(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008505
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】自走式柱検査装置
(51)【国際特許分類】
B25J 5/00 20060101AFI20230112BHJP
E04G 23/02 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
B25J5/00 A
E04G23/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112122
(22)【出願日】2021-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 敏也
【テーマコード(参考)】
2E176
3C707
【Fターム(参考)】
2E176BB38
3C707AS14
3C707CS08
3C707ES03
3C707HS27
3C707HT11
3C707KT02
3C707KT04
3C707WA16
(57)【要約】
【課題】作業者の負担を軽減できる自走式柱検査装置を提供する。
【解決手段】自走式柱検査装置は、複数の車輪を有する駆動部と、車輪を介して地面から鉛直方向の上方に延びる柱に挟着する本体部と、柱を撮像する撮像装置と、を備え、本体部は、鉛直方向に延びる軸を中心に開閉自在なクランプ部と、クランプ部を開閉させる第1モータと、を備え、クランプ部は、軸から水平方向に延びる第1クランプ部と、第1クランプ部と対向する第2クランプ部と、を有し、第1クランプ部と第2クランプ部との間は、柱が配置される挟持空間であり、駆動部は、転動面の一部が挟持空間に配置されて柱の外周面に当接する複数の車輪と、柱に沿って車輪を鉛直方向に転動させる複数の第2モータと、を有し、車輪は、転動面の一部が第1クランプ部及び第2クランプ部よりも鉛直方向の下方に突出し、地面を転動可能となっている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車輪を有する駆動部と、
前記車輪を介して、地面から鉛直方向の上方に延びる柱に挟着する本体部と、
前記本体部に固定され、前記柱を撮像する撮像装置と、
を備え、
前記本体部は、
前記鉛直方向に延びる軸を中心に開閉自在なクランプ部と、
前記クランプ部を開閉させる第1モータと、
を備え、
前記クランプ部は、
前記軸から水平方向に延びる第1クランプ部と、
前記軸から水平方向に延び、かつ前記第1クランプ部と対向する第2クランプ部と、
を有し、
前記第1クランプ部と前記第2クランプ部との間は、前記柱が配置される挟持空間であり、
前記駆動部は、
前記第1クランプ部及び前記第2クランプ部に回転自在に支持され、かつ転動面の一部が前記挟持空間に配置されて前記柱の外周面に当接する複数の前記車輪と、
前記柱に沿って前記車輪を前記鉛直方向に転動させる複数の第2モータと、
を有し、
前記車輪は、前記転動面の一部が前記第1クランプ部及び前記第2クランプ部よりも前記鉛直方向の下方に突出し、前記地面を転動可能となっている
自走式柱検査装置。
【請求項2】
複数の前記車輪は、平面視で前記柱を中心に周方向に等間隔で配置されている
請求項1に記載の自走式柱検査装置。
【請求項3】
前記本体部は、前記クランプ部に固定される少なくとも1つ以上の補助輪を有し、
前記補助輪は、前記鉛直方向に延在する軸を中心に回動自在であり、
複数の前記車輪のうち少なくとも1つは、前記本体部よりも前記鉛直方向の下方に突出する突出量が他の前記車輪の突出量よりも小さい挟持専用車輪であり、
前記補助輪は、前記挟持専用車輪の近傍に配置されている
請求項1又は請求項2に記載の自走式柱検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走式柱検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
