(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085077
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】需要調整管理サーバ、需要調整管理方法、需要調整管理プログラム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/46 20180101AFI20230613BHJP
F24F 11/62 20180101ALI20230613BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20230613BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20230613BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20230613BHJP
G06Q 50/06 20120101ALI20230613BHJP
【FI】
F24F11/46
F24F11/62
H02J3/14 130
H02J3/00 130
H02J13/00 301A
H02J13/00 311T
G06Q50/06
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199562
(22)【出願日】2021-12-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520410769
【氏名又は名称】株式会社えきまちエナジークリエイト
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永瀬 優理
(72)【発明者】
【氏名】大塚 貴志
(72)【発明者】
【氏名】横濱 明
【テーマコード(参考)】
3L260
5G064
5G066
5L049
【Fターム(参考)】
3L260AA09
3L260BA41
3L260BA75
3L260CA12
3L260CA15
3L260CA32
3L260CB67
3L260EA01
3L260FA09
3L260GA16
3L260JA15
5G064AC08
5G064CB06
5G064CB21
5G064DA05
5G066AA02
5G066KA01
5G066KB01
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】地域全体で省エネルギーを実現するために、制御可能な最小単位のゾーン毎にエネルギー需要を調整する。
【解決手段】各街区におけるエネルギー需要を空調ゾーン単位でエネルギー需要を調整することで、DHCが省エネルギー性能を向上させるための地域全体での理想的な熱負荷が生成される。各街区の空調ゾーン毎に調整が可能なエネルギー需要に関する情報(例えば、熱量や温度)を街区の管理装置から受領し、個々の空調ゾーン毎にエネルギー需要を調整する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー供給プラントからエネルギーの供給を受ける複数の街区のエネルギー需要を調整するための需要調整管理サーバであって、
前記複数の街区の各々の中を、それぞれ負荷を制御可能な最小単位に分類して、当該最小単位の各々の負荷調整協力度合いに関する情報を前記複数の街区毎に記憶する記憶部と、
前記エネルギー供給プラントの理想負荷を推定して、前記複数の街区の各々の負荷時間変化情報と、前記記憶部に記憶された前記複数の街区毎の最小単位の各々の負荷調整協力度合いとに基づいて、前記複数の街区毎に前記最小単位の各々の目標負荷を演算する演算部と、
前記演算部の演算結果を、前記複数の街区各々のエネルギー需要を管理する管理装置へ送出する送出部と、
を有する需要調整管理サーバ。
【請求項2】
前記複数の街区の各々が、一棟の建物であり、前記負荷を制御可能な最小単位が、前記建物の各フロアに利用している複数のテナントが有する空調機器の空調ゾーンである、請求項1記載の需要調整管理サーバ。
【請求項3】
前記目標負荷を各最小単位で調整する空調設定温度情報に換算して、前記管理装置へ送出する、請求項1又は請求項2記載の需要調整管理サーバ。
【請求項4】
前記街区における各々の前記エネルギー需要の時間変化と前記街区のエネルギー需要の時間変化の実績とを取得する取得部をさらに有し、
前記エネルギー需要の時間変化と、前記街区のエネルギー需要の時間変化の実績との比較結果が許容範囲外の場合は、街区の各々の負荷時間の削減又は緩和を行い、前記演算部で再演算を実行する、請求項1~請求項3の何れか1項記載の需要調整管理サーバ。
【請求項5】
前記街区における各々の前記エネルギー需要の時間変化と前記街区のエネルギー需要の時間変化の実績とを取得する取得部をさらに有し、
前記エネルギー需要の時間変化と、前記街区のエネルギー需要の時間変化の実績との比較結果が許容範囲内の場合は、該当する街区に対して、達成度合いに応じた報酬を行う、請求項1~請求項3の何れか1項記載の需要調整管理サーバ。
