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特開2023-85466メチル化配列決定のための単一細胞全ゲノムライブラリー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085466
(43)【公開日】2023-06-20
(54)【発明の名称】メチル化配列決定のための単一細胞全ゲノムライブラリー
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6806 20180101AFI20230613BHJP
   C12Q 1/6855 20180101ALI20230613BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20230613BHJP
   C40B 40/06 20060101ALI20230613BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20230613BHJP
【FI】
C12Q1/6806 Z
C12Q1/6855 Z ZNA
C12Q1/6869 Z
C40B40/06
C12N15/11 Z
【審査請求】有
【請求項の数】55
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023061602
(22)【出願日】2023-04-05
(62)【分割の表示】P 2019567559の分割
【原出願日】2018-06-05
(31)【優先権主張番号】62/516,324
(32)【優先日】2017-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】503061809
【氏名又は名称】オレゴン ヘルス アンド サイエンス ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】500358711
【氏名又は名称】イルミナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・シー・アディ
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・マルクイーン
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ジェイ・スチーマーズ
(72)【発明者】
【氏名】ドミトリー・ケイ・ポクホロク
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ノーバーグ
(57)【要約】
【課題】本明細書では、複数の単一細胞由来の核酸のメチル化状態を決定するための配列決定ライブラリーの調製方法が提供される。
【解決手段】本方法は、多数の単一細胞のメチル化プロファイルを迅速に、正確に、且つ安価で特徴付けるために、スプリットアンドプール組み合わせインデックス付加と亜硫酸水素処理技法とを組み合わせる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単一細胞由来の核酸のメチル化状態を決定するための配列決定ライブラリーの調製方法であって、前記方法は:
(a)複数の細胞由来の単離された核を提供することと;
(b)前記単離された核を化学処理に供して、前記単離された核の完全性を維持しながら、ヌクレオソーム枯渇核を生成することと;
(c)前記ヌクレオソーム枯渇核のサブセットを、トランスポソーム複合体を含む第1の複数の区画内に分配することであって、各区画内の前記トランスポソーム複合体は、他の区画内の第1のインデックス配列とは異なる第1のインデックス配列を含む、分配することと;
(d)ヌクレオソーム枯渇核の前記サブセットにおける核酸を複数の核酸断片に断片化し、前記第1のインデックス配列を前記核酸断片の少なくとも1つの鎖に組み込んでインデックス付加された核を生成することと;
(e)前記インデックス付加核を組み合わせて、プールされたインデックス付加核を生成することと;
(f)前記プールされたインデックス付加核のサブセットを第2の複数の区画内に分配し、前記インデックス付加核を亜硫酸水素処理に供して亜硫酸水素処理された核酸断片を生成することと;
(g)各区画内の前記亜硫酸水素処理された核酸断片を、5’末端に汎用ヌクレオチド配列及び3’末端に無作為ヌクレオチド配列を含む複数のプライマーを用いた線形増幅により増幅して、増幅された断片-アダプター分子を生成することと;
(h)第2のインデックス配列を前記増幅された断片-アダプター分子に組み込んで、デュアル-インデックス断片-アダプター分子を生成することであって、各区画内の前記第2のインデックス配列は、他の区画内の第2のインデックス配列とは異なる、生成することと;
(i)前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子を組み合わせることにより、前記複数の単一細胞由来の核酸の前記メチル化状態を決定するための配列決定ライブラリーを生成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記化学処理が、核酸-タンパク質相互作用を破壊することができるカオトロピック剤による処理を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カオトロピック剤がジヨードサリチル酸リチウムを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記化学処理が、核酸-タンパク質相互作用を破壊することができる洗剤による処理を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記洗剤がドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記細胞が、工程(a)の前に架橋剤で処理される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記架橋剤がホルムアルデヒドである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程(c)及び(f)における前記分配が、蛍光活性化核選別により行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ヌクレオソーム枯渇核の前記サブセットが、ほぼ等しい数の核を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ヌクレオソーム枯渇核の前記サブセットが、1~約2000個の核を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の複数の区画がマルチウェルプレートである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記マルチウェルプレートが96ウェルプレート又は384ウェルプレートである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プールされたインデックス付加核の前記サブセットが、ほぼ等しい数の核を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記プールされたインデックス付加核の前記サブセットが、1~約25個の核を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記プールされたインデックス付加核の前記サブセットが、前記ヌクレオソーム枯渇核の前記サブセットよりも少なくとも10倍少ない核を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記プールされたインデックス付加核の前記サブセットが、前記ヌクレオソーム枯渇核の前記サブセットよりも少なくとも100倍少ない核を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の複数の区画がマルチウェルプレートである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記マルチウェルプレートが96ウェルプレート又は384ウェルプレートである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記トランスポソーム複合体の各々が、トランスポザーゼ及びトランスポゾンを含み、前記トランスポゾンの各々が移送鎖を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記移送鎖が、シトシン残基を含まない、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記移送鎖が、前記第1のインデックス配列を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記移送鎖が、第1の汎用配列及び第1の配列決定プライマー配列をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記亜硫酸水素処理が、CpGジヌクレオチドの非メチル化シトシン残基をウラシル残基に変換し、5-メチルシトシン残基を変化させずに残す、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記亜硫酸水素処理された核酸断片の前記線形増幅が、1~10サイクルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
工程(g)における前記プライマーの前記5’末端における前記汎用ヌクレオチド配列が、第2の配列決定プライマー配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
工程(g)における前記プライマーの前記3’末端における前記無作為ヌクレオチド配列が、9個の無作為ヌクレオチドからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
工程(h)における前記第2のインデックス配列の前記組み込みが、各区画内の前記増幅された断片-アダプター分子を、各々がインデックス配列を含む第1の汎用プライマー及び第2の汎用プライマーと接触させることと、指数増幅反応を実施することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の汎用プライマーの前記インデックス配列が、前記第2の汎用プライマーの前記インデックス配列の逆相補体である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の汎用プライマーの前記インデックス配列が、前記第2の汎用プライマーの前記インデックス配列の逆相補体とは異なる、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の汎用プライマーが、第1の捕捉配列及び前記増幅された断片-アダプター分子の前記3’末端における汎用配列に相補的な第1のアンカー配列をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の捕捉配列が前記P5プライマー配列を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の汎用プライマーが、第2の捕捉配列及び前記増幅された断片-アダプター分子の前記5’末端における汎用配列に相補的な第2のアンカー配列をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記第2の捕捉配列が、前記P7プライマー配列の前記逆相補体を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記指数増幅反応がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記PCRが15~30サイクルを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記標的核酸に対して特異性を有する複数の捕捉オリゴヌクレオチドを使用した標的核酸の濃縮をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記捕捉オリゴヌクレオチドが、固体基質の表面上に固定化されている、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記捕捉オリゴヌクレオチドが汎用結合対の第1のメンバーを含み、前記結合対の第2のメンバーは、固体基質の表面上に固定化されている、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
所定のサイズ範囲内に含まれる前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子の選択をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子を配列決定して、前記複数の単一細胞由来の核酸の前記メチル化状態を決定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
複数の単一細胞由来の核酸のメチル化状態を決定するための配列決定ライブラリーの調製方法であって、前記方法は:
(a)複数の細胞由来の単離された核を提供することと;
(b)前記単離された核を化学処理に供して、前記単離された核の完全性を維持しながら、ヌクレオソーム枯渇核を生成することと;
(c)前記ヌクレオソーム枯渇核のサブセットを、トランスポソーム複合体を含む第1の複数の区画内に分配することであって、各区画内の前記トランスポソーム複合体は、他の区画内の第1のインデックス配列とは異なる第1のインデックス配列を含む、分配することと;
(d)ヌクレオソーム枯渇核の前記サブセットにおける核酸を複数の核酸断片に断片化し、前記第1のインデックス配列を前記核酸断片の少なくとも1つの鎖に組み込んでインデックス付加された核を生成することと;
(e)前記インデックス付加核を組み合わせて、プールされたインデックス付加核を生成することと;
(f)前記プールされたインデックス付加核のサブセットを第2の複数の区画内に分配し、前記インデックス付加核を亜硫酸水素処理に供して亜硫酸水素処理された核酸断片を生成することと;
(g)各区画内の前記亜硫酸水素処理された核酸断片を汎用アダプターに連結して、連結された断片-アダプター分子を生成することと;
(h)第2のインデックス配列を前記連結された断片-アダプター分子に組み込んで、デュアル-インデックス断片-アダプター分子を生成することであって、各区画内の前記第2のインデックス配列は、他の区画内の第2のインデックス配列とは異なる、生成することと;
(i)前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子を組み合わせることにより、前記複数の単一細胞由来の核酸の前記メチル化状態を決定するための配列決定ライブラリーを生成することと、
を含む、方法。
【請求項42】
前記化学処理が、核酸-タンパク質相互作用を破壊することができるカオトロピック剤による処理を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記カオトロピック剤がジヨードサリチル酸リチウムを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記化学処理が、核酸-タンパク質相互作用を破壊することができる洗剤による処理を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記洗剤がドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記細胞が、工程(a)の前に架橋剤で処理される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記架橋剤がホルムアルデヒドである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
工程(c)及び(f)における前記分配が、蛍光活性化核選別により行われる、請求項41に記載の方法。
【請求項49】
前記ヌクレオソーム枯渇核の前記サブセットが、ほぼ等しい数の核を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項50】
前記ヌクレオソーム枯渇核の前記サブセットが、1~約2000個の核を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記第1の複数の区画がマルチウェルプレートである、請求項41に記載の方法。
【請求項52】
前記マルチウェルプレートが96ウェルプレート又は384ウェルプレートである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記プールされたインデックス付加核の前記サブセットが、ほぼ等しい数の核を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項54】
