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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085090
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】建具用建材
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/18 20060101AFI20230613BHJP
   E06B 1/32 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
E06B1/18 N
E06B1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199584
(22)【出願日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水野 龍一郎
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011CA01
2E011CA06
2E011CB01
2E011CC02
2E011CC03
2E011CC08
2E011CD00
(57)【要約】
【課題】漏水等の問題を招来することなく断熱性の向上を図る。
【解決手段】第1建材要素1Aのキャビティ構成部10及び第2建材要素1Bのキャビティ構成部10は、互いに対向する基壁部11と、基壁部11の内周となる位置から互いに近接する方向に突出した内周壁部12と、基壁部11の外周となる位置から互いに近接する方向に突出した外周壁部12とを有し、それぞれの基壁部11には、断熱材1Cの内部に埋め込まれるように平板状を成す内方突出部14が互いに近接する方向に向けて突出されており、内方突出部14は、基壁部11からの突出寸法d4が内周壁部12の突出寸法及び外周壁部12の突出寸法よりも短く、内周壁部12と外周壁部12との間には、内方突出部14の板厚の3倍以上の隙間d2が確保されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1建材要素及び第2建材要素にそれぞれ互いに対向するようにキャビティ構成部が設けられ、前記キャビティ構成部の間に流動状態の断熱材を充填して硬化させることにより前記第1建材要素及び前記第2建材要素の間が相互に連結された建具用建材であって、
前記第1建材要素のキャビティ構成部及び前記第2建材要素のキャビティ構成部は、互いに対向する基壁部と、前記基壁部の内周となる位置から互いに近接する方向に突出した内周壁部と、前記基壁部の外周となる位置から互いに近接する方向に突出した外周壁部とを有し、
それぞれの前記基壁部には、前記断熱材の内部に埋め込まれるように平板状を成す内方突出部が互いに近接する方向に向けて突出されており、
前記内方突出部は、前記基壁部からの突出寸法が前記内周壁部の突出寸法及び前記外周壁部の突出寸法よりも短く、
前記内周壁部と前記外周壁部との間には、前記内方突出部の板厚の3倍以上の隙間が確保されていることを特徴とする建具用建材。
【請求項2】
前記第1建材要素の基壁部及び前記第2建材要素の基壁部には、それぞれ前記内周壁部及び前記外周壁部から等距離となる位置に前記内方突出部が一つだけ設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建具用建材。
【請求項3】
前記内周壁部及び前記外周壁部は、それぞれの突出縁部において互いに対向する部分に突条部を有していることを特徴とする請求項1に記載の建具用建材。
【請求項4】
前記突条部は、先端部が円弧状の断面を有するように形成されたものであり、
前記内方突出部の先端部は、前記内周壁部における前記突条部の最大突出位置と前記外周壁部における前記突条部の最大突出位置とを結ぶ仮想の平面を越えない範囲に位置していることを特徴とする請求項3に記載の建具用建材。
【請求項5】
前記基壁部と前記内周壁部との入隅部及び前記基壁部と前記外周壁部との入隅部にそれぞれR面取りが施され、かつ前記基壁部と前記内方突出部との入隅部にR面取りが施されていることを特徴とする請求項1に記載の建具用建材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具用建材に関する。
【背景技術】
【0002】
建具には、室内外の断熱性を考慮して枠や框等の建具用建材に形材断熱仕様のものを適用する場合がある。形材断熱仕様の建具用建材は、アルミニウム合金等の金属によって成形された第1建材要素及び第2建材要素の間が、ウレタン樹脂等の断熱材によって連結されたものである。この種の建具用建材の製造方法としては、まず、外周壁部を介して互いに連結された第1建材要素及び第2建材要素を有するとともに、外周壁部を一辺としたキャビティを有する形素材を金属によって成形する。キャビティには、外周壁部に対向する部分に注入用開口が設けられている。次いで、注入用開口を介してキャビティの内部表面にプラズマ放電等の表面改質処理を施し、その後、キャビティの内部に流動状態の断熱材を充填して硬化させる。断熱材が硬化した後においては、外周壁部を切除すれば良い。