(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085199
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】魔法瓶の真空吸引装置及びその真空吸引方法
(51)【国際特許分類】
A47J 41/02 20060101AFI20230613BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20230613BHJP
B23K 26/12 20140101ALI20230613BHJP
B23K 26/03 20060101ALI20230613BHJP
F27B 9/04 20060101ALI20230613BHJP
F27B 9/02 20060101ALI20230613BHJP
F27B 9/26 20060101ALI20230613BHJP
F27D 7/06 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
A47J41/02 102B
B23K26/21 N
B23K26/12
B23K26/03
F27B9/04
F27B9/02
F27B9/26
F27D7/06 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164493
(22)【出願日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】202111491873.3
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】514235709
【氏名又は名称】浙江哈爾斯真空器皿股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 進発
(72)【発明者】
【氏名】杜 金生
(72)【発明者】
【氏名】李 巍
(72)【発明者】
【氏名】孫 運生
(72)【発明者】
【氏名】劉 潤軍
(72)【発明者】
【氏名】欧陽 波
【テーマコード(参考)】
4B002
4E168
4K050
4K063
【Fターム(参考)】
4B002AA01
4B002BA34
4B002BA41
4B002CA01
4B002CA50
4E168BA21
4E168CA06
4E168CA13
4E168CB22
4E168FB06
4K050AA01
4K050BA01
4K050CA12
4K050CC02
4K050CF05
4K050CF15
4K050CG12
4K050EA03
4K050EA08
4K063AA05
4K063AA15
4K063BA02
4K063BA03
4K063CA01
4K063DA19
4K063DA23
4K063DA33
(57)【要約】 (修正有)
【課題】製品の歩留まり及び加工効率を向上させつつ、自動化及び量産化を実現する、魔法瓶の真空吸引装置及びその真空吸引方法を開示する。
【解決手段】順次設けられた予備吸引室、加熱室、溶接室及び冷却室を含み、全ての室に材料連続搬送手段、加熱手段が設けられる真空吸引装置において、溶接室の上方に制御可能に可動設置されるレーザ溶接手段をさらに含み、溶接室の天面に少なくとも1つの透明窓が設けられ、レーザ溶接手段のレーザビームが透明窓を透過して瓶底の中心孔に設けられる溶接ボールを溶融し、加熱室及び溶接室はいずれも高真空排気システムに接続され、予備吸引室及び冷却室はいずれも低真空排気システムに接続され、予備吸引室の入口に上下移動可能な入口バルブが設けられ、冷却室の出口に上下移動可能な出口バルブが設けられる。該魔法瓶真空装置及び真空吸引方法を用いて、魔法瓶について連続真空吸引作業を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次設けられた予備吸引室(401)、加熱室(402)、溶接室(403)及び冷却室(404)を含み、隣り合う室は全て上下移動可能なゲートバルブを介して連通又は遮断し、全ての室の底部に材料連続搬送手段が設けられ、予備吸引室(401)、加熱室(402)、溶接室(403)のいずれにも加熱手段が設けられる魔法瓶の真空吸引装置であって、
溶接室(403)の上方に制御可能に可動設置されるレーザ溶接手段(9)をさらに含み、
前記溶接室(403)の天面に少なくとも1つの透明窓(10)が設けられ、レーザ溶接手段(9)のレーザビームが透明窓(10)を透過して瓶底の中心孔に設けられる溶接ボールを溶融し、前記加熱室(402)及び溶接室(403)はいずれも高真空排気システムに接続され、予備吸引室(401)及び冷却室(404)はいずれも低真空排気システムに接続され、前記予備吸引室(401)の入口に上下移動可能な入口バルブ(70)が設けられ、冷却室(404)の出口に上下移動可能な出口バルブ(74)が設けられることを特徴とする魔法瓶の真空吸引装置。
【請求項2】
溶接室(403)の上方に制御可能に可動設置されるビジョンスキャンカメラ(11)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の魔法瓶の真空吸引装置。
【請求項3】
前記透明窓(10)は耐熱ガラスであり、前記透明窓(10)の視認範囲が全ての魔法瓶をカバーし、前記透明窓は数が魔法瓶の総数と同じであり、かつ魔法瓶に1対1で対応し、前記透明窓は、全て辺長30~60mmの四角形又は直径30~60mmの円形であることを特徴とする請求項1に記載の魔法瓶の真空吸引装置。
【請求項4】
