(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085287
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】ドラブレコーダ、撮影画像表示装置、撮影画像表示方法、撮影画像表示プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
B60R 1/20 20220101AFI20230613BHJP
B60R 1/24 20220101ALI20230613BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20230613BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
B60R1/20 100
B60R1/24
H04N7/18 J
G07C5/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036407
(22)【出願日】2023-03-09
(62)【分割の表示】P 2021170992の分割
【原出願日】2014-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】沼田 廣一朗
(72)【発明者】
【氏名】中村 健二
(57)【要約】
【課題】ルームミラーに装着され、車両の前方風景を好適に撮影可能な撮像装置を提供す
る。
【解決手段】ドライブレコーダ1は、車両に備え付けられたルームミラー2に装着され、
ミラー部3と、カメラ11とを備える。カメラ11は、ミラー部3の鏡面の中心位置にお
ける法線方向に対して、水平方向に20°だけ傾いた撮影方向を有する。この場合、ミラ
ー部3を使用状態に調整した状態において、カメラ3の撮影方向が車両の正面方向と略一
致する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された撮像部により取得された撮像画像を表示するドライブレコーダであっ
て、
前記撮像画像を表示する表示部と、
前記撮像画像の撮像時刻、及び前記撮像画像の撮像時の前記車両の走行速度の少なくと
もいずれかを示す文字情報を、前記撮像画像に重ねて前記表示部に表示させる表示制御部
と、
前記表示部の前面に配置され、前記表示部が表示する画像の光の一部を透過するミラー
部と、
加速度を検出する加速度検出部と、
前記表示部、前記表示制御部、前記ミラー部、及び前記加速度検出部を含む本体部を、
前記車両のルームミラーの鏡面に重なるように装着する装着部と、
を備え、
前記装着部は、前記本体部の取り付けの向きを、第1方向及び前記第1方向から前記ルー
ムミラーの鏡面に沿って180度回転した第2方向に向けて装着可能であり、前記表示制
御部は、前記加速度検出部が検出した重力加速度の向きに基づいて、前記表示部に表示さ
せる前記文字情報の回転方向を設定する
ことを特徴とするドライブレコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両から前方風景を撮影する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の前方風景を撮影するカメラを一体に備えたルームミラーが知られてい
る。例えば、特許文献1には、ルームミラーを構成するケースの内部空間にカメラを設置
し、ルームミラーの角度調整によらず、カメラの撮影方向が不変に構成されたカメラ内蔵
ルームミラーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、カメラとルームミラーのケースの干渉をなくすためのスペースが必要
となり、ルームミラーのケースが大型化してしまうという課題があった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ルームミラーに装
着され、車両の前方風景を好適に撮影可能な撮像装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項に記載の発明は、車両に搭載された撮像部により取得された撮像画像を表示する
ドライブレコーダであって、前記撮像画像を表示する表示部と、前記撮像画像の撮像時刻