上記のようにして構成された形材断熱仕様の建具用建材によれば、第1建材要素と第2建材要素との間の連結が断熱材のみとなるため、第1建材要素と第2建材要素との間の断熱性を向上させることが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-126882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、第1建材要素及び第2建材要素の間を連結する断熱材は、流動状態から硬化する際に収縮し、さらに硬化した後においても経年等の影響によって長手方向に収縮することが知られている。例えば、下枠において断熱材が長手方向に収縮した場合には、縦枠との接合部に隙間が生じることになり、この隙間から水が浸入する等の漏水の問題を来す懸念がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、漏水等の問題を招来することなく断熱性の向上を図ることのできる建具用建材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具用建材は、第1建材要素及び第2建材要素にそれぞれ互いに対向するようにキャビティ構成部が設けられ、前記キャビティ構成部の間に流動状態の断熱材を充填して硬化させることにより前記第1建材要素及び前記第2建材要素の間が相互に連結された建具用建材であって、前記第1建材要素のキャビティ構成部及び前記第2建材要素のキャビティ構成部は、互いに対向する基壁部と、前記基壁部の内周となる位置から互いに近接する方向に突出した内周壁部と、前記基壁部の外周となる位置から互いに近接する方向に突出した外周壁部とを有し、それぞれの前記基壁部には、前記断熱材の内部に埋め込まれるように平板状を成す内方突出部が互いに近接する方向に向けて突出されており、前記内方突出部は、前記基壁部からの突出寸法が前記内周壁部の突出寸法及び前記外周壁部の突出寸法よりも短く、前記内周壁部と前記外周壁部との間には、前記内方突出部の板厚の3倍以上の隙間が確保されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基壁部に設けた内方突出部が断熱材の内部に埋め込まれるように突出しているため、断熱材が収縮する際に内方突出部に対して挟み込むように圧縮するため、断熱材の長手方向に沿った収縮が抑制されることになる。これにより、隣接する建具用建材との接合部に隙間が生じる事態を防止することができ、漏水等の問題を来すことなく断熱性の向上を図ることが可能となる。しかも、内周壁部と外周壁部との間には、内方突出部の板厚の3倍以上の隙間が確保されているため、流動化した状態の断熱材の充填性や表面改質処理を施す際の作業性が損なわれるおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態である建具用建材の端面図である。
図2図1に示した建具用建材のキャビティ部分を示す要部拡大図である。
図3図1に示した建具用建材のキャビティ部分を模式的に示す拡大端面図である。
図4図1に示した建具用建材を製造する際に適用する形素材の端面図である。
図5図1に示した建具用建材においてキャビティに充填した断熱材が収縮する際に内方突出部に作用する圧縮力を模式的に示す拡大端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る建具用建材の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態である建具用建材を示したものである。ここで例示する建具用建材は、引き違い窓等の建具の下枠1として用いられるもので、第1建材要素1A及び第2建材要素1Bを有して構成してある。第1建材要素1A及び第2建材要素1Bは、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、長手に沿った全長にわたってほぼ一様の断面形状を有するよう構成してある。図示の例では、第1建材要素1Aが室内側、第2建材要素1Bが室外側となる状態でこれらの建材要素1A,1Bが互いに見込み方向に並設してある。ここで、見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。また、本実施の形態では見付け方向という用語も用いる場合がある。見付け方向とは、下枠1等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。なお、以下においては便宜上、下枠1の詳細構成を説明する場合には、躯体に取り付けた状態の姿勢でそれぞれの方向を特定することとする。
【0010】
図1図2に示すように、第1建材要素1A及び第2建材要素1Bには、互いに対向する部分にキャビティ構成部10が設けてある。キャビティ構成部10は、第1建材要素1A及び第2建材要素1Bの間に断熱材1Cを設けるためのキャビティ20を構成するもので、互いにほぼ対称の形状となるように構成してある。本実施の形態のキャビティ構成部10は、上下方向に沿って延在した基壁部11と、基壁部11の上下両縁部から互いにほぼ平行となるように延在した2つの周壁部12とを有している。以下において周壁部12を区別する場合には、上方に位置するものを内周壁部12と称し、下方に位置するものを外周壁部12と称することとする。周壁部12は、それぞれの延在縁部に突条部13を有している。突条部13は、周壁部12の先端部から互いに近接する方向に向けて突出したものである。図からも明らかなように、突条部13の突出先端部は、円弧状の断面を有するように形成してある。基壁部11と周壁部12との入隅部及び周壁部12と突条部13との入隅部には、それぞれR面取り部r1が設けてある。