標識や配電線を支持する柱は、破損や腐食等がないか定期的に検査されている。柱の検査方法は、柱の外側からの目視による非破壊検査が一般的である。また、柱の上部を視認する際、作業者は梯子を利用する必要がある。よって、作業者の負担を軽減すべく、下記特許文献において、検査ロボットが提案されている。検査ロボットは、柱に抱着可能なクランプを有している。また、検査ロボットは、柱に沿って昇降可能となっている。さらに、検査装置は、柱の外観を撮像する撮像装置を有している。よって、作業者は、ロボットが撮像した画像を見て破損等の有無を判断すればよく、作業者の負担が軽減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献のロボットは、クランプで柱を抱着できる位置まで、ロボットを移動させる必要がある。検査ロボットは重く、ロボットを移動させる作業者の負担が大きい。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、作業者の負担を軽減できる自走式柱検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様に係る自走式柱検査装置は、複数の車輪を有する駆動部と、前記車輪を介して、地面から鉛直方向の上方に延びる柱に挟着する本体部と、前記本体部に固定され、前記柱を撮像する撮像装置と、を備える。前記本体部は、前記鉛直方向に延びる軸を中心に開閉自在なクランプ部と、前記クランプ部を開閉させる第1モータと、を備える。前記クランプ部は、前記軸から水平方向に延びる第1クランプ部と、前記軸から水平方向に延び、かつ前記第1クランプ部と対向する第2クランプ部と、を有する。前記第1クランプ部と前記第2クランプ部との間は、前記柱が配置される挟持空間である。前記駆動部は、前記第1クランプ部及び前記第2クランプ部に回転自在に支持され、かつ転動面の一部が前記挟持空間に配置されて前記柱の外周面に当接する複数の前記車輪と、前記柱に沿って前記車輪を前記鉛直方向に転動させる複数の第2モータと、を有する。前記車輪は、前記転動面の一部が前記第1クランプ部及び前記第2クランプ部よりも前記鉛直方向の下方に突出し、前記地面を転動可能となっている。
【0007】
自走式柱検査装置は、複数の車輪が地面を転動し、走行できる。よって、自走式柱検査装置は、作業者に搬送されることなく、自ら柱の近くまで移動することができる。また、クランプ部が開閉自在なため、車輪が地面に当接した状態で、自ら柱に挟着することができる。そして、車輪が柱を転動することで、自走式柱検査装置は、柱を登って柱の上部を撮像することができる。以上から、本開示の自走式柱検査装置によれば、作業者がクランプで柱を抱着できる位置まで運ぶ必要がない。
【0008】
上記の自走式柱検査装置の望ましい態様として、複数の前記車輪は、平面視で前記柱を中心に周方向に等間隔で配置されている。
【0009】
これによれば、柱をバランス良く挟着できる。よって、柱に挟着している状態での自走式柱検査装置の姿勢が安定する。このため、撮像装置によって撮像された画像は詳細となり、再度撮像し直すということが回避される。
【0010】
上記の自走式柱検査装置の望ましい態様として、前記本体部は、前記クランプ部に固定される少なくとも1つ以上の補助輪を有する。前記補助輪は、前記鉛直方向に延在する軸を中心に回動自在である。複数の前記車輪のうち少なくとも1つは、前記本体部よりも前記鉛直方向の下方に突出する突出量が他の前記車輪の突出量よりも小さい挟持専用車輪である。前記補助輪は、前記挟持専用車輪の近傍に配置されている。
【0011】
これによれば、自走式柱検査装置が挟持専用車輪を引きずりながら走行する、ということが回避される。また、補助輪があるため、クランプ部が地面に当接する可能性、言い換えると、自走式柱検査装置がクランプ部を引きずりながら走行する、ということも回避される。さらに、補助輪は転動する向きが変わるため、補助輪を引きずりながら走行する可能性が極めて小さい。よって、自走式柱検査装置の移動速度が向上する。
【発明の効果】
【0012】
本開示の自走式柱検査装置は、地面を走行し、自らクランプ部で柱を挟着できる位置まで移動する。よって、作業者の負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態の自走式柱検査装置の鉛直方向の上方から斜視した斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態の自走式柱検査装置の鉛直方向の上方から平面視した平面図である。
【
図5】
図5は、実施形態の自走式柱検査装置の走行を説明するための平面図である。
【
図6】
図6は、実施形態の自走式柱検査装置が柱に向かって地面を走行している状態の平面図である。
【
図7】
図7は、実施形態のクランプ部が開いた状態の平面図である。
【
図8】
図8は、実施形態の第1クランプ部と第2クランプ部との間に柱が配置された状態の平面図である。
【
図9】