前記材料連続搬送手段は、各室の底部にそれぞれ設けられるレール(1)と、各室の外側に設けられる伝動機構(3)と、レール(1)に制御可能に可動設置される材料運搬車(2)と、材料運搬車(2)に配置されて魔法瓶を載置するためのラック(6)と、各室に設けられる到達検出機構(5)及び突き上げ機構(4)とを含み、前記伝動機構(3)は材料運搬車(2)をレール(1)に沿って走行するように制御し、伝動機構(3)は全て、動力源に接続される伝動軸ユニットと、伝動軸ユニットの末端に設けられる伝動歯車(34)と、材料運搬車(2)の底部に設けられて伝動歯車(34)と嵌合して伝動するラック(20)とを含み、前記突き上げ機構(4)はラック(6)の下方に設けられ、ラック(6)を突き上げて材料運搬車(2)から離脱させることを特徴とする請求項1に記載の魔法瓶の真空吸引装置。
【請求項5】
前記到達検出機構(5)は、室外に設けられる誘導スイッチ(54)と、誘導スイッチ(54)に通信可能に接続される誘導シート(53)と、一端が誘導シート(53)に固定される検出ロッド(50)と、検出ロッド(50)の室内に貫通する端部に設けられる平衡ブロック(51)と、材料運搬車(2)の側面のうち平衡ブロック(51)に近い端部に設けられる衝突ブロック(52)と、誘導シート(53)へ回復力を付与する磁石(55)とを含み、
前記衝突ブロック(52)と平衡ブロック(51)との接触移行面が円弧面であり、平衡ブロック(51)と衝突ブロック(52)が接触すると、誘導スイッチ(54)は誘導シート(53)の回転変形を通じてオン又はオフになり、材料運搬車(2)の停止又は作動を制御することを特徴とする請求項4に記載の魔法瓶の真空吸引装置。
【請求項6】
前記突き上げ機構(4)は間隔を空けて設けられ、前記予備吸引室(401)の前方の積込み台(100)及び冷却室(404)の後方の荷降ろし台(200)のいずれにも、前記材料連続搬送手段のレールに対応するレールが設けられ、前記材料運搬車(2)の底部に少なくとも3対のハブ(21)が設けられることを特徴とする請求項4に記載の魔法瓶の真空吸引装置。
【請求項7】
各組の突き上げ機構(4)はレール(1)の外側に対称に設けられ、前記ラック(6)のエッジ部が材料運搬車(2)の縁部から張り出し、前記突き上げ機構(4)は、ラック(6)のエッジ部の下方に位置する突き上げロッドを含み、突き上げロッドは動力源に接続され、動力源の作用の下で、ラック(6)のエッジ部を突き上げてラック(6)を材料運搬車(2)から突き上げることを特徴とする請求項4に記載の魔法瓶の真空吸引装置。
【請求項8】
前記ラック(6)には魔法瓶を載置する位置決め治具(8)が設けられ、位置決め治具(8)はラック(6)にプラグ接続されることを特徴とする請求項1に記載の魔法瓶の真空吸引装置。
【請求項9】
魔法瓶の真空吸引装置を用いた真空吸引方法であって、
請求項6に記載の魔法瓶の真空吸引装置は、
入口バルブを開き、魔法瓶を載置したラックは材料運搬車を通じてレールを介して積込み台から低真空予備吸引室の所定の位置に停まり、突き上げ機構はラックを突き上げて材料運搬車から離脱させ、材料運搬車は低真空予備吸引室から退出して積込み台に戻り、突き上げ機構はラックを下ろしてリターンさせ、入口バルブが閉じられ、システムは入口バルブが閉じられたことを検出すると低真空排気作業を開始し、真空度が4×102Paに達すると検出すると、真空吸引速度を速めるとともに予熱を開始し、温度が200℃に達すると加熱を停止し、真空度が1×10-1Paに達すると検出すると予備吸引が完了するステップS1と、
予備吸引が完了した後、加熱室のゲートバルブを開き、低真空予備吸引室の突き上げ機構はラックを突き上げるとともに、高真空加熱室の材料運搬車はレールを介して低真空予備吸引室に入って所定の位置に停まり、突き上げ機構は降りてラックを材料運搬車に置き、材料運搬車はラックを載置したままでレールを介して高真空加熱室に入り、加熱室のゲートバルブが閉じられ、このとき、低真空予備吸引室はステップS1を繰り返し、システムは加熱室のバルブが閉じられたことを検出すると、高真空排気作業を開始しながら、加熱して炉内の温度を450℃にし、真空度が1×10-3Paに達したと検出すると、温度450℃の条件下で20分間保温し、ゲッターを活性化させるステップS2と、
高真空断熱溶接室と高真空加熱室は高真空排気作業を同時に開始し、高真空断熱溶接室の真空度を1×10-3Pa、温度を450℃にして、常に保持し、ステップS2でゲッターを活性化させた後、溶接室のゲートバルブが開かれ、材料運搬車はラックを載置したままでレールを介して高真空断熱溶接室に入って所定の位置に停まり、次に、突き上げ機構はラックを突き上げて材料運搬車から離脱させ、材料運搬車は高真空加熱室に戻り、突き上げ機構はラックを下ろしてリターンさせ、溶接室バルブが閉じられ、このとき、高真空加熱室はステップS2を繰り返し、システムが溶接室のゲートバルブが閉じられたことを検出すると、レーザ溶接手段のレーザ溶接ガンがゼロ位置に戻り、ゼロ位置から透明窓を透過して、ラック魔法瓶の置き間隔に対応する予め設定された前進パラメータに従って溶接を順次行い、レーザ溶接ガンは溶接ボールと魔法瓶の真空吸引孔とを一体に溶融して溶接するステップS3と、
溶接が完了すると、冷却室のゲートバルブを開き、高真空断熱溶接室の突き上げ機構はラックを突き上げるとともに、低真空冷却室の材料運搬車はレールを介して高真空断熱溶接室に入って所定の位置に停まり、突き上げ機構は降りてラックを材料運搬車に置き、材料運搬車はラックを載置したままでレールを介して低真空冷却室に入り、冷却室のゲートバルブが閉じられ、このとき、高真空断熱溶接室はステップS3を繰り返し、システムは、冷却室のゲートバルブが閉じられたことを検出すると、冷却室の室温及び室内の圧力を監視し、室温が230℃に下がると、吸気バルブを開き、冷却室へ空気又は窒素ガスを充填し、室内の圧力が外部の圧力と同じになると、冷却が完了するステップS4と、
