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特開2023-85433量子状態の変換方法、装置及び電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085433
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】量子状態の変換方法、装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06N 10/40 20220101AFI20230613BHJP
【FI】
G06N10/40
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2023060741
(22)【出願日】2023-04-04
(31)【優先権主張番号】202210928079.9
(32)【優先日】2022-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】514322098
【氏名又は名称】ベイジン バイドゥ ネットコム サイエンス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing Baidu Netcom Science Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】2/F Baidu Campus, No.10, Shangdi 10th Street, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】方 ▲コン▼
(57)【要約】      (修正有)
【課題】量子状態の変換の全体的なコストを低減させる量子状態の変換方法、装置及び電子機器を提供する。
【解決手段】方法は、ターゲット変換関係に基づいて、K個の初期量子状態を含む第1量子状態の第1量子システムを構築することと、第1量子状態及びプリセット量子状態に基づいてターゲット量子状態を第1量子状態のヒルベルト空間に埋め込んで得られた第2量子状態に基づいて、補助量子状態の第2量子システムを構築することと、ターゲット変換関係での量子状態の変換操作、第1量子システム及び第2量子システムに基づいて、K個の初期量子状態及び補助量子状態に対して量子状態の変換を行い、ターゲット量子状態及び補助量子状態を得ることと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子状態の変換方法であって、
ターゲット変換関係に基づいて、第1量子状態の第1量子システムを構築することであって、前記第1量子状態は、K個の初期量子状態を含み、前記ターゲット変換関係は、N個の前記初期量子状態とM個のターゲット量子状態との変換関係であり、前記第1量子システムは、M個の第1量子状態成分を含み、前記第1量子状態成分は、均一な確率で重畳されることにより前記第1量子状態を得ることができ、NとMは、いずれも1より大きい整数であり、NはM以上であり、Kは、NをMで割った値を基に小数点以下切り上げて得られたものであることと、
前記第1量子状態及び第2量子状態に基づいて、補助量子状態の第2量子システムを構築することであって、前記第2量子状態は、プリセット量子状態に基づいて前記ターゲット量子状態を前記第1量子状態のヒルベルト空間に埋め込んで得られたものであり、前記第2量子システムは、M-1個の第1サブ量子システムを含み、前記第1サブ量子システムは、M個の第2量子状態成分を含み、前記第2量子状態成分は、前記第1量子状態又は前記第2量子状態であり、前記第2量子状態成分は、均一な確率で重畳されることにより前記補助量子状態を得ることができることと、
前記ターゲット変換関係での量子状態の変換操作、前記第1量子システム及び前記第2量子システムに基づいて、K個の前記初期量子状態及び前記補助量子状態に対して量子状態の変換を行い、前記ターゲット量子状態及び前記補助量子状態を得ることと、を含む、量子状態の変換方法。
【請求項2】
第1量子状態及び第2量子状態に基づいて、補助量子状態の第2量子システムを構築することは、
次元指標のM個の状態に基づいて、M-1個の前記第1サブ量子システムの、各前記状態が指示する次元での前記第2量子状態成分を構築し、前記第2量子システムを得ることであって、前記次元指標は、前記第2量子状態成分の次元を指示するために用いられることと、
前記状態が指示する次元はiである場合、M-1個の前記第1サブ量子システムのうちの最初のi-1個のサブ量子システムの、i個の目の次元での前記第2量子状態成分を前記第1量子状態と設定し、M-1個の前記第1サブ量子システムのうちのM-i個のサブ量子システムの、i個の目の次元での前記第2量子状態成分を前記第2量子状態と設定することであって、iはM以下の正の整数であることと、を含む
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2量子システムは、M-1個のターゲット量子状態成分を含み、M-1個の前記ターゲット量子状態成分は、同じ次元に位置し、且つ、M-1個の前記ターゲット量子状態成分は同一であり、前記ターゲット量子状態成分は、前記第1量子状態であり、
前記ターゲット変換関係での量子状態の変換操作、前記第1量子システム及び前記第2量子システムに基づいて、K個の前記初期量子状態及び前記補助量子状態に対して量子状態の変換を行い、前記ターゲット量子状態及び前記補助量子状態を得ることは、
前記第1量子システムと前記第2量子システムとをスティッチングし、第1ターゲット量子システムを得ることであって、前記第1ターゲット量子システムにおいて前記第1量子システムは、前記第2量子システムの前に配列されることと、
M個の第3量子状態成分に対して前記量子状態の変換操作を実行し、第2ターゲット量子システムを得ることであって、M個の前記第3量子状態成分は、前記第1量子状態成分及びM-1個の前記ターゲット量子状態成分を含み、前記量子状態の変換操作は、M個の前記第1量子状態をM個の前記第2量子状態に変換することを含むことと、
前記第2ターゲット量子システムに対して量子状態の交換操作を実行し、第3ターゲット量子システムを得ることであって、前記第3ターゲット量子システムにおける第2サブ量子システムは、M個の前記第2量子状態を含み、前記第2サブ量子システムは、M-1個の第3サブ量子システムの前に配列され、前記第3サブ量子システムは、前記第3ターゲット量子システムにおける前記第2サブ量子システム以外の他のサブ量子システムであり、M-1個の前記第3サブ量子システムとM-1個の前記第1サブ量子システムは同一であることと、
前記第2サブ量子システムに対して還元操作を実行し、前記ターゲット量子状態を得ることと、
M-1個の前記第3サブ量子システムにおける各次元の量子状態成分を均一な確率で重畳し、前記補助量子状態を得ることと、を含む
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2ターゲット量子システムに対して量子状態の交換操作を実行し、第3ターゲット量子システムを得ることは、
次元を基準とし、前記第2ターゲット量子システムにおける各次元の量子状態成分に対して第1ローテーション操作を実行し、第4ターゲット量子システムを得ることと、
サブ量子システムを基準とし、前記第4ターゲット量子システムにおける各サブ量子システムに対して第2ローテーション操作を実行し、前記第3ターゲット量子システムを得ることと、を含む
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
次元を基準とし、前記第2ターゲット量子システムにおける各次元の量子状態成分に対して第1ローテーション操作を実行し、第4ターゲット量子システムを得ることは、
次元の昇順に従って、ローテーションステップサイズを1として前記第2ターゲット量子システムにおける各次元の量子状態成分に対してローテーションを行い、第4ターゲット量子システムを得ることを含む
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
サブ量子システムを基準とし、前記第4ターゲット量子システムにおける各サブ量子システムに対して第2ローテーション操作を実行し、前記第3ターゲット量子システムを得ることは、
サブ量子システムの前から後ろへの配列順番に従って、ローテーションステップサイズを1として前記第4ターゲット量子システムにおける各サブ量子システムに対してローテーションを行い、前記第3ターゲット量子システムを得ることを含む
請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第2サブ量子システムに対して還元操作を実行し、前記ターゲット量子状態を得ることは、
M個の前記第2量子状態に埋め込まれた前記プリセット量子状態を削除し、第4サブ量子システムを得ることであって、前記第4サブ量子システムは、M個の第3量子状態を含み、前記第3量子状態は、前記プリセット量子状態を削除した後で得られた量子状態であることと、
M個の前記第3量子状態を均一な確率で重畳し、前記ターゲット量子状態を得ることと、を含む
請求項3に記載の方法。
【請求項8】
量子状態の変換装置であって、
ターゲット変換関係に基づいて、第1量子状態の第1量子システムを構築するように構成される第1構築モジュールであって、前記第1量子状態は、K個の初期量子状態を含み、前記ターゲット変換関係は、N個の前記初期量子状態とM個のターゲット量子状態との変換関係であり、前記第1量子システムは、M個の第1量子状態成分を含み、前記第1量子状態成分は、均一な確率で重畳されることにより前記第1量子状態を得ることができ、NとMは、いずれも1より大きい整数であり、NはM以上であり、Kは、NをMで割った値を基に小数点以下切り上げて得られたものである第1構築モジュールと、
前記第1量子状態及び第2量子状態に基づいて、補助量子状態の第2量子システムを構築するように構成される第2構築モジュールであって、前記第2量子状態は、プリセット量子状態に基づいて前記ターゲット量子状態を前記第1量子状態のヒルベルト空間に埋め込んで得られたものであり、前記第2量子システムは、M-1個の第1サブ量子システムを含み、前記第1サブ量子システムは、M個の第2量子状態成分を含み、前記第2量子状態成分は、前記第1量子状態又は前記第2量子状態であり、前記第2量子状態成分は、均一な確率で重畳されることにより前記補助量子状態を得ることができる第2構築モジュールと、
