(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085431
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】抗ウイルス療法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4985 20060101AFI20230613BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20230613BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230613BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
A61K31/4985
A61K31/505
A61P43/00 121
A61P31/18
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060638
(22)【出願日】2023-04-04
(62)【分割の表示】P 2021030306の分割
【原出願日】2011-01-24
(31)【優先権主張番号】61/298,589
(32)【優先日】2010-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512247603
【氏名又は名称】ヴィーブ ヘルスケア カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンダーウッド,マーク リチャード
(57)【要約】 (修正有)
【課題】HIVインテグラーゼ阻害剤と、他の治療薬とを含んでなる化合物の組み合わせを提供する。
【解決手段】(3S,11aR)-N-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-2,3,5,7,11,11a-ヘキサヒドロ-6-ヒドロキシ-3-メチル-5,7-ジオキソ-オキサゾロ[3,2-a]ピリド[1,2-d]ピラジン-8-カルボキサミド又はその薬学上許容される塩、及びリルピビリンを含む組み合わせとする。当該組み合わせは、HIV複製の阻害、HIVによる感染の予防および/または治療、ならびにAIDSおよび/またはARCの治療において有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(3S,11aR)-N-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-2,3,5,7,11,11a-ヘキサヒドロ-6-ヒドロキシ-3-メチル-5,7-ジオキソ-オキサゾロ[3,2-a]ピリド[1,2-d]ピラジン-8-カルボキサミド又はその薬学上許容される塩、及びリルピビリンを含む組み合わせ。
【請求項2】
(3S,11aR)-N-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-2,3,5,7,11,11a-ヘキサヒドロ-6-ヒドロキシ-3-メチル-5,7-ジオキソ-オキサゾロ[3,2-a]ピリド[1,2-d]ピラジン-8-カルボキサミド又はその薬学上許容される塩を含むHIV感染を治療するための医薬組成物であって、リルピビリンと投与される前記医薬組成物。
【請求項3】
リルピビリンと同時に投与される請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
リルピビリンと連続的に投与される請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
(3S,11aR)-N-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-2,3,5,7,11,11a-ヘキサヒドロ-6-ヒドロキシ-3-メチル-5,7-ジオキソ-オキサゾロ[3,2-a]ピリド[1,2-d]ピラジン-8-カルボキサミド又はその薬学上許容される塩、及びリルピビリンを含むHIV感染を治療するためのキット。
【請求項6】
(3S,11aR)-N-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-2,3,5,7,11,11a-ヘキサヒドロ-6-ヒドロキシ-3-メチル-5,7-ジオキソ-オキサゾロ[3,2-a]ピリド[1,2-d]ピラジン-8-カルボキサミド又はその薬学上許容される塩、及びリルピビリンは同時に投与される請求項5に記載のキット。
【請求項7】
(3S,11aR)-N-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-2,3,5,7,11,11a-ヘキサヒドロ-6-ヒドロキシ-3-メチル-5,7-ジオキソ-オキサゾロ[3,2-a]ピリド[1,2-d]ピラジン-8-カルボキサミド又はその薬学上許容される塩、及びリルピビリンは連続的に投与される請求項5に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HIVインテグラーゼ阻害剤および他の治療薬を含んでなる化合物の組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト免疫不全ウイルス(「HIV」)は、後天性免疫不全症候群(「AIDS」)(免疫系の破壊、特に、CD4+T細胞の破壊を特徴とし、結果として日和見感染への感受性を伴う疾患)およびその前駆症状であるAIDS関連症候群(「ARC」)(持続性全身性リンパ節腫脹、発熱および体重減少などの症候を特徴とする症候群)の原因物質である。HIVは、レトロウイルスであり;そのRNAからDNAへの変換は、逆転写酵素の作用によって行われる。逆転写酵素の機能を阻害する化合物は、感染細胞におけるHIVの複製を阻害する。そのような化合物は、ヒトにおけるHIV感染の予防または治療において有用である。
【0003】
HIVは、標的細胞に侵入するために、CD4に加えて、補助受容体を必要とする。ケモカイン受容体は、HIVに対する補助受容体としてCD4とともに機能する。ケモカイン受容体のCXCR4およびCCR5は、HIV-1に対する主要な補助受容体として同定されている。CCR5は、マクロファージ指向性HIVが宿主細胞に融合および侵入するための主要な補助受容体として作用する。これらのケモカイン受容体は、HIV感染の確立および伝播において重要な役割を果たすと考えられている。ゆえに、CCR5アンタゴニストは、HIVに対して有効な治療薬として有用であると考えられる。