前記プールされたインデックス付加核の前記サブセットが、1~約25個の核を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記プールされたインデックス付加核の前記サブセットが、前記ヌクレオソーム枯渇核の前記サブセットよりも少なくとも10倍少ない核を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項56】
前記プールされたインデックス付加核の前記サブセットが、前記ヌクレオソーム枯渇核の前記サブセットよりも少なくとも100倍少ない核を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項57】
前記第2の複数の区画がマルチウェルプレートである、請求項41に記載の方法。
【請求項58】
前記マルチウェルプレートが96ウェルプレート又は384ウェルプレートである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記トランスポソーム複合体の各々が、トランスポザーゼ及びトランスポゾンを含み、前記トランスポゾンの各々が移送鎖を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項60】
前記移送鎖が、シトシン残基を含まない、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記移送鎖が、前記第1のインデックス配列を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記移送鎖が、第1の汎用配列及び第1の配列決定プライマー配列をさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記亜硫酸水素処理が、CpGジヌクレオチドの非メチル化シトシン残基をウラシル残基に変換し、5-メチルシトシン残基を変化させずに残す、請求項41に記載の方法。
【請求項64】
前記汎用アダプターの前記連結の前に、前記亜硫酸水素処理された核酸断片の前記3’末端に1つ以上のヌクレオチドを付加して、3’突出を作製することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項65】
1つ以上のヌクレオチドの前記付加が、ターミナルトランスフェラーゼを使用して行われる、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記汎用アダプターが、前記亜硫酸水素処理された核酸断片における前記3’突出に逆相補的な突出を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
工程(h)における前記第2のインデックス配列の組み込みが、各区画内の前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子を、各々がインデックス配列を含む第1の汎用プライマー及び第2の汎用プライマーと接触させることと、指数増幅反応を実施することとを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項68】
前記第1の汎用プライマーの前記インデックス配列が、前記第2の汎用プライマーの前記インデックス配列の前記逆相補体である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記第1の汎用プライマーの前記インデックス配列が、前記第2の汎用プライマーの前記インデックス配列の前記逆相補体とは異なる、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記第1の汎用プライマーが、第1の捕捉配列及び前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子の前記3’末端における汎用配列に相補的な第1のアンカー配列をさらに含む、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記第1の捕捉配列が、前記P5プライマー配列を含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記第2の汎用プライマーが、第2の捕捉配列及び前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子の前記5’末端における汎用配列に相補的な第2のアンカー配列をさらに含む、請求項67に記載の方法。
【請求項73】
前記第2の捕捉配列が、前記P7プライマー配列の前記逆相補体を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記指数増幅反応が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む、請求項67に記載の方法。
【請求項75】
前記PCRが15~30サイクルを含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記標的核酸に対して特異性を有する複数の捕捉オリゴヌクレオチドを使用した標的核酸の濃縮をさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項77】
前記捕捉オリゴヌクレオチドが、固体基質の表面上に固定化されている、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記捕捉オリゴヌクレオチドが汎用結合対の第1のメンバーを含み、前記結合対の第2のメンバーは、固体基質の表面上に固定化されている、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
所定のサイズ範囲内に含まれる前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子の選択をさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項80】
前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子を配列決定して、前記複数の単一細胞由来の核酸の前記メチル化状態を決定することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項81】
複数の増幅部位を含む表面を提供することであって、
前記増幅部位は、遊離3’末端を有する付着した一本鎖核酸の少なくとも2つの集団を含む、提供することと、
増幅部位を含む前記表面を、個々のデュアル-インデックス断片-アダプター分子からのアンプリコンのクローン集団を各々含む複数の増幅部位を産生するのに適した条件下で、前記配列決定ライブラリーと接触させることと、
をさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項82】
前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子の数が増幅部位の数を超え、前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子が前記増幅部位への流体アクセスを有し、前記増幅部位の各々が、前記配列決定ライブラリーにおけるいくつかのデュアル-インデックス断片-アダプター分子のための容量を含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記接触させることが、(i)前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子を平均輸送速度で前記増幅部位に輸送すること、及び(ii)前記増幅部位にある前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子を平均増幅速度で増幅することを同時に含み、前記平均増幅速度が前記平均輸送速度を超える、請求項81に記載の方法。
【請求項84】
複数の増幅部位を含む表面を提供することであって、
前記増幅部位は、遊離3’末端を有する付着した一本鎖核酸の少なくとも2つの集団を含む、提供することと、
増幅部位を含む前記表面を、個々のデュアル-インデックス断片-アダプター分子からのアンプリコンのクローン集団を各々含む複数の増幅部位を産生するのに適した条件下で、前記配列決定ライブラリーと接触させることと、
をさらに含む、請求項80に記載の方法。
【請求項85】
前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子の数が増幅部位の数を超え、前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子が前記増幅部位への流体アクセスを有し、前記増幅部位の各々が、前記配列決定ライブラリーにおけるいくつかのデュアル-インデックス断片-アダプター分子のための容量を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記接触させることが、(i)前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子を平均輸送速度で前記増幅部位に輸送すること、及び(ii)前記増幅部位にある前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子を平均増幅速度で増幅することを同時に含み、前記平均増幅速度が前記平均輸送速度を超える、請求項84に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月7日に出願された米国仮出願第62/516,324号の利益を主張する。
【0002】
本開示の実施形態は、核酸の配列決定に関する。特に、本明細書に提供される方法及び組成物の実施形態は、単一細胞亜硫酸水素配列決定ライブラリーを生成することと、それから配列データを得ることに関する。
【背景技術】
【0003】
高細胞数単一細胞配列決定は、トランスクリプトーム、クロマチン接近性、及び変異の相違を介する複雑な組織内の集団の分離におけるその有効性を示した。さらに、単一細胞分割は、DNAのメチル化のようなゲノム特異的パターンで細胞分化軌跡を評価することを可能にした。DNAメチル化はシトシンへの共有結合的付加であり、組織発現における活性修飾の対象である細胞型特異性を有する標識である。DNAメチル化は、亜硫酸水素ナトリウム処理の脱アミノ化ケミストリーを用いて塩基対分割でプローブすることができる。
【0004】
最近の研究は、単一細胞縮小表現亜硫酸水素配列決定(scRRBS)又は単一細胞全ゲノム亜硫酸水素配列決定(scWGBS)のいずれかにおいて単一細胞入力を必要とする限り、亜硫酸水素配列決定を最適化した。しかしながら、これらの方法は、単一細胞反応が分離して実行される並列及び分離ライブラリー生成を介した単一細胞デコンボリューションに依存して、拡張性に欠ける。全く新しい試薬の組が、各細胞配列決定のために必要とされ、その結果、追加の各細胞のためのコストが線形に拡大縮小される。DNAの亜硫酸水素変換の課題のために、液滴又はチップベースのマイクロ流体システムは、単一細胞亜硫酸水素配列決定のために展開されておらず、また、代替的なプラットフォームを使用する理論的に実行可能ないかなる戦略も存在しない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、組成物と、拡張可能な高細胞数単一細胞メチロームプロファイリングアッセイが提供される。単一細胞全ゲノム配列決定(scWGBS)は、細胞が大量に処理され、単一細胞出力がインシリコで逆多重化され得るように、本明細書に提供される単一細胞組み合わせインデックス付加戦略によって改善される。いくつかの実施形態において、本明細書に提供される方法は、トランスポザーゼに基づくアダプターの組み込みを利用し、これは、方法を出るよりも、増加した有効性及びはるかに高いアラインメントレート (alignment rate)を生じる。2つの配列決定アダプターのうちの1つを付加するためのトランスポザーゼの使用は、より少ない雑音読み取りではるかに効率的なライブラリー構築を可能にし、従って、単一細胞単一ウェル方法を使用する10~30%と比較した場合、約60%のアラインメントレート (alignment rate)(大量細胞戦略と同様のレート)を生じる。これは、より有用な配列読み取りと、アッセイの配列決定部の劇的な費用削減とをもたらす。単一細胞亜硫酸水素配列決定ライブラリーを作製するための単一細胞組み合わせインデックス付加戦略の使用は、最小の衝突速度を有するヒト及びマウス細胞の混合物上で実証される。また、3つのヒト細胞型の混合の成功したデコンボリューションが実証され、公的に利用可能なデータを使用して細胞型割当てを達成する。
【0006】
定義
本明細書で使用される場合、用語「生物」、「対象」は互換的に使用され、動物及び植物を指す。動物の例は、ヒトなどの哺乳動物である。
【0007】
本明細書で使用される場合、用語「細胞型」は、形態、表現型、発生起源、又は他の既知の、若しくは認識可能な区別可能な細胞特徴に基づいて細胞を同定することを意図する。単一の生物(又は同じ種の生物)から、種々の異なる細胞型を得ることができる。例示的な細胞型としては、膀胱、膵臓上皮、膵臓α、膵臓β、膵臓内皮、骨髄リンパ芽球、骨髄Bリンパ芽腫、骨髄マクロファージ、骨髄赤芽球、骨髄樹状、骨髄脂肪細胞、骨髄骨細胞、骨髄軟骨細胞、前骨髄球(promyeloblast)、骨髄巨核芽球、膀胱、脳Bリンパ球、脳膠細胞、ニューロン、脳星状細胞、神経外胚葉、脳マクロファージ、脳小膠細胞、脳上皮、皮質ニューロン、脳線維芽細胞、乳房上皮、結腸上皮、結腸Bリンパ球、乳房上皮、乳房筋上皮、乳房線維芽細胞、結腸腸細胞、子宮頸部上皮、卵巣上皮、卵巣線維芽細胞、乳管上皮、舌上皮、扁桃腺樹状、扁桃腺Bリンパ球、末梢血リンパ芽球、末梢血Tリンパ芽球、末梢血皮膚Tリンパ球、末梢血ナチュラルキラー、末梢血Bリンパ芽球、末梢血単球、末梢血骨髄芽球、末梢血単芽球、末梢血前骨髄球、末梢血マクロファージ、末梢血好塩基球、肝臓内皮、肝臓肥満、肝臓上皮、肝臓Bリンパ球、脾臓内皮、脾臓上皮、脾臓Bリンパ球、肝細胞、肝臓アレキサンダー、肝臓線維芽細胞、肺上皮、気管支上皮、肺線維芽細胞、肺Bリンパ球、肺シュワン、肺扁平上皮、肺マクロファージ、肺骨芽細胞、神経内分泌、肺胞、胃上皮、及び胃線維芽細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0008】
本明細書で使用される場合、用語「組織」は、生物において1つ以上の特異的機能を実行するために一緒に作用する細胞の収集又は凝集を意味することが意図される。細胞は、場合により、形態学的に類似していてもよい。例示的な組織としては、眼、筋肉、皮膚、腱、静脈、動脈、血、心臓、脾臓、リンパ節、骨、骨髄、肺、気管支、気管、腸、小腸、大腸、結腸、直腸、唾液腺、舌、胆嚢、虫垂、肝臓、膵臓、脳、胃、皮膚、腎臓、尿管、膀胱、尿道、性腺、精巣、卵巣、子宮、卵管、胸腺、下垂体、甲状腺、副腎、又は副甲状腺が挙げられるが、これらに限定されない。組織は、ヒト又は他の生物の種々の器官のいずれかに由来し得る。組織は、健康な組織又は不健康な組織であり得る。不健康な組織の例としては、異常なメチル化を伴う種々の悪性腫瘍、例えば、肺、乳房、結腸直腸、前立腺、鼻咽頭、胃、精巣、皮膚、神経系、骨、卵巣、肝臓、血液組織、膵臓、子宮、腎臓、リンパ組織などにおける悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。悪性腫瘍は、種々の組織学的サブタイプ、例えば、癌腫、腺癌、肉腫、線維腺癌、神経内分泌、又は未分化であり得る。
【0009】
本明細書で使用される場合、用語「区画」は、何かを他のものから分離又は隔離する範囲又は容積を意味することを意図する。例示的な区画は、バイアル、チューブ、ウェル、液滴、ボーラス、ビーズ、容器、表面特徴、又は流体流、磁力、電流などの物理的な力によって分離された範囲又は容積を含むが、これらに限定されない。一実施形態では、区画は96ウェルプレート又は384ウェルプレートなどのマルチウェルプレートのウェルである。
【0010】
本明細書で使用される場合、「トランスポソーム複合体」は、組み込み酵素及び組み込み認識部位を含む核酸を指す。「トランスポソーム複合体」は、転位反応を触媒し得るトランスポザーゼ及びトランスポザーゼ認識部位によって形成される機能的複合体である(例えば、Gunderson et al.、国際公開第2016/130704号パンフレット参照されたい)。組み込み酵素の例としては、インテグラーゼ又はトランスポザーゼなどが挙げられるが、これらに限定されない。組み込み認識部位の例としては、トランスポザーゼ認識部位が挙げられるが、これに限定されない。
【0011】
