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特開2023-85402均質オリゴマーを調製するためのキラル試薬
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085402
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】均質オリゴマーを調製するためのキラル試薬
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/6558 20060101AFI20230613BHJP
   C07F 9/6561 20060101ALI20230613BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20230613BHJP
   C12N 15/10 20060101ALN20230613BHJP
   C40B 50/14 20060101ALN20230613BHJP
【FI】
C07F9/6558 CSP
C07F9/6561 Z
A61K31/7088
C12N15/10 Z ZNA
C40B50/14
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023053119
(22)【出願日】2023-03-29
(62)【分割の表示】P 2021159804の分割
【原出願日】2016-08-05
(31)【優先権主張番号】62/201,510
(32)【優先日】2015-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506137147
【氏名又は名称】エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100126653
【弁理士】
【氏名又は名称】木元 克輔
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 篤史
(72)【発明者】
【氏名】ユー, ロバート ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ファン, フランシス
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ヒョン ウォク
(72)【発明者】
【氏名】シャン, ミンド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ジアステレオマーとして純粋な又は実質的にジアステレオマーとして純粋な活性化ホスホラミドクロリデートモルホリノヌクレオシド、それらを用いたジアステレオマーとして純粋なホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)の調製方法を提供する。
【解決手段】例えば、下式の様に、ウラシルユニットを有するジアステレオマー混合物から、分取HPLCを用いてそれぞれ純粋なジアステレオマーを分離し、これらと同様の手法にて得られるその他の純粋なジアステレオマー群を用いて立体特異的カップリングし、ジアステレオマーとして純粋なホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)を調製する。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式20の化合物、式21の化合物、式22の化合物、式23の化合物、式24の化合物、式25の化合物、式26の化合物、式27の化合物、式28の化合物、式29の化合物、式30の化合物、及び式31の化合物からなる群から選択される、実質的にジアステレオマーとして純粋な化合物
【表1】


[式中、RとRは、同一であっても異なってもよく、-H、任意選択で置換されたC~Cアルキル、任意選択で置換されたフェニル、任意選択で置換されたナフチルからなる群から選択され、又はそれらが結合している窒素と共に、例えば、ピロリジン、ピペラジン、及びモルホリンであってもよい任意選択で置換された複素環を形成し、
は、これに限定されないが、MMTr(p-メトキシフェニルジフェニルメチル)等を含む置換トリチルであってもよいトリチル(Tr)、任意選択で置換されたベンジル、4-メトキシベンジル(PMB、MPM)、3,4-ジメトキシベンジル、ジフェニルメチル(Dpm)、4-メトキシベンジル、及びスルホニルからなる群から選択され、
、R、及びRは、-H、-C(O)R、及び-C(O)ORからなる群から選択され、式中、Rは、C~Cアルキル、ベンジル、2,2,2-トリクロロエチル、又はアリールであり、
は、任意選択で置換されたアルキル、シアノエチル、アシル、カルボネート、カルバメート、任意選択で置換されたベンジル、4-ピバロイルオキシベンジル、及びシリルからなる群から選択される]
及びそのエナンチオマー。
【請求項2】
前記スルホニルが、2-ニトロベンゼンスルホニル、4-ニトロベンゼンスルホニル、及び2,4-ジニトロベンゼンスルホニルからなる群から選択される切断可能なスルホニルである、請求項1に記載の実質的にジアステレオマーとして純粋な化合物。
【請求項3】
、R、及びRが、フェニル、4-メトキシフェニル、4-ブロモフェニル、及び4-ニトロフェニルからなる群から選択される、請求項1に記載の実質的にジアステレオマーとして純粋な化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の実質的にジアステレオマーとして純粋な化合物を反応させるステップを含む、立体化学的に純粋なオリゴヌクレオチドを調製するための方法。
【請求項5】
実質的に立体化学的に純粋な活性化モノマーを選択するステップ、及び
選択した実質的に立体化学的に純粋な活性化モノマーから実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマーを合成するステップ
を含む、実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマーを調製するための方法。
【請求項6】
前記オリゴマーが、キラルリン酸結合を含むオリゴヌクレオチドである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
実質的に立体化学的に純粋な活性化モノマーを選択するステップの前に、活性化モノマーのジアステレオマー混合物を2つの実質的に立体化学的に純粋なモノマーに分離するステップを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマーが、少なくとも90%ジアステレオマーとして純粋である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマーが、少なくとも95%ジアステレオマーとして純粋である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマーが、少なくとも99%ジアステレオマーとして純粋である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマーが、100%ジアステレオマーとして純粋である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
実質的に立体化学的に純粋なホスホラミドクロリデートモノマーを選択するステップ、及び
選択した実質的に立体化学的に純粋なホスホラミドクロリデートモノマーから実質的にジアステレオマーとして純粋なホスホラミドクロリデートオリゴマーを合成するステップ
を含む、実質的にジアステレオマーとして純粋なホスホラミドクロリデートオリゴマーを調製するための方法。
【請求項13】
実質的に立体化学的に純粋なホスホラミドクロリデートモノマーを選択するステップの前に、ホスホラミドクロリデートのジアステレオマー混合物を2つの実質的に立体化学的に純粋なホスホラミドクロリデートモノマーに分離するステップを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ジアステレオマー混合物の分離をクロマトグラフィー及び結晶化からなる群の少なくとも1つの方法によって行う、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ホスホラミドクロリデートオリゴマーがホスホロジアミデートモルホリノオリゴマーである、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
請求項1に記載の実質的にジアステレオマーとして純粋な化合物を含む実質的にジアステレオマーとして純粋な組成物。
【請求項17】
請求項2に記載の実質的にジアステレオマーとして純粋な化合物を含む実質的にジアステレオマーとして純粋な組成物。
【請求項18】
請求項3に記載の実質的にジアステレオマーとして純粋な化合物を含む実質的にジアステレオマーとして純粋な組成物。
【請求項19】
請求項4に記載の方法によって作製された実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマー。
【請求項20】
請求項5に記載の方法によって作製された実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマー。
【請求項21】
請求項6に記載の方法によって作製された実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマー。
【請求項22】
請求項7に記載の方法によって作製された実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマー。