【0004】
他のいくつかのレトロウイルスの場合のように、HIVは、感染性ビリオンの形成に必要なプロセスにおいて前駆体ポリペプチドの翻訳後切断を行うプロテアーゼの産生をコードする。これらの遺伝子産物には、pol(ビリオンのRNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)をコードする)、エンドヌクレアーゼ、HIVプロテアーゼ、およびgag(ビリオンのコアタンパク質をコードする)が含まれる。
【0005】
抗ウイルス薬設計の焦点の1つは、ウイルスのポリプロテイン前駆体のプロセシングを妨害することによって感染性ビリオンの形成を阻害する化合物を作り出すことである。これらの前駆体タンパク質のプロセシングには、複製に不可欠な、ウイルスによってコードされるプロテアーゼの作用が必要である。HIVプロテアーゼを阻害することが抗ウイルス性である可能性は、ペプチジル阻害剤を用いて証明されている。
【0006】
ヒトT細胞におけるHIV複製に必要とされる工程は、ウイルスによってコードされるインテグラーゼによる、宿主細胞ゲノムへのプロウイルスDNAの挿入である。インテグレーションは、あるプロセスにおいてインテグラーゼによって媒介されると考えられており、そのプロセスは、ウイルスDNA配列と安定な核タンパク質複合体とが集合すること、線形プロウイルスDNAの3’末端から2つのヌクレオチドを切断すること、およびそのプロウイルスDNAの3’OH陥凹末端を、宿主標的部位において生成された付着末端(staggered cut)において共有結合的に連結することを含む。結果として生じるギャップの修復合成は、細胞の酵素によって行われ得る。HIVインテグラーゼの阻害剤は、AIDSの治療およびウイルス複製の阻害において有効であり得る。
【0007】
HIV感染および関連症状の治療において治療用化合物の組み合わせを投与することによって、抗ウイルス活性の増強、毒性の低下、耐性となるまでの進行の遅延、および薬効の増大をもたらすことができる。単一の投薬単位として投与される組み合わせは、服用個数(pill burden)を減少させ、投薬スケジュールを単純にするので、患者の服薬率を上昇させることができる。しかしながら、すべての化合物が、組み合わせでの投与に適しているとは限らない。組み合わせの成否に影響する因子としては、その化合物の化学的不安定性、投薬単位のサイズ、組み合された化合物が拮抗作用を起こす可能性または単なる相加作用しかもたらさない可能性、および好適な製剤を得るに当たっての問題が挙げられる。
【0008】
HIV感染を治療するための、組み合わせでの使用に適した治療薬および実行可能な医薬組成物を見つけ出すことが必要とされ続けている。ある特定のHIVインテグラーゼ阻害剤は、その高力価および薬物動態学的プロファイルに起因して、併用療法における構成要素として魅力的である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、HIVインテグラーゼ阻害剤および他の治療薬を含んでなる化合物の組み合わせに関する。そのような組み合わせは、HIV複製の阻害、HIVによる感染の予防および/または治療、ならびにAIDSおよび/またはARCの治療において有用である。本発明はまた、HIVインテグラーゼ阻害剤を含んでなる医薬組成物を特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】アバカビル(ABC)との組み合わせにおける式(I)の化合物GSK1349572AによるHIV-1
IIIBの阻害。
【
図2】エファビレンツ(EFV)との組み合わせにおける式(I)の化合物GSK1349572AによるHIV-1
IIIBの阻害。
【
図3】ロピナビル(LPV)との組み合わせにおける式(I)の化合物GSK1349572AによるHIV-1
IIIBの阻害。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、以下の式(I)、(II)もしくは(III)の化合物:
【化1】
【化2】
【化3】
【0012】
またはその薬学上許容される塩、ならびにヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、プロテアーゼ阻害剤、CCR5アンタゴニスト、CXCR4アンタゴニスト、融合阻害剤、成熟阻害剤およびインテグラーゼ阻害剤からなる群から選択される1種以上の治療薬を含んでなる組み合わせに関する。
【0013】
本発明は、式(I)、(II)または(III)の化合物、ならびにヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、プロテアーゼ阻害剤、CCR5アンタゴニスト、CXCR4アンタゴニスト、融合阻害剤、成熟阻害剤およびインテグラーゼ阻害剤からなる群から選択される1種以上の治療薬を被験体に投与することによる、HIV感染、AIDSおよびAIDS関連症状の治療方法に関する。
【0014】
式(I)の化合物は、GSK1349572としても知られる。式(I)の化合物の化学名は、(4R,12aS)-N-[2,4-フルオロフェニル(flurophenyl))メチル]-3,4,6,8,12,12a-ヘキサヒドロ-7-ヒドロキシ-4-メチル-6,8-ジオキソ-2H-ピリド[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,1-b][1,3]オキサジン-9-カルボキサミドである。
【0015】
式(II)の化合物の化学名は、(3S,11aR)-N-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-2,3,5,7,11,11a-ヘキサヒドロ-6-ヒドロキシ-3-メチル-5,7-ジオキソ-オキサゾロ[3,2-a]ピリド[1,2-d]ピラジン-8-カルボキサミドである。
【0016】
式(III)の化合物の化学名は、(4aS,13aR)-N-[2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-10-ヒドロキシ-9,11-ジオキソ-2,3,4a,5,9,11,13,13a-オクタヒドロ-1H-ピリド[1,2-a]ピロロ[1’,2’:3,4,]イミダゾ[1,2-d]ピラジン-8-カルボキサミドである。
