(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085275
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】トリフルオロエチレン系組成物とその使用
(51)【国際特許分類】
C09K 5/04 20060101AFI20230613BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
C09K5/04 F
F25B1/00 396Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023035498
(22)【出願日】2023-03-08
(62)【分割の表示】P 2019566140の分割
【原出願日】2018-05-31
(31)【優先権主張番号】1754923
(32)【優先日】2017-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ラシェッド, ウィサム
(57)【要約】 (修正有)
【課題】地球温暖化係数(GWP)、及び/又は同等の、好ましくは改善された性能品質、及び/又は蒸発器での小さな温度勾配、及び/又は圧縮機での低い出口温度、及び/又は不燃性又ほんの僅かな可燃性、の少なくとも一つを有する伝熱流体を提供する。
【解決手段】本発明は、トリフルオロエチレン;ペンタフルオロエタン;及びジフルオロメタン、1,1,1-トリフルオロプロペン、トリフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、モノフルオロエタン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブタ-1-エン、2,4,4,4-テトラフルオロブタ-1-エン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン等、及びそれらの混合物によって構成される群から選択される少なくとも一種の化合物Cを含有する組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- トリフルオロエチレン;
- ペンタフルオロエタン;及び
- ジフルオロメタン、1,1,1-トリフルオロプロペン、トリフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、モノフルオロエタン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブタ-1-エン、2,4,4,4-テトラフルオロブタ-1-エン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,1,2,2-テトラフルオロエタン、1,1-ジフルオロエタン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、ブタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン、1-クロロトリフルオロプロペン、2-メチルブタン、ペンタン、プロパン、及びそれらの混合物によって構成される群から選択される少なくとも一種の化合物C
を含有する組成物。
【請求項2】
- トリフルオロエチレン(R1123);
- ペンタフルオロエタン(HFC-125);及び
- 1,1,1,2-テトラフルオロエタン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、及びそれらの混合物によって構成される群から選択される少なくとも一種の化合物C
を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
トリフルオロエチレンの重量含有量が、5%以上、好ましくは10%以上、好ましくは15%以上、有利には20%以上、例えば25%以上、優先的には30%以上である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
ペンタフルオロエタンの重量含有量が、1%以上、好ましくは5%以上、好ましくは10%以上、有利には15%以上、例えば20%以上、優先的には30%以上である、請求項1から3の何れか一項に記載の組成物。
【請求項5】
化合物Cの重量含有量が、5%以上、好ましくは10%以上、好ましくは15%以上、有利には20%以上、例えば40%以上、好ましくは55%以上、優先的には60%以上、有利には70%以上、例えば80%以上である、請求項1から4の何れか一項に記載の組成物。
【請求項6】
次の組成物:
- 重量で5%~95%、好ましくは10%~90%のトリフルオロエチレン;
- 重量で5%~95%、好ましくは10%~90%のペンタフルオロエタン;及び
- 重量で5%~95%、好ましくは10%~90%の少なくとも一種の化合物C、
又は
- 重量で10%~80%、好ましくは10%~70%のトリフルオロエチレン;
- 重量で10%~80%、好ましくは10%~70%のペンタフルオロエタン;及び
- 重量で5%~95%、好ましくは5%~70%の少なくとも一種の化合物C、
又は
- 重量で10%~55%のトリフルオロエチレン;
- 重量で10%~55%のペンタフルオロエタン;及び
- 重量で10%~80%の少なくとも一種の化合物C、
又は
- 重量で10%~55%のトリフルオロエチレン;
- 重量で10%~55%のペンタフルオロエタン;及び
- 重量で5%~55%の少なくとも一種の化合物C、
又は
- 重量で5%~35%のトリフルオロエチレン;
- 重量で1%~10%のペンタフルオロエタン;及び
- 重量で60%~90%の少なくとも一種の化合物C
の一つから選択されることを特徴とする、請求項1から5の何れか一項に記載の組成物。
【請求項7】
化合物Cが1,1,1,2-テトラフルオロエタンであることを特徴とする、請求項1から6の何れか一項に記載の組成物。
【請求項8】
次の組成物:
- 重量で10%~55%のトリフルオロエチレン;
- 重量で10%~55%のペンタフルオロエタン;及び
- 重量で5%~60%の1,1,1,2-テトラフルオロエタン、
又は
- 重量で10%~30%、好ましくは10%~20%のトリフルオロエチレン;
- 重量で20%~50%のペンタフルオロエタン;及び
- 重量で30%~60%の1,1,1,2-テトラフルオロエタン、
又は
- 重量で20%~55%、好ましくは20%~45%のトリフルオロエチレン;
- 重量で20%~45%のペンタフルオロエタン;及び
- 重量で30%~60%の1,1,1,2-テトラフルオロエタン、
又は
- 重量で30%~55%のトリフルオロエチレン;
- 重量で20%~50%のペンタフルオロエタン;及び
- 重量で10%~50%の1,1,1,2-テトラフルオロエタン、
又は
- 重量で40%~55%のトリフルオロエチレン;
- 重量で30%~55%のペンタフルオロエタン;及び
- 重量で5%~30%の1,1,1,2-テトラフルオロエタン
の一つから選択されることを特徴とする、請求項1から7の何れか一項に記載の組成物。
【請求項9】
化合物Cが2,3,3,3-テトラフルオロプロペンであることを特徴とする、請求項1から6の何れか一項に記載の組成物。
【請求項10】
次の組成物:
- 重量で1%~50%のトリフルオロエチレン;
- 重量で1%~20%のペンタフルオロエタン;及び
- 重量で50%~98%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、
又は
- 重量で5%~50%のトリフルオロエチレン;
- 重量で1%~10%のペンタフルオロエタン;及び
- 重量で50%~90%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、
又は
- 重量で10%~40%のトリフルオロエチレン;
- 重量で1%~5%のペンタフルオロエタン;及び
- 重量で55%~85%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、
又は
- 重量で15%~35%のトリフルオロエチレン;
- 重量で1%~5%のペンタフルオロエタン;及び
- 重量で60%~84%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン
の一つから選択されることを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
- トリフルオロエチレン;
- ペンタフルオロエタン;
- 1,1,1,2-テトラフルオロエタン;及び
- 2,3,3,3-テトラフルオロプロペン
を含有する、請求項1から6の何れか一項に記載の組成物。
【請求項12】
次の組成物:
- 重量で5%~60%のトリフルオロエチレン;
- 重量で5%~60%のペンタフルオロエタン;
- 重量で1%~50%の1,1,1,2-テトラフルオロエタン;及び
- 重量で1%~60%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、
又は
- 重量で5%~60%のトリフルオロエチレン;
- 重量で5%~60%のペンタフルオロエタン;
- 重量で5%~50%の1,1,1,2-テトラフルオロエタン;及び
- 重量で5%~50%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、
又は
- 重量で5%~55%のトリフルオロエチレン;
- 重量で10%~55%のペンタフルオロエタン;
- 重量で5%~40%の1,1,1,2-テトラフルオロエタン;及び
- 重量で5%~40%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、
又は
- 重量で5%~25%のトリフルオロエチレン;
- 重量で10%~55%のペンタフルオロエタン;
- 重量で10%~40%の1,1,1,2-テトラフルオロエタン;及び
- 重量で10%~40%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、
又は
- 重量で30%~55%のトリフルオロエチレン;
- 重量で20%~55%のペンタフルオロエタン;
- 重量で5%~20%の1,1,1,2-テトラフルオロエタン;及び
- 重量で5%~20%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン
の一つから選択されることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
2000未満、好ましくは1500未満、優先的には1000未満、有利には500未満、例えば150未満のGWPを有することを特徴とする、請求項1から12の何れか一項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1から13の何れか一項に記載の組成物の伝熱流体としての使用。
【請求項15】
R404A、R452A、R449A、R449C、R448A、R22、R134a、R152a、R422、R502、R407A、R407F、R407C、R1234yf又はR1234zeの代替品、好ましくはR404Aの代替品としての、請求項1から13の何れか一項に記載の組成物の使用。
【請求項16】
請求項1から13の何れか一項に記載の組成物と、特にナノ粒子、安定剤、界面活性剤、追跡剤、蛍光剤、付臭剤、潤滑剤で好ましくはポリオールエステル系のもの、及び可溶化剤から選択される少なくとも一種の添加剤とを含有する伝熱組成物。
【請求項17】
請求項1から13の何れか一項に記載の組成物又は請求項16に記載の伝熱組成物の、特に冷蔵輸送、自動車空調又は自動車暖房の、蒸気圧縮回路を含む伝熱システムにおける使用。
【請求項18】
特にヒートポンプによる暖房、空調、冷蔵、冷凍、熱機関のための移動式又は固定式設備から選択される、請求項1から13の何れか一項に記載の組成物又は請求項16に記載の伝熱組成物を含む蒸気圧縮回路を備えた伝熱設備。
【請求項19】
伝熱流体を含む蒸気圧縮回路により流体又は物体を加熱し又は冷却する方法であって、伝熱流体の蒸発と伝熱流体の圧縮と伝熱流体の凝縮と伝熱流体の膨張とを逐次的に含み、伝熱流体が、請求項1から13の何れか一項に記載の組成物である、方法。
【請求項20】
- 冷却された流体又は物体の温度が-40℃~-10℃、好ましくは-35℃~-25℃、より特に好ましくは-30℃~-20℃である、流体又は物体を冷却する方法;
- 冷却された流体又は物体の温度が-15℃~15℃、好ましくは-10℃~10℃、より好ましくは-5℃~5℃である、流体又は物体を冷却する方法;及び
- 加熱された流体又は物体の温度が30℃~80℃、好ましくは35℃~55℃、より好ましくは40℃~50℃である、流体又は物体を加熱する方法
から選択される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリフルオロエチレン系組成物と、特に冷蔵、空調及びヒートポンプにおける、伝熱流体としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
フルオロカーボン化合物をベースとする流体は、蒸気圧縮による伝熱システム、特に空調、ヒートポンプ、冷蔵又は冷凍装置において広く使用されている。これらの装置が共通に有する特徴は、それらが、低圧での流体の蒸発(そこでは流体が熱を吸収);蒸発流体の高圧への圧縮;高圧の液体を生じる蒸発流体の凝縮(そこでは流体が熱を放出);及びサイクルを完了させるための流体の膨張を含む熱力学サイクルに基づいていることである。
【0003】
伝熱流体(純粋な化合物又は化合物の混合物でありうる)の選択は、一方では流体の熱力学的特性により、他方では更なる制約により決定づけられる。而して、特に重要な基準は、考慮下にある流体の環境への影響の基準である。特に、塩素化化合物(クロロフルオロカーボンとハイドロクロロフルオロカーボン)には、オゾン層を損傷するという欠点がある。従って、ハイドロフルオロカーボン、フルオロエーテル及びフルオロオレフィンなどの非塩素化化合物が今は一般的に好まれる。
【0004】
現在使用されている伝熱流体は、HFC-134a、R404A(52%のHFC-143a、44%のHFC-125及び4%のHFC-134aの三成分混合物)、R452A(11%のHFC-32、59%のHFC-125及び30%のHFO-1234yfの三成分混合物)、R407C(52%のHFC-134a、25%のHFC-125及び23%のHFC-32の三成分混合物)等々である。