【請求項23】
請求項8に記載の方法によって作製された実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマー。
【請求項24】
請求項9に記載の方法によって作製された実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマー。
【請求項25】
請求項10に記載の方法によって作製された実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマー。
【請求項26】
請求項11に記載の方法によって作製された実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマー。
【請求項27】
請求項19~26のいずれか一項に記載の実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマー、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年8月5日に出願された米国特許仮出願第62/201,510号の優先権を主張するものである。その出願は、参照により本明細書に組み込まれている。
【分野】
【0002】
幾つかの実施形態は、ホスホラミドクロリデートモルホリノサブユニットである、実質的にジアステレオマーとして純粋な活性化モノマーの調製に関連し得る。幾つかの実施形態は、立体特異的カップリング反応を介して分子を調製するための、実質的にジアステレオマーとして純粋な活性化リン酸化モルホリノモノマーの使用にも関連し得る。
【背景】
【0003】
ジアステレオマーとして純粋なホスホロジアミデートオリゴヌクレオチドの合成は、キラルリン酸結合の存在によって相当複雑になる。これは、例えばキラルリン酸を有していないホスホジエステル結合とは対照をなす。ホスホジエステル、ホスホロチオエート(これはキラルリン酸も含む)、及びホスホロジアミデートを比較する図1中に幾つかの例を見ることができる。
【0004】
キラルリン酸の存在は、一連のホスホロジアミデートヌクレオチドの結合に関する合成経路の相当な課題となる。ホスホロジアミデート結合の立体特異的形成を可能にする立体化学的に純粋な試薬(鋳型、サブユニット、構成単位)の欠如は、立体中心で生成化合物のリン酸キラル性を制御できない反応をもたらす。
【0005】
図2中に図式的に示したように、任意の有意な長さと配列のオリゴヌクレオチドを調製するため、立体化学的に制御不能なカップリングにヌクレオチドのジアステレオマー混合物を使用することによって、多数のジアステレオマーの不均質混合物が生じる。ジアステレオマーの数は理論上2(n-1)であり、前式でnは結合してオリゴヌクレオチドを形成するヌクレオチドの数である。図2中に示したように、簡素な4ヌクレオチドのオリゴヌクレオチド(テトラヌクレオチド)でさえ、8個の別ジアステレオマーの混合物の形成をもたらす可能性がある。
【0006】
相当数のジアステレオマーの形成によって、合成後の高感度分離技法が必要となる可能性がある。原材料を使用して望ましくない多くのジアステレオマーを調製することによって、所望産物の収率が悪影響を受ける可能性がある。
【0007】
合成前に特異的ジアステレオマーを選択して、次いで立体化学的に純粋な又は実質的に純粋な形の選択ジアステレオマーを合成できることは有用であり得る。
【発明の概要】
【0008】
幾つかの実施形態は、表1の立体化学的に純粋な又は実質的に立体化学的に純粋な化合物のうちの1つ又は複数を提供することができる。更なる実施形態は、表1の化合物のエナンチオマーを提供することもできる。典型的に、これらのエナンチオマーの立体化学的性質は、モルホリノ環の立体化学的性質の変化によって表1の化合物のそれとは異なる。
【0009】
【表1】

【0010】
とRは、同一であっても異なってもよく、-H、任意選択で置換されたC~Cアルキル、任意選択で置換されたフェニル、任意選択で置換されたナフチルであってもよく、又はそれらが結合している窒素と共に、例えば、ピロリジン、ピペラジン、又はモルホリンであってもよい任意選択で置換された複素環を形成してもよい。
【0011】
任意選択で置換された部分は、メチル、エチル、ハロゲン、ニトロ、メトキシ、又はシアノのうちの1つ又は複数で置換することができる。
【0012】
は、これに限定されないが、MMTr(p-メトキシフェニルジフェニルメチル)等を含む置換トリチルであってもよいトリチル(Tr)、任意選択で置換されたベンジル、4-メトキシベンジル(PMB、MPM)、3,4-ジメトキシベンジル、ジフェニルメチル(Dpm)、又は切断可能なスルホニルであってもよいスルホニルであってもよい。幾つかの実施形態では、スルホニルは、2-ニトロベンゼンスルホニル、4-ニトロベンゼンスルホニル、又は2,4-ジニトロベンゼンスルホニルである。
【0013】
、R、Rは、-H、-C(O)R、又は-C(O)ORであってもよく、式中、Rはアルキル(メチル、エチル、イソプロピル、又は他のC~Cアルキル)、ベンジル、2,2,2-トリクロロエチル、又はアリール(これらに限定されないが、フェニル、4-メトキシフェニル、4-ブロモフェニル、及び4-ニトロフェニルを含む)である。Rは、任意選択で置換されたアルキル、シアノエチル、アシル、カルボネート、カルバメート、任意選択で置換されたベンジル、4-ピバロイルオキシベンジル、又はシリルであってもよい。
【0014】
更なる実施形態では、表1中に示したヌクレオシド以外のモルホリノヌクレオシドを、ジアステレオマーとして純粋な又は実質的にジアステレオマーとして純粋な形に調製することができる。
【0015】
幾つかの実施形態は、前に開示した化合物のジアステレオマー混合物を、立体化学的に純粋な又は実質的に立体化学的に純粋な化合物に分離するための方法も提供することができる。更なる実施形態は、本明細書で報告する立体化学的に純粋な又は実質的に立体化学的に純粋な化合物を含む医薬組成物を提供することができる。更なる実施形態は、本明細書で報告する立体化学的に純粋な又は実質的に立体化学的に純粋な化合物の薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供することができる。医薬組成物は、治療を必要とする患者に有効量投与することができる。医薬組成物は、薬学的に許容される担体を更に含むことができる。
【0016】
幾つかの実施形態では、表1の化合物のそれぞれにおける以下の部分は、位置a、b、及びeにおいて1つ又は2つのメチル基で置換することができ、位置c及びdにおいて1つのメチル基で置換することができる。それぞれの場合、メチル基はモルホリノ環の平面の片側に配向し得る。更なる実施形態では、1つ又は複数のメチル基によって任意選択で置換された別のメチレンを、モルホリノ基中の窒素近辺に挿入して7員環への拡張を可能にすることができる。
【0017】
幾つかの実施形態は、活性化モノマーの立体特異的カップリングを介した、立体化学的に純粋なオリゴヌクレオチドの調製を更に提供する。更なる実施形態は、活性化モノマーの立体特異的カップリングにより作製された、実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマーを提供する。他の更なる実施形態は、本明細書で報告する実質的にジアステレオマーとして純粋な化合物を含む実質的にジアステレオマーとして純粋な組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ホスホジエステル、ホスホロチオエート、及びホスホロジアミデートオリゴヌクレオチド結合を示す図である。
図2】ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)におけるR-及びS-リン酸結合を示す図である。図2は、ホスホロジアミデートオリゴマー前駆体のジアステレオマー混合物を使用してジヌクレオチド(2量体)、トリヌクレオチド(3量体)、テトラヌクレオチド(4量体)、及びN量体を合成するとき典型的に生じるジアステレオマーの急増も示す。
図3】ジアステレオマーとして純粋なホスホラミドクロリデートの使用とホスホラミドクロリデートのジアステレオマー混合物の使用の両方による、ジアステレオマーとして純粋なジヌクレオチドの調製を示す図である。
図4A-4B】ジアステレオマーとして純粋な又は実質的にジアステレオマーとして純粋なジアステレオマーサブユニットの調製に有用であり得る、一般的なホスホラミドクロリデートのジアステレオマー混合物を示す図である。
図5】本明細書で報告するジアステレオマーとして純粋なホスホラミドクロリデートを使用したジアステレオマーとして純粋な(均質)オリゴヌクレオチドの調製を示す図である。
図6】16量体PMOの立体特異的合成及び生物物理学的アッセイによる立体異性体の識別に関するスキームを示す図である。
図7】以下で報告する16量体PMOの立体特異的合成及び生物物理学的アッセイによる立体異性体の識別を示す実施例の立体異性体1と2に関する融点を示す図である。
図8】以下で報告する結晶性化合物100のORTEPプロットを示す図である。
図9A-9B】以下で報告する化合物100の2フラグメントのORTEPプロットを示す図である。
【詳細な説明】
【0019】
本発明者らは、活性化モルホリノサブユニットの2つのジアステレオマーはそれらの物理的性質によって選別することができ、ジアステレオマーとして純粋な異性体の調製を可能にすることを発見している。これによって、制御された反応条件下での立体化学的に純粋な又は実質的に立体化学的に純粋なPMOの調製が可能であり、次いでこれを使用して所望の立体化学的性質を有するオリゴヌクレオチドを選択的に調製することができる。
【0020】
