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特開2023-85041ショーケース用昇降棚装置及びこれを備えたショーケース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085041
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】ショーケース用昇降棚装置及びこれを備えたショーケース
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/04 20060101AFI20230613BHJP
【FI】
A47F3/04 L
A47F3/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199497
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】722012006
【氏名又は名称】サンデン・リテールシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】大場 一実
(72)【発明者】
【氏名】木村 栄輝
(72)【発明者】
【氏名】臂 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】下田 勉
【テーマコード(参考)】
3B110
【Fターム(参考)】
3B110AA05
3B110CA10
(57)【要約】
【課題】商品を取り出す際の利用者の負担を低減可能な位置に、商品を確実に配置する。
【解決手段】ショーケース用昇降棚装置10は、上部が開放された箱型に形成されたケース本体2の内部に設けられ、底板11と、底板11から上方に延びる縦板12と、底板11の上方で且つ縦板12の側方に位置すると共に商品Pが載置される棚13と、棚高さ調整機構14と、を含む。棚高さ調整機構14は、底板11と棚13の間に圧縮状態で配置される弾性部材14aと、縦板12に固定されるレール14bと、レール14bに沿って移動可能にレール14bに係合すると共に縦板側縁部13cが固定されるスライダ14cと、を有し、弾性部材14aが商品積載荷重に応じて伸縮することによって、棚13の高さ位置を調整する。棚13は、ケース本体2、レール14b及び縦板12に対して離隔した状態で、スライダ14cを介して上下方向に移動可能に構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開放された箱型に形成されたケース本体を有し当該ケース本体の内部に複数の商品を冷却状態で収容するショーケースの前記ケース本体の内部に設けられ、
底板と、
前記底板から上方に延びる縦板と、
前記底板の上方で且つ前記縦板の側方に位置すると共に商品が載置される棚と、
前記棚の高さ位置を調整する棚高さ調整機構と、
を含み、
前記棚高さ調整機構は、
前記底板と前記棚の間に圧縮状態で配置される弾性部材と、
前記縦板に固定され上下方向に延びるレールと、
前記レールに沿って移動可能に当該レールに係合すると共に前記棚における縦板側縁部が固定されるスライダと、
を有し、前記弾性部材が商品積載荷重に応じて伸縮することによって、前記棚の高さ位置を調整し、
前記棚は、前記ケース本体、前記レール及び前記縦板に対して離隔した状態で、前記スライダを介して上下方向に移動可能に構成されている、ショーケース用昇降棚装置。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記底板と前記棚との間の領域のうちの縦板側の部分に設けられている、請求項1に記載のショーケース用昇降棚装置。
【請求項3】
前記棚の重心は、当該棚における縦板側の部分に設けられている、請求項1又は2に記載のショーケース用昇降棚装置。
【請求項4】
前記底板は、上方視で一方向に長い矩形状に形成され、
前記縦板は、前記底板における長手方向の中央部に設けられ、
前記棚及び前記棚高さ調整機構は、前記縦板の厚み方向の両側に設けられている、請求項1~3のいずれか一つに記載のショーケース用昇降棚装置。
【請求項5】
前記棚における前記ケース本体に相対する部分に設けられ、前記ケース本体に付着した異物を除去するための可撓性を有した除去部材を含む、請求項1~4のいずれか一つに記載のショーケース用昇降棚装置。
【請求項6】