【0005】
しかしながら、次の利点の少なくとも一つを有する他の伝熱流体を開発する継続的な必要性がある:上記流体よりも低い地球温暖化係数(GWP)、及び/又は同等の、好ましくは改善された性能品質、及び/又は蒸発器での小さな温度勾配、及び/又は圧縮機での低い出口温度、及び/又は不燃性又ほんの僅かな可燃性。
【発明の説明】
【0006】
本発明は、
- トリフルオロエチレン(R1123);
- ペンタフルオロエタン(HFC-125);及び
- ジフルオロメタン(HFC-32)、1,1,1-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)、トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、モノフルオロエタン(HFC-161)、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン(HFO-1336mmz,E又はZ異性体)、1-クロロトリフルオロプロペン(HFO-1233zd)、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブタ-1-エン(HFO-1345fz)、2,4,4,4-テトラフルオロブタ-1-エン(HFO-1354mfy)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、ブタン(HC-600)、2-メチルブタン(HC-601a)、ペンタン(HC-601)、プロパン、及びそれらの混合物によって構成される群から選択される少なくとも一種の化合物C
を含有する組成物に関する。
本発明によれば、上記組成物は化合物C又は化合物Cの混合物を含有しうる。
【0007】
好ましくは、上記組成物は、
- トリフルオロエチレン(R1123);
- ペンタフルオロエタン(HFC-125);及び
- ジフルオロメタン(HFC-32)、1,1,1-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)、トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、モノフルオロエタン(HFC-161)、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン(HFO-1336mmz、E又はZ異性体)、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブタ-1-エン(HFO-1345fz)、2,4,4,4-テトラフルオロブタ-1-エン(HFO-1354mfy)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、ブタン(HC-600)、2-メチルブタン(HC-601a)、ペンタン(HC-601)、プロパン、及びそれらの混合物によって構成される群から選択される少なくとも一種の化合物C
から本質的になり、特にこれらからなる。
【0008】
不純物は、例えば1%未満、好ましくは0.5%未満、好ましくは0.1%未満、優先的には0.05%未満、特に0.01%未満の割合でそのような組成物中に存在しうる。これらの不純物は、組成物の性質に有意な影響を持たない。
【0009】
一実施態様によれば、上記組成物は、
- トリフルオロエチレン(R1123);
- ペンタフルオロエタン(HFC-125);及び
- 1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、及びそれらの混合物によって構成される群から選択される少なくとも一種の化合物C
を含有する(好ましくはこれらから本質的になり、優先的にはこれらからなる)。
【0010】
好ましくは、上記組成物は、
- トリフルオロエチレン(R1123);
- ペンタフルオロエタン(HFC-125);及び
- 1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及びそれらの混合物によって構成される群から選択される少なくとも一種の化合物C
を含有する(好ましくはこれらから本質的になり、優先的にはこれらからなる)。
【0011】
本発明に係る組成物中のトリフルオロエチレン(R1123)の重量含有量は、例えば、1%~99%、5%~95%、5%~90%、5%~85%、5%~80%、5%~75%、5%~70%、5%~65%、5%~60%、5%~55%、5%~50%、5%~45%、5%~40%、5%~35%、5%~30%、5%~25%、5%~20%、5%~15%、5%~10%、10%~95%、10%~90%、10%~85%、10%~80%、10%~75%、10%~70%、10%~65%、10%~60%、10%~55%、10%~50%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、10%~25%、10%~20%、10%~15%、15%~95%、15%~90%、15%~85%、15%~80%、15%~75%、15%~70%、15%~65%、15%~60%、15%~55%、15%~50%、15%~45%、15%~40%、15%~35%、15%~30%、15%~25%、15%~20%、20%~95%、20%~90%、20%~85%、20%~80%、20%~75%、20%~70%、20%~65%、20%~60%、20%~55%、20%~50%、20%~45%、20%~40%、20%~35%、20%~30%、20%~25%、25%~95%、25%~90%、25%~85%、25%~80%、25%~75%、25%~70%、25%~65%、25%~60%、25%~55%、25%~50%、25%~45%、25%~40%、25%~35%、25%~30%、30%~95%、30%~90%、30%~85%、30%~80%、30%~75%、30%~70%、30%~65%、30%~60%、30%~55%、30%~50%、30%~45%、30%~40%、30%~35%、35%~95%、35%~90%、35%~85%、35%~80%、35%~75%、35%~70%、35%~65%、35%~60%、35%~55%、35%~50%、35%~45%、35%~40%、40%~95%、40%~90%、40%~85%、40%~80%、40%~75%、40%~70%、40%~65%、40%~60%、40%~55%、40%~50%、40%~45%、45%~95%、45%~90%、45%~85%、45%~80%、45%~75%、45%~70%、45%~65%、45%~60%、45%~55%、45%~50%、50%~90%、50%~90%、50%~85%、50%~80%、50%~75%、50%~70%、50%~65%、50%~60%、50%~55%、55%~95%、55%~90%、55%~85%、55%~80%、55%~75%、55%~70%、55%~65%、55%~60%、60%~95%、60%~90%、60%~85%、60%~80%、60%~75%、60%~70%、60%~65%、65%~95%、65%~90%、65%~85%、65%~80%、65%~75%、65%~70%、70%~95%、70%~90%、70%~85%、70%~80%、70%~75%、75%~95%、75%~90%、75%~85%、75%~80%、80%~95%、80%~90%、80%~85%、85%~95%、又は85%~90%でありうる。
【0012】
好ましくは、組成物中のトリフルオロエチレン(R1123)の重量含有量は、5%~70%、優先的には5%~60%、有利には5%~55%である。
【0013】
本発明によれば、重量パーセントは組成物の全重量に対して示される。
【0014】
組成物中のトリフルオロエチレン(R1123)の重量含有量は、5%以上、好ましくは10%以上、好ましくは15%以上、有利には20%以上、例えば25%以上、優先的には30%以上でありうる。
【0015】
好ましくは、組成物中のトリフルオロエチレン(R1123)の重量含有量は、組成物の全重量に対する重量で、次の含有量:1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%の一つから選択される。
【0016】
組成物中のペンタフルオロエタン(HFC-125)の重量含有量は、例えば、1%~99%、1%~95%、1%~90%、1%~85%、1%~80%、1%~75%、1%~70%、1%~65%、1%~60%、1%~55%、1%~50%、1%~45%、1%~40%、1%~35%、1%~30%、1%~25%、1%~20%、1%~15%、1%~10%、2%~95%、2%~90%、2%~85%、2%~80%、2%~75%、2%~70%、2%~65%、2%~60%、2%~55%、2%~50%、2%~45%、2%~40%、2%~35%、2%~30%、2%~25%、2%~20%、2%~15%、2%~10%、3%~95%、3%~90%、3%~85%、3%~80%、3%~75%、3%~70%、3%~65%、3%~60%、3%~55%、3%~50%、3%~45%、3%~40%、3%~35%、3%~30%、3%~25%、3%~20%、3%~15%、3%~10%、4%~95%、4%~90%、4%~85%、4%~80%、4%~75%、4%~70%、4%~65%、4%~60%、4%~55%、4%~50%、4%~45%、4%~40%、4%~35%、4%~30%、4%~25%、4%~20%、4%~15%、4%~10%、5%~95%、5%~90%、5%~85%、5%~80%、5%~75%、5%~70%、5%~65%、5%~60%、5%~55%、5%~50%、5%~45%、5%~40%、5%~35%、5%~30%、5%~25%、5%~20%、5%~15%、5%~10%、10%~95%、10%~90%、10%~85%、10%~80%、10%~75%、10%~70%、10%~65%、10%~60%、10%~55%、10%~50%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、10%~25%、10%~20%、10%~15%、15%~95%、15%~90%、15%~85%、15%~80%、15%~75%、15%~70%、15%~65%、15%~60%、15%~55%、15%~50%、15%~45%、15%~40%、15%~35%、15%~30%、15%~25%、15%~20%、20%~95%、20%~90%、20%~85%、20%~80%、20%~75%、20%~70%、20%~65%、20%~60%、20%~55%、20%~50%、20%~45%、20%~40%、20%~35%、20%~30%、20%~25%、25%~95%、25%~90%、25%~85%、25%~80%、25%~75%、25%~70%、25%~65%、25%~60%、25%~55%、25%~50%、25%~45%、25%~40%、25%~35%、25%~30%、30%~95%、30%~90%、30%~85%、30%~80%、30%~75%、30%~70%、30%~65%、30%~60%、30%~55%、30%~50%、30%~45%、30%~40%、30%~35%、35%~95%、35%~90%、35%~85%、35%~80%、35%~75%、35%~70%、35%~65%、35%~60%、35%~55%、35%~50%、35%~45%、35%~40%、40%~95%、40%~90%、40%~85%、40%~80%、40%~75%、40%~70%、40%~65%、40%~60%、40%~55%、40%~50%、40%~45%、45%~95%、45%~90%、45%~85%、45%~80%、45%~75%、45%~70%、45%~65%、45%~60%、45%~55%、45%~50%、50%~90%、50%~90%、50%~85%、50%~80%、50%~75%、50%~70%、50%~65%、50%~60%、50%~55%、55%~95%、55%~90%、55%~85%、55%~80%、55%~75%、55%~70%、55%~65%、55%~60%、60%~95%、60%~90%、60%~85%、60%~80%、60%~75%、60%~70%、60%~65%、65%~95%、65%~90%、65%~85%、65%~80%、65%~75%、65%~70%、70%~95%、70%~90%、70%~85%、70%~80%、70%~75%、75%~95%、75%~90%、75%~85%、75%~80%、80%~95%、80%~90%、80%~85%、85%~95%、又は85%~90%でありうる。
【0017】
好ましくは、組成物中のペンタフルオロエタン(HFC-125)の重量含有量は、1%~70%、優先的には1%~60%、有利には1%~55%、特に5%~55%である。
【0018】
組成物中のペンタフルオロエタン(HFC-125)の重量含有量は、1%以上、好ましくは5%以上、好ましくは10%以上、有利には15%以上、例えば20%以上、優先的には30%以上でありうる。
【0019】
好ましくは、組成物中のペンタフルオロエタン(HFC-125)の重量含有量は、組成物の全重量に対する重量で、次の含有量:1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%の一つから選択される。
【0020】