幾つかの実施形態は、前に開示した化合物のジアステレオマー混合物を、立体化学的に純粋な又は実質的に立体化学的に純粋な化合物に分離するための方法を更に提供することができる。分離後、本来ジアステレオマー混合物由来の純粋なジアステレオマーを使用して、立体特異的カップリング反応によりジアステレオマーとして純粋な化合物を調製することができる。
【0021】
本明細書で言及するように調製したジアステレオマーとして純粋な化合物及び実質的にジアステレオマーとして純粋な化合物は、ジアステレオマーとして純粋なホスホロジアミデートオリゴヌクレオチドであり得る。これらのジアステレオマーとして純粋な及び実質的にジアステレオマーとして純粋なホスホロジアミデートオリゴヌクレオチドは多数の用途を有し得る。例えば、それらは医薬品として有用であり得る。それらは、ホスホロジアミデートオリゴヌクレオチドのジアステレオマーの不均質混合物(立体化学的にランダムな混合物)の性質より優れた可能性がある性質に関して選択することができる。例えば、それらは効能、有効性、安定性、安全性、及び特異性の違いに関して選択することができる。ジアステレオマーとして純粋な及び実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマーは、立体化学的に不均質なオリゴマー混合物の性質と異なる、物理的、化学的、及び生物学的性質を有し得る。
【0022】
「立体異性体」は、空間内の原子の配置のみが異なる異性体を指す。
【0023】
「ジアステレオマー」は、互いの鏡像ではない立体異性体を指す。
【0024】
「エナンチオマー」は、互いの非重複鏡像である立体異性体を指す。エナンチオマーは、実質的に一種のエナンチオマー、例えば90%、92%、95%、98%、又は99%以上、又は100%に等しい一種のエナンチオマーを含む「エナンチオマーとして純粋な」異性体を含む。
【0025】
「活性化モノマー」は、これらに限定されないが、アミン及びアルコールを含む求核剤との置換反応を経る、これらに限定されないが、塩化物及びハロゲン化物離脱基を含む離脱基を有する反応性リン酸を伴う5’-O-リン酸化モルホリノサブユニットを指す。
【0026】
異性体を記載する用語としての「R」及び「S」は、これらに限定されないが、炭素、硫黄、リン酸及びアンモニウムの窒素を含む非対称に置換された原子における立体化学的形状の記述子である。「R」又は「S」としての非対称に置換された原子の指定は、カーン-インゴルド-プレローグ順位則の適用によって、当業者によく知られているように、及び国際純正応用化学連合(IUPAC)のRules for the Nomenclature of Organic Chemistry.Section E、Stereochemistry中に記載されたように行われる。
【0027】
化学分野の当業者によく知られているように、それが偏光光線面を回転する方向によってエナンチオマーを特徴付けすることができる。(光が移動している方向に対してその観察者が見て)それが光線面を時計回りに回転する場合、そのエナンチオマーは(+)で表記し右旋性と表示する。その鏡像は偏光光線面を反時計方向に回転し、(-)又は左旋性と表記する。旋光度と呼ばれるエナンチオマーとして純粋な化合物による偏光光線面の回転方向は、偏光計として知られる標準デバイスで容易に測定することができる。
【0028】
「ラセミ」は、個々のエナンチオマーの均一部分を含有する混合物を指す。
【0029】
「非ラセミ」は、個々のエナンチオマーの不均一部分を含有する混合物を指す。非ラセミ混合物は、約50/50、約60/40、及び約70/30のR-/S-エナンチオマー、又はS-/R-エナンチオマー混合物を非制限的に含む、R-又はS-形状に拡充することができる。
【0030】
「実質的に立体化学的に純粋な」及び「実質的な立体化学的純度」は、それぞれ80%以上エナンチオマー過剰又はジアステレオマー過剰である、エナンチオマー又はジアステレオマーを指す。幾つかの実施形態では、「実質的に立体化学的に純粋な」及び「実質的な立体化学的純度」は、それぞれ87%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上エナンチオマー過剰又はジアステレオマー過剰である、エナンチオマー又はジアステレオマーを指す。「実質的にジアステレオマーとして純粋」は、87%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上ジアステレオマー過剰であるジアステレオマーを指す。
【0031】
エナンチオマーの「エナンチオマー過剰率」(ee)は、[(主エナンチオマーのモル分率)マイナス(副エナンチオマーのモル分率)]×100である。2つのジアステレオマーの混合物におけるジアステレオマーのジアステレオマー過剰率(de)は同様に定義される。
【0032】
本明細書で使用する「薬学的に許容される塩」は、本開示における化合物の酸付加塩又は塩基付加塩を指す。薬学的に許容される塩は、親化合物の活性を保持し、それを投与する対象及び状況においていかなる過度に有害又は望ましくない影響も与えない任意の塩である。薬学的に許容される塩は、これらに限定されないが、金属錯体及び無機酸とカルボン酸両方の塩を含む。薬学的に許容される塩は、アルミニウム、カルシウム、鉄、マグネシウム、マンガン等の金属塩、及び錯体塩も含む。更に薬学的に許容される塩は、これらに限定されないが、例えば、酢酸、アスパラギン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アクセチル(axetil)酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重炭酸、重硫酸、重酒石酸、酪酸、エデト酸カルシウム、カンシル酸、炭酸、クロロ安息香酸、クエン酸、エデト酸、エジシル酸、エストール酸、エシル酸、エシリル(esylic)酸、蟻酸、フマル酸、グルセプト酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリコリルアルサニル酸、ヘキサミン酸、ヘキシルレゾルシン酸、ヒドラバミン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、ヒドロキシナフトール酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、硝酸メチル、スルホン酸メチル、粘液酸、ムコン酸、ナプシル酸、硝酸、シュウ酸、pニトロメタンスルホン酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、リン酸一水素、リン酸二水素、フタル酸、ポリガラクツロン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファミン酸、スルファニル酸、スルホン酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸、テオクル酸、トルエンスルホン酸等の酸の塩を含む。
【0033】
治療剤の組合せ(例えば、化合物1とCDK4/6阻害剤)の「有効量」は、対象又は患者において未処置状態のHCC又はIHCCと比較して観察可能な治療効果をもたらすのに充分な量である。
【0034】
本明細書で報告する活性剤を薬学的に許容される担体と組み合わせて、その医薬品製剤を提供することができる。担体及び製剤の詳細な選択は、組成物が目的とする詳細な投与経路に依存する。
【0035】
本明細書で使用する「薬学的に許容される担体」は、製剤化する化合物の薬理学的活性を損ねない、無毒な担体、アジュバント、又は賦形剤を指す。本発明の組成物において使用することができる、薬学的に許容される担体、アジュバント又は賦形剤は、これらに限定されないが、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の不完全グリセリド混合物、水、塩又は電解質、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイダルシリカ、マグネシウムトリシリケート、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレングリコール及び羊毛脂を含む。
【0036】
本発明の組成物は、非経口、経口、噴霧吸入、局所、直腸、鼻腔、口腔、膣又は埋め込み型タンク投与等に適している可能性がある。幾つかの実施形態では、製剤は天然又は非天然源由来の成分を含む。幾つかの実施形態では、製剤又は担体は滅菌型で提供することができる。滅菌担体の非制限的な例は、エンドトキシン除去水又は発熱物質除去水を含む。
【0037】
本明細書で使用する「非経口」は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、クモ膜下、肝臓内、病巣内及び頭蓋内注射又は注入技法を含む。詳細な実施形態では、化合物を静脈内、経口、皮下、又は筋肉内投与によって投与する。本発明の滅菌注射型組成物は水性又は油性懸濁液であってもよい。これらの懸濁液は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して、当技術分野で知られている方法に従い製剤化することができる。滅菌注射用調製物は、無毒な非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用溶液又は懸濁液であってもよい。利用することができる許容可能な賦形剤及び溶媒の中には水、リンガー溶液、及び等張塩化ナトリウム溶液がある。更に、滅菌、固定油が溶媒又は懸濁媒体として従来から利用されている。
【0038】
