(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085416
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】チューブミルおよびその運転方法
(51)【国際特許分類】
B02C 17/06 20060101AFI20230613BHJP
B02C 17/10 20060101ALI20230613BHJP
B02C 17/18 20060101ALI20230613BHJP
B02C 23/02 20060101ALI20230613BHJP
B02C 25/00 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
B02C17/06
B02C17/10
B02C17/18 Z
B02C23/02
B02C25/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2023059293
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】523118956
【氏名又は名称】霜出 潔
(72)【発明者】
【氏名】霜出 潔
(57)【要約】 (修正有)
【課題】粉砕効率の優れたチューブミルおよびその運転方法を提供する。
【解決手段】ミル缶体2を、新原料51の粗粉砕により粉砕粗粒53を製造するミル第一室3と、その粉砕粗粒53を微粉砕して粉砕微粒54を製造するミル第二室4と、ミル第一室3からの粉砕粗粒53をミル第二室4に移送する中間室5とで構成し、ミル第二室4で製造された粉砕微粒54をセパレータ6で分級操作して分離した分級微粉55を製品として回収し、分級粗粉56をミル缶体2に戻して再粉砕するように構成された乾式閉回路多室チューブミルにおいて、セパレータ6からの分級粗粉56をミル第一室3とミル第二室4に分配して戻すための分配器8を設け、その分配比率をミル第一室3の操業状態に応じて制御し、中間室5のミル缶体外周に分級粗粉56の全量、又は大部分を中間室5に導入するための自動開閉バルブ30を主たる構成要素とした分級粗粉戻し入れ装置10を設ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミル缶体を、粗粉砕により粉砕粗粒を製造するミル第一室と、その粉砕粗粒を微粉砕して粉砕微粒を製造するミル第二室と、ミル第一室からの粉砕粗粒をミル第二室に移送する中間室とで構成し、ミル第二室で製造された粉砕微粒をセパレータで分級操作して分離した分級微粉を製品として回収し、分級粗粉をミルに戻して再粉砕するように構成された乾式閉回路多室チューブミルにおいて、セパレータからの分級粗粉をミル一室側とミル二室側に分配して戻し入れする分配器を設け、中間室のミル缶体外周に分級粗粉の全量又は一部を中間室に導入する分級粗粉戻し入れ装置を設けたことを特徴とするチューブミル。
【請求項2】
上記、分級粗粉戻し入れ装置は、分級粗粉導入通路およびミル通風空気取り入れ口を備えたフードと、中間室のミル缶体に複数個所設けた分級粗粉導入穴と、その導入穴の位置に設けた自動開閉バルブとで構成される請求項1記載のチューブミル。
【請求項3】
上記、自動開閉バルブは、ミル缶体に固定されるバルブ収納箱と、バルブ収納箱に内蔵されるバルブ本体から構成され、バルブ本体はミルの回転によって生じる遠心力と重力のバランスによりバルブ収納箱内部をミル外周側、又はミル中心側に移動することによって、分級粗粉導入穴の開閉動作を自動で行うように構成される請求項1~2記載のチューブミル。
【請求項4】
ミル缶体を、粗粉砕により粉砕粗粒を製造するミル第一室と、その粉砕粗粒を微粉砕して粉砕微粒を製造するミル第二室と、ミル第一室からの粉砕粗粒をミル第二室に移送する中間室とで構成し、ミル第二室で製造された粉砕微粒をセパレータで分級操作して分離した分級微粉を製品として回収し、分級粗粉をミルに戻して再粉砕するように構成された乾式閉回路多室チューブミルにおいて、セパレータからの分級粗粉をミル第一室とミル第二室に分配して戻し入れすることを特徴とするチューブミルの運転方法。
【請求項5】
上記、分級粗粉のミルへの戻し入れは、ミル第一室側に0~50%、ミル第二室側に50~100%に制御することを特徴とする請求項4記載のチューブミルの運転方法。
【請求項6】
上記、分級粗粉のミル第一室側への戻し入れ比率を、ミル第一室の音響レベルを、或る設定した音域レベルに保つように制御することを特徴とする請求項4~5記載のチューブミルの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セパレータを備えた乾式閉回路を構成する多室チューブミルによる粉砕方法に係り、特にセパレータで分級された分級粗粉のチューブミルへの戻し入れ方法を改良したチューブミルおよびその運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術では、
