(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085168
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】混注支援システム、混注支援プログラム
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20230613BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069398
(22)【出願日】2022-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2021199505
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022046021
(32)【優先日】2022-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(72)【発明者】
【氏名】西田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】三谷 直哉
(72)【発明者】
【氏名】谷内 由季
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047JJ28
4C047JJ31
4C047KK03
4C047KK24
4C047KK25
4C047KK28
4C047KK30
4C047KK31
4C047KK32
(57)【要約】
【課題】混注作業者による混注作業の適切な実施を支援することのできる混注支援システム及び混注支援プログラムを提供すること。
【解決手段】混注支援システム(1)は、薬品の混注作業における一又は複数の作業工程の内容を示す作業工程情報を提示する第1提示処理部(101)と、薬品の種類と混注作業における作業工程との組合せに対応付けて予め設定される提示情報を予め設定されるタイミングで提示する第2提示処理部(102)とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬品の混注作業における一又は複数の作業工程の内容を示す作業工程情報を提示する第1提示処理部と、
薬品の種類と混注作業における作業工程との組合せに対応付けて予め設定される提示情報を予め設定されるタイミングで提示する第2提示処理部と、
を備える、混注支援システム。
【請求項2】
前記第2提示処理部は、前記提示情報を当該提示情報に対応する前記組合せごとに設定される前記タイミングで提示する、
請求項1に記載の混注支援システム。
【請求項3】
前記タイミングは、前記混注作業の開始時、前記混注作業の終了時、前記作業工程の開始時、又は前記作業工程の終了時のいずれかである、
請求項1又は2に記載の混注支援システム。
【請求項4】
前記組合せに対応する前記提示情報及び前記タイミングのいずれか一方又は両方をユーザー操作に応じて設定する設定処理部を備える、
請求項1又は2に記載の混注支援システム。
【請求項5】
前記第2提示処理部は、前記混注作業の開始時及び終了時のいずれか一方又は両方のタイミングで、当該混注作業における全ての前記作業工程と前記薬品の種類との組合せに対応する前記提示情報を提示する、
請求項1又は2に記載の混注支援システム。
【請求項6】
前記薬品の種類は、薬品識別情報ごとに対応する薬品、予め設定された一又は複数の薬品の種類を含む薬品グループ、又は薬品が収容されている容器の種類のいずれか一又は複数を含む、
請求項1又は2に記載の混注支援システム。
【請求項7】
前記混注支援システムの動作モードを、前記提示情報が提示される第1動作モード又は前記提示情報が提示されない第2動作モードに切り替える切替処理部を備える、
請求項1又は2に記載の混注支援システム。
【請求項8】
薬品の混注作業における一又は複数の作業工程の内容を示す作業工程情報を提示する第1提示ステップと、
薬品の種類と混注作業における作業工程との組合せに対応付けて予め設定される提示情報を予め設定されるタイミングで提示する第2提示ステップと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるための混注支援プログラム。
【請求項9】
薬品の混注作業における一又は複数の作業工程の内容を示す作業工程情報を生成するために用いられる調製手順データをユーザー操作に応じて設定する設定処理部を備え、
前記設定処理部は、前記調製手順データとして、当該調製手順データを前記作業工程情報の生成に用いる調製データを特定するための条件情報と、前記調製データに基づく前記混注作業で実行するべき一又は複数の前記作業工程の内容を示す明細情報とを少なくとも設定可能である、
混注支援システム。
【請求項10】
薬品の混注作業における一又は複数の作業工程の内容を示す作業工程情報を生成する生成処理部を更に備え、
前記生成処理部は、前記調製データと前記条件情報とに基づいて前記調製手順データを特定し、当該調製データと当該調製手順データとに基づいて前記作業工程情報を生成する、
請求項9に記載の混注支援システム。
【請求項11】
前記条件情報に、前記調製手順データに対応する薬品の薬品タイプが含まれ、
前記生成処理部は、前記調製データに含まれる薬品の識別情報に対応付けて予め登録されている薬品タイプと前記条件情報に含まれる薬品タイプとに基づいて前記調製手順データを特定する、
請求項10に記載の混注支援システム。
【請求項12】
前記条件情報に、前記調製手順データに対応する薬品の識別情報が含まれ、
前記生成処理部は、前記調製データに含まれる薬品の識別情報に対応付けて予め登録されている薬品タイプ及び当該薬品の識別情報と前記条件情報に含まれる薬品タイプ及び薬品の識別情報とに基づいて前記調製手順データを特定する、
請求項10に記載の混注支援システム。
【請求項13】
前記設定処理部は、前記調製データに対応する前記調製手順データが前記生成処理部で特定されない場合に、当該調製手順データの設定を開始する、
請求項10~12のいずれかに記載の混注支援システム。
【請求項14】
前記設定処理部は、前記調製手順データの設定中又は設定後に、前記生成処理部による当該調製手順データと前記調製データとに基づく前記作業工程情報の生成結果を表示可能である、
請求項10~12のいずれかに記載の混注支援システム。
【請求項15】
薬品の混注作業における一又は複数の作業工程の内容を示す作業工程情報を生成するために用いられる調製手順データをユーザー操作に応じて設定する設定ステップを一又は複数のプロセッサーに実行させるための混注支援プログラムであって、
前記設定ステップは、前記調製手順データとして、当該調製手順データを前記作業工程情報の生成に用いる調製データを特定するための条件情報と、前記調製データに基づく前記混注作業で実行するべき一又は複数の前記作業工程の内容を示す明細情報とを少なくとも設定可能である、
混注支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗がん剤のような薬品の混注作業を支援する混注支援システム及び混注支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院又は薬局では、抗がん剤のような薬品を生理食塩液のような溶解液に混合する混注作業が薬剤師などの混注作業者によって行われる。このとき、混注作業に必要な情報を表示装置に表示することにより、その混注作業を行う混注作業者を支援する混注支援システムが使用されることがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、混注作業者が混注作業を適切に実施するためには、混注作業で使用される薬品又は混注作業で実行される作業工程についての注意事項などの情報を混注作業者が把握していることが望ましい。
【0005】
本発明の目的は、混注作業者による混注作業の適切な実施を支援することのできる混注支援システム及び混注支援プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る混注支援システムは、薬品の混注作業における一又は複数の作業工程の内容を示す作業工程情報を提示する第1提示処理部と、薬品の種類と混注作業における作業工程との組合せに対応付けて予め設定される提示情報を予め設定されるタイミングで提示する第2提示処理部とを備える。
【0007】
本発明に係る混注支援プログラムは、薬品の混注作業における一又は複数の作業工程の内容を示す作業工程情報を提示する第1提示ステップと、薬品の種類と混注作業における作業工程との組合せに対応付けて予め設定される提示情報を予め設定されるタイミングで提示する第2提示ステップとを一又は複数のプロセッサーに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、混注作業者による混注作業の適切な実施を支援することのできる混注支援システム及び混注支援プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る混注支援システムが設けられる安全キャビネットの使用状態を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る混注支援システムが設けられる安全キャビネットの使用状態を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る混注支援システムを示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る混注支援システムを示す外観図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで使用される提示情報マスターの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される設定画面の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで実行される混注支援処理の手順の一例を説明するフローチャートである。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで支援される混注作業の作業工程の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図22】
図22は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図23】
図23は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図24】
図24は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図25】
図25は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図26】
図26は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図27】
図27は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図28】
図28は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図29】
図29は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図30】
図30は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで実行される混注支援処理の手順の一例を説明するフローチャートである。
【
図31】
図31は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図32】
図32は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図33】
図33は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図34】
図34は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図35】
図35は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図36】
図36は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図37】
図37は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図38】
図38は、本発明の実施形態に係る混注支援システムの外観図であり、(A)は正面図、(B)は左側面図である。
【
図39】
図39は、本発明の実施形態に係る混注支援システムの平面図である。
【
図40】
図40は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される参照画面の一例を示す図である。
【
図41】
図41は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図42】
図42は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図43】
図43は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図44】
図44は、本発明の実施形態に係る設定端末で実行される調製手順登録処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図45】
図45は、本発明の実施形態に係る設定端末で表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図46】
図46は、本発明の実施形態に係る設定端末で表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図47】
図47は、本発明の実施形態に係る設定端末で表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図48】
図48は、本発明の実施形態に係る設定端末で表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図49】
図49は、本発明の実施形態に係る設定端末で表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図50】
図50は、本発明の実施形態に係る設定端末で表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図51】
図51は、本発明の実施形態に係る設定端末で表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図52】
図52は、本発明の実施形態に係る設定端末で表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図53】
図53は、本発明の実施形態に係る設定端末で表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図54】
図54は、本発明の実施形態に係る設定端末で表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図55】
図55は、本発明の実施形態に係る設定端末で表示される表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0011】
図1に示されるように、本発明の実施の形態に係る混注支援システム1は、混注作業者が混注作業を行う安全キャビネット100内に配置されて使用される。そして、混注支援システム1は、医師又は薬剤師などの混注作業者によって実行される抗がん剤などの薬品の混注作業の効率化を図るために使用される。
【0012】
安全キャビネット100は、前面が透明なガラス扉112で仕切られた作業室111を備える。また、ガラス扉112は、下方に開放部113が形成される位置で支持されており、混注作業者は開放部113から作業室111内にアクセス可能である。なお、安全キャビネット100には、作業室111内の空気を清浄化して排気するためのHEPAフィルタを有する空気清浄装置114なども設けられている。なお、混注支援システム1を用いて、高カロリー輸液などの毒性の無い薬品の混注作業を実施する場合には、安全キャビネット100に代えてクリーンベンチなどが用いられてもよい。
【0013】