、及び前記撮像画像の撮像時の前記車両の走行速度の少なくともいずれかを示す文字情報
を、前記撮像画像に重ねて前記表示部に表示させる表示制御部と、前記表示部の前面に配
置され、前記表示部が表示する画像の光の一部を透過するミラー部と、加速度を検出する
加速度検出部と、前記表示部、前記表示制御部、前記ミラー部、及び前記加速度検出部を
含む本体部を、前記車両のルームミラーの鏡面に重なるように装着する装着部と、を備え
、前記装着部は、前記本体部の取り付けの向きを、第1方向及び前記第1方向から前記ルー
ムミラーの鏡面に沿って180度回転した第2方向に向けて装着可能であり、前記表示制
御部は、前記加速度検出部が検出した重力加速度の向きに基づいて、前記表示部に表示さ
せる前記文字情報の回転方向を設定することを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、車両に備え付けられたルームミラーに装着され、前記車
両に搭載された撮像部により取得された撮像画像を表示する撮影画像表示装置であって、
前記撮影画像表示装置の前記ルームミラーへの装着の向きを、第1方向及び前記第1方向に
対して逆さである第2方向に向けて装着可能な装着部と、ユーザの後方視認を可能にする
ミラー部と、前記ミラー部の一部に構成された表示部と前記撮像画像にテキストまたは図
形を付加して前記表示部に表示させる表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記撮
影画像表示装置に働く重力の向きに基づいて、前記テキストまたは前記図形の表示の向き
を回転させることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、車両のルームミラーへの装着の向きを第1方向及び前記
第1方向に対して逆さである第2方向に向けて装着可能であり、且つ前記車両に搭載された
撮像部により取得された撮像画像を、ユーザの後方視認を可能にするミラー部の一部に構
成された表示部に表示する撮影画像表示装置により実行される撮像画像表示方法であって
、前記撮像画像にテキストまたは図形を付加して前記表示部に表示させる表示制御工程、
を含み、前記表示制御工程は、前記撮影画像表示装置に働く重力の向きに基づいて、前記
テキストまたは前記図形の表示の向きを回転させることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、撮影画像表示プログラムであって、車両のルームミラー
への装着の向きを第1方向及び前記第1方向に対して逆さである第2方向に向けて装着可能
であり、且つ前記車両に搭載された撮像部により取得された撮像画像を、ユーザの後方視
認を可能にするミラー部の一部に構成された表示部に表示する撮影画像表示装置が有する
コンピュータに、前記撮像画像にテキストまたは図形を付加して前記表示部に表示させる
表示制御工程、を実行させ、前記表示制御工程は、前記撮影画像表示装置に働く重力の向
きに基づいて、前記テキストまたは前記図形の表示の向きを回転させることを特徴とする
。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】ドライブレコーダの正面図及び背面図を示す。
【
図4】車両が右ハンドルである場合の車内の上面図及び側面図を示す。
【
図5】撮影画像と切り出し画像との関係を示す図である。
【
図7】車両が左ハンドルである場合のドライブレコーダの背面図及び上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の1つの好適な実施形態では、車両に備え付けられたルームミラーに装着され、
当該車両の前方風景を撮影する撮影装置であって、ミラー部と、前記ミラー部の鏡面の中
心位置における法線方向に対して、水平方向に第1角度だけ傾いた撮影方向を有する撮影
手段と、を備え、前記第1角度は、前記ミラー部を使用状態に調整した状態において、前
記撮影手段の撮影方向が前記車両の正面方向と略一致する角度に設定される。
【0009】
上記撮影装置は、車両に備え付けられたルームミラーに装着され、ミラー部と、撮影手
段とを備える。撮影手段は、ミラー部の鏡面の中心位置における法線方向に対して、水平
方向に第1角度だけ傾いた撮影方向を有する。ここで、第1角度は、ミラー部を使用状態