図9は、実施形態のクランプ部が閉じ、柱に挟着した状態の平面図である。
【
図11】
図11は、実施形態の自走式柱検査装置が登っている状態を側方から視た図である。
【
図12】
図12は、変形例の自走式柱検出装置の平面図である。
【
図14】
図14は、変形例の自走式柱検出装置の直進を示す平面図である。
【
図15】
図15は、変形例の自走式柱検出装置の旋回を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0015】
(実施形態)
図1は、実施形態の自走式柱検査装置の鉛直方向の上方から斜視した斜視図である。
図2は、実施形態の自走式柱検査装置の鉛直方向の上方から平面視した平面図である。
図3は、
図1のIII-III線矢視断面図である。
図4は、
図1のIV-IV線矢視断面図である。
図5は、実施形態の自走式柱検査装置の走行を説明するための平面図である。
図6は、実施形態の自走式柱検査装置が柱に向かって地面を走行している状態の平面図である。
図7は、実施形態のクランプ部が開いた状態の平面図である。
図8は、実施形態の第1クランプ部と第2クランプ部との間に柱が配置された状態の平面図である。
図9は、実施形態のクランプ部が閉じ、柱に挟着した状態の平面図である。
図10は、
図9の自走式柱検査装置を側方から視た図である。
図11は、自走式柱検査装置が登っている状態を側方から視た図である。
【0016】
図1に示すように、自走式柱検査装置100は、本体部1と、複数の車輪21を有する駆動部2と、柱を撮像する撮像装置3と、制御部4と、バッテリ5とを備える。本体部1は、柱200に挟着するクランプ部10と、クランプ部10を開閉させる第1モータ11と、を備える。クランプ部10は、水平方向に延在する板状の部品である。
【0017】
図2に示すように、平面視した場合、クランプ部10の中央部には、鉛直方向に貫通する円形状の穴(以下、挟持空間S1と称する)が設けられている。この挟持空間S1は、検査対象となる柱200が配置される空間である。クランプ部10の内周面10aは、柱200の軸O1を中心とする円形状を成している。また、クランプ部10の内周面10aの径は、柱200の外径よりも大きい。よって、柱200への挟着時、クランプ部10の内周面10aは柱200の外周面を当接しないようになっている。
【0018】
クランプ部10は、平面視した場合、第1モータ11の軸O2からから右回り方向に延びる第1クランプ部12と、軸O2から左回り方向に延びる第2クランプ部13と、を有する。第1クランプ部12と第2クランプ部13とは、互いに水平方向に配置されて対向している。なお、第1クランプ部12の延在する方向の両端部のうち、軸O2が配置される方を基部12aと称し、反対側を先端部12bと称する。同様に、第2クランプ部13の延在する方向の両端部のうち、軸O2が配置される方を基部13aと称し、反対側を先端部13bと称する。
【0019】
図3に示すように、第1クランプ部12の基部12aは、第2クランプ部13の基部13aの上方に重ねられている。第1クランプ部12の基部12aには、鉛直方向に貫通する嵌合穴12cが設けられている。また、第2クランプ部13の基部13aには、鉛直方向に貫通する固定穴13cが設けられている。嵌合穴12c及び固定穴13cは、それぞれ、平面視で円形状を成している。また、嵌合穴12cは、固定穴13cよりも大径となっている。
【0020】
第1モータ11は、円柱状の本体部11aと、鉛直方向に延在する出力軸11bと、を備えている。第1モータ11は、本体部11aからみて出力軸11bが鉛直方向の下方を指すように配置されている。第1クランプ部12の嵌合穴12cに、第1モータ11の本体部11aが嵌合している。第2クランプ部13の固定穴13cに、出力軸11bが嵌合している。これにより、第1クランプ部12と第2クランプ部13は、第1モータ11を介して連結している。そして、第1モータ11が駆動すると、軸O2を中心に第2クランプ部13が回動し、クランプ部10が開閉する。なお、平面視した場合、
図2に示すように、クランプ部10の内周面10aが円弧状を成している場合を、クランプ部10の初期状態と称する。
【0021】
また、クランプ部10が初期状態の場合、第1クランプ部12の先端部12bと第2クランプ部13の先端部13bとの間には、隙間S2が設けられている。よって、初期状態からクランプ部10がさらに閉じるという動作を実施することができる。
【0022】