前記ターゲット変換関係での量子状態の変換操作、前記第1量子システム及び前記第2量子システムに基づいて、K個の前記初期量子状態及び前記補助量子状態に対して量子状態の変換を行い、前記ターゲット量子状態及び前記補助量子状態を得るように構成される量子状態の変換モジュールと、を含む、量子状態の変換装置。
【請求項9】
前記第2構築モジュールは、具体的に、
次元指標のM個の状態に基づいて、M-1個の前記第1サブ量子システムの、各前記状態が指示する次元での前記第2量子状態成分を構築し、前記第2量子システムを得ることであって、前記次元指標は、前記第2量子状態成分の次元を指示するために用いられることと、
前記状態が指示する次元はiである場合、M-1個の前記第1サブ量子システムのうちの最初のi-1個のサブ量子システムの、i個の目の次元での前記第2量子状態成分を前記第1量子状態と設定し、M-1個の前記第1サブ量子システムのうちのM-i個のサブ量子システムの、i個の目の次元での前記第2量子状態成分を前記第2量子状態と設定することであって、iはM以下の正の整数であることと、を実行するように構成される
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第2量子システムは、M-1個のターゲット量子状態成分を含み、M-1個の前記ターゲット量子状態成分は、同じ次元に位置し、且つ、M-1個の前記ターゲット量子状態成分は同一であり、前記ターゲット量子状態成分は、前記第1量子状態であり、前記量子状態の変換モジュールは、
前記第1量子システムと前記第2量子システムとをスティッチングし、第1ターゲット量子システムを得るように構成されるスティッチングサブモジュールであって、前記第1ターゲット量子システムにおいて前記第1量子システムは、前記第2量子システムの前に配列されるスティッチングサブモジュールと、
M個の第3量子状態成分に対して前記量子状態の変換操作を実行し、第2ターゲット量子システムを得るように構成される第1操作サブモジュールであって、M個の前記第3量子状態成分は、前記第1量子状態成分及びM-1個の前記ターゲット量子状態成分を含み、前記量子状態の変換操作は、M個の前記第1量子状態をM個の前記第2量子状態に変換することを含む第1操作サブモジュールと、
前記第2ターゲット量子システムに対して量子状態の交換操作を実行し、第3ターゲット量子システムを得るように構成される第2操作サブモジュールであって、前記第3ターゲット量子システムにおける第2サブ量子システムは、M個の前記第2量子状態を含み、前記第2サブ量子システムは、M-1個の第3サブ量子システムの前に配列され、前記第3サブ量子システムは、前記第3ターゲット量子システムにおける前記第2サブ量子システム以外の他のサブ量子システムであり、M-1個の前記第3サブ量子システムとM-1個の前記第1サブ量子システムは同一である第2操作サブモジュールと、
前記第2サブ量子システムに対して還元操作を実行し、前記ターゲット量子状態を得るように構成される第3操作サブモジュールと、
M-1個の前記第3サブ量子システムにおける各次元の量子状態成分を均一な確率で重畳し、前記補助量子状態を得るように構成される重畳サブモジュールと、を含む
請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記第2操作サブモジュールは、
次元を基準とし、前記第2ターゲット量子システムにおける各次元の量子状態成分に対して第1ローテーション操作を実行し、第4ターゲット量子システムを得るように構成される第1操作ユニットと、
サブ量子システムを基準とし、前記第4ターゲット量子システムにおける各サブ量子システムに対して第2ローテーション操作を実行し、前記第3ターゲット量子システムを得るように構成される第2操作ユニットと、を含む
請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1操作ユニットは、具体的に、
次元の昇順に従って、ローテーションステップサイズを1として前記第2ターゲット量子システムにおける各次元の量子状態成分に対してローテーションを行い、第4ターゲット量子システムを得るように構成される
請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第2操作ユニットは、具体的に、
サブ量子システムの前から後ろへの配列順番に従って、ローテーションステップサイズを1として前記第4ターゲット量子システムにおける各サブ量子システムに対してローテーションを行い、前記第3ターゲット量子システムを得るように構成される
請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記第3操作サブモジュールは、具体的に、
M個の前記第2量子状態に埋め込まれた前記プリセット量子状態を削除し、第4サブ量子システムを得ることであって、前記第4サブ量子システムは、M個の第3量子状態を含み、前記第3量子状態は、前記プリセット量子状態を削除した後で得られた量子状態であることと、
M個の前記第3量子状態を均一な確率で重畳し、前記ターゲット量子状態を得ることと、を実行するように構成される
請求項10に記載の装置。
【請求項15】
電子機器であって、
少なくとも一つのプロセッサ、及び
前記少なくとも一つのプロセッサに通信可能に接続されるメモリを含み、
前記メモリには、前記少なくとも一つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶され、
前記命令が前記少なくとも一つのプロセッサによって実行されるとき、前記少なくとも一つのプロセッサに請求項1~7のうちのいずれか1項に記載の方法を実行させる
電子機器。
【請求項16】
コンピュータ命令が記憶される非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ命令は、コンピュータに請求項1~7のうちのいずれか1項に記載の方法を実行させるために用いられる
非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
コンピュータプログラムであって、コンピュータプログラムを含み、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されるとき、請求項1~7のうちのいずれか1項に記載の方法を実現させる
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、量子計算技術分野に関し、特に量子情報処理技術分野に関し、具体的に、量子状態の変換方法、装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
量子状態の変換は、量子情報処理における一つ基本的な問題であり、量子技術を実用化させるキーポイントのステップでもある。一つの応用シーン、例えば、量子状態純粋化シーンにおいて、ノイズが含まれる二つ以上の初期量子状態を許可可能な操作でノイズが比較的低いターゲット量子状態に変換することができ、且つ、ターゲット量子状態と理想量子状態との間の忠実度が一定の閾値に達することが求められる。
現在、一般的にマルチコピーのターゲット量子状態の変換方策を用い、量子状態の変換を実現し、即ち、大量のコピーの初期量子状態を一括して複数のコピーのターゲット量子状態に変換する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、量子状態の変換方法、装置及び電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の第1態様によれば、量子状態の変換方法を提供し、
ターゲット変換関係に基づいて、第1量子状態の第1量子システムを構築することであって、前記第1量子状態は、K個の初期量子状態を含み、前記ターゲット変換関係は、N個の前記初期量子状態とM個のターゲット量子状態との変換関係であり、前記第1量子システムは、M個の第1量子状態成分を含み、前記第1量子状態成分は、均一な確率で重畳されることにより前記第1量子状態を得ることができ、NとMは、いずれも1より大きい整数であり、NはM以上であり、Kは、NをMで割った値を基に小数点以下切り上げて得られたものであることと、
前記第1量子状態及び第2量子状態に基づいて、補助量子状態の第2量子システムを構築することであって、前記第2量子状態は、プリセット量子状態に基づいて前記ターゲット量子状態を前記第1量子状態のヒルベルト空間に埋め込んで得られたものであり、前記第2量子システムは、M-1個の第1サブ量子システムを含み、前記第1サブ量子システムは、M個の第2量子状態成分を含み、前記第2量子状態成分は、前記第1量子状態又は前記第2量子状態であり、前記第2量子状態成分は、均一な確率で重畳されることにより前記補助量子状態を得ることができることと、
前記ターゲット変換関係での量子状態の変換操作、前記第1量子システム及び前記第2量子システムに基づいて、K個の前記初期量子状態及び前記補助量子状態に対して量子状態の変換を行い、前記ターゲット量子状態及び前記補助量子状態を得ることと、を含む。
【0005】
本開示の第2態様によれば、量子状態の変換装置を提供し、
ターゲット変換関係に基づいて、第1量子状態の第1量子システムを構築するように構成される第1構築モジュールであって、前記第1量子状態は、K個の初期量子状態を含み、前記ターゲット変換関係は、N個の前記初期量子状態とM個のターゲット量子状態との変換関係であり、前記第1量子システムは、M個の第1量子状態成分を含み、前記第1量子状態成分は、均一な確率で重畳されることにより前記第1量子状態を得ることができ、NとMは、いずれも1より大きい整数であり、NはM以上であり、Kは、NをMで割った値を基に小数点以下切り上げて得られたものである第1構築モジュールと、
前記第1量子状態及び第2量子状態に基づいて、補助量子状態の第2量子システムを構築するように構成される第2構築モジュールであって、前記第2量子状態は、プリセット量子状態に基づいて前記ターゲット量子状態を前記第1量子状態のヒルベルト空間に埋め込んで得られたものであり、前記第2量子システムは、M-1個の第1サブ量子システムを含み、前記第1サブ量子システムは、M個の第2量子状態成分を含み、前記第2量子状態成分は、前記第1量子状態又は前記第2量子状態であり、前記第2量子状態成分は、均一な確率で重畳されることにより前記補助量子状態を得ることができる第2構築モジュールと、