【請求項6】
エネルギー供給プラントからエネルギーの供給を受ける複数の街区のエネルギー需要を調整するための需要調整管理方法であって、
前記複数の街区の各々の中を、それぞれ負荷を制御可能な最小単位に分類して、当該最小単位の各々の負荷調整協力度合いに関する情報を前記複数の街区毎に記憶し、
前記エネルギー供給プラントの理想負荷を推定して、前記複数の街区の各々の負荷時間変化情報と、記憶された前記複数の街区毎の最小単位の各々の負荷調整協力度合いとに基づいて、前記複数の街区毎に前記最小単位の各々の目標負荷を演算し、
演算結果を、前記複数の街区各々のエネルギー需要を管理する管理装置へ送出する、
需要調整管理方法。
【請求項7】
コンピュータを、
請求項1~請求項5の何れか1項記載の需要調整管理サーバとして動作させる、
需要調整管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、需要調整管理サーバ、需要調整管理方法、需要調整管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エネルギー需要の調整量を配分する方法が知られている。
【0003】
特許文献1には、電力系統における電力需要を調整する電力需要調整システムにおいて、需要家機器における電力需要の調整力と、前記需要家機器に対する調整制御の指令量と前記調整制御により行われた需要家機器の電力消費量に基づいて決定する指令応答性を表す評価量との相関を表す特性カーブに基づいて、前記電力需要の調整量を需要家機器毎又は複数の需要家機器を含む所定のグループ毎に配分する方法が記載されている。
【0004】
特許文献1では、調整制御要求に対する需要家機器の電力消費量の応答性に基づいて、電力需要の調整量を配分する。
【0005】
また、特許文献2には、複数の電気機器を有する需要家において、前記電気機器の電力制御単位となる制御区分毎に、当該制御区分に係る人数を示す環境情報を取得する環境情報取得手段と、前記制御区分の各々で削減可能な電力を需要削減量として算出する需要削減量算出手段と、前記制御区分各々の環境情報又は需要削減量を用いて、当該需要削減量の実施に伴う影響の大きさを示す影響指数を決定する影響指数決定手段と、前記影響指数に基づいて前記制御区分を組み合わせ、当該制御区分の各組により前記需要削減量の合計値を段階的に増加させた複数の需要削減プランを生成する需要削減プラン生成手段と、前記複数の需要削減プランのうち、外部装置により選択された需要削減プランに含まれる各制御区分の需要削減量に従って、当該制御区分に属する前記電気機器を制御する機器制御手段と、を備える電力需給調整装置が記載されている。
【0006】
この特許文献2では、制御区分に係る人数を考慮して需要削減量を算出する。
【0007】
さらに、特許文献3には、複数の熱源機器を備えた熱供給プラントと複数の空調設備を備えた熱需要家から構成されるエネルギーネットワークの運転制御方法であって、前記熱需要家の熱需要実績値に基づいて前記熱需要家の空調設備の空調設定温度を変更して前記熱供給プラントの熱源機器の運転台数もしくは各熱源機器の出力を制御することが記載されている。
【0008】
この特許文献3では、熱需要家の空調設備の空調設定温度を許容範囲内で変更して熱供給プラントの熱源機器の運転台数や各熱源機器の出力を制御することで消費エネルギーの低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2015-144498号公報
【特許文献2】特開2013-099141号公報
【特許文献3】特開2016-061541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の需要調整では、需要家単位の需要調整となるため、個々の需要家内において変動する需要に対する対応を考慮することは困難であった。例えば、需要家が管理する街区(例えば、建物)に複数の居室が存在し、各居室に独立した需要を要求するテナントが存在する場合、テナントによっては需要調整への対応が困難な場合があり、需要調整が適切に行われず、プラントの最適運転とならずプラントの運転効率を低下させてしまう可能性がある。なお、特許文献1は電力の需要調整で、機器毎に対応しており、特許文献2も電力の需要調整で、機器の制御区分毎に対応する。また、特許文献3は、熱の需要調整で、空調設備の設定温度調整を行うものである。
【0011】