本明細書で使用される場合、用語「核酸」は、当技術分野におけるその使用と一致することが意図され、天然に存在する核酸又はその機能的類似体を含む。特に有用な機能的類似体は、配列特異的な様式で核酸にハイブリダイズすることができ、又は特定のヌクレオチド配列の複製のための鋳型として使用することができる。天然に存在する核酸は、一般に、ホスホジエステル結合を含有する骨格を有する。類似体構造は、当技術分野で既知の種々の任意のものを含む、代替の骨格結合を有し得る。天然に存在する核酸は、一般に、デオキシリボース糖(例えば、デオキシリボ核酸(DNA)中に見出される)又はリボース糖(例えば、リボ核酸(RNA)中に見出される)を有する。核酸は、当技術分野で既知のこれらの糖部分の様々な類似体のいずれかを含むことができる。核酸は、天然又は非天然塩基を含むことができる。この点に関して、天然デオキシリボ核酸は、アデニン、チミン、シトシン又はグアニンからなる群から選択される1つ以上の塩基を有することができ、リボ核酸は、ウラシル、アデニン、シトシン又はグアニンからなる群から選択される1つ以上の塩基を有することができる。核酸に含まれ得る有用な非天然塩基は、当技術分野で既知である。非天然塩基の例としては、ロックト核酸(LNA)及び架橋核酸(BNA)が挙げられる。LNA及びBNA塩基は、DNAオリゴヌクレオチドに組み込まれ、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション強度及び特異性を増大させることができる。LNA及びBNA塩基と、そのような塩基の使用は、当業者に公知であり、日常的である。
【0012】
本明細書で使用される場合、用語「標的」は、核酸を参照して使用される場合、本明細書に示される方法又は組成物の文脈における核酸の意味識別名として意図され、さもなければ明示的に示されるものを超えて核酸の構成又は機能を必ずしも限定しない。標的核酸は、本質的に、既知又は未知の配列の任意の核酸であり得る。それは、例えば、ゲノムDNA又はcDNAの断片であり得る。配列決定は、標的分子の全体又は一部の配列の決定をもたらし得る。標的は、核のような一次核酸サンプルに由来し得る。一実施形態において、標的は、各標的断片の末端に汎用配列を置くことによって、増幅に好適な鋳型に処理され得る。標的はまた、一次RNAサンプルから、cDNAへの逆転写によって得ることができる。
【0013】
本明細書で使用される場合、用語「汎用」は、ヌクレオチド配列を説明するために使用される場合、分子が互いに異なる配列の領域も有する、2つ以上の核酸分子に共通する配列の領域を指す。分子のコレクションの異なるメンバーに存在する汎用配列は、汎用配列の一部、例えば、汎用捕捉配列に相補的である汎用捕捉核酸、例えば捕捉オリゴヌクレオチドの集団を使用して、複数の異なる核酸の捕捉を可能にすることができる。汎用捕捉配列の非限定的な例には、P5及びP7プライマーと同一又は相補的な配列が含まれる。同様に、分子のコレクションの異なるメンバーに存在する汎用配列は、汎用配列の一部、例えば、汎用アンカー配列に相補的である汎用プライマーの集団を使用して、複数の異なる核酸の複製又は増幅を可能にし得る。従って、捕捉オリゴヌクレオチド又は汎用プライマーは、汎用配列に特異的にハイブリダイズし得る配列を含む。
【0014】
用語「P5」及び「P7」は、増幅プライマー、例えば捕捉オリゴヌクレオチドを指す場合に使用され得る。用語「P5’」(P5’プライマー)及び「P7’」(P7’プライマー)は、各々P5及びP7の相補体を指す。任意の適切な増幅プライマーが本明細書に提示される方法において使用され得ること、及びP5及びP7の使用は、例示的な実施形態のみであることが理解されるであろう。フローセル上でのP5及びP7のような増幅プライマーの使用は、国際公開第2007/010251号パンフレット、国際公開第2006/064199号パンフレット、国際公開第2005/065814号パンフレット、国際公開第2015/106941号パンフレット、国際公開第1998/044151号パンフレット、及び国際公開第2000/018957号パンフレットの開示によって例示されるように、当技術分野で既知である。例えば、任意の適切なフォワード増幅プライマーは、固定化されているか溶液中であるかにかかわらず、相補的配列へのハイブリダイゼーション及び配列の増幅のために本明細書に提示される方法において有用であり得る。同様に、任意の適切な逆増幅プライマーは、固定化されているか溶液中であるかにかかわらず、相補的配列へのハイブリダイゼーション及び配列の増幅のために本明細書に提示される方法において有用であり得る。当業者は、本明細書に提示されるような核酸の捕捉及び/又は増幅に適切なプライマー配列を設計及び使用する方法を理解するであろう。
【0015】
本明細書で使用される場合、用語「プライマー」及びその派生語は、一般に、目的の標的配列にハイブリダイズし得る任意の核酸を指す。典型的には、プライマーは、ヌクレオチドがポリメラーゼによって重合され得る基質として機能するが、いくつかの実施形態では、プライマーは、合成された核酸鎖に組み込まれ、別のプライマーがハイブリダイズして合成核酸分子に相補的である新しい鎖をプライム合成し得る部位を提供し得る。プライマーは、ヌクレオチド又はその類似体の任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、プライマーは、一本鎖オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドである。用語「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」は、本明細書では、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指すために互換的に使用され、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、それらの類似体、又はそれらの混合物を含み得る。この用語は、等価物として、ヌクレオチド類似体から作製されたDNA又はRNAのいずれかの類似体を含み、一本鎖(例えば、センス又はアンチセンス)及び二本鎖ポリヌクレオチドに適用可能であると理解されるべきである。本明細書で使用される用語はまた、例えば逆転写酵素の作用によってRNA鋳型から産生される相補的又はコピーDNAであるcDNAを包含する。この用語は、分子の一次構造のみを指す。従って、この用語は、三本鎖、二本鎖及び一本鎖デオキシリボ核酸(「DNA」)、並びに三本鎖、二本鎖及び一本鎖リボ核酸(「RNA」)を含む。
【0016】
本明細書で使用される場合、用語「アダプター」及びその派生語(例えば、汎用アダプター)は、一般に、本開示の核酸分子に連結され得る任意の直鎖オリゴヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態では、アダプターは、サンプル中に存在する任意の標的配列の3’末端又は5’末端に実質的に相補的ではない。いくつかの実施形態では、適切なアダプター長は、約10~100ヌクレオチド、約12~60ヌクレオチド及び約15~50ヌクレオチド長の範囲である。一般に、アダプターは、ヌクレオチド及び/又は核酸の任意の組み合わせを含み得る。いくつかの態様では、アダプターは、1つ以上の位置に1つ以上の切断可能な基を含むことができる。別の態様では、アダプターは、プライマー、例えば汎用プライマーの少なくとも一部と実質的に同一又は実質的に相補的な配列を含むことができる。いくつかの実施形態では、アダプターは、下流の誤り訂正、識別、又は順序付けを支援するために、バーコード又はタグを含むことができる。「アダプター(adaptor)」及び「アダプター(adapter)」という用語は、互換的に使用される。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「各」は、項目の集合体に関連して使用される場合、集合体内の個々の項目を識別することを意図するが、文脈が別段に明確に指示しない限り、必ずしも集合体内の全ての項目を指すわけではない。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「輸送」は、流体を通る分子の移動を指す。この用語は、その濃度勾配に沿った分子の移動(例えば、受動拡散)のような受動輸送を含み得る。この用語はまた、分子がそれらの濃度勾配に沿って、又はそれらの濃度勾配に逆らって移動することができる能動輸送を含むことができる。従って、輸送は、1つ以上の分子を所望の方向に、又は増幅部位などの所望の位置に移動させるためにエネルギーを印加することを含むことができる。
【0019】
本明細書で使用される場合、「増幅する」、「増幅」又は「増幅反応」及びそれらの派生語は、一般に、核酸分子の少なくとも一部が、少なくとも1つの追加の核酸分子に複製又はコピーされる、任意の作用又はプロセスを指す。追加の核酸分子は、場合により、鋳型核酸分子の少なくともいくつかの部分と実質的に同一又は実質的に相補的である配列を含む。鋳型核酸分子は、一本鎖又は二本鎖であり得、追加の核酸分子は、独立して、一本鎖又は二本鎖であり得る。増幅は、場合により、核酸分子の線形又は指数関数的複製を含む。いくつかの実施形態では、そのような増幅は、等温条件を使用して行うことができ、別の実施形態では、そのような増幅は、熱サイクルを含むことができる。いくつかの実施形態では、増幅は、単一の増幅反応における複数の標的配列の同時増幅を含む多重増幅である。いくつかの実施形態では、「増幅」は、DNA及びRNAベースの核酸の少なくともいくつかの部分の単独又は組み合わせでの増幅を含む。増幅反応は、当業者に既知の増幅プロセスのいずれかを含むことができる。いくつかの実施形態では、増幅反応は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む。
【0020】
本明細書で使用される場合、「増幅条件」及びその派生語は、一般に、1つ以上の核酸配列を増幅するために適切な条件を指す。このような増幅は、線形又は指数関数的であり得る。いくつかの実施形態では、増幅条件は等温条件を含むことができ、或いは、熱サイクル条件、又は等温条件と熱サイクル条件の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の核酸配列を増幅するために適切な条件は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)条件を含む。典型的には、増幅条件は、1つ以上の標的配列のような核酸を増幅するのに、又は1つ以上のアダプター、例えばアダプター連結増幅標的配列に連結された増幅標的配列を増幅するのに十分な反応混合物を指す。一般に、増幅条件は、増幅又は核酸合成のための触媒、例えば、ポリメラーゼ;増幅される核酸に対してある程度の相補性を有するプライマー;及び核酸にハイブリダイズした後にプライマーの伸長を促進するためのヌクレオチド、例えばデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)を含む。増幅条件は、核酸へのプライマーのハイブリダイゼーション又はアニーリング、プライマーの伸長、及び伸長されたプライマーが増幅を受ける核酸配列から分離される変性工程を必要とし得る。典型的には、増幅条件は熱サイクルを含むことができるが、必ずしもその必要はなく、いくつかの実施形態では、増幅条件はアニーリング、伸長、及び分離の工程が繰り返される複数のサイクルを含む。典型的には、増幅状態は、Mg2+又はMn2+などのカチオンを含み、イオン強度の様々な調整剤を含むこともできる。
【0021】
本明細書で使用される場合、「再増幅」及びその派生語は、一般に、増幅された核酸分子の少なくとも一部が、任意の適切な増幅プロセス(いくつかの実施形態では、「二次」増幅と呼ばれる)を介してさらに増幅され、それによって、再増幅された核酸分子を産生する、任意のプロセスを指す。二次増幅は、増幅された核酸分子が産生された元の増幅プロセスと同一である必要はなく、増幅された核酸分子が増幅された核酸分子と完全に同一又は完全に相補的である必要もなく、必要なのは、再増幅された核酸分子が増幅された核酸分子又はその相補体の少なくとも一部を含むことだけである。例えば、再増幅は、一次増幅とは異なる標的特異的プライマーを含む、異なる増幅条件及び/又は異なるプライマーの使用を含み得る。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)は、Mullis米国特許第4,683,195号明細書及び同第4,683,202号明細書の方法を指し、これらは、クローニング又は精製なしにゲノムDNAの混合物中の目的のポリヌクレオチドのセグメントの濃度を増加させるための方法を記載する。目的のポリヌクレオチドを増幅するためのこのプロセスは、目的の所望のポリヌクレオチドを含むDNA混合物に大過剰の2つのオリゴヌクレオチドプライマーを導入し、続いてDNAポリメラーゼの存在下で一連の熱サイクルを行うことからなる。2つのプライマーは、目的の二本鎖ポリヌクレオチドの各々の鎖に相補的である。混合物は、最初に、より高い温度で変性され、次いでプライマーが、目的のポリヌクレオチド分子内の相補的配列にアニーリングされる。アニーリング後、プライマーをポリメラーゼで伸長させて、相補鎖の新しい対を形成する。変性、プライマーアニーリング及びポリメラーゼ伸長の工程は、目的の所望のポリヌクレオチドの増幅セグメントの高濃度を得るために、何度も繰り返され得る(サーモサイクリングと呼ばれる)。目的の所望のポリヌクレオチドの増幅セグメント(アンプリコン)の長さは、互いに対するプライマーの相対位置によって決定され、従って、この長さは、制御可能なパラメータである。このプロセスを繰り返すことにより、本方法は、「ポリメラーゼ連鎖反応」(以下、「PCR」)と呼ばれる。目的のポリヌクレオチドの所望の増幅セグメントは、混合物中の(濃度に関して)優勢な核酸配列になるので、それらは、「PCR増幅された」と言われる。上記の方法に対する改変において、標的核酸分子は、複数の異なるプライマー対、場合によっては、目的の標的核酸分子あたり1つ以上のプライマー対を使用してPCR増幅され得、それによって、多重PCR反応を形成する。
【0023】
本明細書で定義されるように、「多重増幅」は、少なくとも1つの標的特異的プライマーを使用する、サンプル内の2つ以上の標的配列の選択的及び非ランダム増幅を指す。いくつかの実施形態では、多重増幅は、標的配列のいくつか又は全てが単一の反応容器内で増幅されるように行われる。所定の多重増幅の「プレキシ」又は「プレックス」は、一般に、その単一多重増幅の間に増幅される異なる標的特異的配列の数を指す。いくつかの実施形態では、プレキシは、約12プレックス、24プレックス、48プレックス、96プレックス、192プレックス、384プレックス、768プレックス、1536プレックス、3072プレックス、6144プレックス以上であり得る。いくつかの異なる方法論(例えば、ゲル電気泳動、続いてデンシトメトリー、バイオアナライザーによる定量、又は定量的PCR、標識プローブとのハイブリダイゼーション;ビオチン化プライマーの組み込み、続いてアビジン-酵素コンジュゲート検出;増幅された標的配列への32P標識デオキシヌクレオチド三リン酸の組み込み)によって、増幅された標的配列を検出することも可能である。
【0024】
本明細書で使用される場合、「増幅された標的配列」及びその派生語は、一般に、標的特異的プライマー及び本明細書に提供される方法を使用して、増幅標的配列によって産生される核酸配列を指す。増幅された標的配列は、標的配列に関して同じセンス(すなわち、プラス鎖)又はアンチセンス(すなわち、マイナス鎖)のいずれかであり得る。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「連結する」、「連結」及びそれらの派生語は、一般に、2つ以上の分子を一緒に共有結合的に連結するための、例えば、2つ以上の核酸分子を互いに共有結合的に連結するためのプロセスを指す。いくつかの実施形態では、連結は、核酸の隣接するヌクレオチド間のニックを連結することを含む。いくつかの実施形態では、連結は、第1の核酸分子の末端と第2の核酸分子の末端との間に共有結合を形成することを含む。いくつかの実施形態では、連結は、1つの核酸の5’リン酸基と第2の核酸の3’ヒドロキシル基との間に共有結合を形成し、それによって連結された核酸分子を形成することを含むことができる。一般に、本開示の目的のために、増幅された標的配列は、アダプターに連結されて、アダプター連結された増幅された標的配列を生成し得る。
【0026】
本明細書で使用される場合、「リガーゼ」及びその派生語は、一般に、2つの基質分子の連結を触媒することができる任意の薬剤を指す。いくつかの実施形態では、リガーゼは、核酸の隣接するヌクレオチド間のニックの結合を触媒することができる酵素を含む。いくつかの実施形態では、リガーゼは、1つの核酸分子の5’リン酸と別の核酸分子の3’ヒドロキシルとの間の共有結合の形成を触媒し、それによって連結された核酸分子を形成することができる酵素を含む。適切なリガーゼとしては、T4 DNAリガーゼ、T4 RNAリガーゼ、及び大腸菌(E.coli)DNAリガーゼが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0027】
本明細書で使用される場合、「連結条件」及びその派生語は、一般に、2つの分子を互いに連結するために適切な条件を指す。いくつかの実施形態では、連結条件は、核酸間のニック又はギャップを封止するのに適している。本明細書で使用されるように、ニック又はギャップという用語は、当技術分野におけるこの用語の使用と一致する。典型的には、ニック又はギャップは、酵素(例えば、リガーゼ)の存在下、適切な温度及びpHで連結され得る。いくつかの実施形態では、T4 DNAリガーゼは、約70~72℃の温度で核酸間のニックに結合することができる。