【0017】
用語「薬学上許容される担体または佐剤」とは、本発明の化合物とともに患者に投与されてもよく、その薬理学的活性を損なわず、治療量の抗ウイルス剤を送達するのに十分な用量で投与されたときに無毒性である、担体または佐剤のことを指す。
【0018】
本明細書中で使用される用語「治療」は、患者における特定の障害の症候の軽減、または特定の障害に関連する確かめられる測定値の改善のことを指し、この用語には、ウイルス感染が不顕性になっている患者などの無症候性患者における症候の再発の抑制も含まれる場合がある。治療には、患者における、疾患もしくは症状の予防、またはそのような疾患もしくは症状の症候の発生の予防のことを指す予防も含まれる場合がある。本明細書中で使用されるとき、用語「患者」とは、ヒトを含む哺乳動物のことを指す。
【0019】
本明細書中で使用されるとき、用語「被験体」とは、患者、動物または生物学的サンプルのことを指す。
【0020】
本発明に係る化合物の薬学上許容される塩には、薬学上許容される無機酸および有機酸ならびに無機塩基および有機塩基から得られる塩が含まれる。好適な酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸(salicyclic)、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-スルホン酸およびベンゼンスルホン酸が挙げられる。シュウ酸などの他の酸は、本来は薬学上許容されないが、本発明の化合物およびそれらの薬学上許容される酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製では使用されることがある。適切な塩基から得られる塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)塩、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)塩、アンモニウム塩、NW4
+塩(ここで、WはC1-4アルキルである)および他のアミン塩が挙げられる。有益な塩は、ナトリウム塩である。
【0021】
本発明の化合物の塩は、当業者に公知の方法によって生成され得る。例えば、適切な溶媒中で本発明の化合物を適切な塩基または酸で処理することにより、対応する塩を得ることができる。
【0022】
本発明は、ヒトにおけるウイルス感染、例えば、HIV感染を治療または予防する方法に関し、その方法は、治療有効量の式(I)、(II)もしくは(III)の化合物またはその薬学上許容される塩を、ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、プロテアーゼ阻害剤、CCR5アンタゴニスト、CXCR4アンタゴニスト、融合阻害剤、成熟阻害剤およびインテグラーゼ阻害剤からなる群から選択される1種以上の治療薬と併用してヒトに投与することを含んでなる。その組み合わせは、同時に投与されてもよいし、連続的に投与されてもよい。
【0023】
式(I)、(II)および(III)の化合物は、特に、HIV感染および関連する症状の治療または予防に適している。本明細書中での治療に対する言及は、確立された感染、症候および関連する臨床症状(例えば、エイズ関連症候群(ARC)、カポジ肉腫およびAIDS痴呆)の治療と同様に予防にまで拡張される場合がある。
【0024】
併用療法は、本発明の化合物またはその薬学上許容される塩および別の薬学的に活性な物質の投与を含む。その活性成分および薬学的に活性な物質は、同じもしくは異なる医薬組成物として同時に(すなわち、共に)投与されてもよいし、任意の順序で連続的に投与されてもよい。組み合わされる所望の治療効果を達成するために、その活性成分および薬学的に活性な物質の量、ならびに相対的な投与のタイミングが選択される。
【0025】
そのような治療薬の例としては、ウイルス感染または関連する症状の治療に有効な物質が挙げられるが、それに限定されない。これらの物質は、ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、非環式ヌクレオシドホスホネート、例えば、(S)-1-(3-ヒドロキシ-2-ホスホニル-メトキシプロピル)シトシン(HPMPC)、[[[2-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)エトキシ]メチル]ホスフィニリデン]ビス(オキシメチレン)-2,2-ジメチルプロパン酸(ビス-POM PMEA,アデホビルジピボキシル)、アデホビル、[[(1R)-2-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-1-メチルエトキシ]メチル]ホスホン酸(テノホビル)、テノホビルジソプロキシルフマレエートおよび(R)-[[2-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-1-メチルエトキシ]メチル]ホスホン酸ビス-(イソプロポキシカルボニルオキシメチル)エステル(ビス-POC-PMPA);ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、例えば、3’-アジド-3’-デオキシチミジン(AZT,ジドブジン)、2’,3’-ジデオキシシチジン(ddC,ザルシタビン)、2’,3’-ジデオキシアデノシン、2’,3’-ジデオキシイノシン(ddI,ジダノシン)、2’,3’-ジデヒドロチミジン(d4T,スタブジン)、(-)-cis-1-(2-ヒドロキシメチル)-1,3-オキサチオラン5-イル)-シトシン(ラミブジン)、cis-1-(2-(ヒドロキシメチル)-1,3-オキサチオラン-5-イル)-5-フルオロシトシン(FTC、エムトリシタビン(emtricitabine))、(-)-cis-4-[2-アミノ-6-(シクロ-プロピルアミノ)-9H-プリン-9-イル]-2-シクロペンテン-1-メタノール(アバカビル)、ホジブジンチドキシル(fozivudine