前記ターゲット変換関係での量子状態の変換操作、前記第1量子システム及び前記第2量子システムに基づいて、K個の前記初期量子状態及び前記補助量子状態に対して量子状態の変換を行い、前記ターゲット量子状態及び前記補助量子状態を得るように構成される量子状態の変換モジュールと、を含む。
【0006】
本開示の第3態様によれば、電子機器を提供し、
少なくとも一つのプロセッサ、及び
前記少なくとも一つのプロセッサに通信可能に接続されるメモリを含み、
前記メモリには、前記少なくとも一つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶され、前記命令が前記少なくとも一つのプロセッサによって実行されるとき、前記少なくとも一つのプロセッサは、第1態様におけるいずれかの方法を実行させることができる。
本開示の第4態様によれば、コンピュータ命令が記憶される非一時的コンピュータ可読記憶媒体を提供し、前記コンピュータ命令は、前記コンピュータに第1態様におけるいずれかの方法を実行させるために用いられる。
【0007】
本開示の第5態様によれば、コンピュータプログラム製品を提供し、コンピュータプログラムを含み、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されるとき、第1態様におけるいずれかの方法を実現させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の技術的解決手段により、マルチコピーのターゲット量子状態の変換方策の変換コストが比較的高い問題を解決し、量子状態の変換の全体的なコストを低減させる。
【0009】
この部分に記載した内容は、本開示の実施例のキーポイントや重要な特徴を特定することを意図するものではなく、また、本開示の範囲を限定するために用いられるものでもないことは理解されるべきである。本開示の他の特徴は、以下の明細書により理解されやすいようになる。
【0010】
以下の図面は、本方策をより良く理解するために用いられ、本開示に対する限定を構成するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の第1実施例による量子状態の変換方法のフロー模式図である。
図2】ターゲット変換関係の説明模式図の1である。
図3】マルチコピーターゲット量子状態の変換方策を触媒量子状態の補助でのシングルコピーターゲット量子状態の変換方策に変換する説明模式図である。
図4】ターゲット変換関係の説明模式図の2である。
図5】第1量子システムの説明模式図である。
図6】第2量子システムの説明模式図である。
図7】M個のターゲット量子状態を高次元ヒルベルト空間に埋め込む説明模式図である。
図8】第1ターゲット量子システムの説明模式図である。
図9】第2ターゲット量子システムの説明模式図である。
図10】第3ターゲット量子システムの説明模式図である。
図11】第4ターゲット量子システムの説明模式図である。
図12】第3ターゲット量子システムに埋め込まれたシステムをドロップして得る量子システムの説明模式図である。
図13】本開示で提供される1つの具体的な例の量子状態の変換方法のフロー模式図である。
図14】本開示の第2実施例による量子状態の変換装置の構造模式図である。
図15】本開示の実施例を実施するための例示的な電子機器の模式的ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下は図面を参照して本願の例示的な実施例を説明し、中には理解を促すために本開示の実施例の様々な詳細が含まれるが、それが例示的な内容に過ぎないと考えられるべきである。従って、当業者であれば、本願の範囲や趣旨から逸脱せずここに記載の実施例に対し様々な変更や修正を行うことができることは理解されるべきである。また、以下の説明では、明確化及び簡略化のため、周知の機能及び構造に対する説明は省略する。
【0013】
第1実施例
図1に示すように、本開示は、量子状態の変換方法を提供し、以下のステップS101~S103を含む。
【0014】
ステップS101において、ターゲット変換関係に基づいて、第1量子状態の第1量子システムを構築し、前記第1量子状態は、K個の初期量子状態を含み、前記ターゲット変換関係は、N個の前記初期量子状態とM個のターゲット量子状態との変換関係であり、前記第1量子システムは、M個の第1量子状態成分を含み、前記第1量子状態成分は、均一な確率で重畳されることにより前記第1量子状態を得ることができる。
【0015】
ここで、NとMは、いずれも1より大きい整数であり、NはM以上であり、Kは、NをMで割った値を基に小数点以下切り上げて得られたものである。
【0016】
本実施例において、量子状態の変換方法は、量子計算技術分野に関し、特に量子情報処理技術分野に関するものであり、それは、量子状態純粋化シーンに広く適用され得る。
【0017】
例えば、フォールトトレラント量子計算において、1つの特殊な量子状態、例えば、マッジク量子状態(magic state)に対して純粋化操作を行い、それにより、量子計算結果の誤差を低減することが出来る。また、例えば、量子ネットワーク通信において、エンタングルメント(Entanglement)量子状態を純粋化することにより、エンタングルメントを用いて量子通信を行う際の情報伝達の忠実度を補強することができる。即ち、量子状態の変換、特に、量子状態純粋化操作は、フォールトトレラント量子計算と量子ネットワーク通信を実現させるのに必要なステップである。
【0018】
本開示の実施例の量子状態の変換方法は、本開示の実施例の量子状態の変換装置によって実行され得る。本開示の実施例の量子状態の変換装置は、任意の電子機器に配置され、それにより、本開示の実施例の量子状態の変換方法を実行する。当該電子機器は、サーバであってもよいし、端末装置であってもよく、ここでは具体的に限定しない。
【0019】
最も理想的な量子状態純粋化の方策は、複数のノイズが含まれる初期量子状態を一つのノイズが低いターゲット量子状態に変換し、即ち、シングルコピーターゲット量子状態の変換を実現させ、同時に使用される初期量子状態の数はなるべく少ないことを確保する。変換を完成させるために許容される操作制限と変換した後の量子状態忠実度の閾値要求とのため、シングルコピーターゲット量子状態の変換方策は必ず存在するものではない。即ち、触媒量子状態の補助がない場合、シングルコピーターゲット量子状態の変換コストには理論的な限界が存在し、この限界より低い変換を完成できない可能性がある。
【0020】
1つよく使われる解決手段は、マルチコピーターゲット量子状態の変換方策であり、即ち、同時に大量のコピーの初期量子状態を一括して複数のコピーのターゲット量子状態に変換し、このように、ターゲット変換関係を実現し、N個のコピーの初期量子状態を一括してM個のコピーのターゲット量子状態に変換し、即ち、N個のコピーの初期量子状態を消費し、それにより、M個のコピーのターゲット量子状態を取得することができる。ここで、1個のコピーの量子状態は、一つの寄存器に記憶される量子状態を指してもよく、即ち、マルチコピーターゲット量子状態の変換方策においてN個の寄存器に記憶される初期量子状態を消費する必要があり、それにより、M個のターゲット量子状態を取得する。
【0021】
このような変換方式は、ターゲット量子状態の忠実度が閾値要求に達するようにさせ、且つ一つごとのターゲット量子状態を取得するために使用される初期量子状態の平均個の数が比較的少なく、即ち、比較的低い平均コストで変換を完成することができる。しかしながら、大量の変換を行う必要があるので、使用される初期量子状態の合計数が比較的多く、予算の制御を超えやすく、また、取得した大量のターゲット量子状態は、実際に使用される必要がある数を超える可能性があり、無駄になるようにさせる。例えば、フォールトトレラント量子計算に使用されるマジック量子状態純粋化において、大量の変換により平均コストを低減することができるが、トータルコストが、膨大である。
【0022】
従って、本実施例は、触媒量子状態の補助での量子状態の変換方策を提供し、触媒量子状態、即ち、補助量子状態の補助で、任意のマルチコピーターゲット量子状態の変換方策を、触媒量子状態の補助でのシングルコピーターゲット量子状態の変換方策に変換し、このように、量子状態の変換の全体的なコストを大きく低減させることができる。
【0023】
例えば、フォールトトレラント量子計算シーンでのマッジク量子状態純粋化に適用され、マルチコピーマッジク量子状態純粋化の方策をシングルコピーマッジク量子状態純粋化の方策に変換し、純粋化コストを低減し、計算の正確性を向上させることできる。
【0024】
また、例えば、量子ネットワーク通信に適用され、主流の量子ネットワークアーキテクチャは量子テレポーテーション伝態を採用して量子状態伝送を行うため、伝送される量子状態が破壊されないように、量子テレポーテーション伝態に係るエンタングルメント量子状態に対して純粋化操作を先に行う必要がある。マルチコピーエンタングルメント量子状態純粋化の方策をシングルコピーエンタングルメント量子状態純粋化の方策に変換することにより、エンタングルメント量子状態純粋化のコストを低減し、エンタングルメントの変換の精度を向上させることに寄与し、それにより、量子状態が伝送されるときの忠実度をさらに向上させることができる。
【0025】
即ち、仮にターゲット変換関係が成立する場合、当該ターゲット変換関係は、マルチコピーターゲット量子状態の変換方策Fにより実現され得、N個のコピーの初期量子状態ρを、M(M≦N)個のコピーの理想量子状態に変換し、変換して得られたターゲット量子状態ηと理想量子状態
【数1】
との間の忠実度は、1-ε(0≦ε≦1)であり、変換成功確率はpである。そうすると、本実施例は、触媒量子状態の補助でのシングルコピーターゲット量子状態の変換方策F´を提供し、K=[N/M](即ち、Kは、NをMで割った最も小さい正の整数以上である)個のコピーの初期量子状態ρが1個のコピーのターゲット量子状態に変換され得、且つ変換した後で得られるターゲット量子状態と理想量子状態との間の忠実度は1-εであり、成功確率はpである。
【0026】