本発明は、制御可能な最小単位のゾーン毎にエネルギー需要を調整することができる需要調整管理サーバ、需要調整管理方法、需要調整管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る需要調整管理サーバは、エネルギー供給プラントからエネルギーの供給を受ける複数の街区のエネルギー需要を調整するための需要調整管理サーバであって、前記複数の街区の各々の中を、それぞれ負荷を制御可能な最小単位に分類して、当該最小単位の各々の負荷調整協力度合いに関する情報を前記複数の街区毎に記憶する記憶部と、前記エネルギー供給プラントの理想負荷を推定して、前記複数の街区の各々の負荷時間変化情報と、前記記憶部に記憶された前記複数の街区毎の最小単位の各々の負荷調整協力度合いとに基づいて、前記複数の街区毎に前記最小単位の各々の目標負荷を演算する演算部と、前記演算部の演算結果を、前記複数の街区各々のエネルギー需要を管理する管理装置へ送出する送出部と、を有している。
【0013】
本発明によれば、記憶部に、複数の街区の各々の中を、それぞれ負荷を制御可能な最小単位に分類して、当該最小単位の各々の負荷調整協力度合いに関する情報を複数の街区毎に記憶する。演算部では、エネルギー供給プラントの理想負荷を推定して、複数の街区の各々の負荷時間変化情報と、記憶部に記憶された複数の街区毎の最小単位の各々の負荷調整協力度合いとに基づいて、複数の街区毎に前記最小単位の各々の目標負荷を演算する。送出部では、演算部の演算結果を、複数の街区各々のエネルギー需要を管理する管理装置へ送出する。
【0014】
これにより、制御可能な最小単位のゾーン毎にエネルギー需要を調整することができる。
【0015】
本発明において、前記複数の街区の各々が、一棟の建物であり、前記負荷を制御可能な最小単位が、前記建物の各フロアに利用している複数のテナントが有する空調機器の空調ゾーンであることを特徴としている。
【0016】
細部に亘って負荷の制御を行うことで、エネルギー供給プラントと街区を管理する責任者としての需要家との双方に有益な制御が可能となる。
【0017】
本発明において、前記目標負荷を各最小単位で調整する空調設定温度情報に換算して、前記管理装置へ送出することを特徴としている。
【0018】
各街区を管理する責任者としての需要家にとってユーザフレンドリな情報提供が実現できる。
【0019】
本発明において、前記負荷時間変化と前記街区のエネルギー需要の時間変化の実績とを取得する取得部をさらに有し、前記エネルギー需要の時間変化と、前記街区のエネルギー需要の時間変化の実績との比較結果が許容範囲外の場合は、街区の各々の負荷時間の削減又は緩和を行い、前記演算部で再演算を実行することを特徴としている。
【0020】
フィードバックによる目標負荷の補正が可能となる。
【0021】
本発明において、前記街区における各々の前記エネルギー需要の時間変化と前記街区のエネルギー需要の時間変化の実績とを取得する取得部をさらに有し、前記エネルギー需要の時間変化と、前記街区のエネルギー需要の時間変化の実績との比較結果が許容範囲内の場合は、該当する街区に対して、達成度合いに応じた報酬を行うことを特徴としている。
【0022】
街区を管理する責任者としての需要家の、目標負荷を達成する意識を拡大することができる。
【0023】
本発明に係る需要調整管理方法は、エネルギー供給プラントからエネルギーの供給を受ける複数の街区のエネルギー需要を調整するための需要調整管理方法であって、前記複数の街区の各々の中を、それぞれ負荷を制御可能な最小単位に分類して、当該最小単位の各々の負荷調整協力度合いに関する情報を前記複数の街区毎に記憶し、前記エネルギー供給プラントの理想負荷を推定して、前記複数の街区の各々の負荷時間と、記憶された前記複数の街区毎の最小単位の各々の負荷調整協力度合いとに基づいて、前記複数の街区毎に前記最小単位の各々の目標負荷を演算し、演算結果を、前記複数の街区各々のエネルギー需要を管理する管理装置へ送出する、ことを特徴としている。
本発明によれば、複数の街区の各々の中を、それぞれ負荷を制御可能な最小単位に分類して、当該最小単位の各々の負荷調整協力度合いに関する情報を複数の街区毎に記憶しておく。そして、エネルギー供給プラントの理想負荷を推定して、複数の街区の各々の負荷時間変化情報と、記憶された複数の街区毎の最小単位の各々の負荷調整協力度合いとに基づいて、複数の街区毎に最小単位の各々の目標負荷を演算する。この演算結果である目標負荷を、複数の街区各々のエネルギー需要を管理する管理装置へ送出する。
【0024】
これにより、制御可能な最小単位のゾーン毎にエネルギー需要を調整することができる。
【0025】
本発明に係る需要管理制御プログラムは、コンピュータを、請求項1~請求項5の何れか1項記載の需要調整管理サーバとして動作させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明では、制御可能な最小単位のゾーン毎にエネルギー需要を調整することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1の実施の形態に係る街区毎の空調のために消費されるエネルギーを調整する需要調整システムの全体構成図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る需要調整システムにおける制御可能最小単位を示す分布図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る記憶部に記憶されるゾーン管理テーブル情報を可視化した概念図である。