図2に示されるように、混注作業者は、開放部113から両手を作業室111内に差し込み、作業室111内を目視しながら薬品の混注作業を行う。具体的に、混注作業では、混注作業者は、薬品容器から注射器で薬液を吸引して、生理食塩液(生食)のような溶解液が収容されている輸液バッグに注入する作業を実行することがある。また、混注作業では、混注作業者が、輸液バッグから生理食塩液のような溶解液を注射器で吸引して、粉薬が収容されている薬品容器に注入してその粉薬を溶解させ、その溶解後の薬液を注射器で吸引して輸液バッグに注入する作業を実行することもある。
【0014】
ところで、混注作業者が混注作業を適切に実施するためには、混注作業で使用される薬品又は混注作業で実行される作業工程についての注意事項などの情報を混注作業者が把握していることが望ましい。これに対し、混注支援システム1は、混注作業者による混注作業の適切な実施を支援することができる。
【0015】
具体的に、混注作業では、混注作業者によって、認証工程、風袋引き工程、計量工程、撮影工程、及び混注工程などの作業工程が順次実行される。なお、前記認証工程は、混注作業で使用する薬品を認証するための工程であり、例えば読取部13を用いて薬品の識別情報を読み取る工程である。前記風袋引き工程は、混注作業で使用する注射器などの器材のみの重量を予め計量するための工程である。前記計量工程は、薬液を吸引した状態の注射器の重量を計量するための工程である。前記撮影工程は、薬液を吸引した状態の注射器などを撮影範囲に含む画像を撮影する工程である。前記混注工程は、注射器内の薬液を結果物となる輸液バッグに注入する工程である。なお、混注作業に含まれる作業工程の種類はここで例示するものに限らない。
【0016】
[混注支援システム1]
図3及び
図4に示されるように、混注支援システム1は、制御部10、記憶部11、操作表示部12、読取部13、秤量部14、撮影部15、フットスイッチ部16、及び通信部17などを備える。混注支援システム1は、不図示の電源コードで接続される交流電源から供給される交流電圧に基づいて動作する。
【0017】
特に、混注支援システム1は、作業室111外に設けられるフットスイッチ部16を除いて、制御部10、記憶部11、操作表示部12、読取部13、秤量部14、撮影部15、及び通信部17などの構成要素が一体化された一体型装置として構成されている。そして、混注支援システム1の前記一体型装置は、安全キャビネット100の作業室111内で任意の場所に移動可能に配置される。なお、本実施形態では、作業室111外に設けられるフットスイッチ部16を除いて、前記一体型装置として、制御部10、記憶部11、操作表示部12、読取部13、秤量部14、撮影部15、及び通信部17が一体化されている場合を例に挙げて説明するが、一体化される構成要素の数及び種類はこれに限らない。例えば、混注支援システム1の構成要素のうち少なくとも操作表示部12、秤量部14、及び撮影部15が前記一体型装置として構成されていてもよい。
【0018】
図1に示されるように、混注支援システム1のうちフットスイッチ部16は作業室111外に配置され、フットスイッチ部16を除く構成要素は作業室111内に配置される。また、混注支援システム1がフットスイッチ部16を備えていない構成も考えられ、この場合には、混注支援システム1全体が安全キャビネット100の作業室111内に配置可能である。さらに、混注支援システム1には、調製データに対応する調製箋の印刷、又は混注作業の実施結果の印刷などに用いられるプリンター(不図示)が接続されてもよい。
【0019】
操作表示部12は、制御部10からの制御指示に従って各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部(出力手段)と、前記表示部に表示される各種の操作画面におけるタッチ操作を受け付けるタッチパネルなどの操作部(入力手段)とを備える。また、操作表示部12は、混注支援システム1の筐体に形成された開口部121内において上下方向の所定軸で左右方向に回動可能に支持されている。
【0020】
なお、他の実施形態として、操作表示部12が、混注支援システム1の筐体によって左右方向の所定軸で上下方向に回動可能に支持されていてもよい。さらに、他の実施形態として、操作表示部12が上下方向及び左右方向に回動可能であってもよい。例えば、操作表示部12が装着されるアタッチメントによって上下方向又は左右方向の所定軸で左右方向又は上下方向に回動可能に支持されており、当該アタッチメントが、混注支援システム1の筐体によって左右方向又は上下方向の所定軸で上下方向又は左右方向に回動可能に支持される構成が考えられる。
【0021】
また、前記操作部には、キーボード又はマウス(ポインティングデバイス)が含まれてもよく、音声認識により各種情報の入力を受け付ける音声入力装置が含まれてもよい。なお、本実施形態では、後述の作業工程情報及び提示情報が操作表示部12に表示される構成について説明するが、混注支援システム1は、後述の作業工程情報及び提示情報に対応する音声データを再生するスピーカーを出力手段として備えていてもよい。
【0022】
読取部13は、一次元コード又は二次元コードなどのコード情報を読み取り可能なコード読取装置である。具体的に、読取部13は、混注作業で使用する薬品の薬品容器などに付されており、当該薬品の種類を識別可能な薬品識別情報に対応する前記コード情報の読み取りに用いられる。また、読取部13は、調製箋などに付されており、当該調製箋に対応する調製データを識別可能な調製データ識別情報に対応する前記コード情報の読み取りにも用いられる。
【0023】
秤量部14は、
図38(A)の正面図及び
図38(B)の左側面図に示されるように、混注支援システム1では、混注作業者からの正面視で操作表示部12よりも下方の位置に設けられており、混注作業における各種の計量に用いられる電子天秤である。秤量部14は、載置部141及び表示部142などを備え、載置部141に載置される注射器、薬品、薬品容器などの各種の物の重量を測定して表示部142に表示する。また、制御部10は、秤量部14による計量結果、及び秤量部14による計量結果が安定したか否かを示す安定情報などを秤量部14からリアルタイムで取得可能である。なお、秤量部14には、風袋引き等を開始するための操作部143なども設けられている。また、秤量部14に風袋引き等を開始させるための操作は操作部143に限らず、例えば、操作表示部12に対するユーザー操作に応じて制御部10から秤量部14に操作信号が送信されることによって行われてもよい。
【0024】
撮影部15は、
図38(A)の正面図及び
図38(B)の左側面図に示されるように、混注支援システム1では、混注作業者からの正面視で操作表示部12よりも上方の位置に設けられており、秤量部14の載置部141を含む所定の撮影範囲が撮影可能なカメラを有する。即ち、混注支援システム1において、操作表示部12は、
図4及び
図38に示される上下方向において秤量部14と撮影部15との間に位置する。なお、撮影部15の撮影範囲には、秤量部14の表示部142が含まれてもよい。そして、撮影部15は、秤量部14の載置部141に載置される薬品又は器材などの静止画又は動画の撮影に用いられ、撮影された静止画又は動画は記憶部11に記憶される。また、安全キャビネット100内に流れる風が混注支援システム1によって乱れた風になり秤量部14の秤量値の安定を妨げることを抑制するため、撮影部15の上面部151は流線形となっている。さらに、
図39の平面図に示されるように、撮影部15の上面部151は、平面視で秤量部14の載置部141と干渉しておらず、当該上面部151は載置部141における作業の邪魔とならない。なお、撮影部15には、前記撮影範囲を照明する照明部が設けられていてもよい。例えば、前記照明部は、撮影部15による撮影タイミングで載置部141を照明するように制御部10によって制御される。
【0025】
フットスイッチ部16は、混注作業者が混注作業の実行中に制御部10への操作入力を足で行うための操作部である。フットスイッチ部16は、第1フットスイッチ161、第2フットスイッチ162、及び第3フットスイッチ163を備える。
【0026】
通信部17は、LAN、WAN、インターネット、又はイントラネットなどの通信網を介して無線又は有線で、設定端末2及び上位システム3等の外部機器と通信可能である。
【0027】
設定端末2は、設定処理部21及び操作表示部22を備えるパーソナルコンピュータ又はタブレット端末などである。なお、本実施形態に係る混注支援システム1を本発明に係る混注支援システムとして捉えてもよいが、混注支援システム1及び設定端末2を含むシステムを本発明に係る混注支援システムとして捉えてもよい。また、設定端末2を本発明に係る混注支援システムとして捉えてもよい。
【0028】
設定処理部21は、一又は複数のプロセッサーを有する制御部とHDD又はSSDなどの記憶部とを備え、前記制御部は前記記憶部に記憶されている制御プログラムに基づいて各種の処理を実行する。具体的に、設定処理部21は、後述の提示情報マスターD1を設定するためのマスター編集処理を実行可能である。なお、操作表示部22は、マウス又はキーボードなどの操作部と液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部とを備える。
【0029】
上位システム3は、電子カルテシステム、オーダーリングシステム、又はレセプトシステムなどであり、制御部10は、混注作業者が実行する混注作業の内容を示す調製データ(処方データ)を上位システム3から取得可能である。
【0030】
前記調製データには、患者情報(患者ID、患者氏名、身長、体重、体表面積、患者区分、妊婦授乳婦区分など)、調製日、薬品情報(薬品コード、薬品名、YJコード、薬品の区分など)、用量、レジメン識別情報などが含まれる。レジメン識別情報は、例えば療法名(レジメン名)、療法ID、又はレジメンIDなどのレジメン情報(療法)を識別可能な情報である。また、前記調製データには、医師情報、薬品容器の種類(薬液入りアンプル、薬液入りバイアル瓶、粉薬入りバイアル瓶、又は輸液バッグなど)、調製内容情報(混注作業に使用する薬品容器、注射器、注射針の種類及び本数等)、及び調製手順情報(作業内容、溶解薬、溶媒、溶解薬量、溶媒量、抜取量)、投薬日、処方箋区分、診療科、病棟などの情報が含まれていてもよい。
【0031】
制御部10は、混注支援システム1を統括的に制御するものであって、記憶部11、操作表示部12、読取部13、秤量部14、撮影部15、フットスイッチ部16、及び通信部17などの構成要素に電気的に接続されており、各種のデータ又は信号の送受信が可能である。
【0032】
制御部10は、CPU、RAM、及びROMなどを有するコンピューターである。前記CPUは、各種の演算処理を実行する一又は複数のプロセッサーを含む。前記RAMは揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が記憶される不揮発性の記憶部である。制御部10は、前記CPU及び前記RAMを用いて、前記ROM又は記憶部11に予め記憶された各種の制御プログラムに従った各種の処理を実行する。
【0033】
記憶部11には、データ領域、プログラム領域、及びマスター領域などの記憶領域が含まれる。なお、記憶部11が、HDD及び半導体メモリーなどの複数の記憶媒体を備えており、データ領域、プログラム領域、及びマスター領域が複数の記憶媒体に分散して設けられていてもよい。
【0034】
前記データ領域には、上位システム3から取得される前記調製データが蓄積して記憶される。なお、制御部10は、ユーザー操作に応じて前記調製データを新規登録又は編集することが可能であってもよい。また、前記データ領域には、前記調製データに従って混注作業者によって実行された混注作業の内容を示す履歴情報が前記調製データに対応付けて記憶される。例えば、前記履歴情報には、混注作業者、作業開始時間、作業終了時間、各種の計量結果、及び混注作業の途中で撮影される撮影画像などが含まれる。
【0035】
前記マスター領域には、薬品マスター、患者マスター、病棟マスター、医師マスター、及び薬剤師マスターなどの各種のマスター情報が記憶される。例えば、薬品マスターには、薬品ID、薬品名、薬品コード、薬瓶コード、区分(剤形:散薬、錠剤、水剤、外用薬など)、比重、薬品種(普通薬、抗がん剤、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治療薬など)、配合変化、賦形薬品、注意事項、薬品容器の種別(アンプル、バイアル瓶)、薬品容器単位の薬品の収容量(既定量)、及び薬品容器の重量などの情報が含まれる。なお、薬品IDは、YJコード、JANコード、又はRSSコードなどの識別コードである。
【0036】
また、記憶部11の前記マスター領域には、予め登録された療法などに基づく混注作業で実行するべき作業工程の内容が予め登録された調製作業マスターが記憶されている。そして、制御部10は、後述するように、前記調製データ及び前記調製作業マスターに基づいて、当該調製データに基づく混注作業として実行するべき各種の作業工程の内容を示す作業工程情報を設定することが可能である。前記作業工程情報は、前記作業工程で実行するべき作業の内容を示すメッセージ、及び前記作業の内容を示すピクトグラムなどである。
【0037】
さらに、記憶部11の前記マスター領域には、薬品の種類及び作業工程の組合せと提示情報とが対応付けられた提示情報マスターD1が記憶される。具体的に、
図5に示されるように、提示情報マスターD1では、提示情報コード、薬品情報、提示条件、提示内容が対応付けて登録されている。
【0038】
前記提示情報コードは、薬品の種類と作業工程と提示情報との組合せを識別するための識別情報である。前記薬品情報は、薬品の種類を示す薬品コード、薬品名、YJコードなどの薬品識別情報と、薬品の区分(液体薬品、粉薬品など)とを含む。
【0039】
なお、本実施形態では、前記提示情報が、前記薬品識別情報で識別可能な薬品ごとに対応付けて登録可能である場合を例に挙げて説明する。一方、本発明に係る薬品の種類の単位は、一又は複数の前記薬品識別情報に対応する一又は複数の薬品を含む薬品グループ、又は、薬品が収容されている薬品容器の種類のような予め設定されたグループ単位であってもよい。なお、本実施形態における薬品の概念には、生理食塩液などの溶解液も含まれる。
【0040】
前記提示条件は、前記提示情報を提示するか否かを判定するための条件であって、例えば患者の性別(男、女)、体表面積(最小、最大)、体重(最小、最大)、患者区分(新生児、乳幼児、小児、高齢者、成人など)、妊婦授乳婦区分(該当なし、妊婦、授乳婦など)などを含む。前記提示内容は、前記提示情報(メッセージ)、前記提示情報の表示の有無、前記提示情報に対応する作業工程(表示タイミング)などを含む。
【0041】
例えば、
図5に示される例では、提示情報コードTU001について、薬品の種類である「5-FU250mg」と、作業工程である「混注工程」との組合せに対応付けて、当該混注工程の実行タイミングで表示するべきメッセージが提示情報として登録されている。例えば、前記メッセージは、混注作業で使用される薬品又は混注作業で実行される作業工程についての注意事項などの情報である。また、前記提示情報の表示の有無は「1(有)」に設定されている。さらに、前記提示情報の提示条件として、患者の体表面積最小が「110」であり、患者区分が「小児」であることが登録されている。そして、後述するように、制御部10は、患者の体表面積が「110」未満であり、患者区分が「小児」である場合には、混注作業で使用される薬品の種類が「5-FU250mg」であり、混注作業における「混注工程」が実行される場合に、当該混注工程の実行タイミングで前記提示情報を操作表示部12に表示させる。
【0042】
前記プログラム領域には、制御部10に後述の混注支援処理などを実行させるための混注支援プログラムが記憶される。なお、前記プログラム領域には、オペレーティングシステム及びブラウザソフトなどの他のアプリケーションプログラムが記憶されてもよい。
【0043】
そして、制御部10は、第1提示処理部101、第2提示処理部102、設定処理部103、及び切替処理部104などの各種の処理部を含む。なお、制御部10は、前記混注支援プログラムに従って各種の処理を実行することにより、第1提示処理部101、第2提示処理部102、設定処理部103、及び切替処理部104として機能する。他の実施形態として、制御部10が有する一部又は全部の処理部が電子回路で構成されてもよい。
【0044】
第1提示処理部101は、薬品の混注作業における一又は複数の作業工程の内容を示す作業工程情報を提示する。また、第2提示処理部102は、薬品の種類と混注作業における作業工程との組合せに対応付けて予め設定される前記提示情報を予め設定されるタイミングで操作表示部12に提示する。第1提示処理部101及び第2提示処理部102は、前記作業工程情報及び前記提示情報を、例えば表示、音声再生、印刷、データ送信などの各種の出力手法によって混注作業者に提示する。本実施形態では、前記作業工程情報及び前記提示情報が、操作表示部12に表示することによって混注作業者に提示される場合を例に挙げて説明する。