に調整した状態において、撮影手段の撮影方向が車両の正面方向と略一致する角度に設定
される。ここで、「撮影手段の撮影方向が車両の正面方向と略一致する角度」とは、例え
ば撮影手段の撮影方向が車両の正面方向から10°差以内に収まるような角度を指す。こ
の態様により、撮影装置は、ミラー部が運転者により使用状態に調整された状態において
、車両の正面方向を中心とした前方風景を好適に撮影することができる。
【0010】
上記撮影装置の一態様では、撮影装置は、加速度を検出する加速度センサと、前記加速
度センサの出力に基づいて、前記撮影手段により撮影された画像の一部を切り出した画像
を出力する画像制御手段と、を備える。この態様により、撮影装置は、加速度センサの出
力に基づいて、撮影装置の傾き等を好適に認識し、車両の正面方向を映した部分を撮影画
像から好適に切り取って出力することができる。
【0011】
上記撮影装置の他の一態様では、撮影装置は、前記画像制御手段は、前記加速度センサ
の出力に基づいて算出された、前記法線方向と前記車両の正面方向との角度差に基づいて
、前記画像制御手段が出力する画像の中心位置を変化させる。この態様により、撮影装置
は、車両の正面方向を映した部分を撮影画像から好適に切り取って出力することができる
。
【0012】
上記撮影装置の他の一態様では、撮影装置は、前記撮影手段により撮影された画像中の
消失点を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された消失点に基づいて、前記撮
影手段により撮影された画像の一部を切り出して出力する画像制御手段と、を備える。こ
の態様によっても、撮影装置は、車両の正面方向を映した部分を撮影画像から好適に切り
取って出力することができる。
【0013】
上記撮影装置の他の一態様では、撮影装置は、前記ミラー部の一部に構成された表示手
段を備え、前記表示手段は、前記画像制御手段により出力された画像を表示する。この態
様により、撮影装置は、車両の前方風景を撮影した画像を好適に運転者に視認させること
ができる。
【0014】
上記撮影装置の他の一態様では、撮影装置は、画像を記憶するための不揮発性メモリを
備え、前記不揮発性メモリは、前記ミラー部の鏡面方向に掛かる重力の向きに基づいて回
転させた前記画像制御手段の出力画像を記憶する。この態様により、撮影装置のルームミ
ラーへの取り付け態様によらず、常に正面視した前方風景の画像を不揮発性メモリに記憶
させることができる。
【0015】
上記撮影装置の他の一態様では、撮影装置は、前記撮影手段により撮影された画像に、
テキストまたは図形を重畳して出力する重畳手段を備え、前記重畳手段は、前記ミラー部
の鏡面方向に掛かる重力の向きに基づいて、前記テキストまたは図形の向きを回転させる
。この態様により、撮影装置は、撮影手段により撮影された画像に重畳させるテキストま
たは図形の向きを適切に設定することができる。
【0016】
上記撮影装置の他の一態様では、前記撮影手段は、10°~30°の範囲内の角度であ
る前記第1角度だけ、前記法線方向に対して傾いた撮影方向を有する。この態様により、
撮影装置は、角度調整後の使用状態において、車両の正面方向の前方風景を好適に撮影す
ることができる。
【実施例0017】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。以後において、「撮影
方向」とは、カメラの正面となる方向であって、カメラの視野(撮影範囲)の中心を通る
方向を指すものとする。
【0018】
[概略構成]
図1は、本実施例に係るドライブレコーダ1を示す。具体的には、
図1(A)は、ドラ
イブレコーダ1が車室内のルームミラー2に装着された状態(単に「装着状態」とも呼ぶ
。)における正面図を示し、
図1(B)は、装着状態におけるドライブレコーダ1の背面
図を示す。以後では、ドライブレコーダ1の長手方向を「Y軸方向」、ドライブレコーダ
1の短手方向を「Z軸方向」、Y軸及びZ軸と垂直な方向を「X軸方向」とし、各正方向
を図のように定める。
【0019】
図1に示すドライブレコーダ1は、主に、ミラー部3と、カメラ(撮影手段)11と、
ミラー部3の背面に存在するディスプレイ(表示手段)10と、挟持部16A~16Dと
を有する。そして、ドライブレコーダ1は、装着状態において、挟持部16A~16Dが
