(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085167
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20230613BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 201N
H01G4/30 201F
H01G4/30 512
H01G4/30 513
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068090
(22)【出願日】2022-04-18
(31)【優先権主張番号】10-2021-0174656
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジェオン ボン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ダ ジェオン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC02
5E001AC10
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AH01
5E001AH05
5E001AH06
5E001AH07
5E001AH09
5E001AJ01
5E001AJ02
5E001AJ03
5E082AB03
5E082BC33
5E082BC40
5E082EE17
5E082EE23
5E082EE26
5E082EE35
5E082FG26
5E082FG54
5E082GG10
5E082JJ02
5E082JJ03
5E082JJ06
5E082JJ07
5E082LL02
5E082LL03
5E082MM05
5E082MM24
(57)【要約】
【課題】ESLが低減され、曲げ強度が強化された積層型電子部品を提供する。
【解決手段】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、複数の誘電体層を含み、上記誘電体層を間に挟んで第3方向に交互に配置される第1及び第2内部電極を含む容量形成部を含み、第1方向に対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面、上記第1~第4面と連結され、上記第3方向に対向する第5及び第6面に含む本体と、上記第1面に配置され、上記第1内部電極と連結され、上記第2方向に互いに離隔して配置される第1-1及び第1-2外部電極と、上記第1面に配置され、上記第2内部電極と連結され、上記第1-1外部電極と第1-2外部電極との間に配置される第2-1外部電極と、上記容量形成部を第3方向に貫通するように配置されるダミー電極と、を含むことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の誘電体層を含み、前記誘電体層を間に挟んで第3方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含む容量形成部を含み、第1方向に対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、前記第1面~前記第4面と連結され、前記第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、
前記第1面に配置され、前記第1内部電極と連結され、前記第2方向に互いに離隔して配置される第1-1外部電極及び第1-2外部電極と、
前記第1面に配置され、前記第2内部電極と連結され、前記第1-1外部電極と前記第1-2外部電極との間に配置される第2-1外部電極と、
前記容量形成部を前記第3方向に貫通するように配置されるダミー電極と、を含み、
前記第1内部電極は、第1メイン部、前記第1メイン部と前記第1-1外部電極を連結する第1-1リード部、及び前記第1メイン部と前記第1-2外部電極を連結する第1-2リード部を含み、
前記第2内部電極は、第2メイン部、前記第2メイン部と前記第2-1外部電極を連結する第2-1リード部を含み、
前記ダミー電極は、前記第1-1リード部と前記第2-1リード部との間を前記第3方向に貫通するように配置される第1-1ダミー電極と、前記第1-2リード部と前記第2-1リード部との間を前記第3方向に貫通するように配置される第1-2ダミー電極を含む、積層型電子部品。
【請求項2】
前記ダミー電極は、前記第1内部電極及び前記第2内部電極と離隔して配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記ダミー電極は前記第1面と離隔して配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記第1-1ダミー電極及び前記第1-2ダミー電極は、それぞれ複数個配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記ダミー電極は、前記第1内部電極及び第2内部電極と前記第2面が離隔した領域を前記第3方向に貫通するように配置される第2ダミー電極をさらに含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記第2ダミー電極は複数個配置される、請求項5に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記ダミー電極は4つ以上配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記ダミー電極は、前記本体を前記第3方向に貫通するように配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記第5面及び前記第6面に配置される絶縁層をさらに含む、請求項8に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記第2面に配置され、前記第1内部電極と連結され、前記第2方向に互いに離隔して配置される第1-3外部電極及び第1-4外部電極と、
前記第2面に配置され、前記第2内部電極と連結され、前記第1-3外部電極と前記第1-4外部電極との間に配置される第2-2外部電極と、をさらに含み、