本発明の幾つかの実施形態は、立体化学的に純粋な異性体又は実質的に立体化学的に純粋な異性体の調製、次にジアステレオマーとして純粋なホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)を立体特異的に調製するためのその純粋な異性体の使用を提供する。調製は、ホスホラミドクロリデートヌクレオチドのジアステレオマー混合物の分離による調製であってもよい。分離は、例えばクロマトグラフィー、例えば高速液体クロマトグラフィー又は「HPLC」によって行うことができる。分離は結晶化によって実施することもできる。
【0039】
分離モノマーは「活性」モノマーと呼ぶことができる。「活性」によって、モノマーが、これらに限定されないが、アミン、アルコール/アルコキシド、チオール/チオレート、アルキルリチウム、及びグリニャール試薬を含む求核剤に対して反応性があるホスホラミドクロリデート部分を含むことを意味する。
【0040】
I.ジアステレオマー異性体の調製
一実施形態では、立体化学的に純粋な又は実質的に立体化学的に純粋な活性化モノマーを、モノマーのジアステレオマー混合物の分離によって調製することができる。物理的性質を使用して立体異性体の識別を可能にする方法によって、分離を実施することができる。例えば、クロマトグラフィー又は結晶化によって分離を実施することができる。適切なタイプのクロマトグラフィーは、これらに限定されないが、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、擬似移動床式クロマトグラフィー、向流クロマトグラフィー、及び他のタイプの分離クロマトグラフィーを含む。例えば、ジアステレオマー混合物をHPLCに施して、高速移動分画及び低速移動分画を溶出することができる。これらの分画のそれぞれは、異なる立体化学的に純粋な又は実質的に立体化学的に純粋な量のモノマーである。以下に記載するように、これらのモノマーを使用して、制御反応条件を使用した立体特異的カップリングにより、望ましい立体化学的性質を有するオリゴマーを調製することができる。
【0041】
本発明者らは、分離後、立体化学的に純粋な活性化モノマーが、更なる化学反応中で使用するのに充分な安定性を有することを更に測定している。更に本発明者らは、立体化学的に純粋な活性化モノマーは立体特異的化学反応を経る可能性があることを測定している。従って、以下でより詳細に論じるように、これらの立体化学的に純粋な活性化モノマーを立体特異的カップリング反応に使用して、立体化学的に純粋な産物を調製することができる。
【0042】
前に記したように、幾つかの実施形態は、表1の立体化学的に純粋な又は実質的に立体化学的に純粋な化合物のうちの1つ又は複数を提供することができ、これらの化合物は、立体異性体において異なる物理的性質を利用することにより調製することができる。更なる実施形態は、表1の化合物のエナンチオマーを提供することもできる。典型的に、これらのエナンチオマーの立体化学的性質は、モルホリノ環の立体化学的性質の変化によって表1の化合物のそれとは異なる。
【0043】
【表2】

【0044】
式中、Rは、任意選択で置換されたトリフェニルメチル(「トリチル」とも呼ばれる)、任意選択で置換されたベンジル、又はスルホニルであり、R、R、及びRは-C(O)R又は-C(O)ORであってもよく、式中、Rはメチル、エチル、又はフェニルであり、Rはベンジル又は2,2,2-トリクロロエチルである。Rは、任意選択で置換されたアルキル、シアノエチル(保護基としての使用に関しては、例えば米国特許出願公開第2013/0197220号を参照)、アシル、スルホニル、アセタール/ケタール、カルボネート、カルバメート、任意選択で置換されたベンジル、4-ピバロイルオキシベンジル、又はシリルであってもよい。
【0045】
幾つかの実施形態では、任意選択で置換されたベンジルは4-メトキシベンジル(PMB、MPM)である。幾つかの実施形態では、スルホニルは切断型スルホニルである。幾つかの実施形態では、スルホニルは2-ニトロベンゼンスルホニル、4-ニトロベンゼンスルホニル、又は2,4-ジニトロベンゼンスルホニルである。
【0046】
とRは、同一であっても異なってもよく、-H、任意選択で置換されたC~Cアルキル、任意選択で置換されたフェニル、任意選択で置換されたナフチルであってもよく、又はそれらが結合している窒素と共に、例えば、ピロリジン、ピペラジン、又はモルホリンであってもよい任意選択で置換された複素環を形成してもよい。
【0047】
任意選択で置換された部分は、メチル、エチル、ハロゲン、ニトロ、又はシアノのうちの1つ又は複数で置換されていてもよい。
【0048】
は、これに限定されないが、MMTr(p-メトキシフェニルジフェニルメチル)等を含む置換トリチルであってもよいトリチル(Tr)、ベンジル、4-メトキシベンジル(PMB、MPM)、3,4-ジメトキシベンジル、ジフェニルメチル(Dpm)であってもよい。
【0049】
、R、及びRは、-H、-C(O)R、又は-C(O)ORであってもよく、式中、Rは、アルキル(メチル、エチル、イソプロピル、又は他のC~Cアルキル)又はアリール(これらに限定されないが、フェニル、4-メトキシフェニル、4-ブロモフェニル、及び4-ニトロフェニルを含む)である。
【0050】
II.立体特異的カップリング
分離技術を使用して実質的に立体化学的に純粋な量の活性化モノマーを調製できるかどうかの判定以外に、本発明者らは、幾つかの反応条件下で、これらの活性化モノマーを使用して、立体化学的に純粋なジヌクレオチド、立体化学的に純粋なトリヌクレオチド、及び更に大きな立体化学的に純粋なオリゴマーを調製するための立体特異的カップリングを実施できるかどうか判定した。本明細書で報告する方法の使用によって、新たに形成されるPMO結合のキラルを、オリゴマー形成のために使用する立体化学的に純粋な活性化モノマーにより特異的にコードすることができる。
【0051】
立体特異的カップリングの典型的反応条件は非プロトン性溶媒における反応を含む。これらの溶媒は、これらに限定されないが、例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、1,3-ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリジノン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジクロロメタン(DCM)、1,2-ジクロロエタン(DCE)、クロロホルム、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、2-メチルテトラヒドロフラン、及び酢酸イソプロピルであってもよい。カップリング反応は、非求核性第3級アミン塩基及び芳香族塩基の存在下で実施することができる。適切な塩基は、これらに限定されないが、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、2,6-ルチジン、トリメチルピリジン(コリジン)、及びN-エチルモルホリンを含む。反応温度は室温(約20℃)~50℃の範囲であってもよい。幾つかの場合、超音波処理を施して基質(複数可)の溶解を助長することができる。
【0052】
立体特異的カップリングの実現可能性を実証するため、多数の実質的に立体化学的に純粋なPMOジヌクレオチドを、高速及び低速溶出する実質的に立体化学的に純粋な活性モノマー(ホスホロアミドクロリデート)の立体特異的PMOカップリングによって調製した。以下の表2は、これらの実質的に立体化学的に純粋なPMOジヌクレオチドのHPLC保持プロファイルを要約する。この表は、表の左に挙げた5’末端モノマーの組合せから調製したジヌクレオチドに関する保持時間と、上部に挙げた3’末端モノマーの高速溶出と低速溶出両方の異性体の保持時間を比較する。この表は、実質的に立体化学的に純粋な活性モノマーの立体特異的カップリングによって、異なる物理的性質を有する異なるジアステレオマーとして純粋なジヌクレオチドが生じることを実証する。
【0053】
【表3】
【0054】
表2の実質的に立体化学的に純粋なPMOジヌクレオチドのプロファイリングに関する分析HPLC条件を以下に報告する:
【0055】
【表4】
【実施例0056】
III.活性化モノマーのジアステレオマー分離の実施例
以下の実施例は、本明細書中に表す特定実施形態による活性化モノマーのジアステレオマー分離を示す。
【0057】
A.U-モノマー
【化1】
【0058】
活性化Uモノマーに関する分析HPLC条件:
【0059】
【表5】
【0060】
活性化Uモノマーに関する分取HPLC条件:
Chiralpak IC、21×250mm、5μ;溶出カラム、酢酸エチルを用いて11ml/分、室温、260nm検出。
【0061】
[Uに関するH-NMRデータ]
H NMR(400MHz,CDCl)δ8.18(br,1H)、7.45(m,6H)、7.15-7.32(m,10H)、6.12(dd,1H,J=2.0&9.6Hz)、5.62(d,1H,J=8.0Hz)、4.39(m,1H)、4.11(m,2H)、3.39(d,1H,J=11Hz)、3.15(d,1H,J=11Hz)、2.65(s,3H)、2.62(s,3H)、1.49(t,1H,J=11Hz)、1.39(t,1H,J=11Hz)
【0062】
[Uに関するH-NMRデータ]
H NMR(400MHz,CDCl)δ8.07(br,1H)、7.44(m,6H)、7.14-7.34(m,10H)、6.12(dd,1H,J=2&9Hz)、5.61(d,1H,8.0Hz)、4.39(m,1H)、4.08(m,2H)、3.39(d,1H,J=12Hz)、3.15(d,1H,J=12Hz)、2.66(s,3H)、2.62(s,3H)、1.46(t,1H,J=11Hz)、1.38(t,1H,J=11Hz)、
【0063】
B.A-モノマー
【化2】
【0064】
活性化Aモノマーに関する分析HPLC条件:
【0065】