組成物中の化合物Cの重量含有量は、例えば、1%~99%、5%~95%、5%~90%、5%~85%、5%~80%、5%~75%、5%~70%、5%~65%、5%~60%、5%~55%、5%~50%、5%~45%、5%~40%、5%~35%、5%~30%、5%~25%、5%~20%、5%~15%、5%~10%、10%~95%、10%~90%、10%~85%、10%~80%、10%~75%、10%~70%、10%~65%、10%~60%、10%~55%、10%~50%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、10%~25%、10%~20%、10%~15%、15%~95%、15%~90%、15%~85%、15%~80%、15%~75%、15%~70%、15%~65%、15%~60%、15%~55%、15%~50%、15%~45%、15%~40%、15%~35%、15%~30%、15%~25%、15%~20%、20%~95%、20%~90%、20%~85%、20%~80%、20%~75%、20%~70%、20%~65%、20%~60%、20%~55%、20%~50%、20%~45%、20%~40%、20%~35%、20%~30%、20%~25%、25%~95%、25%~90%、25%~85%、25%~80%、25%~75%、25%~70%、25%~65%、25%~60%、25%~55%、25%~50%、25%~45%、25%~40%、25%~35%、25%~30%、30%~95%、30%~90%、30%~85%、30%~80%、30%~75%、30%~70%、30%~65%、30%~60%、30%~55%、30%~50%、30%~45%、30%~40%、30%~35%、35%~95%、35%~90%、35%~85%、35%~80%、35%~75%、35%~70%、35%~65%、35%~60%、35%~55%、35%~50%、35%~45%、35%~40%、40%~95%、40%~90%、40%~85%、40%~80%、40%~75%、40%~70%、40%~65%、40%~60%、40%~55%、40%~50%、40%~45%、45%~95%、45%~90%、45%~85%、45%~80%、45%~75%、45%~70%、45%~65%、45%~60%、45%~55%、45%~50%、50%~90%、50%~90%、50%~85%、50%~80%、50%~75%、50%~70%、50%~65%、50%~60%、50%~55%、55%~95%、55%~90%、55%~85%、55%~80%、55%~75%、55%~70%、55%~65%、55%~60%、60%~95%、60%~90%、60%~85%、60%~80%、60%~75%、60%~70%、60%~65%、65%~95%、65%~90%、65%~85%、65%~80%、65%~75%、65%~70%、70%~95%、70%~90%、70%~85%、70%~80%、70%~75%、75%~95%、75%~90%、75%~85%、75%~80%、80%~95%、80%~90%、80%~85%、85%~95%、又は85%~90%でありうる。
【0021】
好ましくは、組成物中の化合物Cの重量含有量は、5%~70%、優先的には5%~60%、有利には5%~55%である。
【0022】
好ましくは、組成物中の化合物Cの重量含有量は、5%~90%、優先的には5%~85%、有利には60%~85%、又は5%~40%である。
【0023】
一実施態様によれば、組成物中の化合物Cの重量含有量は、5%以上、好ましくは10%以上、好ましくは15%以上、有利には20%以上、例えば25%以上、優先的には30%以上、特に40%以上、更には例えば45%以上である。それは、例えば、50%以上、好ましくは55%以上、優先的には60%以上、有利には70%以上、例えば80%以上である。
【0024】
好ましくは、組成物中の化合物Cの重量含有量は、組成物の全重量に対する重量で、次の含有量:1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、又は90%の一つから選択される。
【0025】
一実施態様によれば、上記組成物は、
- 重量で5%~95%、好ましくは重量で10%~90%のトリフルオロエチレン(R1123);
- 重量で5%~95%、好ましくは10%~90%のペンタフルオロエタン(HFC-125);及び
- 重量で5%~95%、好ましくは10%~90%の上で定義される少なくとも一種の化合物Cであって、好ましくは1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及びそれらの混合物によって構成される群から選択される化合物C
を含有する(好ましくはこれらから本質的になり、優先的にはこれらからなる)。
【0026】
好ましくは、上記組成物は、
- 重量で10%~80%、好ましくは10%~70%のトリフルオロエチレン(R1123);
- 重量で10%~80%、好ましくは10%~70%のペンタフルオロエタン(HFC-125);及び
- 重量で5%~95%、好ましくは5%~70%の上で定義される少なくとも一種の化合物Cであって、好ましくは1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及びそれらの混合物によって構成される群から選択される化合物C
を含有する(好ましくはこれらから本質的になり、優先的にはこれらからなる)。
【0027】
好ましくは、上記組成物は、
- 重量で10%~55%のトリフルオロエチレン(R1123);
- 重量で10%~55%のペンタフルオロエタン(HFC-125);及び
- 重量で10%~80%の上で定義される少なくとも一種の化合物Cであって、好ましくは1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及びそれらの混合物によって構成される群から選択される化合物C
を含有する(好ましくはこれらから本質的になり、優先的にはこれらからなる)。
【0028】
好ましくは、上記組成物は、
- 重量で10%~55%のトリフルオロエチレン(R1123);
- 重量で10%~55%のペンタフルオロエタン(HFC-125);及び
- 重量で5%~55%の上で定義される少なくとも一種の化合物Cであって、好ましくは1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及びそれらの混合物によって構成される群から選択される化合物C
を含有する(好ましくはこれらから本質的になり、優先的にはこれらからなる)。
【0029】
好ましくは、上記組成物は、
- 重量で5%~35%のトリフルオロエチレン(R1123);
- 重量で1%~10%のペンタフルオロエタン(HFC-125);及び
- 重量で60%~90%の上で定義される少なくとも一種の化合物Cであって、好ましくは1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及びそれらの混合物によって構成される群から選択される化合物C
を含有する(好ましくはこれらから本質的になり、優先的にはこれらからなる)。
【0030】
本発明に係る組成物は、任意の既知のプロセスによって、例えば異なる化合物を互いに単純混合することにより、調製することができる。
【0031】
本発明に係る組成物は、有利には、2000未満、好ましくは1500以下、特に1000以下、例えば500以下、好ましくは200以下、特に150以下のGWPを有する。GWPは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4報に与えられているインストラクションに従って計算できる。混合物のGWPは、特に各成分のGWPと質量濃度の関数として計算される。純粋な化合物のGWP値は、典型的には欧州Fガス指導書(2014年4月16日の欧州議会及び理事会の規則(EU)第517/2014号)に記載されている。
【0032】
本発明に係る組成物は、有利には、単独で又は潤滑剤などの添加剤と組み合わせて熱安定性である。
【0033】
本発明に係る組成物は、有利には不燃であるか又はほんの僅かに可燃である。
【0034】
本発明によれば、組成物は、有利には、200g/m3を超える可燃下限を有する。
【0035】
好ましくは、組成物は、有利には、230g/m3を超え、好ましくは250g/m3以上、特に280g/m3以上の可燃下限を有するWCFF組成物をもたらす。
【0036】
好ましい組成物と、対応するWCF及びWCFFは、19000kJ/m3未満の燃焼熱(HOC)を有している。本発明による燃焼熱は、規格ASHRAE34-2013に示されるように定義され決定される。
【0037】
「可燃下限」は、規格ASTM E681-04において特定された試験条件下で、組成物と空気の均一混合物を通して火炎を伝播することができる組成物の最小濃度として、規格ASHRAE34-2013において定義されている。それは、例えば、kg/m3又は%volで与えられうる。
【0038】
「WCF」(可燃性の最悪配合)組成物は、規格ASHRAE34-2013において、火炎伝播速度が最も高い配合の組成物として定義されている。この組成物は、ある程度の許容範囲を有するノミナルな組成物(該ノミナルな組成物は本発明の文脈では、本発明に係る組成物に相当)に非常に近い。
【0039】
「WCFF」(可燃性の最悪分留)組成物は、規格ASHRAE34-2013において、火炎伝播速度が最も高い組成物として定義されている。この組成物は、同規格において明確に定義された方法に従って決定される。
【0040】
本発明の文脈において、可燃性、火炎伝播速度、及びより可燃下限は、使用される機器に関する規格ASTM E681を指す規格ASHRAE34-2013において与えられた試験に従って定義され決定される。
【0041】
火炎伝播速度に関しては、規格ASHRAE34-2013に記載されている試験方法は、T.Jabbourの論文("Classification de l'inflammabilite des fluides frigorigenes basee sur la vitesse fondamentale de flamme" [Classification of the flammability of refrigerants based on the fundamental flame velocity] under the direction of Denis Clodic. Thesis, Paris, 2004)において開発されたものである。実験装置は、特に垂直ガラス管法(管数2、長さ150cm、直径40cm)を使用する。2本の管を使用すると、二つの試験を同じ濃度で同時に実施できる。管には特にタングステン電極が備えられ;これら電極は、6.35mm(1/4インチ)離れた各管の底部に配置され、15kV及び30mAの発電機に接続されている。
【0042】
試験される異なる組成物は、規格ASHRAE34-2013において定義された基準に従って、それ自体不燃又は可燃であると記載される。
【0043】
好ましい組成物は、有利には10cm/秒未満、好ましくは8cm/秒以下、優先的には6cm/秒以下、有利には5cm/秒以下、非常に有利には、4cm/秒以下、3cm/秒以下、2cm/秒以下、1.5cm/秒以下の火炎伝播速度を有する。
【0044】
好ましい組成物は、規格ASHRAE34-2013に従って2Lとして有利に分類される。この規格に従うと、2L分類では10cm/秒未満の火炎伝播速度を必要とする。
【0045】
好ましい組成物は、有利には、良好なエネルギー性能品質と、低い又はゼロの可燃性と、低いGWP、好ましくは200未満のGWPの間の良好な妥協点を有する。
【0046】
それらの低い燃焼性のために、好ましい組成物は、有利には、冷蔵及び空調において、また暖房のために伝熱流体として使用されるとき、より安全である。加えて、伝熱設備(冷蔵、空調、ヒートポンプ等々)は、有利には、それらの低い燃焼性のために、より高い負荷の本発明に係る組成物を含みうる。負荷限界に関しては、典型的には、2008~2009年に公開された規格EN378が参照されうる。
【0047】
[R1123/HFC-125/HFC-134a]
好ましい実施態様によれば、上で定義された化合物Cは、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)である。
【0048】
本発明に係る組成物は、
- トリフルオロエチレン(R1123);
- ペンタフルオロエタン(HFC-125);及び
- 1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)
を含有しうる(好ましくは本質的にこれらからなり得、優先的にはこれらからなりうる)。
【0049】
好ましくは、組成物中のトリフルオロエチレン(R1123)の重量含有量は、例えば、5%~60%、5%~55%、5%~50%、5%~45%、5%~40%、5%~35%、5%~30%、5%~25%、5%~20%、5%~15%、5%~10%、10%~60%、10%~55%、10%~50%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、10%~25%、10%~20%、10%~15%、15%~60%、15%~55%、15%~50%、15%~45%、15%~40%、15%~35%、15%~30%、15%~25%、15%~20%、20%~60%、20%~55%、20%~50%、20%~45%、20%~40%、20%~35%、20%~30%、20%~25%、25%~60%、25%~55%、25%~50%、25%~45%、25%~40%、25%~35%、25%~30%、30%~60%、30%~55%、30%~50%、30%~45%、30%~40%、30%~35%、35%~60%、35%~55%、35%~50%、35%~45%、35%~40%、40%~60%、40%~55%、40%~50%、40%~45%、45%~60%、45%~55%、45%~50%、50%~60%、50%~55%、又は55%~60%である。好ましくは、組成物中のトリフルオロエチレン(R1123)の重量含有量は、10%~70%、優先的には10%~60%、有利には10%~55%である。
【0050】
一実施態様によれば、組成物中のトリフルオロエチレン(R1123)の重量含有量は、5%以上、好ましくは10%以上、好ましくは15%以上、有利には20%以上、例えば25%以上、優先的には30%以上である。
【0051】
好ましくは、組成物中のトリフルオロエチレン(R1123)の重量含有量は、組成物の全重量に対する重量で、次の含有量:5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%の一つから選択される。
【0052】
組成物中のペンタフルオロエタン(HFC-125)の重量含有量は、例えば、10%~60%、10%~55%、10%~50%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、10%~25%、10%~20%、15%~60%、15%~55%、15%~50%、15%~45%、15%~40%、15%~35%、15%~30%、15%~25%、15%~20%、20%~60%、20%~55%、20%~50%、20%~45%、20%~40%、20%~35%、20%~30%、20%~25%、25%~60%、25%~55%、25%~50%、25%~45%、25%~40%、25%~35%、25%~30%、30%~60%、30%~55%、30%~50%、30%~45%、30%~40%、30%~35%、35%~60%、35%~55%、35%~50%、35%~45%、35%~40%、40%~60%、40%~55%、40%~50%、40%~45%、45%~60%、45%~55%、45%~50%、50%~60%、50%~55%、又は55%~60%でありうる。好ましくは、組成物中のペンタフルオロエタン(HFC-125)の重量含有量は、10%~70%、優先的には10%~60%、有利には10%~55%、特に20%~55%である。