前記第1内部電極は、前記第1メイン部と前記第1-3外部電極を連結する第1-3リード部及び前記第1メイン部と前記第1-4外部電極を連結する第1-4リード部をさらに含み、
前記第2内部電極は、前記第2メイン部と前記第2-2外部電極を連結する第2-2リード部をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記ダミー電極は、前記第1-3リード部と前記第2-2リード部との間を前記第3方向に貫通するように配置される第1-3ダミー電極と、前記第1-4リード部と前記第2-2リード部との間を前記第3方向に貫通するように配置される第1-4ダミー電極をさらに含む、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記第1-3ダミー電極及び前記第1-4ダミー電極は複数個配置される、請求項11に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話など、様々な電子製品のプリント回路基板に装着され、電気を充電または放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
このような積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として用いられることができる。最近では、コンピュータ、モバイル機器などの各種電子機器が小型化、高出力化され、積層セラミックキャパシタの小型化及び高容量化に対する要求も増大している。
【0004】
また、最近では、自動車用電装部品に対する業界の関心が高まり、積層セラミックキャパシタも自動車やインフォテインメントシステムに用いられるために高信頼性及び高強度特性が要求されている。
【0005】
積層セラミックキャパシタは、等価直列インダクタンス(Equivalent Series Inductance、以下「ESL」)が大きくなると、電子装置の性能が低下する可能性がある。これにより、内部電極を実装する基板面と垂直になるように配置させ、MLCC内部に形成される電流流れの経路(Current Loop)を最小化し、電流流れの経路(Current Loop)の数を増加させてESLを低減させる垂直積層型3端子構造のMLCCである、いわゆる「LICC(Low Inductance Chip Capacitor)」の需要が増大している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明のいくつかの目的の一つは、ESLが低減された積層型電子部品を提供することである。
【0007】
本発明のいくつかの目的の一つは、曲げ強度が強化された積層型電子部品を提供することである。
【0008】
但し、本発明の目的は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、複数の誘電体層を含み、上記誘電体層を間に挟んで第3方向に交互に配置される第1及び第2内部電極を含む容量形成部を含み、第1方向に対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面、上記第1~第4面と連結され、上記第3方向に対向する第5及び第6面を含む本体と、上記第1面に配置され、上記第1内部電極と連結され、上記第2方向に互いに離隔して配置される第1-1及び第1-2外部電極と、上記第1面に配置され、上記第2内部電極と連結され、上記第1-1外部電極と第1-2外部電極との間に配置される第2-1外部電極と、上記容量形成部を第3方向に貫通するように配置されるダミー電極と、を含み、上記第1内部電極は、第1メイン部、上記第1メイン部と第1-1外部電極を連結する第1-1リード部、及び上記第1メイン部と第1-2外部電極を連結する第1-2リード部を含み、上記第2内部電極は第2メイン部、上記第2メイン部と第2-1外部電極を連結する第2-1リード部を含み、上記ダミー電極は上記第1-1リード部と第2-1リード部との間を上記第3方向に貫通するように配置される第1-1ダミー電極と上記第1-2リード部と第2-1リード部との間を上記第3方向に貫通するように配置される第1-2ダミー電極を含むことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の様々な効果の一効果として、積層型電子部品の内部に形成される電流流れの経路(Current Loop)を最小化してESLを低減させることができる。
【0011】
本発明の様々な効果の一効果として、容量形成部を貫通するダミー電極を配置することによって曲げ強度の特性を向上させることができる。
【0012】
但し、本発明の多様でありながらも有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示した図面である。
【
図2】
図1の積層型電子部品を他の方向から見た斜視図を概略的に示した図面である。
【
図4】
図1の本体に含まれた誘電体層上に配置された第1内部電極を示した図面である。
【
図5】
図1の本体に含まれた誘電体層上に配置された第2内部電極を示した図面である。
【
図6】
図1の本体に含まれた誘電体層を示した図面である。
【
図7】
図1の本体を分解して概略的に示した分解斜視図である。
【
図9】本発明の他の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示した図面である。
【
図10】
図9の積層型電子部品を他の方向から見た斜視図を概略的に示した図面である。
【
図11】
図9の本体に含まれた誘電体層上に配置された第1内部電極を示した図面である。
【
図12】
図9の本体に含まれた誘電体層上に配置された第2内部電極を示した図面である。
【
図13】
図9の本体に含まれた誘電体層を示した図面である。
【
図14】
図9の本体を分解して概略的に示した分解斜視図である。
【
図16】曲げ強度のテストを説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0015】