【0011】
それぞれのキャビティ構成部10には、基壁部11に内方突出部14が設けてある。内方突出部14は、一定の板厚を有した平板状を成すもので、基壁部11の互いに対向する内表面11aにおいて2つの周壁部12から等距離となる位置に、互いに近接する方向に向けてほぼ水平に突出するように設けてある。内方突出部14と基壁部11との間には、R面取り部r2が設けてある。この内方突出部14と基壁部11との間のR面取り部r2は、基壁部11と周壁部12との間のR面取り部r1よりも小さい寸法に設定してある。内方突出部14の先端部にもR面取りが施してある。内方突出部14の突出寸法は、内周壁部12に設けた突条部13の最大突出位置と外周壁部12に設けた突条部13の最大突出位置との間を仮想の平面P(図3参照)を越えない範囲に位置するように設定してある。内方突出部14の板厚は、基壁部11や周壁部12よりも小さく、上述した内周壁部12の突条部13と外周壁部12の突条部13との相互間隔を設定する際の基準となっている。より具体的に説明すると、内周壁部12の突条部13と外周壁部12の突条部13との相互間隔が内方突出部14の板厚に対して3倍以上の隙間となるように設定してある。内方突出部14の突出寸法及び突条部13の相互間隔を上記のように設定することにより、後述するキャビティ20に断熱材1Cを充填する際の充填性が損なわれることもなく、また断熱材1Cを充填する際の前処理となる後述の表面改質処理を良好に行うことが可能となる。
【0012】
図3の模式図を利用して、上述したキャビティの具体的な寸法の一例を示せば、基壁部11の相互間隔d1は18mmであり、内方突出部14の板厚tは2mmである。従って、突条部13の相互間隔d2は6mmとなっている。基壁部11の内表面11aから突条部13の最大突出位置Pまでの寸法d3が3mmである場合に内方突出部14の突出寸法d4は2mmに設定してある。内方突出部14と基壁部11との入隅部に施すR面取り部r2は、R0.5(mm)である。このR面取り部r2は、後述する断熱材1Cが収縮する際の圧縮力D(図5参照)を内方突出部14に有効に作用させるため、R0.5(mm)以下に設定することが好ましい。基壁部11の相互間隔d1については、断熱材1Cのねじれ防止等々の観点から18mm以下に設定することが好ましい。このときの内方突出部14の突出寸法d4は、後述の表面改質処理を考慮して1.0~2.0mmに設定するのが好ましい。内方突出部14の板厚tは2mm以下が好ましく、最小値は0.7mmである。内方突出部14の板厚tが小さいほど、断熱材1Cが硬化する際の放熱量が少なくなり、断熱材1Cの硬化が良好となる。内方突出部14の板厚tが0.7mmの時に突条部13の相互間隔d2が最小値2.1mmとなる。
【0013】
これら第1建材要素1Aのキャビティ構成部10及び第2建材要素1Bのキャビティ構成部10の間の断熱材1Cは、ウレタン(無発泡)等の断熱性を有した樹脂であり、流動状態でキャビティ構成部10の間に充填して硬化させることにより、内部に内方突出部14を埋設した状態で第1建材要素1A及び第2建材要素1Bの間を互いに連結している。
【0014】
上述の下枠1を構成する方法としては、例えば、図4に示すように、まず2つの建材要素1A,1Bが一体となった形素材1′をアルミニウム合金によって成形する。すなわち、第1建材要素1Aの外周壁部12と第2建材要素1Bの外周壁部12とが連結部15を介して互いに連結された状態の形素材1′を押し出し成形する。この形素材1′に対して建材要素1A,1Bの各キャビティ構成部10に表面改質処理を施す。表面改質処理は、図には明示していないが、キャビティ構成部10の間のキャビティ20に噴射ノズルを挿入してプラズマ等の表面改質材の噴射を行うことにより、後に充填硬化させる断熱材1Cと形素材1′との接着性を向上させるための処理である。表面改質処理を施した後においては、建材要素1A,1Bの間のキャビティ20に流動状態の断熱材1Cを充填して硬化させる。断熱材1Cが硬化した後に連結部15を切削工具によって切除すれば、第1建材要素1Aと第2建材要素1Bとが金属として分断される一方、これら第1建材要素1A及び第2建材要素1Bの間が断熱材1Cによってのみ連結された状態となる。従って、室内側の第1建材要素1Aと、室外側の第2建材要素1Bとの間の熱伝達が抑制されることになり、例えば室内外に大きな気温差がある場合にも室内側の第1建材要素1Aに結露が生じる事態を防止できる等の利点がある。
【0015】