【0028】
本明細書で使用される「フローセル」という用語は、そこを横切って1つ以上の流体試薬を流すことができる固体表面を含むチャンバを指す。本開示の方法において容易に使用され得るフローセル並びに関連する流体システム及び検出プラットフォームの例は、参照により本明細書に組み込まれる、例えば、Bentley et al.、Nature 456:53-59(2008)、国際公開第04/018497号パンフレット;米国特許第7,057,026号パンフレット;国際公開第91/06678号パンフレット;国際公開第07/123744号パンフレット;米国特許第7,329,492号明細書;米国特許第7,211,414号明細書;米国特許第7,315,019号明細書;米国特許第7,405,281号明細書;及び米国特許出願公開第2008/01082号明細書に記載されている。
【0029】
本明細書で使用される「アンプリコン」という用語は、核酸に関して使用される場合、核酸をコピーする生成物を意味し、この生成物は、核酸のヌクレオチド配列の少なくとも一部と同じか又は相補的であるヌクレオチド配列を有する。アンプリコンは、例えば、ポリメラーゼ伸長、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ローリングサークル増幅(RCA)、連結伸長、又は連結連鎖反応を含む、核酸又はそのアンプリコンを鋳型として使用する種々の増幅方法のいずれかによって産生され得る。アンプリコンは、特定のヌクレオチド配列の単一コピー(例えば、PCR産物)又はヌクレオチド配列の複数コピー(例えば、RCAのコンカテマー生成物)を有する核酸分子であり得る。標的核酸の第1のアンプリコンは、典型的には、相補的コピーである。後続のアンプリコンは、第1のアンプリコンの生成後に、標的核酸から、又は第1のアンプリコンから作製されるコピーである。後続のアンプリコンは、標的核酸に実質的に相補的であるか、又は標的核酸に実質的に同一である配列を有することができる。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「増幅部位」は、1つ以上のアンプリコンが生成され得るアレイ中又はアレイ上の部位を指す。増幅部位は、さらに、その部位で生成される少なくとも1つのアンプリコンを含む、保持する、又は付着させるように構成することができる。
【0031】
本明細書で使用される場合、用語「アレイ」は、相対的位置に従って互いに区別され得る部位の集団を指す。アレイの異なる部位にある異なる分子は、アレイ内の部位の位置に従って互いに区別することができる。アレイの個々の部位は、特定の型の1つ以上の分子を含み得る。例えば、部位は、特定の配列を有する単一の標的核酸分子を含み得るか、又は部位は、同じ配列(及び/又はその相補的配列)を有するいくつかの核酸分子を含み得る。アレイの部位は、同じ基質上に配置された異なるフィーチャとすることができる。例示的なフィーチャとしては、基質内のウェル、基質内若しくは基質上のビーズ(又は他の粒子)、基質からの突起、基質上のリッジ、又は基質内のチャネルが挙げられるが、これらに限定されない。アレイの部位は、各々が異なる分子を有する別個の基質であり得る。別個の基質に付着した異なる分子は、基質が関連した表面上の基質の位置に従って、又は液体若しくはゲル中の基質の位置に従って同定することができる。別個の基質が表面上に位置する例示的なアレイには、ウェル中にビーズを有するものが含まれるが、これに限定されない。
【0032】
本明細書で使用される「容量」という用語は、部位及び核酸物質に関して使用される場合、部位を占めることができる核酸物質の最大量を意味する。例えば、この用語は、特定の状態において部位を占めることができる核酸分子の総数を指すことができる。例えば、特定の状態で部位を占めることができる核酸物質の総質量、又は特定のヌクレオチド配列のコピーの総数を含む、他の尺度も同様に使用することができる。典型的には、標的核酸に対する部位の容量は、標的核酸のアンプリコンに対する部位の容量と実質的に同等である。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「捕捉剤」は、標的分子(例えば、標的核酸)に付着、保持、又は結合することができる材料、化学物質、分子、又はその部分を指す。例示的な捕捉剤には、標的核酸の少なくとも一部に相補的である捕捉核酸(本明細書では捕捉オリゴヌクレオチドとも呼ばれる)、標的核酸(又はそれに付着した結合部分)に結合することができる受容体-リガンド結合対のメンバー(例えば、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチン、レクチン、炭水化物、核酸結合タンパク質、エピトープ、抗体など)、又は標的核酸(又はそれに付着した結合部分)と共有結合を形成することができる化学試薬が含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「クローン集団」は、特定のヌクレオチド配列に関して均一である核酸の集団を指す。均一配列は、典型的には、少なくとも10ヌクレオチド長であるが、さらに長くてもよく、例えば少なくとも50、100、250、500又は1000ヌクレオチド長を含む。クローン集団は、単一の標的核酸又は鋳型核酸に由来し得る。典型的には、クローン集団中の核酸の全ては、同じヌクレオチド配列を有するであろう。クローン性から逸脱することなく、クローン集団において少数の突然変異(例えば、増幅アーチファクトに起因する)が生じ得ることが理解される。
【0035】
本明細書で使用される場合、組成物、物品、核酸、又は核の文脈における「提供する」は、組成物、物品、核酸、若しくは核を作製すること、組成物、物品、核酸、若しくは核を購入すること、又はそれ以外で化合物、組成物、物品、物品、若しくは核を得ることを意味する。
【0036】
「及び/又は」という用語は、列挙された要素のうちの1つ若しくは全て、又は列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0037】
「好ましい」及び「好ましくは」という単語は、特定の状況下で、特定の利益を与え得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ又は別の状況下で、別の実施形態も好ましい場合がある。さらに、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、別の実施形態が有用ではないことを示唆しておらず、別の実施形態を本発明の範囲から除外することを意図していない。
【0038】
用語「含む」及びその変形は、これらの用語が明細書及び特許請求の範囲に現れる場合、限定的な意味を有さない。
【0039】
「含む」又は「含んでいる」などの言葉で本明細書に記載される実施形態は、どこでも、「からなる」及び/又は「本質的にからなる」という用語で記載される他の点で類似の実施形態も提供されることが理解される。
【0040】
別段の指定がない限り、「a」、「an」、「the」、及び「少なくとも1つ」は、互換的に使用され、1つ又は複数を意味する。
【0041】
また、本明細書において、終点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0042】
別個の工程を含む本明細書に開示される任意の方法について、工程は、任意の実現可能な順序で行ってもよい。また、必要に応じて、2つ以上の工程の任意の組み合わせを同時に行ってもよい。
【0043】
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「実施形態」、「特定の実施形態」、又は「いくつかの実施形態」などへの言及は、実施形態に関連して記載された特定の特徴、構成、組成、又は特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体の様々な箇所におけるこのような語句の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態を参照しているわけではない。さらに、特定の特徴、構成、組成、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0044】
本開示の具体的な実施形態の以下の詳細な説明は、以下の図面と併せて読むと最もよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本開示による単一細胞組み合わせインデックス付加のための一般的な例示的な方法の一般的なブロック図を示す。
図2図1に一般的に示した単一細胞組み合わせインデックス付加のための方法の一実施形態の概略図を示す。
図3】線形増幅後の断片-アダプター分子の例示的な実施形態の概略図を示す。
図4】汎用アダプターの付加後の断片-アダプター分子の例示的な実施形態の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
概略図は必ずしも等尺ではない。図面で使用される同様の番号は、同様の構成要素、ステップなどを指す。しかしながら、所定の図において構成要素を指すための番号の使用は、同じ番号で標識される別の図における構成要素を限定することを意図しないことが理解されるであろう。さらに、構成要素を指すための異なる番号の使用は、異なる番号の構成要素が他の番号の構成要素と同一又は類似であり得ないことを示すことを意図していない。
【0047】
本明細書に提供される方法は、複数の細胞由来の単離された核を提供することを含む(図1、ブロック12)。細胞は、任意の生物に由来してもよく、生物の任意の細胞型又は任意の組織に由来してもよい。方法はさらに、細胞を解離すること(図2、ブロックi)、及び/又は核を単離すること(図2、ブロックii)を含み得る。細胞から核を単離するための方法は、当業者に公知であり、日常的である。核の数は、少なくとも2であり得る。上限は、本明細書に記載の方法の他の工程に使用される装置(例えば、マルチウェルプレート)の実際的制限に依存する。例えば、一実施形態では、核の数は、1,000,000,000以下、100,000,000以下、10,000,000以下、1,000,000以下、10,000以下、又は1,000以下であり得る。当業者は、各核における核酸分子が生物の全遺伝的相補体を表し、イントロン及びエキソン配列の両方、並びにプロモーター及びエンハンサー配列のような非コード調節配列を含むゲノムDNA分子であることを認識するであろう。
【0048】
一実施形態において、核は、ゲノムDNAに結合したヌクレオソームを含む。このような核は、sciATAC-seqのように、細胞の全ゲノムのDNA配列を決定しない方法において有用であり得る。別の実施形態では、単離された核は、ヌクレオソームの核を枯渇させる条件に供され、ヌクレオソーム枯渇核を生成する(図1、ブロック13、及び図2、ブロックii)。このような核は、細胞の全ゲノムDNA配列を決定することを目的とした方法において有用であり得る。一実施形態において、ヌクレオソーム枯渇に使用される条件は、単離された核の完全性を維持する。ヌクレオソーム枯渇核を生成するための方法は、当業者に公知である(例えば、Vitak et al.、2017、Nature Methods、14(3):302-308を参照されたい)。一実施形態では、本条件は、核酸-タンパク質相互作用を破壊することができるカオトロピック剤による処理を含む化学処理である。有用なカオトロピック剤の例としては、ジヨードサリチル酸リチウムが挙げられるが、これに限定されない。別の実施形態では、本条件は、核酸-タンパク質相互作用を破壊することができる洗剤による処理を含む化学処理である。有用な洗剤の例としては、ナトリウムドデシル硫酸塩(SDS)が挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、SDSのような洗剤が使用される場合、核が単離される細胞は、単離の前に架橋剤で処理される。架橋剤の有用な例としては、ホルムアルデヒドが挙げられるが、これに限定されない。
【0049】
本明細書に提供される方法は、核(例えば、ヌクレオソーム枯渇核)のサブセットを、第1の複数の区画(図1、ブロック14、及び図2、左側概略図)に分配することを含む。サブセットに存在する核の数、従って各区画に存在する核の数は、少なくとも1であり得る。一実施形態では、サブセットに存在する核の数は、2,000以下である。核をサブセットに分配するための方法は当業者に公知であり、日常的である。例としては蛍光活性化核選別(FANS)が挙げられるが、これに限定されない。
【0050】
各区画はトランスポソーム複合体を含む。トランスポザーゼ認識部位に結合したトランスポザーゼであるトランスポソーム複合体は、時に「タグメンテーション(tagmentation)」と呼ばれる過程で、トランスポザーゼ認識部位を核内の標的核酸に挿入することができる。いくつかのこのような挿入事象において、トランスポザーゼ認識部位の1つの鎖は、標的核酸に移送され得る。このような鎖は、「移送鎖」と呼ばれる。一実施形態において、トランスポソーム複合体は、2つのサブユニットを有する二量体トランスポザーゼ、及び2つの不連続なトランスポゾン配列を含む。別の実施形態では、トランスポザーゼは、2つのサブユニットを有する二量体トランスポザーゼ、及び連続したトランスポゾン配列を含む。
【0051】
いくつかの実施形態は、過剰活性Tn5トランスポザーゼ及びTn5型トランスポザーゼ認識部位(Goryshin及びReznikoff、J.Biol.Chem.、273:7367(1998))、又はMuAトランスポザーゼ並びにR1及びR2末端配列を含むMuトランスポザーゼ認識部位(Mizuuchi、K.、Cell、35:785、1983;Savilahti、H、et al.、EMBO J.、14:4893、1995)の使用を含み得る。Tn5モザイク末端(ME)配列も、当業者により最適化されて使用することができる。
【0052】
本明細書に提供される組成物及び方法の特定の実施形態で使用され得る転位系のさらなる例としては、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)Tn552(Colegio et al.、J.Bacteriol.、183:2384-8、2001;Kirby C et al.、Mol.Microbiol.、43:173-86、2002)、Ty1(Devine & Boeke、Nucleic Acids Res.、22:3765-72、1994及び国際公開第95/23875号パンフレット)、トランスポゾンTn7(Craig、N L、Science.271:1512、1996;Craig、N L、Review in:Curr Top Microbiol Immunol.、204:27-48、1996)、Tn/O及びIS10(Kleckner N、et al.、Curr Top Microbiol Immunol.、204:49-82、1996)、Marinerトランスポザーゼ(Lampe D J、et al.、EMBO J.、15:5470-9、1996)、Tc1(Plasterk R H、Curr.Topics Microbiol.Immunol.、204:125-43、1996)、Pエレメント(Gloor、G B、Methods Mol.Biol.、260:97-114、2004)、Tn3(Ichikawa & Ohtsubo、J Biol.Chem.265:18829-32、1990)、細菌挿入配列(Ohtsubo & Sekine、Curr.Top.Microbiol.Immunol.204:1-26、1996)、レトロウイルス(Brown、et al.、Proc Natl Acad Sci USA、86:2525-9、1989)、並びに酵母のレトロトランスポゾン(Boeke & Corces、Annu Rev Microbiol.43:403-34、1989)が挙げられる。さらなる例としては、IS5、Tn10、Tn903、IS911、及びトランスポザーゼファミリー酵素の操作バージョンが挙げられる(Zhang et al.、(2009)PLoS Genet.5:e1000689.Epub 2009 Oct 16;Wilson C.et al(2007)J.Microbiol.Methods 71:332-5)。
【0053】
本明細書に提供される方法及び組成物で使用され得るインテグラーゼの別の例としては、HIV-1、HIV-2、SIV、PFV-1、RSV由来のインテグラーゼのようなレトロウイルスインテグラーゼ及びそのようなレトロウイルスインテグラーゼのインテグラーゼ認識配列が挙げられる。
【0054】
本明細書に提供される方法及び組成物で有用なトランスポゾン配列は、米国特許出願公開第2012/0208705号明細書、米国特許出願公開第2012/0208724号明細書及び国際特許出願公開第2012/061832号パンフレットに提供されている。いくつかの実施形態では、トランスポゾン配列は、第1のトランスポザーゼ認識部位、第2のトランスポザーゼ認識部位、及びこれら2つのトランスポザーゼ認識部位の間に存在するインデックスを含む。
【0055】
本明細書で有用ないくつかのトランスポソーム複合体は、2つのトランスポゾン配列を有するトランスポザーゼを含む。いくつかのそのような実施形態では、2つのトランスポゾン配列は、互いに連結されず、換言すれば、トランスポゾン配列は、互いに不連続である。そのようなトランスポソームの例は、当技術分野で公知である(例えば、米国特許出願公開第2010/0120098号明細書参照されたい)。