図2に示すように、クランプ部10の内周面10aは、第1クランプ部12の第1内周面12dと、第2クランプ部13の第2内周面13dと、から構成される。第1内周面12dと第2内周面13dとには、径方向外側に窪む車輪収容部14が4つ設けられている。車輪収容部14は、車輪21が収容される空間である。車輪収容部14は、軸O1を中心に等間隔で配置されている。つまり、第1クランプ部12及び第2クランプ部13に対し、2つずつ車輪収容部14が設けられている。この車輪収容部14は、平面視で、仮想経線L1に沿って窪んでいる。車輪収容部14は、鉛直方向の上方及び下方に開口している。
図4に示すように、第1クランプ部12及び第2クランプ部13は、車輪収容部14の近傍に内部収容空間15が設けられている。
【0023】
図4に示すように、駆動部2は、軸20と車輪21と第2モータ22とを備える。軸20と車輪21と第2モータ22は、車輪収容部14ごとに設けられている(
図2参照)。よって、駆動部2は、軸20と車輪21と第2モータ22を、それぞれを4つずつ備えている。
【0024】
図2に示すように、軸20は、平面視で、柱200の軸O1から径方向に延びる仮想経線L1に対し、直交するように延在している(仮想線L2を参照)。
図4に示すように、軸20の長さ方向の中央部は、車輪収容部14内に配置されている。そして、軸20の両端部は、車輪収容部14の側壁に回動自在に支持されている。車輪21の中央部は、車輪収容部14内に配置され、軸20に固定されている。第2モータ22は、第1クランプ部12及び第2クランプ部13の内部収容空間15内に配置されている。そして、第2モータ22の出力軸22aは、軸20と同軸状に配置されて軸20の端部と連結している。
【0025】
図2に示すように、車輪21は、転動面21aの一部がクランプ部10の内周面10a(第1クランプ部12の第1内周面12d及び第2クランプ部13の第2内周面13d)よりも径方向内側に突出している。また、クランプ部10の初期状態の場合、挟持空間S1に柱200が配置されると、車輪21の転動面21aは、柱200の外周面に当接するように配置されている。よって、クランプ部10が初期状態からさらに閉じるように動作すると、4つの車輪21がそれぞれ柱200の方に押し付けられる。これにより、クランプ部10は、車輪21を介して柱200に挟着するようになる。また、クランプ部10が柱200に挟着した状態で第2モータ22が駆動すると、車輪21が柱200の外周面を転動し、自走式柱検査装置100が柱200に沿って鉛直方向に移動する。
【0026】
また、
図4に示すように、車輪21は、転動面21aの一部がクランプ部10の下面10bよりも下方に突出している。よって、自走式柱検査装置100を地面に載置した場合、4つの車輪21の転動面21aは地面(
図4の仮想線L3を参照)に当接する。よって、第2モータ22が駆動すると車輪21が地面を転動し、自走式柱検査装置100が走行する。
【0027】
次に、自走式柱検査装置100の走行方法について説明するが、説明の都合上、
図5に示すように、4つの車輪21のうち、第1クランプ部12の先端部12b寄りに配置された車輪21を第1車輪21Aと称する。第1クランプ部12の基部12a寄りに配置された車輪21を第2車輪21Bと称する。第2クランプ部13の基部13a寄りに配置された車輪21を第3車輪21Cと称する。第2クランプ部の先端部13b寄りに配置された車輪21を第4車輪21Dと称する。また、クランプ部10の開閉状態が初期状態の場合、挟持空間S1の中央部から視て、第1車輪21Aが配置される方向を第1方向X1と称する。同様に、挟持空間S1の中央部から視て、第2車輪21Bが配置される方向を第2方向X2、第3車輪21Cが配置される方向を第3方向X3、第4車輪21Dが配置される方向を第4方向X4と称する。
【0028】
図5に示すように、第1方向X1又は第3方向X3に自走式柱検査装置100を移動させる場合、第1車輪21Aと第3車輪21Cを第1方向X1又は第3方向X3に転動させる。また、第2車輪21B及び第4車輪21Dは転動させない。これによれば、第2車輪21B及び第4車輪21Dが地面を擦りながら、自走式柱検査装置100が第1方向X1又は第3方向X3に走行する。一方で、第2方向X2又は第4方向X4に自走式柱検査装置100を移動させる場合、第2車輪21Bと第4車輪21Dを第2方向X2又は第4方向X4に転動させる。また、第1車輪21A及び第3車輪21Cは転動させない。これによれば、第1車輪21A及び第3車輪21Cが地面を擦りながら、自走式柱検査装置100が第2方向X2又は第4方向X4に走行する。このように自走式柱検査装置100は、自ら走行する機能を有している。よって、自走式柱検査装置100を移動させる他の装置を用意する必要がないし、作業者が自走式柱検査装置100を移動させる必要もない。なお、上記した走行方法は、主な走行方法であり、そのほかの走行方法も可能である。