【表6】
【0066】
活性化Aモノマーに関する分取HPLC条件:
Chiralpak IC、21×250mm、5μ;100%酢酸エチルを用いて15ml/分で溶出、室温、uv260nm検出。
【0067】
[Aに関するH-NMRデータ]
H NMR(400MHz,CDCl)δ9.01(br,1H)、8.79(s,1H)、8.00(m,3H)、7.58(m,1H)、7.4-7.6(m,8H)、7.2-7.4(m,10H)、6.42(d,1H,J=8.4Hz)、4.51(m,1H)、4.12(m,3H)、3.54(d,1H,J=12Hz)、3.25(d,1H,J=12Hz)、2.62(s,3H)、2.59(s,3H)、1.81(t,1H,J=11Hz)、1.62(t,1H,J=11Hz)
【0068】
[Aに関するH-NMRデータ]
H NMR(400MHz,CDCl)δ9.04(br,1H)、8.79(s,1H)、8.00(m,3H)、7.56(m,1H)、7.4-7.6(m,8H)、7.2-7.4(m,10H)、6.41(d,1H,J=8.4Hz)、4.51(m,1H)、4.12(m,3H)、3.54(d,1H,J=12Hz)、3.25(d,1H,J=12Hz)、2.64(s,3H)、2.61(s,3H)、1.82(t,1H,J=11Hz)、1.63(t,1H,J=11Hz)
【0069】
C.C-モノマー
【化3】
【0070】
活性化Cモノマーに関する分析HPLC条件:
【0071】
【表7】
【0072】
活性化Cモノマーに関する分取HPLC条件:
Chiralpak IC、75%酢酸エチル及び25%n-ヘプタンを用いて15ml/分で溶出。室温及びuv260nm検出。
【0073】
[Cに関するH-NMRデータ]
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.66(d,1H,J=7.8Hz)、7.43(m,6H)、7.33(d,1H,J=7.4Hz)、7.15-7.32(m,9H)、6.18(dd,1H,J=2.2&9.2Hz)、4.42(m,1H)、4.08-4.16(m,2H)、3.54(d,1H,J=11Hz)、3.14(d,1H,J=12Hz)、2.64(s,3H)、2.60(s,3H)、2.23(s,3H)、1.51(t,1H,J=11Hz)、1.25(m,1H)。
【0074】
[Cに関するH-NMRデータ]
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.64(d,1H,J=7.8Hz)、7.43(m,6H)、7.32(d,1H,J=7.4Hz)、7.15-7.32(m,9H)、6.19(dd,1H,J=2.1&9.2Hz)、4.41(m,1H)、4.06-4.15(m,2H)、3.54(d,1H,J=11Hz)、3.15(d,1H,J=12Hz)、2.64(s,3H)、2.61(s,3H)、2.22(s,3H)、1.49(t,1H,J=11Hz)、1.25(m,1H)
【0075】
D.G-モノマー(グアニン、モノ保護型)
【化4】
【0076】
活性化Gモノマーに関する分析HPLC条件:
【0077】
【表8】
【0078】
活性化Gモノマーに関する分取HPLC条件:
Chiralpak IC、100%酢酸エチルを用いて15ml/分で溶出。室温及びuv260nm検出。
【0079】
E.T-モノマー
【化5】
【0080】
活性化Tモノマーに関する分析HPLC条件:
【0081】
【表9】
【0082】
活性化Tモノマーに関する分取HPLC条件:
Chiralpak IC、50×500mm、20u。酢酸エチルを用いて60ml/分で溶出。室温、260nm検出。保持時間は25分と40分である。
【0083】
[T1に関するH-NMRデータ]
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.4-7.5(m,5H)、7.26-7.33(m,6H)、7.16-7.22(m,3H)、7.04(d,1H,J=1Hz)、6.12(dd,1H,J=2&10Hz)、4.39(m,1H)、4.12(m,2H)、3.37(d,1H,J=12Hz)、3.15(d,1H,J=12Hz)、2.66(s,3H)、2.63(s,3H)、1.83(d,1H,J=1Hz)、1.49(t,1H,J=11Hz)、1.41(t,1H,J=11Hz))
【0084】
[T2に関するH-NMRデータ]
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.4-7.5(m,6H)、7.24-7.35(m,6H)、7.14-7.22(m,3H)、7.03(s,1H)、6.12(dd,1H,J=2&10Hz)、4.39(m,1H)、4.09(m,2H)、3.37(d,1H,J=11Hz)、3.15(d,1H,J=11Hz)、2.66(s,3H)、2.62(s,3H)、1.82(s,3H)、1.48(t,1H,J=11Hz)、1.40(t,1H,J=11Hz)
【0085】
F.C-モノマー(NBz)
【化6】
【0086】
活性化Cモノマー(NBz)に関する分析HPLC条件:
【0087】
【表10】
【0088】
活性化Cモノマー(NBz)に関する分取HPLC条件:
Chiralpak IB、20×250mm、5u。100%アセトニトリルを用いて9ml/分で溶出。室温及びuv260nm検出。保持時間は13分と16分である。
【0089】
G.G-モノマー(グアニン、二重保護型)
【化7】
【0090】
活性化Gモノマー(グアニン、二重保護型)に関する分析HPLC条件:
【0091】
【表11】
【0092】
活性化Gモノマー(グアニン、二重保護型)に関する分取HPLC条件:
Chiralpak IA、50×500mm、100%酢酸エチルを用いて60ml/分で溶出。室温及びuv260nm検出。保持時間は20分と24分である。
【0093】
[G(グアニン、二重保護型)に関するH-NMRデータ]
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.76(s,2H)、7.50(d,2H,J=9Hz)、7.4-7.5(m,6H)、7.26-7.32(m,6H)、7.16-7.22(m,3H)、7.02(d,2H,J=9Hz)、6.24(dd,1H,J=2&10Hz)、5.61(d,1H,J=12Hz)、5.56(d,1H,J=12Hz)、4.48(m,1H)、4.1(m,2H)、3.47(d,1H,J=11Hz)、3.23(d,1H,J=12Hz)、3.2(m,1H)、2.62(s,3H)、2.59(s,3H)、1.75(t,1H,J=11Hz)、1.57(t,1H,J=12Hz)、1.33(s,9H)、1.33(t,6H,J=7Hz)
【0094】
[G(グアニン、二重保護型)に関するH-NMRデータ]
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.78(s,1H)、7.77(s,1H)、7.50(d,2H,J=9Hz)、7.4-7.5(m,6H)、7.26-7.33(m,6H)、7.15-7.22(m,3H)、7.02(d,2H,J=9Hz)、6.23(dd,1H,J=2&10Hz)、5.61(d,1H,J=12Hz)、5.56(d,1H,J=12Hz)、4.47(m,1H)、4.1(m,2H)、3.47(d,1H,J=11Hz)、3.22(d,1H,J=12Hz)、3.2(m,1H)、2.64(s,3H)、2.60(s,3H)、1.75(t,1H,J=11Hz)、1.58(t,1H,J=11Hz)、1.33(s,9H)、1.33(t,6H,J=7Hz)
【0095】
IV.ジアステレオマーとして純粋な活性化モノマーとの立体特異的PMOカップリングの実施例
以下の実施例は、立体化学的に均質な産物を調製するための立体特異的カップリングの使用を報告する。
【0096】
A.活性化U-モノマー(U及びU)+U-モルホリン-NH(1)
【化8】
【0097】
(11mg、0.018mmol、1当量、99.0%de)をアセトニトリル(0.11ml)に溶解させ、ジイソプロピルエチルアミン(8μL、0.05mmol、2.5当量)と混合した。U-モルホリン-NH(1;14mg、0.030mmol、1.6当量)を添加し、超音波処理を施して溶解を補助した。0.5時間撹拌した後、反応混合物の少量アリコートをCDClで希釈し、HNMRによって分析した。反応混合物の残り全てをHPLC分析用にアセトニトリル(8ml)で希釈し、フリーザー中に維持した。2の立体特異的形成はHPLC分析によって確認した(99.4%de)。前述のプロトコールはUのカップリングにも利用して(95.6%de)、3を立体特異的に得た(96.0%de)。
【0098】
U/U-カップリングに関する分析HPLC条件:
【0099】
【表12】
【0100】
[2に関するH-NMRデータ]
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.6(m,4H)、7.2-7.5(m,20H)、7.1-7.2(m,3H)、6.15(d,1H,J=8.0Hz)、5.73(d,1H,J=8.0Hz)、5.66(d,1H,J=8.0Hz)、5.54(d,1H,J=8.0Hz)、4.40(m,1H)、3.93(m,2H)、3.81(m,1H)、3.70(m,2H)、3.41(m,2H)、3.40(m,3H)、3.11(d,1H,J=12Hz)、2.78(m,1H)、2.56(s,3H;NMe)、2.54(s,3H;NMe)、2.48(m,1H)、1.47(t,1H,J=11Hz)、1.35(t,1H,J=11Hz)、1.04(s,9H)
【0101】
[3に関するH-NMRデータ]
