対の搬送ローラ320の下側の搬送ローラ320のローラ軸を兼ねる。下面ガイド308は、角背成形する際には、角背ローラ306に接触しないように角背ローラ306が移動する空間から退避した姿勢(実線の姿勢)をとる。また、下面ガイド308は、冊子を搬送する際には、主表面308aによって冊子の下面を支持するために、当該空間に進入した姿勢(破線の姿勢)をとる。これにより、角背ローラ306が移動するための空間に冊子が引っかかって詰まるのを抑止できる。
【0028】
下面ガイド308に代えて、角背ローラ306の幅方向Xにおける両サイドに、搬送される冊子の下面と平行なガイド面を有するガイド板を設けてもよい。このガイド板は角背ローラ306に対する相対位置が固定されており、したがって角背ローラ306とともに幅方向Xに移動可能である。また、ガイド板は、幅方向Xの寸法が冊子よりも短く構成され、角背ローラ306の位置に関わらず装置の外側にはみ出すことがない。ガイド板は、冊子を搬送する際には、冊子の下面の幅方向Xの一部を支持する。
【0029】
図4は、製本システム10の制御装置600を中心とする機能構成を示すブロック図である。制御装置600の各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0030】
制御装置600は、メイン制御部602と、シート供給制御部604と、綴じ制御部606と、折り制御部608と、排出制御部610と、角背制御部612と、断裁制御部614と、を備える。
【0031】
メイン制御部602は、製本システム10を統括的に制御する。メイン制御部602は、例えば、製本処理のジョブの定義について入力を受け付ける。メイン制御部602は、所定のジョブ管理画面を所定のディスプレイに表示し、ジョブ管理画面を介してジョブの定義についての入力を受け付けてもよい。ジョブの定義には、例えば、製本する冊子数、冊子に含まれるシートのサイズ(冊子の背のサイズ)が含まれる。シート供給制御部604、中綴じ折り制御部605、角背制御部612、断裁制御部614はそれぞれ、ジョブの定義に基づいて、シート供給装置100、中綴じ折り装置200の綴じ部202、折り部204、角背成形装置300、断裁装置400を制御する。
【0032】
中綴じ折り装置200の綴じ部202は、綴じストッパ212を停止位置と退避位置との間で移動させる綴じストッパ駆動機構252と、一対のサイドガイド214の間隔をシートのサイズに基づいて調整するサイドガイド駆動機構254と、バックジョガー216をシート束の後端から上流側に少し離れた位置とシート束に当接する位置との間を複数回往復させてシート束を押し揃えて搬送方向に位置決めするバックストッパ駆動機構256と、綴じユニット218にシート束を綴じさせる綴じユニット駆動機構258と、をさらに備える。綴じ部202の各駆動機構は、例えばモータを含んで構成され、中綴じ折り制御部605によって制御される。
【0033】
以上が製本システム10の基本構成である。
【0034】
変形例として、製本システム10は、シート供給装置100に代えて、シートに文字や画像を印刷するプリンタを備え、プリンタから1枚ずつシートを給紙してもよい。
【0035】
つづいて、中綴じ折り装置200について、いわゆるカレンダー製本を実現するための構成と動作を、いくつかの実施例をもとに説明する。
【0036】
(実施例1)
図5(a)~(h)は、実施例1の綴じ部202の動作を時系列で説明する図である。
図5(a)では、綴じストッパ212は、搬送されてくる冊子を停止させるための停止位置にある。バックジョガー216は、搬送されてくるシートに干渉しない待機位置であって、第1のシートS1の搬送を待機するための第1の待機位置にある。第1の待機位置は、第1のシートS1の搬送方向の長さに基づいて決定されればよい。第1のシートS1の搬送方向の長さは、所定の入力装置を介してユーザから取得してもよいし、適宜の位置に設けられた、シートの搬送方向の長さを検出可能なセンサから取得してもよい。
【0037】
図5(b)では、複数枚の第1のシートS1が綴じストッパ212に当接して停止している。第1のシートS1は、1枚または複数枚ずつ搬送されて重ねられてもよいし、全枚数が一度に搬送されてもよい。
【0038】
図5(c)では、バックジョガー216は、第1のシートS1の束の後端から上流側に少し離れた位置と、第1のシートS1の束の後端に当接する位置であって綴じストッパ212から第1の距離L1の下流側の所定の位置と、の間を複数回往復する。これにより、第1のシートは、綴じストッパ212から第1の距離L1に押し揃えられる。第1の距離L1は、第1のシートの搬送方向の長さに基づいて決定されればよい。例えば、第1の距離L1は、第1のシートの搬送方向の長さであってもよいし、その長さに極わずかな余裕を加味した長さであってもよい。
【0039】
図5(d)では、バックジョガー216は、第2の待機位置に移動している。第2の待機位置は、搬送されてくるシートに干渉しない位置であって、第2のシートS2の搬送を待機するための位置である。第2の待機位置は、第1の待機位置(