【0029】
図1、
図2に示すように、撮像装置3は、第1クランプ部12の上面に設置された第1撮像装置31と、第2クランプ部13の上面に設置された第2撮像装置32と、を備えている。第1撮像装置31及び第2撮像装置32は、それぞれ挟持空間S1の方を向く撮像部(不図示)を有し、柱の外周面を撮像している。また、撮像装置3は、撮像したデータを記憶する記憶部を有している。よって、作業者は撮像データから柱200を検査することができる。
【0030】
制御部4は、第1クランプ部12の内部収容空間15(
図4参照)に格納されている。制御部4は、第1モータ11、第2モータ22、撮像装置3の動作を制御する装置である。本実施形態の制御部4は、衛星航法システム(以下、GPS(Global Position System)と称する)を有している。これにより、制御部4は、GPSから自走式柱検査装置100の位置を把握する。また、制御部4は、検査対象となる柱200が掲載された地図データを有している。なお、地図データには、柱200の高さ情報が含まれている。よって、自走式柱検査装置がどの程度柱を登ればいいのか把握することができる。制御部4は、自走式柱検査装置100の位置と検査対象となる柱200との位置を比較し、自走式柱検査装置100を柱200に向かって走行させたり、若しくは自走式柱検査装置100を柱200に挟着させたりするように制御している。バッテリ5は、撮像装置3、制御部4、第1モータ11、及び第2モータ22に電力を供給するものであり、第2クランプ部13の内部空間(不図示)に格納されている。
【0031】
次に、実施形態の自走式柱検査装置100の動作例を説明する。
図6に示すように、自走式柱検査装置100は、地面に載置された状態で起動する。クランプ部10の開閉状態は、初期状態となっている。本実施形態においては、自走式柱検査装置100に対し、第4方向X4に柱200が配置されている。よって、第2車輪21B及び第4車輪21Dが地面を転動し、自走式柱検査装置100は、第2車輪21B及び第4車輪21Dを引きずりながら、柱200に向かって走行する(
図6の矢印A1参照)。
【0032】
柱200に近くまで移動した場合、第2車輪21B及び第4車輪21Dの転動が停止し、第1モータ11が駆動する。
図7に示すように、第1モータ11の出力軸11bと連結する第2クランプ部13が第1クランプ部12と離隔するように移動し(
図7の矢印A2を参照)、クランプ部10が開いた状態となる。次に、第2車輪21Bと第3車輪21Cとが転動し、自走式柱検査装置100が柱200の方に走行する(
図7の矢印A3を参照)。この結果、
図8に示すように、第1クランプ部12と第2クランプ部13との間に柱200が配置される。
【0033】
次に、第1モータ11が駆動する。これにより、第2クランプ部13は、第1クランプ部12と近接するように移動する(
図8の矢印A4を参照)。これにより、
図9に示すように、クランプ部10が閉じた状態となり、各車輪21が柱200の外周面に当接する。また、クランプ部10が初期状態よりも閉じるように第1モータ11が駆動する。これにより、4つの車輪21が柱200の外周面に押し付けられ、クランプ部10が柱200に挟着する。
【0034】
次に、
図10に示すように、クランプ部10が柱200に挟着した状態で、撮像装置3は、柱200の外周面を撮像し始める。また、各第2モータ22が駆動し、車輪21のそれぞれが柱200の外周面を転動する。これにより、
図11に示すように、自走式柱検査装置100が柱200を登り始める(矢印A5を参照)。よって、撮像装置3による撮像個所は、柱200の根元部分から次第に上方となる。そして、所定の高さ上昇したら、撮像装置3は撮像を停止し、各車輪21が逆回転し、自走式柱検査装置100が柱200に沿って下降する。
【0035】
そして、各車輪21が地面に着いた場合に各車輪21が停止する。そして、第1モータ11が駆動し、クランプ部10が開いた状態となる。次に、第2車輪21Bと第3車輪21Cとが転動し、第1クランプ部12と第2クランプ部13との間に、柱200が配置されない状態となるように、自走式柱検査装置100が移動する。そして、第2車輪21Bと第3車輪21Cとが転動を停止し、その後、第1モータ11が駆動してクランプ部10が初期状態となる。そして、自走式柱検査装置100は、次の検査対象となる柱200に向かって走行する。自走式柱検査装置100は、次の検査対象の柱200の近くまで走行したら、上記したて順で同じ動作を行う。よって、実施形態の自走式柱検査装置100によれば、複数の柱200の外周面の撮像データを得ることができる。