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.6(m,4H)、7.3-7.5(m,11H)、7.2-7.3(m,9H)、7.1(m,3H)、6.12(dd,1H,J=2.0&9.6Hz)、5.71(d,1H,J=8.4Hz)、5.70(d,1H,J=8.0Hz)、5.47(dd,1H,J=2.0&10.4Hz)、4.31(m,1H)、3.97(m,1H)、3.85(m,1H)、3.73(m,2H)、3.65(m,1H)、3.31(m,2H)、3.24(m,1H)、3.07(d,1H,J=12Hz)、2.68(m,1H)、2.65(s,3H;NMe)、2.62(s,3H;NMe)、2.26(m,1H)、1.45(t,1H,J=12Hz)、1.29(t,1H,J=11Hz)、1.04(s,9H)
【0102】
B.活性化C-モノマー(C及びC)+C-モルホリン-NH(4)
【化9】
【0103】
(20mg、0.031mmol、1当量、93.5%de)をTHF(0.40ml)に溶解/懸濁させ、ジイソプロピルエチルアミン(12μL、0.069mmol、2.3当量)と混合した。THF(0.20ml)に溶解させたモルホリノ-シトシン(4;16mg、0.035mmol、1.1当量)を添加した。1.0~2.0時間撹拌した後、反応混合物の少量アリコートをアセトニトリルで希釈しLC/MSによって分析した。反応混合物のアリコート(30~50μL)をHPLC分析用にジクロロメタン(0.6ml)で希釈した。6の立体特異的形成はHPLC分析によって確認した(94.3%de)。反応混合物はシリカゲルカラムに直接充填し、酢酸エチル中0~15%メタノールの勾配移動相で溶出した。前述のプロトコールをCのC/Cカップリングにも利用して(90.2%de)、5を立体特異的に得た(90.0%de)。
【0104】
C/C-カップリングに関する分析HPLC条件:
【0105】
【表13】
【0106】
[5に関するH-NMRデータ]
H NMR(400MHz,CDCl)δ10.9(br,1H)、7.69(d,1H,J=7.4Hz)、7.62(m,5H)、7.35-7.44(m,13H)、7.21-7.35(m,6H)、7.15(m,4H)、6.14(br d,1H,J=7.8Hz)、5.58(dd,1H,J=2.4&9.4Hz)、5.53(br,1H)、4.51(dd,1H,J=8.6&10Hz)、4.09(m,1H)、3.70-3.80(m,4H)、3.60(dd,1H,J=6.3&10Hz)、3.56(d,1H,J=11Hz)、3.28(m,1H)、2.96(d,1H,J=11Hz)、2.69(s,3H;NMe)、2.67(s,3H;NMe)、2.65(m,1H)、2.25(m,1H)、2.07(s,3H)、1.31(t,1H,J=11Hz)、1.13(t,1H,J=11Hz)、1.04(s,9H)。
【0107】
[6に関するH-NMRデータ]
H NMR(400MHz,CDCl)δ9.57(br,1H)、7.62-7.70(m,7H)、7.35-7.50(m,14H)、7.23-7.35(m,4H)、7.12(m,4H)、6.31(m,1H)、5.79(m,1H)、5.70(m,1H)、4.61(m,1H)、4.03(m,1H)、3.80-3.90(m,2H)、3.72(m,2H)、3.58(m,1H)、3.48(m,1H)、3.09(m,1H)、2.75(m,1H)、2.58(s,3H;NMe)、2.55(s,3H;NMe)、2.53(m,1H)、2.38(m,1H)、2.21(s,3H)、1.47(t,1H,J=10Hz)、1.22(t,1H,J=10Hz)、1.06(s,9H)。
【0108】
C.活性化A-モノマー(A及びA)+U-モルホリン-NH(1)
【化10】
【0109】
(5.9mg、0.008mmol)をアセトニトリル(118μL)に懸濁させた。ジイソプロピルエチルアミン(5μL、0.03mmol)、次にモルホリノ-ウラシル(1;4.6mg、0.01mmol)を添加した。超音波処理を1分間施し、生成した均質混合物は周囲温度で撹拌した。一晩撹拌した後、その混合物(濃密な白いペースト)をアセトニトリル(5.0ml)とメタノール(0.30ml)の混合物で希釈し均質で透明な溶液を得た。少量アリコートを、更なる希釈無しでHPLCによって直接分析した。
【0110】
(F2;5.0mg、0.007mmol)をアセトニトリル(100μL)に懸濁させた。ジイソプロピルエチルアミン(4μL、0.02mmol)、次にモルホリノ-ウラシル(4.1mg、0.009mmol)を加えた。超音波処理を1分間施し、生成した濃密懸濁液は周囲温度で撹拌した。一晩撹拌した後、アセトニトリル(5.0ml)を加え、超音波処理を施して均質で透明な溶液を得た。少量アリコートを、更なる希釈無しでHPLCによって直接分析した。
【0111】
U/A-カップリングに関する分析HPLC条件:
【0112】
【表14】
【0113】
D.活性化G-モノマー(G及びG)+U-モルホリン-NH(1)
【化11】
【0114】
(6.5mg、0.009mmol、1当量、99.9%de)をTHF(0.13ml)に溶解/懸濁し、ジイソプロピルエチルアミン(3.6μL、0.02mmol、2.2当量)と混合した。THF(0.07mL)に溶解したモルホリノ-ウラシル(1;4.7mg、0.010mmol、1.1当量)を加えた。1.0~2.0時間撹拌した後、反応混合物の少量アリコートをアセトニトリルで希釈しLC/MSによって分析した。反応混合物のアリコート(100μL)をHPLC分析用にジクロロメタン(0.4ml)で希釈した。9の立体特異的形成はHPLC分析によって確認した(99.9%de)。
【0115】
U/G-カップリングに関する分析HPLC条件:
【0116】
【表15】
【0117】
前に報告したジアステレオマーとして実質的に純粋な化合物を使用して、立体化学的に純粋なオリゴヌクレオチド及び他の化合物を調製することができる。考えられるオリゴヌクレオチドの例は、例えばSummerton,J(1999).「Morpholino Antisense Oligomers:The Case for an RNase-H Independent Structural Type.」Biochimica et Biophysica Acta1489(1):141~58中、及びSummerton,J;Weller D.(1997).「Morpholino Antisense Oligomers:Design、Preparation and Properties」.Antisense and Nucleic Acid Drug Development7(3):187~95中で見られる。これらの文献の両方が参照により本明細書に組み込まれている。
【0118】
V.16量体PMOの立体特異的合成及び生物物理学的アッセイによる立体異性体の識別の実施例
この実施例は、活性化モノマーを使用した立体特異的カップリングによる、一対の立体化学的に純粋な16量体PMOを標的化した合成を報告する。これらのPMOはそれらのリン酸結合に関して対向した立体化学的配置を有する。
標的配列:
【化12】

立体化学的に純粋な活性モノマー(構成単位):
【化13】
【0119】
【表16】
【0120】
16量体PMOの立体特異的合成及び生物物理学的アッセイによる立体異性体の識別に関するスキームを図6中に示す。16量体PMOの立体異性体1及び立体異性体2は、(開始時樹脂重量)50mgスケールで、アミノメチルポリスチレン-ジスルフィド樹脂における固相合成(約300μmol/g充填、参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第20090131624A1号参照)により手作業で調製した。
【0121】
固相合成用ストック溶液:
【0122】
【表17】
【0123】
各PMOカップリングに関する作業サイクル:
【0124】
【表18】
【0125】
樹脂からの切り離し及び脱保護:
(脱トリチル化後の)樹脂結合16量体に1:3(v/v)の28%アンモニア水/エタノール(約5ml)を加えた。混合物は密封し45℃で20時間加熱した。室温まで冷却した後、混合物を濾過しメタノールで洗浄した。濾過物を濃縮し、15mMトリエチルアンモニウム(TEAA)バッファーpH7.0でダイアフィルトレーション処理した。使用した装置は、Ultracel 1kDa UF膜を備えるAmicon Stirred Cell(50mL)であった。元溶媒が1%元濃度に低減するまで(約5サイクル)試料を希釈/濃縮によってダイアフィルトレーション処理し、次いで逆相分取HPLC精製を施した。
【0126】
PMO精製のための逆相分取HPLC法:
【0127】
【表19】
【0128】
PMOの品質アセスメントのためのLC/MS法:
【0129】
【表20】
【0130】
融解温度(Tm)測定に関する物質及び条件
【0131】
【表21】
【0132】
立体化学的に異なるPMOと相補的RNAの複合体の加熱融解特徴に関する要約:
【表22】
【0133】
立体異性体1及び2に関する融点を図7中に示す。異なる融点に基づき、別々の量の実質的に純粋な立体異性体が調製されたと結論付けることができる。
【0134】
VI.立体化学的に純粋なPMOジヌクレオチド化合物100(5’-TA-3’)の立体特異的合成及び絶対的立体化学的配置の実施例
【化14】
【0135】