【0056】
いくつかの実施形態において、トランスポソーム複合体は、「ループ状複合体」又は「ループ状トランスポソーム」を形成するために2つのトランスポザーゼサブユニットに結合するトランスポゾン配列核酸を含む。一例では、トランスポソームは、二量体トランスポザーゼ及びトランスポゾン配列を含む。ループ状複合体は、元の標的DNAの順序情報を維持しながら、標的DNAを断片化することなく、トランスポゾンが標的DNAに挿入されることを確実にすることができる。理解されるように、ループ状構造は、標的核酸の物理的な接続性を維持しながら、インデックスなどの所望の核酸配列を標的核酸に挿入することができる。いくつかの実施形態において、ループ状トランスポソーム複合体のトランスポゾン配列は、トランスポゾン配列が断片化されて、2つのトランスポゾン配列を含むトランスポソーム複合体を生成し得るように、断片化部位を含み得る。このようなトランスポソーム複合体は、トランスポゾンが挿入される隣接する標的DNA断片がアッセイの後の段階で明確に組み立てられ得るコード組み合わせを受け取ることを確実にするのに有用である。
【0057】
トランスポソーム複合体はまた、トランスポザーゼインデックスとも呼ばれる少なくとも1つのインデックス配列を含む。インデックス配列は、トランスポゾン配列の一部として存在する。一実施形態において、インデックス配列は、標的核酸に移送されるトランスポザーゼ認識部位の鎖である移送鎖上に存在し得る。タグ又はバーコードとも呼ばれるインデックス配列は、特定の標的核酸が存在した区画のマーカー特徴として有用である。トランスポソーム複合体のインデックス配列は、区画ごとに異なっている。従って、この実施形態において、インデックスは、特定の区画に存在する標的核酸の各々に付着される核酸配列タグであり、その存在は、核の集団が方法のこの段階で存在した区画を示すか、又は同定するために使用される。
【0058】
インデックス配列は、長さが20ヌクレオチドまで、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20であり得る。4ヌクレオチドタグは同じアレイ上で256サンプルを多重化する可能性を与え、6塩基タグは4096サンプルが同じアレイ上で処理されることを可能にする。
【0059】
一実施形態では、移送鎖はまた、汎用配列、第1の配列決定プライマー配列、又はそれらの組み合わせを含むことができる。汎用配列及び配列決定プライマー配列は、本明細書に記載される。従って、移送鎖が標的核酸に移送されるいくつかの実施形態では、標的核酸はトランスポザーゼインデックスを含み、また、汎用配列、第1の配列決定プライマー配列、又はそれらの組み合わせを含む。
【0060】
一実施形態では、移送鎖のシトシンヌクレオチドはメチル化される。別の実施形態では、移送鎖のヌクレオチドはシトシンを含まない。このような移送鎖、及びトランスポザーゼインデックス配列、汎用配列、及び/又は第1の配列決定プライマー配列を含む、移送鎖上に存在する任意の配列は、シトシン枯渇と呼ぶことができる。トランスポソーム複合体におけるシトシン枯渇ヌクレオチド配列の使用は、トランスポザーゼ効率に有意な影響を有さない。
【0061】
この方法はまた、インデックス付加された核を生成することを含む(図1、ブロック15、及び図2、ブロックiii)。一実施形態では、インデックス付加核を生成することは、ヌクレオソーム枯渇核のサブセットに存在する核酸(例えば、各区画に存在する核酸)を複数の核酸断片に断片化することを含む。一実施形態では、核酸の断片化は、核酸中に存在する断片化部位を使用することによって達成される。典型的には、断片化部位は、トランスポソーム複合体を使用することによって標的核酸に導入される。例えば、ループ状トランスポソーム複合体は、断片化部位を含むことができる。断片化部位は、標的核酸に挿入されたインデックス配列間の情報的関連ではなく物理的関連を切断するために使用することができる。切断は、生化学的手段、化学的手段又は他の手段によるものであってもよい。いくつかの実施形態では、断片化部位は、様々な手段によって断片化され得るヌクレオチド又はヌクレオチド配列を含み得る。断片化部位の例としては、制限エンドヌクレアーゼ部位、RNAseで切断可能な少なくとも1つのリボヌクレオチド、特定の化学剤の存在下で切断可能なヌクレオチド類似体、過ヨウ素酸塩での処理によって切断可能なジオール結合、化学還元剤で切断可能なジスルフィド基、光化学切断に供され得る切断可能部分、及びペプチダーゼ酵素又は他の好適な手段によって切断可能なペプチドが挙げられるが、これらに限定されない(例えば、米国特許出願公開第2012/0208705号明細書、米国特許出願公開第2012/0208724号明細書及び国際公開第2012/061832号パンフレット参照されたい)。断片化の結果は、各核が核酸断片を含む、インデックス付加核の集団であり、ここで、核酸断片は少なくとも1つの鎖に、特定の区画を示すインデックス配列を含む。
【0062】
多数の区画からのインデックス付加核を組み合わせることができる(図1、ブロック16、及び図2、左側の概略図)。例えば、2~96区画(96ウェルプレートが使用される場合)、又は2~384区画(384ウェルプレートが使用される場合)のインデックス付加核が組み合わされる。次いで、本明細書でプールされたインデックス付加核と呼ばれる、これらの組み合わされたインデックス付加核のサブセットは、第2の複数の区画に分配される。サブセット中に、従って各区画内に存在する核の数は、部分的にはインデックス衝突を減少させたいという要望に基づいており、これは、方法のこの工程において同じ区画内に終わる同じトランスポザーゼインデックスを有する2つの核の存在である。この実施形態において、サブセット中に存在する核の数は、2~30、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30であり得る。一実施形態では、サブセット中に存在する核の数は、20~24、例えば22である。核をサブセットに分配するための方法は当業者に公知であり、日常的である。例としては蛍光活性化核選別(FANS)が挙げられるが、これに限定されない。
【0063】
分配されたインデックス付加核を処理してメチル化ヌクレオチドを同定する(図1、ブロック17、及び図2、ブロックiv)。CpGジヌクレオチド配列などの部位のメチル化は、そのような部位の解析のために当技術分野で使用される様々な技法のいずれかを使用して測定することができる。1つの有用な方法は、メチル化CpGジヌクレオチド配列の同定である。メチル化CpGジヌクレオチド配列の同定は、単離されたゲノムDNA又はその断片内のCpG配列のメチル化状態依存性化学修飾、続いてDNA配列解析に依存する、シトシン変換に基づく技術を用いて決定される。メチル化CpGジヌクレオチド配列と非メチル化CpGジヌクレオチド配列とを区別することができる化学試薬には、核酸を切断するヒドラジン、及び亜硫酸水素が含まれる。亜硫酸水素処理に続くアルカリ加水分解は、非メチル化シトシンをウラシルに特異的に変換し、Olek A.、1996、Nucleic Acids Res.24:5064-6又はFrommer et al.、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1827-1831によって記載されているように、5-メチルシトシンを未修飾のまま残す。亜硫酸水素処理DNAは、続いて、PCR増幅、配列決定、及びオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションを含む検出(例えば、核酸マイクロアレイを用いて)などの分子技術によって解析することができる。一実施形態では、各区画内のインデックス付加核は、亜硫酸水素処理のための条件に曝露される。核酸の亜硫酸水素処理は当業者に公知であり、日常的である。一実施形態では、亜硫酸水素処理はCpGジヌクレオチドの非メチル化シトシン残基をウラシル残基に変換し、5-メチルシトシン残基を変化させずに残す。亜硫酸水素処理は、亜硫酸水素処理された核酸断片をもたらす。
【0064】
亜硫酸水素処理された核酸断片の生成後、断片は、一端又は両端にさらなるヌクレオチドを含むように改変される(図1、ブロック18、並びに図2、ブロックv及びvi)。一実施形態において、改変は、複数のプライマーを使用して、亜硫酸水素処理された核酸断片を線形増幅に供することを含む。各プライマーは、少なくとも2つの領域;5’末端に汎用ヌクレオチド配列、及び3’末端に無作為ヌクレオチド配列を含む。汎用ヌクレオチド配列は各プライマーにおいて同一であり、一実施形態では、第2の配列決定プライマー配列(図2にて読み取り2プライマーとも呼ばれる)を含む(ブロックvii)。無作為ヌクレオチド配列の領域は、亜硫酸水素処理された核酸断片中の全ての配列に相補的である少なくとも1つのプライマーが存在すべきであるように使用される。完全なカバレージの可能性を所望の水準まで増大させるために使用され得る無作為ヌクレオチドの数は、日常的な方法を使用して決定され得、6~12の無作為ヌクレオチド、例えば9の無作為ヌクレオチドであり得る。一実施形態では、サイクル数は10サイクル以下、例えば9サイクル、8サイクル、7サイクル、6サイクル、5サイクル、4サイクル、3サイクル、2サイクル、又は1サイクルに制限される。線形増幅の結果は、増幅された断片-アダプター分子である。断片-アダプター分子の例を図3に示す。断片-アダプター分子30は、トランスポザーゼインデックス並びに増幅及び/又は配列決定のために使用され得る汎用配列を含む、トランスポソーム複合体31及び32の移送された鎖に由来するヌクレオチドを含む。断片-アダプター分子はまた、核33のゲノムDNA、無作為ヌクレオチド配列34の領域、及び汎用ヌクレオチド配列35に由来するヌクレオチドを含む。
【0065】
線形増幅の後、固定化及び配列決定の前に、断片-アダプター分子の末端をさらに改変するために、指数増幅反応、例えばPCRが続く。この工程は、PCRによる断片-アダプター分子のインデックス付加を生じる(図1、ブロック19)。断片-アダプター分子の末端に存在する汎用配列31、32及び/又は35は、プライマーとして働き、増幅反応において伸長され得る汎用アンカー配列の結合のために使用され得る。典型的には、2つの異なるプライマーが使用される。一方のプライマーは、断片-アダプター分子の一方の鎖の3’末端で汎用配列とハイブリダイズし、第2のプライマーは、断片-アダプター分子の他方の鎖の3’末端で汎用配列とハイブリダイズする。従って、各プライマーのアンカー配列は異なっていてもよい。好適なプライマーは、各々、汎用捕捉配列などの追加の汎用配列と、別のインデックス配列とを含むことができる。各プライマーはインデックスを含むことができるので、この工程は1つ又は2つのインデックス配列、例えば、第2及び場合による第3のインデックスの付加をもたらす。第2及び場合による第3のインデックスを有する断片-アダプター分子は、デュアル-インデックス断片-アダプター分子と呼ばれる。第2及び第3のインデックスは、互いに逆相補体とすることができ、又は第2及び第3のインデックスは、互いに逆相補体ではない配列を有することができる。この第2のインデックス配列及び場合による第3のインデックスは、分配されたインデックス付加核が亜硫酸水素ナトリウムでの処理の前に配置された各区画に固有である。このPCR増幅の結果は、図2、ブロックviiに示される断片-アダプター分子と類似又は同一の構成を有する複数又はライブラリーの断片-アダプター分子である。
【0066】
別の実施形態では、改変は、亜硫酸水素処理された核酸断片を、断片の両末端へのさらなる配列の連結を生じる条件に供することを含む。一実施形態では、平滑末端連結を使用することができる。別の実施形態では、断片は、例えば、単一のデオキシヌクレオチド、例えばデオキシアデノシン(A)を亜硫酸水素処理核酸断片の3’末端に付加する非鋳型依存性末端トランスフェラーゼ活性を有するTaqポリメラーゼ又はKlenowエキソマイナスポリメラーゼのような特定のタイプのDNAポリメラーゼの活性によって、単一の突出ヌクレオチドを用いて調製される。このような酵素は、断片の各鎖の平滑末端3’末端に単一のヌクレオチド「A」を付加するために使用され得る。従って、「A」はTaq又はKlenowエキソマイナスポリメラーゼとの反応によって二本鎖標的断片の各鎖の3’末端に付加され得る一方、断片の各末端に付加されるさらなる配列は、付加される二本鎖核酸の各領域の3’末端上に存在する適合性の「T」突出を含み得る。この末端改変はまた、核酸の自己連結を妨げ、その結果、この実施形態で付加される配列に隣接する亜硫酸水素処理核酸断片の形成に偏っている。
【0067】
本明細書に記載される方法による核酸分子の断片化は、平滑末端及び3’及び5’突出末端の不均一な混合物を有する断片を生じる。従って、例えばクローニングベクターの平滑部位への挿入に最適な末端を生成するために、当技術分野で公知の方法又はキット(例えば、Lucigen DNAターミネーター末端修復キット)を使用して、断片末端を修復することが望ましい。特定の実施形態において、核酸集団の断片末端は平滑末端化されている。より具体的には、断片末端は平滑末端化され、リン酸化されている。リン酸部分は酵素処理を介して、例えば、ポリヌクレオチドキナーゼを用いて導入することができる。
【0068】
一実施形態では、亜硫酸水素処理された核酸断片は、最初に、亜硫酸水素処理された核酸断片の5’末端及び3’末端に、同一の汎用アダプター(「ミスマッチアダプター」とも呼ばれ、その全般的な特徴はGormley et al.、米国特許第7,741,463号明細書、及びBignell et al.、米国特許第8,053,192号明細書に記載されている)を連結して、断片-アダプター分子を形成することによって処理される。一実施形態では、汎用アダプターは配列決定に必要な全ての配列を含み、断片-アダプター分子をアレイ上に固定化することを含む。配列決定されるべき核酸は単一細胞由来であるので、断片-アダプター分子のさらなる増幅は、配列決定のための十分な数の断片-アダプター分子を達成するために有用である。
【0069】
別の実施形態では、汎用アダプターが配列決定に必要な全ての配列を含まない場合、PCR工程を使用して、固定化及び配列決定の前に、各断片-アダプター分子に存在する汎用アダプターをさらに改変し得る。例えば、最初のプライマー伸長反応は、断片-アダプター分子に存在する汎用配列に相補的な汎用アンカー配列を使用して実施され、ここで、個々の断片-アダプター分子の各々の両方の鎖に相補的な伸長産物が形成される。典型的には、PCRは、汎用捕捉配列などの追加の汎用配列、及び別のインデックス配列を付加する。各プライマーはインデックスを含むことができるので、この工程は1つ又は2つのインデックス配列、例えば、第2及び場合による第3のインデックスの付加、並びにアダプター連結による断片-アダプター分子のインデックス付加をもたらす(図1、ブロック19)。得られた断片-アダプター分子は、デュアル-インデックス断片-アダプター分子と呼ばれる。
【0070】
配列決定に必要な全ての配列を含む汎用アダプターを連結する単一工程方法によって、又は汎用アダプターを連結し、次いでPCR増幅して汎用アダプターをさらに改変する2工程方法によって、汎用アダプターが付加された後、最終的な断片-アダプター分子は、汎用捕捉配列、第2のインデックス配列、及び場合による第3のインデックス配列を含むであろう。これらのインデックスは、線形増幅によるデュアル-インデックス断片-アダプターの産生において記載された第2及び第3のインデックスに類似している。第2及び第3のインデックスは互いに逆相補体とすることができ、又は第2及び第3のインデックスは、互いに逆相補体ではない配列を有することができる。これらの第2及び場合による第3のインデックス配列は、分配されたインデックス付加核が亜硫酸水素ナトリウムでの処理の前に置かれた各区画に固有である。汎用アダプターを両端に付加した結果、図4に示す断片-アダプター分子40と類似又は同一の構成を有する断片-アダプター分子の複数又はライブラリーが得られる。断片-アダプター分子40は、各々3’フローセルアダプター(例えば、P5)及び5’フローセルアダプター(例えば、P7’)とも呼ばれる捕捉配列41及び48と、i5及びi7などのインデックス42及び47とを含む。断片-アダプター分子40はまた、トランスポザーゼインデックス44並びに増幅及び/又は配列決定のために使用され得る汎用配列45を含む、トランスポソーム複合体43の移送鎖に由来するヌクレオチドを含む。断片-アダプター分子はまた、核46のゲノムDNAに由来するヌクレオチドを含む。
【0071】
得られたデュアル-インデックス断片-アダプター分子は集合的に、固定化され、次いで配列決定され得る核酸のライブラリーを提供する。ライブラリーという用語は、それらの3’末端及び5’末端に公知の汎用配列を含む単一細胞由来の断片の収集を指す。
【0072】