tidoxil)、アロブジン(alovudine)、アムドキソビル(amdoxovir)、エルブシタビン(elvucitabine)、アプリシタビン(apricitabine)およびフェスティナビル(festinavir)(OBP-601);プロテアーゼ阻害剤、例えば、インジナビル、リトナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、サキナビル、ホサンプレナビル(fosamprenavir)、ロピナビル、アタザナビル、チプラナビル(tipranavir)、ダルナビル(darunavir)、ブレカナビル(brecanavir)、パリナビル(palinavir)、ラシナビル(lasinavir)、TMC-310911、DG-17、PPL-100およびSPl-256;非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、例えば、ネビラピン、デラビルジン、エファビレンツ、GSK2248761(IDX-12899)、レルシビリン(lersivirine)(UK-453,061)、リルピビリン(rilpivirine)(TMC-278)、エトラビリン(etravirine)、ロビリド(loviride)、イムノカル(immunocal)、オルチプラズ(oltipraz)、カプラビリン(capravirine)およびRDEA-806;インテグラーゼ阻害剤、例えば、ラルテグラビル(raltegravir)、エルビテグラビル(elvitegravir)およびJTK-656;CCR5および/またはCXCR4アンタゴニスト、例えば、マラビロック(maraviroc)、ビクリビロク(vicriviroc)(Sch-D)、TBR-652(TAK-779)、TAK-449、PRO-140、GSK706769およびSCH-532706;融合阻害剤、例えば、エンフビルチド(enfuvirtide)(T-20)、T-1249、PRO-542、イバリズマブ(ibalizumab)(TNX-355)、BMS-378806(BMS-806)、BMS-488043、KD-247、5-Helix阻害剤およびHIV付着阻害剤;ならびに成熟阻害剤、例えば、ベビリマット(bevirimat)(PA-344およびPA-457)である。
【0026】
【0027】
またはその薬学上許容される塩、ならびにラミブジン、アバカビル、テノホビル、エファビレンツ、GSK2248761、レルシビリン、ロピナビル、ホサンプレナビルおよびアタザナビルからなる群から選択される1種以上の治療薬を含んでなる組み合わせを特徴とする。
【0028】
本発明はまた、式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩、およびアバカビル、エファビレンツまたはロピナビルから選択される1種以上の治療薬を含んでなる組み合わせを特徴とする。本発明は、式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩およびアバカビルを含んでなる組み合わせを特徴とする。
【0029】
本発明は、HIV感染の治療方法を特徴とし、その方法は、式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩と、ラミブジン、アバカビル、テノホビル、エファビレンツ、GSK2248761、レルシビリン、ロピナビル、ホサンプレナビルおよびアタザナビルからなる群から選択される1種以上の治療薬とを被験体に投与することを含んでなる。
【0030】
本発明は、HIV感染の治療方法を特徴とし、その方法は、式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩を、アバカビル、エファビレンツおよびロピナビルからなる群から選択される1種以上の治療薬とともに被験体に投与することを含んでなる。本発明は、HIV感染の治療方法を特徴とし、その方法は、式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩およびアバカビルを被験体に投与することを含んでなる。
【0031】
本発明は、式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩と、ラミブジン、アバカビル、エファビレンツ、テノホビル、GSK2248761、レルシビリン、ロピナビル、ホサンプレナビルおよびアタザナビルからなる群から選択される1種以上の治療薬とを、それらのための薬学上許容される担体とともに含んでなる医薬組成物を特徴とする。
【0032】
本発明は、式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩と、アバカビル、エファビレンツおよびロピナビルからなる群から選択される1種以上の治療薬とを、それらのための薬学上許容される担体とともに含んでなる医薬組成物を特徴とする。本発明は、式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩およびアバカビルを、それらのための薬学上許容される担体とともに含んでなる医薬組成物を特徴とする。
【0033】
【0034】
またはその薬学上許容される塩と、ラミブジン、アバカビル、テノホビル、エファビレンツ、GSK2248761、レルシビリン、ロピナビル、ホサンプレナビルおよびアタザナビルからなる群から選択される1種以上の治療薬とを含んでなる組み合わせを特徴とする。
【0035】
本発明はまた、式(II)の化合物またはその薬学上許容される塩と、アバカビル、エファビレンツおよびロピナビルから選択される1種以上の治療薬とを含んでなる組み合わせを特徴とする。本発明は、式(II)の化合物またはその薬学上許容される塩およびアバカビルを含んでなる組み合わせを特徴とする。
【0036】
本発明は、HIV感染の治療方法を特徴とし、その方法は、式(II)の化合物またはその薬学上許容される塩と、ラミブジン、アバカビル、テノホビル、エファビレンツ、GSK2248761、レルシビリン、ロピナビル、ホサンプレナビルおよびアタザナビルからなる群から選択される1種以上の治療薬とを被験体に投与することを含んでなる。
【0037】
本発明は、HIV感染の治療方法を特徴とし、その方法は、式(II)の化合物またはその薬学上許容される塩を、アバカビル、エファビレンツおよびロピナビルからなる群から選択される1種以上の治療薬とともに被験体に投与することを含んでなる。本発明は、HIV感染の治療方法を特徴とし、その方法は、式(II)の化合物またはその薬学上許容される塩およびアバカビルを被験体に投与することを含んでなる。