図2は、ターゲット変換関係を説明する模式図であり、図2に完璧な変換(即ち、ε=0、変換して得られたターゲット量子状態と理想量子状態は同一であり、且つ、p=100%を表し、各ターゲット量子状態はいずれも変換に成功したことを表す)の状況が描かれており、具体的な実施はそれに限定されない。仮にマルチコピーターゲット量子状態の変換方策Fが存在してN=15個のコピーの初期量子状態ρ(ドット201で表す)をM=5個のコピーのターゲット量子状態σ(ドット202で表す)に変換し、即ち、図2において取得するターゲット量子状態は、完璧な変換の理想的な状況に対応し、即ち、5個のコピーのターゲット量子状態、
【数2】
で表され、実際のシーンにおいてターゲット量子状態間に関連関係が存在することは許容してもよい(即ち、独立で分散するドットでなくてもよい)。
【0027】
例を挙げると、図3に示すように、マルチコピーターゲット量子状態の変換方策が挙げられており、即ち、200個のコピーの初期量子状態を100個のコピーのターゲット量子状態に変換し、本実施例は、このマルチコピーターゲット量子状態の変換方策を触媒量子状態の補助でのシングルコピーターゲット量子状態の変換方策に変換することができる。具体的に、触媒量子状態の補助で、2個のコピーの初期量子状態と触媒量子状態とを利用して量子状態の変換を完成し、即ち、1個のコピーのターゲット量子状態を取得することができる。
【0028】
具体的な実現において、ターゲット変換関係が成立した場合、1個のごとのターゲット量子状態を取得するために使用される初期量子状態の平均個の数Kを決定し得る。Kは、NをMで割った値に基づいて小数点以下切り上げて得られたものであり、即ち、K=[N/M]、K個のコピーの量子状態ρを1セットにし、
【数3】
と記録し、ζは、第1量子状態である。図2に示すターゲット変換関係は、図4のように示され得る。ここで、サークル401は、第1量子状態を表し、ターゲット変換関係にはM組第1量子状態ζが含まれてもよく、それを
【数4】
で表す。
【0029】
その後、第1量子状態の第1量子システムを構築することができ、当該第1量子システムはM個の第1量子状態成分を含んでもよく、このM個の第1量子状態成分は、均一な確率で重畳されることにより第1量子状態を得ることができる。
【0030】
1つ選択可能な実施形態において、第1量子状態をM個の成分に分け、各成分は1/M個の第1量子状態であり、M個の成分を重畳して第1量子状態を得ることができ、M個の成分に基づいて第1量子システムを構築することができる。
【0031】
別の選択可能な実施形態において、第1量子状態を成分として、M個の成分を1/Mの均一な確率で重畳して第1量子状態を得ることができ、このM個の成分に基づいて第1量子システムを構築することができる。図5に示すように、当該列は、第1量子システムを表し、当該列の各行は、一つの第1量子状態成分を表す。
【0032】
ステップS102において、第1量子状態及び第2量子状態に基づいて、補助量子状態の第2量子システムを構築し、前記第2量子状態は、プリセット量子状態に基づいて前記ターゲット量子状態を前記第1量子状態のヒルベルト空間に埋め込んで得られたものであり、前記第2量子システムは、M-1個の第1サブ量子システムを含み、前記第1サブ量子システムは、M個の第2量子状態成分を含み、前記第2量子状態成分は、前記第1量子状態又は前記第2量子状態であり、前記第2量子状態成分は、均一な確率で重畳されることにより前記補助量子状態を得ることができる。
【0033】
当該ステップにおいて、第2量子状態は、プリセット量子状態に基づいてターゲット量子状態を第1量子状態のヒルベルト空間に埋め込んで得られたものである。ここで、プリセット量子状態は、いずれか1つ作製可能な量子状態、例えば、作製し易い零状態であってもよい。
一般的な場合、初期量子状態ρと変換したターゲット量子状態ηとは同じヒルベルト空間Sに位置し、即ち、対応する密度マトリックスは、同一のマトリックス次元数を有する。そして、第1量子状態はK個の初期量子状態の組み合わせによって得られるものであり、即ち、第1量子状態は、高次元ヒルベルト空間Sの量子状態であり、プリセット量子状態、例えば、零状態に基づいて一つのヒルベルト空間Sのターゲット量子状態を一つの高次元ヒルベルト空間T=Sに埋め込んで、埋め込んだ後の量子状態は、第2量子状態である。具体的な埋め込む方式は、以下の
【数5】
により変換され、つまり、ヒルベルト空間SK-1における零状態を追加することにより、ヒルベルト空間Sにおける任意の量子状態Wをヒルベルト空間Tにおける量子状態
【数6】
に拡張することができる。Wがターゲット量子状態
η
である場合、ε(W)は、第2量子状態である。
【0034】
補助量子状態は、触媒量子状態と呼ばれてもよく、マルチコピーターゲット量子状態の変換方策を触媒量子状態の補助でのシングルコピーターゲット量子状態の変換方策に変換することができる。具体的には、マルチコピーターゲット量子状態の変換方策のターゲット変換関係での量子状態の変換操作に基づいて、触媒量子状態の補助で、第1量子状態を触媒量子状態と共に変換し、それにより、K個のコピーの初期量子状態を消費することを実現し、1個のコピーのターゲット量子状態を取得してもよい。即ち、本実施例において、触媒量子状態の補助で、K個の寄存器に記憶される初期量子状態を消費するだけで、一つのターゲット量子状態を取得することができ、このように、シングルコピーターゲット量子状態の変換コストには理論的な限界が存在する束縛を破ることができる。
【0035】
第1量子状態及び第2量子状態に基づいて、補助量子状態の第2量子システムを構築し、それにより、第1量子状態の変換を補助する。ここで、構築される第2量子システムは、M-1個の第1サブ量子システムを含んでもよく、且つ、各第1サブ量子システムは、M個の第2量子状態成分を含んでもよく、このように、構築された第2量子システムにおける各第1サブ量子システムと第1量子システムとの構造が同一であるようにさせ、それにより、第1量子状態は補助量子状態とマージして共に変換され得るようにさせる。
【0036】
且つ、第2量子システムは、M-1個の第1サブ量子システムを含み、第1量子システムが第2量子システムとスティッチングされた後、M個のサブ量子システムを備え得るようにさせ、それにより、M個のサブ量子システムの同じ次元でのM個の量子状態成分(即ち、M*K個の量子状態を含む)に対してターゲット変換関係での量子状態の変換操作を実行することができる。当該量子状態の変換操作は、マルチコピーターゲット量子状態の変換方策を実現させ、即ち、N個の初期量子状態(即ち、M*K個の初期量子状態)をM個のターゲット量子状態に変換することを実現させることができる。
【0037】
具体的な構築過程において、第2量子状態成分を第1量子状態又は第2量子状態に設定し、且つ、第2量子システムには少なくともM-1個の第2量子状態成分が第1量子状態であることを確保する必要があり、それにより、第1量子システムが第2量子システムとスティッチングされた後、ターゲット変換関係での量子状態の変換操作を実行することができる。
【0038】
1つ選択可能な実施形態において、如何なる変換操作を実行しない場合でもターゲット変換関係での量子状態の変換操作を実行することができるために、第2量子システムにおけるM-1個の第1サブ量子システムの同じ次元でのM-1個の量子状態成分を第1量子状態に設定してもよい。ここで、変換操作は、変換量子状態成分が位置する次元又は量子状態成分が位置する量子システムを指してもよい。例えば、第2量子システムにおけるM-1個の第1サブ量子システムのM個の目の次元でのM-1個の量子状態成分を第1量子状態に設定してもよい。
【0039】
1つ選択可能な実施形態において、第2量子システムは、図6に示すように構成してもよく、当該図面において、各列は、一つの第1サブ量子システムを表し、即ち、当該第2量子システムは、4個の第1サブ量子システムを含んでもよく、各行は、一つの第2量子状態成分を表し、即ち、各第1サブ量子システムは、5個の第2量子状態成分を含んでもよく、ここで、一部の第2量子状態成分601は、第1量子状態に設定され、他の一部の第2量子状態成分602は、第2量子状態に設定されてもよい。完全の補助量子状態は、すべての行が表す第2量子状態成分が均一な確率で重畳されることにより得られるものである。
【0040】
ステップS103において、前記ターゲット変換関係での量子状態の変換操作、前記第1量子システム及び前記第2量子システムに基づいて、K個の前記初期量子状態及び前記補助量子状態に対して量子状態の変換を行い、前記ターゲット量子状態及び前記補助量子状態を得る。
【0041】
当該ステップにおいて、量子状態の変換操作は、マルチコピーターゲット量子状態の変換方策を実現させ、即ち、N個の初期量子状態をM個のターゲット量子状態に変換することを実現させることができる。
【0042】
1つ選択可能な実施形態において、マルチコピーターゲット量子状態の変換方策Fを設定し、NがM*Kより小さい場合、M*K-N個のコピーの初期量子状態を先にドロップし、続いて、Fを残りのコピーの初期量子状態ρに作用し(M個の第1量子状態に作用することに相当する)、それによって、ターゲット変換関係での量子状態の変換操作を実現させる。
【0043】
他の選択可能な実施形態において、マルチコピーターゲット量子状態の変換方策Fは、M*K個の初期量子状態、即ち、M個の第1量子状態701を変換してターゲット量子状態を得ることができ、そして、ηと表記され、当該量子状態は、M個のヒルベルト空間Sにおける量子状態を指してもよい。
【0044】
図7に示すように、各ヒルベルト空間Sを一つの高次元ヒルベルト空間T=Sに埋め込んで、埋め込んだ後の対応する量子状態を
【数7】
と記録してもよい。具体的な埋め込む方式としては、以下の変換
【数8】
を採用してもよく、即ち、ヒルベルト空間SK-1における零状態を追加することにより、ヒルベルト空間Sにおける任意の量子状態Wをヒルベルト空間Tにおける量子状態
【数9】
に拡張し、即ち、埋め込んだ後の量子状態は、
【数10】
である。
【0045】
【数11】
は、M個の第2量子状態702を含んでもよく、各第2量子状態は、ヒルベルト空間Sにおける1つのターゲット量子状態7021とヒルベルト空間Sにおける2つの零状態7022とを含んでもよい。つまり、ターゲット変換関係での量子状態の変換操作とは、M個の前記第1量子状態をM個の第2量子状態に変換することを指してもよい。