低速溶出活性Aモノマー(A;200mg、0.277mmol、1当量)をアセトニトリル(2.0ml)とDIPEA(0.12ml、0.69mmol、2.5当量)の混合物中に溶解させた。T-モルホリン-NH(1;146mg、0.305mmol、1.1当量)を次いで加え、透明な溶液を得るまで、生成した懸濁液を数分間超音波処理した。反応混合物は一晩室温で撹拌した。LC/MSによりモニタリングして反応の終了時に、混合物を濃縮しカラムクロマトグラフィー(DCM中3%メタノール、Biotage SnapUltra 10gSiO)に施した。透明な産物の分画を組合せ、真空下で濃縮し白い固体として完全保護型の立体化学的に純粋な5’-TA-3’ジヌクレオチド2を得た(240mg、0.206mmol、74%収率)。
【化15】
【0136】
25mlフラスコ中の完全保護型ジヌクレオチド2(500mg、0.429mmol)に、2,2,2-トリフルオロエタノール(TFE;4.0ml)及び酢酸(1.0ml)を室温で加えた。生成した混合物は室温で撹拌しLC/MSによりモニタリングした。30分後、飽和水性NaHCO及びDCMで反応を消失させた。2層を分離し水層を再度抽出した。全ての有機層を組合せ、半飽和塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し濃縮して白い泡沫として粗製産物を得た。この粗製産物をカラムクロマトグラフィー(アセトン中20%MeOH、Biotage Snap Ultra 25gSiOカートリッジ)により精製し、ガラス状の固体として一部保護型ジヌクレオチド3を得た(300mg、0.325mmol、76%収率)。
【0137】
一部保護型ジヌクレオチド3(250mg、0.271mmol)をメタノール(12.5ml)とTHF(12.5mL)の混合物中に溶解させ、室温において1MのNaOH(10.8ml)で処理した。22時間室温で撹拌した後(進行はLC/MSによりモニタリング)、混合物は1MのHCl(10.8mL)で中和しpH8に調節し、次いで真空下で乾燥状態に濃縮した。残渣は水(5mL)中に溶解させ、EtOAc(5mL)で洗浄した。水層は真空下で乾燥状態に濃縮し、白い固体として粗製産物を得た(480mg)。粗製産物はサイズ排除クロマトグラフィー(Sephadex(登録商標)LH-20、MeOH/水4:1)により精製し、白い固体として完全脱保護型ジヌクレオチド化合物100を得た(137mg、0.236mmol、87%収率)。
【0138】
化合物100の水溶液(200mg/ml)の一滴を純水と共に1日ウエル内に密封し単結晶を増大させた。単結晶のX線回折構造によってリン酸結合の絶対配置をSとして確認した。このX線回折構造は図8中にORTEPプロットで示す。別フラグメントのORTEPプロットは図9A及び図9B中に示す。X線回折データは以下で報告するように収集した。
【0139】
データ収集
化合物100の単結晶(C223310P)をグラスファイバー上に載せた。全ての測定は、グラファイト単色Cu-Kα放射線を使用して回折計で行った。
【0140】
範囲7.75<2θ<147.10°で36473の慎重に位置決めした反射の設定角を使用して最小二乗法による精密化から得たセル定数及び配向マトリックスは以下の寸法を有するC中心型単斜晶系セルに相当した:
a=33.3523(2)Å
b=13.80020(11)Å β=96.8075(6)°
c=14.19956(10)Å
V=6489.53(8)Å
【0141】
Z=4及び式重量=580.54に関して、計算した密度は0.594g/cmである。反射条件
hkl:h+k=2n
パッキング事項、強度分布の統計解析、及び構造の首尾よい解明と精密化に基づき、空間群は
C2(#5)
であると決定した。
【0142】
147.7°の最大2θ値までω-2θスキャン技法を使用して、23±1℃の温度でデータを回収した。データ収集前に行った数個の高反射のオメガスキャンは、0.00°のハーフハイト及び6.0°の取り出し角で平均幅を有していた。(0.00+0.00tanθ)°のスキャンは0.0°/分のスピード(ω単位)で行った。
【0143】
データ整理
50795の反射を回収し、この場合12008が固有であった(Rint=0.0453)。データを回収し、CrysAlisPro(Rigaku Oxford Diffraction)を使用して処理した。(CrysAlisPro:Data Collection and Processing Software、Rigaku Corporation(2015)。東京196-8666、日本)。減衰補正は施さなかった。
【0144】
Cu-Kα放射線に関する線形吸収係数、μは6.011cm-1である。実験的吸収補正を施し0.341~1.000の範囲の透過因子をもたらした。ローレンツ及び分極効果に関してデータを補正した。
【0145】
構造の解明と精密化
構造は直接法(SHELXTバージョン2014/5:Sheldrick、G.M.(2014).Acta Cryst.A70、C1437)によって解明し、フーリエ技法を使用して拡張した。非水素原子は異方的に精密化した。水素原子はライディングモデルを使用して精密化した。Fにおいて(最小二乗法による最小関数:(SHELXLバージョン2014/7);Σ(w(Fo-Fc、前式でw=加重最小二乗法)を使用した)完全行列最小二乗法による精密化の最終サイクルは12008の観察した反射及び849の変数パラメーターに基づき、以下の非加重及び加重一致因子で収束した(最大パラメーターシフトはそのesdの0.00倍であった):
R1=Σ||Fo|-|Fc||/Σ|Fo|=0.0522
wR2=[Σ(w(Fo-Fc)/Σw(Fo1/2=0.1632
【0146】
適合度は1.45であった。適合度は、[Σ(w(Fo2-Fc2)2/(N-N)]1/2、前式でN=観察の数及びN=変数の数として定義する。
【0147】
単位加重を使用した。最終差フーリエ図における最大及び最小ピークは、それぞれ1.79及び-0.69e/Åに相当した。最終Flackパラメーターは0.029(7)であり、その構造が反転双晶であることを示した(Parsons,S.及びFlack,H.(2004)、Acta Cryst.A60、s61;Flack,H.D.及びBernardinelli(2000)、J.Appl.Cryst.33、114~1148)。
【0148】
中性原子散乱因子を、International Tables for Crystallography(IT)、Vol.C、Table6.1.1.4.(International Tables for Crystallography、Vol.C(1992).A.J.C.Wilson編、Kluwer Academic Publishers、Dordrecht、Netherlands、Table6.1.1.4、572頁)から得た。異常分散効果はFcalc(Ibers,J.A.及びHamilton,W.C.;Acta Crystallogr.、17、781(1964))中に含まれており、Δf’及びΔf’’に関する値はCreagh and McAuleyの値であった。(Creagh,D.C.及びMcAuley,W.J.;「International Tables for Crystallography」、Vol C、(A.J.C.Wilson編)、Kluwer Academic Publishers、Boston、Table4.2.6.8、219~222頁(1992))。質量減衰係数に関する値はCreagh and Hubbellの値である。(Creagh,D.C.及びHubbell,J.H.;「International Tables for Crystallography」、Vol C、(A.J.C.Wilson編)、Kluwer Academic Publishers、Boston、Table4.2.4.3、200~206頁(1992))。SHELXLバージョン2014/7を使用して実施した精密化以外、全ての計算はCrystalStructure結晶解析用ソフトウエアパッケージを使用して実施した。(CrystalStructure4.2:Crystal Structure Analysis Package、Rigaku Corporation(2000~2015)。東京196-8666、日本;SHELXLバージョン2014/7:Sheldrick,G.M.(2008)。Acta Cryst.A64、112~122)。
【0149】
結晶データ、強度測定、及び構造の解明と精密化は以下に示した通りである:
A.結晶データ
実験式 C223310
式重量 580.54
結晶色、晶癖 nONE、nONE
結晶寸法 記載なし
結晶系 単斜晶系
格子タイプ C中心型
ユニットに使用した反射数
セル測定(2θ範囲) 36473(7.7~147.1°)
ハーフハイトでのオメガスキャンピーク幅 0.00°
格子パラメーター a=33.3523(2)Å
b=13.80020(11)Å
c=14.19956(10)Å
β=96.8075(6)°
V=6489.53(8)Å
空間群 C2(#5)
Z値 4
計算値 0.594g/cm
000 1224.00
μ(CuKα) 6.011cm-1
B.強度測定
回折計
放射線 Cu-Kα(λ=1.54187Å)グラファイト単色
取り出し角 2.8°
検出器の口径 2.0~2.5mm水平面
2.0mm垂直面
結晶から検出器の距離 21mm
温度 23.0℃
スキャンタイプ ω-2θ
スキャン率 0.0°/分(ω単位)(0スキャンまで)
スキャン幅 (0.00+0.00tanθ)°
2θmax 147.7°
測定した反射数 合計:50795
固有:12008(Rint=0.0453)
パーソンズ指数(Flack xパラメーター):4813
補正 ローレンツ分極
吸収補正(透過因子0.341~1.000)
C.構造の解明と精密化
構造の解明 直接法(SHELXTバージョン2014/5)
精密化 Fにおける完全行列最小二乗法
最小関数 Σw(Fo-Fc
加重最小二乗法 w=1/[σ(Fo)+(0.1000・P)+0.0000・P]、前式でP=(Max(Fo,0)+2Fc)/3