【0045】
設定処理部103は、前記組合せに対応する前記提示情報及び前記タイミングのいずれか一方又は両方をユーザー操作に応じて設定する。具体的に、設定処理部103は、ユーザー操作に応じて、提示情報マスターD1についての追加、修正、又は削除などを含むマスター編集処理を実行することが可能である。
【0046】
ここで、前記マスター編集処理の一例について説明する。なお、ここでは設定端末2の設定処理部21によって実行される前記マスター編集処理について説明するが、制御部10の設定処理部103によって同様のマスター編集処理が実行されてもよい。例えば、混注支援システム1の制御部10に、不図示の設定用モニター及び設定用操作部が接続可能であり、制御部10の設定処理部103が前記設定用モニター及び前記設定用操作部を用いて前記マスター編集処理を実行してもよい。なお、前記設定用モニターは、操作表示部12よりも大きいサイズであり、前記設定用操作部は、キーボード及びマウスなどである。
【0047】
まず、設定処理部21は、ユーザーによる操作表示部22への所定操作に応じて、提示情報マスターD1を混注支援システム1の記憶部11から読み出し、当該提示情報マスターD1を編集するための設定画面P1(
図6参照)を操作表示部22に表示させる。前記所定操作は、編集対象の薬品の種類を検索して選択する操作、及び当該薬品の種類に対応する提示情報マスターD1の編集を開始するための操作などを含み、設定処理部21は、選択された薬品の種類に対応する提示情報マスターD1の情報を編集するための設定画面P1を表示する。
【0048】
具体的に、
図40には、提示情報マスターD1の内容を参照するための参照画面P0の一例が示されている。
図40に示されるように、参照画面P0には、表示領域A1~A5が表示される。表示領域A1では、検索対象となる薬品について一又は複数のタイプの選択が可能である。また、表示領域A2では、検索対象となる薬品、組合せ薬品、療法、手技・ルート、患者情報、又は提示情報(部分一致)などについて検索条件が入力可能である。ここで、制御部10は、参照画面P0において、表示領域A1又は表示領域A2のいずれかの検索手法をユーザー操作に応じて選択可能である。さらに、表示領域A3では、検索対象となる作業工程の選択、及び、検索対象を抗がん剤に絞り込むか否かの選択が可能である。
【0049】
そして、制御部10は、検索を開始するための操作キーK1が操作された場合、その時点で選択されている表示領域A1又は表示領域A2で入力された内容と、表示領域A3で入力されている内容とを検索条件に合致する検索結果データを提示情報マスターD1から抽出する。具体的に、制御部10は、前記検索結果データとして抽出された薬品の種類と後述の提示条件との組合せを表示領域A4に表示させる。ここで、制御部10は、表示領域A4において、ユーザー操作によって薬品の種類と提示条件との組合せのいずれかの行が選択されると、当該組合せに対応付けて登録されている前記提示情報の一覧を表示領域A5に表示させる。また、制御部10は、表示領域A4において薬品の種類と提示条件との組合せのいずれかの行が選択された状態で操作キーK2が操作されると、当該組合せにおける薬品の種類に対応する前記提示情報を編集するための設定画面P1を操作表示部12に表示する。
【0050】
図6に示されるように、設定画面P1では、編集対象の薬品の情報が表示される表示領域A11、前記提示条件を設定するための表示領域A12、前記提示内容を設定するための表示領域A13、及び参考情報が表示される表示領域A14などが表示される。
【0051】
また、設定画面P1では、ユーザー操作を受け付けるための操作キーK11~K13が表示されている。設定処理部21は、操作キーK11の操作に応じて、設定画面P1の入力内容を提示情報マスターD1に登録し、当該提示情報マスターD1を混注支援システム1の記憶部11に記憶する。また、設定処理部21は、操作キーK12又はK13の操作に応じて、操作対象として選択された表示領域A12又はA13について行の挿入又は行の削除を実行する。
【0052】
表示領域A11には、編集対象の薬品の種類に対応する薬品識別情報として薬品コード、薬品名、及びYJコードが表示されており、当該薬品の区分(液体薬品、粉薬品など)も表示される。
【0053】
表示領域A12には、編集対象の薬品の種類に対応する前記提示情報を表示するか否かを判定するための提示条件が表示されており、設定処理部21は、表示領域A12に対するユーザー操作に応じて前記提示条件を編集する。例えば、前記提示条件には、組合せ薬品、療法、手技・ルート、性別、体表面積最小、体表面積最大、体重最小、体重最大、患者区分、妊婦授乳婦区分などの条件が含まれる。
図6に示される例では、表示領域A12の先頭行において、組合せ薬品が「生食」、療法が「A療法」、手技・ルートが「点滴静注」、体表面積最小が「110」、患者区分が「小児」であることが提示条件として登録されている状態が示されている。
【0054】
表示領域A13には、薬品の種類と作業工程との組合せに対応付けて登録する提示情報各々について、表示有無設定領域A131、工程設定領域A132、提示情報設定領域A133が表示されている。設定処理部21は、表示領域A12において選択される行に対応する前記提示条件と対応付けて登録する前記提示情報などを表示領域A13に表示する。具体的に、制御部10は、表示領域A13におけるユーザー操作に応じて、表示領域A12で選択されている一又は複数の前記提示条件に対応付けて一又は複数の前記提示情報を登録することが可能である。例えば、表示領域A12において複数の前記提示条件が選択されている状態で表示領域A13に前記提示情報が入力された場合、当該提示条件各々に対応付けて当該提示情報が登録される。また、表示領域A12において一の前記提示条件が選択されている状態で表示領域A13に複数の前記提示情報が入力された場合、当該提示条件に対応付けて複数の当該提示情報が登録される。なお、表示領域A13において複数の提示情報が登録される場合には、表示領域A13における前記提示情報各々に対応する行の表示順が、後述するように前記提示情報の一覧が表示される際の優先順位となる。設定処理部21は、表示領域A13における前記提示情報各々に対応する行の表示順(提示情報の優先順位)をユーザー操作に応じて変更可能である。
【0055】
設定処理部21は、表示有無設定領域A131のユーザー操作に応じて、当該表示有無設定領域A131と同じ行で設定される提示情報の表示の有無を切り替える。また、設定処理部21は、工程設定領域A132の操作に応じて、当該工程設定領域A132と同じ行で設定される提示情報に対応付ける作業工程を設定する。例えば、設定処理部21は、工程設定領域A132の操作に応じて、予め設定された一又は複数の作業工程を選択候補としてプルダウン表示し、その中から選択された作業工程を前記提示情報に対応付ける作業工程として設定する。
【0056】
また、工程設定領域A132では、作業工程を指定しない「指定なし」を選択することも可能であり、この場合、
図5に示される提示情報マスターD1では、対応する作業工程の欄が空白となる。なお、対応する作業工程が「指定なし」に設定されている前記提示情報は、後述するように前記混注作業の開始時及び終了時に表示される前記提示情報の一覧にのみ表示され、前記混注作業における各作業工程の開始時には表示されない。このように、提示情報マスターD1では、前記混注作業における作業工程の一種として「指定なし」を設定することが可能であり、この「指定なし」と薬品の種類との組合せに対応付けて前記提示情報が設定されている場合、第2提示処理部102は、前記提示情報を予め設定されるタイミングで提示することが可能である。即ち、本発明における作業工程とは、前記混注作業において実際に実施される工程のみでなく、提示情報マスターD1等において作業工程の項目にデータとして設定し得る仮想的な工程を含むものであってもよい。
【0057】
さらに、設定処理部21は、提示情報設定領域A133において、現在の編集対象の薬品の種類と工程設定領域A132で設定される作業工程との組合せに対応する提示情報として登録する注意事項などのメッセージの入力を受け付ける。また、設定処理部21は、後述するように表示領域A14の内容を表示領域A13に反映させることも可能である。
【0058】
表示領域A14には、過去に混注支援システム1に入力された調製データ(又は処方データ)の内容が、表示領域A13で設定する各種の情報の選択候補として表示される。例えば、設定処理部21は、混注支援システム1に入力された前記調製データに示される混注作業の内容、患者の情報、コメント等を前記選択候補として蓄積して記憶して表示領域A14に表示させる。特に、設定処理部21は、提示情報マスターD1と前記調製データ各々との差分を取得し、当該提示情報マスターD1に前記提示情報として登録されていないコメントが前記調製データに含まれている場合に、当該コメントを表示領域A14に表示する前記提示情報の候補として記憶部11に記憶する。また、提示情報マスターD1に前記提示情報として登録されていないコメントのうち、予め設定されたキーワードが部分一致するコメントのみが前記提示情報の候補として記憶されてもよい。なお、設定処理部21により前記提示情報の候補が記憶される処理は、予め設定されたタイミング又は間隔で自動的に実行される。また、表示領域A14には、表示領域A14の内容を表示領域A13に反映させるための操作キーK14が表示されている。そして、設定処理部21は、表示領域A14においていずれかの選択候補が選択され、操作キーK14が操作された場合に、その選択された選択候補の内容を表示領域A13における前記提示情報に反映させる。これにより、ユーザーは、表示領域A13における前記提示情報を容易に設定することが可能である。なお、表示領域A14では、過去に入力された調製データに基づいて蓄積された前記選択候補のうち、表示領域A11に表示されている種類の薬品が混注作業で使用された調製データに基づいて蓄積された選択候補のみが表示されてもよい。また、表示領域A12において少なくとも一部が入力されている場合には、その入力された前記提示条件の内容に合致する前記選択候補のみが表示領域A14に表示されてもよい。
【0059】
そして、表示領域A12及びA13に情報が入力された後、操作キーK11が操作されると、設定処理部21は、表示領域A13に表示されている提示情報を、表示領域A11に表示されている薬品の種類と、表示領域A13に表示されている作業工程との組合せに対応付けて提示情報マスターD1に登録する。なお、設定処理部21は、設定画面P1を用いた提示情報マスターD1の登録作業の途中又は登録完了後に、設定画面P1で入力されている内容に基づいて実際に後述の混注支援画面P2に前記提示情報が表示される際のプレビュー画面などを表示してもよい。例えば、設定処理部21は、後述する混注支援処理によって順に表示される一連の混注支援画面P2を前記プレビュー画面として順に表示してもよい。
【0060】
切替処理部104は、混注支援システム1の動作モードを、ビギナーモード又はエキスパートモードに切り替える。前記ビギナーモードは、前記提示情報が予め設定されたタイミングで提示される第1動作モードの一例であり、例えば混注作業者の熟練度が比較的低い場合に用いられる動作モードである。前記エキスパートモードは、前記提示情報が提示されない第2動作モードの一例であり、例えば混注作業者の熟練度が比較的高い場合に用いられる動作モードである。具体的に、切替処理部104は、ユーザー操作に応じて混注支援システム1の動作モードを切り替え可能である。また、切替処理部104は、混注支援システム1にログイン中の混注作業者の識別情報又は当該混注作業者に予め対応付けられた熟練度(技能レベル)に応じて自動的に混注支援システム1の動作モードを切り替えてもよい。
【0061】
[混注支援処理:ビギナーモード]
以下、
図7を参照しつつ、混注支援システム1の動作モードが前記ビギナーモードである場合に、制御部10によって実行される混注支援処理について説明する。例えば、前記混注支援処理は、混注作業者が操作表示部12を用いてID及びパスワードなどを入力して混注支援システム1にログインし、動作モードとして前記ビギナーモードが選択された場合に、制御部10によって実行される。以下では、前記混注支援処理で操作表示部12に表示される混注支援画面P2の一例について
図9~
図29を用いて説明する。なお、
図9~
図29に示されるように、説明の便宜上、前記混注支援処理で順に表示される各種の前記混注支援画面P2に異なる符号を付して説明する。
【0062】
<ステップS10>
ステップS10において、制御部10は、処理対象となる調製データの選択を受け付ける。具体的に、制御部10は、調製箋又は処方箋などに記載された調製データ識別情報が読取部13によって読み取られた場合に、当該調製データ識別情報に対応する調製データが処理対象として選択されたと判断する。また、制御部10は、混注作業が未実施の調製データの一覧画面P20(
図41参照)を表示させ、当該一覧画面からユーザー操作に応じて処理対象となる調製データを選択してもよい。
図41に示されるように、制御部10は、一覧画面P20において、指定される検索条件に基づいて調製データを検索して表示させる。また、制御部10は、一覧画面P20の操作キーK201の操作に応じて、混注支援システム1の動作モードをビギナーモード、エキスパートモードなどに切替可能である。なお、制御部10は、一覧画面P20の表示領域A201に、混注支援システム1の現在の動作モードを表示することにより、当該動作モードをユーザーに提示する。そして、前記調製データが選択されると、処理がステップS11に移行する。以下、ステップS10で処理対象として選択された調製データを対象調製データと称することがある。
【0063】
<ステップS11>
ステップS11において、制御部10は、前記対象調製データと前記調製作業マスターとに基づいて、当該対象調製データに基づいて実行するべき混注作業の内容(作業工程情報)を設定する。なお、このように前記対象調製データと前記調製作業マスターとに基づいて作業工程情報を生成する処理を実行するときの制御部10が本発明に係る生成処理部の一例である。また、第1提示処理部101が前記ステップS11を実行してもよく、この場合、第1提示処理部101が本発明に係る生成処理部の一例である。なお、前記混注作業の内容は前記対象調製データに含まれていてもよく、この場合、制御部10は、前記対象調製データに含まれる前記混注作業の内容を、当該対象調製データに基づいて実行するべき混注作業の内容として設定する。なお、前記調製データに前記混注作業の内容が含まれる場合は、例えば上位システム3において、前記対象調製データに対応する処方データと前記調製作業マスターとに基づいて前記混注作業の内容が設定される。
【0064】
以下、本実施形態では、
図8に示されるように、前記混注作業の内容として、第1調製手順の「生食500mLの調製」、第2調製手順の「5-FU注250mgの調製」、第3調製手順の「生食500mLに混合」の三つの調製手順が設定される場合を例に挙げて説明する。また、
図8に示されるように、前記第1調製手順(生食500mLの調製)では、認証工程、風袋引き工程、計量工程、及び撮影工程が順に実行される。同様に、前記第2調製手順(5-FU注250mgの調製)では、認証工程、風袋引き工程、計量工程、及び撮影工程が順に実行される。また、前記第3調製手順(生食500mLに混合)では、混注工程が実行される。そして、前記混注支援処理では、前記第1調製手順について、
図11~
図16に示される混注支援画面P2(P23~P28)が順に表示され、前記第2調製手順について、
図17~
図25に示される混注支援画面P2(P31~P39)が順に表示され、前記第3調製手順について、
図26~
図28に示される混注支援画面P2(P41~P43)が順に表示される。その後、前記混注作業が終了すると、
図29に示される混注支援画面P2(P44)が表示される。
【0065】
<ステップS12>
ステップS12において、制御部10は、前記対象調製データの内容などが表示される混注支援画面P21(
図9参照)を操作表示部12に表示する。
図9に示されるように、混注支援画面P21には、表示領域A20~表示領域A23などが表示される。
【0066】
表示領域A20には、操作表示部12に順に表示される混注支援画面P21などの混注支援画面P2各々の表示内容の概略を示す文字列が表示される。
図9に示される例では、表示領域A20に、混注支援画面P21の表示内容が調製データの内容である旨を示す「処方内容」が表示されている。
【0067】
表示領域A21には、前記対象調製データの内容が表示される。
図9に示される例では、表示領域A21に、前記対象調製データに示される、療法名、薬品の種類、1回量、払出量、及び用法などの各種の情報が表示されている。
【0068】
表示領域A22には、前記対象調製データに基づく混注作業で使用される薬品の種類及び数量などが表示される。