【0046】
第1量子システムと第2量子システムとをスティッチングし、それにより、第1量子状態と触媒量子状態とを共に変換してもよく、そのスティッチング方式は、第1量子システムスを第2量子システムの前にティッチングするものであってもよく、第1量子システムを第2量子システムの後ろにスティッチングしてもよく、ここでは具体的に限定しない。
【0047】
スティッチングして得られた第1ターゲット量子システムに基づいていくつかの操作を実行してもよく、当該操作は、ターゲット変換関係での量子状態の変換操作含んでもよく、それにより、ターゲット変換関係を実現させることができるマルチコピーターゲット量子状態の変換方策を触媒量子状態の補助でのシングルコピーターゲット量子状態の変換方策に変換し、それにより、K個のコピーの初期量子状態のみを消費することにより、1個のコピーのターゲット量子状態を取得することを実現させる。
【0048】
ここで、第1量子状態と触媒量子状態とを共に変換することは、触媒量子状態の補助で第1量子状態をターゲット量子状態に変換し、且つ、第1量子状態をターゲット量子状態に変換するとともに、触媒量子状態を還元することができ、即ち、触媒量子状態が変換前後で変化しないことを指してもよい。
【0049】
本実施例において、ターゲット変換関係に基づいて、第1量子状態の第1量子システムを構築し、第1量子状態及び第2量子状態に基づいて、補助量子状態の第2量子システムを構築し、ターゲット変換関係での量子状態の変換操作、第1量子システムと第2量子システムに基づいて、K個の初期量子状態と補助量子状態に対して量子状態の変換を行うことにより、ターゲット量子状態及び補助量子状態を得る。このように、触媒量子状態を使用することにより、任意のマルチコピーターゲット量子状態の変換方策を触媒補助でのシングルコピーターゲット量子状態の変換方策に変換し、且つ、補助量子状態が前後で変化しないことを保持することができ、それにより、量子状態の変換の全体的なコストを大きく低減し、且つ、量子状態が変換可能な範囲を拡大することができる。
【0050】
選択可能に、前記ステップS102は、具体的に、
次元指標のM個の状態に基づいて、M-1個の前記第1サブ量子システムの、各前記状態が指示する次元での前記第2量子状態成分を構築し、前記第2量子システムを得ることであって、前記次元指標は、前記第2量子状態成分の次元を指示するために用いられることと、
前記状態が指示する次元はiである場合、M-1個の前記第1サブ量子システムのうちの最初のi-1個のサブ量子システムの、i個の目の次元での前記第2量子状態成分を前記第1量子状態と設定し、M-1個の前記第1サブ量子システムのうちのM-i個のサブ量子システムの、i個の目の次元での前記第2量子状態成分を前記第2量子状態と設定することであって、iは、M以下の正の整数であることと、を含む。
【0051】
本実施形態において、次元指標は、次元数がMである一つの指標であってもよく、それは、M個の状態を含み、|i〉〈i|で表されてもよく、1≦i≦M-1であり、第2量子状態成分の次元を指示するために用いられる。
【0052】
量子状態
【数12】
の最初のi個のヒルベルト空間Tにおける量子状態を
【数13】
と表記し、
【数14】
はM個の量子システムを含み、各量子システムのヒルベルト空間はTであるので、
【数15】
を量子状態全体
【数16】
と称し、
【数17】
が普通の量子状態(即ち、次元数が1である量子状態)であると約定する。
【数18】
の定義に基づいて、触媒量子状態を下記の式(1)に示すように構築することができる。
【数19】
【0053】
上記の式(1)で構築された補助量子状態の第2量子システムは、図6に示すものであってもよく、当該触媒量子状態ω、即ち、補助量子状態の第2量子システムは、M-1個の量子システムT(即ち、列で表される第1サブ量子システム)と一つの次元数がMである古典システム(即ち、次元がMである第2量子状態成分のシステム)とを含んでもよく、各行は、補助量子状態の一つの量子状態成分を表し、完全の触媒量子状態は、すべての行で表される量子状態成分によって均一な確率で重畳して得られる。ここで、量子システムTは、量子状態がヒルベルト空間Tに位置する量子システムを表すことができる。
【0054】
具体的な構築方式は、以下のように説明する。所与された次元指標i(1≦i≦M)に対し、M-1個の第1サブ量子システムにおける最初のi―1個のサブ量子システムを第1量子状態
【数20】
に設定し、即ち、M-1個の第1サブ量子システムにおける最初のi―1個のサブ量子システムの、i個の目の次元での各第2量子状態成分をいずれも第1量子状態に設定し、残りのサブ量子システムは第2量子状態
【数21】
であり、即ち、M-1個の第1サブ量子システムにおける最後のM-i個のサブ量子システムの、i個の目の次元での各第2量子状態成分をいずれも第2量子状態に設定し、古典システムの状態を|i〉〈i|に設定し、すべての異なる1≦i≦Mに対応する第2量子状態成分を均一な確率で重畳し、それにより、補助量子状態ωを得ることができる。
【0055】
本実施形態において、次元指標のM個の状態に基づいて、M-1個の前記第1サブ量子システムの、各前記状態が指示する次元での前記第2量子状態成分を構築し、前記第2量子システムを得、前記次元指標は、前記第2量子状態成分の次元を指示するために用いられる。このように、触媒量子状態の構築を実現させることができる。
【0056】
選択可能に、前記第2量子システムは、M-1個のターゲット量子状態成分を含み、M-1個の前記ターゲット量子状態成分は、同じ次元に位置し、且つ、M-1個の前記ターゲット量子状態成分は同一であり、前記ターゲット量子状態成分は、前記第1量子状態であり、前記ステップS103は、具体的に、
前記第1量子システムと前記第2量子システムとをスティッチングし、第1ターゲット量子システムを得ることであって、前記第1ターゲット量子システムにおいて前記第1量子システムは、前記第2量子システムの前に配列されることと、
M個の第3量子状態成分に対して前記量子状態の変換操作を実行し、第2ターゲット量子システムを得ることであって、M個の前記第3量子状態成分は、前記第1量子状態成分及びM-1個の前記ターゲット量子状態成分を含み、前記量子状態の変換操作は、M個の前記第1量子状態をM個の前記第2量子状態に変換することを含むことと、
前記第2ターゲット量子システムに対して量子状態の交換操作を実行し、第3ターゲット量子システムを得ることであって、前記第3ターゲット量子システムにおける第2サブ量子システムは、M個の前記第2量子状態を含み、前記第2サブ量子システムは、M-1個の第3サブ量子システムの前に配列され、前記第3サブ量子システムは、前記第3ターゲット量子システムにおける前記第2サブ量子システム以外の他のサブ量子システムであり、M-1個の前記第3サブ量子システムとM-1個の前記第1サブ量子システムは同一であることと、
前記第2サブ量子システムに対して還元操作を実行し、前記ターゲット量子状態を得ることと、
M-1個の前記第3サブ量子システムにおける各次元の量子状態成分を均一な確率で重畳し、前記補助量子状態を得ることと、を含む。
【0057】
本実施形態において、第2量子システムは、M-1個のターゲット量子状態成分を含んでもよく、M-1個のターゲット量子状態成分は、同じ次元に位置し、且つ、M-1個のターゲット量子状態成分は同一であり、ターゲット量子状態成分は、第1量子状態である。
【0058】
図6に示すように、第2量子システムにおけるM個の目の次元でのM-1個の第2量子状態成分は、いずれも第1量子状態である。下記の触媒量子状態は、図6を例として、当該触媒量子状態の補助で、K個の初期量子状態に対して量子状態の変換を行う方策を詳しく説明する。
第1量子システムと第2量子システムとをスティッチングし、第1ターゲット量子システムを得てもよく、スティッチング過程において、第1量子システムを第2量子システムの前に配列してもよく、
【数22】
で表される。
【0059】
第1ターゲット量子システムは、図8に示すように、破線の左のサブ量子システムは、第1量子システムであり、破線の右のサブ量子システムは、第2量子システムである。第1ターゲット量子システムは、M個の量子システムTtと次元がMである1つの古典システムを含んでもよい。
【0060】
その後、第1ターゲット量子システムに一つ古典システムを制御ビットとして、量子システムを被制御ビットとする制御操作を施し、第2ターゲット量子システムを得る。具体的に、制御操作は、
【数23】
と表され、ここで、idは恒等変換であり、即ち、操作しないことであり、Fは、マルチコピーターゲット量子状態の変換方策であり、M*K>Nである場合、M*K-N個のコピーの初期量子状態をまずドロップし、Fを残りのN個のコピーの初期量子状態ρに作用することができる。即ち、制御ビットがMである場合、被制御ビットにターゲット変換関係での量子状態の変換操作を施し、そうではない場合、操作しない。
【0061】
マルチコピーターゲット量子状態の変換方策Fは一定の成功又は失敗の確率を有するので、Fを施すとき、実験が失敗した場合、実験が成功するまで、触媒量子状態を再作製し、量子状態の変換を再び実行する。
【0062】
実験が成功した後の量子状態をνと表記し、当該量子状態νの第2ターゲット量子システムは、図9に示すように、第2ターゲット量子システムにおけるM個の目の次元でのM個の量子状態成分が既にM個の第1量子状態からM個の第2量子状態に変換することに成功したことは図9から見えられ、ここで、M=5である。
【0063】
その後、第2ターゲット量子システムに量子状態の交換操作を実行して、第3ターゲット量子システムを得ることができる。ここで、量子状態の交換操作は、量子状態成分の次元交換操作、及び/又は、量子状態の量子システム交換操作を含んでもよく、量子状態成分の次元交換操作を、量子状態成分の次元を交換し、それにより、量子状態成分を一つの次元から他の次元に変換することを指し、量子状態の量子システム交換操作とは、量子状態の量子システムを交換し、それにより、量子状態を一つの量子システムを他の量子システムに変換することを指す。
【0064】
第3ターゲット量子システムは、第2サブ量子システム及び第3サブ量子システムを含んでもよく、第2サブ量子システムは、最も前に配列される量子システムであり、第3サブ量子システムは、第2サブ量子システムの後ろに配列され、第3ターゲット量子システムは、M-1個の第3サブ量子システムを含んでもよい。