【0053】
一実施態様によれば、組成物中のペンタフルオロエタン(HFC-125)の重量含有量は、10%以上、好ましくは15%以上、好ましくは20%以上、有利には25%以上、例えば30%以上、優先的には35%以上である。
【0054】
好ましくは、組成物中のペンタフルオロエタン(HFC-125)の重量含有量は、組成物の全重量に対する重量で、次の含有量:10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%の一つから選択される。
【0055】
組成物中の1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)の重量含有量は、例えば、5%~70%、5%~65%、5%~60%、5%~55%、5%~50%、5%~45%、5%~40%、5%~35%、5%~30%、5%~25%、5%~20%、5%~15%、5%~10%、10%~70%、10%~65%、10%~60%、10%~55%、10%~50%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、10%~25%、10%~20%、10%~15%、15%~70%、15%~65%、15%~60%、15%~55%、15%~50%、15%~45%、15%~40%、15%~35%、15%~30%、15%~25%、15%~20%、20%~70%、20%~65%、20%~60%、20%~55%、20%~50%、20%~45%、20%~40%、20%~35%、20%~30%、20%~25%、25%~70%、25%~65%、25%~60%、25%~55%、25%~50%、25%~45%、25%~40%、25%~35%、25%~30%、30%~70%、30%~65%、30%~60%、30%~55%、30%~50%、30%~45%、30%~40%、30%~35%、35%~70%、35%~65%、35%~60%、35%~55%、35%~50%、35%~45%、35%~40%、40%~70%、40%~65%、40%~60%、40%~55%、40%~50%、40%~45%、45%~70%、45%~65%、45%~60%、45%~55%、45%~50%、50%~70%、50%~65%、50%~60%、50%~55%、55%~70%、55%~65%、55%~60%、60%~70%、60%~65%、又は65%~70%でありうる。好ましくは、組成物中の1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)の重量含有量は、5%~70%、優先的には5%~60%、有利には5%~55%である。
【0056】
一実施態様によれば、組成物中の1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)の重量含有量は、5%以上、好ましくは10%以上、好ましくは15%以上、有利には20%以上、例えば25%以上、優先的には30%以上、特に40%以上、又は更には例えば45%以上である。
【0057】
好ましくは、組成物中の1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)の重量含有量は、組成物の全重量に対する重量で、次の含有量:5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%の一つから選択される。
【0058】
好ましくは、上記組成物は、
- 重量で10%~55%のトリフルオロエチレン(R1123);
- 重量で10%~55%のペンタフルオロエタン(HFC-125);及び
- 重量で5%~60%の1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)
を含有する(好ましくはこれらから本質的になり、優先的にはこれらからなる)。
【0059】
好ましくは、上記組成物は、
- 重量で10%~30%、好ましくは10%~20%のトリフルオロエチレン(R1123);
- 重量で20%~50%のペンタフルオロエタン(HFC-125);及び
- 重量で30%~60%の1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)
を含有する(好ましくはこれらから本質的になり、優先的にはこれらからなる)。
【0060】
好ましくは、上記組成物は、
- 重量で20%~55%、好ましくは20%~45%のトリフルオロエチレン(R1123);
- 重量で20%~45%のペンタフルオロエタン(HFC-125);及び
- 重量で30%~60%の1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)
を含有する(好ましくはこれらから本質的になり、優先的にはこれらからなる)。
【0061】
好ましくは、上記組成物は、
- 重量で30%~55%のトリフルオロエチレン(R1123);
- 重量で20%~50%のペンタフルオロエタン(HFC-125);及び
- 重量で10%~50%の1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)
を含有する(好ましくはこれらから本質的になり、優先的にはこれらからなる)。
【0062】
好ましくは、上記組成物は、
- 重量で40%~55%のトリフルオロエチレン(R1123);
- 重量で30%~55%のペンタフルオロエタン(HFC-125);及び
- 重量で5%~30%の1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)
を含有する(好ましくはこれらから本質的になり、優先的にはこれらからなる)。
【0063】
一実施態様によれば、上記組成物は、2000未満、好ましくは1500以下、特に1000以下のGWPを有する。
【0064】
上記組成物は、有利には不燃であるか、又はほんの僅かに可燃である。
【0065】
組成物は、有利には、良好なエネルギー性能品質、低い又はゼロの可燃性及び低いGWP、好ましくは2000未満のGWPの間の良好な妥協点を有する。
【0066】
[R1123/HFC-125/HFO-1234yf]
好ましい実施態様によれば、上で定義された化合物Cは、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)である。
【0067】
本発明に係る組成物は、
- トリフルオロエチレン(R1123);
- ペンタフルオロエタン(HFC-125);及び
- 2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)
を含有しうる(好ましくはこれらから本質的になり得、優先的にはこれらからなりうる)。
【0068】
組成物中のトリフルオロエチレン(R1123)の重量含有量は、例えば、10%~50%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、10%でありうる。及び25%、10%~20%、10%~15%、15%~50%、15%~45%、15%~40%、15%~35%、15%~30%、15%~25%、15%~20%、20%~50%、20%~45%、20%~40%、20%~35%、20%~30%、20%~25%、25%~50%、25%~45%、25%~40%、25%~35%、25%~30%、30%~50%、30%~45%、30%~40%、30%~35%、35%~50%、35%~45%、35%~40%、40%~50%、40%~45%、又は45%~50%でありうる。好ましくは、組成物中のトリフルオロエチレン(R1123)の重量含有量は、10%~70%、優先的には10%~60%、有利には10%~55%、例えば10%~40%又は15%~35%である。
【0069】
一実施態様によれば、組成物中のトリフルオロエチレン(R1123)の重量含有量は、5%以上、好ましくは10%以上、好ましくは15%以上、有利には20%以上、例えば25%以上、優先的には30%以上である。
【0070】
好ましくは、組成物中のトリフルオロエチレン(R1123)の重量含有量は、組成物の全重量に対する重量で、次の含有量:10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、又は50%の一つから選択される。
【0071】
組成物中のペンタフルオロエタン(HFC-125)の重量含有量は、例えば、1%~20%、1%~15%、1%~10%、1%~5%、2%~20%、2%~15%、2%~10%、2%~5%、3%~20%、3%~15%、3%~10%、3%~5%、4%~20%、4%~15%、4%~10%、4%~5%、5%~20%、5%~15%、又は5%~10%でありうる。
【0072】
好ましくは、組成物中のペンタフルオロエタン(HFC-125)の重量含有量は、1%~15%、優先的には1%~10%、有利には1%~5%、特に1%~4%である。
【0073】
一実施態様によれば、組成物中のペンタフルオロエタン(HFC-125)の重量含有量は、1%以上、好ましくは10%以下、好ましくは8%以下、有利には7%以下、例えば、5%以下である。
【0074】
好ましくは、組成物中のペンタフルオロエタン(HFC-125)の重量含有量は、組成物の全重量に対する重量で、次の含有量:1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、及び10%の一つから選択される。
【0075】
組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)の重量含有量は、例えば、50%~99%、55%~99%、60%~99%、65%~99%、70%~99%、75%~99%、80%~99%、85%~99%、90%~99%、50%~95%、55%~95%、60%~95%、65%~95%、70%~95%、75%~95%、80%~95%、85%~95%、90%~95%、50%~90%、55%~90%、60%~90%、65%~90%、70%~90%、75%~90%、80%~90%、85%~90%、50%~85%、55%~85%、60%~85%、65%~85%、70%~85%、75%~85%、80%~85%、50%~80%、55%~80%、60%~80%、65%~80%、70%~80%、75%~80%、50%~75%、55%~75%、60%~75%、65%~75%、又は70%~75%でありうる。好ましくは、組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)の重量含有量は、50%~95%、好ましくは50%~90%、有利には60%~90%、例えば60%~85%である。
【0076】
一実施態様によれば、組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)の重量含有量は、50%以上、好ましくは60%以上、好ましくは65%以上、有利には70%以上、例えば75%以上、優先的には80%以上、特に85%以上である。
【0077】
好ましくは、組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)の重量含有量は、組成物の全重量に対する重量で、次の含有量:50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の一つから選択される。
【0078】
一実施態様によれば、上記組成物は、
- 重量で1%~50%のトリフルオロエチレン(R1123);
- 重量で1%~20%のペンタフルオロエタン(HFC-125);及び
- 重量で50%~98%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)
を含有する(好ましくはこれらから本質的になり、優先的にはこれらからなる)。
【0079】
好ましくは、上記組成物は、
- 重量で5%~50%のトリフルオロエチレン(R1123);
- 重量で1%~10%のペンタフルオロエタン(HFC-125);及び
- 重量で50%~90%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)
を含有する(好ましくはこれらから本質的になり、優先的にはこれらからなる)。
【0080】
好ましくは、上記組成物は、
- 重量で10%~40%のトリフルオロエチレン(R1123);
- 重量で1%~5%のペンタフルオロエタン(HFC-125);及び
- 重量で55%~85%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)
を含有する(好ましくはこれらから本質的になり、優先的にはこれらからなる)。
【0081】
好ましくは、上記組成物は、
- 重量で15%~35%のトリフルオロエチレン(R1123);
- 重量で1%~5%のペンタフルオロエタン(HFC-125);及び
- 重量で60%~84%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)
を含有する(好ましくはこれらから本質的になり、優先的にはこれらからなる)。
【0082】
好ましい上記組成物は、200未満、好ましくは150以下のGWPを有する。
【0083】
上記組成物は、有利には不燃であるか又はほんの僅かに可燃である。
【0084】
本組成物は、有利には、200g/m3を超える可燃下限を有する。
【0085】
上記組成物は、有利には、230g/m3以上、好ましくは250g/m3以上、特に280g/m3以上の可燃下限を有するWCFF組成物をもたらす。
【0086】
好ましい組成物と、対応するWCF及びWCFFは、19000kJ/m3未満の燃焼熱(HOC)を有している。本発明による燃焼熱は、規格ASHRAE34-2013に示されるように定義され、決定される。
【0087】