図9に示される例では、表示領域A22に、「5-FU注250mg」の薬品が3瓶必要であり、「生食500mL」の薬品が1袋必要である旨が表示されている。
【0069】
表示領域A23には、前記対象調製データに基づく混注作業で使用される機器の種類及び数量などが表示される。
図9に示される例では、表示領域A23に、「20mLシリンジ」が二本、「閉鎖式器具」の使用が「有」である旨が表示されている。なお、二本の「20mLシリンジ」のうち一本の注射器は「生食500mL」から薬液を抜き取るために用いられものであり、当該注射器に代えて抜き取り容器などが用いられてもよい。
【0070】
なお、他の実施形態として、混注支援画面P21に、混注作業者名(薬剤師名)、鑑査者名、診療科、病棟、服用開始日、医師名、患者名(患者ID)、年齢、性別などの他の情報が表示されてもよい。
【0071】
また、混注支援画面P21などの混注支援画面P2各々には、操作キーK21~K23が表示されており、制御部10は、操作表示部12における操作キーK21~K23のタッチ操作を受け付けて対応する処理を実行する。さらに、制御部10は、第1フットスイッチ161が操作された場合にも、操作キーK21の操作が行われたと判断する。同様に、制御部10は、第2フットスイッチ162が操作された場合には操作キーK22の操作が行われたと判断し、第3フットスイッチ163が操作された場合には操作キーK23の操作が行われたと判断する。
【0072】
具体的に、制御部10は、混注支援画面P21が表示されている状態で、混注作業者が混注支援画面P21を確認して操作キーK23又は第3フットスイッチ163を操作した場合に、処理をステップS13に移行させる。
【0073】
<ステップS13>
ステップS13において、制御部10は、前記対象調製データに基づく混注作業についての注意事項などの前記提示情報の一覧(表示領域A31)が表示される混注支援画面P22(
図10参照)を操作表示部12に表示する。このとき、制御部10は、提示情報マスターD1に登録されている前記提示情報を、当該提示情報に対応する前記優先順序(
図6の表示領域A13における表示順)に従った順で並べて表示領域A31に表示する。そして、制御部10は、操作キーK23又は第3フットスイッチ163が操作された場合に、処理をステップS14に移行させる。なお、このように予め設定された前記混注作業の開始タイミングで前記提示情報の一覧を提示する処理は第2提示ステップの一例であり、制御部10の第2提示処理部102によって実行される。
【0074】
具体的に、制御部10は、前記対象調製データで使用される薬品の種類と当該対象調製データに基づく混注作業で実行される作業工程との組合せに対応する全ての前記提示情報を提示情報マスターD1から抽出する。そして、制御部10は、抽出された前記提示情報のうち前記対象調製データの内容が当該提示情報に対応する前記提示条件を満たし、且つ、表示の有無が「1(有)」に設定されている提示情報を特定し、当該特定された提示情報の一覧を混注支援画面P22に表示する。これにより、混注作業者は、前記調製データに基づく混注作業の開始時に、当該混注作業の全体における注意事項などの前記提示情報を纏めて把握することが可能である。一方、抽出された前記提示情報のうち前記対象調製データの内容が当該提示情報に対応する前記提示条件を満たさない提示情報、又は、表示の有無が「0(無)」に設定されている提示情報については混注支援画面P22に表示されない。
【0075】
例えば、
図5の提示情報マスターD1に示される例では、薬品の種類である「5-FU250mg」と、作業工程である「認証工程」、「計量工程」、「撮影工程」、「混注工程」、「指定なし」との組合せ各々について前記提示情報が設定されている。また、「5-FU250mg」と「混注工程」との組合せについては、前記提示条件として体表面積最小「110」及び患者区分「小児」が設定されている。そのため、前記対象調製データに「5-FU250mg」が含まれ、当該対象調製データに基づく混注作業に「混注工程」が含まれる場合であって、当該対象調製データに対応する患者の体表面積が「110」未満であり、患者の患者区分が「小児」である場合、即ち前記提示条件を満たす場合には、「5-FU250mg」と「混注工程」との組合せに対応する前記提示情報が表示される。一方、前記対象調製データに「5-FU250mg」が含まれ、当該対象調製データに基づく混注作業に「混注工程」が含まれる場合であっても、当該対象調製データに対応する患者の体表面積が「110」以上である場合、又は、患者の患者区分が「小児」でない場合、即ち前記提示条件を満たさない場合には、「5-FU250mg」と「混注工程」との組合せに対応する前記提示情報は表示されない。
【0076】
また、
図5の提示情報マスターD1に示される例では、「5-FU250mg」について、作業工程が「指定なし」となっている前記提示情報として、「全ての薬品及び器材を取り揃えてから調製作業を開始してください。」のメッセージが登録されている。制御部10は、提示情報マスターD1において、対応する作業工程が「指定なし」に設定されている前記提示情報については、混注支援画面P22及び後述の混注支援画面P44の一覧には表示させるが、各作業工程の開始時には表示させない。なお、本実施形態では、「指定なし」の作業工程に対応付けて登録された前記提示情報が、混注作業の開始時及び終了時などの予め設定されたタイミングで提示される場合を例に挙げて説明する。一方、他の手法として、
図9の混注支援画面P21に表示される前記対象調製データの内容などを確認する確認工程、又は、後述の混注支援画面P44(
図29参照)において混注結果などを確認する確認工程を前記作業工程の一例として提示情報マスターD1に登録可能であってもよい。そして、提示情報マスターD1において、前記確認工程が、薬品の種類と前記提示情報との組合せに対応付けて登録されている場合、制御部10は、当該提示情報を前記確認工程の開始時又は終了時などの予め設定されるタイミングで混注支援画面P2に表示させることが可能である。また、提示情報マスターD1では、一つの前記組合せに対応付けられた前記提示情報の表示タイミングとして複数のタイミングを登録することが可能であってもよい。
【0077】
<ステップS14>
ステップS14において、制御部10は、前記対象調製データに基づく混注作業に含まれる調製手順を順に実行対象として選択する。なお、以下では、ここで選択される調製手順を対象調製手順と称することがある。
【0078】
具体的に、前記混注作業に、前記第1調製手順(生食500mLの調製)、前記第2調製手順(5-FU注250mgの調製)、前記第3調製手順(生食500mLに混合)の三つの調製手順が含まれる場合、制御部10は、ステップS14が実行される度に、前記調製手順各々を順に実行対象として選択する。そして、制御部10は、選択した調製手順を識別可能な態様で混注支援画面P23(
図11参照)に表示する。例えば、ステップS14が最初に実行される場合には、
図11に示されるように、最初に選択される前記第1調製手順の「生食500mLの調製」が識別可能な態様(太線で囲まれる態様)で表示される。なお、ステップS14が2回目に実行される場合には、
図17に示されるように、前記第2調製手順の「5-FU注250mgの調製」が識別可能な態様で表示され、ステップS14が3回目に実行される場合には、
図26に示されるように、前記第3調製手順の「生食500mLに混合」が識別可能な態様で表示される。
【0079】
<ステップS15>
ステップS15において、制御部10は、前記対象調製手順に含まれる作業工程を順に実行対象として順次選択する。なお、以下では、ここで選択される作業工程を対象作業工程と称することがある。
【0080】
具体的に、本実施形態では、前記第1調製手順に、認証工程、風袋引き工程、計量工程、撮影工程が作業工程として含まれ、前記第2調製手順に、認証工程、風袋引き工程、計量工程、撮影工程が作業工程として含まれ、前記第3調製手順には、混注工程が作業工程として含まれる場合を例に挙げて説明する。例えば、制御部10は、前記対象調製手順が前記第1調製手順又は前記第2調製手順である場合には、ステップS15が実行されるごとに、認証工程、風袋引き工程、計量工程、撮影工程がこの順で実行対象として選択される。
【0081】
<ステップS16>
ステップS16において、制御部10は、前記対象作業工程に対応する前記提示情報の有無を判定する。具体的に、制御部10は、前記対象作業工程と、当該対象作業工程で用いられる薬品の種類との組合せに対応する提示情報を提示情報マスターD1から抽出する。そして、抽出された前記提示情報の中に、前記対象調製データの内容が当該提示情報の前記提示条件を満たし、且つ、表示の有無が「有」に設定されている提示情報が存在する場合に、前記対象作業工程に対応する提示情報が存在すると判定する。ここで、制御部10は、前記対象作業工程に対応する提示情報が存在すると判定すると(S16:Yes)、処理をステップS17に移行させる。
【0082】
一方、制御部10は、前記対象作業工程と、当該対象作業工程で用いられる薬品の種類との組合せに対応する提示情報が提示情報マスターD1に登録されていない場合には、当該対象作業工程に対応する提示情報が存在しないと判定する。また、制御部10は、前記対象作業工程と、当該対象作業工程で用いられる薬品の種類との組合せに対応する提示情報が提示情報マスターD1から抽出された場合であっても、前記対象調製データの内容が当該提示情報に対応する提示条件を満たさない場合、又は、当該提示情報の表示有無が「無」に設定されている場合には、当該対象作業工程に対応する提示情報が存在しないと判定する。そして、制御部10は、前記対象作業工程に対応する提示情報が存在しないと判定すると(S16:No)、処理をステップS18に移行させる。
【0083】
<ステップS17>
ステップS17において、制御部10は、前記対象作業工程に対応する前記提示情報を操作表示部12の混注支援画面P2(
図18等参照)に表示させる。即ち、制御部10は、前記対象作業工程の開始時のタイミングで、当該対象作業工程と薬品の種類との組合せに対応付けられた前記提示情報を混注作業者に提示する。そして、制御部10は、操作キーK23又は第3フットスイッチ163が操作された場合に、処理をステップS18に移行させる。なお、このように予め設定された前記対象作業工程の開始タイミングで前記提示情報を提示する処理は第2提示ステップの一例であり、制御部10の第2提示処理部102によって実行される。
【0084】
また、本実施形態では、前記対象作業工程の開始時のタイミングが、当該対象作業工程に対応する前記提示情報の表示タイミングとして予め設定されている場合について説明するが、前記提示情報ごとに、前記対象作業工程の開始時又は終了時などのタイミングを表示タイミングとして設定可能であってもよい。なお、本実施形態では、前記提示情報に対応付けられる前記作業工程の指定によって、当該提示情報の表示タイミングが当該作業工程の開始時又は終了時などに設定される場合を例に挙げて説明するが、前記提示情報に対応する前記作業工程とは別に当該提示情報の表示タイミングが設定可能であってもよい。また、前記提示情報各々の表示タイミングは、前記作業工程の開始時又は終了時などのように当該作業工程を基準として設定される他、前記混注作業の開始時又は終了時などのように当該混注作業を基準として設定可能であってもよい。さらに、前記提示情報は、前記対象作業工程の作業工程情報が表示されるステップS18において、当該対象作業工程の作業工程情報と同じタイミングで操作表示部12に表示されてもよい。なお、ステップS18で表示される前記対象作業工程の前記作業工程情報が操作表示部12に表示されるタイミングで、前記提示情報が音声で再生されることにより混注作業者に提示されてもよい。
【0085】
<ステップS18>
ステップS18において、制御部10は、前記対象作業工程に対応する前記作業工程情報を操作表示部12の混注支援画面P2に表示させる。その後、混注作業者が前記対象作業工程を実施し、操作キーK23又は第3フットスイッチ163を操作した場合に、制御部10は処理をステップS19に移行させる。なお、このように前記作業工程情報を提示する処理は第1提示ステップの一例であり、制御部10の第1提示処理部101によって実行される。
【0086】
具体的に、前記対象作業工程が前記認証工程である場合は、
図12に示されるように、生食500mLの認証を促すためのピクトグラム及びメッセージなどの前記作業工程情報が表示される混注支援画面P24を操作表示部12に表示させる。これにより、混注作業者は、生食500mLのコード情報を読取部13で読み取らせるための作業を行う。その後、前記コード情報が読取部13で読み取られ、操作キーK23又は第3フットスイッチ163が操作された場合に、制御部10は処理をステップS19に移行させる。なお、制御部10は、ここで読み取られた結果を、前記対象調製データに基づく混注作業の履歴情報として、当該対象調製データに対応付けて記憶部11に記憶する。なお、
図12、
図13、
図14、
図16、
図19、
図20、
図22、
図25、
図28などのように、操作キーK22に「処方・注意」が表示されている状態で当該操作キーK22が操作されると、制御部10は、混注支援画面P21(
図10参照)の表示領域A31で表示されていた前記提示情報の一覧を表示する。例えば、
図12に示されている混注支援画面P24が表示されている状態で操作キーK22が操作されると、
図42に示されるように、
図10の混注支援画面P22で表示領域A31に表示されていた前記注意事項の一覧を表示領域A24に表示させる。なお、表示領域A31に前記注意事項の一覧が収まらない場合、制御部10は、表示領域A31におけるスクロール操作に応じて、当該表示領域A31の表示をスクロールして表示対象の前記注意事項を変更可能である。また、制御部10は、
図42の混注支援画面P22における操作キーK22の操作に応じて、操作表示部12の表示画面を
図12の混注支援画面P24に戻す。
【0087】
前記対象作業工程が前記風袋引き工程である場合は、
図13に示されるように、秤量部14の風袋引きを促すためのピクトグラム及びメッセージなどの前記作業工程情報が表示される混注支援画面P25を操作表示部12に表示させる。これにより、混注作業者は、秤量部14の載置部141に空の注射器を載置し、秤量部14に対して風袋引きを開始するための操作を行う。その後、秤量部14による風袋引きが終了し、操作キーK23又は第3フットスイッチ163が操作された場合に、制御部10は処理をステップS19に移行させる。なお、制御部10は、ここで行われた風袋引きの結果を、前記対象調製データに基づく混注作業の履歴情報として、当該対象調製データに対応付けて記憶部11に記憶する。
【0088】
前記対象作業工程が前記計量工程である場合は、
図14に示されるように、秤量部14による計量を促すためのメッセージ等の前記作業工程情報が表示される混注支援画面P26を操作表示部12に表示させる。また、混注支援画面P26には、生食500mLの抜き取り量である「15mL」に対応する計量目標値として「15.72g」も表示される。これにより、混注作業者は、注射器を用いて生食500mLを「15mL」だけ抜き取り、当該注射器を秤量部14の載置部141に載置して計量し、当該注射器の重量が前記計量目標値となるようにする。その後、秤量部14による秤量結果が前記計量目標値に対して所定の誤差範囲内となり、操作キーK23又は第3フットスイッチ163が操作された場合に、制御部10は処理をステップS19に移行させる。なお、制御部10は、ここで計量された結果を、前記対象調製データに基づく混注作業の履歴情報として、当該対象調製データに対応付けて記憶部11に記憶する。
【0089】
前記対象作業工程が前記撮影工程である場合は、
図15に示されるように、撮影部15による撮影を促すためのメッセージ等の前記作業工程情報が表示される混注支援画面P27を操作表示部12に表示させる。混注支援画面P27には、撮影部15により撮影される画像が表示される。これにより、混注作業者は、混注支援画面P27を参照しつつ、操作キーK23又は第3フットスイッチ163を操作することにより、撮影部15により秤量部14の載置部141及び当該載置部141に載置された注射器等の画像を撮影する。そして、画像が撮影されると、制御部10は、
図16に示されるように、撮影部15による撮影画像が表示される混注支援画面P28を操作表示部12に表示させる。その後、操作キーK23又は第3フットスイッチ163が操作された場合に、制御部10は処理をステップS19に移行させる。なお、制御部10は、ここで撮影された画像を、前記対象調製データに基づく混注作業の履歴情報として、当該対象調製データに対応付けて記憶部11に記憶する。
【0090】
<ステップS19>