冷却が完了すると、出口バルブを開き、材料運搬車はラックを載置したままでレールを介して荷降ろし台に入って所定の位置に停まり、材料を降ろした後低真空冷却室に戻り、出口バルブが閉じられ、このとき、低真空冷却室はステップS4を繰り返すステップS5と、を実行することを含むことを特徴とする魔法瓶の真空吸引装置を用いた真空吸引方法。
【請求項10】
前記ステップS3では、レーザ溶接手段による溶接前に、溶接室の上方に制御可能に可動設置されるビジョンスキャンカメラは透明窓を介して全ての魔法瓶の溶接位置をスキャンし、レーザ溶接ガンはビジョンスキャン結果に従って透明窓を透過して部位特異的な溶接を行い、溶接ボールと魔法瓶の真空吸引孔とを一体に溶融して溶接を完了することを特徴とする請求項9に記載の魔法瓶の真空吸引装置を用いた真空吸引方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魔法瓶の加工装置に関し、特に瓶本体を真空吸引して真空吸引孔を溶接する魔法瓶の真空吸引装置及びその真空吸引方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の魔法瓶は真空魔法瓶が一般的であり、すなわち、二層構造の瓶本体の中間層は真空に吸引され、魔法瓶の断熱性能は中間層の真空度によって決定され、従来の真空吸引技術は一般的に排気管を利用した真空吸引技術と真空ろう付け技術に分けられ、密封性能がより良く、信頼性がより高い真空ろう付け技術は、業界の各企業に広く採用されている。真空ろう付け技術は主に、魔法瓶の真空吸引孔を封止する方式としてろう材による封止を採用するものであり、業界で採用したろう材は一般にガラス基材であり、その原理は真空炉内で高温を利用してろう材を融解し、魔法瓶の底部の真空吸引孔と融合して一体化することにより封止を実現して、魔法瓶に真空断熱機能を付与することである。真空ろう付け技術は過程全体にわたって高真空条件下で行う必要があり、現在、単炉真空機の真空炉内に魔法瓶を入れて、常温低真空排気、高温高真空排気、更に降温などを行う真空吸引工程であり、この過程に必要なエネルギー消費量は非常に高く、しかも、加工周期が長く、1炉分の製品の加工周期が5時間以上必要であり、生産効率や省エネ化の効率がすべて非常に低下し、しかも、現在の自働化改造に適応できない。
【0003】
このため、業界の技術者は多方面の改良を行い、例えば特許201910255200.4「真空魔法瓶の連続真空吸引用の真空室及び連続真空吸引技術」の解決手段では、供給から排出まで順に予熱室、ろう付け室及び冷却室の3室が含まれており、また、特許201821858591.6「魔法瓶の全自動高真空ろう付け装置」の解決手段では、互いに連結されて順次設けられた予備吸引室、加熱室、溶接室、冷却室及び排出室が含まれている。上記の2つの解決手段は、既存の真空吸引技術を分割し、複数の室が設置されているものに過ぎず、本質的にはガラス基材であるろう材に対して封止を行う技術であり、しかし、ガラス基材であるろう材は専用の調達設備を必要とし、コストも高く、重金属を含むので環境にも特定の汚染を与え、その溶融封止温度はまた500℃以上に達し、その材料は溶融封止後に黒色になり、射出成形瓶本体の場合はプラスチック粉への吸着性も悪く、また、このような封止は異種材料の溶接であるので、溶接の強固さが低く、瓶本体の一部ではろう材が封止後に落ちてしまい、その結果、真空が破壊され、廃棄率が高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、コストを大幅に削減し、溶接の品質を確保し、環境に対する重金属汚染がないことに加えて、溶接の難度を大幅に低減させ、製品の歩留まりや加工効率を高め、省エネ化や排出削減を図るとともに、自動化及び量産化を実現する魔法瓶の真空吸引装置及びその真空吸引方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成させるために、本発明は下記技術的解決手段を採用する。
【0006】
技術的解決手段1:順次設けられた予備吸引室、加熱室、溶接室及び冷却室を含み、隣り合う室は全て上下移動可能なゲートバルブを介して連通又は遮断し、全ての室の底部に材料連続搬送手段が設けられ、予備吸引室、加熱室、溶接室のいずれにも加熱手段が設けられる魔法瓶の真空吸引装置であって、溶接室の上方に制御可能に可動設置されるレーザ溶接手段をさらに含み、前記溶接室の天面に少なくとも1つの透明窓が設けられ、レーザ溶接手段のレーザビームが透明窓を透過して瓶底の中心孔に設けられる溶接ボールを溶融し、前記加熱室及び溶接室はいずれも高真空排気システムに接続され、予備吸引室及び冷却室はいずれも低真空排気システムに接続され、前記予備吸引室の入口に上下移動可能な入口バルブが設けられ、冷却室の出口に上下移動可能な出口バルブが設けられる。
【0007】
好ましくは、溶接室の上方に制御可能に可動設置されるビジョンスキャンカメラをさらに含む。
【0008】
好ましくは、前記透明窓は耐熱ガラスであり、前記透明窓の視認範囲が全ての魔法瓶をカバーし、前記透明窓は数が魔法瓶の総数と同じであり、かつ魔法瓶に1対1で対応し、前記透明窓は、全て辺長30~60mmの四角形又は直径30~60mmの円形である。