本組成物は、有利には、10cm/秒未満、好ましくは8cm/秒以下、優先的には6cm/秒以下、有利には5cm/秒以下、非常に有利には4cm/秒以下、3cm/秒以下、2cm/秒以下、1.5cm/秒以下の火炎伝播速度を有する。
【0088】
好ましい組成物は、有利には、規格ASHRAE34-2013に従って2Lとして分類される。この規格に従うと、2L分類では10cm/秒未満の火炎伝播速度が必要とされる。
【0089】
組成物は、有利には、良好なエネルギー性能品質、低又はゼロの可燃性及び低GWP、好ましくは200未満のGWPの間の良好な妥協点を有する。
【0090】
[R1123/HFC-125/HFC-134a/HFO-1234yf]
好ましい実施態様によれば、本発明に係る組成物は、2つの化合物:1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含有する。
【0091】
本発明に係る組成物は、
- トリフルオロエチレン(R1123);
- ペンタフルオロエタン(HFC-125);
- 1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a);及び
- 2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)
を含有しうる(好ましくはこれらから本質的になり得、優先的にはこれらからなりうる)。
【0092】
組成物中のトリフルオロエチレン(R1123)の重量含有量は、例えば、5%~60%、5%~55%、5%~50%、5%~45%、5%~40%、5%~35%、5%~30%、5%~25%、5%~20%、5%~15%、5%~10%、10%~60%、10%~55%、10%~50%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、10%~25%、10%~20%、10%~15%、15%~60%、15%~55%、15%~50%、15%~45%、15%~40%、15%~35%、15%~30%、15%~25%、15%~20%、20%~60%、20%~55%、20%~50%、20%~45%、20%~40%、20%~35%、20%~30%、20%~25%、25%~60%、25%~55%、25%~50%、25%~45%、25%~40%、25%~35%、25%~30%、30%~60%、30%~55%、30%~50%、30%~45%、30%~40%、30%~35%、35%~60%、35%~55%、35%~50%、35%~45%、35%~40%、40%~60%、40%~55%、40%~50%、40%~45%、45%~60%、45%~55%、45%~50%、50%~60%、50%~55%、又は55%~60%でありうる。好ましくは、組成物中のトリフルオロエチレン(R1123)の重量含有量は、5%~70%、優先的には5%~60%、有利には5%~55%である。
【0093】
一実施態様によれば、組成物中のトリフルオロエチレン(R1123)の重量含有量は、5%以上、好ましくは10%以上、好ましくは15%以上、有利には20%以上、例えば25%以上、優先的には30%以上である。
【0094】
好ましくは、組成物中のトリフルオロエチレン(R1123)の重量含有量は、組成物の全重量に対する重量で、次の含有量:5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%の一つから選択される。
【0095】
組成物中のペンタフルオロエタン(HFC-125)の重量含有量は、例えば、5%~60%、5%~55%、5%~50%、5%~45%、5%~40%、5%~35%、5%~30%、5%~25%、5%~20%、10%~60%、10%~55%、10%~50%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、10%~25%、10%~20%、15%~60%、15%~55%、15%~50%、15%~45%、15%~40%、15%~35%、15%~30%、15%~25%、15%~20%、20%~60%、20%~55%、20%~50%、20%~45%、20%~40%、20%~35%、20%~30%、20%~25%、25%~60%、25%~55%、25%~50%、25%~45%、25%~40%、25%~35%、25%~30%、30%~60%、30%~55%、30%~50%、30%~45%、30%~40 %、30%~35%、35%~60%、35%~55%、35%~50%、35%~45%、35%~40%、40%~60%、40%~55%、40%~50%、40%~45%、45%~60%、45%~55%、45%~50%、50%~60%、50%~55%、又は55%~60%でありうる。好ましくは、組成物中のペンタフルオロエタン(HFC-125)の重量含有量は、10%~70%、優先的には10%~60%、有利には10%~55%、特に20%~55%である。
【0096】
一実施態様によれば、組成物中のペンタフルオロエタン(HFC-125)の重量含有量は、5%以上、好ましくは10%以上、好ましくは15%以上、有利には20%以上、例えば25%以上、優先的には30%以上である。
【0097】
好ましくは、組成物中のペンタフルオロエタン(HFC-125)の重量含有量は、組成物の全重量に対する重量で、次の含有量:5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%の一つから選択される。
【0098】
組成物中の1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)の重量含有量は、例えば、1%~50%、1%~45%、1%~40%、1%~35%、1%~30%、1%~25%、1%~20%、1%~15%、1%~10%、1%~5%、2%~50%、2%~45%、2%~40%、2%~35%、2%~30%、2%~25%、2%~20%、2%~15%、2%~10%、2%~5%、3%~50%、3%~45%、3%~40%、3%~35%、3%~30%、3%~25%、3%~20%、3%~15%、3%~10%、3%~5%、4%~50%、4%~45%、4%~40%、4%~35%、4%~30%、4%~25%、4%~20%、4%~15%、4%~10%、4%~5%、5%~50%、5%~45%、5%~40%、5%~35%、5%~30%、5%~25%、5%~20%、5%~15%、5%~10%、10%~50%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、10%~25%、10%~20%、10%~15%、15%~50%、15%~45%、15%~40%、15%~35%、15%~30%、15%~25%、15%~20%、20%~50%、20%~45%、20%~40%、20%~35%、20%~30%、20%~25%、25%~50%、25%~45%、25%~40%、25%~35%、25%~30%、30%~50%、30%~45%、30%~40%、30%~35%、40%~50%、又は40%~45%でありうる。好ましくは、組成物中の1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)の重量含有量は、5%~50%、優先的には5%~45%、有利には5%~40%である。
【0099】
一実施態様によれば、組成物中の1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)の重量含有量は、5%以上、好ましくは10%以上、好ましくは15%以上、有利には20%以上、例えば25%以上、優先的には30%以上、特に40%以上である。
【0100】
好ましくは、組成物中の1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)の重量含有量は、組成物の全重量に対する重量で、次の含有量:1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、又は50%の一つから選択される。
【0101】
組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)の重量含有量は、例えば、1%~60%、1%~50%、1%~45%、1%~40%、1%~35%、1%~30%、1%~25%、1%~20%、1%~15%、1%~10%、1%~5%、2%~50%、2%~45%、2%~40%、2%~35%、2%~30%、2%~25%、2%~20%、2%~15%、2%~10%、2%~5%、3%~50%、3%~45%、3%~40%、3%~35%、3%~30%、3%~25%、3%~20%、3%~15%、3%~10%、3%~5%、4%~50%、4%~45%、4%~40%、4%~35%、4%~30%、4%~25%、4%~20%、4%~15%、4%~10%、4%~5%、5%~50%、5%~45%、5%~40%、5%~35%、5%~30%、5%~25%、5%~20%、5%~15%、5%~10%、10%~50%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、10%~25%、10%~20%、10%~15%、15%~50%、15%~45%、15%~40%、15%~35%、15%~30%、15%~25%、15%~20%、20%~50%、20%~45%、20%~40%、20%~35%、20%~30%、20%~25%、25%~50%、25%~45%、25%~40%、25%~35%、25%~30%、30%~50%、30%~45%、30%~40%、30%~35%、40%~50%、又は40%~45%でありうる。好ましくは、組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)の重量含有量は、5%~50%、優先的には5%~45%、有利には5%~40%である。
【0102】
一実施態様によれば、組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)の重量含有量は、5%以上、好ましくは10%以上、好ましくは15%以上、有利には20%以上、例えば25%以上、優先的には30%以上、特に40%以上である。
【0103】
好ましくは、組成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)の重量含有量は、組成物の全重量に対する重量で、次の含有量:1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%の一つから選択される。
【0104】
一実施態様によれば、上記組成物は、
- 重量で5%~60%のトリフルオロエチレン(R1123);
- 重量で5%~60%のペンタフルオロエタン(HFC-125);及び
- 重量で1~50%の1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a);及び
- 重量で1%~60%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)
を含有する(好ましくはこれらから本質的になり、優先的にはこれらからなる)。
【0105】
一実施態様によれば、上記組成物は、
- 重量で5%~60%のトリフルオロエチレン(R1123);
- 重量で5%~60%のペンタフルオロエタン(HFC-125);
- 重量で5~50%の1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a);及び
- 重量で5%~50%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)
を含有する(好ましくはこれらから本質的になり、優先的にはこれらからなる)。
【0106】
一実施態様によれば、上記組成物は、
- 重量で5%~55%のトリフルオロエチレン(R1123);
- 重量で10%~55%のペンタフルオロエタン(HFC-125);
- 重量で5~40%の1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a);及び
- 重量で5%~40%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)
を含有する(好ましくはこれらから本質的になり、優先的にはこれらからなる)。
【0107】
一実施態様によれば、上記組成物は、
- 重量で5%~25%のトリフルオロエチレン(R1123);
- 重量で10%~55%のペンタフルオロエタン(HFC-125);
- 重量で10~40%の1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a);及び
- 重量で10%~40%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)
を含有する(好ましくはこれらから本質的になり、優先的にはこれらからなる)。
【0108】
一実施態様によれば、上記組成物は、
- 重量で30%~55%のトリフルオロエチレン(R1123);
- 重量で20%~55%のペンタフルオロエタン(HFC-125);
- 重量で5~20%の1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a);及び
- 重量で5%~20%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)
を含有する(好ましくはこれらから本質的になり、優先的にはこれらからなる)。
【0109】
一実施態様によれば、上記組成物は、2000未満、好ましくは1500以下、特に1000以下のGWPを有する。
【0110】
上記組成物は、有利には不燃であるか、又はほんの僅かに可燃である。
【0111】
上記組成物は、有利には、良好なエネルギー性能品質、低又はゼロの可燃性及び低GWP、好ましくは2000未満のGWPの間の良好な妥協点を有する。
【0112】
[伝熱組成物]
一実施態様によれば、上で定義された組成物は伝熱流体である。
【0113】
本発明は、上で定義された本発明に係る組成物と特にナノ粒子、安定剤、界面活性剤、追跡剤、蛍光剤、付臭剤、潤滑剤及び可溶化剤から選択される少なくとも一種の添加剤とを含有する(好ましくはそれらからなる)伝熱組成物にまた関する。好ましくは、添加剤は、潤滑剤、特にポリオールエステル系潤滑剤から選択される。
【0114】
「伝熱化合物」又はそれぞれ「伝熱流体」もしくは「冷媒」という用語は、蒸気圧縮回路において、低温低圧で蒸発することにより熱を吸収し、高温高圧で凝縮することにより熱を放出することができる化合物又はそれぞれ流体を指す。一般に、伝熱流体は、一種、二種、三種以上の伝熱化合物を含有しうる。