図8に示すように、セメントクリンカーや鉱石などの固体材料(新原料)を粉砕するために用いられるチューブミル(78)はセパレータ(6)と組み合わされ閉回路を構成している。新原料(51)は先ずチューブミル上流側のミル第一室(3)に供給されて粗挽き(粗粉砕)され粉砕粗粒(53)となり、その粉砕粗粒(53)は中間室(5)を経てミル第一室(3)の下流側にあるミル第二室(4)へ移送される。ミル第二室(4)では粉砕粗粒(53)を更に細かく微粉砕して粉砕微粒(54)を製造する。この粉砕微粒(54)はセパレータ(6)へ移送されて分級作用を受け、分級微粉(55)と分級粗粉(56)に分離される。分級微粉(55)は製品として回収される。一方、分級粗粉(56)は新原料(51)とともにミル第一室(3)に供給され、再粉砕される。
【0003】
また、
図9に示す従来技術のチューブミル(79)では、セパレータ(6)で分離された分級粗粉(56)を、ミル第一室(3)とミル第二室(4)の間に配設される中間室(5)を経由してミル第二室(4)に戻し入れしている。その供給方法は
図10に示すように、分級粗粉(56)を一旦、中間室(5)の外周にミル缶体(2)を取り囲むように構成された分級粗粉室(81)に投入する。その分級粗粉室(81)の底部に滞留する分級粗粉(56)は、ミル缶体(2)の外周に複数個、等間隔に付設したスクープバケット(82)で掻き揚げられ、バケットの位置のミル缶体(2)に開口した分級粗粉導入穴(11)を経由して中間室(5)の内部に落下し、中間室(5)の中央部に付設されているリング体を滑り落ちながらミル第二室(4)に供給されるという方法が採用されている(特許文献1参照)
【0004】
また、
図11に示す従来技術のチューブミル(80)では、新原料(51)及び粉砕物をミル缶体(2)の両端部から投入し、中央部から抜き出すという所謂、「両端投入、中央抜き出し」方式が採用されている。新原料(51)をミル缶体(2)の一端側(
図11では左側)からミル第一室(3)に投入して粗粉砕し、粗粉砕して製造した粉砕粗粒(53)をミル缶体(2)の中間部に設けた排出室(5)から抜き出し、セパレータ(6)に移送して分級処理を行う。セパレータ(6)で分級処理された分級微粉(55)は製品として使用し、分級粗粉(56)はミル缶体(2)の他端側(
図11では右側)からミル第二室(4)に投入して再粉砕している。ミル第二室(4)に投入された分級粗粉(56)はミル第二室(4)で微粉砕され、ミル中間部の排出室(5)から抜き出されてセパレータ(6)へ移送され、分級処理を受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-029821(P2001-29821A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、
図8に示す従来の技術では、セパレータで分離された分級粗粉は新原料とともにミル第一室に供給されるためにミル第一室での粉砕効率が悪くなっている。その理由は以下の通りである。即ち、チューブミルでの粉砕は、粉砕ボールと粉砕物の衝突作用、及び粉砕ボールによる粉砕物の摩砕作用を利用しているため、最適な粉砕を行うためには粉砕ボールの直径と粉砕物の粒径の比はチューブミル全長にわたってほぼ一定の値に保つことが重要である。即ち、効率的な粉砕を行うためには、大きい粒径の粒子を粉砕する場合は大径の粉砕ボールを選定し、小さい粒子を粉砕する場合は小径の粉砕ボールを選定することが必要である。しかしながら新原料の粒径は一般に20~50mmであり、またセパレータで分離された分級粗粉の粒径は一般に20~100μで、新原料とセパレータで分離された分級粗粉の粒径は甚だしく異なる。また、一般に、ミル第一室に装填される粉砕ボールの直径は粗粉砕に適した60~100mmが選定されるが、この粉砕ボール径はセパレータで分離された分級粗粉を粉砕するには過大であり、分級粗粉の粉砕はミル第一室ではほとんど進行しない。更に分級粗粉はミル第一室では粉砕ボールどうしの間でクッション材として作用して新原料の粉砕を妨げる。即ち、分級粗粉の粒径は小さすぎて、ミル第一室に装填される粉砕ボールでは効率的な粉砕ができない。
【0007】
また、
図9に示す従来の技術では上記課題を解決すべく、セパレータで分離された分級粗粉をミル第一室とミル第二室の間に配設されている中間室を経由してミル第二室に供給している。その供給方法は