亜硫酸水素処理された核酸断片が追加のヌクレオチドを含むように改変された後、デュアル-インデックス断片-アダプター分子は、長さ150~400ヌクレオチド、例えば150~300ヌクレオチドなどの所定のサイズ範囲について選択する条件に供され得る。得られたデュアル-インデックス断片-アダプター分子をプールし、場合により、組み込まれていない汎用アダプター又はプライマーの少なくとも一部を除去することによって、DNA分子の純度を高めるための清浄化プロセスに供することができる。電気泳動、サイズ排除クロマトグラフィーなどのような任意の好適な清浄化プロセスを使用することができる。いくつかの実施形態では、固相可逆的固定化常磁性ビーズを用いて、所望のDNA分子を、付着していない汎用アダプター又はプライマーから分離し、サイズに基づいて核酸を選択し得る。固相可逆的固定化常磁性ビーズは、Beckman Coulter(Agencourt AMPure XP)、Thermofisher(MagJet)、Omega Biotek(Mag-Bind)、Promega Beads(Promega)、及びKapa Biosystems(Kapa Pure Beads)から市販されている。
【0073】
複数の断片-アダプター分子は、配列決定のために調製され得る。断片-アダプター分子をプールした後、それらを固定化し、配列決定の前に増幅する(図1、ブロック20)。1つ以上の供給源から基質に断片-アダプター分子を付着させる方法は、当技術分野で公知である。同様に、固定化された断片-アダプター分子を増幅するための方法は、架橋増幅及び動力学排除を含むが、これらに限定されない。配列決定の前に固定化及び増幅するための方法は、例えば、Bignell et al.(米国特許第8,053,192号明細書)、Gunderson et al.(国際公開第2016/130704号パンフレット)、Shen et al.(米国特許第8,895,249号明細書)、及びPipenburg et al.(米国特許第9,309,502号明細書)に記載される。
【0074】
プールされたサンプルは、配列決定のための調製において固定化され得る。配列決定は、単一分子のアレイとして行うことができ、又は配列決定の前に増幅することができる。増幅は、1つ以上の固定化プライマーを使用して行うことができる。固定化されたプライマーは、平坦な表面上のローン、又はビーズのプール上のローンであり得る。ビーズのプールは、エマルジョンの各「区画」において単一のビーズを有するエマルジョンに分離することができる。「区画」当たり1つの鋳型のみの濃度で、単一の鋳型のみが各ビーズ上で増幅される。
【0075】
本明細書で使用される「固相増幅」という用語は、増幅産物の全部又は一部がそれらが形成されるにつれて固体支持体上に固定化されるように、固体支持体上で、又は固体支持体と関連して実施される任意の核酸増幅反応を指す。特に、この用語は、固相ポリメラーゼ連鎖反応(固相PCR)及び固相等温増幅を包含し、これらは、フォワード及びリバース増幅プライマーの一方又は両方が固体支持体上に固定化されることを除いて、標準溶液相増幅に類似する反応である。固相PCRは、一方のプライマーがビーズに固定され、他方が遊離溶液中にあるエマルジョン、及び一方のプライマーが表面に固定され、一方が遊離溶液中にある固相ゲルマトリックス中のコロニー形成などのシステムを包含する。
【0076】
いくつかの実施形態では、固体支持体は、パターン化された表面を含む。「パターン化された表面」は、固体支持体の露出した層の中又は上の異なる領域の配置を指す。例えば、1つ以上の領域は、1つ以上の増幅プライマーが存在するフィーチャであり得る。フィーチャは、増幅プライマーが存在しない間隙領域によって分離することができる。いくつかの実施形態では、パターンは、行及び列にあるフィーチャのx-yフォーマットとすることができる。いくつかの実施形態では、パターンは、フィーチャ及び/又は間隙領域の繰り返し配列とすることができる。いくつかの実施形態では、パターンは、フィーチャ及び/又は間隙領域のランダムな配置とすることができる。本明細書に記載される方法及び組成物において使用することができる例示的なパターン化表面は、米国特許第8,778,848号明細書、同第8,778,849号明細書、及び同第9,079,148号明細書、並びに米国特許出願公開第2014/0243224号明細書に記載されている。
【0077】
いくつかの実施形態では、固体支持体は、表面にウェル又は窪みのアレイを含む。これは、フォトリソグラフィ、スタンピング技法、成形技法、及びマイクロエッチング技法を含むがこれらに限定されない、様々な技法を使用して、当技術分野で一般に知られているように製造することができる。当業者によって理解されるように、使用される技法は、アレイ基質の組成及び形状に依存するであろう。
【0078】
パターン化された表面のフィーチャは、パターン化された共有結合ゲル(例えば、ポリ(N-(5-アジドアセトアミジルペンチル)アクリルアミド-co-アクリルアミド)(PAZAM、例えば、米国特許出願公開第2013/184796号明細書、国際公開第2016/066586号パンフレット、及び国際公開第2015/002813号パンフレットを参照されたい)を有する、ガラス、シリコン、プラスチック、又は他の適切な固体支持体上のウェル(例えば、マイクロウェル又はナノウェル)のアレイ中のウェルであり得る。このプロセスは、配列決定のために使用されるゲルパッドを作製し、このゲルパッドは、多数のサイクルを有する配列決定ランにわたって安定であり得る。ウェルへのポリマーの共有結合は、様々な使用の間、構造化基質の寿命を通して構造化フィーチャ内にゲルを維持するのに役立つ。しかしながら、多くの実施形態では、ゲルは、ウェルに共有結合される必要はない。例えば、いくつかの条件において、構造化基質のいずれの部分にも共有結合していないシランを含まないアクリルアミド(SFA、例えばその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,563,477号明細書を参照されたい)が、ゲル材料として使用され得る。
【0079】
特定の実施形態では、構造化基質は、固体支持体材料をウェル(例えば、マイクロウェル又はナノウェル)でパターン化し、パターン化支持体をゲル材料(例えば、PAZAM、SFA、又はSFAのアジド化(azidolyzed)バージョン(アジド-SFA)などのその化学修飾異形)でコーティングし、ゲルコーティングされた支持体を、例えば、化学研磨又は機械研磨によって研磨し、それによって、ウェル内にゲルを保持するが、ウェル間の構造化基質の表面上の間隙領域から実質的に全てのゲルを除去又は不活性化することによって作製することができる。プライマー核酸は、ゲル材料に付着させることができる。次いで、断片-アダプター分子の溶液を、個々の断片-アダプター分子がゲル材料に付着したプライマーとの相互作用を介して個々のウェルに播種されるように、研磨された基質と接触させることができるが、標的核酸は、ゲル材料の非存在又は不活性のために、間隙領域を占有しないであろう。断片-アダプター分子の増幅は、間質領域におけるゲルの非存在又は不活性が増殖する核酸コロニーの外側への移動を妨げるので、ウェルに限定される。このプロセスは、好都合に製造可能であり、スケーラブルであり、従来のマイクロ又はナノ製造方法を利用する。
【0080】
本開示は、1つの増幅プライマーのみが固定化される(他のプライマーは通常、遊離溶液中に存在する)「固相」増幅方法を包含するが、固体支持体には、固定化されたフォワードプライマー及びリバースプライマーの両方が提供されることが好ましい。実際には、増幅プロセスは増幅を維持するために過剰のプライマーを必要とするので、固体支持体上に固定化された「複数の」同一のフォワードプライマー及び/又は「複数の」同一のリバースプライマーが存在するであろう。本明細書におけるフォワードプライマー及びリバースプライマーへの言及は、文脈が特に示さない限り、そのようなプライマーの「複数」を包含するものとして解釈されるべきである。
【0081】
当業者に理解されるように、任意の所定の増幅反応は、増幅される鋳型に特異的な少なくとも1つのタイプのフォワードプライマー及び少なくとも1つのタイプのリバースプライマーを必要とする。しかしながら、特定の実施形態では、フォワードプライマー及びリバースプライマーは、同一配列の鋳型特異的部分を含み得、完全に同一のヌクレオチド配列及び構造(任意の非ヌクレオチド修飾を含む)を有し得る。言い換えれば、1つのタイプのプライマーのみを使用して固相増幅を行うことが可能であり、このような単一プライマー法は、本発明の範囲内に包含される。別の実施形態は、同一の鋳型特異的配列を含むが、いくつかの他の構造的特徴において異なるフォワードプライマー及びリバースプライマーを使用し得る。例えば、1つのタイプのプライマーは、他に存在しない非ヌクレオチド修飾を含み得る。
【0082】
本開示の全ての実施形態において、固相増幅のためのプライマーは、好ましくは、プライマーの5’末端又はその近くで固体支持体への一点共有結合によって固定化され、プライマーの鋳型特異的部分は、その同族鋳型にアニールするように遊離のままであり、3’ヒドロキシル基は、プライマー伸長のために遊離である。当技術分野で既知の任意の適切な共有結合手段を、このために使用することができる。選択される付着化学は、固体支持体の性質、及びそれに適用される任意の誘導体化又は官能化に依存するであろう。プライマー自体は、付着を容易にするために、非ヌクレオチド化学修飾であり得る部分を含み得る。特定の実施形態では、プライマーは、5’末端に、ホスホロチオエート又はチオホスフェートなどの硫黄含有求核試薬を含み得る。固体支持ポリアクリルアミドヒドロゲルの場合、この求核試薬は、ヒドロゲル中に存在するブロモアセトアミド基に結合することができる。プライマー及び鋳型を固体支持体に付着させるより具体的な手段は、国際公開第05/065814号パンフレットに完全に記載されているように、重合アクリルアミド及びN-(5-ブロモアセトアミジルペンチル)アクリルアミド(BRAPA)からなるヒドロゲルへの5’ホスホロチオエート付着を介するものである。
【0083】
本開示の特定の実施形態は、例えば、ポリヌクレオチドなどの生体分子への共有結合を可能にする反応性基を含む中間材料の層又はコーティングの適用によって「官能化」された不活性基質又はマトリックス(例えば、スライドガラス、ポリマービーズなど)からなる固体支持体を利用してもよい。このような支持体の例としては、ガラスなどの不活性基質上に支持されたポリアクリルアミドヒドロゲルが挙げられるが、これらに限定されない。そのような実施形態では、生体分子(例えば、ポリヌクレオチド)は、中間材料(例えば、ヒドロゲル)に直接共有結合されてもよいが、中間材料自体は、基質又はマトリックス(例えば、ガラス基質)に非共有結合されてもよい。用語「固体支持体への共有結合」は、従って、このタイプの配置を包含するものとして解釈されるべきである。
【0084】
プールされたサンプルは、各ビーズがフォワード及びリバース増幅プライマーを含むビーズ上で増幅され得る。特定の実施形態では、断片-アダプター分子のライブラリーは、固相増幅、より具体的には固相等温増幅により、米国特許出願公開第2005/0100900号明細書、米国特許第7,115,400号明細書、国際公開第00/18957号パンフレット及び国際公開第98/44151号パンフレットに記載されているものに類似する核酸コロニーのクラスター化アレイを調製するために使用される。用語「クラスター」及び「コロニー」は、本明細書では、複数の同一の固定化核酸鎖及び複数の同一の固定化相補的核酸鎖からなる固体支持体上の別個の部位を指すために、互換的に使用される。用語「クラスター化アレイ」は、このようなクラスター又はコロニーから形成されるアレイを指す。この文脈において、用語「アレイ」は、クラスターの順序付けられた配置を必要とするものとして理解されるべきではない。
【0085】
用語「固相」又は「表面」は、プライマーが平坦な表面(例えば、ガラス、シリカ又はプラスチック顕微鏡スライド又は類似のフローセルデバイス)に付着される平面アレイ;1つ又は2つのプライマーがビーズに付着され、ビーズが増幅されるビーズ;又はビーズが増幅された後の表面上のビーズのアレイのいずれかを意味するために使用される。
【0086】
クラスター化アレイは、国際公開第98/44151号パンフレットに記載されているようなサーモサイクリングのプロセス、又は温度が一定に維持され、伸長及び変性のサイクルが試薬の変更を用いて行われるプロセスのいずれかを用いて調製することができる。このような等温増幅法は、特許出願番号、国際公開第02/46456号パンフレット及び米国特許出願公開第2008/0009420号パンフレットに記載されている。等温プロセスにおいて有用なより低い温度のために、これは特に好ましい。
【0087】
本明細書に記載されるか、又は当技術分野で一般に知られている増幅方法論のいずれも、固定化されたDNA断片を増幅するために、汎用プライマー又は標的特異的プライマーと共に使用することができることを理解するであろう。増幅のための適切な方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、転写媒介増幅(TMA)及びその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,003,354号明細書に記載されるような核酸配列ベースの増幅(NASBA)が挙げられるが、これらに限定されない。上記の増幅方法は、目的の1つ以上の核酸を増幅するために使用され得る。例えば、マルチプレックスPCR、SDA、TMA、NASBAなどを含むPCRを用いて、固定化DNA断片を増幅することができる。いくつかの実施形態では、目的のポリヌクレオチドに特異的に指向されるプライマーは、増幅反応に含まれる。
【0088】
ポリヌクレオチドの増幅のための他の適切な方法は、オリゴヌクレオチド伸長及び連結、ローリングサークル増幅(RCA)(Lizardi et al.、Nat.Genet.19:225-232(1998))及びオリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)(一般に、米国特許第7,582,420号明細書、同第5,185,243号明細書、同第5,679,524号明細書及び同第5,573,907号明細書;欧州特許第0 320 308 B1号明細書;欧州特許第0 336 731 B1号明細書;欧州特許第0 439 182 B1号明細書;国際公開第90/01069号パンフレット;国際公開第89/12696号パンフレット;並びに国際公開第89/09835号パンフレットを参照されたい)技術を含み得る。これらの増幅方法論は、固定化DNA断片を増幅するように設計され得ることが理解されるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、増幅方法は、目的の核酸に特異的に指向されるプライマーを含む連結プローブ増幅又はオリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)反応を含み得る。いくつかの実施形態では、増幅方法は、目的の核酸に特異的に指向されるプライマーを含むプライマー伸長-連結反応を含み得る。目的の核酸を増幅するために特異的に設計され得るプライマー伸長及び連結プライマーの非限定的な例として、増幅は、米国特許第7,582,420号明細書及び同第7,611,869号明細書によって例示されるように、GoldenGateアッセイ(Illumina、Inc.、San Diego、CA)のために使用されるプライマーを含み得る。
【0089】
本開示の方法において使用され得る例示的な等温増幅方法は、例えば、Dean et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:5261-66(2002)によって例示されるような多重置換増幅(MDA)、又は、例えば米国特許第6,214,587号明細書によって例示される等温鎖置換核酸増幅を含むが、これらに限定されない。本開示において使用され得る他の非PCRベースの方法は、例えば、Walker et al.、Molecular Methods for Virus Detection、Academic Press、Inc.、1995;米国特許第5,455,166号明細書、及び同第5,130,238号明細書、並びにWalker et al.、Nucl.Acids Res.20:1691-96(1992)に記載される鎖置換増幅(SDA)、又は、例えば、Lage et al.、Genome Res. 13:294-307(2003)に記載される超分岐鎖置換増幅を含む。等温増幅法は、鎖置換Phi 29ポリメラーゼ又はBst DNAポリメラーゼ大断片、ゲノムDNAのランダムプライマー増幅のための5’->3’エキソと共に使用され得る。これらのポリメラーゼの使用は、それらの高い反応促進性及び鎖置換活性を利用する。高い反応促進性は、ポリメラーゼが長さ10~20kbの断片を産生するようにする。上記のように、より小さい断片は、Klenowポリメラーゼのような低い反応促進性及び鎖置換活性を有するポリメラーゼを使用して、等温条件下で産生され得る。増幅反応、条件及び成分のさらなる説明は、米国特許第7,670,810号明細書の開示に詳細に記載されている。
【0090】