ルームミラー2を挟持することでルームミラー2に対して固定される。そして、ドライブ
レコーダ1の装着状態では、ルームミラー2の鏡面と、ドライブレコーダ1の背面とが重
なる。
【0020】
なお、
図1では、車両が右ハンドルである場合のドライブレコーダ1の装着状態を示し
ており、車両が左ハンドルの場合には、
図1(B)からYZ平面上で180°回転させた
状態のドライブレコーダ1がルームミラー2に装着される。車両が左ハンドルである場合
については、[左ハンドルへの対応]のセクションで詳しく説明する。
【0021】
ミラー部3は、例えばハーフミラーであって、入射した一部の光を透過させ、その他の
光を反射させる。これにより、ミラー部3は、背面にあるディスプレイ10が非発光状態
では車両の後方風景を映す通常のミラーとして機能し、ディスプレイ10が発光状態では
、ディスプレイ10から出射された光を透過させることで、運転者にディスプレイ10の
表示内容を視認させる。
【0022】
ディスプレイ10は、カメラ11が撮影した画像(「撮影画像Im」とも呼ぶ。)から
切り出された画像(「切り出し画像Imc」とも呼ぶ。)を表示する。切り出し画像Im
cは、後述するように、車両の正面方向にある前方風景が画像の中心になるように撮影画
像Imから切り出された画像であり、撮影画像Imよりも縦横の画素数が少ない。また、
ディスプレイ10は、切り出し画像Imcに、運転者を案内するための文字や図形などを
表す画像(「案内画像」とも呼ぶ。)を重畳させて表示する。
図1(A)では、ディスプ
レイ10は、車速を表す案内画像と、点灯した信号灯を強調した四角枠の案内画像とを、
切り出し画像Imcに重畳して表示している。
【0023】
カメラ11は、ドライブレコーダ1の装着状態において、ルームミラー2と重ならない
ドライブレコーダ1の背面部分に配置される。また、カメラ11の撮影方向(即ち、カメ
ラ11の向き)は、ミラー部3のミラー面の中心位置における法線(法線「Ln」とも呼
ぶ。)に対して横方向に20°だけ傾いている。ここで、上述の「20°」は、一般的な
体格の運転者がルームミラー2の傾きを設定したときの標準的な左右方向の傾き角度であ
って、本発明における「第1角度」の一例である。これにより、運転者がドライブレコー
ダ1の角度調整を行った状態で、カメラ11の撮影方向は、車両の正面方向(正面方向)
と略一致する。これについて、
図2を参照して説明する。
【0024】
図2は、ドライブレコーダ1の上面図を示す。
図2の例では、ドライブレコーダ1のミ
ラー部3が運転者に向けられるように、ドライブレコーダ1が20°だけ反時計回りに傾
けられている。
【0025】
ここで、
図2に示すように、矢印41が示すカメラ11の撮影方向は、法線Lnに対し
、水平面(即ちXY平面)上において20°だけ時計回り(右回り)に傾いている。また
、法線Lnは、運転者のミラー部3の角度調整により、車両の正面方向に対して水平面上
において20°だけ反時計回り(左回り)に傾いている。その結果、
図2の例では、矢印
41が示すカメラ11の撮影方向は、車両の正面方向と一致する。
【0026】
以後では、
図2に示すドライブレコーダ1の設置状態、即ち、法線Lnが車両の正面方
向に対して20°だけXY平面で反時計回りに傾いており、かつ、ドライブレコーダ1が
水平面と垂直な状態を、「基準状態」とも呼ぶ。
【0027】
図3は、ドライブレコーダ1の機能ブロック図である。
図3に示すように、ドライブレ
コーダ1は、ディスプレイ10と、カメラ11と、加速度センサ12と、不揮発性メモリ
13と、制御部14とを備える。
【0028】
加速度センサ12は、X軸、Y軸、及びZ軸の3軸方向の加速度を検出し、その検出信
号を制御部16へ供給する。不揮発性メモリ13は、例えばSDカードなどの記憶媒体で
あり、制御部14の制御に基づき、カメラ11が生成した撮影画像Im又はディスプレイ
10に表示された切り出し画像Imcを記憶する。
【0029】
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)、CPU
が実行する制御プログラムやデータなどを記憶するROM(Read Only Mem
ory)、CPUが動作する際のワークメモリとして各種データが逐次読み書きされるR
AM(Random Access Memory)などを有し、ドライブレコーダ1の
全般的な制御を行う。