ステップS19において、制御部10は、前記対象調製手順が終了したか否かを判定する。そして、制御部10は、前記対象調製手順が終了した場合には(S19:Yes)、処理をステップS20に移行させ、前記対象調製手順が終了していない場合には(S19:No)、処理をステップS15に戻す。これにより、制御部10は、前記対象調製手順における全ての作業工程が終了するまで、前記ステップS15~S18の処理が同様に実行することになる。
【0091】
<ステップS20>
ステップS20において、制御部10は、前記対象調製データに基づく混注作業が終了したか否かを判定する。そして、制御部10は、前記混注作業が終了した場合には(S20:Yes)、処理をステップS21に移行させ、前記混注作業が終了していない場合には(S20:No)、処理をステップS14に戻す。これにより、制御部10は、前記混注作業における全ての調製手順が終了するまで、前記ステップS14~S19の処理が同様に実行されることになる。
【0092】
具体的に、前記第1調製手順が終了すると、次に前記第2調製手順が前記対象調製手順として選択され、
図17に示されるように、前記ステップS14で、前記第2調製手順の「5-FU注250mgの調製」が識別可能な態様で表示される。その後、ステップS15~S18では、前記第2調製手順に含まれる認証工程、風袋引き工程、計量工程、撮影工程が順に対象作業工程として選択され、前記提示情報及び前記作業工程情報などが順に表示される。
【0093】
例えば、前記認証工程が前記対象作業工程として選択され、当該認証工程と薬品の種類との組合せに対応する前記提示情報が登録されている場合には、当該組合せに対応する前記提示情報が表示される混注支援画面P32(
図18参照)が表示された後、当該認証工程の前記作業工程情報が表示される混注支援画面P33(
図19参照)が操作表示部12に表示される。なお、
図19に示されるように、混注支援画面P33では、「5-FU注250mg」の薬品が3瓶必要である旨が「0/3」で表現されており、読取部13により前記薬品のコード情報が読み取られる度に、「1/3」、「2/3」、「3/3」に更新され、前記コード情報の認証が3回行われると、次の風袋引き工程が対象作業工程として選択される。
【0094】
また、前記風袋引き工程が前記対象作業工程として選択され、当該風袋引き工程と薬品の種類との組合せに対応する前記提示情報が登録されていない場合には、前記提示情報が表示されず、前記風袋引工程の前記作業工程情報が表示される混注支援画面P34(
図20参照)が操作表示部12に表示される。
【0095】
また、前記計量工程が前記対象作業工程として選択され、当該計量工程と薬品の種類との組合せに対応する前記提示情報が登録されている場合には、当該組合せに対応する前記提示情報が表示される混注支援画面P35(
図21参照)が表示された後、当該計量工程の前記作業工程情報が表示される混注支援画面P36(
図22参照)が操作表示部12に表示される。
【0096】
また、前記撮影工程が前記対象作業工程として選択され、当該撮影工程と薬品の種類との組合せに対応する前記提示情報が登録されている場合には、当該組合せに対応する前記提示情報が表示される混注支援画面P37(
図23参照)が表示された後、当該撮影工程の前記作業工程情報が表示される混注支援画面P38、P39(
図24、
図25参照)が操作表示部12に表示される。
【0097】
その後、前記第2調製手順が終了すると、次に前記第3調製手順が前記対象調製手順として選択され、
図26に示されるように、前記ステップS14で、前記第3調製手順の「生食500mLに混合」が識別可能な態様で表示される。その後、ステップS15~S18では、前記第3調製手順に含まれる混注工程が対象作業工程として選択され、前記提示情報及び前記作業工程情報などが表示される。
【0098】
具体的に、前記混注工程が前記対象作業工程として選択され、当該混注工程と薬品の種類とに対応する前記提示情報が登録されている場合には、当該組合せに対応する前記提示情報が表示される混注支援画面P42(
図27参照)が表示された後、当該認証工程の前記作業工程情報が表示される混注支援画面P43(
図28参照)が操作表示部12に表示される。
【0099】
なお、前記混注作業の終了後には、当該混注作業の結果物となる輸液バッグなどを撮影するための撮影工程が実行され、当該撮影工程で撮影された撮影画像が前記対象調製データに対応する履歴情報として記憶されてもよい。なお、制御部10は、前記結果物の撮影の有無をユーザー操作に応じて予め設定可能である。
【0100】
<ステップS21>
ステップS21において、制御部10は、前記対象調製データに基づく混注作業の結果、及び、前記混注作業についての注意事項などの前記提示情報の一覧が表示される混注支援画面P44(
図29参照)を操作表示部12に表示させる。なお、このように予め設定された前記混注作業の終了タイミングで前記提示情報の一覧を提示する処理は第2提示ステップの一例であり、制御部10の第2提示処理部102によって実行される。
【0101】
具体的に、
図29に示されるように、混注支援画面P44では、表示領域A441に、前記混注作業の結果として、薬品の種類ごとに対応する、撮影工程の実行有無、認証工程の実行有無、及び計量工程における計量結果などが表示される。また、混注支援画面P44では、表示領域A442に、ステップS13で表示された混注支援画面P22と同じ前記提示情報の一覧が表示される。即ち、表示領域A442には、前記混注作業で用いられる薬品の種類と当該混注作業で実行される作業工程との組合せに対応付けて提示情報マスターD1に登録されている提示情報の一覧が表示される。
【0102】
なお、本実施形態では、ステップS13で混注支援画面P22に表示される前記提示情報の一覧と、ステップS21で混注支援画面P44に表示される前記提示情報の一覧とが同一の内容である。一方、他の実施形態として、混注支援画面P22に表示される前記提示情報の一覧と、混注支援画面P44に表示される前記提示情報の一覧とが異なるものであってもよい。例えば、提示情報マスターD1において、薬品の種類と作業工程との組合せに対応する提示情報を一覧表示する表示タイミングとして、混注作業の開始時又は終了時のいずれかが設定されていることが考えられる。そして、制御部10は、ステップS13では、一覧表示の表示タイミングが混注作業の開始時に設定されている提示情報の一覧を混注支援画面P22に表示し、ステップS21では、一覧表示の表示タイミングが混注作業の終了時に設定されている提示情報の一覧を混注支援画面P44に表示する。また、他の実施形態として、ステップS13における前記提示情報の一覧表示と、ステップS21で表示領域A442における前記提示情報の一覧表示とのいずれか一方又は両方が省略されてもよい。さらに、制御部10は、ユーザー操作に応じて、ステップS13における前記提示情報の一覧表示及びステップS21における前記提示情報の一覧表示の有無を設定可能であってもよい。
【0103】
以上説明したように、混注支援システム1では、薬品の種類と作業工程との組合せに対応付けて予め登録されている提示情報が予め設定されたタイミングで表示される。特に、前記提示情報は、当該提示情報に対応する前記作業工程の開始時のタイミングで表示される。これにより、混注作業者は、前記作業工程について確認するべき前記提示情報を当該作業工程の開始時のタイミングで把握することが可能であり、前記混注作業を適切に実行することが可能である。また、混注支援システム1では、前記提示情報の一覧が混注作業の開始時及び終了時に表示される。これにより、混注作業者は、前記混注作業について確認するべき前記提示情報の一覧を当該混注作業の開始時又は終了時のタイミングで纏めて把握することが可能であり、前記混注作業を適切に実行することが可能である。
【0104】
また、制御部10は、ビギナーモードにおける前記混注支援処理が終了すると、当該混注支援処理で提示された前記提示条件について表示有無などを変更するための変更処理を実行してもよい。なお、制御部10は、前記変更処理の実行の有無を初期設定などにおけるユーザー操作に応じて変更可能である。なお、前記変更処理におけるユーザー操作は、前記混注支援処理にログインしている混注作業者によって行われてもよく、当該混注作業者よりも熟練度(技能レベル)の高い他のユーザーによって行われてもよい。
【0105】
具体的に、制御部10は、前記変更処理において、前記提示条件について表示有無などを変更するための混注支援画面P61(
図43参照)を操作表示部12に表示させる。
図43に示されるように、混注支援画面P61の表示領域A61には、前記混注支援処理で提示された前記提示情報の一覧が表示されると共に、当該提示情報各々について表示有無の切替操作を受け付ける操作キーK62が表示される。そして、制御部10は、操作キーK22の操作に応じて前記提示情報を順に選択し、操作キーK21が操作されると選択中の前記提示情報に対応する操作キーK62におけるチェックの有無を切り替える。また、制御部10は、操作表示部12において操作キーK62が操作された場合にも、当該操作キーK62におけるチェックの有無を切り替える。その後、制御部10は、操作キーK23が操作されると、混注支援画面P61の操作キーK62でチェック有りとなっている前記提示情報について、提示情報マスターD1における表示有無の設定を「無」に変更する。これにより、混注支援画面P61でチェック有りとなっていた前記提示情報については、次に前記混注支援処理が実行される際に表示されないことになる。なお、混注支援画面P61では、前記提示情報のメッセージを変更する操作が可能であってもよい。
【0106】
[混注支援処理:エキスパートモード]
次に、
図30を参照しつつ、混注支援システム1の動作モードが前記エキスパートモードである場合に、制御部10によって実行される混注支援処理について説明する。例えば、前記混注支援処理は、混注作業者が操作表示部12を用いてID及びパスワードなどを入力して混注支援システム1にログインし、動作モードとして前記エキスパートモードが選択された場合に、制御部10によって実行される。以下では、前記混注支援処理で操作表示部12に表示される混注支援画面P2の一例について
図31~
図37を用いて説明する。なお、
図31~
図37に示されるように、説明の便宜上、前記混注支援処理で順に表示される各種の前記混注支援画面P2に異なる符号を付して説明する。
【0107】
<ステップS30~S31>
ステップS30~S31において、制御部10は、前記ステップS10~S11と同様の処理を実行し、前記対象調製データを選択して当該対象調製データに基づく混注作業の内容を設定する。なお、混注支援システム1の動作モードが前記エキスパートモードである場合であっても、前記ビギナーモードと同様に前記混注作業が実行される。具体的に、本実施形態では、前記エキスパートモードであっても、混注作業者は、
図8に示される前記混注作業を実行する。但し、前記エキスパートにおける混注支援処理では、前記ビギナーモードにおける混注支援処理とは異なり、前記混注作業における各作業工程の実行順序は案内されない。そのため、熟練度(技能レベル)が比較的高い混注作業者は、後述の混注支援画面P51に表示される混注作業の内容を参照し、自己の経験などに基づいて混注作業を効率的に実施することが可能である。
【0108】
<ステップS32>
ステップS32において、制御部10は、前記混注作業の内容を操作表示部12の混注支援画面P51(
図31参照)に表示させる。
図31に示されるように、混注支援画面P51には、混注作業の内容が表示される表示領域A51と、当該混注作業の結果として払い出すべき結果物の内容が表示される表示領域A52とが表示される。例えば、
図31に示される例では、表示領域A51の表示領域A511に、「5-FU注250mg」の薬品の調製内容として、1回量が「750mg」、調製量が「15ml」であることが示されている。また、表示領域A51の表示領域A512には、「生食500mL」の薬品の調製内容として、1回量が「1袋」、破棄量が「15ml」、調製量が「485ml」であることが示されている。
【0109】
また、
図31に示されるように混注支援画面P51の操作キーK23に「処方内容」が表示されている状態で、当該操作キーK23又は第3フットスイッチ163が操作されると、制御部10は、前記対象調製データの内容を操作表示部12に表示させる。これにより、混注作業者は、任意のタイミングで前記対象調製データの内容を確認することができる。なお、混注支援画面P51では、当該混注支援画面P51に同時に全ての情報が表示されない場合、制御部10は、ユーザー操作に応じて当該混注支援画面P51の表示内容をスライドさせる。
【0110】
<ステップS33>
ステップS33において、制御部10は、前記対象調製データに基づく混注作業で使用される薬品の種類についての認証工程が実行されたか否かを判定する。具体的に、前記薬品の種類に対応するコード情報が読取部13によって読み取られた場合に、当該薬品の種類について認証工程が実行されたと判定する。例えば、制御部10は、前記対象調製データに基づく混注作業で「5-FU注250mg」の薬品が3瓶使用される場合には、ステップS33において、「5-FU注250mg」の薬品に対応するコード情報が読取部13によって3回読み取られた場合に、当該薬品についての認証工程が完了したと判定され、処理がステップS34に移行する。
【0111】
なお、前記認証工程で認証されるべき薬品の収容容器(薬瓶、薬箱、バッグなど)の数が複数である場合、制御部10は、前記コード情報が読み取られ、当該コード情報の読み取り回数がその収容容器の数に達していなければ、
図32に示されるように、当該薬品の種類について認証工程が実行されている旨を表示領域A513の表示色などによって識別可能な態様で表示する。その後、制御部10は、前記コード情報の読み取り回数がその収容容器の数に達すると、
図33に示されるように、当該薬品の種類について認証工程が終了した旨を表示領域A513の表示色などによって識別可能な態様で表示する。
【0112】
<ステップS34>
ステップS34において、制御部10は、ステップS33で実行された認証工程の結果を履歴情報として、前記対象調製データに対応付けて記憶部11に記憶し、処理をステップS35に移行する。
【0113】
<ステップS35>
ステップS35において、制御部10は、撮影部15により画像を撮影する撮影工程が実行されたか否かを判定する。具体的に、制御部10は、撮影部15により撮影される画像を混注支援画面P52(
図34参照)に表示する。これにより、混注作業者は、混注支援画面P52を参照しつつ、操作キーK23又は第3フットスイッチ163を操作することにより、撮影部15で秤量部14の載置部141及び当該載置部141に載置された注射器の画像を撮影する。そして、画像が撮影されると、制御部10は、操作表示部12の表示画面を混注支援画面P51に戻す。
【0114】
<ステップS36>
ステップS36において、制御部10は、ステップS35で撮影された撮影画像を履歴情報として、前記対象調製データに対応付けて記憶部11に記憶し、処理をステップS37に移行する。例えば、制御部10は、「5-FU250mg」についての撮影が完了すると、
図35に示されるように混注支援画面P51に、「5-FU250mg」に対応する撮影画像を表示する。同様に、制御部10は、「生食500mL」についての撮影が完了すると、
図36に示されるように混注支援画面P51に、「生食500mL」に対応する撮影画像を表示する。また、制御部10は、前記ビギナーモードと同様に、前記混注作業の終了後に、当該混注作業の結果物となる輸液バッグなどが撮影され、その撮影画像が前記対象調製データに対応する履歴情報として記憶されてもよい。なお、制御部10は、前記結果物の撮影の有無をユーザー操作に応じて予め設定可能であってもよい。
【0115】
<ステップS37>
ステップS37において、制御部10は、前記対象調製データに基づく混注作業が終了したか否かを判定する。そして、制御部10は、前記混注作業が終了した場合には(S37:Yes)、処理をステップS38に移行させ、前記混注作業が終了していない場合には(S37:No)、処理をステップS33に戻す。これにより、制御部10は、前記混注作業が終了するまで、前記ステップS33~S36の処理が同様に実行されることになる。
【0116】
<ステップS38>
ステップS38において、制御部10は、前記混注作業の結果が表示される混注支援画面P53(
図37参照)を操作表示部12に表示する。具体的に、混注支援画面P53には、前記混注作業の結果として、薬品の種類ごとに対応する、撮影工程の実行有無、認証工程の実行有無、及び計量工程における計量結果などが表示される。また、混注支援画面P53には、前記混注作業の結果物の情報として当該結果物の容量、当該結果物の画像撮影の有無なども表示される。
【0117】
以上説明したように、前記ビギナーモードでは、前記提示情報が予め設定されたタイミングで提示されるが、前記エキスパートモードでは、前記提示情報が提示されない。そして、混注支援システム1では、動作モードが前記ビギナーモード及び前記エキスパートモードに切替可能であり、混注作業者の熟練度などによって混注支援処理における表示内容を切り替えることが可能である。これにより、混注作業者は、自己の熟練度などに応じた動作モードを用いて、混注作業を効率的且つ適切に実行することができる。