前記棚は、前記レールに係合した前記スライダの上端面を上方から覆うカバー片を有する、請求項1~5のいずれか一つに記載のショーケース用昇降棚装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一つに記載のショーケース用昇降棚装置を内部に備えた、ショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部が開放されて冷蔵商品や冷凍商品などの商品を冷却しながら収容することのできるショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ショーケースの一例が記載されている。特許文献1に記載されたショーケースは、上部が開放された箱型に形成された断熱構造の断熱箱を有し、複数の商品を断熱箱の内箱の内部に冷却状態で収容している。そして、このショーケースでは、断熱箱の内箱の裏面には、冷媒循環用の冷却コイルが巻回されており、冷却コイルによって内箱を冷却することによって、断熱箱(内箱)の内部の空気を冷却し、冷気の自然対流によって断熱箱(内箱)の内部に収容された複数の商品を冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3―134466公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上部が開放された箱型の断熱箱の内部に複数の商品を収容したショーケースでは、断熱箱の底面が断熱箱の上部から下方へ深い位置にあるため、複数の商品がそのまま断熱箱の内部に収容され、利用者によって商品が次々に取り出されると、残りの商品が断熱箱における底面側に位置することになる。このため、利用者は断熱箱の底面側の商品を取り出す際には、腰を屈める必要がある場合があり、利用者に負担が掛かってしまうという課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、従来に比べて商品を取り出す際の利用者の負担を低減可能な位置に、商品を確実に配置することのできるショーケース用昇降棚装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によると、上部が開放された箱型に形成されたケース本体を有し当該ケース本体の内部に複数の商品を冷却状態で収容するショーケースの前記ケース本体の内部に設けられるショーケース用昇降棚装置が提供される。このショーケース用昇降棚装置は、底板と、前記底板から上方に延びる縦板と、前記底板の上方で且つ前記縦板の側方に位置すると共に商品が載置される棚を有し、当該棚の高さ位置を調整する棚高さ調整機構と、を含む。そして、このショーケースにおいて、前記棚高さ調整機構は、前記底板と前記棚の間に圧縮状態で配置される弾性部材と、前記縦板に固定され上下方向に延びるレールと、前記レールに沿って移動可能に当該レールに係合すると共に前記棚における縦板側縁部が固定されるスライダと、を有し、前記弾性部材が商品積載荷重に応じて伸縮することにより前記棚の高さ位置を調整し、前記棚は、前記ケース本体、前記レール及び前記縦板に対して離隔した状態で、前記スライダを介して上下方向に移動可能に構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、商品を取り出す際の利用者の負担を低減可能な位置に、商品を確実に配置することのできるショーケース用昇降棚装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るショーケース用昇降棚装置を内部に備えたショーケースの内部構成を示す図である。
図2】ショーケース用昇降棚装置の斜視図であり、昇降状態の一例を示す図である。
図3】ショーケース用昇降棚装置の側面図である。
図4】ショーケース用昇降棚装置の部分拡大斜視図である。
図5】ショーケース用昇降棚装置の別の部分拡大斜視図である。
図6】ショーケース用昇降棚装置の斜視図であり、昇降状態の別の例を示す図である。
図7】ショーケース用昇降棚装置の棚とレールとの隙間を説明するための部分拡大正面図である。
図8】ショーケース用昇降棚装置の変形例を模式的に示す要部正面図である。
図9】ショーケース用昇降棚装置の別の変形例を模式的に示す要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係るショーケース用昇降棚装置10を内部に備えたショーケース1の内部構成を示す図である。実施形態に係るショーケース1は、主にコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの小売店の店舗内に設置される、平形ショーケースである。
【0011】
