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特開2023-8502脂肪様食品用添加剤、脂肪様食品、脂肪様食品の作製方法、食品、および食品の作製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008502
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】脂肪様食品用添加剤、脂肪様食品、脂肪様食品の作製方法、食品、および食品の作製方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 29/00 20160101AFI20230112BHJP
   A23L 29/238 20160101ALI20230112BHJP
   A23L 29/244 20160101ALI20230112BHJP
   A23L 33/21 20160101ALN20230112BHJP
【FI】
A23L29/00
A23L29/238
A23L29/244
A23L33/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112119
(22)【出願日】2021-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】506009453
【氏名又は名称】オルガノフードテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西 健未
(72)【発明者】
【氏名】梅根 伸悟
【テーマコード(参考)】
4B018
4B035
4B041
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018MD02
4B018MD04
4B018MD09
4B018MD14
4B018MD37
4B018MD40
4B018MD47
4B018ME14
4B018MF02
4B035LC03
4B035LC16
4B035LE20
4B035LG01
4B035LG02
4B035LG06
4B035LG12
4B035LG23
4B035LG24
4B035LP01
4B035LP21
4B035LP55
4B041LC03
4B041LC05
4B041LD01
4B041LD10
4B041LH07
4B041LH08
4B041LK01
4B041LK04
4B041LK13
4B041LK18
4B041LK33
4B041LP01
4B041LP04
4B041LP21
(57)【要約】
【課題】適度な硬さを有し、加圧加熱殺菌を行っても水と食用油とが分離しにくい脂肪様食品を得ることができる脂肪様食品用添加剤、その脂肪様食品用添加剤を含む脂肪様食品、脂肪様食品の作製方法、その脂肪様食品を含む食品、食品の作製方法を提供する。
【解決手段】アマシードガムと、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、を含有する、脂肪様食品用添加剤、その脂肪様食品用添加剤を含む脂肪様食品、脂肪様食品の作製方法、その脂肪様食品を含む食品、食品の作製方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アマシードガムと、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、を含有することを特徴とする脂肪様食品用添加剤。
【請求項2】
請求項1に記載の脂肪様食品用添加剤であって、
さらに、塩類を含有することを特徴とする脂肪様食品用添加剤。
【請求項3】
請求項1または2に記載の脂肪様食品用添加剤であって、
さらに、タンパクおよび食物繊維のうち少なくとも1つを含有することを特徴とする脂肪様食品用添加剤。
【請求項4】
アマシードガムと、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、食用油と、水と、を含有することを特徴とする脂肪様食品。
【請求項5】
請求項4に記載の脂肪様食品であって、
さらに、塩類を含有することを特徴とする脂肪様食品。
【請求項6】
請求項4または5に記載の脂肪様食であって、
さらに、タンパクおよび食物繊維のうち少なくとも1つを含有することを特徴とする脂肪様食品。
【請求項7】
アマシードガムと、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、食用油と、水と、を用いることを特徴とする脂肪様食品の作製方法。