【0009】
好ましくは、前記材料連続搬送手段は、各室の底部にそれぞれ設けられるレールと、各室の外側に設けられる伝動機構と、レールに制御可能に可動設置される材料運搬車と、材料運搬車に配置されて魔法瓶を載置するためのラックと、を含み、前記伝動機構は材料運搬車をレールに沿って走行するように制御し、伝動機構は全て、動力源に接続される伝動軸ユニットと、伝動軸ユニットの末端に設けられる伝動歯車と、材料運搬車の底部に設けられて伝動歯車と嵌合して伝動するラックとを含む。
【0010】
好ましくは、各室には到達検出機構が設けられ、前記到達検出機構は、室外に設けられる誘導スイッチと、誘導スイッチに通信可能に接続される誘導シートと、一端が誘導シートに固定される検出ロッドと、検出ロッドの室内に貫通する端部に設けられる平衡ブロックと、材料運搬車の側面のうち平衡ブロックに近い端部に設けられる衝突ブロックと、誘導シートへ回復力を付与する磁石とを含み、前記衝突ブロックと平衡ブロックとの接触移行面が円弧面であり、平衡ブロックと衝突ブロックが接触すると、誘導スイッチは誘導シートの回転変形を通じてオン又はオフになり、材料運搬車の停止又は作動を制御する。
【0011】
好ましくは、前記突き上げ機構は間隔を空けて設けられ、前記予備吸引室の前方の積込み台及び冷却室の後方の荷降ろし台のいずれにも、前記材料連続搬送手段のレールに対応するレールが設けられ、前記材料運搬車の底部に少なくとも3対のハブが設けられる。
【0012】
好ましくは、各組の突き上げ機構はレールの外側に対称に設けられ、前記ラックのエッジ部が材料運搬車の縁部から張り出し、前記突き上げ機構は、ラックのエッジ部の下方に位置する突き上げロッドを含み、突き上げロッドは動力源に接続され、動力源の作用の下で、ラックのエッジ部を突き上げてラックを材料運搬車から突き上げる。
【0013】
好ましくは、前記ラックには魔法瓶を載置する位置決め治具が設けられ、位置決め治具はラックにプラグ接続される。
【0014】
技術的解決手段2:魔法瓶の真空吸引装置を用いた真空吸引方法であって、上記の魔法瓶の真空吸引装置は、
入口バルブを開き、魔法瓶を載置したラックは材料運搬車を通じてレールを介して積込み台から低真空予備吸引室の所定の位置に停まり、突き上げ機構はラックを突き上げて材料運搬車から離脱させ、材料運搬車は低真空予備吸引室から退出して積込み台に戻り、突き上げ機構はラックを下ろしてリターンさせ、入口バルブが閉じられ、システムは入口バルブが閉じられたことを検出すると低真空排気作業を開始し、真空度が4×102Paに達したと検出すると、真空吸引速度を速めるとともに予熱を開始し、温度が200℃に達すると加熱を停止し、真空度が1×10-1Paに達したと検出すると予備吸引が完了するステップS1と、
予備吸引が完了した後、加熱室のゲートバルブを開き、低真空予備吸引室の突き上げ機構はラックを突き上げるとともに、高真空加熱室の材料運搬車はレールを介して低真空予備吸引室に入って所定の位置に停まり、突き上げ機構は降りてラックを材料運搬車に置き、材料運搬車はラックを載置したままでレールを介して高真空加熱室に入り、加熱室のゲートバルブが閉じられ、このとき、低真空予備吸引室はステップS1を繰り返し、システムは加熱室のバルブが閉じられたことを検出すると、高真空排気作業を開始しながら、加熱して炉内の温度を450℃にし、真空度が1×10-3Paに達したと検出すると、温度450℃の条件下で20分間保温し、ゲッターを活性化させるステップS2と、
高真空保温溶接室と高真空加熱室は高真空排気作業を同時に開始し、高真空保温溶接室の真空度を1×10-3Pa、温度を450℃にして、常に保持し、ステップS2でゲッターを活性化させた後、溶接室のゲートバルブが開かれ、材料運搬車はラックを載置したままでレールを介して高真空保温溶接室に入って所定の位置に停まり、次に、突き上げ機構はラックを突き上げて材料運搬車から離脱させ、材料運搬車は高真空加熱室に戻り、突き上げ機構はラックを下ろしてリターンさせ、溶接室バルブが閉じられ、このとき、高真空加熱室はステップS2を繰り返し、システムが溶接室のゲートバルブが閉じられたことを検出すると、レーザ溶接手段のレーザ溶接ガンがゼロ位置に戻り、ゼロ位置から透明窓を透過して、ラック魔法瓶の置き間隔に対応する予め設定された前進パラメータに従って溶接を順次行い、レーザ溶接ガンは溶接ボールと魔法瓶の真空吸引孔とを一体に溶融して溶接するステップS3と、
溶接が完了すると、冷却室のゲートバルブを開き、高真空保温溶接室の突き上げ機構はラックを突き上げるとともに、低真空冷却室の材料運搬車はレールを介して高真空保温溶接室に入って所定の位置に停まり、突き上げ機構は降りてラックを材料運搬車に置き、材料運搬車はラックを載置したままでレールを介して低真空冷却室に入り、冷却室のゲートバルブが閉じられ、このとき、高真空保温溶接室はステップS3を繰り返し、システムは、冷却室のゲートバルブが閉じられたことを検出すると、冷却室の室温及び室内の圧力を監視し、室温が230℃に下がると、吸気バルブを開き、冷却室へ空気又は窒素ガスを充填し、室内の圧力が外部の圧力と同じになると、冷却が完了するステップS4と、
冷却が完了すると、出口バルブを開き、材料運搬車はラックを載置したままでレールを介して荷降ろし台に入って所定の位置に停まり、材料を降ろした後低真空冷却室に戻り、出口バルブが閉じられ、このとき、低真空冷却室はステップS4を繰り返すステップS5と、を実行することを含む。
【0015】