図10に示すように、分級粗粉を一旦、中間室の外周にミル胴体を取り囲むように構成された分級粗粉室に投入し、その分級粗粉室の底部に滞留する分級粗粉を、ミル缶体外周に複数個、等間隔に付設したスクープバケットで掻き揚げ、バケットの位置のミル缶体に開口した分級粗粉導入穴を経由して中間室内に落下させ、中間室中央部に付設されているリング体を滑り落ちながらミル第二室に戻し入れする方法が採用されている。しかしながら、この供給方法では、スクープバケットによって分級粗粉を掻き揚げるのは非常に困難である。その理由は、分級粗粉の性状は、粒径が200μ以下(平均粒径40~60μ)で、その浮遊終末速度は0.1~2m/s(平均0.3~0.5m/s)であり、わずかな空気流にでも容易に同伴して浮遊する粉体であり、一方、スクープバケットの回転速度はミル缶体外周回転速度と同じ3.5~4m/sであり、分級粗粉の浮遊終末速度の10数倍となるため、スクープバケットは分級粗粉を掻き揚げようとしても分級粗粉はバケットに入りきらずに溢流してしまう。このためにスクープバケットの掻き揚げ効率は極度に低下し、分級粗粉の全量を掻き揚げて中間室に移送することは不可能で、粉砕効率の改善の目的を達成できない。これを解消するためにスクープバケットの設置個数を増やす方法も考えられるが、そうするとミル缶体の開口数が増え、ミル缶体の機械強度が不足する。更に、
図9に示す従来の技術では、中間室は、ミル第一室から入ってくる粉砕粗粒を滞留させるための空間と、セパレータから戻ってくる分級粗粉を滞留させるための空間の二つの空間をミル軸心方向に確保しなければならいので、中間室のミル軸心方向の長さを大きくする必要があり、このためにチューブミル缶体長さが長くなり、チューブミルの製造コストが大きくなる欠点がある。
【0008】
また、
図11に示す従来の技術では、セパレータで分級された分級粗粉はミル第一室ではなくミル第二室に戻されているため、ミル第一室の粗粉砕効率の低下は防止可能ではあるものの、ミル第一室で粉砕、製造された粉砕粗粒は、ミル第二室へ導入されて微粉砕されることなく、そのままセパレータに導入されているために、セパレータには大量の粗粉が導入され、セパレータの分級効率は大きく低下し、製品へ粗粉が混入して、製品の品質が低下する。また、セパレータからの分級粗粉の全量がミル第二室のみに導入されるので、ミル第一室の原料ホールドアップが低下した場合にミル第一室に分級粗粉の一部を導入してミル第一室での粉砕ボール空打ち現象を防ぐという手段がないためチューブミル運転の安定性に欠けるという問題がある。
【0009】
そこで本発明は上記の従来技術の欠点を解決し、セパレータを備え、乾式閉回路を構成した多室チューブミルによる粉砕効率を改善する粉砕方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ミル缶体に、原料の粗粉砕を行って粉砕粗粒を製造するミル第一室と、その粉砕粗粒を更に微粉砕して粉砕微粒を製造するミル第二室と、ミル第一室とミル第二室の間にミル第一室からの粉砕粗粒をミル第二室に移送する中間室を形成し、ミル第二室から排出された粉砕微粒をセパレータで分級処理し、その分級微粉は製品として回収し、分級粗粉をミルに戻すように構成したチューブミルにおいて、セパレータで分離される分級粗粉のミルへの戻し入れを、ミル第一室側とミル第二室側に分配する分配器を設けるとともに、中間室の缶体外周に分級粗粉を導入する複数個の分級粗粉導入穴を等間隔に設け、その導入穴に自動開閉バルブを付設した分級粗粉戻し入れ装置を設けて、セパレータからの分級粗粉の全量または大部分を、ミル第二室に供給し、残りを第一室に供給するようにして、ミル第一室とミル第2室への戻し入れ割合を制御できるようにしたものである。
【0011】
以上の構成によれば、セパレータで分級処理された分級粗粉の全量、又は大部分をミル第二室に連続的かつ確実に供給することができるので、ミル第一室での原料の粗粉砕効率の低下がない。また、セパレータで分離された分級粗粉をミル第一室側とミル第二室側に分配して、ミル第一室とミル第二室への戻り量の比率を制御することで、ミル第一室の原料ホールドアップの低下による粉砕ボールの空打ち現象を防止することができると同時に、チューブミルへ供給される新原料の水分が高い場合に起こりやすい中間室上流側隔壁スリットの閉塞を防止できる。
【0012】
セパレータからの分級粗粉のミル第二室とミル第一室への戻り割合は、いずれも0~100%可能となるような設備としておくことが望ましい。
【0013】
ここで、分級粗粉戻し入れ装置は、中間室のミル缶体に形成した分級粗粉導入穴と、中間室のミル缶体外周に分級粗粉導入穴を覆うように配設されるフードと、分級粗粉導入側板と、分級粗粉導入底板と、自動開閉バルブから構成されるものである。
【0014】
分級粗粉導入穴はミル中間室のミル缶体部分に複数個(最小6か所)、等間隔に設けられる。導入穴部はミル缶体の強度が低下しないように、補強板で補強される。
【0015】
自動開閉バルブは、バルブ収納箱とバルブ本体から構成される。バルブ収納箱は、ミル缶体に固定されミルの回転に付随して回転し、バルブ本体は、バルブ収納箱内に内蔵され、バルブ本体に作用する遠心力と重力のバランスがバルブ本体のミル円周上の位置によって異なるという物理現象によってミル外周側又はミル中心側方向に動くことで、分級粗粉導入穴を開放、又は閉鎖して、セパレータからの分級粗粉を通過させ、又は、通過させない機能を有する。
【0016】