【
図4】第1の実施の形態に係る需要調整管理サーバで実行される制御を機能別に示した機能ブロック図である。
【
図5】第1の実施の形態に係る需要調整管理サーバにおいて実行される需要調整制御の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図5の需要調整制御における結果を監視するための制御フローチャートである。
【
図7】(A)~(C)は、街区18の一例である建物の所定のフロア74を示す側面図である。
【
図8】削減可能熱量の算定手法2におけるパターン2(空調機特性を考慮した演算(風量のみ)に適用される配管モデル図である。
【
図9】削減可能熱量の算定手法2におけるパターン3(空調機特性を考慮した演算(風量+エンタルピー)に適用される配管モデルに基づく空気線図である。
【
図10】第1の実施の形態に係る目標熱負荷演算例と、第2の実施の形態に係る削減熱負荷演算例とを比較した説明図である。
【
図11】変形例1に係る、1つの空調機器28で複数の空調ゾーンを持つ場合の需要調整システムにおける制御可能最小単位を示す分布図である。
【
図12】変形例2に係る、記憶部に記憶されるゾーン管理テーブル情報を可視化した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
「第1の実施の形態」
図1は、街区18毎の空調(負荷)のために消費されるエネルギーを調整する本発明の需要調整システム10の全体構成図である。なお、第1の実施の形態では、エネルギー需要として、熱需要を主体に説明するが、エネルギー需要としては、電力需要等、他のエネルギー需要でも適用可能である。
【0029】
需要調整システム10では、インターネット等のネットワーク12に接続された地域冷暖房プラント(以下、DHC「Direct Heating Cooling」という)14のコントロール部16が接続されている。DHC14は、本発明のエネルギー供給として機能する熱供給プラントである。
【0030】
DHC14は、街区18に建設されている建物の冷暖房、給湯等に必要な冷水や温水、蒸気(以下、総称する場合は、「エネルギー」という)を、一カ所でまとめて製造し、地域内の各街区18に供給する仕組みである。なお、DHC14でエネルギーを製造するための原料として、電気、及び燃焼性ガス(例えば、都市ガス)が適用可能である。
【0031】
ネットワーク12には、各街区18に設置された管理装置20(DR「Demand Response)が接続されており、DHC14のコントロール部16と通信することで、それぞれの街区18毎から要求されるエネルギーを、DHC14から供給するようになっている。
【0032】
また、ネットワーク12には、第1の実施の形態に係る需要調整管理サーバ22が接続されている。詳細に後述するが、需要調整管理サーバ22は、DHC14のコントロール部16と、各街区18との間で実行されるエネルギーの供給を監視し、必要十分な負荷に制御する役目を有する。
【0033】
図2に示される如く、街区18は、例えば、一棟又は複数棟の建物であり、各フロア24には、複数のテナント26が契約して入居している。空調機器28は、概ね一定間隔(一定面積の空調ゾーン)毎に、設定されており、結果として、各テナント26には、それぞれ1又は複数の空調機器28が設けられる。各空調機器28は、空調機能に依存する空調ゾーン30を有しており、当該空調ゾーン毎に検出した環境情報検出デバイス32の検出結果(温湿度等)に基づいて、独立して温度調整及び風量調整等が実行される。言い換えれば、第1の実施の形態では、この空調ゾーン30が、負荷(空調)を制御可能な最小単位に相当する。なお、
図1では、街区18内のフロア24及びテナント26の図示を省略し、負荷を制御可能な最小単位である空調ゾーン30のみを記載している。
【0034】
図1に示される如く、複数の空調ゾーン30は管理装置20に接続されている。管理装置20は、空調ゾーン30の環境情報検出デバイス32から検出情報を受け付けて、街区18内における各空調ゾーン30の負荷を監視する。
【0035】
また、空調ゾーン30の空調機器28は、管理装置20からの指示で空調制御が実行される。
【0036】
なお、第1の実施の形態では、1つの空調機器28が1つの空調ゾーンを持つようにしたが、1つの空調機器28で複数の空調ゾーンを持つことを否定するものではない(
図11に示す変形例1、及び
図12に示す変形例2参照)。
【0037】
ここで、管理装置20は、熱量の各日の時間変化の実績を、
図2に示す、街区18の識別番号Bn、フロア24の識別番号Fn、及びテナント26の識別番号Tnで識別される識別番号(nは正の整数)と共に需要調整管理サーバ22へ送信する。また、管理装置20は、空調制御情報として、需要調整管理サーバ22から目標負荷の時間変化等を受信する。
【0038】