好ましくは、前記ステップS3では、レーザ溶接手段による溶接前に、溶接室の上方に制御可能に可動設置されるビジョンスキャンカメラは透明窓を介して全ての魔法瓶の溶接位置をスキャンし、レーザ溶接ガンはビジョンスキャン結果に従って透明窓を介して部位特異的な溶接を行い、溶接ボールと魔法瓶の真空吸引孔とを一体に溶融して溶接を完了する。
【発明の効果】
【0016】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下の通りである。第一に、レーザ溶接方式を採用することにより、常温低真空排気、高温高真空排気、断熱高真空排気溶接、低真空排気降温の技術全体を短くし、エネルギー消費量を大幅に削減し、ガラス基材であるろう材の使用を省略し、封止材料のコストを削減するとともに、ガラス基材であるろう材の使用による欠点を回避し、即ち、真空吸引の封止技術に対して要求される温度をより低くし、エネルギー消費量を削減するとともに、重金属排出による環境汚染をなくす。第二に、瓶本体と同じ材質の金属溶接ボールを用いてレーザ溶接を行うことによって、同種金属の溶接強固さがより高く、安定性がより高く、封止後のものの色が瓶本体と一致し、プラスチック粉に対する吸着性も瓶本体と一致し、後続のスプレーコートの効果が向上する。第三に、レーザ溶接が透明窓で行われることによって、レーザ溶接が正常に行われることを確保しつつ、溶接室の断熱性能を確保し、製品の加工品質を向上させる。第四に、材料連続搬送手段によって材料を各室に連続搬送し、複数の室で連続作業による真空吸引を行うことで、量産を実現し、エネルギー消費量を削減するとともに、生産効率を高め、また、他の工程の生産ラインに適用することもでき、自動化の水準が高く、個別に開閉するドアが室ごとに設けられてもよく、このようにして、各室についてチェックや点検を単独で行うことができる。
【0017】
さらなる有益な効果は以下の通りである。第一に、ビジョンスキャンカメラは溶接室の上方に設けられ、ビジョンスキャンカメラは透明窓を介して溶接すべき位置をスキャンし、レーザ溶接手段のレーザ溶接ガンはスキャン結果に従って、透明窓を介して溶接作業を行い、これによって、溶接位置がより正確になり、溶接品質がより向上する。第二に、透明窓の視認範囲が全ての魔法瓶をカバーし、透明窓が耐熱ガラスを用いることによって、高真空断熱溶接室の断熱性能に加えて、レーザ溶接が順調に行われることが確保され、溶接品質が向上する。第三に、透明窓は数が魔法瓶の数と同じであり、魔法瓶に1対1で対応し、このようにして、ビジョンスキャンカメラに対応するスキャンやレーザ溶接手段に対応する溶接が簡便に実施できる上に、溶接室の断熱性能が向上する。第四に、魔法瓶は材料運搬車のラックに配置され、材料運搬車は室の底部のレールに区分して配置され、魔法瓶は各室に搬送されて真空吸引作業に供し、材料運搬車の底部に少なくとも3対のハブが設けられ、これによって、材料運搬車はレールの各段間で安定的に移行し、魔法瓶への連続作業に有利であり、エネルギーが節約され、生産効率が向上する。第五に、衝突ブロックは検出ロッドの平衡ブロックに衝突し、検出ロッドの他端にある誘導シート、誘導スイッチは材料運搬車の停止又は作動を制御し、これによって、材料運搬車は所定の位置に停まり、位置決めが正確に行われ、各室の自動化作業が実現される。第六に、所定の長さのレールごとに少なくとも1組の突き上げ機構が設けられ、具体的には、突き上げ機構は予備吸引室及び溶接室の底部に設けられ、このように、隣り合う2つのレールは1つの材料運搬車を共用し、これによって、使用される材料運搬車や突き上げ機構の数を大幅に減少させ、コストを大きく削減し、しかも、溶接室内の突き上げ機構はラックを材料運搬車から突き上げ、材料運搬車が溶接室に戻ると、ラックはレールに置かれて溶接に供し、これによって、ラックの安定性がより高く、溶接精度がより高い。第七に、突き上げ機構はレールの両側に対称に設けられ、ラックのエッジ部を突き上げ、このようにして、ラックはより安定的に突き上げられる。第八に、ラックには位置決め治具が設けられることによって、魔法瓶の部位特異的な位置決めに有利であり、位置決め治具のプラグ接続は、さまざまな型番の魔法瓶に適用できるようにし、適用範囲を広げるとともに、金型の交換を効率化し、加工効率を大幅に高める。第九に、レーザ溶接手段の前進パラメータについてはレーザ溶接手段のレーザ溶接ガンの数に応じて変更が行われてもよく、レーザ溶接ガンが1つ設けられる場合、前進パラメータはゼロ化してから、魔法瓶を1つずつ溶接するように設定されてもよく、レーザ溶接ガンが2つ以上設けられる場合、前進パラメータは魔法瓶を列ごとに溶接するように設定されてもよく、レーザ溶接ガンの数がラックにおける魔法瓶の数と同じである場合、前進パラメータはラックにおける全ての魔法瓶を一括して溶接するように設定されてもよく、生産ラインの具体的な状況に応じて適切な数のレーザ溶接ガンを用い、レーザ溶接ガンの数に応じて溶接前進パラメータを変更することができ、これによって、適用範囲を広げて、普及を容易にする。第十に、レーザ溶接手段、材料連続搬送手段の動力源、到達検出機構や伝動機構等は全て真空炉外に取り付けられることによって、高温環境で作動するときに当該機構の断熱が難しく、耐用年数が短いという問題を回避し、炉体における室のスペースを小さくし、構造全体を簡素化させながら、エネルギーを節約し、またメンテナンスにも有利である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の魔法瓶の真空吸引装置の構造概略図である。
【
図2】本発明の魔法瓶の真空吸引装置の上面構造概略図である。
【
図3】本発明の魔法瓶の真空吸引装置における室の単一レールの構造概略図である。