【請求項8】
請求項7に記載の脂肪様食品の作製方法であって、
さらに、塩類を用いることを特徴とする脂肪様食品の作製方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の脂肪様食品の作製方法であって、
さらに、タンパクおよび食物繊維のうち少なくとも1つを用いることを特徴とする脂肪様食品の作製方法。
【請求項10】
請求項4~6のいずれか1項に記載の脂肪様食品を含むことを特徴とする食品。
【請求項11】
請求項4~6のいずれか1項に記載の脂肪様食品を用いることを特徴とする食品の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪様食品用添加剤、その脂肪様食品用添加剤を含む脂肪様食品、脂肪様食品の作製方法、その脂肪様食品を含む食品、食品の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水と食用油とを分散させ、ゲル化させた脂肪様食品が知られている。油は、水中に一定以上馴染まないことが一般的であり、食品工業では、大豆たん白粉末、メチルセルロース等を添加して、水と食用油の分離を抑制させている(特許文献1参照)。また、脂肪様食品には、ある程度の硬さが求められる。
【0003】
しかし、大豆たん白粉末、メチルセルロース等を添加しても、硬さが不十分であったり、加圧加熱殺菌を行い、いわゆるレトルト食品とすると、水と食用油とが分離してしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-029565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、適度な硬さを有し、加圧加熱殺菌を行っても水と食用油とが分離しにくい脂肪様食品を得ることができる脂肪様食品用添加剤、その脂肪様食品用添加剤を含む脂肪様食品、脂肪様食品の作製方法、その脂肪様食品を含む食品、食品の作製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、アマシードガムと、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、を含有する脂肪様食品用添加剤である。
【0007】
前記脂肪様食品用添加剤において、さらに、塩類を含有することが好ましい。
【0008】
前記脂肪様食品用添加剤において、さらに、タンパクおよび食物繊維のうち少なくとも1つを含有することが好ましい。
【0009】
本発明は、アマシードガムと、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、食用油と、水と、を含有する脂肪様食品である。
【0010】
前記脂肪様食品において、さらに、塩類を含有することが好ましい。
【0011】
前記脂肪様食品において、さらに、タンパクおよび食物繊維のうち少なくとも1つを含有することが好ましい。
【0012】
本発明は、アマシードガムと、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、食用油と、水と、を用いることを特徴とする脂肪様食品の作製方法。
【0013】
前記脂肪様食品の作製方法において、さらに、塩類を用いることが好ましい。
【0014】
前記脂肪様食品の作製方法において、さらに、タンパクおよび食物繊維のうち少なくとも1つを用いることが好ましい。
【0015】
本発明は、上記脂肪様食品を含む食品である。
【0016】
本発明は、上記脂肪様食品を用いる食品の作製方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、適度な硬さを有し、加圧加熱殺菌を行っても水と食用油とが分離しにくい脂肪様食品を得ることができる脂肪様食品用添加剤、その脂肪様食品用添加剤を含む脂肪様食品、脂肪様食品の作製方法、その脂肪様食品を含む食品、食品の作製方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0019】
<脂肪様食品用添加剤>
本実施形態に係る脂肪様食品用添加剤は、アマシードガムと、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、を含有する添加剤である。本実施形態に係る脂肪様食品用添加剤は、さらに、塩類を含有してもよい。本実施形態に係る脂肪様食品用添加剤は、さらに、タンパクおよび食物繊維のうち少なくとも1つを含有してもよい。
