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  • 特開-模型部品、及び人形玩具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023084991
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】模型部品、及び人形玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 3/46 20060101AFI20230613BHJP
   A63H 3/36 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
A63H3/46 A
A63H3/36 D
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199430
(22)【出願日】2021-12-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中元 悠太
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA12
2C150BB01
2C150BC02
2C150CA01
2C150DA27
2C150DC03
2C150EH07
2C150EH08
2C150EH16
(57)【要約】
【課題】他の模型部品の回動の邪魔にならないように変形が可能な模型部品を提供する。
【解決手段】模型部品であって、第1の部材と、前記第1の部材を収容して回動可能に保持すると共に、前記第1の部材を引き出し可能に構成された第2の部材と、前記第1の部材が有する軸部と接続し、前記軸部回りに回動可能に構成される第3の部材とを含み、前記第1の部材の前記第2の部材に対する回動方向により定義される第1の回動面は、前記第3の部材の前記第1の部材に対する回動方向により定義される第2の回動面と直交し、第3の部材の回動範囲は、前記第1の部材が前記第2の部材から引き出された場合に拡大される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
模型部品であって、
第1の部材と、
前記第1の部材を収容して回動可能に保持すると共に、前記第1の部材を引き出し可能に構成された第2の部材と、
前記第1の部材が有する軸部と接続し、前記軸部回りに回動可能に構成される第3の部材と
を含み、
前記第1の部材の前記第2の部材に対する回動方向により定義される第1の回動面は、前記第3の部材の前記第1の部材に対する回動方向により定義される第2の回動面と直交し、
第3の部材の回動範囲は、前記第1の部材が前記第2の部材から引き出された場合に拡大される、模型部品。
【請求項2】
前記第1の部材は表面に第1の段差を有し、
前記第2の部材は前記第1の部材を収容する開口部の内壁に第2の段差を有し、
前記第1の部材は、前記第1の段差が前記第2の段差と係合する位置まで引き出し可能に構成されている、請求項1に記載の模型部品。
【請求項3】
前記第1の部材と前記第3の部材との接続部分の少なくとも一部は、前記第1の部材の前記引き出しにより前記第2の部材の外側に露出される、請求項1又は2に記載の模型部品。
【請求項4】
前記第1の部材の引き出し方向は、前記第1の回動面の法線方向である、請求項1から3のいずれか1項に記載の模型部品。
【請求項5】
人形玩具の関節部を構成する請求項1から4のいずれか1項に記載の模型部品。
【請求項6】
前記関節部は、肩関節部である、請求項5に記載の模型部品。
【請求項7】
前記第3の部材は、前記人形玩具の腕部材と接続するための接続部を含む、請求項6に記載の模型部品。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の模型部品を有する人形玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模型部品、及び人形玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、人形玩具の胴体部、腕部、脚部等の各部位に関節構造を設けることが記載されている。ユーザは、このような人形玩具を所望の姿勢にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1-138492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人形玩具において、ある模型部品と他の模型部品とが回動可能に接続されていた場合に、他の模型部品を回動させようとするとある模型部品が邪魔になることがある。
【0005】
本発明は、新規の構造の模型部品、及び、当該模型部品を用いた人形玩具を提供することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、模型部品であって、第1の部材と、前記第1の部材を収容して回動可能に保持すると共に、前記第1の部材を引き出し可能に構成された第2の部材と、前記第1の部材が有する軸部と接続し、前記軸部回りに回動可能に構成される第3の部材とを含み、前記第1の部材の前記第2の部材に対する回動方向により定義される第1の回動面は、前記第3の部材の前記第1の部材に対する回動方向により定義される第2の回動面と直交し、第3の部材の回動範囲は、前記第1の部材が前記第2の部材から引き出された場合に拡大される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、新規の構造の模型部品、及び、当該模型部品を用いた人形玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に対応する人形玩具の一例を示す図。