【
図7】本発明の魔法瓶の真空吸引装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の技術的解決手段をより明確にするために、以下、
図1~7を参照して、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書で説明される具体的な実施形態は本発明を解釈するために過ぎず、本発明の特許範囲を限定するものではない。
【実施例0020】
魔法瓶の真空吸引装置は、積込み台100と荷降ろし台200との間に設けられ、加工すべきワークの搬送方向に順次設けられた4つの真空室、すなわち、それぞれ、予備吸引室401、加熱室402、溶接室403、冷却室404と、室の底部に設けられる材料連続搬送手段と、溶接室403の上方に制御可能に可動設置されるレーザ溶接手段9と、を含み、前記真空室のハウジングのそれぞれには304ステンレス鋼や炭素鋼材質が使用され、断熱材料には金属断熱スクリーンが使用され、断熱スクリーンはステンレス鋼やモリブデンなどの金属材料を少なくとも3層含み、前記隣り合う室の間にはいずれも、隣り合う室を連通又は遮断するために、制御可能に上下移動するゲートバルブが設けられ、予備吸引室401の入口に設けられる入口バルブ71と、予備吸引室401と加熱室402との間に設けられる加熱室バルブ71と、加熱室402と溶接室403との間に設けられる溶接室バルブ72と、溶接室403と冷却室404との間に設けられる冷却室バルブ73と、冷却室404の出口に設けられる出口バルブ74とを含み、ゲートバルブ及びゲートバルブの上下移動は全て従来技術であり、本実施例では、チェーン、チェーンと嵌合する平衡歯車及びシリンダーからゲートバルブの駆動機構7を構成することが例示されているが、このような昇降構造に限定されるものではない。前記予備吸引室401、加熱室402、溶接室403のいずれにも加熱手段が設けられ、前記加熱室402及び溶接室403はいずれも高真空排気システムに接続され、予備吸引室401及び冷却室404はいずれも低真空排気システムに接続される。前記加熱手段、高真空排気システム、低真空排気システムは全て従来技術であり、低真空システムはルーツポンプとスプールポンプを含み、高真空システムはロータリーベーン真空ポンプと拡散ポンプを含む。前記材料連続搬送手段は、加工すべきワークを各室に連続的に搬送して真空吸引作業に供するものであり、前記溶接室403の天面に少なくとも1つの透明窓10が設けられ、レーザ溶接手段9のレーザビームは透明窓10を透過して、瓶底の中心孔に設けられる溶接ボール11(
図5参照)を溶融し、溶接ボール11は鉄、チタン、ステンレス鋼など瓶本体と同じ材料で製造されてもよく、レーザ溶接手段9及びその制御機構は従来技術であり、レーザ溶接手段9はレーザ溶接ガンを含み、レーザ溶接手段9の移動を制御する機構は横方向伝動機構と縦方向伝動機構を含んでもよく、縦方向伝動機構は横方向伝動機構に設けられ、これによって、レーザ溶接ガンの横方向と縦方向の自在な移動が可能になる。前記レーザ溶接ガンの伝動機構のモータはサーボモータであってもよく、サーボモータはサーボシステムのサーボドライバ及びエンコーダによって制御され、サーボシステム、サーボドライバ、エンコーダ、サーボモータは全て従来技術であり、
図7に示すように、2つのサーボモータM1、M2はそれぞれ横方向(即ちX軸)、縦方向(即ちY軸)における溶接を制御し、前記透明窓10は耐熱ガラスであり、前記透明窓10の視認範囲は全ての魔法瓶をカバーする。
【0021】
図2に示すように、本実施例の透明窓10は複数枚を組み合わせた構成とされており、透明窓10は、数が溶接室内の材料連続搬送手段における魔法瓶300の数と同じであり、魔法瓶300に1対1で対応し、透明窓10は全て辺長30~60mmの四角形又は直径30~60mmの円形であり、このようにして、溶接室の断熱性能を確保しながら、レーザ溶接ガンのレーザビームが透明窓を透過して溶接を首尾よく行うことを確保する。前記レーザ溶接手段のレーザ溶接ガンは必要に応じて1つが魔法瓶を1列ずつ1つずつ溶接するように設けられてもよいし、2つ以上が魔法瓶を1つずつ溶接するように設けられてもよいし、溶接効率を高めるために魔法瓶と同じ数の溶接ガンで溶接を一括して行ってもよい。
【0022】
前記材料連続搬送手段は、コントローラと、各室の底部に区分して設けられるレール1と、各レール1の側面に設けられる伝動機構3と、レール1に制御可能に可動設置される材料運搬車2と、材料運搬車2に配置されて魔法瓶300を載置するラック6と、突き上げ機構4と、到達検出機構5とを含み、前記コントローラは伝動機構3、到達検出機構5、突き上げ機構4に接続されて、これらを制御し、前記ラック6には、魔法瓶300を載置する位置決め治具8が設けられ、前記位置決め治具8は、治具本体と、治具本体に長方形配列で設けられた挟着体と、を含み、魔法瓶300は開口を下にして挟着体にセットされる。前記位置決め治具8はラック6にプラグ接続され、位置決め治具8が設けられることによって、魔法瓶300の部位特異的な位置決めが容易になり、位置決め治具8がプラグ接続されることによって、金型の交換を効率化し、さまざまな型番の魔法瓶に適用でき、これによって、適用範囲を広げるとともに、加工効率を大幅に向上させる。前記材料運搬車2の底部に少なくとも3対のハブ21が均等に配置され、ハブ21はレール1に位置し、材料運搬車2は伝動機構3を通じてレール1上を走行又は停止する。