需要調整管理サーバ22は、街区18の負荷の時間変化の実績に基づいて、プラントの負荷の時間変化を予測し、各街区18の末端である空調ゾーン30毎の需要調整条件(
図3に示すゾーン管理テーブル34参照)に従って調整すると共に、各街区18の負荷の時間変化を調整して得られた、街区18の目標負荷の時間変化を、各街区18の管理装置20へ送信する。
【0039】
(ゾーン管理テーブル34)
【0040】
図3に示される如く、ゾーン管理テーブル34は、需要家が管理する街区18に建設されている個々の建物の階数(フロア24)、利用者の名称(テナント26)、担当する空調機器(空調ゾーン30及び識別符号)、デマンドレスポンス(DR)に連携可能な度合い(DR連携レベル)、調整可能な温度範囲(温度調整可能幅)、通常設定温度より低い温度設定が可能な領域(クールゾーン)、冷房時に通常設定温度より高い温度設定が可能な領域(弱冷房ゾーン)、(削減可能熱量)の各々の情報が対応付けて登録される。
【0041】
DR連携レベルには、例えば、連携が高い方から低い方に向かう指標として、全面協力可能又は最優先を示す指標(A)、2番目に優先する指標(B)、3番目に優先する指標(C)、協力困難であることを示す指標(D)の何れかが登録される。また、DR連携レベルは、優先順位を示す指標であってもよい。
【0042】
以下に、空調ゾーン30別の削減可能熱量の算定手法(算定手法1、算定手法2)について説明する。
【0043】
(算定手法1)
算定手法1は、デマンドレスポンス(DR)前の空調熱量を把握しないで概算するものである。
【0044】
「手順1」 空調コイル流量を、過去実績あるいは現在値から把握する。
なお、計量できている場合は実測値、計量できていない場合は二方弁の開度からの演算で想定する。
【0045】
「手順2」 削減可能熱量を以下の式で直接演算する。
削減可能熱量=「手順1」の結果値×熱媒の温度差ΔT×ゾーン別負荷割合(VAV「可変風量制御装置」の仕様とVAV開度情報等(実測値)、あるいはVAV風量(実測値)より演算)×以下で説明する、算定手法2のパターン1で説明した単純概略温度差での削減割合
【0046】
(算定手法2)
算定手法2は、デマンドレスポンス(DR)前の空調熱量を把握して算定するものである。
【0047】
「手順1」 一旦、ゾーン別の空調熱量を把握する
過去実績(同様な気象条件の実績値を抽出したり、平均値を算出する場合もある。)あるいは現在値を把握する。
【0048】
「手順2」 特許文献2(段落番号0004参照)に基づき、空調ゾーンの室温設定を変更した場合の削減割合を以下のパターン1~パターン3の何れかの計算式で算定し、「手順1」で把握したゾーン別空調熱量に乗じて削減可能熱量を算出する。
【0049】
[パターン1の計算式(1)]単純温度差による計算
【0050】
【0051】
現状設定室温は、過去実績を採用する場合は、同様な気象条件の実績平均値等を適用する。
【0052】
「手順1」で得た、過去実績から想定した同様の気象条件でのある時刻の空調負荷が100Mであった場合における、パターン1の計算式(1)の計算結果は以下の通りである(計算式(2)参照)。
【0053】
【0054】
[パターン2の計算式(3)]空調機特性を考慮した計算
図8に示される如く、予め空調機やVAVの能力特性を外気温、室温設定でのそれぞれの状態の空調風量を算出した上で削減割合を算出、或いは直接風量削減割り合詠を算出して、その何れかを適用する。
【0055】
【0056】
なお、直接、削減割合を算出してもよい。
【0057】
「手順1」で得た、過去実績から想定した同様の気象条件でのある時刻の空調負荷が100MJであった場合における、パターン2の計算式(3)の計算結果は以下の通りである(計算式(4)参照)。
【0058】
【0059】
[パターン3の計算式(5)]空調機特性を考慮した計算(風量+エンタルピー)
図9に示される如く、予め空調機やVAVの能力特性で外気温、室温設定、空調風量でのそれぞれの状態の冷却コイル負荷を算出した上で削減割合を算出する。
【0060】
【0061】
「手順1」で得た、過去実績から想定した同様の気象条件でのある時刻の空調負荷が100Mであった場合における、パターン3の計算式(5)の計算結果は以下の通りである(計算式(6)参照)。
【0062】
【0063】
なお、ゾーン管理テーブル34は街区18を管理する需要家側の要求によって逐次更新可能になっている。
【0064】
ゾーン管理テーブル34は上記のように街区18を管理する需要家の要求によって作成する以外に、空調ゾーン30の用途・種類別に分類しDR連携レベルを設定して自主的に作成してもよい。
【0065】
(需要調整管理サーバ22の機能)
【0066】
図4は、第1の実施の形態に係る需要調整管理サーバ22で実行される制御を機能別に示した機能ブロック図である。なお、各ブロックは需要調整管理サーバ22のハード構成を示すものではなく、一部又は全部を空調管理制御プログラムによって動作させるようにしてもよい。
【0067】