【0115】
「伝熱組成物」という用語は、伝熱流体と、場合によっては、想定される用途のための伝熱化合物ではない一又は複数の添加剤とを含有する組成物を指す。
【0116】
安定剤は、それらが存在する場合、伝熱組成物中に5質量%以下であることが好ましい。特に、安定剤の中で、ニトロメタン、アスコルビン酸、テレフタル酸、アゾール、例えばトルトリアゾール又はベンゾトリアゾール、フェノール化合物、例えばトコフェロール、ヒドロキノン、(t-ブチル)ヒドロキノン又は2,6-ジ(tert-ブチル)-4-メチルフェノール、エポキシド(場合によってはフッ素化又は過フッ素化されたアルキル、又はアルケニル又は芳香族)、例えばn-ブチルグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル又はブチルフェニルグリシジルエーテル、ホスファイト、ホスホネート、チオール及びラクトンを挙げることができる。
【0117】
特に、ナノ粒子として、チャコールナノ粒子、金属(銅、アルミニウム)酸化物、TiO2、Al2O3、MoS2等々を使用することができる。
【0118】
追跡剤(検出が可能な薬剤)として、重水素化又は非重水素化ハイドロフルオロカーボン、重水素化ハイドロカーボン、パーフルオロカーボン、フルオロエーテル、臭素化化合物、ヨウ素化化合物、アルコール、アルデヒド、ケトン、亜酸化窒素、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。追跡剤は、伝熱化合物又は伝熱流体を構成する化合物とは異なる。
【0119】
可溶化剤として、ハイドロカーボン、ジメチルエーテル、ポリオキシアルキレンエーテル、アミド、ケトン、ニトリル、クロロカーボン、エステル、ラクトン、アリールエーテル、フルオロエーテル、及び1,1,1-トリフルオロアルカンを挙げることができる。可溶化剤は、伝熱化合物又は伝熱流体を構成する化合物とは異なる。
【0120】
蛍光剤として、ナフタルイミド、ペリレン、クマリン、アントラセン、フェナントラセン、キサンテン、チオキサンテン、ナフトキサンテン、フルオレセイン及びそれらの誘導体及び組み合わせを挙げることができる。
【0121】
付臭剤として、アクリル酸アルキル、アクリル酸アリル、アクリル酸、アクリルエステル、アルキルエーテル、アルキルエステル、アルキン、アルデヒド、チオール、チオエーテル、ジスルフィド、イソチオシアン酸アリル、アルカン酸、アミン、ノルボルネン、ノルボルネン誘導体、シクロヘキセン、芳香族複素環式化合物、アスカリドール、o-メトキシ(メチル)フェノール及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0122】
本発明の文脈において、「潤滑剤」及び「潤滑油」という用語は同等に使用される。
【0123】
潤滑剤として、特に、鉱物由来の油、シリコーン油、天然由来のパラフィン、ナフテン、合成パラフィン、アルキルベンゼン、ポリ(α-オレフィン)、ポリアルキレングリコール、ポリオールエステル及び/又はポリビニルエーテルを使用することができる。
【0124】
一実施態様によれば、潤滑剤はポリオールエステルベースである。特に、潤滑剤は、一又は複数のポリオールエステルを含む。
【0125】
一実施態様によれば、ポリオールエステルは、少なくとも一種のポリオールとカルボン酸又はカルボン酸混合物との反応により得られる。
【0126】
本発明の文脈において、「カルボン酸」という用語は、モノカルボン酸と、ポリカルボン酸、例えばジカルボン酸の両方を包含する。
【0127】
本発明の文脈において、特に言及しない限り、「ポリオール」という用語は、少なくとも2つのヒドロキシル(-OH)基を含む化合物を意味する。
【0128】
[ポリオールエステルA)]
一実施態様によれば、本発明によるポリオールエステルは、以下の一般式(I)に相当する:
R1[OC(O)R2]n (I)
(上式中、
- R1は、少なくとも一つのヒドロキシル基で任意に置換された、及び/又は-O-、-N-及び-S-によって構成される群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む、直鎖又は分岐炭化水素ベース基であり;
- 各R2は、互いに独立して、
・ i)H;
・ ii)脂肪族炭化水素ベース基;
・ iii)分岐炭化水素ベース基;
・ iv)8~14個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベース基との基ii)及び/又はiii)の混合物
によって構成される群から選択され;及び
- nは少なくとも2の整数である)
【0129】
本発明の文脈において、「炭化水素ベース基」という用語は、炭素原子と水素原子から構成される基を意味する。
【0130】
一実施態様によれば、ポリオールは、以下の一般式(II)に相当する:
R1(OH)n (II)
(上式中、
- R1は、少なくとも一つのヒドロキシル基、好ましくは二つのヒドロキシル基で任意に置換された、及び/又は-O-、-N-及び-S-によって構成される群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む、直鎖又は分岐炭化水素ベース基であり;
- nは少なくとも2の整数である)
【0131】
好ましくは、R1は、4~40個の炭素原子、好ましくは4~20個の炭素原子を含む直鎖又は分岐炭化水素ベース基である。
【0132】
好ましくは、R1は、少なくとも1個の酸素原子を含む直鎖又は分岐炭化水素ベース基である。
【0133】
好ましくは、R1は、二つのヒドロキシル基で置換された、4~10個の炭素原子、好ましくは5個の炭素原子を含む分岐炭化水素ベース基である。
【0134】
好ましい実施態様によれば、ポリオールは、2~10のヒドロキシル基、好ましくは2~6のヒドロキシル基を含む。
【0135】
本発明に係るポリオールは、一又は複数のオキシアルキレン基を含みうる;この特定の場合、それらはポリエーテルポリオールである。
【0136】
本発明に係るポリオールはまた一又は複数個の窒素原子を含みうる。例えば、ポリオールは、3~6のOH基を含むアルカノールアミンでありうる。好ましくは、ポリオールは、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのOH基を含むアルカノールアミンである。
【0137】
本発明によれば、好ましいポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、ネオペンチルグリコール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、トリグリセロール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ヘキサグリセロール、及びそれらの混合物によって構成される群から選択される。好ましくは、ポリオールはペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールである。
【0138】
本発明によれば、カルボン酸は、以下の一般式(III)に相当しうる:
R2COOH (III)
(上式中、
- R2は、
・ i)H;
・ ii)脂肪族炭化水素ベース基;
・ iii)分岐炭化水素ベース基;
・ iv)8~14個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベース基との基ii)及び/又はiii)の混合物
によって構成される群から選択される)
【0139】
好ましくは、R2は、1~10個、優先的には1~7個の炭素原子、特に1~6個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベース基である。
【0140】
好ましくは、R2は、4~20個の炭素原子、特に5~14個の炭素原子、優先的には6~8個の炭素原子を含む分岐炭化水素ベース基である。
【0141】
好ましい実施態様によれば、分岐炭化水素ベース基は、以下の式(IV)を有する:
-C(R3)R4)(R5) (IV)
(上式中、R3、R4、及びR5は、互いに独立して、アルキル基であり、そのアルキル基の少なくとも一つは、少なくとも2個の炭素原子を含む。そのような分岐アルキル基は、カルボキシル基に結合すると「ネオ基」という名で知られており、対応する酸は「ネオ酸」として知られている。好ましくは、R3及びR4はメチル基であり、R10は少なくとも2個の炭素原子を含むアルキル基である。
【0142】
本発明によれば、R2基は、-COOR6などの一又は複数のカルボキシル基又はエステル基を含み得、R6は、アルキルもしくはヒドロキシアルキル基又はヒドロキシアルキルオキシアルキル基を表す。
【0143】
好ましくは、式(III)の酸R2COOHはモノカルボン酸である。
【0144】
炭化水素ベース基が脂肪族であるカルボン酸の例は、特にギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸及びヘプタン酸である。
【0145】
炭化水素ベース基が分岐しているカルボン酸の例は、特に2-エチル-n-酪酸、2-ヘキシルデカン酸、イソステアリン酸、2-メチルヘキサン酸、2-メチルブタン酸、3-メチルブタン酸、3,5,5-トリメチルヘキサン酸、2-エチルヘキサン酸、ネオヘプタン酸及びネオデカン酸である。
【0146】
式(I)のポリオールエステルの調製に使用されうる第三のタイプのカルボン酸は、8~14個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベース基を含むカルボン酸である。例えば、デカン酸、ドデカン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸等々を挙げることができる。ジカルボン酸の中で、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等々を挙げることができる。
【0147】
好ましい実施態様によれば、式(I)のポリオールエステルを調製するために使用されるカルボン酸は、モノカルボン酸とジカルボン酸の混合物を含み、モノカルボン酸の割合が優勢である。ジカルボン酸の存在は、特に高粘度ポリオールエステルの形成をもたらす。
【0148】
特に、カルボン酸とポリオールとの反応による式(I)のポリオールエステルの形成のための反応は酸触媒反応である。それは、特に多量の酸を使用するか反応中に形成される水を除去することで完了されうる可逆反応である。
【0149】
エステル化反応は、有機酸又は無機酸、例えば硫酸、リン酸等々の存在下で実施されうる。
【0150】
好ましくは、反応は触媒の非存在下で実施される。
【0151】
カルボン酸とポリオールの量は、所望される結果に応じて混合物内で変わりうる。全てのヒドロキシル基がエステル化される特定の場合、全てのヒドロキシルと反応するために十分な量のカルボン酸が添加されなければならない。
【0152】
一実施態様によれば、カルボン酸の混合物の使用中、それらはポリオールと逐次的に反応しうる。
【0153】
好ましい実施態様によれば、カルボン酸の混合物の使用中に、ポリオールが最初にカルボン酸、典型的には最も高分子量のカルボン酸と反応し、続いて脂肪族炭化水素ベース鎖を有するカルボン酸と反応する。
【0154】
一実施態様によれば、エステルは、高温において酸の存在下で、反応中に形成される水を除去しながら、カルボン酸(又はその無水物又はエステル誘導体)とポリオールとの反応によって形成されうる。典型的には、反応は75~200℃の温度において実施されうる。
【0155】
別の実施態様によれば、形成されるポリオールエステルは、全てが反応したわけではないヒドロキシル基を含みうる;この場合、それらは部分的にエステル化されたポリオールエステルである。
【0156】
好ましい実施態様によれば、ポリオールエステルは、アルコールペンタエリスリトールと、カルボン酸混合物(イソノナン酸、8~10個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベース基を有する少なくとも一種の酸、及びヘプタン酸)とから得られる。好ましいポリオールエステルは、ペンタエリスリトールと、イソノナン酸70%、8~10個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベース基を有する少なくとも一種のカルボン酸15%、及びヘプタン酸15%の混合物とから得られる。例えば、CPI Engineering Services社から販売されている油Solest68を挙げることができる。
【0157】
好ましい実施態様によれば、ポリオールエステルは、アルコールジペンタエリスリトールとカルボン酸混合物(イソノナン酸、8~10個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベース基を有する少なくとも一種の酸、及びヘプタン酸)とから得られる。
【0158】
好ましくは、本発明のポリオールエステルは、以下の一般式(I-A)及び(I-B)の一つを有する:
(上式中、各Rは、互いに独立して、
- 1~10個、好ましくは2~9個、優先的には4~9個の炭素原子、特に1~6個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベース基
- 4~20個の炭素原子、特に4~14個の炭素原子、優先的には4~9個の炭素原子を含む分岐炭化水素ベース基
を表す)
【0159】
特に、式(I-A)又は式(I-B)のポリオールエステルは、異なるR基を含む。
【0160】
好ましいポリオールエステルは、Rが
- 4個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベース基;及び/又は
- 6個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベース基;及び/又は
- 7個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベース基;及び/又は
- 8個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベース基;及び/又は
- 9個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベース基;及び/又は