前記予備吸引室401の前方の積込み台100及び冷却室404の後方の荷降ろし台200のいずれにも、前記材料連続搬送手段のレールに対応するレールが設けられ、積込み台100に魔法瓶が積み込まれた材料運搬車は伝動機構3によって予備吸引室401、加熱室402、溶接室403、冷却室404に順次搬送され、真空吸引及び溶接作業を完了した後、荷降ろし台200に搬送される。前記伝動機構3は材料運搬車2をレール1に沿って走行制御し、伝動機構3は全て、動力源に接続された伝動軸ユニットと、伝動軸ユニットの末端に設けられる伝動歯車34と、材料運搬車2の底部に設けられて伝動歯車34と嵌合して伝動するラック20とを含み、具体的には、伝動軸ユニットは、レール1に垂直である2つの横方向伝動軸31と、横方向伝動軸31に垂直であって2つの横方向伝動軸31に接続される1つの縦方向伝動軸32と、を含み、前記縦方向伝動軸32の両端共に傘歯車群33が設けられ、縦方向伝動軸32は傘歯車群33の嵌合により動力を2つの横方向伝動軸31に伝達する。前記伝動歯車34は横方向伝動軸31の末端に設けられ、材料運搬車2の底部にあるラック20は伝動歯車34と嵌合する。前記動力源はモータ30であり、モータ30は伝動ベルト35を介して動力を縦方向伝動軸32に伝達し、モータ30は縦方向伝動軸32を回転駆動し、傘歯車群33の伝動によって2つの横方向伝動軸31は同時に回転し、さらに横方向伝動軸31の伝動歯車34を回転駆動し、材料運搬車2は伝動歯車34及びラック20の作用によってレール1上を走行する。前記モータ30、縦方向伝動軸32、傘歯車群33は全て真空炉の外側に設けられ、横方向伝動軸31は真空炉内に挿入される。前記モータ30はサーボモータであってもよく、サーボモータはサーボシステムのサーボドライバ及びエンコーダによって制御され、サーボシステム、サーボドライバ、エンコーダ、サーボモータは全て従来技術である。
図7に示すように、前記真空炉内の4つの室における伝動機構のモータはそれぞれ、材料運搬車2をそれぞれ制御して、予備吸引室401に入って予備吸引を受け、加熱室402に入って高真空排気を受け、溶接室403に入って溶接を受け、冷却室404に入って冷却を受けるようにするM3、M4、M5、M6である。
【0023】
前記積込み台100及び荷降ろし台200もそれぞれ材料運搬車2の伝動機構に設けられ、該伝動機構は上記の真空炉の各室外の伝動機構と同じであってもよいし、積込み台100及び荷降ろし台200の伝動機構におけるモータはそれぞれインバータに接続されてもよく、
図7に示すように、インバータはモータを制御する。
【0024】
前記突き上げ機構4はレール1の側面に設けられ、所定の長さのレール1ごとに少なくとも1組の突き上げ機構4は設けられ、各組の突き上げ機構4において2つの突き上げ機構はレール1の両側に対称に設けられる。前記ラック6のエッジ部は材料運搬車2の縁部から張り出し、突き上げ機構4はラック6のエッジ部を突き上げることでラック6を突き上げる。前記突き上げ機構4は、ラック6のエッジ部の下方に位置する突き上げロッドを含み、突き上げロッドは動力源に接続され、動力源の作用の下でラックのエッジ部を突き上げてラックを材料運搬車から突き上げ、動力源はシリンダーとしてもよい。具体的には、前記突き上げ機構4は、シリンダー41、伝動ラック47、歯車48、主伝動軸45、副伝動軸46、突き上げベース49、突き上げラック42、入力歯車43、出力歯車44、押し板40を含み、前記シリンダー41は突き上げ機構4の動力源であり、かつ、伝動ラック47に接続され、伝動ラック47を往復運動させる。前記歯車48は伝動ラック47と嵌合し、主伝動軸45の一端に固定され、シリンダー41は伝動ラック47及び歯車48を介して動力を主伝動軸45に伝達する。前記突き上げベース49はレール1外の両側に対称に設けられ、前記入力歯車43と出力歯車44は1対の歯車ペアとなり、入力歯車43と出力歯車44は互いに嵌合接続され、両方共に突き上げベース49内に設けられる。前記突き上げラック42は2つであり、突き上げベース49内に対称に設けられ、2つの突き上げラック42はそれぞれ入力歯車43、出力歯車44と嵌合し、これによって、上下移動可能に制御される。前記押し板40は突き上げラック42の頂部に垂直に設けられる。前記主伝動軸45は2つの対称な突き上げベース49内の入力歯車43を順次挿通し、副伝動軸46は2つの突き上げベース49内の出力歯車44を順次挿通する。前記ラック6のエッジ部は材料運搬車2の縁部から張り出し、押し板40はラック6のエッジ部の下方に設けられ、伝動ラック47はシリンダー41で駆動されて、歯車48を介して主伝動軸45を回転駆動し、レール1の両側の突き上げベース49内の突き上げラック42は入力歯車43及び出力歯車44の作用により同期して上下移動するように制御され、ラック6を突き上げたり降ろしたりする。
【0025】
前記到達検出機構5は、