図1を参照すると、ショーケース1は、上部が開放されたケース本体2を有している。ケース本体2は、矩形箱型に形成され、2つの短手外側面(第1短手外側面2a、第2短手外側面2b)と2つの長手外側面とを有する。換言すると、ケース本体2は上方視で一方向に長い矩形状に形成されている。ケース本体2の内部は、商品Pが陳列収容される収容室3を構成している。また、ケース本体2の上部の開口部には、上下一対の引き戸4,4が長手方向にスライド移動可能に取り付けられている。各引き戸4はガラスなどの透明部材と透明部材の周囲を囲むフレームを有し、収容室3の内部は上方から引き戸4越しに視認され得るようになっている。一対の引き戸4,4が長手方向に適宜にスライド移動されることによって、ケース本体の開口部が開閉されるようになっている。利用者は、引き戸4をスライド移動させてケース本体2の上部を開放することで、収容室3の内部の商品Pをケース本体2の上部の開口部から取り出すことができる。
【0012】
ケース本体2は、例えば、外箱21と内箱22とによる二重構造を有している。外箱21は、ショーケース1の外壁をなす部材である。内箱22は、外箱21の内側に当該外箱21と間隔を空けて配置される部材である。商品Pは内箱22の内部に収容される。
【0013】
外箱21と内箱22との間には、断熱部材23が充填されている。つまり、ケース本体2は、上部が開放された断熱構造を有した矩形箱型に形成されている。
【0014】
内箱22の底壁22aは、収容室3の底壁を構成している。内箱22の4つの縦壁22bは、収容室3の縦壁を構成している。内箱22の縦壁22bにおける外箱21側の面である内箱裏面には、冷却コイル24が全周に亘って巻回されている。つまり、冷却コイル24は、内箱22の裏面(内箱裏面)に接触し、上方視で内箱22の外周を取り囲むように巻かれている。冷却コイル24は、冷媒を循環させる部材であり、例えば、熱伝導性の高い例えば銅製のパイプ材からなる。
【0015】
ケース本体2の下方には、ケース本体2を支持するケース台5が設けられている。ケース台5の内部は、コンプレッサー、凝縮器、膨張弁等からなり、冷却コイル24と共に冷却回路を構成する冷凍機本体6が配置される機械室Mを構成している。冷却コイル24の一端は前記コンプレッサーの吸込口に接続され、冷却コイル24の他端は前記膨張弁の出口に接続されている。
【0016】
ショーケース1において、冷凍機本体6(前記コンプレッサー)が駆動されて、冷媒が冷却コイル24を通じて内箱22の裏面を周回するように流れると、低温になった冷却コイル24によって内箱22が冷却される。そして、内箱22が冷却されると、収容室3内(内箱22の内部)の空気は内箱22の内表面(収容室3側の面)と接触して冷却されつつ下降する。冷却された空気は、収容室3内の商品を冷却した後、温まって上昇する。温まった空気は内箱22の内表面に再び接触して冷却され、下降する。このようにして、収容室3、つまり、ケース本体2(内箱22)の内部では、冷気の自然対流が生じており、この冷気の自然対流によって、ケース本体2の内部の商品Pが冷却されている。つまり、上部が開放された箱型に形成されたケース本体2を有し、ケース本体2の内部に複数の商品Pを冷却状態で収容するショーケース1が構成されている。
【0017】
ケース本体2の内部(収容室3)には、底板11と、縦板12と、棚13と、棚13の高さ位置を調整する棚高さ調整機構14とを含むショーケース用昇降棚装置10が配置されている。本実施形態では、底板11と、縦板12と、棚13と、棚高さ調整機構14とがユニット化されており、これらの要素を含むショーケース用昇降棚装置(商品昇降ユニット)10がケース本体2の内部に配置されている。以下では、主に、ショーケース用昇降棚装置10について説明する。
【0018】
ショーケース用昇降棚装置10は、複数の商品Pが載置されると共に収容室3内における商品Pの高さ位置を調整するための昇降装置である。特に制限されるものではないが、本実施形態では、ショーケース用昇降棚装置10には、同一の種類の複数の商品Pが載置されており、商品Pは氷入りのカップであるものとする。
【0019】
図2は、ショーケース用昇降棚装置10の斜視図であり、ショーケース用昇降棚装置10の昇降状態の一例を示している。図3は、ショーケース用昇降棚装置10の側面図である。図3には、ケース本体2の一部も示されている。
【0020】
底板11は、ケース本体2の内部に設けられ、ケース本体2の基台となる部材である。底板11は、内箱22の底壁22a(収容室3の底壁)の上に配置され、例えば、ステンレス製薄板材からなる。
【0021】
本実施形態では、底板11は、上方視で一方向に長い矩形状に形成されている。ここでは、上方視で、底板11の長手方向はケース本体2の長手方向に一致しており、収容室3の底壁より僅かに小さい矩形状に形成されている。また、底板11における長手方向に延びる二つの縁部は下方に折り曲げられており、これら縁部以外の底板11の大半の部分と底壁22aとの間には、僅かな隙間が空けられている。また、底板11には、複数の貫通孔11aが開口されている。貫通孔11aにより、ショーケース用昇降棚装置10の軽量化を図ることができると共に、ショーケース用昇降棚装置10に落下した霜(氷)を底板11の下方に導くことができ、その結果、簡単にショーケース用昇降棚装置10をケース本体2の外に取り出すことができる。