2θmaxカットオフ 147.7°
異常分散 全て非水素原子
観察数(全反射) 12008
変数の数 849
反射/パラメーター比 14.14
残差:R1(I>2.00σ(I)) 0.0522
残差:R(全反射) 0.0534
残差:wR2(全反射) 0.1632
適合度指標 1.450
Flackパラメーター (パーソンズ指数=4813) 0.029(7)
最終サイクル中の最大シフト/誤差 0.001
最終差フーリエ図における最大ピーク 1.79e/Å
最終差フーリエ図における最小ピーク -0.69e/Å
【0150】
[化合物100に関するH-NMRデータ]
H NMR(400MHz,DO)δ8.25(s,1H)、8.15(s,1H)、7.40(s,1H)、5.85(d,1H)、5.45(d,1H)、4.25(m,2H)、4.05(m,1H)、3.85(m,1H)、3.6(m,2H)、3.4(m,4H)、2.90(m,4H)、2.60(d,6H)、1.8(s,3H)。
【0151】
本出願中で言及した全ての文書は参照により本明細書に組み込まれている。組み込み文書と本文書の間に何らかの不一致があった場合、従って本文書が統制する。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
【配列表】
2023085402000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2023-04-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式20の化合物、式21の化合物、式22の化合物、式23の化合物、式24の化合物、式25の化合物、式26の化合物、式27の化合物、式28の化合物、式29の化合物、式30の化合物、及び式31の化合物からなる群から選択される、ホスホラミドクロリデートモルホリノモノマー
【表1】


[式中、 は、-、C ~Cアルキル、フェニル、及びナフチルからなる群から選択され、前記C ~C アルキル、フェニル、及びナフチルは、ハロゲン、ニトロ、シアノ、メチル及びエチルからなる群から独立に選択される1つ又は複数の置換基で任意選択で置換され、
は、-H、C ~C アルキル、フェニル、及びナフチルからなる群から選択され、前記C ~C アルキル、フェニル、及びナフチルは、ハロゲン、ニトロ、シアノ、メチル、及びエチルからなる群から独立に選択される1つ又は複数の置換基で任意選択で置換され、
は、これに限定されないが、MMTr(p-メトキシフェニルジフェニルメチル)等を含む置換トリチルであってもよいトリチル(Tr)、任意選択で置換されたベンジル、4-メトキシベンジル(PMB、MPM)、3,4-ジメトキシベンジル、ジフェニルメチル(Dpm)、4-メトキシベンジル、及びスルホニルからなる群から選択され、
、-H、-C(O)R、及び-C(O)ORからなる群から選択され、
は、-H、-C(O)R 、及び-C(O)OR からなる群から選択され、
は、-H、-C(O)R 、及び-C(O)OR からなる群から選択され、
は、C~Cアルキル、ベンジル、2,2,2-トリクロロエチル、又はアリールであり、前記アリールは、ハロゲン、ニトロ、及びメトキシからなる群から選択される置換基で任意選択で置換され、
、アルキル、ベンジル、-C(O)R 、-C(O)N(R 、-C(O)OR 、-S(O) フェニル、-Si(アルキル) 、及び-Si(アリール) からなる群から選択され、前記各アルキルは、シアノで任意選択で置換され、前記ベンジルのフェニル部分は、ピバロイルオキシで任意選択で置換され、前記-S(O) フェニルのフェニル部分は、1つ又は複数のニトロ置換基で任意選択で置換され、前記各アリールは、ハロゲン、ニトロ、及びメトキシからなる群から選択される置換基で任意選択で置換される]。
【請求項2】
(i)R が、-S(O) -(2-ニトロフェニル)、-S(O) -(4-ニトロフェニル)、又は-S(O) -(2,4-ジニトロフェニル)であるか、
(ii)R が、-S(O) -(2-ニトロフェニル)、-S(O) -(4-ニトロフェニル)、又は-S(O) -(2,4-ジニトロフェニル)であるか、
(iii)R が、-S(O) -(2-ニトロフェニル)、-S(O) -(4-ニトロフェニル)、又は-S(O) -(2,4-ジニトロフェニル)であり、かつR が、-S(O) -(2-ニトロフェニル)、-S(O) -(4-ニトロフェニル)、又は-S(O) -(2,4-ジニトロフェニル)である、請求項1に記載のホスホラミドクロリデートモルホリノモノマー。
【請求項3】
が、フェニル、4-メトキシフェニル、4-ブロモフェニル、又は4-ニトロフェニルである、請求項1に記載のホスホラミドクロリデートモルホリノモノマー。
【請求項4】
請求項1に記載のホスホラミドクロリデートモルホリノモノマー及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項5】
請求項2に記載のホスホラミドクロリデートモルホリノモノマー及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項6】
請求項3に記載のホスホラミドクロリデートモルホリノモノマー及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項7】
式20の化合物、式21の化合物、式22の化合物、式23の化合物、式24の化合物、式25の化合物、式26の化合物、式27の化合物、式28の化合物、式29の化合物、式30の化合物、及び式31の化合物からなる群から選択される、実質的にジアステレオマーとして純粋な化合物
【表2】


[式中、R とR は、同一であっても異なってもよく、-H、任意選択で置換されたC ~C アルキル、任意選択で置換されたフェニル、任意選択で置換されたナフチルからなる群から選択され、又はそれらが結合している窒素と共に、例えば、ピロリジン、ピペラジン、及びモルホリンであってもよい任意選択で置換された複素環を形成し、
は、これに限定されないが、MMTr(p-メトキシフェニルジフェニルメチル)等を含む置換トリチルであってもよいトリチル(Tr)、任意選択で置換されたベンジル、4-メトキシベンジル(PMB、MPM)、3,4-ジメトキシベンジル、ジフェニルメチル(Dpm)、4-メトキシベンジル、及びスルホニルからなる群から選択され、
、R 、及びR は、-H、-C(O)R 、及び-C(O)OR からなる群から選択され、式中、R は、C ~C アルキル、ベンジル、2,2,2-トリクロロエチル、又はアリールであり、
は、任意選択で置換されたアルキル、シアノエチル、アシル、カルボネート、カルバメート、任意選択で置換されたベンジル、4-ピバロイルオキシベンジル、及びシリルからなる群から選択される]
及びそのエナンチオマーを反応させるステップによって作製された実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマー。
【請求項8】
実質的に立体化学的に純粋な活性化モノマーを選択するステップ、及び選択した実質的に立体化学的に純粋な活性化モノマーから実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマーを合成するステップを含む方法によって作製された実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマー。
【請求項9】
前記オリゴマーが、キラルリン酸結合を含むオリゴヌクレオチドである、請求項8に記載の実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマー。
【請求項10】
実質的に立体化学的に純粋な活性化モノマーを選択するステップの前に、活性化モノマーのジアステレオマー混合物を2つの実質的に立体化学的に純粋なモノマーに分離するステップを更に含む方法によって作製された、請求項8に記載の実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマー。
【請求項11】
前記実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマーが、少なくとも90%ジアステレオマーとして純粋である、請求項8に記載の実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマー。
【請求項12】
前記実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマーが、少なくとも95%ジアステレオマーとして純粋である、請求項11に記載の実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマー。
【請求項13】
前記実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマーが、少なくとも99%ジアステレオマーとして純粋である、請求項12に記載の実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマー。
【請求項14】
前記実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマーが、100%ジアステレオマーとして純粋である、請求項13に記載の実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマー。
【請求項15】
請求項14のいずれか一項に記載の実質的にジアステレオマーとして純粋なオリゴマー、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
【外国語明細書】