【0030】
例えば、制御部14は、所定時間分の撮影画像Im又は切り出し画像Imcを一時メモ
リに上書きし、加速度センサ12により所定値以上の加速度を検出した場合に、一時メモ
リに保存した撮影画像Im又は切り出し画像Imcを不揮発性メモリ13に書き込む。ま
た、制御部14は、撮影画像Imに基づき、公知の画像認識技術により、前方車両の検出
、車線の検出、信号機の点灯色の検出などの種々の認識処理を行い、その認識結果に基づ
く案内画像を切り出し画像Imcに重畳させてディスプレイ10に表示させる。制御部1
4は、本発明における「画像制御手段」及び「重畳手段」の一例である。
【0031】
[切り出し画像Imcの生成方法]
次に、切り出し画像Imcの生成方法について説明する。概略的には、制御部14は、
図2に示す基準状態と比較した場合の法線Lnの水平方向及び垂直方向での傾きの差に基
づき、撮影画像Im上での切り出し画像Imcの中心位置を移動させる。これにより、制
御部14は、装着状態のドライブレコーダ1が運転者の体格等に応じて角度調整された場
合であっても、車両の正面方向を中心した切り出し画像Imcを好適に生成し、ディスプ
レイ10に表示させる。
【0032】
以後では、車両が右ハンドルである場合について説明する。なお、制御部14は、例え
ば加速度センサ12が出力するZ軸方向の加速度(即ち重力加速度)に基づき、右ハンド
ル又は左ハンドルのいずれの車両にドライブレコーダ1が装着されたかを判定する。
【0033】
図4(A)は、車両が右ハンドルである場合の車内の上面図を示す。また、
図4(B)
は、車両が右ハンドルである場合の車両の側面図を示す。
【0034】
この場合、まず、制御部14は、加速度センサ12の出力に基づき、車両の正面方向に
対する法線Lnの水平面上での傾き角(「水平傾き角θh」とも呼ぶ。
図4(A)参照。
)と、法線Lnの水平面に対する仰角(「垂直傾き角θv」とも呼ぶ。
図4(B)参照。
)とをそれぞれ認識する。この場合、好適には、制御部14は、加速度センサ12のX、
Y、Z軸のそれぞれの出力値に対し、移動平均などの所定期間での統計値を算出し、算出
した統計値に基づき水平傾き角θh及び垂直傾き角θvを算出するとよい。
【0035】
次に、制御部14は、検出した水平傾き角θhと基準状態における水平傾き角θh(即
ち20°)との差に応じて、撮影画像Im上の切り出し画像Imcの中心位置を、撮影画
像Imの中心位置から横方向にずらす。また、制御部14は、検出した垂直傾き角θvと
基準状態における垂直傾き角θv(即ち0°)との差に応じて、撮影画像Im上の切り出
し画像Imcの中心位置を、撮影画像Imの中心位置から上下方向にずらす。これについ
て、
図5を参照して説明する。
【0036】
図5は、撮影画像Imと切り出し画像Imcとの位置関係を示す図である。
図5におい
て、位置「Pimc」は、切り出し画像Imcの中心位置を示し、位置「Pim」は、撮
影画像Imの中心位置を示す。また、切り出し画像Imcの横幅及び縦幅は、水平傾き角
θh及び垂直傾き角θvの取り得る角度を勘案し、撮影画像Imよりも短く設定されてい
る。
【0037】
図5の例では、制御部14は、加速度センサ12により検出した水平傾き角θhが、基
準状態における水平傾き角θh(即ち20°)よりも所定角度だけ大きいと判断し、当該
所定角度に応じた距離「Lh」だけ右に、中心位置Pimcを中心位置Pimからずらし
ている。この場合、制御部14は、例えば、上述の所定角度の各候補値に対する適切な距
離Lhの設定値を示すマップ又は式を予め記憶しておき、当該マップ等を参照することで
、距離Lhを設定する。一方、制御部14は、検出した水平傾き角θhが基準状態におけ
る水平傾き角θhよりも小さい場合には、これらの水平傾き角θhの角度差に応じて中心
位置Pimcを中心位置Pimよりも左にずらす。
【0038】
同様に、
図5の例では、制御部14は、加速度センサ12により検出した垂直傾き角θ
vが、基準状態における垂直傾き角θv(即ち0°)よりも所定角度だけ大きいと判断し
、当該所定角度に応じた距離「Lv」だけ下に、中心位置Pimcを中心位置Pimから
ずらしている。この場合、制御部14は、例えば、上述の所定角度の各候補値に対する適
切な距離Lvの設定値を示すマップ又は式を予め記憶しておき、当該マップ等を参照する