本開示において有用な別のポリヌクレオチド増幅方法は、例えば、Grothues et al.Nucleic Acids Res.21(5):1321-2(1993)に記載されるように、定常5’領域、続いてランダム3’領域を有する2ドメインプライマーの集団を使用するTagged PCRである。第一ラウンドの増幅を行って、ランダムに合成された3’領域からの個々のハイブリダイゼーションに基づいて、熱変性DNAについての開始の多重度を可能とする。3’領域の性質により、開始部位は、ゲノム全体にわたってランダムであると考えられる。その後、結合していないプライマーを除去することができ、定常5’領域に相補的なプライマーを使用してさらなる複製を行うことができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、等温増幅は、排除増幅(ExAmp)とも呼ばれる動力学排除増幅(KEA)を用いて行うことができる。本開示の核酸ライブラリーは、増幅試薬を反応させて、各々が、部位を播種した個々の標的核酸からのアンプリコンの実質的にクローン性の集団を含む複数の増幅部位を産生する工程を含む方法を用いて作製され得る。いくつかの実施形態では、増幅反応は、各々の増幅部位の容量を満たすのに十分な数のアンプリコンが生成されるまで進行する。このようにして、既に播種された部位を容量まで満たすことは、標的核酸がその部位に着地し増幅し、それによってその部位にアンプリコンのクローン集団を生成することを阻害する。いくつかの実施形態では、第2の標的核酸が部位に到達する前に、増幅部位が容量まで満たされていなくても、見かけのクローン性を達成することができる。いくつかの条件下では、第1の標的核酸の増幅は、部位に輸送される第2の標的核酸からのコピーの産生を効果的に上回るか、又は圧倒するのに十分な数のコピーが作製される点まで進行し得る。例えば、直径500nm未満の円形フィーチャ上で架橋増幅プロセスを用いる実施形態において、第1の標的核酸についての14サイクルの指数関数的増幅の後、同じ部位での第2の標的核酸からの汚染は、Illumina配列決定プラットフォーム上での合成分析による配列決定に悪影響を及ぼすには、不十分な数の汚染アンプリコンを生成することが決定された。
【0092】
いくつかの実施形態では、アレイ中の増幅部位は、完全にクローン性であり得るが、その必要はない。むしろ、いくつかの適用について、個々の増幅部位は、第1の断片-アダプター分子由来のアンプリコンで主に集団化され得、また、第2の標的核酸由来の低レベルの混入アンプリコンを有し得る。アレイは、汚染レベルがアレイのその後の使用に許容できない影響を及ぼさない限り、低レベルの汚染アンプリコンを有する1つ以上の増幅部位を有することができる。例えば、アレイが検出用途で使用される場合、許容され得る汚染のレベルは、許容できない方法で検出技術の信号対雑音又は分解能に影響を与えないレベルである。従って、見かけのクローン性は、一般に、本明細書に記載される方法によって作製されるアレイの特定の使用又は適用に関連する。特定の適用のために個々の増幅部位で許容され得る汚染の例示的なレベルには、多くとも0.1%、0.5%、1%、5%、10%又は25%の汚染アンプリコンが含まれるが、これらに限定されない。アレイは、これらの例示的なレベルの汚染アンプリコンを有する1つ以上の増幅部位を含むことができる。例えば、アレイ中の増幅部位の5%、10%、25%、50%、75%、又はさらには100%までが、いくつかの汚染アンプリコンを有し得る。部位のアレイ又は他のコレクションにおいて、少なくとも50%、75%、80%、85%、90%、95%又は99%以上の部位がクローン性であり得るか、又は明らかにクローン性であり得ることが理解される。
【0093】
いくつかの実施形態では、動力学排除は、プロセスが別の事象又はプロセスが起こるのを効果的に排除するのに十分に迅速な速度で起こる場合に起こり得る。例えば、アレイの部位が溶液からの断片-アダプター分子でランダムに播種され、断片-アダプター分子のコピーが増幅プロセスにおいて生成されて、播種された部位の各々を容量まで満たす核酸アレイの作製を考える。本開示の動力学排除方法によれば、播種及び増幅プロセスは、増幅速度が播種速度を超える条件下で同時に進行し得る。このようにして、コピーが第1の標的核酸によって播種された部位で作製される比較的迅速な速度は、増幅のために部位を播種することから第2の核酸を効果的に排除する。動力学排除増幅法は、米国特許出願公開第2013/0338042号明細書の開示に詳細に記載されているように実施することができる。
【0094】
動力学排除は、増幅を開始するための比較的遅い速度(例えば、断片-アダプター分子の第1のコピーを作製する遅い速度)、対、断片-アダプター分子(又は断片-アダプター分子の第1のコピー)のその後のコピーを作製するための比較的速い速度を利用し得る。前の段落の例において、動力学排除は、断片-アダプター分子播種の比較的遅い速度(例えば、比較的遅い拡散又は輸送)、対、断片-アダプターシードのコピーで部位を満たすために増幅が生じる比較的速い速度に起因して生じる。別の例示的な実施形態では、動力学排除は、部位に播種されている断片-アダプター分子の第1のコピーの形成の遅延(例えば、遅延又は遅い活性化)、対、後続のコピーが作製されて部位を満たす比較的迅速な速度に起因して生じ得る。この例では、いくつかの異なる断片-アダプター分子が個々の部位に播種されている可能性がある(例えば、増幅前にいくつかの断片-アダプター分子が各部位に存在する可能性がある)。しかしながら、任意の所定の断片-アダプター分子についての第1のコピー形成は、第1のコピー形成の平均速度が後続のコピーが生成される速度と比較して比較的遅いように、ランダムに活性化され得る。この場合、個々の部位にいくつかの異なる断片-アダプター分子が播種されている可能性があるが、動力学排除により、これらの断片-アダプター分子のうちの1つのみが増幅できるであろう。より具体的には、一旦第1の断片-アダプター分子が増幅のために活性化されると、その部位はそのコピーで容量を急速に満たし、それによって第2の断片-アダプター分子のコピーがその部位で作製されることを防止するであろう。
【0095】
増幅試薬は、アンプリコン形成を促進し、場合によっては、アンプリコン形成の速度を増加させるさらなる成分を含むことができる。例は、リコンビナーゼである。リコンビナーゼは、繰り返しの侵入/伸長を可能にすることによって、アンプリコン形成を容易にし得る。より具体的には、リコンビナーゼは、ポリメラーゼによる断片-アダプター分子の侵入、及びアンプリコン形成のための鋳型として断片-アダプター分子を使用するポリメラーゼによるプライマーの伸長を容易にすることができる。このプロセスは、各ラウンドの侵入/伸長から産生されたアンプリコンが次のラウンドにおいて鋳型として役立つ連鎖反応として反復され得る。変性サイクル(例えば、加熱又は化学的変性を介する)は必要とされないので、このプロセスは標準的なPCRよりも迅速に行われ得る。そのようなものとして、リコンビナーゼ促進増幅は、等温的に行うことができる。増幅を容易にするために、リコンビナーゼ促進増幅試薬中にATP、又は他のヌクレオチド(又は場合によっては、その非加水分解性類似体)を含めることが一般に望ましい。リコンビナーゼ及び一本鎖結合(SSB)タンパク質の混合物は、SSBが増幅をさらに促進し得るので、特に有用である。リコンビナーゼ促進増幅のための例示的な製剤は、TwistDx(Cambridge、UK)によってTwistAmpキットとして商業的に販売されているものを含む。リコンビナーゼ促進増幅試薬の有用な成分及び反応条件は、米国特許第5,223,414号明細書及び米国特許第7,399,590号明細書に記載されている。
【0096】
アンプリコン形成を促進し、場合によっては、アンプリコン形成速度を増加させるために増幅試薬に含まれ得る成分の別の例は、ヘリカーゼである。ヘリカーゼは、アンプリコン形成の連鎖反応を可能にすることによって、アンプリコン形成を促進することができる。変性サイクル(例えば、加熱又は化学的変性を介する)は必要とされないので、このプロセスは標準的なPCRよりも迅速に行われ得る。そのようなものとして、ヘリカーゼ促進増幅は、等温的に行うことができる。ヘリカーゼ及び一本鎖結合(SSB)タンパク質の混合物は、SSBが増幅をさらに促進し得るので、特に有用である。ヘリカーゼ促進増幅のための例示的な製剤は、Biohelix(Beverly、MA)からIsoAmpキットとして商業的に販売されているものを含む。さらに、ヘリカーゼタンパク質を含む有用な製剤の例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,399,590号明細書及び米国特許第7,829,284号明細書に記載されている。
【0097】
アンプリコン形成を促進し、場合によっては、アンプリコン形成速度を増加させるために増幅試薬中に含まれ得る成分のさらに別の例は、起源結合タンパク質である。
【0098】
断片-アダプター分子の表面への付着に続いて、固定化され増幅された断片-アダプター分子の配列が決定される。配列決定は、任意の適切な配列決定技術を使用して実施することができ、鎖再合成を含む、固定化及び増幅された断片-アダプター分子の配列を決定するための方法は、当技術分野で既知であり、例えば、Bignell et al.(米国特許第8,053,192号明細書)、Gunderson et al.(国際公開第2016/130704号パンフレット)、Shen et al.(米国特許第8,895,249号明細書)、及びPipenburg et al.(米国特許第9,309,502号明細書)に記載される。
【0099】
本明細書に記載される方法は、様々な核酸配列決定技術と併せて使用することができる。特に適用可能な技術は、核酸がそれらの相対的な位置が変化しないように、アレイ中の固定された位置に付着され、アレイが繰り返し画像化される技術である。画像が例えば、1つのヌクレオチド塩基型を別のヌクレオチド塩基型と区別するために使用される異なる標識と一致する、異なる色チャネルで得られる実施形態が、特に適用可能である。いくつかの実施形態では、断片-アダプター分子のヌクレオチド配列を決定するためのプロセスは、自動化プロセスであり得る。好ましい実施形態は、合成による配列決定(「SBS」)技術を含む。
【0100】
SBS技術は、一般に、鋳型鎖に対するヌクレオチドの反復的付加を介する新生核酸鎖の酵素的伸長を含む。SBSの伝統的な方法において、単一ヌクレオチドモノマーは、各供給においてポリメラーゼの存在下で標的ヌクレオチドに提供され得る。しかしながら、本明細書に記載される方法では、一送達においてポリメラーゼの存在下で、2種類以上のヌクレオチドモノマーが標的核酸に提供され得る。
【0101】
一実施形態において、ヌクレオチドモノマーは、ロックト核酸(LNA)又は架橋核酸(BNA)を含む。断片-アダプター分子が、トランスポソーム複合体からの移送鎖中にシトシン枯渇ヌクレオチド配列が存在する場合に生じるような、1つ以上のシトシン枯渇ヌクレオチド配列を使用して産生される場合、シトシン枯渇領域にハイブリダイズするヌクレオチドモノマーの融解温度が変化する。ヌクレオチドモノマーにおけるLNA又はBNAの使用は、固定化された断片-アダプター分子上に存在するヌクレオチドモノマーと配列決定プライマー配列との間のハイブリダイゼーション強度を増加させる。
【0102】
SBSは、ターミネーター部分を有するヌクレオチドモノマー、又はターミネーター部分を欠くヌクレオチドモノマーを使用することができる。ターミネーターを欠くヌクレオチドモノマーを利用する方法としては、例えば、以下にさらに詳細に記載されるように、γ-リン酸標識ヌクレオチドを使用するパイロシークエンシング及び配列決定が挙げられる。ターミネーターを欠くヌクレオチドモノマーを使用する方法において、各サイクルにおいて付加されるヌクレオチドの数は、一般に可変であり、鋳型配列及びヌクレオチド送達の様式に依存する。ターミネーター部分を有するヌクレオチドモノマーを使用するSBS技術について、ターミネーターは、ジデオキシヌクレオチドを使用する従来のSanger配列決定の場合のように、使用される配列決定条件下で効果的に不可逆であり得るか、又はターミネーターは、Solexa(現在、Illumina、Inc.)によって開発された配列決定方法の場合のように、可逆であり得る。
【0103】
SBS技術は、標識部分を有するヌクレオチドモノマー、又は標識部分を欠くヌクレオチドモノマーを使用することができる。従って、取り込み事象は、標識の特徴(例えば、標識の蛍光);ヌクレオチドモノマーの特徴(例えば、分子量又は電荷);ヌクレオチドの取り込みの副産物(例えば、ピロリン酸の放出)などに基づいて検出され得る。2つ以上の異なるヌクレオチドが配列決定試薬中に存在する実施形態において、異なるヌクレオチドは、互いに区別可能であり得るか、又は代わりに、2つ以上の異なる標識は、使用される検出技術の下で区別不可能であり得る。例えば、配列決定試薬中に存在する異なるヌクレオチドは、異なる標識を有し得、それらは、Solexa(現在、Illumina、Inc.)によって開発された配列決定方法によって例示されるように、適切な光学を使用して区別され得る。
【0104】
好ましい実施形態は、パイロシークエンシング技術を含む。パイロシークエンシングは、特定のヌクレオチドが新生鎖に組み込まれる際の無機ピロリン酸(PPi)の放出を検出する(Ronaghi、M.、Karamohamed、S.、Pettersson、B.、Uhlen、M.and Nyren.、P(1996)「Real-time DNA sequencing using pyrophosphate release.」Analytical Biochemistry 242(1)、84-9;Ronaghi、M.(2001)「Pyrosequencing sheds light on DNA sequencing.」Genome Res.11(1)、3-11;Ronaghi、M.、Uhlen、M.and Nyren、P.(1998)「A sequencing method based on real-time pyrophosphate.」Science 281(5375)、363;米国特許第6,210,891号明細書;同第6,258,568号明細書及び同第6,274,320号明細書)。パイロシークエンシングにおいて、放出されたPPiは、ATPスルファターゼによってアデノシン三リン酸(ATP)に直ちに変換されることによって検出され得、生成されたATPのレベルは、ルシフェラーゼ産生光子を介して検出される。配列決定されるべき核酸は、アレイ中のフィーチャに付着され得、アレイは、アレイのフィーチャにおけるヌクレオチドの取り込みに起因して生成される化学発光シグナルを捕捉するために画像化され得る。アレイを特定のヌクレオチド型(例えば、A、T、C又はG)で処理した後、画像を得ることができる。各ヌクレオチド型の添加後に得られる画像は、アレイ中のどのフィーチャが検出されるかに関して異なるであろう。画像におけるこれらの差は、アレイ上のフィーチャの異なる配列内容を反映する。しかしながら、各フィーチャの相対的な位置は、画像において変化しないままである。画像は、本明細書に記載される方法を用いて保存され、処理され、分析され得る。例えば、異なる各ヌクレオチド型でアレイを処理した後に得られた画像は、可逆的ターミネーターに基づく配列決定法のための異なる検出チャネルから得られた画像について本明細書に例示されるのと同じ方法で取り扱うことができる。
【0105】
SBSの別の例示的な型において、サイクル配列決定は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第04/018497号パンフレット及び米国特許第7,057,026号明細書に記載されるように、例えば、切断可能又は光漂白可能な色素標識を含む可逆的ターミネーターヌクレオチドの段階的添加によって達成される。このアプローチは、Solexa(現在、Illumina Inc.)によって商業化されており、国際公開第91/06678号パンフレット及び国際公開第07/123,744号パンフレットにも記載されている。終結を逆転させることができ、蛍光標識を切断することができる蛍光標識ターミネーターの利用可能性は、効率的な循環可逆的終結(cyclic reversible termination)(CRT)配列決定を容易にする。ポリメラーゼも、これらの改変ヌクレオチドを効率的に組み込み、これらから伸長するように同時操作され得る。
【0106】
好ましくは、可逆的ターミネーターに基づく配列決定の実施形態において、標識は、SBS反応条件下での伸長を実質的に阻害しない。しかし、検出標識は、例えば、切断又は分解によって除去可能であり得る。画像は、配列された核酸フィーチャへの標識の組み込み後に捕捉され得る。特定の実施形態では、各サイクルは、アレイへの4つの異なるヌクレオチド型の同時送達を含み、各ヌクレオチド型は、スペクトル的に異なる標識を有する。次に、4つの異なる標識のうちの1つに対して選択的な検出チャネルを各々使用して、4つの画像を取得することができる。或いは、異なるヌクレオチド型を連続的に添加することができ、アレイの画像を各添加工程の間に得ることができる。このような実施形態において、各画像は、特定の型のヌクレオチドが組み込まれた核酸フィーチャを示すであろう。異なるフィーチャは、各フィーチャの異なる配列内容のために、異なる画像に存在するか又は存在しない。しかしながら、フィーチャの相対的な位置は、画像において変化しないままであろう。このような可逆的ターミネーター-SBS法から得られた画像は、本明細書に記載されるように、保存され、処理され、分析され得る。画像捕捉段階に続いて、標識を除去することができ、可逆的ターミネーター部分を、ヌクレオチド付加及び検出のその後のサイクルのために除去することができる。標識が特定のサイクルで検出された後、後続のサイクルの前に標識を除去することは、バックグラウンド信号及びサイクル間のクロストークを低減するという利点を提供することができる。有用な標識及び除去方法の例は、以下に記載されている。