需要調整管理サーバ22は、演算部36と、通信部38と、記憶部40とを備えている。
【0068】
(主制御機能)
【0069】
演算部36は、DHC運転情報取得部50を備え、DHC14のコントロール部16(
図1参照)からDHCの運転情報を取得する。運転情報は、DHC理想負荷推定部52に送出される。DHC理想負荷推定部52では、制御前日の内に、例えば、DHC14において、少量の負荷削減で高効率運転が可能となる時間帯及び熱量を計算する。
【0070】
DHC理想負荷推定部52は、街区負荷時間変化予測部54に接続されており、計算結果を街区負荷時間変化予測部54へ送出する。
【0071】
また、街区負荷時間変化予測部54は、記憶部40に記憶されたゾーン管理テーブル34(
図3参照)の情報を取得する。
【0072】
ここで、街区負荷時間変化予測部54は、DHC理想負荷推定部52の計算結果に基づいて、街区18毎の負荷時間変化(例えば、各時刻毎の負荷)を予測する。
【0073】
DHC理想負荷推定部52は、空調ゾーン目標負荷演算部56に接続されており、予測した街区18毎の負荷時間変化情報を、空調ゾーン目標負荷演算部56に送出する。
【0074】
空調ゾーン目標負荷演算部56では、最小制御単位である空調ゾーン毎の目標負荷を演算し、空調ゾーン目標温度換算部58へ送出する。
【0075】
空調ゾーン目標温度換算部58では、記憶部40からエネルギー・温度換算テーブル60の情報を読み出し、目標負荷を目標温度に換算する。
【0076】
空調ゾーン目標温度換算部58は、目標温度送出部62、通信部38を介して、各街区18の管理装置20へ適宜送出する。空調ゾーン目標温度換算部58での負荷から温度への換算は、街区18の管理装置20のオペレータは、受信した負荷で運転するための温度換算処理が不要となり、オペレーティング操作性が向上する。
【0077】
(補正、報酬制御機能)
【0078】
また、通信部38には、負荷実績取得部64が接続され、各街区18の負荷実績情報を取得し、比較部66へ送出する。比較部66は、前述の空調ゾーン目標負荷演算部56から演算結果を取得し、負荷の実績と目標とを比較し、比較結果を判定部68へ送出する。
【0079】
判定部68では、負荷の実績と目標との誤差に基づいて、DHC14の理想負荷での運転が成功したか否か(例えば、誤差±5%以内か否か)を判断する。
【0080】
判定部68の判定結果が、「成功」である場合は、報酬処理部70へ通知して、成功報酬ロジックを実行させ、成功に貢献した街区18を管理する需要家に対して報酬を行う。
【0081】
判定部68の判定結果が、「失敗」である場合は、空調ゾーン目標負荷演算部56に対して、再演算を指示する。例えば、DHC14からのさらなる削減又は緩和要求を発信して。その要求を満足するように、制御対象機器の追加又は削減を実行する。
【0082】
(需要調整条件更新制御機能)
【0083】
また、通信部38には、需要調整条件編集部72が接続されている。需要調整条件編集部72では、各街区18から、予め設定していたゾーン管理テーブルの各項目の編集(削除、追加、変更、書換等)に関する情報を受信すると、記憶部40に記憶されたゾーン管理テーブル34の編集を実行する。
【0084】
以下に、第1の実施の形態の作用を、
図5及び
図6のフローチャートに従い説明する。
【0085】
図5は、第1の実施の形態に係る需要調整管理サーバ22において実行される需要調整制御の流れを示すフローチャートである。
【0086】
ステップ100では、DHC14の運転情報を取得し、次いで、ステップ102へ移行してDHC14の理想負荷(例えば、少量の熱負荷削減で高効率運転が可能な時間帯や熱量等)を推定して、ステップ104へ移行する。
【0087】
ステップ104では、街区18毎の負荷時間変化を予測し、次いで、ステップ106へ移行して、記憶部40に記憶されたゾーン管理テーブル34に基づき、調整情報を取得する。
【0088】
ゾーン管理テーブル34では、街区18、フロア24、テナント26、空調ゾーン30に細分化され、空調ゾーン30のそれぞれにおいて、DR連携レベル、温度調整可能幅、クールゾーン、弱冷房ゾーン、削減可能熱量の各々の情報が対応付けて登録されている。このため、制御可能な最小単位である空調ゾーン30毎の調整が可能となる。
【0089】
次のステップ108では、調整情報に基づいて、各街区18の空調ゾーン30毎の目標負荷を演算し、ステップ110へ移行する。
【0090】
ステップ110では、記憶部40のエネルギー・温度換算テーブル格納部60に格納されたエネルギー・温度換算テーブルを読み出し、次いで、ステップ112へ移行して、空調ゾーン30毎の目標エネルギーを目標温度に換算し、ステップ114へ移行する。
【0091】
ステップ114では、各街区18の管理装置20へ空調ゾーン30毎の目標温度を送出し、このルーチンは終了する。
【実施例0092】
以下、
図5のフローチャートに基づく、第1の実施の形態における、より具体的な動作の実施例(実施例1)を示す。なお、以下の実施例1では、目的、作用及び効果に影響のない範囲で、