【0118】
また、前記ビギナーモードでは、前記混注作業に含まれる作業工程各々に対応する混注支援画面P2が順に表示され、当該混注支援画面P2各々において当該作業工程各々の前記作業工程情報が段階的に表示される。これにより、熟練度(技能レベル)が比較的低い混注作業者は、前記作業工程情報を順次参照しながら混注作業を適切に実施することが可能である。一方、前記エキスパートモードでは、前記混注作業に含まれる作業工程各々に対応する前記作業工程情報及び前記提示情報が提示されず、当該混注作業に必要な薬品の種類及び調製量などの調製内容が混注支援画面P2に一覧表示され(
図31参照)、撮影画像が表示される混注支援画面P52が表示される場合を除いて当該混注支援画面P2は作業工程各々に対応して遷移しない。これにより、熟練度(技能レベル)が比較的高い混注作業者は、前記調製内容を参照して混注作業を効率的に実施することが可能である。
【0119】
[その他の機能]
ところで、混注支援システム1において、制御部10は、前記調製データに対応付けて記憶部11に記憶されている混注作業の履歴情報を表示する履歴表示機能を備えてもよい。具体的に、制御部10は、例えば前記エキスパートモードにおいて、前記履歴情報を参照するための所定のユーザー操作が行われた場合に、前記混注作業が完了している前記調製データの一覧を操作表示部12に表示させる。そして、制御部10は、ユーザー操作によって選択される前記調製データに基づいて実行された混注作業についての前記履歴情報を操作表示部12に表示させる。その後、制御部10は、表示対象となっている前記履歴情報に対応する前記混注作業で表示された前記提示情報の一覧を、
図43に示した混注支援画面P61と同様に表示し、当該提示情報各々の表示の有無の設定又は前記提示情報の内容などを操作表示部12のユーザー操作に応じて変更可能である。ここで前記提示情報各々の表示の有無及び前記提示情報の内容などが変更された場合、制御部10は、その変更内容を記憶部11に記憶されている提示情報マスターD1に反映する。これにより、ユーザーは、混注支援システム1の操作表示部12を用いて、前記履歴情報を参照するタイミングで、前記提示情報の表示の有無又は前記提示情報の内容などを容易に変更することが可能である。
【0120】
また、混注支援システム1において、制御部10の切替処理部104は、混注支援システム1の動作モードを、前記ビギナーモード及び前記エキスパートモードだけでなく、例えば通常モード及び簡易モードなどの他の動作モードに切り替えることが可能であってもよい。例えば、前記ビギナーモードでは、前述したように前記提示情報が予め設定されたタイミングで提示される。一方、前記エキスパートモード、前記通常モード、及び前記簡易モードでは、前記提示情報が提示されない。また、前記エキスパートモードでは、前記計量工程について前記作業工程情報が提示されず、前記簡易モードでは、前記計量工程について前記作業工程情報が提示される。さらに、前記通常モードでは、前記混注作業で使用される注射器のサイズなどの詳細情報が提示されると共に、前記簡易モードと同様に前記計量工程について前記作業工程情報が提示される。その他、混注支援システム1では、前記動作モードとして重量なしモードが設けられていてもよい。前記重量なしモードは、前記エキスパートモードにおける前記混注支援処理と同様に認証工程(S33~S34)と撮影工程(S35~S36)とが実行される動作モードである。そして、前記エキスパートモード及び前記重量なしモードは、前記エキスパートモードでは前記認証工程における薬品の認証の順序が予め定められていないのに対し、前記重量なしモードでは前記認証工程における薬品の認証の順序が予め定められている点で異なり、その他の点は同じである。また、例えばここで例に挙げた前記ビギナーモード、前記通常モード、前記簡易モード、前記重量なしモード、前記エキスパートモードは、この順で前記混注作業における作業工程の内容をユーザーに案内することを優先している。即ち、前記ビギナーモードが最も案内の優先度が高い動作モードであり、前記エキスパートモードが最も案内の情報量が少ない動作モードである。なお、ここで説明した各種の動作モードの名称は単なる一例に過ぎず、例えば前記ビギナーモードをフルナビモード、前記エキスパートモードをスキップモードと称してもよい。
【0121】
[調製手順登録機能]
前述したように、混注支援システム1では、前記ビギナーモード及び前記エキスパートモードなどの各種の動作モードにおいて、前記調製データ及び前記調製作業マスターに基づいて、当該調製データに基づく混注作業として実行するべき各種の作業工程の内容を示す前記作業工程情報が生成されて提示される。そして、設定端末2は、前記作業工程情報を生成するために用いられる前記調製作業マスターの内容をユーザー操作に応じて登録する調製手順登録機能を備える。
【0122】
前記調製作業マスターは、混注支援システム1の記憶部11及び設定端末2の設定処理部21の記憶部などに記憶される。前記調製作業マスターには、複数の調製手順データが登録可能であり、当該調製手順データ各々には、前記混注作業として実行するべき作業工程である一又は複数の調製手順の内容を示す明細情報と、当該調製手順データを前記作業工程情報の生成で使用するための条件を示す条件情報とが含まれる。さらに、前記調製手順データには、当該調製手順データに基づいて前記作業工程情報を生成する際に参照される各種の薬品の情報を含む調製手順薬品情報も含まれる。前記調製手順薬品情報には、前記調製手順データに基づいて生成される前記作業工程情報で使用される薬品について、識別情報(薬品コード、薬品名称など)、薬品タイプ、輸液タイプ、混注可能水分量、溶解量、比重、シリンジ、及び濃度などの情報(
図47参照)が登録される。また、記憶部11に記憶されている前記調製手順薬品情報は、設定端末2の設定処理部21も参照可能である。さらに、前記調製手順薬品情報は、前記設定処理部21の記憶部などに記憶されていてもよい。また、前記調製手順薬品情報の内容は、前記薬品マスターに含まれていてもよい。さらに、設定処理部21が前記調製手順薬品情報を設定する際に、前記薬品マスターの情報の一部を前記調製手順薬品情報に反映させることが可能であってもよい。また、前記薬品マスターにおいて、薬品各々が使用される際に適用される前記調製手順データを識別可能な調製手順番号などが当該薬品ごとに登録可能であってもよい。また、前記調製手順データ各々には、当該調製手順データが登録(新規登録又は編集)された作成年月日なども登録される。
【0123】
そして、制御部10は、前記ステップS11において前記作業工程情報を生成する際に、前記調製データに基づいて前記作業工程情報を生成するために用いる前記調製手順データを当該調製データと前記条件情報とに基づいて特定する。例えば、制御部10は、前記調製データに含まれる薬品の識別情報に対応付けて前記調製手順薬品情報に登録されている当該薬品の薬品タイプに基づいて前記調製手順データを特定してもよく、当該薬品の薬品タイプ及び当該薬品の識別情報の組み合わせに基づいて前記調製手順データを特定してもよい。また、制御部10は、前記薬品マスターにおいて、前記調製データに含まれる薬品に対応付けて前記調製手順番号が登録されている場合には、当該調製手順番号に基づいて、前記作業工程情報の生成に用いる前記調製手順データを特定してもよい。
【0124】
前記調製手順データが特定されると、その後、制御部10は、特定された前記調製手順データと前記調製データとに基づいて前記作業工程情報を生成する。なお、制御部10は、前記調製手順データに基づいて前記作業工程情報を生成する際には、当該調製手順データに含まれる各種の調製手順を、予め設定された仕様に基づいて、認証工程、風袋引き工程、計量工程、撮影工程又は混注工程などに展開する。例えば、制御部10は、前記調製手順データにおいて輸液抜取りの調製手順が設定されている場合、当該輸液抜取りの調製手順の内容を、
図12~
図16に示される輸液の認証工程、風袋引き工程、計量工程、撮影工程に展開する。
【0125】
具体的に、前記調製手順登録機能は、設定端末2の設定処理部21により調製手順登録処理が実行されることによって具現される。例えば、設定処理部21は、ユーザーによって操作表示部22に対して所定の調製手順登録開始操作が行われた場合に、前記調製手順登録処理を実行する。また、設定処理部21は、混注支援システム1における処理対象の調製データ(処方データ)について、当該調製データと前記調製作業マスターとに基づいて前記作業工程情報を生成することができない場合に、前記調製手順登録処理を実行してもよい。前記調製データに対応する前記調製作業マスターが特定されない場合に前記調製手順登録処理が実行される場合には、当該調製データに含まれる薬品の情報のうち薬品の識別情報又は薬品タイプなどの予め設定された一部の情報が、前記調製手順データの前記条件情報に自動的に反映されてもよい。
【0126】
以下、
図44を参照しつつ、前記調製手順登録処理の一例について説明する。なお、他の実施形態として、前記調製手順登録処理は、混注支援システム1の制御部10又は上位システム3によって実行されてもよい。例えば、前記ステップS11において、処理対象の調製データ(処方データ)と前記調製作業マスターとに基づいて前記作業工程情報を生成することができない場合に、制御部10によって前記調製手順登録処理が実行されてもよい。また、混注支援システム1の制御部10又は設定端末2の設定処理部21は、前記調製作業マスターを編集可能なユーザーを予め設定された特定ユーザーに限定してもよい。例えば、混注支援システム1の動作モードがログイン中の混注作業者に対応付けて切り替えられる構成では、前記エキスパートモードに対応付けられた混注作業者が前記特定ユーザーとして設定されていてもよい。
【0127】
<ステップS41>
ステップS41において、設定処理部21は、前記調製作業マスターに登録されている前記調製手順データを検索するための検索画面を操作表示部22に表示させる。前記検索画面では、検索条件として、例えば調製手順名称、作成年月日、薬品、輸液、薬品組み合せ、レジメン、手技、ルート、コメント、薬品用量、総量、患者の体重などの条件項目に関する情報を入力することが可能である。また、前記検索画面には、前記検索条件に基づく前記調製手順データの検索を開始するための検索開始キー、及び、前記調製手順データの新規登録を開始するための新規登録キーなどが表示される。
【0128】
<ステップS42>
ステップS42において、設定処理部21は、前記調製手順データの新規登録開始操作が行われたか否かを判断する。例えば、前記新規登録開始操作は、前記新規登録キーの操作である。ここで、前記新規登録開始操作が行われたと判断されると(S42:Yes)、処理がステップS47に移行し、前記新規登録開始操作が行われていなければ(S42:No)、処理がステップS43に移行する。
【0129】
<ステップS43>
ステップS43において、設定処理部21は、前記調製手順データの検索開始操作が行われたか否かを判断する。例えば,前記検索開始操作は、前記検索開始キーの操作である。ここで、前記検索開始操作が行われたと判断されると(A43:Yes)、処理がステップS44に移行し、前記検索開始操作が行われていなければ(A43:No)、処理がステップS42に戻される。
【0130】
<ステップS44>
ステップS44において、設定処理部21は、前記調製手順データの条件情報に基づいて、前記検索条件に合致する前記調製手順データを前記調製作業マスター内で検索する。例えば、前記検索条件として調製手順名称の内容が入力されている場合には、当該調製手順名称の内容が前記条件情報に登録されている前記調製手順データが抽出される。また、前記検索条件として薬品の薬品コード又は薬品名が入力されている場合には、当該薬品が前記条件情報に登録されている前記調製手順データが抽出される。
【0131】
<ステップS45>
ステップS45において、設定処理部21は、前記ステップS44で抽出された一又は複数の前記調製手順データを操作表示部22に一覧表示させる。なお、前記調製手順データの一覧表示では、前記調製手順データ各々について、当該調製手順データの条件情報に登録されている調製手順名称及び前記調製手順データの作成年月日などが表示される。
【0132】
<ステップS46>
ステップS46において、設定処理部21は、前記ステップS45で表示された前記調製手順データから編集対象となる調製手順データが選択されたか否かを判断する。そして、前記調製手順データが選択されたと判断されると(S46:Yes)、処理がステップS47に移行し、前記調製手順データが選択されるまでの間は(S46:No)、処理がステップS46で待機する。なお、設定処理部21は、処理が前記ステップS46で待機している間に、所定のユーザー操作に応じて処理をステップS41に戻すことも可能である。
【0133】
<ステップS47>
ステップS47において、設定処理部21は、前記調製手順データの内容を入力するための登録画面P70を操作表示部22に表示させる。
図45は、登録画面P70の一例を示す図である。
【0134】
図45に示されるように、登録画面P70には、操作キーK71~K74、条件登録画面P71、及び明細登録画面P72などが表示される。登録画面P70は、操作表示部22の表示部に同時に表示される一画面内に収まるものであってもよく、スワイプ操作又はスクロール操作に応じて操作表示部22における登録画面P70の表示箇所が変更されてもよい。また、登録画面P70には、条件登録画面P71及び明細登録画面P72が含まれるが、条件登録画面P71及び明細登録画面P72が独立した表示画面として異なるタイミングで操作表示部22に表示されてもよい。
【0135】
設定処理部21は、操作キーK71の操作を、登録画面P70に入力されている内容を前記調製手順データとして前記調製作業マスターに登録するための操作として受け付ける。また、設定処理部21は、操作キーK72の操作を、仮に登録画面P70に入力されている内容が前記調製手順データとして登録された状態で、シミュレーションに用いる仮調製データ(処方データ)が入力された場合に、前記ステップS11(
図7:混注支援処理)において設定される混注作業の内容をシミュレーションするための操作として受け付ける。また、設定処理部21は、操作キーK73の操作を、登録画面P70に表示されている前記調製手順データを前記調製作業マスターから削除するための操作として受け付ける。また、設定処理部21は、操作キーK74の操作を、登録画面P70における入力内容を保存せずに終了するための操作として受け付ける。
【0136】
条件登録画面P71には、登録対象となる調製手順データを前記ステップS11(
図7:混注支援処理)で使用するための条件として前記条件情報に登録される一又は複数の条件項目の内容を入力するための入力欄が表示される。ここで、設定処理部21は、前記調製手順データの新規登録の場合には(S42:Yes)、条件登録画面P71を未入力の状態で表示し、前記調製手順データの編集の場合には(S46:Yes)、選択された前記調製手順データに登録された条件項目の内容が入力された状態で条件登録画面P71を表示する。
【0137】
そして、設定処理部21は、ユーザーによる操作表示部22の操作部の操作に応じて、条件登録画面P71の入力欄に数字又は文字などの情報を入力し、複数の選択肢から任意の一又は複数の選択肢を選択する。具体的に、条件登録画面P71では、前記条件項目として、調製手順名称、薬品、輸液、薬品組み合せ、レジメン、手技、ルート、コメント、薬品用量、総量、患者の体重などが表示される。前記条件項目は、前記検索画面で検索条件として入力される項目と同様である。また、前記条件情報には、前記調製手順データを識別可能な調製手順番号なども記憶され、当該調製手順番号は前記明細情報にも含まれる。
【0138】
例えば、前記条件項目のうち、薬品、輸液、レジメン、手技、及びルートについては、予め設定された英数字などのコードで入力されてもよく、テキストで任意に入力されてもよい。なお、設定処理部21は、薬品、輸液、レジメン、手技、及びルートについて左側の入力欄にコードが入力されると、当該コードに対応して予め設定された情報を右側の入力欄に表示する。また、薬品組み合わせについては、予め設定された液薬、粉末(溶解液あり)、粉末(溶解液なし)、輸液、一般薬などの選択肢から任意に選択可能であり、複数の選択肢を選択することも可能である。なお、「粉末(溶解液あり)」は粉末薬品に附属される溶解液(添付溶解液)があることを示しており、「粉末(溶解液なし)」は粉末薬品に附属される溶解液(添付溶解液)がないことを示している。また、コメントについては、一致判定の条件として部分一致又は全一致のいずれかを選択可能であり、一致判定対象のテキスト情報を入力可能である。また、薬品用量、総量、患者の体重については、下限又は上限などを入力可能である。