図5(a)、(b)の位置)よりも上流側である。第2の待機位置は、第2のシートS2の搬送方向の長さに基づいて決定されればよい。第2のシートS2の搬送方向の長さは、所定の入力装置を介してユーザから取得してもよいし、適宜の位置に設けられた、シートの搬送方向の長さを検出可能なセンサから取得してもよい。1冊に含める全ての第1のシートS1がバックジョガー216を通過した後の所定のタイミングで、バックジョガー216は第1の待機位置から第2の待機位置に移動すればよい。
【0040】
図5(e)では、1枚の第2のシートS2が綴じストッパ212に当接して停止し、第1のシートS1の束の上に重なっている。第2のシートS2は、第1のシートS1よりも搬送方向に長いシートである。なお、複数枚の第2のシートS2が第1のシートS1の束の上に重なってもよい。この場合、第2のシートS2は、1枚または複数枚ずつ搬送されてもよいし、全枚数が一度に搬送されてもよい。
【0041】
変形例として、バックジョガー216が第1のシートS1の束の後端に当接した状態、すなわち
図5(c)の状態で、第2のシートS2が搬送されて綴じストッパ212に当接して停止し、第1のシートS1の束の上に重なってもよい。これにより、第2のシートS2が搬送されたことによって第1のシートS1の束がずれるのを抑止できる。この場合、バックジョガー216に第2のシートS2が引っかからないように、バックジョガー216は、その上流側に、下側ほど上流側に位置する傾斜面216aを有してもよい。
【0042】
図5(f)では、バックジョガー216は、第2のシートS2の後端から上流側に少し離れた位置と、第2のシートS2に当接する位置であって綴じストッパ212から第2の距離L2(>第1の距離L1)の位置と、の間を複数回往復する。これにより、第2のシートS2は、綴じストッパ212から第2の距離L2に押し揃えられる。第2の距離L2は、第2のシートの搬送方向の長さに基づいて決定されればよい。例えば、第2の距離Lは、第2のシートの搬送方向の長さであってもよいし、その長さに極わずかな余裕を加味した長さであってもよい。第2のシートの搬送方向の長さは、所定の入力装置を介してユーザから取得してもよいし、適宜の位置に設けられた、シートの搬送方向の長さを検出可能なセンサから取得してもよい、第2の距離L2は、第1の距離L1と同様に決定されればよく、第1の距離L1の決定方法に関する上記の説明における「第1のシート」、「第1の距離L1」をそれぞれ、「第2のシート」、「第2の距離L2」に読み替えればよい。
【0043】
図5(g)では、第1のシートS1の束に第2のシートS2が重なったシート束を綴じている。この例では、第1のシートS1の搬送方向における中央部の位置を綴じている。
【0044】
図5(h)では、綴じストッパ212が退避位置に退避し、シート束は下流側すなわち折り部204に搬送される。折り部204において、シート束は綴じた箇所で2つ折りにされる。
【0045】
(実施例2)
図6(a)~(h)は、実施例2の綴じ部202の動作を時系列で説明する図である。実施例1との相違点を中心に説明する。
【0046】
この例では、綴じ部202は、第1のシートS1を搬送方向Yに位置決めするための第1のバックジョガー216_1と、第2のシートS2を搬送方向Yに位置決めするための第2のバックジョガー216_2と、を備える。
【0047】
図6(a)では、綴じストッパ212は停止位置にある。第1のバックジョガー216_1および第2のバックジョガー216_2はそれぞれ、待機位置にある。第2のバックジョガー216_2の待機位置は、第1のバックジョガー216_1の待機位置よりも下流側の位置である。
【0048】
図6(b)では、複数枚の第1のシートS1が綴じストッパ212に当接して停止している。
【0049】
図6(c)では、第1のバックジョガー216_1は、第1のシートS1の束の後端から上流側に少し離れた位置と、綴じストッパ212から第1の距離L1の下流側の所定の位置と、の間を複数回往復する。これにより、第1のシートは、綴じストッパ212から第1の距離L1に押し揃えられる。
【0050】
図6(d)では、第1のバックジョガー216_1は待機位置に戻っている。
【0051】
図6(e)では、1枚の第2のシートS2が綴じストッパ212に当接して停止し、第1のシートS1の束の上に重なっている。
【0052】
変形例として、第1のバックジョガー216_1が第1のシートS1の束の後端に当接した状態、すなわち
図6(c)の状態で、第2のシートS2が搬送されて綴じストッパ212に当接して停止し、第1のシートS1の束の上に重なってもよい。
【0053】
図6(f)では、第2のバックジョガー216_2は、第2のシートS2の後端から上流側に少し離れた位置と、綴じストッパ212から第2の距離L2の位置と、の間を複数回往復する。これにより、第1のシートは、綴じストッパ212から第2の距離L2に押し揃えられる。
【0054】
図6(g)では、第1のシートS1の束に第2のシートS2が重なったシート束を綴じている。
【0055】
図6(h)では、綴じストッパ212が退避位置に退避し、シート束は下流側すなわち折り部204に搬送される。折り部204において、シート束は綴じた箇所で2つ折りにされる。
【0056】
(実施例3)
図7(a)~(h)は、実施例3の綴じ部202の動作を時系列で説明する図である。実施例1との相違点を中心に説明する。
【0057】