【0036】
以上、実施形態の自走式柱検査装置100は、複数の車輪21を有する駆動部2と、車輪21を介して、地面から鉛直方向の上方に延びる柱200に挟着する本体部1と、本体部1に固定され、柱200を撮像する撮像装置3と、を備える。本体部1は、鉛直方向に延びる軸O2を中心に開閉自在なクランプ部10と、クランプ部10を開閉させる第1モータ11と、を備える。クランプ部10は、軸O2から水平方向に延びる第1クランプ部12と、軸O2から水平方向に延び、かつ第1クランプ部12と対向する第2クランプ部13と、を有する。第1クランプ部12と第2クランプ部13との間は、柱200が配置される挟持空間S1である。駆動部2は、第1クランプ部12及び第2クランプ部13に回転自在に支持され、かつ転動面21aの一部が挟持空間S1に配置されて柱200の外周面に当接する複数の車輪21と、柱200に沿って車輪21を鉛直方向に転動させる複数の第2モータ22と、を有する。車輪21は、転動面21aの一部が第1クランプ部12及び第2クランプ部13よりも鉛直方向の下方に突出し、地面を転動可能となっている。
【0037】
実施形態の自走式柱検査装置100は、自ら、クランプ部10で柱200に挟着できる位置まで移動する。よって、作業者が自走式柱検査装置100を柱200の近くまで移動させる、という作業が不要となり、作業者の負担が軽減される。
【0038】
また、実施形態の自走式柱検査装置100において、複数の車輪21は、平面視で柱200を中心に周方向に等間隔で配置されている。
【0039】
これによれば、柱200をバランス良く挟着でき、柱200に挟着している場合の自走式柱検査装置100の姿勢が安定する。よって、撮像装置3によって撮像された画像は詳細であり、再度撮像し直すということが回避される。
【0040】
(変形例)
図12は、変形例の自走式柱検出装置の平面図である。
図13は、XIII-XIII線矢視断面図である。
図14は、変形例の自走式柱検出装置の直進を示す平面図である。
図15は、変形例の自走式柱検出装置の旋回を示す平面図である。
【0041】
次に変形例の自走式柱検査装置100Aについて説明する。
図12に示すように、変形例の自走式柱検査装置100Aは、2つの補助輪40を備えている点で、実施形態の自走式柱検査装置100と相違する。
図13に示すように、変形例の自走式柱検査装置100Aは、第1車輪21Aと第3車輪21Cにおけるクランプ部10の下面10bからの突出量が、第2車輪21Bと第4車輪21Dよりも小さい点で、実施形態の自走式柱検査装置100と相違する。以下、相違点に絞って自走式柱検査装置100Aを説明する。
【0042】
2つの補助輪40は、第1車輪21A及び第3車輪21Cの近傍に配置されている。詳細には、
図12に示すように、2つの補助輪40は、第1車輪21A及び第3車輪21Cの外周側に配置される。
図13に示すように、補助輪40は、クランプ部10の下面10bの凹部16に設けられた車輪である。また、補助輪40は、支持部41に支持されている。支持部41は、鉛直方向に延在する軸O3を中心に回動自在にクランプ部10に固定されている。よって、補助輪40は、転動する向きが変わるようになっている。
【0043】
補助輪40は、クランプ部10の下面10bよりも下方に突出する突出量がH1となっている。軸20Aと軸20Bと軸20Cと軸20Dは、互いに同じ高さとなるように配置されている。第2車輪21Bと第4車輪21Dは、互いに同径である。第2車輪21Bと第4車輪21Dは、クランプ部10の下面10bよりも下方に突出する突出量がH2となっている。突出量H1は、突出量H2と同じである。一方で、第1車輪21Aと第3車輪21Cは、第2車輪21Bと第4車輪21Dよりも小径となっている。以上から、自走式柱検査装置100Aは、地面に載置された場合、第2車輪21Bと第4車輪21Dと2つの補助輪40とが地面に当接し、第1車輪21A及び第3車輪21Cは地面に当接しない。よって、自走式柱検査装置100Aが第1車輪21A及び第3車輪21Cを引きずりながら走行する、ということが回避される。また、補助輪40によりクランプ部10が地面に当接しない。つまり、自走式柱検査装置100Aがクランプ部10を引きずりながら走行する、ということも回避される。さらに、補助輪40は転動する向きが変わるため、自走式柱検査装置100Aが補助輪40を引きずりながら走行する可能性が極めて小さい。よって、自走式柱検査装置100Aの移動速度が向上する。