図4に示すように、真空炉の外側に設けられ、誘導スイッチ54、誘導シート53、磁石55、検出ロッド50、平衡ブロック51、衝突ブロック52を含む。前記誘導スイッチ54は真空炉の外側の取り付けベース56に取り付けられ、誘導シート53は誘導スイッチ54に接続され、誘導シート53及び誘導スイッチ54は全て従来技術であり、誘導シート53は導電性の金属片である。前記検出ロッド51は真空炉室の内外を貫通し、平衡ブロック52は検出ロッド50の室内に挿入された端部に設けられ、誘導シート53は検出ロッド50の他端、すなわち室外に貫通された端部に設けられ、前記衝突ブロック52は材料運搬車2の検出ロッド50に近い端部の側面に設けられる。前記磁石55は取り付けベース56に設けられ、誘導シート53へ回復力を付与し、誘導シート53が初期位置に戻るようにする。前記衝突ブロック52と平衡ブロック51との接触移行面が円弧面であり、材料運搬車2が走行する際には、衝突ブロック52は平衡ブロック51へ押し付けられ、平衡ブロック51は検出ロッド50及び誘導シート53を駆動して検出ロッド50の周りに一定角度回転させ、誘導スイッチ54は、コントローラに伝送された信号を検出すると、材料運搬車を停車制御し、このとき、各真空室は所定の作業を開始し、各真空室の作業が完了すると、材料運搬車は前進又は後退し、衝突ブロック52は平衡ブロック51から離脱し、誘導シート53は平衡ブロック51自体の重量の作用でリターンし、円筒状の磁石55は誘導シート53を強固に吸着し、誘導シート53の揺れを回避し、材料運搬車2の所定の位置への停車の機能が到達検出機構5により実現されることで、材料運搬車2は所定の位置に停まり、位置決めが正確に行われ、各室の自動化作業が行われる。
【0026】
エンジニアが室内に入って溶接中に発生し得る問題を解決することを考慮して、上記の各室には個別のドアが設けられ、溶接室403に個別のドアが設けられることは、レーザ溶接ガンのデバッグや魔法瓶の位置合わせにも有利であり、加工精度を向上させる。
【0027】
上記の魔法瓶の真空吸引装置を用いた真空吸引方法は、
材料運搬車2のラック6に加工すべき魔法瓶300を積み込み、入口バルブ70を開き、材料運搬車2はレールを介して積込み台100から予備吸引室401に入り、所定の位置に到達すると停まり、突き上げ機構4はラック6を突き上げて材料運搬車2から離脱させ、材料運搬車2は戻って予備吸引室401から退出し、突き上げ機構4はラック6を下ろしてリターンさせ、入口バルブ70が閉じられ、システムは入口バルブ70が閉じられたことを検出すると低真空排気作業を開始し、真空度が4×102Paに達したと検出すると、真空吸引速度を速めるとともに予熱を開始し、温度が200℃に達すると加熱を停止し、真空度が4×10-1Paに達したと検出すると予備吸引が完了するステップS1と、
予備吸引が完了した後、加熱室バルブ71を開き、予備吸引室401の突き上げ機構4はラック6を突き上げるとともに、加熱室402の材料運搬車はレールを介して予備吸引室401に入って所定の位置に停まり、突き上げ機構4は降りてラック6を材料運搬車に置き、ラック6は材料運搬車とともにレールを介して加熱室402に入り、加熱室バルブ71が閉じられ、このとき、予備吸引室401はステップS1を繰り返し、システムは加熱室バルブ71が閉じられたことを検出すると、高真空排気作業を開始しながら、加熱して炉内の温度を450℃にし、真空度が1×10-3Paに達すると検出すると、温度450℃の条件下で20分間保温し、ゲッタースを活性化させるステップS2と、
溶接室403と加熱室402は高真空排気作業を同時に開始し、溶接室403の真空度を1×10-3Pa、温度を450℃にして、常に保持し、ステップS2でゲッターを活性化させた後、溶接室バルブ72が開かれ、材料運搬車はラックを載置したままでレールを介して溶接室403に入って所定の位置に停まり、突き上げ機構4はラック6を突き上げて材料運搬車2から離脱させ、材料運搬車2は加熱室402に戻り、突き上げ機構4はラック6を下ろしてリターンさせ、溶接室バルブ72が閉じられ、このとき、加熱室402はステップS2を繰り返し、システムが溶接室バルブ72が閉じられたことを検出すると、溶接ガンはゼロ位置に戻り、ゼロ位置から予め設定された前進パラメータに従って溶接(予め設定された前進パラメータはラックにおける魔法瓶の配置間隔に対応する)を順次行い、溶接ガンは溶接ボールと魔法瓶の真空吸引孔とを一体に溶融して溶接するステップS3と、
溶接が完了すると、冷却室バルブ73を開き、溶接室403の突き上げ機構はラック6を突き上げるとともに、冷却室404の材料運搬車2はレールを介して溶接室403に入って所定の位置に停まり、突き上げ機構4は降りてラック6を材料運搬車2に置き、材料運搬車はラックを載置したままでレールを介して冷却室404に入り、冷却室バルブ73が閉じられ、このとき、溶接室403はステップS3を繰り返し、システムは、冷却室バルブ73が閉じられたことを検出すると、冷却室404の室温及び室内の圧力を監視し、室温が230℃に下がると、吸気バルブを開き、冷却室404へ空気又は窒素ガスを充填し、室内の圧力が外部の圧力と同じになると、冷却が完了するステップS4と、
冷却が完了すると、出口バルブ74を開き、材料運搬車はラックを載置したままでレールを介して荷降ろし台200に入って所定の位置に停まり、材料を降ろした後材料運搬車2は冷却室404に戻り、出口バルブ74が閉じられ、このとき、冷却室404はステップS4を繰り返し、このように連続作業を行うステップS5とを含む。
上述実施例1における溶接室の上方に、制御可能に可動設置されるビジョンスキャンカメラが取り付けられてもよく、ビジョンスキャンカメラ及びその運動を制御するための機構は従来技術であり、ビジョンスキャンカメラの可動機構は横方向伝動機構と縦方向伝動機構を含んでもよく、縦方向伝動機構は横方向伝動機構に設けられ、これによって、横方向及び縦方向の自在な移動が実現される。
実施例1の前記真空吸引方法のステップS3では、システムによって溶接室バルブが閉じられたことを検出すると、溶接前に、ビジョンスキャンカメラは透明窓を介して溶接すべき位置をスキャンし、レーザ溶接ガンはスキャン結果に従って透明窓を介して溶接作業を行い、レーザ溶接ガンはビジョンスキャンカメラのスキャン結果に従って部位特異的な溶接を行い、これによって、溶接精度がより高くなり、溶接加工の品質がさらに向上する。