この例では、綴じストッパ212は、搬送方向Yに移動可能に構成される。また、綴じ部202の搬送機構210の搬送ベルト260に突起262が設けられている。突起262は、その上流側に、下側ほど上流側に位置する傾斜面262aを有する。
【0058】
図7(a)では、綴じストッパ212は第1の停止位置にある。バックジョガー216は待機位置にある。
【0059】
図7(b)では、複数枚の第1のシートS1が綴じストッパ212に当接して停止している。
【0060】
図7(c)では、バックジョガー216は、第1のシートS1の束の後端から上流側に少し離れた位置と、第1のシートS1の束に当接する位置であって綴じストッパ212から第1の距離L1の下流側の所定の位置と、の間を複数回往復する。バックジョガー216が下流側の所定の位置のときに綴じストッパ212からの距離が第1の距離L1になるように綴じストッパ212の第1の停止位置が決定され、あらかじめ綴じストッパ212がその位置に移動されていると捉えることもできる。これにより、第1のシートは、綴じストッパ212から第1の距離L1に押し揃えられる。
【0061】
図7(d)では、バックジョガー216は待機位置に戻っている。綴じストッパ212は、突起262との間に第1のシートS1を挟んでそれらとともに下流側に移動し、第1の停止位置(
図7(a)~(c)の位置)よりも下流側の第2の停止位置に停止している。
【0062】
図7(e)では、1枚の第2のシートS2が綴じストッパ212に当接して停止し、第1のシートS1の束の上に重なっている。突起262がその上流側に傾斜面262aを有するため、第2のシートS2は突起262に引っかからずに搬送される。なお、突起262が傾倒可能であり、第2のシートS2が搬送されてくる前に傾倒されてもよい。この場合、第2のシートS2が突起262に引っかかることがなくなる。また、突起262があると、第2のシートS2が突起262に載ることによって突起262の近くで第2のシートS2が第1のシートS1の束から浮いてしまうところ、突起262を傾倒させることでこれを避けられる。
【0063】
図7(f)では、バックジョガー216は、第2のシートS2の後端から上流側に少し離れた位置と、第2のシートS2に当接する位置であって綴じストッパ212から第2の距離L2の下流側の所定の位置と、の間を複数回往復する。これにより、第2のシートS2は、綴じストッパ212から第2の距離L2に押し揃えられる。なお、
図7(f)においてバックジョガー216が往復する範囲は、
図7(c)において往復する範囲と同じである。しかしながら、綴じストッパ212が
図7(d)において第2の停止位置に移動しているため、綴じストッパ212から、バックジョガー216が往復する下流側の所定の位置までの距離は、第2の距離Lとなる。つまり、バックジョガー216が下流側の所定の位置にあるときに綴じストッパ212からの距離が第2の距離L2になるように、綴じストッパ212の第2の停止位置が決定されている。
【0064】
図7(g)では、第1のシートS1の束に第2のシートS2が重なったシート束を綴じている。
【0065】
図7(h)では、綴じストッパ212が退避位置に退避し、シート束は下流側すなわち折り部204に搬送される。折り部204において、シート束は綴じた箇所で2つ折りにされる。
【0066】
以上の中綴じ折り装置200の効果を説明する。
【0067】
本実施の形態によれば、第1のシートS1の束は綴じストッパ212から第1の距離L1に押し揃えられ、第1のシートS1よりも搬送方向に長い第2のシートS2は綴じストッパ212から第2の距離L2(>第1の距離L1)に押し揃えられる。つまり、長さが異なるシートを含むシート束がバックジョガー216によって押し揃えられる。これにより、いわゆるカレンダー製本が可能となる。
【0068】
例えば、第1のシートS1の束を押し揃えるときと第2のシートS2を押し揃えるときでバックジョガー216の位置を変えることによって、第1のシートS1および第2のシートS2を含むシート束を揃えることができる。この場合、シートに応じてバックジョガー216の移動範囲を変えるだけでよく、従前の中綴じ折り装置からの改変が少なくて済む。
【0069】
また例えば、第1のシートS1の束を押し揃えるための第1のバックジョガー216_1と第2のシートS2を押し揃えるための第2のバックジョガー216_2の2つのバックジョガー216を備えることによって、第1のシートS1および第2のシートS2を含むシート束を揃えることができる。この場合、バックジョガー216をもうひとつ追加するだけでよく、従前の中綴じ折り装置からの改変が少なくて済む。
【0070】
また例えば、第1のシートS1を搬送するときと第2のシートS2を搬送するときで綴じストッパ212の位置を変えることによって、第1のシートS1および第2のシートS2を含むシート束を揃えることができる。この場合、綴じストッパ212を搬送方向Yに移動可能にするだけでよく、従前の中綴じ折り装置からの改変が少なくて済む。
【0071】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである
【符号の説明】
【0072】
10 製本システム、 200 中綴じ折り装置、 202 綴じ部、 204 折り部、 212 綴じストッパ、 216 バックジョガー、 600 制御装置、 605 中綴じ折り制御部。