【0022】
縦板12は、底板11から上方に延びる部材である。縦板12は、底板11の上面に対して垂直に設けられており、平面視で上下に長い矩形状に形成されている。縦板12は、例えば、ステンレス製薄板材からなる。縦板12の短手方向の長さは、底板11の短手方向の長さに合わせられている。縦板12の長手方向の長さ(換言すると、縦板12の高さ)は内箱22の高さより短い長さに設定されており、縦板12は底板11からケース本体2の上部の開口部の手前の所定高さ位置まで延在している。縦板12の長手方向に延びる両縁部における下部のそれぞれには、補強板12aが縦板12と一体に設けられており、補強板12aの下端は底板11に接続されている。一方の補強板12aと他方の補強板12aは底板11の長手方向について互いに逆向きに延びており、縦板12の倒れが確実に防止されている。
【0023】
本実施形態では、縦板12は、底板11における長手方向の中央部に設けられている。したがって、縦板12は、内箱22の4つの縦壁22bのうちの第1短手外側面2aに対応する縦壁22bと、内箱22の4つの縦壁22bのうちの第2短手外側面2bに対応する縦壁22bとの間において、これらの縦壁22bに対して平行な姿勢で相対している。そして、縦板12は、収容室3を2つの領域に仕切っている。
【0024】
棚13は、底板11の上方で且つ縦板12の側方に位置すると共に商品Pが載置される部材である。図1を参照すると、棚13の上には、複数の商品P(氷入りカップ)が複数段(二段)に載置されている。図2及び図3では、商品Pは図示を省略されている。なお、棚13の詳しい構成については、後に説明する。
【0025】
棚高さ調整機構14は、棚13の高さ位置を調整する機構である。棚高さ調整機構14は、後述する弾性部材14aが棚13に載置される商品Pの積載荷重(商品積載荷重)に応じて伸縮することによって、棚13の高さ位置を調整するようになっている。棚高さ調整機構14の詳しい構成については、後に説明する。
【0026】
本実施形態では、棚13及び棚高さ調整機構14は、縦板12の厚み方向の両側に設けられている。二つの棚13は、上方視で長手方向について縦板12から互いに逆方向に延びた姿勢で並設され、上方視で縦板12の短手方向の中央を中心とした点対称の関係で設けられている。二つの棚高さ調整機構14も同様に上方視で縦板12の短手方向の中央を中心とした点対称の関係で設けられている。そして、一方の棚13と他方の棚13は縦板12に対する設置箇所を除いて同一の構成を有し、一方の棚高さ調整機構14と他方の棚高さ調整機構14も縦板12に対する設置箇所を除いて同一の構成を有しており、一方の棚13及び棚高さ調整機構14と他方の棚13及び棚高さ調整機構14についての部品の共通化が図られている。
【0027】
図4及び図5はそれぞれショーケース用昇降棚装置10の部分拡大斜視図である。図4及び図5では、ショーケース用昇降棚装置10から一方の棚高さ調整機構14の一部(後述する弾性部材14a)と一方の棚13が取り外された状態が示されており、図5では、さらに後述するフランジ部14c3が取り外された状態が示されている。
【0028】
図1図5を参照すると、各棚13は、上方視でケース本体2の長手方向に長い矩形状に形成されている。各棚13は、例えば、ステンレス製薄板材に対して適宜に曲げ加工等を施すことによって形成されている。各棚13の長手方向の長さは、底板11の長手方向の長さの半分程度である。各棚13の短手方向の長さは、概ね底板11の短手方向の長さと一致している。
【0029】
各棚13は、例えば、載置部13aと長手補強部13bと縦板側縁部13cとからなり、これらの要素が一体に形成されている。載置部13aは、商品Pが載置される平坦な載置面を有する上方視でケース本体2の長手方向に長い矩形状の部分である。長手補強部13b(換言するとスカート部)は、棚13の長手方向についての強度を補強する部分であり、棚13における長手方向に延びる両縁部から下方(詳しくは真下)に延びるように形成されている。縦板側縁部13cは、棚13(載置部13a)における縦板12側の部分から下方に延びるように形成されている。縦板側縁部13cは、一対の縁部片13c1,13c1と中間片13c2とからなる。一対の縁部片13c1,13c1は、棚13における縦板12側の端部から下方に延び且つ互いに棚13の短手方向に離隔している。中間片13c2は、一対の縁部片13c1,13c1の間に位置し且つ縁部片13c1よりも縦板12から離れた位置で下方に延びている。縦板側縁部13cは、棚13の短手方向の強度を補強している。そして、載置部13aにおける縦板12と反対側の縁部は、棚13の自由端を構成し、当該縁部の下方には、補強が設けられていない。