【0139】
詳細登録画面P72には、登録対象となる調製手順データの明細情報に含まれる一又は複数の調製手順の内容及び調製手順の順番の登録操作を受け付ける表示領域A721、及び、当該調製手順データの明細情報に含まれる一又は複数の調製手順の内容が表示される表示領域A722が表示される。ここで、設定処理部21は、前記調製手順データの新規登録の場合には(S42:Yes)、表示領域A722を未入力の状態で表示し、前記調製手順データの編集の場合には(S46:Yes)、選択された前記調製手順データに登録された明細情報の内容が入力された状態で表示領域A722を表示する。
【0140】
前記調製手順には、例えば、「薬品抜取り」、「輸液抜取り」、及び「混合」などが含まれる。表示領域A721には、例えば調製手順の内容の登録操作の内容ごとに対応する操作キーK721~728が表示される。また、表示領域A722には、前記調製手順ごとに対応する表示領域A723が表示される。前記調製手順ごとに対応する表示領域A723各々は、例えば
図11の混注支援画面P23に表示される調製手順の各ステップに対応するものである。そして、設定処理部21は、表示領域A721及び表示領域A722に対するユーザー操作に応じて前記調製手順データの明細情報に登録する調製手順の内容及び順番の入力を受け付ける。具体的に、表示領域A722における表示領域A723の上下方向の表示順が当該表示領域A723に対応する調製手順の順番を示すものであり、最上段が最初の調製手順である。
【0141】
前記調製手順データの明細情報には、当該調製手順データの調製手順番号、手順作成タイプ、調製グループ、調製番号、手順番号、手順連番などの各種の情報が含まれる。前記調製手順番号は、前記調製手順データを識別可能な情報であり、前記条件情報にも含まれる。前記手順作成タイプは、前記調製手順データを用いて作成される前記作業工程情報がどの前記動作モードに対応するものであるかを示すものであり、通常手順、簡易手順、エキスパートモード、ビギナーモード、重量なしモードなどのいずれかに設定される。前記調製グループは、後述の表示領域A722(
図45参照)に表示される表示領域A723各々に対応する調製手順各々に上から順に付される識別情報である。前記調製番号は、元薬品から先薬品への操作各々について前記調製手順グループを超えて付される連番である。例えば、
図45の表示領域A722における最上段の表示領域A723(調製グループ)内では、「溶解液」、「抜取り」、「注入・溶解」の3つの操作情報について全ての前記調製グループの中で連番となる一つの調製番号(例えば「1」)が付され、「注入・溶解」、「溶解後、抜取り」の2つの操作情報について全ての前記調製グループ内で連番となる一つの調製番号(例えば「2」)が付される。そして、
図45の表示領域A722における上から二つ目の表示領域A723(調製グループ)内では、「溶解液」、「まとめて抜取り」、「注入・溶解」の3つの操作情報について全ての前記調製グループの中で連番となる一つの調製番号(例えば「3」)が付され、「注入・溶解」、「溶解後、抜取り」の2つの操作情報について全ての前記調製グループ内で連番となる一つの調製番号(例えば「4」)が付される。前記手順番号は、同一の前記調製グループ内における元薬品から先薬品への操作各々に付される連番である。例えば、
図45の表示領域A722における最上段の表示領域A723(調製グループ)内では、「溶解液」、「抜取り」、「注入・溶解」の3つの操作情報について当該調製グループ内で連番となる一つの手順番号(例えば「1」)が付され、「注入・溶解」、「溶解後、抜取り」の2つの操作情報について当該調製グループ内で連番となる一つの手順番号(例えば「2」)が付される。
【0142】
また、前記明細情報には、前記調製手順データに登録される調製手順の内容を示す情報として、薬品コード、調製番号グループ調製区分、調製タイプ、調製操作区分、抜取量、最終容器選択区分、調製単位、端数手順フラグ、規格手順フラグ、まとめ手順フラグ、破棄手順フラグなどの各種の情報が含まれる。前記調製番号グループ調製区分は、液剤、粉末、輸液、混注などのいずれかに設定される。前記調製タイプは、液剤、粉末(溶解液あり)、粉末(溶解液なし)、輸液、シリンジ、バック、インフューザーポンプ、コメントなどのいずれかに設定される。前記調製操作区分は、抜取り、注入、抜取り後に破棄、その他(コメント)、混注完了、抜取り後の薬液、注入後抜取り、混注、抜取り後の薬液などのいずれかに設定される。前記最終容器選択区分は、指定なし、輸液、シリンジ、バック、インフューザーポンプなどのいずれかに設定され、前記調製単位は、単体、薬品、規格などのいずれかに設定される。前記端数手順フラグは、端数有無について、全量、端数などのいずれかに設定される。前記規格手順フラグは、規格容量について規格容量小→大、規格容量大→小などのいずれかに設定される。前記まとめ手順フラグは、まとめ指定について、しない、薬品ごと、規格ごと等のいずれかに設定される。前記破棄手順フラグは、破棄指定について、しない(抜き取り)、混注可能水分量を超えた分、用量指定を超えた分、抗がん剤相当分、残量分などのいずれかに設定される。
【0143】
操作キーK721~K725は、前記調製手順の種別の選択操作を受け付けるために用いられる。より具体的に、操作キーK721は「液薬の薬品抜取り」に対応し、操作キーK722は「粉末の薬品抜取り(溶解液有り)」に対応し、操作キーK723は「粉末の薬品抜取り(溶解液無し)」に対応し、操作キーK724は「輸液抜取り」に対応し、操作キーK725は「混合」に対応する。そして、設定処理部21は、操作キーK721~K725の操作に応じてその操作された操作キーに対応付けて予め設定された種別の調製手順を示す表示領域A723を表示領域A722に追加する。例えば、設定処理部21は、操作キーK721の操作に応じて「液薬の薬品抜取り」の種別に対応付けて予め設定された調製手順を示す表示領域A723を表示領域A722に追加し、操作キーK722の操作に応じて「粉末の薬品抜取り(溶解液無し)」の種別に対応付けて予め設定された調製手順を示す表示領域A723を表示領域A722に追加する。
【0144】
また、操作キーK726及びK727は、表示領域A722に表示されている表示領域A723各々の順序、即ち調製手順の実行順番を並べ替える操作を受け付けるために用いられる。具体的に、設定処理部21は、表示領域A722において任意の表示領域A723が選択されている状態で操作キーK726が操作されると、その選択されている表示領域A723を上方向に一つ移動させる。また、設定処理部21は、表示領域A722において任意の表示領域A723が選択されている状態で操作キーK727が操作されると、その選択されている表示領域A723を下方向に一つ移動させる。
【0145】
さらに、操作キーK728は、表示領域A722に表示されている表示領域A723に対応する調製手順を削除する操作を受け付けるために用いられる。具体的に、設定処理部21は、表示領域A722において任意の表示領域A723が選択されている状態で操作キーK726が操作されると、その選択されている表示領域A723に対応する調製手順を削除する。
【0146】
また、設定処理部21は、表示領域A723における操作領域A724~A730などのユーザー操作に応じて前記明細情報の入力内容を編集する。具体的に、設定処理部21は、操作領域A724が操作されると、当該操作領域A724で設定される調製単位を、単体、薬品、規格などに順次変更する。また、設定処理部21は、操作領域A725が操作されると、当該操作領域A725で設定される薬品調製順を、規格小⇒規格大、規格大⇒規格小などに順次変更する。また、設定処理部21は、操作領域A726が操作されると、当該操作領域A726で設定されるまとめ方法を、まとめない、薬品毎、規格毎などに順次変更する。また、設定処理部21は、操作領域A727が操作されると、当該操作領域A727で設定される薬品名称を検索して選択するための画面を表示し、選択された薬品名称を入力する。また、設定処理部21は、操作領域A728が操作されると、当該操作領域A728で設定される溶解液抜取りまとめを、まとめない、薬品分、規格分などに順次変更する。また、設定処理部21は、操作領域A729が操作されると、当該操作領域A729で設定される抜取りまとめを、まとめない、まとめるなどに順次変更する。また、設定処理部21は、操作領域A730が操作されると、当該操作領域A730で設定される輸液破棄方法を、しない、混注可能水分量を超えた分、残量分などに順次変更する。また、設定処理部21は、調製手順の種別が混合である場合、最終容器が表示された領域(不図示)の操作に応じて、当該最終容器を、指定なし、輸液バック、シリンジ、バック、インフューザーポンプなどに順次変更する。
【0147】
なお、表示領域A723における各種の入力手法は、各操作領域の操作に応じて入力内容を順次切り替える方法に限らず、各操作領域の操作に応じてポップアップ画面又はプルダウン画面などで選択候補が表示され、当該選択候補から任意の情報を入力する方法であってもよい。また、他の実施形態として、操作領域A726に「端数の調製順」が割り当てられており、設定処理部21は、操作領域A726の操作に応じて、「端数の調製順」の設定内容を、先、後、端数、全量などに順次変更してもよい。また、
図45に示される操作キーK721~K728などの各種の操作キーの表示位置、及び、操作領域A724~A728などの各種の操作領域の表示位置は単なる一例であり、これらの表示位置は予め設定された任意の位置であってよい。
【0148】
また、
図46(A)に示されるように、既に操作領域A727に規格を含む薬品名称が入力されている場合、設定処理部21は、当該操作領域A727が操作されると、
図47に示されるように、当該薬品名称に対応する薬品について、前記調製手順薬品情報に登録されている情報が表示される薬品情報画面P80を操作表示部22にポップアップ表示させる。設定処理部21は、薬品情報画面P80におけるユーザー操作に応じて、当該薬品情報画面P80に表示されている薬品について、前記調製手順薬品情報に含まれる薬品の溶解量及び濃度などの各種の情報を変更可能である。そして、設定処理部21は、薬品情報画面P80における変更内容を前記調製手順薬品情報に反映し、薬品情報画面P80を閉じる。
【0149】
一方、
図46(B)に示されるように、既に操作領域A727に規格を含まない薬品名称が入力されている場合、設定処理部21は、当該操作領域A727が操作されると、
図46(C)に示されるように、当該規格を含まない薬品名称に基づいて、規格を含む薬品名称を選択候補として検索し、当該選択候補から任意の薬品名称を選択するための選択画面P81を操作表示部22にポップアップ表示させる。その後、設定処理部21は、選択画面P81において薬品名称が選択された場合に、当該薬品名称に対応する薬品の情報が表示される薬品情報画面P80(
図47参照)を操作表示部22にポップアップ表示させる。また、設定処理部21は、薬品情報画面P80におけるユーザー操作に応じて当該薬品情報画面P80に表示されている薬品について、前記調製手順薬品情報に含まれる薬品の溶解量及び濃度などの各種の情報を変更可能である。そして、設定処理部21は、薬品情報画面P80における変更内容を前記調製手順薬品情報に反映し、薬品情報画面P80を閉じる。その後、選択画面P81において薬品名称が選択された状態で当該薬品名称の確定操作が行われると、操作領域A727に当該薬品名称を入力する。
【0150】
<ステップS48>
ステップS48において、設定処理部21は、設定画面P70に表示されている調製手順データの内容を登録する登録操作が行われたか否かを判断する。例えば、設定処理部21は、操作キーK71が操作された場合に登録操作が行われたと判断する。そして、登録操作が行われたと判断されると(S48:Yes)、処理がステップS49に移行し、登録操作が行われていなければ(S48:No)、処理がステップS47に戻される。
【0151】
<ステップS49>
ステップS49において、設定処理部21は、設定画面P70に表示されている調製手順データの内容を調製作業マスターに登録する。具体的に、設定画面P70の条件登録画面P71に入力されている情報が前記調製手順データの登録情報として登録され、明細登録画面P72に入力されている情報が前記調製手順データの明細情報として登録される。ここで、調製手順データの新規登録である場合には(S42:Yes)、当該調製手順データの内容が調製作業マスターに追加され、前記調製手順データの編集である場合には(S46:Yes)、前記調製作業マスターにおける当該調製手順データの内容が更新される。
【0152】
また、ステップS49において、設定処理部21は、前記調製手順登録処理における登録内容を反映した前記調製作業マスターを混注支援システム1の記憶部11にも記憶させることにより、当該記憶部11に記憶されている前記調製作業マスターを更新する。なお、設定処理部21は、前記調製手順登録処理で登録対象となった前記調製手順データのみについて混注支援システム1の記憶部11に記憶させることにより、当該記憶部11に記憶されている前記調製作業マスターを更新してもよい。即ち、設定端末2における前記調製作業マスターと混注支援システム1における前記調製作業マスターとが同期していれば、同期方法はこれに限らない。例えば、制御部10が、予め設定されたタイミングで設定端末2から最新の前記調製作業マスターを読み出して記憶部11に記憶させることにより、当該記憶部11に記憶されている前記調製作業マスターを更新してもよい。また、上位システム3に前記調製作業マスターが記憶されており、当該調製作業マスターが前記調製手順登録処理の結果に応じて更新されてもよい。
【0153】
これにより、混注支援システム1では、制御部10が、前記混注支援処理のステップS31において前記調製作業マスターと前記調製データとに基づいて前記作業工程情報を設定する際に、前記調製手順登録処理によってユーザーが任意で登録した前記調製手順データを利用することが可能である。
【0154】
以上説明したように、設定端末2では、ユーザーが、混注作業で実行するべき調製手順の内容及び順序などを示す前記調製作業マスターをユーザーが任意に管理することができ、混注支援システム1では、設定端末21で管理される前記調製作業マスターに基づいて前記作業工程情報が生成されて提示される。
【0155】
[登録操作の具体例]
ここで、登録画面P70を用いて前記調製作業マスターに前記調製手順データを登録する際のユーザー操作の具体例について画面遷移と共に説明する。
図48は、登録画面P70(
図45参照)の他の例を示す図であって、以下では、
図48に示される登録画面P70を用いた前記調製手順データの登録操作について説明する。なお、
図48に表示される登録画面P70は、設定処理部21が、前記調製手順データの新規登録開始操作が行われた場合に初期表示する画面であり、当該登録画面P70では前記条件情報及び前記明細情報の内容が空白(未入力)の状態である。
【0156】
図48の登録画面P70において、
図45の登録画面P70と共通する部分についてその説明を省略する。例えば、
図48及び
図45の登録画面P70では、条件登録画面P71で設定される条件項目の表示位置が異なるが、
図48の登録画面P70の条件登録画面P71における「薬品名称」、「溶解液」、「薬品タイプ」、「薬品用量」は、
図45の登録画面P70の条件登録画面P71における「薬品」、「輸液」、「薬品組み合わせ」、「用量」にそれぞれ相当するものであり、他の項目は同一である。また、
図48の登録画面P70では、条件登録画面P71において、一又は複数の条件項目が、基本、薬品、明細、患者にグループ化されて表示されている。
【0157】
また、設定処理部21は、登録画面P70の条件登録画面P71において薬品タイプ及び薬品名称などの条件情報が入力されると、当該薬品タイプ及び当該薬品名称に応じて、詳細登録画面P72の表示領域A721に表示されてユーザーが操作可能な操作キーK721~K725を変更する。なお、操作キーK725は、後述するように「混合」に対応する操作キーであり、前記調製手順データの作成に必須となる調整手順であるため、設定処理部21は、
図48に示されるように、前記条件情報が入力の有無にかかわらず常に操作キーK725を詳細登録画面P72に表示させてもよい。
【0158】
ここでは、まず薬品タイプとして液薬が選択された場合を例に挙げて説明し、その後、薬品タイプとして粉末が選択された場合を例に挙げて説明する。なお、前記条件項目として、前記薬品タイプ及び前記薬品名称のいずれか一方の項目が設定され、設定処理部21が、当該項目に対応する前記調整手順データを登録してもよい。また、前記条件項目のうち少なくとも前記薬品タイプが必須の入力項目として設定されていてもよい。
【0159】
[薬品タイプ:液薬]
まず、