そして、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、図面において示された各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜のために任意で示したため、本発明が必ずしも図示によって限定されるものではない。また、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を付与して説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0016】
図面において、第3方向は積層方向または幅(W)方向、第2方向は長さ(L)方向、第1方向は厚さ(T)方向と定義することができる。
【0017】
<積層型電子部品>
図1は、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100の斜視図を概略的に示した図面であり、
図2は、
図1の積層型電子部品100を他の方向から見た斜視図を概略的に示した図面であり、
図3は、
図1のI-I'線に沿った断面図であり、
図4は、
図1の本体に含まれた誘電体層上に配置された第1内部電極を示した図面であり、
図5は、
図1の本体に含まれた誘電体層上に配置された第2内部電極を示した図面であり、
図6は、
図1の本体に含まれた誘電体層を示した図面であり、
図7は、
図1の本体を分解して概略的に示した分解斜視図である。
【0018】
以下、
図1~
図7を参照して本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100について詳細に説明する。
【0019】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100は、複数の誘電体層111を含み、上記誘電体層を間に挟んで第3方向に交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含む容量形成部Acを含み、第1方向に対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面3、4、上記第1~第4面と連結され、上記第3方向に対向する第5及び第6面5、6を含む本体110と、上記第1面に配置され、上記第1内部電極と連結され、上記第2方向に互いに離隔して配置される第1-1及び第1-2外部電極131-1、131-2と、上記第1面に配置され、上記第2内部電極と連結され、上記第1-1外部電極と第1-2外部電極との間に配置される第2-1外部電極132-1と、上記容量形成部Acを第3方向に貫通するように配置されるダミー電極DEと、を含み、上記第1内部電極121は、第1メイン部121m、上記第1メイン部と第1-1外部電極を連結する第1-1リード部121-1、及び上記第1メイン部と第1-2外部電極を連結する第1-2リード部121-2を含み、上記第2内部電極122は第2メイン部122m、上記第2メイン部と第2-1外部電極を連結する第2-1リード部122-1を含み、上記ダミー電極は上記第1-1リード部と第2-1リード部との間を上記第3方向に貫通するように配置される第1-1ダミー電極123-1と上記第1-2リード部と第2-1リード部との間を上記第3方向に貫通するように配置される第1-2ダミー電極123-2を含むことができる。
【0020】
本発明の一実施形態によると、第1面に第1-1、第1-2及び第2-1外部電極131-1、131-2、132-1が配置されることによって、積層型電子部品100の第1面が実装面となることができ、第1-1及び第1-2外部電極131-1、131-2は第1内部電極121に連結され、第2-1外部電極132-1は、第2内部電極122と連結され、第1-1及び第1-2外部電極131-1、131-2の間に配置されることによって、電流流れの経路(Current Loop)を最小化し、電流流れの経路(Current Loop)の数を増加させてESLを低減させることができる。また、第1及び第2内部電極121、122が実装面である第1面と垂直になるように配置されるため、電流流れの経路(Current Loop)をより小さくすることができる。
【0021】
また、容量形成部Acを第3方向に貫通するように配置されるダミー電極DEを含むことにより、本体110内部の電極充填率を向上させることができ、曲げ強度を強化することができ、クラック、デラミネーションなどの発生を抑制することができる。
【0022】
以下、積層型電子部品100の各構成要素を詳細に説明する。
【0023】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されていることができる。
【0024】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体状またはこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮によって、本体110は完全な直線を有する六面体状ではないが、実質的に六面体状を有することができる。
【0025】
本体110は、第1方向に互いに対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面1、2と連結され、第2方向に互いに対向する第3及び第4面3、4、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、第3方向に互いに対向する第5及び第6面5、6を有することができる。
【0026】
積層型電子部品100の実装面は、本体110の第1面1または第2面2であることができる。
【0027】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0028】
本発明の一実施形態に係ると、上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量を得ることができる限り特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料またはチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO3系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例として、BaTiO3、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)またはBa(Ti1-yZry)O3(0<y<1)などが挙げられる。