【0030】
本実施形態では、各棚13の重心は、棚13における縦板12側の部分に設けられている。具体的には、各長手補強部13bは、図1及び図2に示されているように、平面視において縦板12と反対側で且つ下側の部分が大きく斜めに傾斜した台形状に形成されている。これにより、長手補強部13bの長手方向についての重心位置は、長手補強部13b(棚13)の長手方向の中央位置よりも縦板12に寄せられている。
【0031】
棚高さ調整機構14は、弾性部材14aと、レール14bと、スライダ14cと、を有している。そして、棚高さ調整機構14は、前述したように、弾性部材14aが商品積載荷重に応じて伸縮することによって、棚13の高さ位置を調整するように構成されている。換言すると、棚高さ調整機構14は、底板11、縦板12及び棚13と協働してショーケース用昇降棚装置10を構成している。
【0032】
弾性部材14aは、底板11と棚13の間に圧縮状態で配置される弾性を有する部材である。弾性部材14aは、例えば、圧縮コイルばねであり、圧縮された状態で棚13を上方に付勢する付勢力を発生させている。
【0033】
弾性部材14aの下部は、底板11の上面に固定される下ガイド板15aによりガイドされ、弾性部材14aの上部は、棚13(載置部13a)の下面に固定される上ガイド板15bによりガイドされる。具体的には、図1図3に示すように、各ガイド板(15a,15b)は、弾性部材14aのコイルの内側から弾性部材14aをガイドするように構成されている。各ガイド板(15a、15b)は、弾性部材14aのコイルの内径と同程度の長さを有している。下ガイド板15aは底板11の上面から上方に延び、上ガイド板15bは棚13の載置部13aの下面から下方に延びている。そして、下ガイド板15a及び上ガイド板15bは上方視で互いに直交するように配置されており、上方視における下ガイド板15aと上ガイド板15bの仮想の交点は弾性部材14aのコイルの巻き中心軸線上に位置している。なお、ここでは、下ガイド板15aは底板11の短手方向に延び、上ガイド板15bは棚13の長手方向に延びている。
【0034】
弾性部材14aは、底板11と棚13の間において、常時、圧縮された状態になるように構成されている。つまり、棚13に商品Pが載置されていない状態であっても、弾性部材14aは自由長まで伸長しておらず、自由長より所定長分だけ短い全長まで圧縮されて与圧された状態になっている。したがって、底板11と棚13の間に配置された状態における弾性部材14aの全長は、商品荷重によって圧縮されていない状態における弾性部材14aの全長(弾性部材14aの自由長)よりも短くなるように構成されている。
【0035】
具体的には、底板11と棚13との間には、ばね長さ規定部材16が設けられている。ばね長さ規定部材16は、例えば、チェーンである。ばね長さ規定部材16の一端は下ガイド板15aに接続され、長さ規定部材16の他端は上ガイド板15bに接続されている。ばね長さ規定部材16の長さは、棚13に商品Pが載置されていない状態であっても、弾性部材14aが自由長より所定長分だけ短い全長まで圧縮された状態になるように設定されている。図2及び図3に示すように、棚13に商品Pが載置されていない状態では、ばね長さ規定部材16は緩みなく下ガイド板15aから上ガイド板15bまで延在しており、この状態でも、弾性部材14aは圧縮されている。そして、図1に示すように、棚13に商品Pが載置されると、弾性部材14aは商品積載荷重に応じた圧縮量分だけさらに圧縮され、この状態で、ばね長さ規定部材16は緩むようになっている。
【0036】
本実施形態では、弾性部材14aは、底板11と棚13との間の領域のうちの縦板12側の部分に設けられている。したがって、弾性部材14aの中心軸線は、棚13(又は底板11)の長手方向の中央よりも縦板12側に位置している。具体的には、弾性部材14aは、底板11と棚13との間の領域において、当該弾性部材14aのコイルの縦板12側の部分が縦板12の壁面近傍に位置するように、配置されている。さらに、弾性部材14aは、例えば、当該弾性部材14aの中心軸線が棚13の重心(又は重心近傍)を通るように、配置されている。
【0037】