【0038】
本発明は、式(II)の化合物またはその薬学上許容される塩と、ラミブジン、アバカビル、テノホビル、エファビレンツ、GSK2248761、レルシビリン、ロピナビル、ホサンプレナビルおよびアタザナビルからなる群から選択される1種以上の治療薬とを、それらのための薬学上許容される担体とともに含んでなる医薬組成物を特徴とする。
【0039】
本発明は、式(II)の化合物またはその薬学上許容される塩と、アバカビル、エファビレンツおよびロピナビルからなる群から選択される1種以上の治療薬とを、それらのための薬学上許容される担体とともに含んでなる医薬組成物を特徴とする。本発明は、式(II)の化合物またはその薬学上許容される塩およびアバカビルを、それらのための薬学上許容される担体とともに含んでなる医薬組成物を特徴とする。
【0040】
【0041】
またはその薬学上許容される塩と、ラミブジン、アバカビル、テノホビル、エファビレンツ、GSK2248761、レルシビリン、ロピナビル、ホサンプレナビルおよびアタザナビルからなる群から選択される1種以上の治療薬とを含んでなる組み合わせを特徴とする。
【0042】
本発明はまた、式(III)の化合物またはその薬学上許容される塩と、アバカビル、エファビレンツおよびロピナビルから選択される1種以上の治療薬とを含んでなる組み合わせを特徴とする。本発明はまた、式(III)の化合物またはその薬学上許容される塩およびアバカビルを含んでなる組み合わせを特徴とする。
【0043】
本発明は、HIV感染の治療方法を特徴とし、その方法は、式(III)の化合物またはその薬学上許容される塩と、ラミブジン、アバカビル、テノホビル、エファビレンツ、GSK2248761、レルシビリン、ロピナビル、ホサンプレナビルおよびアタザナビルからなる群から選択される1種以上の治療薬とを被験体に投与することを含んでなる。
【0044】
本発明は、HIV感染の治療方法を特徴とし、その方法は、式(III)の化合物またはその薬学上許容される塩と、アバカビル、エファビレンツおよびロピナビルからなる群から選択される1種以上の治療薬との組み合わせを被験体に投与することを含んでなる。本発明は、HIV感染の治療方法を特徴とし、その方法は、式(III)の化合物またはその薬学上許容される塩およびアバカビルを被験体に投与することを含んでなる。
【0045】
本発明は、式(III)の化合物またはその薬学上許容される塩と、ラミブジン、アバカビル、テノホビル、エファビレンツ、GSK2248761、レルシビリン、ロピナビル、ホサンプレナビルおよびアタザナビルからなる群から選択される1種以上の治療薬とを、それらのための薬学上許容される担体とともに含んでなる医薬組成物を特徴とする。
【0046】
本発明は、式(III)の化合物またはその薬学上許容される塩と、アバカビル、エファビレンツおよびロピナビルからなる群から選択される1種以上の治療薬とを、それらのための薬学上許容される担体とともに含んでなる医薬組成物を特徴とする。本発明は、式(III)の化合物またはその薬学上許容される塩およびアバカビルを、それらのための薬学上許容される担体とともに含んでなる医薬組成物を特徴とする。
【0047】
本発明は、上に記載されたような組み合わせ、治療方法および医薬組成物を特徴とし、ここで、式(I)、(II)または(III)の化合物の薬学上許容される塩は、ナトリウム塩である。
【0048】
本発明は、上に記載されたような組み合わせ、治療方法および医薬組成物を特徴とし、ここで、1種以上の治療薬は、前記治療薬の薬学上許容される塩、例えば、アバカビルヘミ硫酸塩、ホサンプレナビルカルシウム、アタザナビル硫酸塩、テノホビルジソプロキシル硫酸塩、ビクリビロクマレイン酸塩またはベビリマットジメグルミンである。
【0049】
本発明は、上に記載されたような治療方法を特徴とし、ここで、被験体は、ヒトである。
【0050】
本発明は、上に記載されたような組み合わせ、治療方法および医薬組成物を特徴とし、ここで、その組み合わせは、連続的に投与される。
【0051】
本発明は、上に記載されたような組み合わせ、治療方法および医薬組成物を特徴とし、ここで、その組み合わせは、同時にまたは共に投与される。
【0052】
式(I)、(II)および(III)の化合物は、WO2006/116764、米国特許出願第61/193,634号(WO2010/068253)または同第61/193,636号(WO2010/068262)(これらは本明細書に参考として援用される)に開示されている方法によって生成され得る。
【0053】
アバカビルは、米国特許第5,034,394号;同第5,089,500号;同第6,294,540号;同第5,641,889号;同第5,840,990号;同第5,919,941号;同第5,808,147号;同第6,392,085号;同第6,448,403号;同第5,917,041号;同第6,087,501号;同第5,917,042号;同第6,555,687号;同第6,552,193号;同第6,870,053号;同第6,294,540号;同第6,340,587号;または同第6,646,125号に開示されている方法によって生成され得る。
【0054】
ラミブジンは、米国特許第5,047,407号;同第7,119,202号;同第5,905,082号;同第5,696,254号;同第5,663,320号;同第5,693,787号;同第6,051,709号;または同第6,329,522号に開示されている方法によって生成され得る。
【0055】
テノホビルは、米国特許第5,922,695号;同第5,935,946号;同第5,977,089号;同第6,043,230号、同第6,069,249号によって生成され得る。
【0056】
エファビレンツは、米国特許第5,519.021号;同第5,663,169号;同第5,811,423号;同第6,555,133号;同第6,639,071号;または同第6,939,964号に開示されている方法によって生成され得るによって生成され得る。
【0057】
GSK2248761は、米国特許第7,534,809号に開示されている方法によって生成され得る。
【0058】
レルシビリンは、米国特許第7,109,228号に開示されている方法によって生成され得る。
【0059】
ロピナビルは、米国特許第5,914,332号に開示されている方法によって生成され得る。
【0060】