ことで、距離Lvを設定する。なお、制御部14は、検出した垂直傾き角θvが基準状態
における垂直傾き角θvよりも小さい場合には、これらの垂直傾き角θvの角度差に応じ
て中心位置Pimcを中心位置Pimよりも上にずらす。
【0039】
そして、
図5の例では、水平傾き角θh及び垂直傾き角θvに基づき中心位置Pimc
を移動させた結果、切り出し画像Imcの中心位置は、カメラ11の撮影方向が車両の正
面方向と一致している場合に撮影される撮影画像Imの中心位置に一致している。即ち、
制御部14は、車両の正面方向の延長線上にある消失点が切り出し画像Imcの中心位置
になるように切り出し画像Imcの切り出し範囲を決定している。
【0040】
図6は、
図5に示す切り出し画像Imcが表示されたディスプレイ10の表示例である
。
図6に示すように、制御部14は、垂直傾き角θv及び水平傾き角θhに基づき生成し
た切り出し画像Imcをディスプレイ10上に表示させると共に、運転者を案内するため
の案内画像80、81を表示させている。
図6では、制御部14は、撮影画像Imに基づ
き認識した点灯状態の信号灯を囲む案内画像80と、図示しない距離センサ等の出力に基
づき取得した車速を表す案内画像81とを、切り出し画像Imcに重畳表示している。
【0041】
図6に示すように、制御部14は、ドライブレコーダ1が
図2に示す基準状態から運転
者の体格等に応じて適宜角度調整された場合であっても、運転者の視線の向きと同一向き
を撮影方向とする切り出し画像Imcを生成し、ディスプレイ10に表示させることがで
きる。さらに、ミラー部3を使用状態に調整した状態において、カメラ3の撮影方向が車
両の正面方向と略一致するように、予めカメラ3が傾いているために、撮影画像Imと切
り出し画像Imcの画素数を近づけることが可能となっている。すなわちディスプレイ1
0に表示される切り出し画像Imcの解像度を極端に悪化させることなく、車両の正面方
向を映した画像を表示することができる。
【0042】
[左ハンドルへの対応]
次に、車両が左ハンドルである場合について説明する。
図7(A)は、車両が左ハンド
ルである場合のドライブレコーダ1の背面図を示し、
図7(B)は、車両が左ハンドルで
ある場合のドライブレコーダ1の上面図を示す。
【0043】
図7(A)に示すように、車両が左ハンドルの場合には、車両が右ハンドルである場合
の
図1(B)の状態からドライブレコーダ1をYZ平面上で180°回転させた状態でル
ームミラー2に取り付けられる。そして、この場合、挟持部16A、16Bがルームミラ
ー2の下端位置を挟み、挟持部16C、16Dがルームミラー2の上端位置を挟んだ状態
でドライブレコーダ1がルームミラー2に装着される。
【0044】
この場合、
図7(B)に示すように、矢印41が示すカメラ11の撮影方向は、法線L
nに対し、XY平面上で20°だけ反時計回り(左回り)に傾いている。また、
図7(B
)では、法線Lnは、車両の正面方向に対してXY平面上で20°だけ時計回り(右回り
)に傾けられる。従って、
図7(B)に示す状態では、矢印41が示すカメラ11の撮影
方向は、車両の正面方向と略一致する。
【0045】
そして、制御部14は、
図7(B)に示す状態を基準状態とみなし、
図4及び
図5の説
明と同様に、撮影画像Im中の切り出し画像Imcの中心位置を定める。具体的には、制
御部14は、基準状態における水平傾き角θh(即ち20°)及び垂直傾き角θv(即ち
0°)と、加速度センサ12により検出した水平傾き角θh及び垂直傾き角θvとの各角
度差に基づき、撮影画像Im上での切り出し画像Imcの中心位置を決定する。
【0046】
切り出し画像Imcの範囲の決定後、制御部14は、切り出し画像Imcを上下反転さ
せることなくディスプレイ10に表示させる。ここで、ディスプレイ10及びカメラ11
は、共に、右ハンドル車における装着状態の場合と上下反転していることから、これによ
り、制御部14は、切り出し画像Imcを正しい向きで運転者に視認させる。
【0047】
また、制御部14は、切り出し画像Imcに重畳表示させる案内画像を、180°回転
させた状態で切り出し画像Imcに重ねてディスプレイ10上に表示する。この場合、制
御部14は、画像認識結果に関連して生成した案内画像(例えば
図6の案内画像80)に