レール14bは、縦板12に固定され上下方向に延び、棚高さ調整機構14による棚13の高さ調整の際の棚13の上下方向の移動をガイドするための部材である。レール14bは、縦板12と反対側に開口した凹形状断面を有して縦板12に沿って縦板12の下端から上端まで延在している。レール14bは、縦板12に固定されると共に凹形状(凹部)の底壁をなす固定部14b1と、互いに間隔を空けて相対すると共に凹形状(凹部)の側壁をなす一対の側壁14b2,14b2とからなる。各側壁14b2の内側面には、R形状に凹んだローラガイド溝14b3が上下方向の全体に亘って形成されている。
【0038】
レール14bの固定部14b1には、レール14bを縦板12に固定するためのネジを挿通させるためのネジ挿通孔が開口されている。縦板12には、前記ネジ挿通孔に挿通されたネジが螺合するネジ螺合孔12b(図4及び図5参照)が開口されている。本実施形態では、前述したように、棚13及び棚高さ調整機構14は縦板12の厚み方向の両側に設けられており、棚高さ調整機構14のレール14bは、縦板12の板厚方向の両面にそれぞれ固定されている。但し、一方のレール14bと他方のレール14bは、上方視で縦板12の短手方向の中央を基準に互いに逆方向にシフトさせた位置に固定されている。
【0039】
スライダ14cは、レール14bに沿って移動可能にレール14bに係合すると共に棚13における縦板側縁部13c(中間片13c2)が固定される部材である。つまり、棚13の長手方向の一端部(縦板側縁部13c)がスライダ14cに支持されており、棚13はスライダ14cを介してレール14bに沿って上下方向に移動可能な状態で片持ち支持されている。
【0040】
具体的には、スライダ14cは、図4及び図5に示すように、互いに間隔を空けて相対する概ね矩形状の一対のスライダ板14c1,14c1と、一対のスライダ板14c1,14c1の間において回転可能に支持される4個のローラ14c2と、棚13の縦板側縁部13cの中間片13c2が固定されるフランジ部14c3とを有する。
【0041】
各スライダ板14c1は、平面視で、レール14bの長手方向に長い概ね矩形状に形成されている。一方のスライダ板14c1はレール14bの凹部内に位置して固定部14b1と間隔を空けて相対しており、他方のスライダ板14c1はレール14bの凹部外に位置している。
【0042】
各ローラ14c2の回転軸14c4はレール14bの凹部の深さ方向(換言すると、縦板12の板厚方向)に延びており、各回転軸14c4の一端は一方のスライダ板14c1に支持され、各回転軸14c4の他端は他方のスライダ板14c1に支持されている。ローラ14c2は、スライダ板14c1の4隅のそれぞれに設けられており、そのローラ外周部がスライダ板14c1の長手方向に延びる縁部よりも外方に突出している。ローラ14c2の外周部は、レール14bの側壁14b2に形成されたローラガイド溝14b3に入ってレール14bに係合されるようになっている。そして、スライダ14cは、各ローラ14c2がローラガイド溝14b3に係合すると共にローラガイド溝14b3に沿って転動することによって、レール14bに沿って移動可能にレール14bに係合するようになっている。
【0043】
フランジ部14c3は、図4及び図5(詳しくは図4参照)に示すように、スライダ14cの他方のスライダ板14c1にネジ14c5によって固定されている。フランジ部14c3は、平面視でレール幅方向に長い矩形状に形成されており、長手方向の両端部がそれぞれ、レール14bの側壁14b2よりも外側に張り出している。そして、フランジ部14c3が他方のスライダ板14c1に固定された状態において、レール14bの側壁14b2とフランジ部14c3との間には隙間が空くようになっている。
【0044】
棚13に商品Pが載置されず、ばね長さ規定部材16が緩みなく下ガイド板15aから上ガイド板15bまで延在している状態において(図2及び図3参照)、スライダ14cは、レール14bの上端部における凹部内に位置している(図4及び図5参照)。この状態において、棚13の高さ位置は収容室3において最上位置に位置しており、最上位置における棚13の上面の高さ位置と縦板12の上端面及びレール14bの上端面の高さ位置とが一致又は略一致している。
【0045】
図6はショーケース用昇降棚装置10の斜視図であり、昇降状態の別の例を示す図である。但し、図6では、商品Pは図示を省略されている。図2では、ショーケース用昇降棚装置10が棚13を最上位置に上昇させた状態が示されており、図6では、ショーケース用昇降棚装置が棚13を最上位置より低い商品積載荷重に応じた所定の高さ位置へ下降させた状態が示されている。
【0046】