【0020】
本発明者らは、アマシードガムを用いて検討した結果、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと組み合わせることによって、適度な硬さを有し、加圧加熱殺菌を行っても水と食用油とが分離しにくい脂肪様食品を得ることができることを見出した。アマシードガムとグルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つとを用いることによって、加熱しなくても適度な硬さを有する脂肪様食品を得ることができる。
【0021】
脂肪様食品は、油脂ゲルとも呼ばれ、水と食用油とを分散させ、ゲル化させた食品である。
【0022】
アマシードガムは、アマ科アマ(Linum usitatissimum LINNE)の種子から得られたものであり、多糖類を主成分とするものである。アマシードガムとしては、一般に入手可能なものを制限なく使用することができる。
【0023】
グルコマンナンは、コンニャクイモの塊茎に存在する多糖類である。例えば、コンニャクイモを水洗後、スライスして乾燥して粉砕し、さらに澱粉質等の不純物を分離したものがコンニャク精粉と呼ばれる。このコンニャク精粉にはグルコマンナンが約75~85質量%程度含まれている。グルコマンナンは、グルコース(単糖の一種)とマンノース(単糖の一種)が、およそ2:3の割合で多数結合した食物繊維である。グルコマンナンとしては、一般に入手可能なものを制限なく使用することができる。
【0024】
コンニャク粉は、例えば、コンニャクイモを水洗後、スライスして乾燥して粉砕し、さらに澱粉質等の不純物を分離して得られる粉である。コンニャク粉としては、一般に入手可能なものを制限なく使用することができる。
【0025】
本実施形態に係る脂肪様食品用添加剤において、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つの含有量は、例えば、アマシードガム100質量%に対して、20質量%~500質量%の範囲であり、好ましくは66質量%~150質量%の範囲である。グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つの含有量がアマシードガム100質量%に対して20質量%未満であると、硬さが不十分な場合があり、500質量%を超えると、乳化しにくかったり、加圧加熱殺菌のときに水と食用油とが分離する場合がある。
【0026】
本実施形態に係る脂肪様食品用添加剤は、さらに、塩類を含有してもよい。塩類としては、脂肪様食品のpHが4~12の範囲、好ましくは6~12の範囲になるような塩類を使用することが好ましい。これによって、より硬い脂肪様食品を得ることができる。脂肪様食品のpHが4~12の範囲になるような塩類としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム等のリン酸塩、海藻カルシウム、乳清ミネラル等のミネラル塩等の無機塩、クエン酸三ナトリウム、乳酸カルシウム等の有機酸塩が挙げられる。また、塩類を併用することによって、脂肪様食品に急速冷凍(例えば、-40~-20℃で50~120分間の急速冷凍)後に、解凍(例えば、4~25℃で4~16時間の解凍)した際に分離する液体(水分、油分)が少ないという冷凍耐性を向上することができる。中でも、冷凍耐性を向上させる塩類としては、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、酸性メタリン酸ナトリウム、海藻カルシウム等が挙げられ、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、酸性メタリン酸ナトリウム、海藻カルシウムが好ましい。塩類は、これらのうち1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
塩類を含有する場合の含有量は、例えば、アマシードガム100質量%に対して、1質量%~100質量%の範囲であり、好ましくは5質量%~90質量%の範囲である。塩類の含有量がアマシードガム100質量%に対して1質量%未満であると、硬さ付与の効果が不十分である場合があり、100質量%を超えると、不自然な硬さになる場合がある。
【0028】
本実施形態に係る脂肪様食品用添加剤は、さらに、タンパクおよび食物繊維のうち少なくとも1つを含有してもよい。タンパクおよび食物繊維のうち少なくとも1つを添加することによって、より硬い脂肪様食品を得ることができる。