ホサンプレナビルは、米国特許第6,436,989号;同第6,514,953号;または同第6,281,367号に開示されている方法によって生成され得る。
【0061】
アタザナビルは、米国特許第5,849,911号または同第6,087,383号に開示されている方法によって生成され得る。
【0062】
上記組み合わせの治療薬は、公開されている方法に従って生成されてもよいし、当業者に公知の任意の方法によって生成されてもよい。
【0063】
本発明の一態様において、式(I)、(II)もしくは(III)の化合物またはその薬学上許容される塩は、1種以上の治療薬とともに組成物に製剤化されることがある。その組成物は、医薬組成物であり得、それは、式(I)、(II)または(III)の化合物、1種以上の治療薬、および薬学上許容される担体、佐剤または賦形剤を含んでなる。1つの実施形態において、その組成物は、生物学的サンプルまたは患者におけるウイルス感染、例えば、HIV感染を治療または予防するのに有効な量の本発明の組み合わせを含んでなる。別の実施形態において、本発明の組み合わせ、ならびにウイルスの複製を阻害するのに有効な量またはウイルス感染もしくはウイルス疾患もしくはウイルス障害、例えば、HIV感染を治療もしくは予防するのに有効な量の本発明の組み合わせおよび薬学上許容される担体、佐剤または賦形剤を含んでなるその医薬組成物は、患者への投与用に、例えば、経口投与用に製剤化され得る。
【0064】
本発明は、医学療法における使用のため、例えば、ウイルス感染、例えば、HIV感染および関連する症状の治療または予防のための本発明に係る組み合わせを特徴とする。本発明に係る化合物は、特に、AIDSおよび関連する臨床症状(例えば、エイズ関連症候群(ARC)、進行性全身性リンパ節腫脹(PGL)、カポジ肉腫、血小板減少性(thromobocytopenic)紫斑病、AIDS関連の神経学的症状(例えば、AIDS痴呆複合症、多発性硬化症または熱帯性不全対麻痺(tropical paraperesis))、抗HIV抗体陽性およびHIV陽性状態)(無症候性患者におけるそのような症状を含む)の治療に有用である。
【0065】
別の態様によれば、本発明は、感染患者、例えば、ヒトを含む哺乳動物におけるウイルス感染の症候または影響を治療または予防するための方法を提供し、その方法は、薬学上有効な量の本発明に係る組み合わせを前記患者に投与することを含んでなる。本発明の一態様によれば、そのウイルス感染は、レトロウイルス感染、特に、HIV感染である。
【0066】
本発明はさらに、ウイルス感染、特にHIV感染を治療するための被験体への同時(併用)投与用または連続投与用の医薬の製造における、本発明に係る組み合わせの使用を含んでなる。
【0067】
本発明はさらに、患者、例えば、ヒトを含む哺乳動物における臨床症状を治療するための方法を提供し、その臨床症状には、本明細書の前文で論じられた症候が含まれ、その方法は、薬学上有効な量の本発明に係る化合物で前記患者を治療することを含んでなる。本発明はまた、上述の疾患または症状のうちのいずれかを治療または予防するための方法も含んでなる。
【0068】
本発明の化合物は、化合物の代謝を阻害するかまたは減少させると知られている物質、例えば、リトナビルと共に投与され得る。したがって、本発明は、本発明の化合物を代謝阻害剤と組み合わせて投与することによる、本明細書の前文に記載されたような疾患を治療または予防するための方法を特徴とする。そのような組み合わせは、同時に投与されてもよいし、連続的に投与されてもよい。
【0069】
通常、上述の各症状に適した用量は、1日あたりレシピエント(例えば、ヒト)の体重1キログラムあたり0.01~250mgの範囲、0.1~100mg/キログラム体重/日の範囲;1~30mg/キログラム体重/日の範囲;0.5~20mg/キログラム体重/日の範囲であり得る。別段示されない限り、活性成分の総重量は、式(I)、(II)または(III)の親化合物および他の治療薬として算出される。それらの塩の場合、その重量は、比例して増加されるだろう。所望の用量は、その日のうちに適切な間隔で投与される1、2、3、4、5、6またはそれ以上の分割用量で提供されてもよい。場合によっては、所望の用量は、別の日に投与されてもよい。これらの分割用量は、例えば、単位剤形1つあたり1~2000mg;5~500mg;10~400mg、20~300mgの各活性成分を含む単位剤形として投与され得る。
【0070】
上記組み合わせは、各活性成分のピーク血漿濃度を達成するように投与され得る。
【0071】
活性成分を単独で投与することも可能であるが、医薬組成物として活性成分を提供することが好ましい。本発明の組成物は、上で定義されたような活性成分を、その1種以上の許容される担体および1種以上の追加の治療薬とともに含んでなる。各担体は、その組成物の他の成分と適合性であり、かつ患者にとって有害でないという意味において、許容されなければならない。
【0072】
医薬組成物には、経口、経直腸、経鼻、局所的(経皮的、頬側および舌下を含む)、経膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内および硝子体内を含む)投与に適した医薬組成物が含まれる。その組成物は、単位剤形として都合よく提供され得、薬学分野で周知の任意の方法によって調製され得る。そのような方法は、本発明のさらなる特徴に相当し、活性成分と、1種以上の副成分を構成する担体とを会合させることを含んでなる。一般に、本組成物は、その活性成分と、液体担体もしくは微粉化された固体担体またはその両方とを均一かつ密接に会合させ、次いで必要であれば、その生成物を成形することによって調製される。
【0073】
本発明はさらに、本明細書の前文で定義されたような医薬組成物を含み、ここで、本発明の化合物またはその薬学上許容される誘導体および別の治療薬は、キットの一部として互いに別々に提供される。
【0074】
経皮的投与に適した組成物は、長時間にわたってレシピエントの表皮と密接に接触したままであるように適合された不連続のパッチとして提供されることがある。そのようなパッチは、1)必要に応じて緩衝された水溶液中の活性な化合物、または2)接着剤に溶解および/もしくは分散された活性な化合物、または3)ポリマーに分散された活性な化合物を適切に含む。その活性な化合物の好適な濃度は、約1%~25%、好ましくは、約3%~15%である。1つの特定の可能性として、活性な化合物は、Pharmaceutical Research 3(6),318(1986)に広く記載されているようなエレクトロトランスポートまたはイオン導入によって、パッチから送達されることがある。