図5のフローチャートの処理シーケンス(ステップ毎の処理手順)が前後する場合がある。
【0093】
(翌日の負荷予測)
【0094】
街区負荷時間変化予測部54は、各街区18について、蓄積した当該街区18の負荷の時間変化の実績に基づいて、当該街区18の翌日の負荷の時間変化を予測する。具体的には、気象情報、街区18に建設されている建物情報、過去実績、イベント情報、街の未利用エネルギー量に基づいて、街区群全体での負荷の時間変化を予測する。このとき、街区18別に予測したものを合計する。
【0095】
(理想的な負荷の時間変化推定)
【0096】
DHC理想負荷推定部52は、各街区18について予測した負荷の時間変化に基づいて、DHC14の負荷の時間変化を予測し、DHC14の運転を最適化するように、予測されたDHC14の負荷の時間変化を調整することにより、DHC14の理想的な負荷の時間変化を計算する。具体的には、稼働する熱源機器の効率、運転効率の変動、契約エネルギー量、ピークカットに基づいて、予測された、街区18全体での負荷の時間変化を削減するように調整した、理想的な負荷の時間変化を生成する。
【0097】
例えば、以下の着眼点を考慮して、理想的な負荷の時間変化を生成する。
(着眼点1) 運転台数低減による省エネ(効率が劣後する熱源機器を停止する等)
(着眼点2) 部分負荷効率を考慮した高効率運転による省エネ(例:直送INV ターボ冷凍機は、部分負荷運転の方が高効率)
(着眼点3) 蓄熱放熱のみによる省エネ(追いかけ運転なし)
(着眼点4) 未利用エネルギー量を考慮した省エネ(CGS(コージェネレーションシステム)、廃熱、太陽熱、下水熱、バイオ熱等)
(着眼点5) ピークカット、負荷平準化による契約電力、契約ガス最大流量削減による経済性向上
(着眼点6) ガス負荷率改善による経済性向上
【0098】
理想的な負荷の時間変化を生成する際には、上記着眼点から直接的に削減する負荷熱量を算定(t1時~t2時まで、αMJ/h)する。また、想定負荷から削減負荷を差し引いて理想的な負荷を作成する。
【0099】
(各街区の需要調整条件を取得)
【0100】
図3に示される如く、需要調整条件は、ゾーン管理テーブル34として記憶部40に記憶されている。
【0101】
需要調整条件は、負荷等の需要の調整に関する条件であり、少なくとも需要調整の実行の可否、そして需要調整が可能な場合はそのエネルギー量に関する情報を含む。需要調整条件は、各街区18のゾーン毎の情報を含んだゾーン管理テーブル34によって事前に設定可能である。
【0102】
すなわち、需要調整条件編集部72は、記憶部40に記憶された各街区18のゾーン管理テーブル34を読み取ることで、各街区18における需要調整条件を取得し、編集が実行される。
【0103】
(空調ゾーンの目標負荷を演算)
【0104】
空調ゾーン目標負荷演算部56は、各街区18について、蓄積した当該街区18の負荷の時間変化の実績、及び各街区18の需要調整条件に基づいて、デマンド要請時間帯における当該街区18の翌日の負荷の時間変化を予測する。
【0105】
具体的には、推定した理想的な負荷の時間変化を満足するように、街区18毎に調整可能な負荷の時間変化を演算する。
【0106】
例えば、理想全体負荷に対して、各街区18の翌日想定負荷量が大きい場合、その増分を需要調整量として定め、各街区18の需要調整条件に従って調整する。
【0107】
具体的には、各街区18のゾーン管理テーブル(
図3)を参照して、DR連携レベルが示す連携が高い空調ゾーン30の削減可能熱量を削減可能熱量の候補として設定し、理想的な負荷の時間変化を満足するまで、DR連携レベルを低下させて候補を設定する。
【0108】
上記削減可能熱量と温度調整可能幅とは対応関係にあり、削減可能熱量と温度調整可能幅との対応関係をエネルギー温度変換モジュールとして記憶しておくことが可能である。このエネルギー・温度換算テーブル60を用いることで、目標負荷から目標温度への換算が可能となる。
【0109】
(街区18側で目標負荷を基にした設備運転計画の立案を支援)
【0110】
目標温度送出部62は、街区18毎に、当該街区18に設定された負荷の時間変化、すなわちゾーン単位の目標負荷として温度調整幅、および評価対象時間帯を送出する。
【0111】
(管理装置20によるDR要請の実行)
【0112】
空調計画を運用する際には、管理装置20にて、前述した運転計画に基づき、運用を実施する。
【0113】
また、街区18の利用者に対して、運転計画を周知する。
(周知例1) 業務施設の場合、街区18の利用者ポータルサイト、アプリ、館内放送、デジタルサイネージ等で連絡する。
(周知例2) 商業施設の場合、館内のデジタルサイネージで表示、館内放送、館内wifi+アプリケーションで通知する。
(周知例3) 集合住宅の場合、居住者専用アプリで通知する。
【0114】