- 4個の炭素原子を含む分岐炭化水素ベース基;及び/又は
- 5個の炭素原子を含む分岐炭化水素ベース基;及び/又は
- 7個の炭素原子を含む分岐炭化水素ベース基;及び/又は
- 8個の炭素原子を含む分岐炭化水素ベース基;及び/又は
- 9個の炭素原子を含む分岐炭化水素ベース基
から選択される式(I-A)のエステルである。
【0161】
好ましいポリオールエステルは、Rが
- 4個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベース基;及び/又は
- 6個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベース基;及び/又は
- 7個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベース基;及び/又は
- 8個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベース基;及び/又は
- 9個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベース基;及び/又は
- 4個の炭素原子を含む分岐炭化水素ベース基;及び/又は
- 5個の炭素原子を含む分岐炭化水素ベース基;及び/又は
- 7個の炭素原子を含む分岐炭化水素ベース基;及び/又は
- 8個の炭素原子を含む分岐炭化水素ベース基;及び/又は
- 9個の炭素原子を含む分岐炭化水素ベース基
から選択される式(I-B)のエステルである。
【0162】
[ポリオールエステルB)]
別の実施態様によれば、本発明のポリオールエステルは、8個以下の炭素原子を含む一又は複数の分岐カルボン酸の少なくとも一種のエステルを含む。エステルは、特に、前記分岐カルボン酸と一又は複数のポリオールとの反応により得られる。
【0163】
好ましくは、分岐カルボン酸は少なくとも5個の炭素原子を含む。特に、分岐カルボン酸は5~8個の炭素原子を含み、優先的には5個の炭素原子を含む。
【0164】
好ましくは、上記分岐カルボン酸は9個の炭素原子を含まない。特に、前記カルボン酸は3,5,5-トリメチルヘキサン酸ではない。
【0165】
好ましい実施態様によれば、分岐カルボン酸は、2-メチルブタン酸、3-メチルブタン酸及びそれらの混合物から選択される。
【0166】
好ましい実施態様によれば、ポリオールは、ネオペンチルグリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール及びそれらの混合物によって構成される群から選択される。
【0167】
好ましい実施態様によれば、ポリオールエステルは、
i)2-メチルブタン酸、3-メチルブタン酸及びそれらの混合物から選択されるカルボン酸と;
ii)ネオペンチルグリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール及びそれらの混合物から構成される群から選択されるポリオール
から得られる。
【0168】
好ましくは、ポリオールエステルは、2-メチルブタン酸とペンタエリスリトールから得られるものである。
【0169】
好ましくは、ポリオールエステルは、2-メチルブタン酸とジペンタエリスリトールから得られるものである。
【0170】
好ましくは、ポリオールエステルは、3-メチルブタン酸とペンタエリスリトールから得られるものである。
【0171】
好ましくは、ポリオールエステルは、3-メチルブタン酸とジペンタエリスリトールから得られるものである。
【0172】
好ましくは、ポリオールエステルは、2-メチルブタン酸とネオペンチルグリコールから得られるものである。
【0173】
[ポリオールエステルC)]
別の実施態様によれば、本発明に係るポリオールエステルは、
i)部分的にエステル化されたポリ(ネオペンチルポリオール)組成物を形成する、以下の式(V):
(上式中、
- 各Rは、互いに独立して、CH
3、C
2H
5又はCH
2OHを表し;
- pは1~4の範囲の整数である)
を有するネオペンチルポリオールと、2~15個の炭素原子を含む少なくとも一種のモノカルボン酸との酸触媒の存在下での反応であって、カルボキシル基とヒドロキシル基のモル比が1:1未満である反応;及び
ii)最終のポリ(ネオペンチルポリオール)エステル組成物を形成する、工程i)の結果として得られた部分的にエステル化されたポリ(ネオペンチルポリオール)組成物と、2~15の炭素原子を含む別のカルボン酸との反応
によって得られるポリ(ネオペンチルポリオール)エステルである。
【0174】
好ましくは、反応i)は、1:4~1:2の範囲のモル比で実施される。
【0175】
好ましくは、ネオペンチルポリオールは、以下の式(VI):
(上式中、各Rは、互いに独立して、CH
3、C
2H
5又はCH
2OHを表す)
を有する。
【0176】
好ましいネオペンチルポリオールは、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、テトラエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン及びネオペンチルグリコールから選択されるものである。特に、ネオペンチルポリオールはペンタエリスリトールである。
【0177】
好ましくは、ただ一種のネオペンチルポリオールがPOE系潤滑剤を製造するために使用される。ある場合には、二種以上のネオペンチルポリオールが使用される。これは、市販のペンタエリスリトール製品が少量のジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール及びテトラエリスリトールを含む場合に特にしかりである。
【0178】
好ましい実施態様によれば、上記モノカルボン酸は、5~11個の炭素原子、好ましくは6~10個の炭素原子を含む。
【0179】
モノカルボン酸は、特に以下の一般式(VII):
R’C(O)OH (VII)
(上式中、R’は、直鎖又は分岐C1-C12アルキル基、C6-C12アリール基又はC6-C30アラルキル基である)を有する。好ましくは、R’は、C4-C10、優先的にはC5-C9アルキル基である。
【0180】
特に、モノカルボン酸は、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、n-オクタン酸、n-ノナン酸、n-デカン酸、3-メチルブタン酸、2-メチルブタン酸、2,4-ジメチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、3,3,5-トリメチルヘキサン酸、安息香酸及びそれらの混合物によって構成される群から選択される。
【0181】
好ましい実施態様によれば、モノカルボン酸は、n-ヘプタン酸又はn-ヘプタン酸と他の直鎖モノカルボン酸、特にn-オクタン酸及び/又はn-デカン酸との混合物である。そのようなモノカルボン酸混合物は、15mol%~100mol%のヘプタン酸と85mol%~0mol%の他のモノカルボン酸とを含みうる。特に、混合物は、75mol%~100mol%のヘプタン酸と25mol%~0mol%の、オクタン酸とデカン酸のモル比3:2の混合物とを含む。
【0182】
好ましい実施態様によれば、ポリオールエステルは、
i) 45重量%~55重量%の、2~15個の炭素原子を含む少なくとも一種のモノカルボン酸とモノペンタエリスリトールのエステル;
ii) 13重量%未満の、2~15個の炭素原子を含む少なくとも一種のモノカルボン酸とジペンタエリスリトールのエステル;
iii) 10重量%未満の、2~15個の炭素原子を含む少なくとも一種のモノカルボン酸とトリペンタエリスリトールのエステル;及び
iv) 少なくとも25重量%の、2~15の炭素原子を含む少なくとも一種のモノカルボン酸とテトラエリスリトール及び他のペンタエリスリトールのオリゴマーのエステル
を含む。
【0183】
[ポリオールエステルD)]
別の実施態様によれば、本発明に係るポリオールエステルは、以下の式(VIII):
(上式中、
- R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、及びR
12は、互いに独立して、H又はCH
3であり;
- a、b、c、y、x、及びzは、互いに独立して整数であり;
- a+x、b+y及びc+zは、互いに独立して、1~20の範囲の整数であり;
- R
13、R
14及びR
15は、互いに独立して、脂肪族又は分岐であるアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールシクロアルキル、シクロアルキルアリール、アルキルシクロアルキルアリール、アルキルアリールシクロアルキル、アリールシクロアルキルアルキル、アリールアルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキルアリール及びシクロアルキルアリールアルキルによって構成される群から選択され、
R
13、R
14及びR
15は1~17個の炭素原子を含み、場合により置換されていてもよい)
を有する。
【0184】
好ましい実施態様によれば、R13、R14及びR15のそれぞれは、互いに独立して、直鎖又は分岐アルキル基、アルケニル基又はシクロアルキル基を表し、前記アルキル、アルケニル又はシクロアルキル基はN、O、Si、F及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むことが可能である。好ましくは、R13、R14及びR15のそれぞれは、互いに独立して、3~8個の炭素原子、好ましくは5~7個の炭素原子を含む。
【0185】
好ましくは、a+x、b+y及びc+zは、互いに独立して、1~10、優先的には2~8、更により優先的には2~4の範囲の整数である。
【0186】
好ましくは、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12はHを表す。
【0187】
上記の式(VIII)のポリオールエステルは、典型的には、国際特許出願の国際公開第2012/177742号の段落[0027]~[0030]に記載されているようにして調製されうる。
【0188】
特に、式(VIII)のポリオールエステルは、グリセロールアルコキシレート(国際公開第2012/177742号の段落[0027]に記載)を、2~18個の炭素原子を含む一又は複数のモノカルボン酸でエステル化することにより得られる。
【0189】
好ましい実施態様によれば、モノカルボン酸は次の式の一つを有する:
R13COOH
R14COOH及び
R15COOH
(上式中、R13、R14及びR15は上で定義された通りである)。無水物、エステル及びハロゲン化アシルなどのカルボン酸の誘導体もまた使用されうる。
【0190】
エステル化は、一又は複数のモノカルボン酸を用いて実施されうる。好ましいモノカルボン酸は、酢酸、プロパン酸、酪酸、イソブタン酸、ピバル酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、3,3,5-トリメチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、シトロネル酸、ウンデセン酸、ラウリン酸、ウンデシレン酸、リノレン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、テトラヒドロ安息香酸、水素化又は非水素化アビエチン酸、2-エチルヘキサン酸、フロ酸、安息香酸、4-アセチル安息香酸、ピルビン酸、4-(tert-ブチル)安息香酸、ナフテン酸、2-メチル安息香酸、サリチル酸、それらの異性体、それらのメチルエステル、及びそれらの混合物によって構成される群から選択されるものである。
【0191】
好ましくは、エステル化は、ペンタン酸、2-メチルブタン酸、n-ヘキサン酸、n-ヘプタン酸、3,3,5-トリメチルヘキサン酸、2-エチルヘキサン酸、n-オクタン酸、n-ノナン酸及びイソノナン酸により構成される群から選択される一又は複数のモノカルボン酸を用いて実施される。
【0192】
好ましくは、エステル化は、酪酸、イソ酪酸、n-ペンタン酸、2-メチルブタン酸、3-メチルブタン酸、n-ヘキサン酸、n-ヘプタン酸、n-オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、3,3,5-トリメチルヘキサン酸、n-ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸及びそれらの混合物により構成される群から選択される一又は複数のモノカルボン酸を用いて実施される。
【0193】
別の実施態様によれば、本発明に係るポリオールエステルは、以下の式(IX)を有する:
(上式中、
- R
17及びR
18のそれぞれは、互いに独立して、H又はCH
3であり;
- m及びnのそれぞれは、互いに独立して整数で、m+nは1~10の範囲の整数であり;
- R
16及びR
19は、互いに独立して、脂肪族又は分岐であるアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールシクロアルキル、シクロアルキルアリール、アルキルシクロアルキルアリール、アルキルアリールシクロアルキル、アリールシクロアルキルアルキル、アリールアルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキルアリール及びシクロアルキルアリールアルキルにより構成される群から選択され、
R
16及びR
19は1~17個の炭素原子を含み、場合により置換されていてもよい)
【0194】
好ましい実施態様によれば、R16及びR19のそれぞれは、互いに独立して、直鎖又は分岐アルキル基、アルケニル基又はシクロアルキル基を表し、前記アルキル、アルケニル又はシクロアルキル基はN、O、Si、F及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むことが可能である。好ましくは、R16及びR19のそれぞれは、互いに独立して、3~8個の炭素原子、好ましくは5~7個の炭素原子を含む。
【0195】
好ましい実施態様によれば、R17及びR18のそれぞれはHを表し、及び/又はm+nは、2~8、4~10、2~5又は3~5の範囲の整数である。特に、m+nは値2、3、又は4を有する。
【0196】
好ましい実施態様によれば、上記の式(IX)のポリオールエステルは、トリエチレングリコールのジエステル又はテトラエチレングリコールのジエステルであり、特に4~9個の炭素原子を含む一又は二のモノカルボン酸とのエステルである。