図2】実施形態に対応する人形玩具の模型部品200の外観の一例を示す図。
図3】実施形態に対応する人形玩具の模型部品200を構成するパーツの外観の一例を示す図。
図4】実施形態に対応する人形玩具の模型部品200の断面構造の一例を示す図。
図5】実施形態に対応する人形玩具の模型部品200の第3の部材203の回動範囲を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。また、各図において、紙面に対する上下左右表裏方向を、本実施形態における部品(またはパーツ)の上下左右表裏方向として、本文中の説明の際に用いることとする。
【0010】
まず、本実施形態に対応する人形玩具の外観の一例を図1に示す。図1は、実施形態に係る人形玩具100の外観を簡略化して示す模式図である。人形玩具100は、頭部110、胴体部111、腕部112、腰部113、及び、脚部114の各模型部品を有し、これらが結合されて構成されている。個々の部位110~114の少なくとも一部は、隣接する部位に対して回動(或いは揺動)可能に支持される。例えば、頭部110は胴体部111に対して回動可能に支持され、腕部112は胴体部111に対して回動、前傾、後傾が可能に支持される。また、胴体部111は、腰部113に対して回動可能に支持される。このようにして人形玩具100の各部位には関節構造が設けられており、ユーザ(例えば、人形玩具1の所有者)は、このような人形玩具100を所望の姿勢にすることができる。図1では、省略しているが、人形玩具100には1つ以上の装飾部品を取り付けることができる。装飾部品も本実施形態で説明する人形玩具の模型部品と同様に構成することができる。装飾部品には、例えば、剣や銃のような武器や、盾のような防具等がある。
【0011】
尚、本明細書においては、各部位の位置関係を説明するのに際して、前(前方)、後(後方)、左(左側方)、右(右側方)、上(上方)、下(下方)等と記載する場合があるが、これらの表現は人形玩具1を基準とした相対的なものである。例えば、前は人形玩具100正面側に対応し、後は人形玩具100背面側に対応する。
【0012】
本実施形態において、人形玩具100を構成する各模型部品は、ABS等の熱可塑性樹脂により構成することができる。また、ABS以外の他の材質(ポリエチレン、ポリスチレン、熱硬化性樹脂等)を用いてもよい。更には、各模型部品をABS等で構成した内部パーツと、当該内部パーツの外側を覆う金属材料で構成された外部パーツとで構成してもよい。外部パーツ同士は基本的には直接結合されず、内部パーツに対して外部パーツを結合することにより、同一の内部パーツを介して複数の外部パーツの相対的位置が決定される。外部パーツ同士を結合する場合には、焼結処理により予め結合されていてもよい。外部パーツは、例えば、チタニウム、アルミニウム、希土類イットリアを混合した合金で構成することができる。但し、これに限られるものではなく、組み合わせの少なくとも一部が異なる、或いは、全てが異なる他の種類の合金であってもよいし、或いは、アルミニウムのような単一金属であってもよい。
【0013】
次に図2を参照して、胴体部111の模型部品の具体的な構成例を説明する。図2(A)は、胴体部111の斜視図を示す。胴体部111は複数の部材から構成されており、以下では本実施形態の構成に関わる部材について説明する。本実施形態に対応する関節部分の模型部品200は、第1の部材201、第2の部材202及び第3の部材203により構成される。まず、第1の部材201は、第2の部材202の開口部に挿入され、矢印211で示す方向に360度回動可能である。このとき、第1の部材201と第3の部材203との接続部分は第2の部材202の開口部内に収納されている。第1の部材201と第3の部材203とは、後述するように第1の部材201が有する軸部を回動軸として回動可能に接続されているが、図2(A)に示す状態では、接続部分が開口部内に収容されているため、回動範囲が第2の部材202により制限される。
【0014】
第1の部材201は、第2の部材202に対して矢印212に示す方向に引き出すことが可能となっており、これにより図2(B)に示すような状態となる。図2(B)においては、第1の部材201が第2の部材202より引き出されており、この状態において、第1の部材201と第3の部材との接続部分の少なくとも一部が第2の部材202の開口部の外側に露出する。これにより第2の部材202による制約が解消され、第3の部材の回動範囲が拡大される。なお、第1の部材201は依然として第2の部材202に対して矢印211で示す方向に回動可能となっている。
【0015】
図2(C)は、第1の部材201の回動方向211により定義される回動面1、第1の部材201の引き出し方向212、第3の部材203の回動方向213により定義される回動面2との関係の一例を示す図である。引出方向212は回動面1の法線方向に一致し、回動面1と回動面2とは直交している。なお、回動面2は回動面1の回動に合わせて引出方向212に沿った軸を中心に回転可能となっているが、その場合であっても回動面1と回動面2との直交関係は変わらない。