本実施形態では、図2図4図6に示すように、棚13は、レール14bに係合したスライダ14cの上端面を上方から覆うカバー片13dを有する。具体的には、棚13の載置部13aにおける縦板12側の端部における中央部は、カバー片13dが形成されるように切り欠かれている。つまり、カバー片13dは、棚13と一体に形成されている。そして、カバー片13dは、上方視で、レール14bの凹部に進入可能な矩形状に形成されている。そして、カバー片13dは、棚13が最上位置に位置している状態(図2図4及び図5参照)では、例えば、レール14bの上端面よりも僅かに上方に位置しており、棚13が最上位置より下方に位置している状態(図6参照)では、レール14bの凹部内に進入している。そして、一方の棚13のカバー片13dと他方の棚13のカバー片13dは、載置部13aにおける対応するレール14bに合わせた位置に設けられている。
【0047】
以上のように構成されたショーケース1では、弾性部材14aが商品積載荷重に応じて伸縮し、商品が取り出されると、棚13が上昇し、商品が積載されると、棚13が下降する。したがって、最上段の商品P(詳しくは、最上段の商品Pの上部)は、ケース本体2の上部の開口部の近傍に位置している。その結果、利用者は腰を屈めることなく単に手を伸ばしてケース本体2の上部の開口部から容易に最上段の商品Pをショーケース1(収容室3、内箱22)の内部から取り出すことができ、商品取り出しの際の利用者の負担が従来よりも低減されている。
【0048】
ここで、ショーケース1のケース本体2(内箱22)の内部は冷却されているため、引き戸4,4が開かれて、外気がケース本体2の開口部を通じて収容室3に入ると、内箱22の内表面(収容室3側の面)に露や霜が生じ、これらが内箱22の内表面にそのまま付着した状態になるおそれがある。このような現象は、自然対流による冷却の場合に生じる可能性が高い。露や霜の付着は、ケース本体2の内部に収容されるショーケース用昇降棚装置10の表面においても生じ得る。したがって、棚13の商品積載荷重の応じた昇降移動が霜等によって阻害されるおそれがある。
【0049】
この点に対し、ショーケース1では、棚13は、ケース本体2、レール14b及び縦板12に対して離隔した状態で、スライダ14cを介して上下方向に移動可能に構成されている。図7は、棚13とレール14bとの隙間を説明するための部分拡大正面図である。
【0050】
つまり、棚13はケース本体2の内箱22の底壁22a及び4つの縦壁22bに対して離隔している(図1及び図3参照)。そして、棚13はレール14bに対しても離隔している(図4及び図5参照)。さらに、棚13は縦板12に対しても離隔している(図4図5及び図7参照)。
【0051】
次に、本実施形態におけるショーケース1の作用について説明する。
【0052】
ショーケース1では、棚13は、ケース本体2、レール14b及び縦板12に対して離隔した状態で、スライダ14cを介して上下方向に移動可能に構成されているため、上下に移動する可動部である棚13及びスライダ14cのうちのスライダ14cだけが、移動しない非可動部であるケース本体2、レール14b及び縦板12のうちのレール14bに係合して接触している。したがって、ショーケース1における上下に移動する可動部と非可動部との接触箇所が一箇所になるように構成されている。そして、棚13が商品積載荷重に応じて上下に移動(昇降)する際に、棚13は非可動部に対して接触せずに上下に移動できる。その結果、仮に、内箱22の内表面(収容室3側の面)やショーケース用昇降棚装置10のレール14bや縦板12に、露や霜が付着していたとしても、棚13の商品積載荷重の応じた昇降移動が霜等によって阻害されることを効果的に抑制することができる。ひいては、商品Pを取り出す際の利用者の負担を低減可能な位置に、商品Pを確実に配置することのできようになる。
【0053】
以上のように、本実施形態に係るショーケース1によれば、商品Pを取り出す際の利用者の負担を低減可能な位置に、商品Pを確実に配置することができる。
【0054】
また、ショーケース1のケース本体2の内部に、商品Pを昇降させるショーケース用昇降棚装置10が配置されるだけであり、ショーケース用昇降棚装置10の全体を囲むフレーム材を必要としないため、ケース本体2の内部の空間が商品Pを載置して収容するための空間として有効に利用され、商品Pの載置数、収容数を効果的に増大させることができる。
【0055】
本実施形態では、弾性部材14aは、底板11と棚13との間の領域のうちの縦板12側の部分に設けられている。これにより、棚13を片持ち支持する構造において、弾性部材14aが棚13の支持側に寄せて配置されることになり、棚13の昇降移動の安定化を図ることができる。
【0056】