図49には、薬品名称に「5-FU注」が入力されており、薬品タイプとして「液薬」、「輸液」が入力されている場合の表示領域A721の表示例が示されており、当該表示領域A721では、「5-FU」及び「薬液」が表示された二つの操作キーK721と、「輸液」が表示された操作キーK724と、「混合」が表示された操作キーK725とが表示されている。即ち、設定処理部21は、登録画面P70の条件登録画面P71において薬品タイプ及び薬品名称に応じて、詳細登録画面P72の表示領域A721に表示されてユーザーが操作可能な操作キーとして、操作キーK721~K725のうち、操作キーK721、K721、K724、K725を表示し、操作キーK722、K723の表示を省略する。また、ユーザーが操作不能な操作キーがグレーアウトなどによって表示されてもよい。なお、薬品タイプ及び薬品名称と詳細登録画面P72の表示領域A721に表示する操作キーK721~K725との対応関係は、混注支援システム1の記憶部11又は設定端末2の設定処理部21の記憶部などに予め記憶されており、設定処理部21は、当該対応関係に基づいて、操作キーK721~K725のうちユーザーが操作可能となる操作キーを選択して表示させる。
【0160】
その後、設定処理部21は、操作キーK721~K725のいずれかが操作されると、操作された操作キーK721~K725に対応する前記調製手順に対応する表示領域A723を表示領域A722に表示させる。例えば、
図50には、操作キーK724が操作され、輸液抜取りの調製手順に対応する一つの表示領域A723が表示領域A722に表示されている状態が示されている。ここで、設定処理部21は、表示領域A723が操作されると、その操作された表示領域A723を編集対象として選択し、当該表示領域A723において編集可能な項目を、例えば予め設定された黄色などの表示色、予め設定された文字サイズ、又は下線の付与などによって、他の編集不可能な項目と識別可能な態様で表示する。
【0161】
例えば、
図50に示される例では、編集対象となる表示領域A723において、輸液抜取方法を設定するための操作領域A731及び指定量を設定するための操作領域A732が編集可能な項目として設定されており、当該表示領域A723についての編集を確定させるための操作キーK731も表示されている。そして、
図50の架空線領域R1に示されるように、設定処理部21は、操作領域A731が操作されるごとに、輸液抜取方法を示す文字及びイラストを「破棄」、「シリンジ」、「インフューザ」に対応するものに順次切り替える。また、設定処理部21は、操作領域A732が操作されると、
図50に示されるように、指定量を設定するための操作画面P724をポップアップ表示する。そして、設定処理部21は、操作画面P724におけるユーザー操作に応じて、指定量を、オーダー量どおりに設定し、又は、入力される任意の値に設定する。その後、操作画面P724における指定量の入力がユーザー操作によって確定されると、
図51に示されるように、設定処理部21は、当該指定量を編集中の前記調製手順データの内容に反映し、操作領域A732に表示させる。また、設定処理部21は、表示領域A723に表示された操作キーK731が操作されると、当該表示領域A723における編集内容を確定し、当該表示領域A723を編集対象から解除する。
【0162】
さらに、例えば
図52に示されるように、設定処理部21は、「5-FU」に対応する操作キーK721が操作されると、当該「5-FU」に対応する薬品抜取りの調製手順について表示領域A723を表示領域A722に追加し、当該表示領域A723のユーザー操作に応じて、当該薬品抜取りの調製手順の内容を編集する。そして、ユーザーは、表示領域A722における操作キーK721~K725の操作が必要に応じて行うことによって、前記調製手順データとして登録したい一又は複数の調製手順に対応する表示領域A723が表示領域A722を追加すると、登録操作に対応する操作キーK71を操作する(
図44のステップS48:Yes)。これにより、設定処理部21は、登録画面P70に入力されている内容を前記調製手順データとして登録する(
図44のステップS49)。
【0163】
[薬品タイプ:粉末]
また、例えば、
図53には、薬品名称に「ゲムシタビン注」が入力されており、薬品タイプとして「粉末(溶解液なし)」、「輸液」が入力されている場合の表示領域A721の表示例が示されており、当該表示領域A721では、「ゲムシタビン注」が表示された操作キーK723と、「輸液」が表示された操作キーK724と、「混合」が表示された操作キーK725とが表示されている。即ち、設定処理部21は、登録画面P70の条件登録画面P71において薬品タイプ及び薬品名称に応じて、詳細登録画面P72の表示領域A721に表示されてユーザーが操作可能な操作キーとして、操作キーK721~K725のうち、操作キーK721、K723~K725を表示し、操作キーK722の表示を省略する。例えば、
図54には、操作キーK723が操作され、薬品溶解・抜き取りの調製手順に対応する一つの表示領域A723が表示領域A722に表示されている状態が示されている。また、薬品溶解・抜き取りの調製手順に対応する表示領域A723には、溶解液を抜き取って薬品容器に注入して溶解する工程と、溶解後に薬品容器から薬液をシリンジで抜き取る工程との二つの工程が一つの調製手順に対応する工程として表示されている。
【0164】
ここで、設定処理部21は、表示領域A723が操作されると、その操作された表示領域A723を編集対象として選択し、当該表示領域A723において編集可能な項目を、例えば予め設定された黄色などの表示色、予め設定された文字サイズ、又は下線の付与などによって、他の編集不可能な項目と識別可能な態様で表示する。例えば、
図54に示される例では、編集対象となる表示領域A723において、溶解液を設定するための操作領域A733が編集可能な項目として設定されている。そして、
図54の架空線領域R2に示されるように、設定処理部21は、操作領域A733が操作されるごとに、溶解液の種類を示す文字及びイラストを「溶解液」、「注射用水」、「生食」に対応するものに順次切り替える。
【0165】
ところで、前述したように、設定処理部21又は制御部10が、前記調製データと前記調製作業マスターとに基づいて前記作業工程情報を生成することができない場合に前記調製手順登録処理を実行してもよい。この場合、設定処理部21又は制御部10は、前記調製データと前記調製作業マスターとに基づいて前記作業工程情報を生成することができるか否かを、例えば前記調製データに含まれる薬品の識別情報(薬品名称など)と当該薬品の薬品タイプ(液薬、粉末(溶解液あり)、粉末(溶解液なし)、輸液など)とが前記条件項目として設定された前記調製手順データが前記調製作業マスターに記憶されているか否かによって判断することが考えられる。なお、前記薬品タイプは、前記薬品の識別情報と対応付けて前記調製手順薬品情報(
図47参照)に登録される。また、設定処理部21又は制御部10は、前記調製データに含まれる薬品の薬品タイプ(液薬、粉末(溶解液あり)、粉末(溶解液なし)、輸液など)が少なくとも前記条件項目として設定された前記調製手順データが前記調製作業マスターに記憶されている場合に前記作業工程情報を生成することができると判断してもよい。同様に、設定処理部21又は制御部10は、前記調製データに含まれる薬品の識別情報(薬品名称など)が少なくとも前記条件項目として設定された前記調製手順データが前記調製作業マスターに記憶されている場合に前記作業工程情報を生成することができると判断してもよい。その他、設定処理部21又は制御部10は、前記調製データに含まれる各種の情報に基づいて特定される検索対象情報であれば、前記薬品の識別情報及び前記薬品の薬品タイプに限らず、予め設定された前記検索対象情報が前記条件項目として設定された前記調製手順データが前記調製作業マスターに記憶されているか否かによって前記作業工程情報を生成することができるか否かを判断してもよい。このように混注支援システム1では、例えば前記調製データに新薬が含まれる場合など、当該調製データに基づいて前記作業工程情報を生成するために必要な前記調製手順データが前記調製作業マスターに設定されていない場合に、当該調製手順データをユーザー操作に応じて設定することができる。特に、前記調製手順データでは、前記調製手順ごとに当該調製手順の詳細な内容をユーザー操作に応じて設定することが可能であるため、ユーザーにとって汎用性の高い混注支援システム1が実現される。
【0166】
[シミュレーション機能]
前述したように、設定処理部21は、登録画面P70に表示されている操作キーK72の操作に応じて、登録画面P70に入力されていた前記調製手順データに基づく前記作業工程情報の生成についてシミュレーションして表示を行う機能を有している。即ち、設定処理部21は、登録画面P70を用いた前記調製手順データの設定中に、前記制御部11による当該調製手順データと前記調製データとに基づく前記作業工程情報の生成結果をシミュレーションして表示することが可能である。また、設定処理部21は、登録画面P70を用いた前記調製手順データの設定後に、前記制御部11による当該調製手順データと前記調製データとに基づく前記作業工程情報の生成結果をシミュレーションして表示することが可能であってもよい。
【0167】
具体的に、設定処理部21は、操作キーK72が操作された場合に、シミュレーションを行うために用いられる調製データ(処方データ)を選択するための処方選択画面(不図示)を表示させ、当該処方選択画面に表示された調製データを選択するための選択操作を、シミュレーションの開始要求として受け付ける。なお、設定処理部21は、前記処方選択画面において、処方箋区分、診療科、調剤日、実施日、払出場所、オーダー番号、患者などの検索条件が設定された場合に、当該検索条件に基づいて調製データを検索して表示することが可能である。そして、設定処理部21は、前記処方箋宅画面で調製データが選択されると、当該調製データの内容を表示させた後、当該調製データと登録画面P70に入力されていた前記調製手順データとに基づいて前記作業工程情報を生成し、前記作業工程情報がシミュレーション結果として表示されるシミュレーション画面P90を操作表示部22に表示させる。例えば、
図55は、シミュレーション画面P90の表示例を示す図である。
【0168】
図55に示されるように、シミュレーション画面P90では、最初に、前記調製データに基づく混注作業の出力物の情報として、払い出される輸液容器の情報である「生食500mL」、投与する総量(用量、重量)を示す「投与量」(総量)の情報、抗がん剤の調製量(用量、重量)を示す調製量(抗がん剤量)などの情報が表示される。また、シミュレーション画面P90では、前記調製データと登録画面P70に入力されていた前記調製手順データとに基づいて生成された前記作業工程情報の内容が表示される。
【0169】
これにより、ユーザーは、登録画面P70で編集していた前記調製手順データの内容の適否を容易に判断することができる。例えば、ユーザーは、シミュレーション画面P90を参照することにより、前記調製データに基づく前記混注作業における薬品の抜取り量、及び当該混注作業における各作業工程の流れを確認することができる。そして、設定処理部21は、シミュレーション画面P90の表示後、ユーザー操作に応じて、当該シミュレーション画面P90の表示を終了して登録画面P70を再表示し、ユーザー操作に応じた前記調製手順データの編集を再開する。そのため、ユーザーは、登録画面P70及びシミュレーション画面P90を用いて、前記調製手順データの編集及び確認を必要に応じて繰り返し、適切な調製手順データを容易に作成することができる。
【0170】
[発明の付記]
以下、上述の実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0171】
<付記1>
薬品の混注作業における一又は複数の作業工程の内容を示す作業工程情報を提示する第1提示処理部と、
薬品の種類と混注作業における作業工程との組合せに対応付けて予め設定される提示情報を予め設定されるタイミングで提示する第2提示処理部と、
を備える、混注支援システム。
【0172】
<付記2>
前記第2提示処理部は、前記提示情報を当該提示情報に対応する前記組合せごとに設定される前記タイミングで提示する、
付記1に記載の混注支援システム。
【0173】
<付記3>
前記タイミングは、前記混注作業の開始時、前記混注作業の終了時、前記作業工程の開始時、又は前記作業工程の終了時のいずれかである、
付記1又は2に記載の混注支援システム。
【0174】
<付記4>
前記組合せに対応する前記提示情報及び前記タイミングのいずれか一方又は両方をユーザー操作に応じて設定する設定処理部を備える、
付記1~3のいずれかに記載の混注支援システム。
【0175】
<付記5>
前記第2提示処理部は、前記混注作業の開始時及び終了時のいずれか一方又は両方のタイミングで、当該混注作業における全ての前記作業工程と前記薬品の種類との組合せに対応する前記提示情報を提示する、
付記1~4のいずれかに記載の混注支援システム。
【0176】
<付記6>
前記薬品の種類は、薬品識別情報ごとに対応する薬品、予め設定された一又は複数の薬品の種類を含む薬品グループ、又は薬品が収容されている容器の種類のいずれか一又は複数を含む、
付記1~5のいずれかに記載の混注支援システム。
【0177】
<付記7>
前記混注支援システムの動作モードを、前記提示情報が提示される第1動作モード又は前記提示情報が提示されない第2動作モードに切り替える切替処理部を備える、
付記1~6のいずれかに記載の混注支援システム。
【0178】
<付記8>
薬品の混注作業における一又は複数の作業工程の内容を示す作業工程情報を提示する第1提示ステップと、
薬品の種類と混注作業における作業工程との組合せに対応付けて予め設定される提示情報を予め設定されるタイミングで提示する第2提示ステップと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるための混注支援プログラム。
【0179】
<付記9>
薬品の混注作業における一又は複数の作業工程の内容を示す作業工程情報を生成するために用いられる調製手順データをユーザー操作に応じて設定する設定処理部を備え、
前記設定処理部は、前記調製手順データとして、当該調製手順データを前記作業工程情報の生成に用いる調製データを特定するための条件情報と、前記調製データに基づく前記混注作業で実行するべき一又は複数の前記作業工程の内容を示す明細情報とを少なくとも設定可能である、
混注支援システム。
【0180】
<付記10>
薬品の混注作業における一又は複数の作業工程の内容を示す作業工程情報を生成する生成処理部を更に備え、
前記生成処理部は、前記調製データと前記条件情報とに基づいて前記調製手順データを特定し、当該調製データと当該調製手順データとに基づいて前記作業工程情報を生成する、
付記9に記載の混注支援システム。
【0181】
<付記11>
前記条件情報に、前記調製手順データに対応する薬品の薬品タイプが含まれ、
前記生成処理部は、前記調製データに含まれる薬品の識別情報に対応付けて予め登録されている薬品タイプと前記条件情報に含まれる薬品タイプとに基づいて前記調製手順データを特定する、
付記10に記載の混注支援システム。
【0182】
<付記12>
前記条件情報に、前記調製手順データに対応する薬品の識別情報が含まれ、
前記生成処理部は、前記調製データに含まれる薬品の識別情報に対応付けて予め登録されている薬品タイプ及び当該薬品の識別情報と前記条件情報に含まれる薬品タイプ及び薬品の識別情報とに基づいて前記調製手順データを特定する、
付記10に記載の混注支援システム。
【0183】
<付記13>
前記設定処理部は、前記調製データに対応する前記調製手順データが前記生成処理部で特定されない場合に、当該調製手順データの設定を開始する、
付記10~12のいずれかに記載の混注支援システム。
【0184】
<付記14>
前記設定処理部は、前記調製手順データの設定中又は設定後に、前記生成処理部による当該調製手順データと前記調製データとに基づく前記作業工程情報の生成結果を表示可能である、
付記10~13のいずれかに記載の混注支援システム。
【0185】
<付記15>
前記設定処理部は、前記条件情報の設定内容に応じて前記明細情報が設定される際にユーザーが操作可能な操作キーを変更する、
付記10~14のいずれかに記載の混注支援システム。
【0186】
<付記16>
薬品の混注作業における一又は複数の作業工程の内容を示す作業工程情報を生成するために用いられる調製手順データをユーザー操作に応じて設定する設定ステップを一又は複数のプロセッサーに実行させるための混注支援プログラムであって、
前記設定ステップは、前記調製手順データとして、当該調製手順データを前記作業工程情報の生成に用いる調製データを特定するための条件情報と、前記調製データに基づく前記混注作業で実行するべき一又は複数の前記作業工程の内容を示す明細情報とを少なくとも設定可能である、
混注支援プログラム。