【0075】
経口投与に適した本発明の医薬組成物は、不連続の単位(例えば、カプセル、カプレット、カシェ剤または錠剤(各々、所定量の活性成分を含む));散剤もしくは顆粒剤;水性液体もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液;または水中油型液体エマルジョンもしくは油中水型液体エマルジョンとして提供されることがある。活性成分は、ボーラス、舐剤またはペーストとして提供されてもよい。
【0076】
錠剤は、必要に応じて1種以上の副成分とともに、圧縮または成形によって作製されることがある。圧縮錠剤は、必要に応じて結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性な希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシルメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤または分散剤と混合された流動性の形状(例えば、粉末または顆粒)の活性成分を好適な機械において圧縮することによって調製され得る。成形錠剤は、粉末化され不活性な液体希釈剤で湿らせた化合物の混合物を、好適な機械において成形することによって作製され得る。その錠剤は、必要に応じてコーティングされてもよいし、刻み目が付けられてもよく、所望の放出プロファイルを得るために、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースを様々な割合で使用して、その中の活性成分の遅延放出または制御放出を提供するように製剤化されてもよい。錠剤は、必要に応じて、胃以外の消化管の部分において放出させるために腸溶コーティングされた状態で提供されてもよい。
【0077】
口内における局所的投与に適した医薬組成物には、風味がつけられた基剤、通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガント中に活性成分を含む舐剤;不活性な基剤(例えば、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシア)中に活性成分を含むトローチ剤;および好適な液体担体中に活性成分を含むうがい液が含まれる。
【0078】
経膣投与に適した医薬組成物は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレーとして提供されることがある。医薬組成物は、活性成分に加えて、適切であると当該分野で公知であるような担体を含んでもよい。
【0079】
直腸投与用の医薬組成物は、好適な担体(例えば、カカオバターまたはサリチレートまたは当該分野において通常使用される他の材料を含む)を含む坐剤として提供されることがある。その坐剤は、活性な組み合わせと軟化または融解された担体との混和に続く、型の中での冷却および成形によって都合よく形成され得る。
【0080】
非経口投与に適した医薬組成物には、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、および意図されるレシピエントの血液と医薬組成物を等張性にする溶質を含み得る水性および非水性の等張性の滅菌注射溶液;ならびに懸濁剤および増粘剤を含み得る水性および非水性の滅菌懸濁液;ならびに化合物が血液成分または1つ以上の器官を標的にするように設計されたリポソームまたは他の微粒子系が含まれる。その医薬組成物は、単回用量または複数回用量用の密閉容器、例えば、アンプルおよびバイアルに入った状態で提供されることがあり、滅菌された液体担体(例えば、注射用水)を使用直前に加えることだけが必要なフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保管されることがある。即時調合用の注射溶液および懸濁液は、先に記載された種類の滅菌された散剤、顆粒剤および錠剤から調製され得る。
【0081】
単位投薬医薬組成物には、本明細書の前文に列挙されたような1日量もしくは1日の分割用量の活性成分、またはその適切な一部を含んでなる組成物が含まれる。
【0082】
本発明の医薬組成物は、単一のパッケージ、例えば、ブリスター包装に、1以上の治療過程を含む患者用パック(patient pack)として提供されることがある。単一の患者用パックまたは各組成物の患者用パックを用いた本発明の組み合わせの投与が、本発明の追加の特徴であることが理解されるだろう。
【0083】
本発明の医薬組成物は、対象の医薬組成物のタイプを考慮すると、上で特に述べられた成分に加えて、当該分野において通常の他の物質も含み得ることが理解されるべきであり、例えば、経口投与に適した医薬組成物は、甘味料、増粘剤および香味料のようなさらなる物質を含み得る。
【実施例0084】
実施例1:生物学的活性
アッセイ
方法
ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)で形質転換された細胞株であるMT-4においてテトラゾリウムベースの比色法を用いて抗ウイルスHIV活性を測定した。試験化合物のアリコートを、培地(RPMI1640,10%vol./vol.ウシ胎児血清(FBS)および10μg/mLゲンタマイシン)の入った深ウェルのマスターアッセイプレートにおいて、最終アッセイ濃度よりも約40倍高い濃度になるように垂直方向に希釈した。段階希釈物を1:2または1:3.16比で作製した。HIV阻害剤を、最終アッセイ濃度よりも約40倍高い濃度になるようにマスターアッセイプレートにおいて水平方向に希釈した。垂直方向に希釈された化合物と水平方向に希釈された化合物の両方の小アリコートを、自動96ウェルピペッティングシステム(RapidPlate-96,Zymark Corp.)を用いて娘プレートにおいて混合した。すべての濃度の試験化合物がすべての濃度のHIV阻害剤の存在下および非存在下において試験されるように、チェッカー盤スタイルで希釈物を配置した。3つ組のアッセイまたはそれ以上の各組み合わせにおいて、抗HIV活性試験を行った。指数関数的に増加しているMT-4細胞を回収し、Jouan遠心機(Model CR412)において1,000rpmで10分間遠心した。