【0065】
量子状態の交換操作の目的は、量子状態成分の次元交換操作、及び/又は、量子状態の量子システム交換操作により、最も前に配列される量子システム(配列位置がK個の初期量子状態の量子システム、即ち、第1量子システムに対応する)に含まれるM個の量子状態成分をM個の第2量子状態に変換し、第2サブ量子システムを得る。
【0066】
1つ選択可能な実施形態において、量子状態の交換操作により、第3ターゲット量子システムを得ることができ、図10に示すように、第2サブ量子システム1001は、5個の第2量子状態1002を含んでもよく、第2量子状態1002は、ターゲット量子状態10021と埋め込まれたプリセット量子状態10022を含んでもよい。
【0067】
第2量子状態はプリセット量子状態に基づいてターゲット量子状態を第1量子状態のヒルベルト空間に埋め込んで得られたものであるので、このように、第2サブ量子システム、即ち、M個の第2量子状態に対して還元操作を実行し、ターゲット量子状態の量子システムを得ることができ、そして、ターゲット量子状態の量子システムに基づいて、当該ターゲット量子状態を得ることができる。ここで、還元操作は、第2量子状態における埋め込む位置にあるプリセット量子状態をドロップし、即ち、削除することを指してもよい。
【0068】
第1ターゲット量子システムに対して量子状態の変換操作と量子状態の交換操作とを実行することにより、ターゲット量子状態を得るとともに、補助量子状態を還元することができる。図10に示すように、第3ターゲット量子システムは、補助量子状態の第2量子システム配列位置にある量子システム1003をさらに含み、即ち、M-1個の第3サブ量子システムを含み、第3ターゲット量子システムにおける補助量子状態の第2量子システム配列位置にある量子システム1003と、図6に示す補助量子状態の第2量子システムとは同一である。このように、M-1個の第3サブ量子システムにおける各次元の量子状態成分を均一な確率で重畳することにより、補助量子状態を得ることができ、このように後続に繰り返して使用され得る。
【0069】
本実施形態において、第1量子システムと第2量子システムとをスティッチングすることにより、第1ターゲット量子システムを得、M個の第3量子状態成分に対して量子状態の変換操作を実行し、第2ターゲット量子システムを得、第2ターゲット量子システムに対して量子状態の交換操作を実行し、第3ターゲット量子システムを得、第3ターゲット量子システムにおける第2サブ量子システムは、M個の第2量子状態を含み、第2サブ量子システムに対して還元操作を実行し、ターゲット量子状態を得る。このように、第1量子システムと第2量子システムとをスティッチングして第1ターゲット量子システムを得ることに基づいて、第1ターゲット量子システムに対して一連の操作(ターゲット変換関係での量子状態の変換操作、量子状態の交換操作及び還元操作を含む)を実行することにより、配列位置においてK個の初期量子状態に対応する量子システム、即ち、第1量子システムをターゲット量子状態の量子システムに変換することができ、それにより、触媒量子状態の補助で、K個のコピーの初期量子状態を消費することにより1個のコピーのターゲット量子状態を変換して得ることを実現させることができ、このように、量子状態の変換の全体的なコストを大きく低減させる。
【0070】
選択可能に、前記第2ターゲット量子システムに対して量子状態の交換操作を実行し、第3ターゲット量子システムを得ることは、
次元を基準とし、前記第2ターゲット量子システムにおける各次元の量子状態成分に対して第1ローテーション(Rotation)操作を実行し、第4ターゲット量子システムを得ることと、
サブ量子システムを基準とし、前記第4ターゲット量子システムにおける各サブ量子システムに対して第2ローテーション操作を実行し、前記第3ターゲット量子システムを得ることと、を含む。
【0071】
本実施形態において、量子状態の交換操作は、第1ローテーション操作及び第2ローテーション操作を含んでもよく、第1ローテーション操作は、量子状態成分の次元交換操作に対応してもよく、量子状態成分を一つの次元から他の次元に変換するために用いられ、第2ローテーション操作は、量子状態の量子システム交換操作に対応してもよく、量子状態を一つの量子システムから他の量子システムに変換するために用いられる。
【0072】
ここで、ローテーションは、すべての量子成分の変換が完成するまで量子状態成分を順次変換することを指してもよく、そして、次元を基準とすることは、一つの次元の量子状態成分を他の次元に一括して変換することを指し、サブ量子システムを基準とすることは、量子状態におけるすべての量子状態成分を一つのサブ量子システムから他のサブ量子システムに一括して変換することを指す。
【0073】
第1ローテーション操作は、1回、2回以上のローテーションを含んでもよく、ローテーションの順番は、次元の昇順に従ってもよいが、大きい方から小さい方への順番に従ってもよく、第2ローテーション操作は、1回、2回以上のローテーションを含んでもよく、ローテーションの順番は、前から後ろへのサブ量子システムの配列順番に従ってもよいが、後ろから前への配列順番に従ってもよく、ここではいずれも具体的に限定しない。
【0074】
次元を基準として、任意のローテーションステップサイズで第2ターゲット量子システムにおける各次元の量子状態成分に対して第1ローテーション操作を実行し、第4ターゲット量子システムを得てもよい。1つ選択可能な実施形態において、ローテーションステップサイズは、1であってもよく、第1ローテーション操作は、1回ローテーションを含んでもよく、ローテーション順番は、次元の昇順に従ってもよい。
【0075】
サブ量子システムを基準として、任意のローテーションステップサイズで第4ターゲット量子システムにおける各サブ量子システムに対して第2ローテーション操作を実行し、第3ターゲット量子システムを得る。1つ選択可能な実施形態において、ローテーションステップサイズは、1であってもよく、第2ローテーション操作は1回ローテーションを含んでもよく、ローテーション順番は、サブ量子システムの前から後ろへの配列順番に従ってもよい。
【0076】
第2ターゲット量子システムにおける古典システムに対してユニタリ変換を施すことにより、第1ローテーション操作を実行してもよい。スワップ(SWAP)ゲートを介して第4ターゲット量子システムにおける異なるサブ量子システムを交換し、それにより、第2ローテーション操作を実行してもよい。
【0077】
本実施形態において、第1ローテーション操作及び第2ローテーション操作により、最も前に配列される量子システムに含まれるM個の量子状態成分をM個の第2量子状態に変換し、第2サブ量子システムを得ることができ、且つ、ローテーション方式による実現は比較的簡単である。
【0078】
選択可能に、次元を基準とし、前記第2ターゲット量子システムにおける各次元の量子状態成分に対して第1ローテーション操作を実行し、第4ターゲット量子システムを得ることは、
次元の昇順に従って、ローテーションステップサイズを1として前記第2ターゲット量子システムにおける各次元の量子状態成分に対してローテーションを行い、第4ターゲット量子システムを得ることを含む。
【0079】
本実施形態において、ローテーション順番は、次元の昇順に従い、ローテーションステップサイズが1であり、1回ローテーションのみを実行してもよく、ユニタリ変換は、下記の式(2)を採用して実現されることができる。
【数24】
【0080】
以上の式(2)において、量子状態ν、即ち、第2ターゲット量子システムにおける古典システムの番号に対してローテーションを行い、即ち、すべての1≦i≦M-1に対して、|i〉〈i|を|i+1〉〈i+1|に変換し、|M〉〈M|を|1〉〈1|に変換してもよく、ローテーションの後の量子状態をνと表記する。
【0081】
図9を例として、上式(2)に示すユニタリ変換を実行した後、図9におけるすべての行に対してローテーションを行い、最後の1行を第1行に移動し、第1行を第2行に移動してもよく、このように類推すると、図11に示すような第4ターゲット量子システムを得る。
【0082】
本実施形態において、次元の昇順に従って、ローテーションステップサイズが1であり、1回ローテーションの第1ローテーション操作のみを実行することにより、量子状態の交換操作をさらに簡略化し、それにより、量子状態の変換の処理を簡略化することができる。
【0083】
選択可能に、前記サブ量子システムを基準とし、前記第4ターゲット量子システムにおける各サブ量子システムに対して第2ローテーション操作を実行し、前記第3ターゲット量子システムを得ることは、
サブ量子システムの前から後ろへの配列順番に従って、ローテーションステップサイズを1として前記第4ターゲット量子システムにおける各サブ量子システムに対してローテーションを行い、前記第3ターゲット量子システムを得ることを含む。
【0084】
本実施形態において、ローテーション順番は、サブ量子システムの前から後ろへの配列順番に従って、ローテーションステップサイズが1であり、1回ローテーションのみを実行し、量子状態ν、即ち、第4ターゲット量子システムのM個のサブ量子システムに対してローテーションを行い、サブ量子システムの番号が1,2,…,Mであると設定し、即ち、すべての1≦i≦M-1に対して、サブ量子システムiにおける量子状態をサブ量子システムi+1に変換し、サブ量子システムMにおける量子状態をサブ量子システム1に変換してもよい。具体的なローテーション方式は、隣接するサブ量子システムの間のSWAPゲートを実行することにより実現されることができ、ローテーション後の量子状態をνと表記する。
【0085】
図11を例として、図11において得られる第4ターゲット量子システムに対してサブ量子システムのローテーションを行い、即ち、図11におけるすべての列に対してローテーションを行い、最後の1列を第1列に移動し、第1列を第2列に移動し、このように類推し、図10に示すような第3ターゲット量子システムを得る。
【0086】
本実施形態において、サブ量子システムの前から後ろへの配列順番に従って、ローテーションステップサイズが1であり、1回ローテーションの第2ローテーション操作のみを実行することにより、量子状態の交換操作をさらに簡略化し、それにより、量子状態の変換の処理を簡略化することができる。