【0029】
タンパクとしては、例えば、植物性タンパク、魚類タンパク、魚卵タンパク、鶏卵タンパク、乳類タンパク、甲殻類タンパク、海藻タンパク、微生物藻類タンパク等が挙げられる。
【0030】
植物性タンパクとしては、大豆、エンドウ、緑豆、ヒヨコ豆、落花生、ルビナス、キマメ、ナタ豆、ツル豆、インゲン豆、小豆、ササゲ、レンズ豆、ソラ豆、イナゴ豆、オーツ麦、大麦、小麦、ライ麦、米、トウモロコシ、馬鈴薯、サツマイモ(SWEET POTATO)、チア、キヌア、アルファルファ、麻(ヘンプ)、アーモンド、カシューナッツ、クルミ、ヘーゼルナッツ、ブラジルナッツ、ピスタチオ、パンプキンシード、ココナッツ、グレープシード、金時豆、黒豆、ほうれん草、アスパラガス、ブロッコリー、ケール、クランベリー、ザクロ、菜種、ひまわり種子、綿実種子、亜麻(アマニ)、ゴマ等の植物性タンパクが挙げられる。また、植物性タンパク以外に、魚類、魚卵、鶏卵、乳類、甲殻類、海藻、微生物藻類等のタンパクを用いてもよい。タンパクは、風味、食感、色等の点から、植物性タンパクが好ましい。タンパクは、これらのうち1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
食物繊維としては、例えば、エンドウ繊維、オーツ麦繊維、小麦ふすま、大豆繊維、馬鈴薯繊維、甲殻類の殻等が挙げられる。食物繊維は、風味やアレルゲン等の点から、エンドウ繊維、オーツ麦繊維が好ましい。食物繊維は、これらのうち1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
タンパクおよび食物繊維のうち少なくとも1つを含有する場合の含有量は、例えば、アマシードガム100質量%に対して、100質量%~1000質量%の範囲であり、好ましくは200質量%~800質量%の範囲である。タンパクおよび食物繊維のうち少なくとも1つの含有量がアマシードガム100質量%に対して100質量%未満であると、硬さ付与の効果が不十分である場合があり、1000質量%を超えると、硬くなり過ぎる場合がある。タンパクおよび食物繊維を併用する場合は、配合比は質量でタンパク1に対して食物繊維が0.5~5の範囲であり、好ましくは1~3の範囲である。
【0033】
本実施形態に係る脂肪様食品用添加剤は、アマシードガム、グルコマンナン、コンニャク粉、塩類、タンパク、食物繊維の他に、乳化剤、増粘剤、調味料、澱粉、デキストリン、糖類、香辛料、着色料、pH調整剤、酵素等の他の成分を含んでもよい。
【0034】
他の成分の含有量は、例えば、脂肪様食品用添加剤全体の質量に対して50質量%以下であり、好ましくは20質量%以下である。
【0035】
本実施形態に係る脂肪様食品用添加剤は、粉末の形態であってもよいし、粒状に造粒した顆粒の形態であってもよい。
【0036】
<脂肪様食品および脂肪様食品の作製方法>
本実施形態に係る脂肪様食品は、アマシードガムと、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、食用油と、水と、を含有する脂肪様食品であり、水と食用油とを分散させ、ゲル化させた食品である。本実施形態に係る脂肪様食品は、さらに、塩類を含有してもよい。本実施形態に係る脂肪様食品は、さらに、タンパクおよび食物繊維のうち少なくとも1つを含有してもよい。また、本実施形態に係る脂肪様食品は、上記脂肪様食品用添加剤と、食用油と、水と、を含有する脂肪様食品である。
【0037】
本実施形態に係る脂肪様食品の作製方法は、アマシードガムと、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、食用油と、水と、を用いる方法である。本実施形態に係る脂肪様食品の作製方法において、さらに、塩類を用いてもよい。本実施形態に係る脂肪様食品の作製方法において、さらに、タンパクおよび食物繊維のうち少なくとも1つを用いてもよい。
【0038】
本実施形態に係る脂肪様食品は、アマシードガムと、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと組み合わせて含有することによって、適度な硬さを有し、加圧加熱殺菌を行っても水と食用油とが分離しにくい。アマシードガムとグルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つとを用いることによって、加熱しなくても適度な硬さを有する脂肪様食品を得ることができる。
【0039】