本発明は、以上の構成よりなるチューブミルである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、分級粗粉戻し入れ装置を設けることで、セパレータで分離された分級粗粉をミル第2室に投入することができるのでチューブミルの粉砕効率が向上するとともに、セパレータで分離された分級粗粉をミル第一室とミル第二室に分配して戻し入れを行い、その戻し入れ比率をミルの運転状態に応じて制御できるので安定したミル運転が可能となるという優れた効果を発揮する。本発明を既存チューブミルに適用した場合、ミルの粉砕能力は13.8%増加し、電力消費原単位は12.2%低下する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明のチューブミル(1)の概略フローシート図である。
【
図2】
図1における中間室(5)の部分の縦断面図である。
【
図4a】
図2,
図3における自動開閉バルブ(30)の「開」状態の断面図である。
【
図4b】
図2,
図3における自動開閉バルブ(30)の「閉」状態の断面図である。
【
図5】
図4a、
図4bにおけるバルブ収納箱(31)の断面図である。
【
図6】
図4a、
図4bにおけるバルブ本体(40)の断面図である。
【
図7】自動開閉バルブ(30)の外力バランスの説明図である。
【
図8】従来のチューブミル(78)の概略フローシート図である。
【
図9】従来のチューブミル(79)の概略フローシート図である。
【
図10】従来のチューブミル(79)における中間室(5)の横断面図である。
【
図11】従来のチューブミル(80)の概略フローシート図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明のチューブミル(1)の概略フローシート図を
図1に、
図1における中間室(5)の部分の縦断面図を
図2に、
図2におけるA―A線断面図を
図3に、
図2と
図3における自動開閉バルブ(30)の「開」状態の断面図を
図4aに、
図2と
図3における自動開閉バルブ(30)の「閉」状態の断面図を
図4bに、
図4aと
図4bにおけるバルブ収納箱(31)の断面図を
図5に、
図4aと
図4bにおけるバルブ本体(40)の断面図を
図6に、
図3における自動開閉バルブ(30)に作用する外力のバランス状態図を
図7に示す。尚,
図8,
図9、
図10、
図11と同様な部材には同じ符号を付している。
【0020】
本発明のチューブミル(1)は、
図1に示すように、ミル缶体(2)の内部に、新原料(51)を粗挽き(粗粉砕)して粉砕粗粒(53)を製造するミル第一室(3)と、その粉砕粗粒(53)を更に微粉砕して粉砕微粒(54)を製造するミル第二室(4)と、ミル第一室(3)とミル第二室(4)の間に配設され、ミル第一室(3)から流入してくる粉砕粗粒(53)をミル第二室(4)に移送する機能を果たす中間室(5)とを形成し、その中間室(5)の外周に分級粗粉(59)を中間室(5)に導入するための分級粗粉戻し入れ装置(10)を設けている。
【0021】
図2に示すように、中間室(5)は、ミル第一室(3)とミル第二室(4)の間に設けられ、多数のスリットで開口された目板で覆われている環状の上流側隔壁(22)と、盲板で覆われている環状の下流側隔壁(23)で区画されている。上流側隔壁(22)と下流側隔壁(23)は、その中心部において、下流側に向かって直径が小さくなる円錐台形状の仕切りコーン(24)により連結されている。また上流側隔壁(22)と下流側隔壁(23)の間には仕切りコーン(24)と中間室(5)の外周とを連結する掻き揚げ板(25)が
図3に示すように等間隔に複数個(12~16枚)設けられている。
【0022】
図2に示すように、分級粗粉戻し入れ装置(10)は、ミル缶体(2)の外周上に中間室(5)を包むように配設されるフード(13)と、中間室(5)のミル缶体(2)に等間隔に複数個設けられる分級粗粉導入穴(11)と、分級粗粉導入側板(15)と分級粗粉導入底板(16)で形成される分級粗粉導入通路(17)と、分級粗粉導入穴(11)の位置に設置される自動開閉バルブ(30)から構成される。
【0023】
図2及び
図3に示すように、フード(13)は、ミル回転軸に並行する断面が溝形の環状構造であり、その内径側は溝形の溝に相当し、ミル缶体(2)の外周面に近接して配設され、フード支持台(20)によってチューブミル(1)から独立したフード支持基礎(21)に固定される。フード(13)の内径側端部の両外側にはエアシール(18)が設けられ、中間室(5)の気密を保持する。フード(13)の最頂部にはセパレータ(6)からの分級粗粉(59)を受け入れるための供給シュート(14)が設けられる。フード(13)の水平横部の左右2か所および最下部1か所にはミル通風空気取り入れ口(19)が風量調節ダンパとともに配設され、フード(13)から入るミル通風空気はこの3か所から入り、「開」状態の自動開閉バルブ(30)を通り、中間室(5)を経由してミル第二室(4)に入る。
【0024】
図2及び
図3に示すように、自動開閉バルブ(30)は、中間室(5)の外周に等間隔に複数個配設される分級粗粉導入穴(11)の位置に設置される。
【0025】