本実施形態では、棚13の重心は、棚13における縦板12側の部分に設けられている。これにより、棚13を片持ち支持する構造において、棚13の昇降移動の安定化をより確実に図ることができる。つまり、片持ち支持構造において棚13に生じる棚13の支持側端部(スライダ14c)を中心とした回転モーメントの大きさが、棚13の重心が棚13の自由端側に寄っている場合における回転モーメントの大きさよりも小さくなる。その結果、スライダ14cとレール14bとの間の摺動抵抗が低減され、棚13の昇降移動の安定化がより確実に図られる。
【0057】
本実施形態では、棚13及び棚高さ調整機構14が縦板12の厚み方向の両側に設けられているため、一つの縦板12が一方の棚13の昇降用の部材と他方の棚13の昇降用の部材として兼用され、装置のコンパクト化及び低コスト化を図ることができる。また、店員等は、縦板12を片手で持ち上げるだけで、ショーケース用昇降棚装置10をショーケース1のケース本体2から取り出すことができる。なお、図示を省略するが、店員等による取り出し性の向上を図るために、取手(把手)が縦板12の上部に設けられてもよいし、指等を挿入可能な孔が縦板12に開口されていてもよい。
【0058】
本実施形態では、棚13は、スライダ14cの上端面を上方から覆うカバー片13dを有している。これにより、露や霜がスライダ14cの内部に入り込むことが抑制されると共に、異物等が可動部分に挟み込まれることが防止される。また、底板11に、複数の貫通孔が開口されているため、除霜の際などに発生する水の排水性が良くなる。
【0059】
なお、本実施形態では、可動部(棚13)とケース本体2(内箱22の縦壁22b)との接触を回避するようになっているが、これに限らず、ケース本体2の縦壁22bに積極的に接触する部分を設けてもよい。具体的には、図8に示すように、ショーケース1は、棚13におけるケース本体2に相対する部分の一部に設けられ、ケース本体2に付着した異物を除去するための可撓性を有した除去部材17を含んでもよい。除去部材17は、例えば、棚13におけるケース本体2の内箱22の縦壁22bに相対する3辺のそれぞれにおいて辺全体に亘って設けられている。除去部材17は、棚13に固定される固定部17aと、可撓性を有する複数の繊維材の束からなりブラシ部17bとからなり、ブラシ部17bの先端側の部分が縦壁22bに接触するように設けられている。これにより、店員等が商品Pを補充した際に、棚13が降下動作することで、ケース本体2(縦壁22b)に付着し得る露や霜等が除去部材17によって除去されると共に霜の成長が防止される。その結果、霜や氷等による棚13の上昇移動の妨げがなく、棚13の上昇移動の安定化がより確実に図られる。したがって、商品を取り出す際の利用者の負担を低減可能な位置に、商品Pをより確実に配置することができる。
【0060】
また、棚13における長手補強部(スカート部)13bは、真下に延びるように形成されているが、これに限らず、図9に示すように、下方に向かうにしたがって対応する縦壁22bから離れるように斜めに延びていてもよい。この場合、縦壁22bにおいて成長した霜や氷等によって、棚13の昇降移動が阻害されることがより確実に図られる。
【0061】
ケース本体2の内部に配置されるショーケース用昇降棚装置10は、一つに限らず、複数でもよい。この場合、複数のショーケース用昇降棚装置10をケース本体2の長手方向に並列して配置する。これにより、大型のショーケース1においても、本実施形態と同様の効果を奏することができる。具体的には、ショーケース用昇降棚装置10の長手方向をケース本体2の短手方向に向けて配置してもよいし、ショーケース用昇降棚装置10の長手方向をケース本体2の長手方向に向けて配置してもよい。大きな商品Pを載置することができる。
【0062】
商品Pは、氷入りカップに限らず、適宜の種類の商品Pが適用され得る。また、ショーケース1における商品Pの冷却方式は、自然対流式に限らない。ショーケース1は、送風機を備え、冷気をケース本体2(内箱22)の内部に強制的に循環させる強制対流式の冷却方式を採用してもよい。
【0063】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は、上述の実施形態や変形例に制限されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいてさらなる変形及び変更が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0064】
1…ショーケース、2…ケース本体、10…ショーケース用昇降棚装置、11…底板、12…縦板、13…棚、13c…縦板側縁部、13d…カバー片、14…棚高さ位置調整機構、14a…弾性部材、14b…レール、14c…スライダ、17…除去部材、P…商品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9