【0044】
なお、軸O1までの距離に関し、軸20Aと軸20Cは、軸20Bと軸20Dよりも近い。このため、第1車輪21Aと第3車輪21Cは、第2車輪21Bと第4車輪21Dよりも小径であるものの、柱200に挟着する際、第2車輪21Bと第4車輪21Dと共に柱200に当接する。つまり、第1車輪21Aと第3車輪21Cは、挟持専用車輪となっている。そして、上記した変形例であっても、柱200に挟着している場合の自走式柱検査装置100の姿勢が安定する。この結果、撮像装置3によって撮像された画像は詳細であり、再度撮像し直すということが回避される。
【0045】
つぎに、変形例の自走式柱検査装置100Aの走行方法について説明する。
図14に示すように、自走式柱検査装置100Aは、第2車輪21Bと第4車輪21Dとの転動により、第2方向X2又は第4方向X4に走行する。また、走行方向を変える場合、第1モータ11が駆動してクランプ部10の開閉状態を変える。例えば、
図15に示すように、第4方向X4に走行中、クランプ部10を閉じた場合、第4車輪21Dの向きが第1方向X1に傾く。よって、自走式柱検査装置100Aは、第1方向X1の方に旋回しつつ走行する(矢印B1参照)。逆に、クランプ部10を開いた場合、第4車輪21Dの向きが第3方向X3に傾く。よって、自走式柱検査装置100Aは、第3方向X3の方に旋回しつつ走行する(破線の矢印B2参照)。なお、上記した走行方法は代表的な方法であり、その他の方法によって走行してもよい。
【0046】
以上、変形例の自走式柱検査装置100Aの本体部1は、クランプ部10に固定される少なくとも1つ以上の補助輪40を有する。補助輪40は、鉛直方向に延在する軸O3を中心に回動自在である。複数の車輪21のうち少なくとも1つは、本体部1よりも鉛直方向の下方に突出する突出量H3が他の車輪の突出量H1、H2よりも小さい挟持専用車輪である。補助輪40は、挟持専用車輪の近傍に配置されている。
【0047】
変形例の自走式柱検査装置100Aによれば、移動速度が向上する。
【0048】
なお、上記した変形例において、第1車輪21Aと第3車輪21Cを地面に当接させないため、第1車輪21Aと第3車輪21Cを第2車輪21Bと第4車輪21Dよりも小径となっているが、本開示はこれに限定されない。例えば、第1車輪21Aと第3車輪21Cは、第2車輪21Bと第4車輪21Dと同径としつつ、軸20Aと軸20Cを、軸20Bと軸20Dよりも上方に配置してもよい。これによっても第1車輪21A及び第3車輪21Cの突出量H3は、第2車輪21B及び第4車輪21Dの突出量H2よりも小さくなる。よって、第1車輪21A及び第3車輪21Cは地面に当接しない。また、この例によれば、軸O1までの距離に関し、軸20A及び軸20Cと、軸20B及び軸20Dとは同じ距離に配置される。つまり、柱200に挟着する際、第1車輪21Aと第3車輪21Cは、柱200に挟着する際、第2車輪21Bと第4車輪21Dと共に柱200に当接する。よって、柱200に挟着している場合の自走式柱検査装置100の姿勢が安定する。
【0049】
以上、実施形態と変形例の自走式柱検出装置について説明したが、本開示の自走式柱検査装置はこれに限定されない。例えば、実施形態等では、車輪21を4つ備えているが、柱200に挟着するためには少なくとも3つ以上備えていればよい。よって、本開示の自走式柱検査装置は、3つや5以上であってもよい。また、車輪21は、柱200の軸O1を中心に周方向に等間隔で配置されていなくてもよい。また、撮像装置は、クランプ部10の上面に設置されたレールに沿って周方向に移動可能に設けられていてもよい。また、実施形態の自走式柱検出装置は、制御部4により各装置の動作が制御されているが、本開示は、作業者がリモート用コントローラを操作し、自走式柱検出装置が作業者の指示を受けて動作するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
100、100A 自走式柱検査装置
200 柱
1 本体部
2 駆動部
3 撮像装置
4 制御部
5 バッテリ
10 クランプ部
11 第1モータ
12 第1クランプ部
13 第2クランプ部
12a、13a 基部
12b、13b 先端部
14 車輪収容部
15 内部収容空間
20 軸
21 車輪
22 第2モータ
40 補助輪