図3に示すように、分級粗粉導入穴(11)は、中間室(5)の内部にある複数の掻き揚げ板(25)の隣接する掻き揚げ板(25)の間のミル缶体(2)に開口され、開口数は6~8個が好ましく、開口寸法はミル回転方向にミル内径寸法の10~15%、ミル軸心方向には中間室(5)の上流側隔壁(22)と下流側隔壁(23)の間の内側間隔以内とし、300~500mmが好ましい。
【0026】
図2及び
図3に示すように、分級粗粉導入側板(15)は、ミル缶体(2)の外周に全周に渡って自動開閉バルブ(30)の入り口開口幅と同じ幅で配設され、分級粗粉導入底板(16)は分級粗粉導入穴(11)の個所を除くミル缶体(2)の外周に全周に渡って配設される。分級粗粉導入側板(15)と分級粗粉導入底板(16)は分級粗粉導入通路(17)を形成し、分級粗粉(59)が自動開閉バルブ(30)に流入するための通路となる。
【0027】
図4aと
図4bに示すように、自動開閉バルブ(30)は、バルブ収納箱(31)と、バルブ本体(40)で構成され、バルブ本体(40)はバルブ収納箱(31)の内部に収納される。バルブ本体(40)はミル半径方向に自由に移動可能であり、
図4aはバルブ本体(40)がミル中心側に移動してバルブ「開」となった状態を示し、
図4bはバルブ本体(40)がミル外周側に移動してバルブ「閉」となった状態を示す。
【0028】
図5に示すように、バルブ収納箱(31)はミル缶体(2)に固定され、ミルとともに回転する。バルブ収納箱(31)は、ミル外周側からミル中心側に向かって、取り付けフランジ(32)と、第一収納箱(33)と、バルブヘッド受け(34)と、第二収納箱(35)の部材で構成されている。取り付けフランジ(32)は、分級粗粉導入穴(11)の個所のミル缶体(2)の機械強度を補強するためのミル缶体補強板(12)に溶接又はネジ止めで固定される。第一収納箱(33)は、ミル回転方向に相対する2面と、ミル軸心方向に相対する2面と、ミル外周側の1面と、ミル中心側の1面を有する中空6面直方体で、ミル外周側の面はセパレータからの分級粗粉(59)を受け入れるために全面開口され、ミル回転方向の2つの面はセパレータからの分級粗粉(59)を排出するための排出口(36)であり、ミル缶体(2)の内面よりもミル中心側の面は全面開口されている。ミル中心側の面はバルブヘッド受け(34)に接続されている。バルブヘッド受け(34)は中央部に矩形状の開口を設けて第一収納箱(33)に接続され、その開口の外側の面には複数個の堆積防止穴(38)が設けられている。第一収納箱(33)の内面全周には、ミル缶体(2)に相当する高さの位置にシールヘッド(39)が取り付けられている。シールヘッド(39)はミル外周方向に向かって開口寸法が小さくなるようなテーパー(水平面からのテーパー角度は40~50度が好ましい)のついた形状の部材で構成され、その最も狭まった部位の開口寸法は第一収納箱(33)の開口寸法の85~90%が好ましく、テーパーのミル外周方向終端位置はミル缶体(2)の内径下端からミル胴体厚さの20~30%の距離の位置が好ましい。第二収納箱(35)は、第一収納箱(33)のミル中心側にバルブヘッド受け(34)に接続して設けられ、その辺長が第一収納箱(33)より小さく、ミル外周側とミル中心側の両面が全面開口の中空四角柱で構成されている。第二収納箱(35)のミル回転方向の相対する2面の中央には、相対する矩形断面形状のバルブシャフトガイド(37)が設けられている。
【0029】
図6に示すように、バルブ本体(40)は、バルブ収納箱(31)の内部に収納され、ミル半径方向に自由に移動できるように構成されている。バルブ本体(40)は、ミル外周側からミル中心側に向かって、バルブヘッド(41)と、バルブシャフト(44)と、シャフト底板(46)と、調心鋼球(47)とで構成されている。バルブヘッド(41)は、ミル外周側からミル中心側に向かって、四角錐形状の第一バルブヘッド(42)と、四角錐台形状の第二バルブヘッド(43)から構成されている。バルブシャフト(44)は、中空円筒形状で、そのミル外周側先端は第一バルブヘッド(42)に接続されている。バルブシャフト(44)のミル中心側には中実四角柱形状のシャフトサポート(45)がバルブシャフト(44)の外周に等間隔で4か所、ミル中心側端部からミル外周側に向かって、バルブシャフトガイド(37)の長さを超えない長さで配設されている。シャフトサポート(45)はバルブシャフトガイド(37)に挟まれて滑りながらミル半径方向に移動可能となるように配設されている。調心鋼球(47)は中実鋼球であり、バルブシャフト(44)の内部を自由に転動可能に配設されている。
【0030】
バルブ本体(40)がミル外周側に移動して、バルブヘッド(41)がシールヘッド(39)に接触した状態がバルブ「閉」の状態であり(
図4b)、バルブ本体(40)がミル中心側に移動して、バルブヘッド(41)がバルブヘッド受け(34)に載荷した状態がバルブ「開」の状態である(
図4a)。
【0031】
次に、自動開閉バルブ(30)の作動原理を、
図3と
図7を用いて説明する。