食用油としては、食用の油であればよく、特に制限はないが、例えば、キャノーラ油、サフラワー油、ぶどう油、大豆油、ひまわり油、とうもろこし油、綿実油、ごま油、なたね油、こめ油、落花生油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、やし油、サラダ油、カカオ脂、アマニ油、あまし油、魚油、ゴマサラダ油、シソ油、ベニバナ油、米ぬか油、エゴマ油等が挙げられ、食す際の口中温度において融解状態となる油を使用することが好ましい。
【0040】
水としては、特に制限はないが、水道水、純水、軟水、硬水等が挙げられる。
【0041】
本実施形態に係る脂肪様食品において、食用油および水の合計量に対するアマシードガムの含有量は、例えば、0.5質量%~10質量%の範囲であり、1質量%~5質量%の範囲であることが好ましい。食用油および水の合計量に対するアマシードガムの含有量が0.5質量%未満であると、乳化されない場合があり、10質量%を超えると、最終食品にヌメリが生じる等、食感が悪くなる場合がある。
【0042】
本実施形態に係る脂肪様食品において、食用油と水の混合比は、質量比で、食用油:水=2:8~6:4の範囲であることが好ましく、4:6~5:5の範囲であることがより好ましい。この範囲外であると、乳化されない場合がある。タンパク等を含む場合は、食用油に対して水を多く(例えば、食用油:水=3:7程度)含んでもよい。
【0043】
本実施形態に係る脂肪様食品におけるグルコマンナン、コンニャク粉、塩類、タンパク、食物繊維の含有量は、上記の通りである。
【0044】
本実施形態に係る脂肪様食品は、アマシードガム、グルコマンナン、コンニャク粉、塩類、タンパク、食物繊維、食用油、水の他に、乳化剤、増粘剤、調味料、澱粉、デキストリン、糖類、香辛料、着色料、pH調整剤、酵素等の他の成分を含んでもよい。
【0045】
他の成分の含有量は、特に制限はないが、例えば、脂肪様食品の全質量に対して、10質量%以下である。
【0046】
本実施形態に係る脂肪様食品は、例えば、温度は特に規定はないが、作業性を考慮して室温(20℃±5℃)で食用油にアマシードガム、グルコマンナン、コンニャク粉、タンパク、食物繊維等を分散させた後、水を加えて撹拌し、必要に応じて塩類を加えることによって、または、水にアマシードガム、グルコマンナン、コンニャク粉、タンパク、食物繊維等を加えて撹拌し、食用油を加えて撹拌し、必要に応じて塩類を加えることによって、ゲル化して得ることができる。
【0047】
本実施形態に係る脂肪様食品は、気密性、遮光性等を有する容器で密封して加圧加熱殺菌を行い、いわゆるレトルト食品としてもよい。本実施形態に係る脂肪様食品は、加圧加熱殺菌を行っても水と食用油とが分離しにくい。
【0048】
<食品および食品の作製方法>
本実施形態に係る食品は、上記脂肪様食品を含む食品である。また、本実施形態に係る食品は、上記脂肪様食品用添加剤を含む食品である。
【0049】
本実施形態に係る食品の作製方法は、上記脂肪様食品を用いる方法である。また、本実施形態に係る食品の作製方法は、上記脂肪様食品用添加剤を用いる方法である。
【0050】
上記脂肪様食品を含む食品としては、上記脂肪様食品を含むものであればよく、特に制限はないが、上記脂肪様食品と植物性タンパク、魚類タンパク、魚卵タンパク、鶏卵タンパク、乳類タンパク、甲殻類タンパク、海藻タンパク、微生物藻類タンパク等のタンパクとを含む人工肉、人工魚介類、肉製品等が挙げられる。
【0051】
本実施形態に係る食品は、上記脂肪様食品の他に、一般的に食品に用いられる食品素材、食品添加物等を含んでもよい。
【0052】
人工肉は、植物性タンパク等に、上記脂肪様食品を加え、混合することによって得られる。人工肉は、食肉に近い食感を有する。
【0053】
人工肉としては、上記脂肪様食品と植物性タンパク等とを含む食品であればよく、特に制限はないが、例えば、ハンバーグ、パティ、ミートボール、ナゲット、つくね、ビーフジャーキー、ソーセージ、サラミ、フランクフルト、アメリカンドック、餃子、焼売、春巻き、肉饅頭、小龍包、メンチカツ、ミートパイ、ミートソース様食品、ラビオリ、ラザニア、ミートローフ、ロールキャベツ、ピーマンの肉詰めやその他種々のひき肉を使用した加工食品等が挙げられる。
【0054】
植物性タンパクは、上記と同様のものが挙げられる。
【0055】
人工肉は、上記脂肪様食品と、植物性タンパク等との他に、澱粉、加工澱粉、小麦粉、コーンフラワー、米粉、食物繊維、食塩、グルタミン酸ソーダ、グラニュー糖、ブドウ糖、酵母エキス、香辛料、香辛料抽出物、凍結解凍蒟蒻ミンチ、ローストオニオン、増粘多糖類、ココアパウダー、ビーツ粉末、卵白、乳タンパク、ゼラチン、コラーゲン等の他の成分を含んでもよい。