しかも、硬化後の断熱材1Cに対しては、内方突出部14が内部に埋め込まれた状態になる。従って、断熱材1Cが硬化する際の収縮、さらには硬化後の経年による収縮(いわゆるドライシュリンク)の際に、図5中の矢印Dに示すように、内方突出部14に対して挟み込むように圧縮する力が加えられることになり、断熱材1Cの長手方向に沿った収縮が抑制されることになる。加えて、周壁部12に設けた突条部13についても、断熱材1Cの内部に埋め込まれた状態となるため、断熱材1Cと各建材要素1A,1Bとの接触面積が増大することになり、断熱材1Cの長手に沿った収縮をより抑えることが可能となる。これらの結果、上述の下枠1によれば、断熱材1Cにおいて図示せぬ縦枠との接合部に隙間が生じる事態を防止することができ、漏水等の問題を来すことなく断熱性の向上を図ることが可能となる。しかも、内周壁部12の突条部13と外周壁部12の突条部13との間には、内方突出部14の板厚の3倍以上の隙間が確保されているため、流動化した状態の断熱材1Cの充填性や表面改質処理を施す際の作業性が損なわれるおそれもない。
【0016】
なお、上述した実施の形態では、下枠について例示しているが、本発明は上枠や縦枠、あるいは障子を構成する框等々、その他の建具用建材として適用することも可能である。また、内周壁部及び外周壁部として、それぞれ突条部を有したものを例示しているが、いずれか一方の周壁部が突条部を有していても良いし、内周壁部及び外周壁部の双方が突条部を有していなくても構わない。
【0017】
以上のように、本発明に係る建具用建材は、第1建材要素及び第2建材要素にそれぞれ互いに対向するようにキャビティ構成部が設けられ、前記キャビティ構成部の間に流動状態の断熱材を充填して硬化させることにより前記第1建材要素及び前記第2建材要素の間が相互に連結された建具用建材であって、前記第1建材要素のキャビティ構成部及び前記第2建材要素のキャビティ構成部は、互いに対向する基壁部と、前記基壁部の内周となる位置から互いに近接する方向に突出した内周壁部と、前記基壁部の外周となる位置から互いに近接する方向に突出した外周壁部とを有し、それぞれの前記基壁部には、前記断熱材の内部に埋め込まれるように平板状を成す内方突出部が互いに近接する方向に向けて突出されており、前記内方突出部は、前記基壁部からの突出寸法が前記内周壁部の突出寸法及び前記外周壁部の突出寸法よりも短く、前記内周壁部と前記外周壁部との間には、前記内方突出部の板厚の3倍以上の隙間が確保されていることを特徴としている。
この発明によれば、基壁部に設けた内方突出部が断熱材の内部に埋め込まれるように突出しているため、断熱材が収縮する際に内方突出部に対して挟み込むように圧縮するため、断熱材の長手方向に沿った収縮が抑制されることになる。これにより、隣接する建具用建材との接合部に隙間が生じる事態を防止することができ、漏水等の問題を来すことなく断熱性の向上を図ることが可能となる。しかも、内周壁部と外周壁部との間には、内方突出部の板厚の3倍以上の隙間が確保されているため、流動化した状態の断熱材の充填性や表面改質処理を施す際の作業性が損なわれるおそれもない。
【0018】
また本発明は、上述した建具用建材において、前記第1建材要素の基壁部及び前記第2建材要素の基壁部には、それぞれ前記内周壁部及び前記外周壁部から等距離となる位置に前記内方突出部が一つだけ設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、収縮する際に内方突出部に対して圧縮力を加える断熱材の板厚を十分、かつ均等に確保することができ、断熱材の長手方向の収縮をより効率良く抑えることが可能となる。
【0019】
また本発明は、上述した建具用建材において、前記内周壁部及び前記外周壁部は、それぞれの突出縁部において互いに対向する部分に突条部を有していることを特徴としている。
この発明によれば、内周壁部の突条部及び外周壁部の突条部が断熱材に食い込むため、これらの突条部も断熱材が長手方向に収縮する際の抵抗となって作用することになり、断熱材の長手方向の収縮をより効率良く抑えることが可能となる。
【0020】
また本発明は、上述した建具用建材において、前記突条部は、先端部が円弧状の断面を有するように形成されたものであり、前記内方突出部の先端部は、前記内周壁部における前記突条部の最大突出位置と前記外周壁部における前記突条部の最大突出位置とを結ぶ仮想の平面を越えない範囲に位置していることを特徴としている。
この発明によれば、内方突出部が突条部の最大突出位置を越えない範囲に設けられるため、流動化した状態の断熱材の充填性や表面改質処理を施す際の作業性がより向上する。
【0021】
また本発明は、上述した建具用建材において、前記基壁部と前記内周壁部との入隅部及び前記基壁部と前記外周壁部との入隅部にそれぞれR面取りが施され、かつ前記基壁部と前記内方突出部との入隅部にR面取りが施されていることを特徴としている。
この発明によれば、断熱材を隙間無く充填することができ、断熱材と第1建材要素との間及び断熱材と第2建材要素との間の接触面積をそれぞれより大きく確保することができ、R面取りが断熱材の長手方向の収縮を抑える際に有効に機能する。
【符号の説明】
【0022】
1 下枠、1′ 形素材、1A 第1建材要素、1B 第2建材要素、1C 断熱材、10 キャビティ構成部、11 基壁部、11a 内表面、12 周壁部、13 突条部、14 内方突出部、15 連結部、20 キャビティ、d2 周壁部の相互間の隙間、d3 周壁部に設けた突条部の最大突出位置までの突出寸法、d4 内方突出部の突出寸法、P 仮想の平面(突条部の最大突出位置)、r1,r2 R面取り部、t 内方突出部の板厚
図1
図2
図3
図4
図5