【0029】
また、上記誘電体層111を形成する原料は、チタン酸バリウム(BaTiO3)などのパウダーに本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0030】
本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部Acと、上記容量形成部Acの第3方向の両端面に形成されたカバー部112、113を含むことができる。
【0031】
また、上記容量形成部Acは、キャパシタの容量形成に寄与する部分であって、誘電体層111を間に挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を第3方向に繰り返し積層して形成されることができる。
【0032】
カバー部112、113は、上記容量形成部Acの第3方向の一面に配置される第1カバー部112及び上記容量形成部Acの第3方向の他面に配置される第2カバー部113を含むことができる。
【0033】
上記第1カバー部112及び第2カバー部113は、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの第3方向の両端面にそれぞれ第3方向に積層して形成することができ、基本的には、物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0034】
カバー部112、113は内部電極を含まないが、カバー部112、113を貫通するダミー電極DEを含むことができる。
【0035】
カバー部112、113は、誘電体層111と同一材料を含むことができる。すなわち、上記第1カバー部112及び第2カバー部113は、セラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0036】
内部電極121、122は誘電体層111と交互に積層されることができる。
【0037】
内部電極121、122は、第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。第1及び第2内部電極121、122は、本体110を構成する誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように交互に配置されることができる。
【0038】
第1内部電極121は、第1メイン部121m、第1メイン部121mと第1-1外部電極131-1を連結する第1-1リード部121-1、及び第1メイン部121mと第1-2外部電極131-2を連結する第1-2リード部122-2を含むことができる。第1-1リード部121-1及び第1-2リード部121-2は、本体110の第1面1に露出し、第1内部電極121と第1-1及び1-2外部電極131-1、131-2を電気的に連結することができる。
【0039】
第2内部電極122は、第2メイン部122m、及び第2メイン部122mと第2-1外部電極132-1を連結する第2-1リード部122-1を含むことができる。第2-1リード部122-1は本体110の第1面1に露出して第2内部電極122と第2-1外部電極132-1を電気的に連結することができる。
【0040】
第1及び第2メイン部121m、122mは、互いに第3方向に重なって容量を形成することができる。第1及び第2メイン部121m、122mは、第1~第6面と離隔して配置されることができる。
【0041】
第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0042】
本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートを第3方向に交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0043】
内部電極121、122を形成する材料は特に制限されず、電気導電性に優れた材料を用いることができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち1つ以上を含むことができる。
【0044】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち1つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができ、本発明がこれに限定されるものではない。
【0045】
ダミー電極DEは、容量形成部Acを第3方向に貫通するように配置されることができる。
【0046】
曲げ強度を強化するために内部電極と同一平面上にダミーパターンを配置する方案を考慮することができるが、ダミーパターンを内部電極及び外部電極と電気的に連結されないように配置するためには空間上の制約が伴われるため、本体110の電極充填率を高める際に限界が存在する。
【0047】
一方、本発明によると、ダミー電極DEが容量形成部Acを積層方向である第3方向に貫通するように配置されることによって、内部電極121、122のみならず誘電体層111との同一平面上にもダミー電極を配置することができ、本体110の電極充填率をより向上させることができるため、曲げ強度をより向上させることができる。
図3及び
図4に示したように、ダミー電極DEは、内部電極121、122との同一平面上に配置されるのみならず、
図5に示したように誘電体層111との同一平面上にも配置される。さらに、ダミー電極DEが容量形成部Acを誘電体層111の積層方向である第3方向に貫通するように配置されることによって、ダミー電極DEが積層された誘電体層111間の結合力を向上させる役割を果たすことができ、デラミネーションを防止することができる。
【0048】
ダミー電極DEは、第1及び第2内部電極121、122と離隔するように配置されることによって、容量形成に関与しないことができる。また、ダミー電極DEは、第1面と離隔して配置されることによって、第1面に配置される外部電極とも電気的に絶縁されることができる。
【0049】