【0087】
選択可能に、前記第2サブ量子システムに対して還元操作を実行し、前記ターゲット量子状態を得ることは、
M個の前記第2量子状態に埋め込まれた前記プリセット量子状態を削除し、第4サブ量子システムを得ることであって、前記第4サブ量子システムは、M個の第3量子状態を含み、前記第3量子状態は、前記プリセット量子状態を削除した後で得られた量子状態であることと、
M個の前記第3量子状態を均一な確率で重畳し、前記ターゲット量子状態を得ることと、を含む。
【0088】
本実施形態において、第3ターゲット量子システムにおける第2サブ量子システムにおける各第2量子状態に対して処理を行ってもよく、具体的には各第2量子状態に埋め込まれたプリセット量子状態をドロップし、即ち、その1個の目の量子システムTにおいて埋め込まれたシステムSK-1をドロップし、第4サブ量子システムを取得してもよい。
【0089】
図12に示すように、図10において取得された量子状態の1個の目の量子システムTにおいて埋め込まれたシステムをドロップし、即ち、図10における第1列に対応するサークルのうちのドット10022をドロップし、第4サブ量子システムを得、第4サブ量子システムは、M個の第3量子状態1201を含んでもよく、M個の第3量子状態を均一な確率で重畳することにより、1個の目の量子システム、即ち、第4サブ量子システムにおける量子状態を出力し、当該量子状態は、ターゲット量子状態であり、このように、1個の目の量子システムにおける量子状態は、シングルコピーのターゲット量子状態であるようにさせる。そうすると、触媒量子状態の補助でのシングルコピーターゲット量子状態の変換を実現させ、即ち、K個のコピーの初期量子状態を消費して、1個のコピーのターゲット量子状態を取得することができる。
【0090】
以下は、1つの具体的な例について、本実施例で提供される量子状態の変換方策を詳しく説明する。図13に示すように、当該示例は、以下のステップ1302~1309を含む。
ステップS1301において、マルチコピーターゲット量子状態の変換方策を入力し、そのパラメータは、F、N、M、ρ、σ、ε、p等を含んでもよい。
【0091】
ステップS1302において、Kを計算し、初期量子状態を組み合わせ、図4に示すように、第1量子状態の第1量子システムを構築する。
【0092】
ステップS1303において、図7に示すようにターゲット量子状態をヒルベルト空間Tに埋め込む。
【0093】
ステップS1304において、触媒量子状態を構築し、図6に示す補助量子状態の第2量子システムを得る。
【0094】
ステップS1305において、図5に示す第1量子状態の第1量子システムと補助量子状態の第2量子システムとをスティッチングして、図8に示す第1ターゲット量子システムを得た後、第1ターゲット量子システムに対して量子状態の変換操作を実行し、図9に示す第2ターゲット量子システムを得る。
【0095】
ステップS1306において、次元の昇順に従って、ローテーションステップサイズを1として前記第2ターゲット量子システムにおける各次元の量子状態成分に対してローテーションを行い、図11に示す第4ターゲット量子システムを得る。
【0096】
ステップS1307において、サブ量子システムの前から後ろへの配列順番に従って、ローテーションステップサイズを1として前記第4ターゲット量子システムにおける各サブ量子システムに対してローテーションを行い、図10に示す第3ターゲット量子システムを得る。
【0097】
ステップS1308において、埋め込まれた量子システムをドロップし、図12に示す量子システムを得る。
【0098】
ステップS1309において、図12に示す量子システムに基づいて、均一な確率で重畳することにより、シングルコピーターゲット量子状態及び補助量子状態を出力する。
【0099】
第2実施例
図14に示すように、本開示は、量子状態の変換装置1400を提供し、
ターゲット変換関係に基づいて、第1量子状態の第1量子システムを構築するように構成される第1構築モジュール1401であって、前記第1量子状態は、K個の初期量子状態を含み、前記ターゲット変換関係は、N個の前記初期量子状態とM個のターゲット量子状態との変換関係であり、前記第1量子システムは、M個の第1量子状態成分を含み、前記第1量子状態成分は、均一な確率で重畳されることにより前記第1量子状態を得ることができ、NとMは、いずれも1より大きい整数であり、NはM以上であり、Kは、NをMで割った値を基に小数点以下切り上げて得られたものである第1構築モジュール1401と、
前記第1量子状態及び第2量子状態に基づいて、補助量子状態の第2量子システムを構築するように構成される第2構築モジュール1402であって、前記第2量子状態は、プリセット量子状態に基づいて前記ターゲット量子状態を前記第1量子状態のヒルベルト空間に埋め込んで得られたものであり、前記第2量子システムは、M-1個の第1サブ量子システムを含み、前記第1サブ量子システムは、M個の第2量子状態成分を含み、前記第2量子状態成分は、前記第1量子状態又は前記第2量子状態であり、前記第2量子状態成分は、均一な確率で重畳されることにより前記補助量子状態を得ることができる第2構築モジュール1402と、
前記ターゲット変換関係での量子状態の変換操作、前記第1量子システム及び前記第2量子システムに基づいて、K個の前記初期量子状態及び前記補助量子状態に対して量子状態の変換を行い、前記ターゲット量子状態及び前記補助量子状態を得るように構成される量子状態の変換モジュール1403と、を含む。
【0100】
選択可能に、前記第2構築モジュール1402は、具体的に、
次元指標のM個の状態に基づいて、M-1個の前記第1サブ量子システムの、各前記状態が指示する次元での前記第2量子状態成分を構築し、前記第2量子システムを得ることであって、前記次元指標は、前記第2量子状態成分の次元を指示するために用いられることと、
前記状態が指示する次元はiである場合、M-1個の前記第1サブ量子システムのうちの最初のi-1個のサブ量子システムの、i個の目の次元での前記第2量子状態成分を前記第1量子状態と設定し、M-1個の前記第1サブ量子システムのうちのM-i個のサブ量子システムの、i個の目の次元での前記第2量子状態成分を前記第2量子状態と設定することであって、iはM以下の正の整数であることと、を実行するように構成される。
【0101】
選択可能に、前記第2量子システムは、M-1個のターゲット量子状態成分を含み、M-1個の前記ターゲット量子状態成分は、同じ次元に位置し、且つ、M-1個の前記ターゲット量子状態成分は同一であり、前記ターゲット量子状態成分は、前記第1量子状態であり、前記量子状態の変換モジュール1403は、
前記第1量子システムと前記第2量子システムとをスティッチングし、第1ターゲット量子システムを得るように構成されるスティッチングサブモジュールであって、前記第1ターゲット量子システムにおいて前記第1量子システムは、前記第2量子システムの前に配列されるスティッチングサブモジュールと、
M個の第3量子状態成分に対して前記量子状態の変換操作を実行し、第2ターゲット量子システムを得るように構成される第1操作サブモジュールであって、M個の前記第3量子状態成分は、前記第1量子状態成分及びM-1個の前記ターゲット量子状態成分を含み、前記量子状態の変換操作は、M個の前記第1量子状態をM個の前記第2量子状態に変換することを含む第1操作サブモジュールと、
前記第2ターゲット量子システムに対して量子状態の交換操作を実行し、第3ターゲット量子システムを得るように構成される第2操作サブモジュールであって、前記第3ターゲット量子システムにおける第2サブ量子システムは、M個の前記第2量子状態を含み、前記第2サブ量子システムは、M-1個の第3サブ量子システムの前に配列され、前記第3サブ量子システムは、前記第3ターゲット量子システムにおける前記第2サブ量子システム以外の他のサブ量子システムであり、M-1個の前記第3サブ量子システムとM-1個の前記第1サブ量子システムは同一である第2操作サブモジュールと、
前記第2サブ量子システムに対して還元操作を実行し、前記ターゲット量子状態を得るように構成される第3操作サブモジュールと、
M-1個の前記第3サブ量子システムにおける各次元の量子状態成分を均一な確率で重畳し、前記補助量子状態を得るように構成される重畳サブモジュールと、を含む。
【0102】
選択可能に、前記第2操作サブモジュールは、
次元を基準とし、前記第2ターゲット量子システムにおける各次元の量子状態成分に対して第1ローテーション操作を実行し、第4ターゲット量子システムを得るように構成される第1操作ユニットと、
サブ量子システムを基準とし、前記第4ターゲット量子システムにおける各サブ量子システムに対して第2ローテーション操作を実行し、前記第3ターゲット量子システムを得るように構成される第2操作ユニットと、を含む。
【0103】
選択可能に、前記第1操作ユニットは、具体的に、
次元の昇順に従って、ローテーションステップサイズを1として前記第2ターゲット量子システムにおける各次元の量子状態成分に対してローテーションを行い、第4ターゲット量子システムを得るように構成される。
【0104】
選択可能に、前記第2操作ユニットは、具体的に、
サブ量子システムの前から後ろへの配列順番に従って、ローテーションステップサイズを1として前記第4ターゲット量子システムにおける各サブ量子システムに対してローテーションを行い、前記第3ターゲット量子システムを得るように構成される。
【0105】
選択可能に、前記第3操作サブモジュールは、具体的に、
M個の前記第2量子状態に埋め込まれた前記プリセット量子状態を削除し、第4サブ量子システムを得ることであって、前記第4サブ量子システムは、M個の第3量子状態を含み、前記第3量子状態は、前記プリセット量子状態を削除した後で得られた量子状態であることと、
M個の前記第3量子状態を均一な確率で重畳し、前記ターゲット量子状態を得ることと、を実行するように構成される。
【0106】
本開示で提供される量子状態の変換装置1400は、量子状態の変換方法の実施例で実現される各過程を実現させることができ、且つ同一の有益な効果を達し、重複を回避するために、ここでは説明を省略する。
【0107】
本開示の技術案において、係るユーザ個の人情報の取得、記憶、使用、加工、伝送、提供及び開示などの処理は、いずれも関連する法律・法規の規定に適合し、且つ公序良俗に反するものではない。
【0108】