図7において、バルブ位置Bはバルブ本体(40)が「閉」状態から「開」状態に移行する位置であり、バルブ位置Eはバルブ本体(40)が「開」状態からから「閉」状態に移行する位置である。R0はミル缶体(2)の内半径を示す。R1はバルブ本体(40)が「閉」状態のときのバルブ本体(40)の重心(70)のミル胴体(2)の中心からの距離を示す。R2はバルブ本体(40)が「開」状態のときのバルブ本体(24)の重心(71)のミル缶体(2)の中心からの距離を示す。
【0032】
バルブ本体(40)は、ミルの回転に伴って、バルブ本体(40)の重心(70)(バルブ本体(40)が「閉」状態のとき)と重心(71)(バルブ本体(40)が「開」状態のとき)の位置において、ミル半径方向のミル外周側に働く遠心力(72)(バルブ本体(40)が「閉」状態のとき)と、同じくミル半径方向のミル外周側に働く遠心力(73)(バルブ本体(40)が「開」状態のとき)と、鉛直下向きに働く重力(74)を外力として受ける。重力(74)は、ミル半径方向分力(75)と、ミル回転接線方向分力(76)に分解できる。ここで遠心力(72)及び(73)は、ミル回転数が一定である限り、自動開閉バルブ(30)の円周上の位置に関わらず大きさはそれぞれ一定である。一
小さくなり、Fの位置でゼロになる。
図7において、B~C~D~Eの区間がバルブ「開」の領域であり、E~F~G~H~I~A~Bの区間がバルブ「閉」の領域である。バルブがミル水平中心線より下の領域(F~G~H~I~A)では、遠心力(72)と重力(74)のミル半径方向分力(75)は向きが同じでミル外周側に働くので、バルブ本体(40)は常に「閉」状態となるのは明らかであるので、ここではミル水平中心線より上の領域のみを考える。
【0033】
遠心力(72)又は(73)と、重力(74)のミル半径方向分力(75)の大きさを比較して、遠心力(72)又は(73)の方が重力(74)のミル半径方向分力(75)より大きい領域では、バルブ本体(40)はミル外周側に位置して「閉」状態であり、逆に遠心力(72)又は(73)の方が重力(74)のミル半径方向分力(75)より小さい領域では、バルブ本体(40)はミル中心側に位置して「開」状態を保持する。
【0034】
バルブ位置Bでは、バルブ本体(40)は「閉」状態から「開」状態へ移行を開始するが、このときにバルブ本体(40)にミル半径方向に作用する外力の構成は、バルブ本体(40)の重心(70)にミル半径方向外周側に作用する遠心力(72)と、ミル中心側に作用する重力(74)のミル半径方向分力(75)と、シャフトサポート(45)がバルブシャフトガイド(37)に接触して摺動開始するのを妨げようとするミル外周方向に作用する静止摩擦抵抗力(77)とからなる。このバルブ位置Bでは、重力(74)のミル半径方向分力(75)は、遠心力(72)と静止摩擦抵抗力(77)の和と等しい。バルブ位置Bを境にしてバルブ位置がBからCに移動するにつれて、重力(74)のミル半径方向分力(75)は大きくなり、また摩擦抵抗力(77)は静止摩擦から滑り摩擦に移行するので摩擦係数は急激に低下する。このために重力(74)のミル半径方向分力(75)は、遠心力(72)と摩擦抵抗力(77)の和より大きくなるのでバルブ本体(40)はミル中心側に移動し、バルブは「閉」状態から「開」状態に遷移する。このバルブ位置Bを第一遷移位置と称する。
【0035】
バルブ位置Bにおいて、バルブ本体(40)は「閉」状態から「開」状態へ移行を開始するが、バルブ本体(40)の内部に収納されている調心鋼球(47)は、移動に際しての摩擦抵抗力が転がり摩擦であるために摩擦係数は非常に小さく、バルブ本体(40)の移行に先立ってミル中心側に移動するので、バブル本体(40)のミル中心側への移行をアシストするとともに、シャフト底板(46)の中心部がミル中心側に凹形状となっているために、バルブシャフト(44)の内部を転動移動してきた調心鋼球(47)は正確にシャフト底板(46)の中心に移動するのでバルブ本体(40)のミル半径方向軸心はミル半径軸に正確に一致する。
【0036】
バルブ位置Eでは、バルブ本体(40)は「開」状態から「閉」状態へ移行を開始するが、このときにバルブ本体(40)に作用するミル半径方向の外力の構成は、バルブ本体(40)の重心(71)にミル半径方向外周側に作用する遠心力(73)と、ミル中心側に作用する重力(74)のミル半径方向分力(75)と、シャフトサポート(45)がバルブシャフトガイド(37)に接触して摺動開始するのを妨げようとするミル中心方向に作用する静止摩擦抵抗力(77)からなる。このバルブ位置Eでは、遠心力(73)は、重力(74)のミル半径方向分力(75)と静止摩擦抵抗力(77)の和に等しい。バルブ位置Eを境にしてバルブ位置がEからFに移動するにつれて、重力(74)のミル半径方向分力(75)は小さくなり、また摩擦抵抗は静止摩擦から滑り摩擦に移行するので摩擦係数は急激に低下する。このために遠心力(73)は、重力(74)のミル半径方向分力(75)と摩擦抵抗力(77)の和より大きくなるのでバルブ本体(40)はミル外周側に移動し、バルブは「開」状態から「閉」状態に遷移する。このバルブ位置Eを第二遷移位置と称する。