図3を参照すると、ダミー電極DEは、第1-1リード部121-1と第2-1リード部122-1との間を第3方向に貫通するように配置される第1-1ダミー電極123-1と、第1-2リード部121-2と第2-1リード部122-1との間を第3方向に貫通するように配置される第1-2ダミー電極123-2を含むことができる。
【0050】
一方、ダミー電極DEの形状は特に限定する必要はなく、得ようとする曲げ強度の特性や内部電極121、122の形状などを考慮してダミー電極の具体的な形状を決定することができる。
【0051】
また、ダミー電極DEの個数も特に限定する必要はなく、得ようとする曲げ強度の特性や内部電極の形状などを考慮してダミー電極の個数を決定することができる。例えば、第1-1ダミー電極123-1及び第1-2ダミー電極123-2は、それぞれ複数個配置されることができる。これにより、本体110内部の金属充填率をより向上させることができ、曲げ強度をより向上させることができる。
【0052】
一実施形態において、ダミー電極123-1、123-2、124-1、124-2は、第1及び第2内部電極121、122と第2面が離間した領域を第3方向に貫通するように配置される第2ダミー電極124-1、124-2をさらに含むことができる。第2ダミー電極124-1、124-2を配置することによって、本体110内部の金属充填率をより向上させ、本発明による曲げ強度の向上効果及びデラミネーションの抑制効果をさらに向上させることができる。
【0053】
このとき、第2ダミー電極124-1、124-2は複数個配置されることができる。第1及び第2内部電極121、122と第2面が離隔した領域は、第1-1リード部121-1と第2-1リード部122-1との間の領域及び第1-2リード部121-2と第2-1リード部122-1との間の領域よりも広いため、より多い数の第2ダミー電極124-1、124-2を配置することが可能である。
【0054】
ダミー電極DEを形成する材料は特に制限されず、誘電体層111よりも強度特性に優れた材料を用いることができる。例えば、誘電体層111を構成するセラミック材料よりも強度特性に優れた金属材料を用いることができ、内部電極と同様にダミー電極DEはニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち1つ以上を含むことができる。但し、内部電極と同一材料に限定する必要はなく、ダミー電極は内部電極と異なる材料で形成されることができる。
【0055】
ダミー電極DEを形成する方法は特に限定する必要はない。例えば、セラミックグリーンシートのダミー電極が形成される位置にレーザードリル(Laser Drill)、穿孔機(Mechanical Pin Puncher)などを用いて穴を開け、第1及び第2内部電極を印刷する際に上記穴に導電性ペーストを印刷する方式を用いてダミー電極を形成することができる。この場合、カバー部を形成するためのセラミックグリーンシートにはダミー電極を形成しないことができ、これによってカバー部112、113には、ダミー電極が配置されないことができる。もちろん、カバー部を形成するためのセラミックグリーンシートにも穴を開けてダミー電極を印刷してダミー電極が容量形成部のみならず、カバー部も貫通して本体の全体を第3方向に貫通するように配置することもできる。したがって、ダミー電極DEは、本体110を第3方向に貫通するように配置されることができる。
【0056】
他の例として、セラミックグリーンシートを積層して積層体を形成し、積層体を単位チップの大きさで切断した本体にレーザードリル(Laser Drill)、穿孔機(Mechanical Pin Puncher)などを用いてビアを形成した後、ビアに導電性材料を充填してダミー電極を形成することができる。したがって、ダミー電極DEは、本体110を第3方向に貫通するように配置されることができる。
【0057】
一方、ダミー電極DEが本体110を第3方向に貫通するように配置される場合、
図8に示したように積層型電子部品100-1は本体110の第5及び第6面に配置される絶縁層141、142を含むことができる。ダミー電極DEが本体の第5及び第6面に露出する場合、水分、めっき液などが本体110内部に浸透する水分浸透経路となることがあるため、絶縁層141、142を配置して信頼性を向上させることができる。
【0058】
外部電極131-1、131-2、132-1は、本体110の第1面1に配置されることができる。
【0059】
外部電極131-1、131-2、132-1は、本体110の第1面1に配置され、第1内部電極121と連結された第1-1外部電極131-1及び第1-2外部電極131-2、第2内部電極と連結された第2-1外部電極132-1を含むことができる。
【0060】
第1-1外部電極131-1及び第1-2外部電極131-2は第2方向に互いに離隔して配置され、第2-1外部電極132-1は第1-1外部電極131-1及び第1-2外部電極131-2との間に配置されることができる。これにより、電流流れの経路(Current Loop)を最小化してESLを低減させることができる。
【0061】
一方、外部電極131-1、131-2、132-1は、金属などの電気導電性を有するものであれば、如何なる物質を用いても形成することができ、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されることができ、さらに多層構造を有することができる。
【0062】
例えば、外部電極131-1、131-2、132-1は、本体110に配置される電極層及び上記電極層上に形成されためっき層を含むことができる。
【0063】
上記電極層に対するより具体的な例として、上記電極層は、導電性金属及びガラスを含む焼成(firing)電極であるか、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であることができる。また、上記電極層は、本体110上に焼成電極及び樹脂系電極が順次形成された形態であることができる。また、電極層は、本体110上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されるか、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであることができる。
【0064】