【0016】
次に、図3を参照して、第1の部材201、第2部材202及び第3の部材203の構造の一例を説明する。図3(A)は第1の部材201の斜視図を示す。第1の部材201は、柱状の部材であって、上側部材301と下側部材302とが係合して構成されており、上側部材301の頂部には段差301sが設けられている。また、下側部材302の底部にも同様に段差302sが設けられている。これらの段差は、第2の部材202の開口部内側の段差と係合し、第1の部材201が第2の部材202から引き出される量を規定している。
【0017】
また、第1部材201は、上側部材301と下側部材302とを接続する軸部303を有する。軸部303は、第3の部材203の開口部305を貫通し、これにより第3の部材203は軸部303を回動軸として軸周りに回動することができる。
【0018】
図3(B)は、第1の部材201を回動可能に収容する第2の部材202の斜視図を示す。第2の部材202は筒状の部材であって開口部304を備える。開口部304の内壁は、第1の部材201の外形に沿った筒状の形状を有しており、第1の部材201の柱状部分と接触することで一定の摩擦力を生じ、これにより第1の部材201を任意の回動位置において保持することができる。
【0019】
図3(C)は、第1の部材201を回動可能に収容する第3の部材203の斜視図を示す。第3の部材203は、第1の部材201の軸部303が貫通する開口部305を有し、軸部303周りに回動可能に第1の部材201と接続されている。第3の部材203は、人形玩具100の腕部112と回動可能に接続するための接続部材306を有する。接続部材306は球形状を有しているが、接続部材306の形状は球状に限られず、筒状、柱状であってもよい。
【0020】
次に図4を参照して、模型部品200の断面構造について説明する。図4(A)は、模型部品200を上側から見た図であり、図4(B)及び図4(C)は、図4(A)のA-A'断面の一例を示した図である。図4(B)は、第1の物品201が第2の物品202の内部に収容された状態の断面図を示し、図4(C)は、第1の物品201が第2の物品202の内部から引き出された状態の断面図を示す。
【0021】
図4(B)において、第1の物品201は、第2の物品202の内部に収容されており、上側部材301の段差301s及び下側部材302の段差302sと、第2の物品202の開口部の内壁に設けられた段差202sとが接触していない。この状態から第1の部材201が第2の部材202から引き出されると、第1の部材201の上側部材301の段差301s及び下側部材302の段差302sが、第2の物品202の開口部の内壁に設けられた段差202sにより係止され、図4(C)の状態となる。第1の部材201は、段差301s、302sが段差202sにより係止されると、それ以上引き出すことができない。
【0022】
次に図5を参照して、模型部品200において、第1の部材201を第2の部材202に収容した状態と、第1の部材201を第2の部材202から引き出した状態とで、第3の部材203の回動範囲が異なることを説明する。
【0023】
図5(A)は、第1の部材201が点線で示す第2の部材202に収容された状態において、模型部品200を上側から見た状態を示している。ここで、第3の部材203は矢印で示す方向に回動することができる。この回動の範囲は、図5(B)及び(C)に示すように、第1の部材201を第2の部材202に収容しておくか、第2の部材202から引き出すかによって異なる。
【0024】
まず図5(B)では、第1の部材201を第2の部材202に収容した状態において第3の部材203を回動させた場合の回動範囲501の一例を示している。この場合、第3の部材203は、実線で示す位置から点線で示す位置で特定される回動範囲501で回動することができる。ここでは、第1の部材201と第3の部材203との接続部分が点線で示す第2の部材202内に収容されているため、第2の部材202の開口部付近により第3の部材203の回動が制限される。
【0025】
これに対し図5(C)のように第1の部材201を第2の部材202から引き出した状態においては、第3の部材203は、実線で示す位置から点線で示す位置で特定される回動範囲502で回動することができる。ここでは、上述の接続部分が少なくとも部分的に第2の部材202の開口部の外側に露出しているため、第3の部材203が第2の部材202の開口部により制約を受けず、回動範囲502を回動範囲501よりも拡大することができる。
【0026】
上述の実施形態に対応する模型部品によれば、第1の部材201を第2の部材202から引き出すことにより、第2の部材202が第3の部材203の回動の邪魔にならず、回動範囲を拡大することができるので、人形玩具の姿勢をより柔軟に変形させることが可能となる。
【0027】
上記の実施形態においては、模型部品200を人形玩具100の肩関節の部材として利用する場合を主に説明したが、模型部品200の適用範囲は肩関節に限定されるものではなく、人形玩具100の関節機構として任意の位置で採用することができる。
【0028】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5