細胞ペレットを、1.25×106細胞/mLの密度に新鮮培地(RPMI1640、20%vol./vol.FBS、20%vol./vol.IL-2および10μg/mLゲンタマイシン)に再懸濁した。1×104細胞あたり73pfUというウイルス感染効率(MOI)が得られるように希釈されたHIV-1(IIIB株)を加えることによって細胞アリコートを感染させた。同様の細胞アリコートを培地で希釈することにより、mock感染コントロールを得た。加湿5%CO2雰囲気の組織培養恒温器内の37℃において1時間、細胞感染を進めた。1時間のインキュベーションの後、事前に希釈された化合物を含むプレートの各ウェルにウイルス/細胞懸濁液を加えた。次いで、プレートを加湿5%CO2雰囲気の組織培養恒温器内に5日間置いた。インキュベーション期間の終わりに、インキュベーションプレートの各ウェルに40μLのCellTiter 96 MTS試薬(Promega no.G3581)を加えた。プレートを37℃で2~3時間インキュベートすることにより、発色させた。マイクロプレート吸光度リーダー(Tecan no.20-300)を用いてO.D.を492nMにおいて測定した。
【0085】
使用したウイルス
野生型の実験室株であるHIV-1 IIIB株、ウイルス価=6.896E4 TCID50/mL。
【0086】
データ解析
一部のアッセイ形式は、組み合わせの細胞傷害性に起因して理論上では拮抗作用を捉え損ね得るが、本明細書中に記載されるアプローチは、拮抗作用を捉え損ねないはずである。MT-4細胞アッセイにおける読み出しには、テトラゾリウムベースの染色試薬であるMTSが利用され、ここで、処理後に残存する全細胞数を推定するために、その試薬の光学濃度(O.D.)の変化が用いられる。最終的なMT-4細胞の数は、2つの作用に起因して減少する可能性がある。第1に、HIVが、感染後の5日間で75%超のMT-4細胞を殺滅するときは、HIVによって誘導される細胞傷害性が生じている可能性がある。第2に、感染細胞または非感染細胞のいずれかにおいて5日間にわたって化合物がMT-4細胞を直接殺滅するかまたは細胞増殖を妨げる(静止)場合は、化合物によって誘導される細胞傷害性が生じている可能性がある。これらのいずれかの状況では、そのO.D.は、抗HIV-1化合物によって保護された感染細胞と比べて、または未処置コントロール細胞および非感染コントロール細胞と比べて、低い。抗HIV活性の細胞傷害作用と拮抗作用の両方が、O.D.を低下させ得るので、本発明者らは、組み合わせの細胞傷害性に起因する拮抗作用を捉え損ねないはずであるが、相乗的な組み合わせを過小評価する可能性がある。
【0087】
アッセイにおいて、最高濃度の試験化合物または比較対照化合物を含むアッセイプレートの非感染MT-4細胞を含むウェルと、対応する最高濃度の組み合わせの下のHIV-1感染MT-4細胞を含むウェルとを比較することによって、組み合わせの細胞傷害性を評価した。これらの値の各々については、アッセイプレート1枚あたり1ウェル、ひいては組み合わせアッセイ1つあたり少なくとも3ウェルが存在する。それらは、正式な組み合わせ細胞傷害性解析を構成しないが、組み合わせにおける化合物と単独での化合物との比は、調べられた濃度における化合物の組み合わせの細胞傷害性の尺度を提供する。
【0088】
化合物の組み合わせの各対の相互作用を、Selleseth,D.W.et al.(2003)Antimicrobial Agents and Chemotherapy 47:1468-71に記載された方法によって解析した。相乗作用および拮抗作用は、2つの薬物が同じ薬物であるかのように相互作用するときに生じる用量相加性(dosewise additivity)からの偏差として定義される。-0.1から-0.2の範囲の相加性からの平均偏差に対する値は、弱い相乗作用を示唆し、-0.5にほぼ等しい値は、その相互作用の強い相乗作用を示唆し得る。逆に、0.1から0.2の正の値は、弱い拮抗作用がその処置間に存在することを示唆し得る。
【0089】
結果
式(I)の化合物は、ラルテグラビル、アデホビル(adefovir)およびマラビロックと相加的であると見出され、リバビリンの存在には影響されなかった。式(I)の化合物は、スタブジン、アバカビル、エファビレンツ、ネビラピン、ロピナビル、アンプレナビル、エンフビルチドと相乗的であると見出された。
【0090】
本発明は、以下の態様にも関する。
項1
式(I)の化合物:
【化7】
またはその薬学上許容される塩を、アバカビル、エファビレンツおよびロピナビルからなる群から選択される1種以上の治療薬とともに含んでなる、組み合わせ。
項2
前記治療薬が、アバカビルである、項1に記載の組み合わせ。
項3
式(I)の化合物の薬学上許容される塩が、ナトリウム塩である、項1または2に記載の組み合わせ。
項4
ラミブジンをさらに含んでなる、項2に記載の組み合わせ。
項5
式(I)の化合物:
【化8】
またはその薬学上許容される塩を、アバカビル、エファビレンツおよびロピナビルからなる群から選択される1種以上の治療薬とともにヒトに投与することを含んでなる、HIV感染の治療方法。
項6
前記治療薬が、アバカビルである、項5に記載の方法。
項7
式(I)の化合物の薬学上許容される塩が、ナトリウム塩である、項5または6に記載の方法。
項8
ラミブジンをさらに含んでなる、項6に記載の方法。
項9
項1または2に記載の式(I)の化合物と、アバカビル、エファビレンツおよびロピナビルからなる群から選択される1種以上の治療薬とを、それらのための薬学上許容される担体とともに含んでなる、医薬組成物。
項10
前記治療薬が、アバカビルである、項9に記載の医薬組成物。
項11
式(I)の化合物の薬学上許容される塩が、ナトリウム塩である、項9または10に記載の医薬組成物。
項12
ラミブジンをさらに含んでなる、項10に記載の医薬組成物。
項13
前記組み合わせが、同時に投与される、項1~4のいずれかに記載の組み合わせ。
項14
前記組み合わせが、連続的に投与される、項1~4のいずれかに記載の組み合わせ。
項15
式(I)の化合物と前記治療薬とが、同時に投与される、項5~8のいずれかに記載の治療方法。
項16
式(I)の化合物と前記治療薬とが、連続的に投与される、項5~8のいずれかに記載の治療方法。
項17
項1に記載の式(I)の化合物と、アバカビル、エファビレンツおよびロピナビルからなる群から選択される1種以上の治療薬とを含んでなる、患者用パック。