限らず、操作メニューや、現在時刻、車両の走行速度などの各種情報を示す案内画像(例
えば
図6の案内画像81)についても、180°回転させて切り出し画像Imcに重ねて
表示する。これにより、制御部14は、案内画像を適切な向きで切り出し画像Imcに重
ねて運転者に視認させる。
【0048】
また、制御部14は、不揮発性メモリ13に撮影画像Im又は切り出し画像Imcを記
録する場合、不揮発性メモリ13に記録する撮影画像Im又は切り出し画像Imcを18
0°回転させてから不揮発性メモリ13に記録する。このようにすることで、不揮発性メ
モリ13をドライブレコーダ1から取り出してPCなどにより不揮発性メモリ13に記録
された撮影画像Im又は切り出し画像Imcを再生する際に、撮影画像Im又は切り出し
画像Imcが上下反転した状態で表示されるのを好適に抑制することができる。
【0049】
以上説明したように、本実施例に係るドライブレコーダ1は、車両に備え付けられたル
ームミラー2に装着され、ミラー部3と、カメラ11とを備える。カメラ11は、ミラー
部3の鏡面の中心位置における法線方向に対して、水平方向に20°だけ傾いた撮影方向
を有する。この場合、ミラー部3を使用状態に調整した状態において、カメラ3の撮影方
向が車両の正面方向と略一致する。従って、ドライブレコーダ1は、車両の走行時に、車
両の正面方向を中心とした前方風景を好適に撮影することができる。
【0050】
[変形例]
以下、上述の実施例に好適な変形例について説明する。以下の変形例は、任意に組み合
わせて上述の実施例に適用してもよい。
【0051】
(変形例1)
図2等では、カメラ11は、法線Lnに対して20°だけドライブレコーダ1の長手方
向に傾けられていた。しかし、本発明が適用可能なカメラ11の設置角度は、これに限定
されない。これに代えて、カメラ11は、一般的な運転者のルームミラー2の調整範囲で
ある10°~30°の範囲内で、法線Lnに対してドライブレコーダ1の長手方向に傾け
られていればよい。
【0052】
(変形例2)
[切り出し画像の生成方法]のセクションの説明では、制御部14は、検出した水平傾
き角θh及び垂直傾き角θvに基づき、撮影画像Imにおける切り出し画像Imcの中心
位置を決定した。これに代えて、制御部14は、撮影画像Imから公知の手法により消失
点を検出し、検出した消失点が中心となるように切り出し画像Imcの範囲を定めてもよ
い。
【0053】
この場合、好適には、制御部14は、平坦かつ直線の道路の走行時に撮影された撮影画
像Imにおける消失点の位置を、統計的手法により算出し、切り出し画像Imcの中心位
置として固定するとよい。例えば、制御部14は、撮影画像Imの撮影時の加速度センサ
12の出力が所定の範囲内であった複数の撮影画像Imに対し、撮影画像Im上での消失
点を算出し、算出した消失点の平均位置を、切り出し画像Imcの中心位置として定める
。このようにすることで、制御部14は、悪路や起伏がある道路を走行中の場合に、撮影
画像Im内の消失点が頻繁に移動する場合であっても、撮影画像Im内の切り出し画像I
mcの相対位置が頻繁に変わるのを好適に抑制することができる。本変形例では、制御部
14は、本発明における「検出手段」の一例である。
【0054】
(変形例3)
ドライブレコーダ1は、ルームミラー2に装着可能であって、カメラ11による撮影機
能のみを有し、ディスプレイ10による表示機能や不揮発性メモリ13による画像記録機
能を有しなくてもよい。
【0055】
図8は、変形例に係るシステムの概要を示す。
図8の例では、ドライブレコーダ1は、
ネットワークを介してサーバ装置6と接続する。そして、ドライブレコーダ1は、加速度
センサ12により所定値以上の加速度を検知した場合等に、撮影画像Im又は切り出し画
像Imcをサーバ装置6へ送信する。
【0056】
(変形例4)
ドライブレコーダ1は、図示しない入力部へのユーザ入力に基づき、撮影画像Im又は
切り出し画像Imcのいずれを不揮発性メモリ13に記憶させるか決定してもよい。そし
て、ユーザ入力に基づき切り出し画像Imcを不揮発性メモリ13に記憶する場合、ドラ
イブレコーダ1は、車両の正面方向を的確に捉えた映像を好適に記録することができる。
一方、ユーザ入力に基づき撮影画像Imを不揮発性メモリ13に記憶する場合、ドライブ
レコーダ1は、広範囲の画角を有する映像を好適に記録することができる。