【0056】
食品における脂肪様食品の配合量は、例えば、食品全体の質量に対して、10質量%~60質量%の範囲であり、20質量%~50質量%の範囲であることり好ましい。食品全体の質量に対する脂肪様食品の配合量が10質量%未満であると、油感が出ず、食感が悪くなる場合があり、60質量%を超えると、成型性や食感が悪くなる場合がある。
【0057】
本実施形態に係る人工肉等の食品において、その他の成分の配合量は、各種食品の製造の常法に従えばよく、特に制限はない。
【0058】
本実施形態に係る食品は、上記脂肪様食品を用いて作製したものであり、食品の作製方法は、各種食品の製造の常法に従えばよく、特に制限はない。人工肉は、例えば、上記脂肪様食品を、植物性タンパク等と混合して、各種人工肉の製造の常法に従い作製すればよい。
【0059】
本実施形態に係る食品は、気密性、遮光性等を有する容器で密封して加圧加熱殺菌を行い、いわゆるレトルト食品としてもよい。本実施形態に係る食品は、加圧加熱殺菌を行っても水と食用油とが分離しにくい。
【実施例0060】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0061】
<実施例1~25>
[脂肪様食品の作製]
I.試験方法
(1)表1、表2に示す配合比(質量部)で、食用油にアマシードガムおよびグルコマンナンを分散させる。
(2)0~10℃の冷水を加え、さらに塩類(実施例2~25の場合)を加え、フードカッターを用いて3000rpmで状態変化がほとんどなくなるまで撹拌した後、乳化およびゲル化の有無、硬さを目視および手で触って確認する。乳化およびゲル化の有無、硬さは、下記基準で評価した。pHメーターによって、脂肪様食品のpHを測定する。
(3)レトルト袋に入れて真空処理後、レトルト処理(121℃で20分間加熱)を行う。
(4)0~10℃の水に30分間漬けて水冷した後、5℃で12時間以上冷蔵し、目視で分離の有無を確認する。
(5)上記未加熱の脂肪様食品について、-40℃で90分間急速冷凍した後、常温(20℃)で4時間解凍した際の、離油、離水の割合(固体率(%)=固体部分の質量/全体の質量)を測定した。
【0062】
(乳化およびゲル化)
〇:乳化またはゲル化が見られた
×:乳化またはゲル化は見られない
(硬さ)
6点:非常に硬い
5点:硬い
4点:やや硬い
3点:普通
2点:やや柔らかい
1点:柔らかい
【0063】
結果を表1、表2に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
実施例1~25で得られた脂肪様食品は、いずれも乳化およびゲル化が見られ、良好な硬さを有していた。実施例1~22で得られた脂肪様食品は、加圧加熱殺菌を行っても水と食用油との分離は見られなかった。塩類を添加することによって、より硬い脂肪様食品を得ることができた。塩類としては、脂肪様食品のpHが4~12の範囲となるような塩類を使用することが好ましいことがわかる。また、実施例1~25で得られた脂肪様食品は、いずれも冷凍耐性があり、中でも、塩類として、炭酸カリウム、酸性メタリン酸ナトリウム、海藻カルシウム、炭酸カルシウムとの併用は冷凍耐性向上効果が高かった。
【0067】
<比較例1~14>
表3、表4に示す配合比(質量部)で、実施例1と同様にして、脂肪様食品の作製を行った。結果を表3、表4に示す。
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】
比較例1~14では、乳化およびゲル化が見られないものがあり、乳化およびゲル化が見られたものでも、硬さが不十分であり、加圧加熱殺菌を行うと水と食用油との分離が見られたものもあった。
【0071】
<実施例26~48>
表5、表6に示す配合比(質量%)で、実施例1と同様にして、脂肪様食品の作製を行い、各種タンパクまたは食物繊維の効果を検討した。評価は、上記と同様の方法でレトルト加熱後の分離の有無を目視で確認した。また、加熱前の硬さを、下記基準で評価した。結果を表5、表6に示す。
【0072】
(硬さ)
6点:非常に硬い
5点:硬い
4点:やや硬い
3点:普通
2点:やや柔らかい
1点:柔らかい
【0073】
【表5】
【0074】
【表6】
【0075】
タンパクまたは食物繊維を添加することによって、より硬い脂肪様食品を得ることができた。
【0076】
以上のように、実施例では、適度な硬さを有し、加圧加熱殺菌を行っても水と食用油とが分離しにくい脂肪様食品を得ることができた。