【0197】
上記の式(IX)のポリオールエステルは、エチレングリコール、プロピレングリコール、又はオリゴ又はポリアルキレングリコール(オリゴ又はポリエチレングリコール、オリゴ又はポリプロピレングリコール又はエチレングリコール/プロピレングリコールブロックコポリマーでありうる)の、2~18個の炭素原子を含む一又は二のモノカルボン酸とのエステル化によって調製されうる。エステル化は、上記の式(VIII)のポリオールエステルを調製するために実施されるエステル化反応と同様に実施されうる。
【0198】
特に、上記の式(VIII)のポリオールエステルを調製するために使用されるものと同一のモノカルボン酸を使用して、式(IX)のポリオールエステルを形成することができる。
【0199】
一実施態様によれば、本発明に係るポリオールエステルをベースにした潤滑剤は、20重量%~80重量%、好ましくは30重量%~70重量%、優先的には40重量%~60重量%の式(VIII)の少なくとも一種のポリオールエステルと、80重量%~20重量%、好ましくは70重量%~30重量%、優先的には60重量%~40重量%の少なくとも一種の式(IX)のポリオールエステルを含む。
【0200】
一般に、一部のアルコール官能基は、エステル化反応中にエステル化されない場合がある;しかし、その割合は低いままである。従って、POEは、-CH2-O-C(=O)-単位に対して、0相対mol%~5相対mol%のCH2OH単位を含みうる。
【0201】
本発明による好ましいPOE潤滑剤は、40℃で1~1000センチストークス(cSt)、好ましくは10~200cSt、更により優先的には20~100cSt、有利には30~80cStの粘度を有するものである。
【0202】
油の国際分類は、特にISO3448-1992(NF T60-141)規格で規定されており、それによれば、油は40℃の温度において測定されたその平均粘度クラスによって指定される。
【0203】
[使用]
本発明に係る組成物は、冷蔵及び空調及び暖房、好ましくは冷蔵輸送、自動車における空調及び暖房における、伝熱流体としての使用に最も特に適している。
【0204】
本発明は、冷媒が漏れた場合の発火及び/又は爆発のリスクを低減するための本発明に係る組成物の使用に関する。
【0205】
本組成物の低い可燃性は、有利には、伝熱施設でのより多量の使用を可能にする。可燃性クラスに従う冷媒の使用は特にISO5149-1規格(2014版)に記載されている。
【0206】
本発明は、蒸気圧縮回路を含む伝熱システムにおける本発明に係る組成物又は本発明に係る伝熱組成物の使用にも関する。
【0207】
一実施態様によれば、伝熱システムは、
- 空調システム;又は
- 冷蔵システム;又は
- 冷凍システム;又は
- ヒートポンプシステム
である。
【0208】
本発明はまた本発明に係る組成物又は本発明に係る伝熱組成物を含む蒸気圧縮回路を含む伝熱設備の使用に基づく伝熱方法に関する。本伝熱方法は、流体又は物体を加熱し又は冷却する方法でありうる。
【0209】
本発明に係る組成物又は伝熱組成物は、特にランキンサイクルに従って、機械的仕事又は電気を発生させるための方法において使用することもできる。
【0210】
本発明はまた本発明に係る組成物又は本発明に係る伝熱組成物を含む蒸気圧縮回路を備えた伝熱設備に関する。
【0211】
一実施態様によれば、この設備は、冷蔵、暖房(ヒートポンプ)、空調及び冷凍、並びに熱機関のための移動式又は固定式設備から選択される。
【0212】
特に、加温される流体又は物体(一般に空気と場合によっては一又は複数の製品、物体又は生物)が、部屋又は車両の客室(移動式設備の場合)に配置されるヒートポンプ設備でありうる。好ましい実施態様によれば、それは、冷却される流体又は物体(一般に空気と場合によっては一又は複数の製品、物体又は生物)が、部屋又は車両の客室(移動式設備の場合)に配置される空調設備である。それは、冷却される流体又は物体が、空気と、部屋又は容器に配置される一又は複数の製品、物体、又は生物を一般に含む、冷蔵設備又は冷凍設備(又は極低温設備)でありうる。
【0213】
一実施態様によれば、伝熱設備は、その電力が50kW以下、好ましくは30kW以下、特に22kW以下、更に特には10kW以下、より具体的には2kW以下の設備である。商業的な低温における用途として、言及されうる例には、冷蔵陳列棚、冷蔵室、製氷機などが含まれる;暖房における用途として、言及されうる例には、ヒートポンプ、空気/空気ヒートポンプ、空気/水ヒートポンプ、熱力学的温水器などが含まれる;住宅の空調における用途として、言及されうる例には、モノスプリット型設備、マルチスプリット型設備、セントラル空気分配設備、可変冷媒量設備などが含まれる;移動式空調の用途として、言及されうる例として、ヒートポンプ及び自動車空調が含まれる。
【0214】
本発明の主題は、また、伝熱流体又は伝熱組成物を含む蒸気圧縮回路によって流体又は物体を加熱し又は冷却する方法であって、伝熱流体又は組成物の蒸発と、伝熱流体又は組成物の圧縮と、伝熱流体又は組成物の凝縮と、伝熱流体又は組成物の膨張とを逐次的に含み、伝熱流体が本発明に係る組成物であるか、又は伝熱組成物が上に記載されたものである方法である。
【0215】
本発明の主題は、また、熱機関によって電気を発生させる方法であって、伝熱流体又は伝熱組成物の蒸発と、発電を可能にするタービンにおける伝熱流体又は組成物の膨張と、伝熱流体又は組成物の凝縮と、伝熱流体又は組成物の圧縮とを逐次的に含み、伝熱流体が本発明に係る組成物であり、伝熱組成物が上に記載されたものである方法である。
【0216】
本発明に係る伝熱流体又は組成物を含む蒸気圧縮回路は、少なくとも一の蒸発器、一の圧縮機、好ましくは容積式ピストン圧縮機、一の凝縮器及び一の膨張弁、並びに伝熱流体又は組成物をこれらの要素間で輸送するためのラインを備える。蒸発器と凝縮器は、伝熱流体又は組成物と別の流体又は物体との間の熱交換を可能にする熱交換器を備える。好ましくは、熱交換器は空気/冷媒交換器である。
【0217】
本発明の文脈で使用される蒸発器は、乾式膨張蒸発器又は浸水式蒸発器でありうる。乾式膨張蒸発器では、上記の伝熱流体又は組成物の全てが蒸発器の出口で蒸発し、蒸気相が過熱される。
【0218】
浸水式蒸発器では、伝熱流体/液体状の組成物は完全には蒸発しない。浸水式蒸発器は、液相と気相の分離器を備える。
【0219】
圧縮機として、単段又は多段の遠心圧縮機、又は小型遠心圧縮機が特に使用されうる。ロータリー、レシプロ、又はスクリュー圧縮機もまた使用されうる。
【0220】
別の実施態様によれば、蒸気圧縮回路は、スクリュー圧縮機、好ましくは二軸スクリュー又は一軸スクリュー圧縮機を備える。特に、蒸気圧縮回路は、例えば最大6.3リットル/秒までのかなりの量の油流を用いることができる二軸スクリュー圧縮機を備える。
【0221】
遠心圧縮機は、回転要素を使用して伝熱流体又は組成物を半径方向に加速することを特徴とする;それは、典型的には、チャンバーに収容される少なくとも一のローターと一のディフューザーを備える。伝熱流体又は伝熱組成物は、ローターの中心に導入され、加速を受けながらローターの周辺に向かって循環する。従って、一方では静圧がローターにおいて増加し、とりわけ他方ではディフューザーにおいて、速度が静圧の増加に変換される。各ローター/ディフューザーアセンブリが圧縮機の一段を構成する。遠心圧縮機は、所望される最終圧と処理される流体の体積に応じて、1~12段を含みうる。圧縮の程度は、出口における伝熱流体/組成物の絶対圧と、入口における前記流体又は前記組成物の絶対圧との比として定義される。大型遠心圧縮機の回転速度は、毎分3000~7000回転の範囲である。小型遠心圧縮機(又はミニ遠心圧縮機)は一般に毎分40000~70000回転の範囲の回転速度で運転され、小型ローター(一般に0.15m未満)を備えている。(単段ローターと比較して)圧縮機の効率を改善し、エネルギーコストを制限するために多段ローターを使用することができる。2段システムの場合、ローターの第一段の出口が第二ローターの入口に供給される。2つのローターを単一軸に取り付けることができる。各段は、約4対1の流体の圧縮比を提供でき、つまり、絶対出口圧が、絶対吸引圧の約4倍に等しくできる。特に自動車用途向けの二段遠心圧縮機の例は、米国特許第5065990号及び米国特許第5363674号の文献に記載されている。
【0222】
遠心圧縮機は、電気モーター又はガスタービン(例えば、移動用途では、車両の排気ガスが供給される)によって又は歯車装置によって駆動されうる。
【0223】
本設備は、発電するために膨張弁とタービンとのカップリングを含みうる(ランキンサイクル)。
【0224】
本設備はまた伝熱流体又は伝熱組成物の回路と加熱又は冷却される流体又は物体との間で熱を(状態変化を伴う又は伴わずに)伝達するために使用される少なくとも一の熱交換流体回路を場合によっては備えていてもよい。
【0225】
本設備はまた場合によっては同一又は異なる伝熱流体/組成物を含む二つ(又はそれ以上)の蒸気圧縮回路を備えていてもよい。例えば、蒸気圧縮回路は互いに連結されてもよい。
【0226】
蒸気圧縮回路は、蒸気圧縮の一般的サイクルに従って運転される。サイクルは、液相(又は液体/蒸気二重相)から比較的低い圧力の蒸気相への伝熱流体/組成物の状態変化と、続く比較的高い圧力までの蒸気相内の流体/組成物の圧縮、蒸気相から比較的高い圧力の液相への伝熱流体/組成物の状態変化(凝縮)、及びサイクルを再開するための圧力の低下を含む。
【0227】
冷却プロセスの場合、(直接的又は熱交換流体を介して間接的に)冷却されている流体又は物体から生じる熱は、伝熱流体/組成物の蒸発中に伝熱流体/組成物によって吸収され、これが周囲に対して比較的低い温度で実施される。冷却プロセスには、空調プロセス(例えば車両などの移動式設備又は固定式設備)、冷蔵プロセス及び冷凍プロセスもしくは極低温プロセスが含まれる。空調の分野では、家庭用、商業用、又は産業用の空調を挙げることができ、使用される装置の品目は、冷却器又は装置の直接膨張品目の何れかである。冷蔵の分野では、家庭用又は商業用の冷蔵、低温室、食品産業又は冷蔵輸送(トラック、船、コンテナ)を挙げることができる。
【0228】
暖房プロセスの場合、熱は、伝熱流体/組成物の凝縮中に、伝熱流体/組成物から、加熱されている流体又は物体に(直接的又は熱交換流体を介して間接的に)伝達され、これが周囲に対して比較的高い温度で実施される。伝熱を実施するための設備は、この場合、「ヒートポンプ」として知られている。それらは特に中温及び高温ヒートポンプでありうる。
【0229】
本発明に係る組成物又は本発明に係る伝熱組成物の実施には、任意の型式の熱交換器、特に並流熱交換器又は好ましくは向流熱交換器を使用することができる。空気/冷媒型式の交換器もまた使用でき、更に好ましい。
【0230】
本発明によれば、「向流熱交換器」という用語は、第一の流体と第二の流体との間で熱が交換される熱交換器を意味し、交換器の入口の第一の流体が交換器の出口の第二の流体と熱交換し、交換器の出口の第一の流体が熱交換器の入口の第二の流体と熱交換する。
【0231】
例えば、向流熱交換器は、第一の流体の流れと第二の流体の流れが反対方向又は実質的に反対方向である装置を含む。向流特性を有するクロス流モードで操作される交換器もまた本特許出願の意味の向流熱交換器に含まれる。
【0232】
しかしながら、好ましい実施態様によれば、本発明は、凝縮器又は蒸発器の何れかにおいて、空気/冷媒熱交換器を備える、冷却及び暖房プロセスと、対応する設備を提供する。これは、上で定義された本発明に係る組成物又は伝熱組成物がこれらの熱交換器で特に効果的であるためである。
【0233】
「低温冷蔵」プロセスでは、蒸発器における本発明に係る組成物又は伝熱組成物の入口温度は、好ましくは-45℃~-15℃、特に-40℃~-20℃、より特に好ましくは-35℃~-25℃、例えば約-30℃又は-20℃であり;凝縮器における本発明に係る組成物又は伝熱組成物の凝縮開始温度は、好ましくは25℃~80℃、特に30℃~60℃、より特に好ましくは35℃~55℃、例えば約40℃である。
【0234】
「中温冷却」プロセスでは、蒸発器における本発明に係る組成物又は伝熱組成物の入口温度は、好ましくは-20℃~10℃、特に-15℃~5℃、より特に好ましくは-10℃~0℃、例えば約-5℃であり;凝縮器における本発明に係る組成物又は伝熱組成物の凝縮開始温度は、好ましくは25℃~80℃、特に30℃~60℃、より特に好ましくは35℃~55℃、例えば約50℃である。これらのプロセスは、冷蔵プロセス又は空調プロセスでありうる。
【0235】
「中温暖房」プロセスでは、蒸発器における本発明に係る組成物又は伝熱組成物の入口温度は、好ましくは-20℃~10℃、特に-15℃~5℃、より特に好ましくは-10℃~0℃、例えば約-5℃であり;凝縮器における本発明に係る組成物又は伝熱組成物の凝縮開始温度は、好ましくは25℃~80℃、特に30℃~60℃、より特に好ましくは35℃~55℃、例えば約50℃である。
【0236】
本発明に係る組成物は、様々な伝熱用途における様々な伝熱流体を取り換えるために使用されうる。例えば、本発明に係る組成物を使用して、R404A、R452A、R449A、R449C、R448A、R22、R134a、R152a、R422、R502、R407A、R407F、R407C、R1234yf又はR1234zeを置き換えることができる。
【0237】
幾つかの実施態様において、本発明は、通常の伝熱流体と比較して、特にR404Aと比較して、同等か又は改善されたエネルギー性能品質を有する組成物を提供する。
【0238】
幾つかの実施態様によれば、R404Aの取り換えは、伝熱設備又はその操作パラメータを変更することなく有利に実施されうる。特に、R404Aの取り換えは、圧縮機の技術を変更することなく実施されうる。
【0239】
それに応じて、本発明に係る組成物は、R404Aが一般に使用される全ての用途に特に適している。従って、本発明の組成物は、冷蔵輸送用途、特に冷蔵コンテナ、自動車空調又は自動車暖房に特に適している。
【0240】
上に記載した全ての実施態様は互いに組み合わせることができる。特に、上記の使用は、本発明の全ての好ましい組成物又は非好適組成物に適用されうる。
【0241】
本発明の文脈において、「xとyの間」又は「x~y」という用語は、限界x及びyが含まれる間隔を意味する。 例えば、「1%~2%」の範囲には、特に1%と2%の値が含まれる。
【外国語明細書】