本開示の実施例に基づいて、本開示は、電子機器、可読記憶媒体及びコンピュータプログラム製品をさらに提供する。
【0109】
図15は、本開示の実施例を実施するために使用される例示的な電子機器600の概略ブロック図を示している。電子機器は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレード型サーバ、メインフレームコンピュータ及びその他の適切なコンピュータ等の様々な形態のデジタルコンピュータを表すことを意図するものである。また、電子機器は、個の人デジタル処理、携帯電話、スマートフォン、ウェアラブル機器及びその他の類似するコンピューティング装置等の様々な形態のモバイル装置を表すことができる。なお、本開示に示したコンポーネント、それらの接続及び関係、及びそれらの機能はただの一例に過ぎず、本開示で説明及び/又は請求した本開示の実現を限定することを意図するものではない。
【0110】
図15に示すように、電子機器1500は、読み出し専用メモリ(ROM)1502に記憶されているコンピュータプログラム又は記憶ユニット1508からランダムアクセスメモリ(RAM)1503にロードされたコンピュータプログラムによって様々な適当な動作及び処理を実行することができる計算ユニット1501を備える。ランダムアクセスメモリ1503には、電子機器1500の動作に必要な様々なプログラム及びデータが更に格納されることが可能である。計算ユニット1501、ROM1502及びRAM1503は、バス1504を介して互いに接続されている。入力/出力(I/O)インターフェース1505もバス1504に接続されている。
【0111】
電子機器1500において、キーボード、マウスなどの入力ユニット1506と、様々なタイプのディスプレイ、スピーカなどの出力ユニット1507と、磁気ディスク、光ディスクなどの記憶ユニット1508と、ネットワークカード、モデム、無線通信送受信機などの通信ユニット1509とを含む複数のコンポーネントは、I/Oインターフェース1505に接続されている。通信ユニット1509は、電子機器1500がインターネットなどのコンピュータネットワーク及び/又は様々な電気通信ネットワークを介して他の装置と情報又はデータのインタラクションを可能にする。
【0112】
計算ユニット1501は、処理及び計算能力を有する様々な汎用及び/又は専用処理コンポーネントであってもよい。計算ユニット1501のいくつかの例としては、中央処理ユニット(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、様々な専用人工知能(AI)計算チップ、機械学習モデルアルゴリズムを実行する様々な計算ユニット、デジタル信号プロセッサ(DSP)、及び任意の適切なプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラなどを含むが、これらに限定されない。計算ユニット1501は、上述した量子状態の変換方法のような様々な方法及び処理を実行する。例えば、いくつかの実施例において、量子状態の変換方法は、記憶ユニット1508などの機械可読媒体に有形的に含まれるコンピュータソフトウェアプログラムとして実現されてもよい。いくつかの実施例において、コンピュータプログラムの一部又は全部は、ROM1502及び/又は通信ユニット1509を介して電子機器1500にロード及び/又はインストールされてもよい。コンピュータプログラムがRAM1503にロードされ、計算ユニット1501によって実行されるとき、上述の量子状態の変換方法の1つ又は複数のステップを実行可能である。あるいは、他の実施例において、計算ユニット1501は、他の任意の適切な形態によって(例えば、ファームウェアによって)量子状態の変換方法を実行するように構成されていてもよい。
【0113】
本開示において、以上で説明したシステム及び技術の様々な実施形態はデジタル電子回路システム、集積回路システム、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け標準製品(ASSP)、システムオンチップ(SOC)、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせにおいて実現される。これらの各実施形態は、1つ又は複数のコンピュータプログラムに実装され、当該1つ又は複数のコンピュータプログラムは少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステムにおいて実行及び/又は解釈されることができ、当該プログラマブルプロセッサは専用又は汎用プログラマブルプロセッサであってもよく、記憶システム、少なくとも1つの入力装置及び少なくとも1つの出力装置からデータ及び指令を受信することができ、且つデータ及び指令を当該記憶システム、当該少なくとも1つの入力装置及び該少なくとも1つの出力装置に伝送することを含むことができる。
【0114】
本開示の方法を実施するためのプログラムコードは、1つ又は複数のプログラミング言語のあらゆる組み合わせで作成することができる。これらのプログラムコードは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラミング可能なデータ処理装置のプロセッサ又はコントローラに提供され得、これらのプログラムコードがプロセッサ又はコントローラによって実行されると、フローチャート及び/又はブロック図に規定された機能/操作が実施される。プログラムコードは、完全にデバイス上で実行されることも、部分的にデバイス上で実行されることも、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして部分的にデバイス上で実行されながら部分的にリモートデバイス上で実行されることも、又は完全にリモートデバイスもしくはサーバ上で実行されうる。
【0115】
本開示のコンテキストでは、機械可読媒体は、有形の媒体であってもよく、命令実行システム、装置又は機器が使用するため、又は命令実行システム、装置又はデバイスと組み合わせて使用するためのプログラムを含むか、又は格納することができる。機械可読媒体は、機械可読信号媒体又は機械可読記憶媒体であり得る。機械可読媒体は、電子的な、磁気的な、光学的な、電磁的な、赤外線又は半導体のシステム、装置又は機器、又はこれらのあらゆる適切な組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。機械可読記憶媒体のより具体的な例には、1本又は複数本のケーブルに基づく電気的接続、携帯型コンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、光学記憶装置、磁気記憶装置、又はこれらのあらゆる適切な組み合わせが含まれ得る。
【0116】
ユーザとのインタラクションを提供するために、ここで説明するシステムと技術は、ユーザに情報を表示するための表示装置(例えば、CRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタ)と、キーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウス又はトラックボール)とを備えるコンピュータ上で実装することができ、ユーザが該キーボード及び当該ポインティング装置を介してコンピュータに入力を提供できる。他の種類の装置は、ユーザとのインタラクションを提供するために用いられ得る。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックであるいかなる形態のセンシングフィードバックであってもよく、且つ音入力、音声入力若しくは触覚入力を含むいかなる形態でユーザからの入力を受信してもよい。
【0117】
ここで説明したシステム及び技術は、バックグラウンドコンポーネントを含むコンピューティングシステム(例えば、データサーバ)に実施されてもよく、又はミドルウェアコンポーネントを含むコンピューティングシステム(例えば、アプリケーションサーバ)に実施されてもよく、又はフロントエンドコンポーネントを含むコンピューティングシステム(例えば、グラフィカルユーザインタフェース又はウェブブラウザを有するユーザコンピュータ)に実施されてもよく、ユーザは当該グラフィカルユーザインタフェース又はウェブブラウザを介してここで説明したシステム及び技術の実施形態とインタラクションしてもよく、又はこのようなバックグラウンドコンポーネント、ミドルウェアコンポーネント又はフロントエンドコンポーネントのいずれかの組み合わせを含むコンピューティングシステムに実施されてもよい。また、システムの各コンポーネントの間は、通信ネットワーク等の任意の形態又は媒体を介してデジタルデータ通信により接続されていてもよい。通信ネットワークとしては、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)及びインターネットなどを含む。
【0118】
コンピュータシステムは、クライアントとサーバとを含んでもよい。クライアントとサーバは、通常、互いに離れており、通信ネットワークを介してインタラクションを行う。クライアントとサーバとの関係は、対応するコンピュータ上で動作し且つクライアント-サーバの関係をそれぞれ有するコンピュータプログラムによって生成される。サーバは、クラウドサーバであってもよいし、分散式システムのサーバであってもよいし、又は、ブロックチェーンと組み合せられたサーバであってもよい。
【0119】
上述した様々な形態のフローを用いて、ステップを並び替え、追加又は削除を行うことができることは理解されるべきである。例えば、本出願に記載された各ステップは、本出願に開示された技術方案の所望の結果が達成できる限り、並行して実行されてもよく、順番に実行されてもよく、異なる順序で実行されてもよい。本明細書はここではそれを限定しない。
【0120】
上記具体的な実施形態は、本出願の保護範囲を限定するものではない。当業者であれば、設計要件及び他の要因に応じて、様々な修正、組み合わせ、サブコンビネーション、及び代替を行うことができることを理解すべきである。本開示の精神および原則から逸脱せずに行われるいかなる修正、同等物による置換や改良等などは、いずれも本開示の保護範囲に含まれるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15