【0037】
バルブ位置Eにおいて、バルブ本体(40)は「開」状態から「閉」状態へ移行を開始するが、バルブ本体(40)の内部に収納されている調心鋼球(47)は、移動に際しての摩擦抵抗力が転がり摩擦であるために摩擦係数は非常に小さく、バルブ本体(40)の移行に先立ってミル外周側に移動するので、バブル本体(40)のミル外周側への移行をアシストするとともに、第一バルブヘッド(42)の中心部がミル外周側に凸形状となっているために、バルブシャフト(44)の内部を転動移動してきた調心鋼球(47)は正確に第一バルブヘッド(42)の中心に移動するのでバルブ本体(40)のミル半径方向軸心はミル半径軸に正確に一致する。
【0038】
第一遷移位置角度(θa)と第二遷移位置角度(θe)の計算結果を以下に示す。尚、計算に当たって、R1/R0=0.97、R2/R0=0.88とし、ミル回転速度割合Nは70~80%とした。ここで、ミル回転速度割合とは、ミル臨界回転速度に対する実際のミル回転速度の割合である。また、ミル臨界回転速度とは、粉砕ボールがミル内壁に固着してミルと一体となって回転するときのミル回転速度である。
【0039】
第一遷移位置角度(θa)は、ミル回転速度が増すにつれて大きくなり、静止摩擦係数(μ)が大きくなるにつれて大きくなる。第二遷移位置角度(θe)は、ミル回転速度が増すにつれて小さくなり、静止摩擦係数が大きくなるにつれて大きくなる。
【0040】
第二遷移位置角度(θe)が180度を超えると、「開」状態のバルブが中間室(5)の内部の粉砕物滞留レベル(64)に近接するので好ましくない。従って、第二遷移位置角度(θe)は180度未満、より好ましくは170度未満が望ましい。このためには静止摩擦係数(μ)は0.4未満であることが好ましい。
【0041】
一般に、鋼材料どうしの静止摩擦係数は0.4より大きいので、シャフトサポート(45)がバルブシャフトガイド(37)に接触して摺動する面の少なくとも一方の面には充填剤入りPTFEなどの低摩擦、高強度、耐熱の高密度樹脂を内張りすることが好ましい。
【0042】
自動開閉バルブ(30)が「開」状態を維持する角度範囲は、静止摩擦係数がμ=0.2~0.4の範囲において、109~130.2度であるので、自動開閉バルブ(30)の設置個数が6~8個の場合、設置される自動開閉バルブの少なくとも2個は常時、「開」状態にあるのでセパレータからの分級粗粉(59)の全量を受け入れるのに十分である。
【0043】
次に、本発明のチューブミル(1)の運転方法を
図1~
図3を用いて説明する。
新原料(51)は供給フィーダ部(50)で調合および計量された後、ミル第一室(3)に供給される。ミル第一室(3)には粉砕ボール(26)が装填されており、粉砕ボール(26)によって新原料(51)は粗粉砕が行われ、粉砕粗粒(53)が製造される。その粉砕粗粒(53)は中間室(5)の上流側隔壁(22)のスリットを通って、中間室(5)に入る。中間室(5)には掻き揚げ板(25)が配設されており、中間室(5)に入った粉砕粗粒(53)はミル回転に伴って、掻き揚げ板(25)で掻き揚げられ、仕切りコーン(24)の外周面を滑り落ちながらミル第二室(4)に移動する。
【0044】
ミル第二室(4)には、第一室の粉砕ボール(26)より直径の小さい粉砕ボール(27)が装填されている。ミル第二室(4)に入った粉砕粗粒(53)は粉砕ボール(27)により微粉砕され、粉砕微粒(54)が製造される。粉砕微粒(54)はセパレータ(6)に移送される。
【0045】
セパレータ(6)に供給された粉砕微粒(54)はセパレータ(6)で分級作用を受け、分級微粉(55)と分級粗粉(56)に分離される。分級微粉(55)は製品として回収され、分級粗粉(56)は第一計量器(7)で流量を計量された後、分配器(8)でミル第二室側へ供給される分級粗粉(57)と、ミル第一室側へ供給される分級粗粉(58)に分配される。
【0046】
上記、分配比率は、理想的にはミル第二室側へ80~100%、ミル第一室側へ20~0%である。この分配比率の決定は、例えば、ミル第一室(3)のミル缶体(2)の外側近傍に配設される音響計測器(65)で計測される音響レベルを、或る設定レベルに保つように分配器(8)を制御することによって行なわれる。即ち、ミル第一室(3)の原料ホールドアップが下がり、ミル第一室(3)の音響レベルが上がると、分配器(8)を制御してミル第一室側への分配比率を増やし、逆にミル第一室(3)の原料ホールドアップが上がり、ミル第一室(3)の音響レベルが下がると、分配器(8)を制御してミル第一室(3)への分配比率を下げるような制御ループを組むことによって達成される。
【0047】
分配器(8)の分配比率の決定方法は上記に限定されるものではなく、他の方法を用いても構わない。
【0048】
分配器(8)でミル第二室側に分配された分級粗粉(57)は第二計量器(9)で流量を計測される。流量を計測された分級粗粉(59)は、中間室(5)の外周に配設される分級粗粉戻し入れ装置(10)に移送される。