ここで、リアルタイムで現在の負荷と、提示された負荷とを比較し、比較結果を提示する。例えば、管理しやすい見える化ツールを活用してもよい。具体的には、各街区18内で現在の負荷が依頼された負荷と比較してどうなっているかリアルタイムで確認する。他の街区18の様子も見ることができ、他の街区18がオーバーしている分を減らすなどの融通も可能とする。
【0115】
図6は、
図5の需要調整制御ルーチンの処理における結果を監視するための制御フローチャートである。
【0116】
ステップ150では、各街区18の目標負荷を取得し、次いで、ステップ152へ移行して各街区18の負荷実績を取得して、ステップ154へ移行する。
【0117】
ステップ154では、目標と実績との負荷調整状態を比較する。
【0118】
次のステップ156では、ステップ154での比較結果において、許容範囲内か否かを判断する。例えば、目標と実績との誤差が±5%以内とすればよいが、この許容範囲の数値は限定されるものではない。例えば、街区18毎(究極には、空調ゾーン30毎)に許容範囲を異ならせてもよい。また、プラス側誤差とマイナス側誤差とに差を持たせてもよい。
【0119】
ステップ156で肯定判定、すなわち、目標と実績との誤差が許容範囲内であると判定された場合は、ステップ158へ移行して、予め定めた報酬処理を実行し、このルーチンは終了する。
【0120】
また、ステップ156で否定判定、すなわち、目標と実績との誤差が許容範囲外であると判定された場合は、ステップ160へ移行して、調整条件(
図3参照)に基づき、目標負荷を再度演算し、ステップ162へ移行する。
【0121】
ステップ162では、目標負荷が変更された街区18に、再度、演算した目標負荷(目標温度)を送出し、このルーチンは終了する。
空調ゾーン目標負荷演算部56は、各街区18の負荷の時間変化の実績、及び各街区18の需要調整条件に基づいて、理想的な負荷の時間変化を満足するように、街区18毎に調整可能な負荷の時間変化を再度演算し、演算された街区18毎の空調ゾーン30別の負荷を、新たな目標負荷とする。
報酬処理部70は、上記の街区18予測負荷と負荷実績の製造コストの差分の正負判定を行い、正であった場合、各街区18について、一日における目標の負荷の時間変化と、一日における負荷の時間変化の実績とを比較して、各時刻における差分の平均値を計算する。
第1の実施の形態によれば、DHC14が最適運転となるような熱需要を、各街区18毎に設定された制御可能な最小単位である空調ゾーン30毎に調整することで、空調環境を適切に維持した状態で、デマンドレスポンスの成功率が向上する。
なお、一対のコイル78Bにおいて、熱量計が設置されている場合は、その熱量を把握し、熱量計が設置されていない場合は、二方弁82の開度から流量を想定し、熱媒の往環の温度差を乗じて、熱量を演算する。
また、天井部84Aには、居室84の雰囲気を回収する2個の環気口88が設けられ、空調機械室76の排気ファン80の駆動によって、排気される(一部は、居室84へ戻される場合がある。)。
上記構成の居室84では、当該居室84が単一の空調ゾーン30A(点線枠)となり、点線枠の空調ゾーン30Aに対して、空調機78の温度設定、熱量制御等が実行される。
また、熱量の認識においても同様であり、一対のコイル78Bにおいて、熱量計が設置されている場合は、その熱量を把握し、熱量計が設置されていない場合は、二方弁82の開度から流量を想定し、熱媒の往環の温度差を乗じて、熱量を演算する。
空調ゾーン例2では、空調ゾーン30B1、30B2毎の熱量の求め方として、空調機78の全体の熱量(認識手順は上述)を、各VANユニット90の仕様(定格風量等)や、運転状態(VAVの実測風量)あるいは運転設定値(VAVの開度情報、ゾーン別の室温設定値等)を用いて、ゾーン別熱負荷割合を算定して按分すればよい。
一対のコイル98において、熱量計が設置されている場合は、その熱量を把握し、熱量計が設置されていない場合は、二方弁99の開度から流量を想定し、熱媒の往環の温度差を乗じて、熱量を演算する。
この空調ゾーン例3では、明確な区画とはならず、一部が重複するが、ファインコイルユニット92、94毎で空調ゾーン30C1、30C2が設定される(居室84内にパーテーション等を設置すれば、空調ゾーン30C1,30C2は明確に区画可能である。
目標熱負荷演算例(第1の実施の形態)では、具体的には、「目標熱負荷=各ゾーンの通常熱負荷想定-地域全体の削減熱負荷を各ゾーンに按分したもの」と想定し、各ゾーンの目標設定温度を演算する。
これに対して、削減熱負荷演算例(第2の実施の形態)では、予め、各ゾーンの標準空調設定温度(例えば、冷房時26℃)と、温度調整可能幅に基づく、DRに協力できる緩和温度(例えば、冷房時28℃)をシステム上に登録する。この場合、目標負荷から目標温度を演算する手順はない。
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態における、目標熱負荷の演算が不要であり、優先順位をある一定レベルまでを選択し、それに対して削減熱負荷を按分する必要がない。このため、ゾーンを選択する判断が容易となる。