上記電極層に含まれる導電性金属として、電気導電性に優れた材料を用いることができ、特に限定されない。例えば、導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びこれらの合金のうち1つ以上であることができる。
【0065】
上記電極層上に形成されためっき層は、実装特性を向上させる役割を果たす。上記めっき層の種類は特に限定されず、Ni、Sn、Pd及びこれらの合金のうち1つ以上を含むめっき層であることができ、複数の層で形成されることができる。
【0066】
一方、
図1~
図8においては、外部電極が本体110の第1面に配置された場合を示しているが、本発明はこれに制限されず、本発明の他の一実施形態によると、本体110の第2面にも外部電極が配置されることができる。
【0067】
以下、
図9~
図14を参照して、本発明の他の一実施形態に係る積層型電子部品100-2を詳細に説明する。但し、重複を避けるために、上述した内容と重複する内容は省略する。
【0068】
図9は、本発明の他の一実施形態に係る積層型電子部品100-2の斜視図を概略的に示した図面であり、
図10は、
図9の積層型電子部品100-2を他の方向から見た斜視図を概略的に示した図面であり、
図11は、
図9の本体に含まれた誘電体層上に配置された第1内部電極を示した図面であり、
図12は、
図9の本体に含まれた誘電体層上に配置された第2内部電極を示した図面であり、
図13は、
図9の本体に含まれた誘電体層を示した図面であり、
図14は、
図9の本体を分解して概略的に示した分解斜視図である。
【0069】
図9及び
図10を参照すると、本体110の第1面には、第1-1、第1-2及び第2-1外部電極131-1、131-2、及び132-1が配置され、本体110の第2面には第1-3、第1-4及び第2-2外部電極131-3、131-4、132-2が配置されることができる。本体110の第2面にも外部電極131-3、131-4、132-2が配置されることによって、第1面または第2面を実装面とすることができ、実装自由度を向上させることができる。
【0070】
本体110の第2面には、第1-3、第1-4及び第2-2外部電極131-3、131-4、132-2が配置されることによって、第1内部電極121は、第1メイン部121mと第1-3外部電極131-3を連結する第1-3リード部121-3及び第1メイン部121mと第1-4外部電極131-4を連結する第1-4リード部121-4をさらに含み、第2内部電極122は第2メイン部122mと第2-2外部電極131-2を連結する第2-2リード部122-2をさらに含むことができる。
【0071】
また、ダミー電極DEは、第1-3リード部121-3と第2-2リード部122-2との間を第3方向に貫通するように配置される第1-3ダミー電極123-3及び第1-4リード部121-4と第2-2リード部122-2との間を第3方向に貫通するように配置される第1-4ダミー電極123-4をさらに含むことができる。
【0072】
第1-3及び第1-4ダミー電極123-3、123-4を配置することによって本体110内部の金属充填率をより向上させ、本発明に係る曲げ強度の向上効果及びデラミネーションの抑制効果をさらに向上させることができる。
【0073】
このとき、第1-3及び第1-4ダミー電極123-3、123-4はそれぞれ複数個配置されることができる。これにより、本体110内部の金属充填率をより向上させることができ、曲げ強度の向上効果及びデラミネーションの抑制効果をさらに向上させることができる。
【0074】
一方、ダミー電極DEが本体110を第3方向に貫通するように配置される場合、
図15に示したように積層型電子部品100-4は本体110の第5及び第6面に配置される絶縁層141、142を含むことができる。ダミー電極DEが本体の第5及び第6面に露出する場合、水分、めっき液などが本体110内部に浸透する水分浸透経路となることがあるため、絶縁層141、142を配置して信頼性を向上させることができる。
【0075】
(実施例)
下記表1は、
図9及び
図10に示したように、第1及び第2面に外部電極が配置された形態で、ダミー電極DEが配置されていないサンプル(試験番号1)、第1-1及び第1-2ダミー電極123-1、123-2が配置されたサンプル(試験番号2)、第1-1、第1-2、第1-3及び第1-4ダミー電極123-1、123-2、123-3、123-4が配置されたサンプル(試験番号3)の曲げ強度の特性を評価したものである。
【0076】
図16を参照すると、曲げ強度の特性は各試験番号当たり1000個のサンプルチップを用意した後、基板(PCB)上にサンプルチップ(MLCC)を実装し、サンプルチップ(MLCC)の実装面の反対面を5mmまで押して応力を加えた後、サンプルチップ(MLCC)を光学顕微鏡によって観察し、クラックが発生したり、デラミネーションが発生したりした場合を不良と判断し、全体のサンプルチップの個数のうち不良が発生したサンプルの個数を記載したものである。
【0077】
【0078】
第1-1及び第1-2ダミー電極が配置された試験番号2及び3の場合、ダミー電極が配置されていない試験番号1に比べて不良率が半分以下に減り、曲げ強度の特性が著しく向上したことが確認できる。
【0079】
また、第1-3及び第1-4ダミー電極がさらに配置された試験番号3は、試験番号2に比べて曲げ強度の特性が著しく向上したことが確認できる。
【0080】
したがって、ダミー電極は2つ以上配置されることが好ましく、4つ以上配置されることがより好ましい。
【0081】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【符号の説明】
【0082】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
Ac 容量形成部
112、113 カバー部
121、122 内部電極
121m、122m メイン部
121-1、121-2、121-3、121-4、122-1、122-2 リード部
DE、123-1、123-2、123-3、123-4、124-1、124-2 ダミー電極
131-1、131-2、131-3、131-4、132-1、132-2 外部電極
141、142 絶縁層