【0049】
分級粗粉戻し入れ装置(10)に到達した分級粗粉(59)は、フード(13)の天頂部に配設される供給シュート(14)を経てフード(13)の内部に入り、更に分級粗粉導入側板(15)と分級粗粉導入底板(16)で構成される分級粗粉導入通路(17)を経由して「開」状態の自動開閉バルブ(30)に入り、自動開閉バルブ(30)の排出口(36)から中間室(5)の内部に落下し、仕切りコーン(24)の傾斜面を滑り落ちて、ミル第二室(3)に到達する。
【0050】
分配器(8)でミル第一室側に分配された分級粗粉(58)は、新原料(51)とともにミル第一室(3)に供給される。
【0051】
本発明のチューブミル(1)では、ミル通風空気は、ミル第一室(3)の新原料供給口部からミルに入る第一ミル通風空気(60)と、分級粗粉戻し入れ装置(10)のフード(13)に3か所配設されるミル通風空気取り入れ口(19)からフード(13)の内部に入り、「開」状態の自動開閉バルブ(30)を経て、更に中間室(5)を経由してミル第二室(4)に入る第二ミル通風空気(61)の二つのルートによるミル通風空気(60)と(61)からなる。フード(13)に3か所配設されるミル通風空気取り入れ口(19)からフード(13)に入る第二ミル通風空気(61)は、分級粗粉戻し入れ装置(10)に到達したセパレータ(6)から導入される分級粗粉(59)の一部が、仮に、「開」状態の自動開閉バルブ(30)に入りきらず、自動開閉バルブ(30)の入り口開口部を飛び越えてフード(13)の内部を下方に落下する状況になった場合でも、その落下する分級粗粉(59)を持ち上げて「開」状態の自動開閉バルブ(30)に導入する役割を果たすので、分級粗粉(59)は全量が確実に「開」状態の自動開閉バルブ(30)に入ることになる。
【0052】
本発明のチューブミル(1)によれば、分級粗粉戻し入れ装置(10)に設置される自動開閉バルブ(30)によって、セパレータ(6)で分級された分級粗粉(56)の全量または大部分をミル第二室(4)に戻し入れすることができるので、ミル第一室(3)の粉砕効率の低下を防ぐことが可能である。
【0053】
本発明のチューブミル(1)の運転方法によれば、セパレータ(6)で分級された分級粗粉(56)の一部をミル第一室(3)に戻し入れし、その戻し入れ量を制御する分配器(8)を設けているので、ミル第一室(3)の原料ホールドアップ低下による粉砕ボールの空打ち現象の防止や、新原料(51)の水分量が多い場合のミル第一室(3)の上流側隔壁(22)のスリットの目詰まりを防止できる。
【0054】
なお、既設のチューブミルに、分配器(8),第二計量器(9)、分級粗粉戻し入れ装置(10)、フード支持台(20)等を新たに設けることで、既設のチューブミルに本発明を適用することが可能であることは言うまでもない。
【0055】
以上、本発明の実施の形態は上述のものに限るものではない。
【符号の説明】
1 チューブミル
2 ミル缶体
3 ミル第一室
4 ミル第二室
5 中間室
6 セパレータ
7 第一計量器
8 分配器
9 第二計量器
10 分級粗粉戻し入れ装置
11 分級粗粉導入穴
12 ミル缶体補強板
13 フード
14 供給シュート
15 分級粗粉導入側板
16 分級粗粉導入底板
17 分級粗粉導入通路
18 エアシール
19 ミル通風空気取り入れ口
20 フード支持台
21 フード支持基礎
22 上流側隔壁
23 下流側隔壁
24 仕切りコーン
25 掻き揚げ板
26 粉砕ボール
27 粉砕ボール
30 自動開閉バルブ
31 バルブ収納箱
32 取り付けフランジ
33 第一収納箱
34 バルブヘッド受け
35 第二収納箱
36 排出口
37 バルブシャフトガイド
38 堆積防止穴
39 シールヘッド
40 バルブ本体
41 バルブヘッド
42 第一バルブヘッド
43 第二バルブヘッド
44 バルブシャフト
45 シャフトサポート
46 シャフト底板
47 調心鋼球
50 原料供給フィーダ部
51 新原料
52 ミル第一室入口原料
53 粉砕粗粒
54 粉砕微粒
55 分級微粉
56 分級粗粉
57 分級粗粉(ミル第二室側へ戻る)
58 分級粗粉(ミル第一室側へ戻る)
59 分級粗粉(ミル第二室側へ戻る)
60 第一ミル通風空気
61 第二ミル通風空気
62 ミル通風空気
63 ミル通風空気
64 粉砕物滞留レベル
65 音響計測器
70 バルブ本体の重心(バルブ「閉」のとき)
71 バルブ本体の重心(バルブ「開」のとき)
72 遠心力(バルブ閉のとき)
73 遠心力(バルブ開のとき)
74 重力
75 重力のミル半径方向分力
76 重力のミル回転接線方向分力
77 静止摩擦力
78 従来のチューブミル
79 従来のチューブミル
80 従来のチューブミル
81 分級粗粉室
82 スクープバケット
83 分級粗粉導入穴
R0 ミル胴体の内半径
R1 バルブ本体の重心位置半径(バルブ閉のとき)
R2 バルブ本体の重心位置半径(バルブ開のとき)
θa 第一遷移位置角度
θe 第二遷移位置角度