【0107】
特定の実施形態では、ヌクレオチドモノマーのいくつか又は全ては、可逆的ターミネーターを含むことができる。このような実施形態において、可逆的ターミネーター/切断可能フルオロフォアは、3’エステル結合を介してリボース部分に結合されたフルオロフォアを含み得る(Metzker、Genome Res.15:1767-1776(2005))。別のアプローチは、蛍光標識の切断からターミネーター化学を分離している(Ruparel et al.、Proc Natl Acad Sci USA 102:5932-7(2005))。Ruparel et al.は、伸長をブロックするために小さな3’アリル基を使用した可逆的ターミネーターの開発を記載したが、パラジウム触媒による短時間の処理によって容易に脱ブロックすることができた。フルオロフォアを、長波長UV光への30秒の暴露によって容易に切断され得る光切断可能なリンカーを介して塩基に付着させた。従って、ジスルフィド還元又は光切断のいずれかを切断可能なリンカーとして使用することができる。可逆的終結に対する別のアプローチは、dNTP上に嵩高い色素を配置した後に起こる自然終結の使用である。dNTP上の帯電した嵩高い色素の存在は、立体障害及び/又は静電障害を通して有効なターミネーターとして作用することができる。1つの取り込み事象の存在は、色素が除去されない限り、さらなる取り込みを妨げる。色素の切断は、フルオロフォアを除去し、終結を効果的に逆転させる。修飾ヌクレオチドの例はまた、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,427,673号明細書及び同第7,057,026号明細書に記載されている。
【0108】
本明細書に記載される方法及びシステムと共に使用することができる追加の例示的なSBSシステム及び方法は、米国特許出願公開第2007/0166705号明細書、同第2006/0188901号明細書、同第2006/0240439号明細書、同第2006/0281109号明細書、同第2012/0270305号明細書、及び同第2013/0260372号明細書、米国特許第7,057,026号明細書、PCT国際公開第05/065814号パンフレット、米国特許出願公開第2005/0100900号明細書、及びPCT国際公開第06/064199号パンフレット及び国際公開第07/010,251号パンフレットに記載されている。
【0109】
いくつかの実施形態は、4未満の異なる標識を使用して、4つの異なるヌクレオチドの検出を使用し得る。例えば、SBSは、米国特許出願公開第2013/0079232号明細書の組み込まれた材料に記載されている方法及びシステムを利用して実施することができる。第1の例として、ヌクレオチド型の対は、同じ波長で検出されるが、対の一方のメンバーについての強度の他方と比較した差異に基づいて、又は対の他方のメンバーについて検出されたシグナルと比較して見かけのシグナルを出現若しくは消失させる対の一方のメンバーへの変化(例えば、化学修飾、光化学修飾又は物理修飾を介する)に基づいて区別され得る。第2の例として、4つの異なるヌクレオチド型のうちの3つは、特定の条件下で検出され得、一方、第4のヌクレオチド型は、それらの条件下で検出可能であるか、又はそれらの条件下で最小限に検出される標識を欠く(例えば、バックグラウンド蛍光による最小限の検出など)。核酸への最初の3つのヌクレオチド型の組み込みは、それらの各々のシグナルの存在に基づいて決定され得、核酸への第4のヌクレオチド型の組み込みは、任意のシグナルの非存在又は最小限の検出に基づいて決定され得る。第3の例として、1つのヌクレオチド型は、2つの異なるチャネルにおいて検出される標識を含み得るが、他のヌクレオチド型は、チャネルのうちの1つ以下において検出される。上記3つの例示的な構成は、互いに排他的なものではなく、種々の組み合わせで用いることができる。全ての3つの例を組み合わせる例示的な実施形態は、第1のチャネルにおいて検出される第1のヌクレオチド型(例えば、第1の励起波長によって励起されたときに第1のチャネルにおいて検出される標識を有するdATP)、第2のチャネルにおいて検出される第2のヌクレオチド型(例えば、第2の励起波長によって励起されたときに第2のチャネルにおいて検出される標識を有するdCTP)、第1及び第2のチャネルの両方において検出される第3のヌクレオチド型(例えば、第1及び/又は第2の励起波長によって励起されたときに両方のチャネルにおいて検出される少なくとも1つの標識を有するdTTP)、並びにいずれかのチャネルにおいて検出されないか又は最小限に検出される標識を欠く第4のヌクレオチド型(例えば、標識を有さないdGTP)を使用する蛍光ベースのSBS方法である。
【0110】
さらに、米国特許出願公開第2013/0079232号明細書の組み込まれた材料に記載されているように、配列決定データは、単一チャネルを使用して得ることができる。このようないわゆる1色素配列決定アプローチでは、第1のヌクレオチド型は標識されるが、標識は、第1の画像が生成された後に除去され、第2のヌクレオチド型は、第1の画像が生成された後にのみ標識される。第3のヌクレオチド型は、第1及び第2の画像の両方においてその標識を保持し、第4のヌクレオチド型は、両方の画像において標識されないままである。
【0111】
いくつかの実施形態は、連結技術による配列決定を使用することができる。このような技術は、DNAリガーゼを使用して、オリゴヌクレオチドを組み込み、このようなオリゴヌクレオチドの組み込みを同定する。オリゴヌクレオチドは、典型的には、オリゴヌクレオチドがハイブリダイズする配列中の特定のヌクレオチドの同一性と相関する異なる標識を有する。他のSBS方法と同様に、画像は、標識された配列決定試薬で核酸フィーチャのアレイを処理した後に得ることができる。各画像は、特定の型の標識が組み込まれた核酸フィーチャを示すであろう。異なるフィーチャは、各フィーチャの異なる配列内容のために、異なる画像に存在するか、又は存在しないが、フィーチャの相対的な位置は、画像において変化しないままであろう。連結に基づく配列決定方法から得られた画像は、本明細書に記載されるように、保存、処理及び分析され得る。本明細書に記載される方法及びシステムと共に使用することができる例示的なSBSシステム及び方法は、米国特許第6,969,488号明細書、同第6,172,218号明細書、及び同第6,306,597号明細書に記載されている。
【0112】
いくつかの実施形態は、ナノポア配列決定(Deamer、D.W.& Akeson、M.「Nanopores and nucleic acids:prospects foruLtrapid sequencing.」Trends Biotechnol.18、147-151(2000);Deamer、D.and D.Branton、「Characterization of nucleic acids by nanopore analysis.」Acc.Chem.Res.35:817-825(2002);Li、J.、M.Gershow、D.Stein、E.Brandin、and J.A.Golovchenko、「DNA molecules and configurations in a solid-state nanopore microscope」Nat.Mater.2:611-615(2003))。このような実施形態では、断片-アダプター分子は、ナノポアを通過する。ナノポアは、合成細孔又はα-溶血素のような生物学的膜タンパク質であり得る。断片-アダプター分子がナノポアを通過するとき、各塩基対は、細孔の電気コンダクタンスの変動を測定することによって同定され得る(米国特許第7,001,792号明細書;Soni、G.V.& Meller、「A.Progress towarduLtrafast DNA sequencing using solid-state nanopores.」Clin.Chem.53、1996-2001(2007);Healy、K.「Nanopore-based single-molecule DNA analysis.」Nanomed.2、459-481(2007);Cockroft、S.L.、Chu、J.、Amorin、M.& Ghadiri、M.R.「A single-molecule nanopore device detects DNA polymerase activity with single-nucleotide resolution.」J.Am.Chem.Soc.130、818-820(2008)の完全な開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。ナノポア配列決定から得られたデータは、本明細書に記載されるように、保存、処理及び分析することができる。特に、データは、本明細書に記載される光学画像及び他の画像の例示的な処理に従って、画像として扱うことができる。
【0113】
いくつかの実施形態は、DNAポリメラーゼ活性のリアルタイムモニタリングを含む方法を使用し得る。ヌクレオチドの取り込みは、例えば、双方が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,329,492号明細書及び同第7,211,414号明細書に記載されているように、フルオロフォアを有するポリメラーゼとγ-リン酸標識ヌクレオチドとの間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)相互作用によって検出することができ、又はヌクレオチド取り込みは、例えば、米国特許第7,315,019号明細書に記載されるようにゼロモード導波路を用いて、例えば、米国特許第7,405,281号明細書及び米国特許出願公開第2008/0108082号明細書に記載されているような蛍光ヌクレオチド類似体及び操作されたポリメラーゼを使用して検出され得る。照射は、蛍光標識されたヌクレオチドの取り込みが低いバックグラウンドで観察され得るように、表面繋留ポリメラーゼの周りのゼプトリットルスケールの体積に制限され得る(Levene、M.J.et al.、「Zero-mode waveguides for single-molecule analysis at high concentrations.」、Science 299、682-686(2003);Lundquist、P.M.et al.、「Parallel confocal detection of single molecules in real time.」Opt.Lett.33、1026-1028(2008);Korlach、J.et al.「Selective aluminum passivation for targeted immobilization of single DNA polymerase molecules in zero-mode waveguide nano structures.」 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 105、1176-1181(2008))。このような方法から得られた画像は、本明細書に記載されるように、保存、処理及び分析され得る。
【0114】
いくつかのSBSの実施形態は、伸長産物へのヌクレオチドの組み込みに際して放出されるプロトンの検出を含む。例えば、放出されたプロトンの検出に基づく配列決定は、Ion Torrent(Guilford、CT、Life Technologiesの子会社)から市販されている電気検出器及び関連技術、又は米国特許出願公開第2009/0026082号明細書;同第2009/0127589号明細書、同第2010/0137143号明細書、及び同第2010/0282617号明細書に記載されている配列決定方法及びシステムを使用することができる。動力学排除を使用して標的核酸を増幅するための本明細書に記載される方法は、プロトンを検出するために使用される基質に容易に適用され得る。より具体的には、本明細書に記載される方法は、プロトンを検出するために使用されるアンプリコンのクローン集団を産生するために使用され得る。
【0115】
上記のSBS方法は、有利には、複数の異なる断片-アダプター分子が同時に操作されるような多重フォーマットで実施することができる。特定の実施形態では、異なる断片-アダプター分子は、共通の反応容器中で、又は特定の基質の表面上で処理され得る。これは、配列決定試薬の簡便な送達、未反応試薬の除去、及び多重様式での取り込み事象の検出を可能にする。表面結合標的核酸を使用する実施形態において、断片-アダプター分子は、アレイ形式であり得る。アレイ形式において、断片-アダプター分子は、典型的には、空間的に区別可能な様式で表面に結合され得る。断片-アダプター分子は、直接共有結合、ビーズ若しくは他の粒子への付着、又は表面に付着したポリメラーゼ又は他の分子への結合によって結合することができる。アレイは、各部位(フィーチャとも呼ばれる)に断片-アダプター分子の単一コピーを含むことができ、又は同じ配列を有する複数コピーが各部位若しくはフィーチャに存在することができる。複数のコピーは、以下にさらに詳細に記載されるように、増幅方法(例えば、架橋増幅又はエマルジョンPCR)によって産生され得る。
【0116】
本明細書に記載される方法は、例えば、少なくとも約10フィーチャ/cm、100フィーチャ/cm、500フィーチャ/cm、1,000フィーチャ/cm、5,000フィーチャ/cm、10,000フィーチャ/cm、50,000フィーチャ/cm、100,000フィーチャ/cm、1,000,000フィーチャ/cm、5,000,000フィーチャ/cm以上を含む様々な密度のいずれかでフィーチャを有するアレイを使用することができる。
【0117】
本明細書に記載される方法の利点は、複数のcmの迅速且つ効率的な並行検出を提供することである。従って、本開示は、上記に例示したような当技術分野で既知の技術を用いて核酸を調製及び検出することができる統合システムを提供する。従って、本開示の統合システムは、増幅試薬及び/又は配列決定試薬を1つ以上の固定化DNA断片に送達することができる流体構成要素を含むことができ、このシステムは、ポンプ、バルブ、リザーバ、流体ラインなどの構成要素を含む。フローセルは、標的核酸の検出のための統合システムにおいて構成及び/又は使用され得る。例示的なフローセルは、例えば、米国特許出願公開第2010/0111768号明細書及び米国特許出願第13/273,666号明細書に記載されている。フローセルについて例示されるように、統合システムの流体構成要素のうちの1つ以上は、増幅方法及び検出方法のために使用され得る。核酸配列決定の実施形態を例にとると、統合システムの1つ以上の流体構成要素は、本明細書に記載される増幅方法のために、及び上記に例示されるような配列決定方法における配列決定試薬の送達のために使用され得る。或いは、統合システムは、増幅方法を実施し、検出方法を実施するための別個の流体システムを含むことができる。増幅された核酸を生成し、また核酸の配列を決定することができる統合配列決定システムの例には、MiSeq(商標)プラットフォーム(Illumina、Inc.、San Diego、CA)及び参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第13/273,666号明細書に記載されるデバイスが含まれるが、これらに限定されない。
【0118】
本明細書に記載される方法の実施中に、様々な組成物が生じ得る。例えば、図2ブロックvii又は図4に示す構成を有するデュアル-インデックス断片-アダプター分子を含むデュアル-インデックス断片-アダプター分子と、デュアル-インデックス断片-アダプター分子を含む組成物が生じ得る。図2ブロックvii又は図4に示す構成を有するデュアル-インデックス断片-アダプター分子を含むデュアル-インデックス断片-アダプター分子の配列決定ライブラリー、及び配列決定ライブラリーを含む組成物が生じ得る。このような配列決定ライブラリーは、アレイに結合され得る。
【0119】
本発明は、以下の実施例によって例示される。特定の例、材料、量、及び手順は、本明細書に記載される発明の範囲及び趣旨に従って広く解釈されるべきであることを理解するべきである。
【実施例0120】
実施例で使用される試薬
・ リン酸緩衝生理食塩水(PBS、Thermo Fisher、Cat.10010023)
・ 0.25%トリプシン(Thermo Fisher、Cat.15050057)
・ Tris(Fisher、Cat.T1503)
・ HCl(Fisher、Cat.A144)
・ NaCl(Fisher、Cat.M-11624)
・ MgCl2(Sigma、Cat.M8226)
・ Igepal(登録商標)CA-630(Sigma、I8896)
・ プロテアーゼ阻害剤(Roche、Cat.11873580001)
・ PCR-清浄ddH2O
・ リチウム3,5-ジヨードサリチル酸(Sigma、Cat.D3635)-LAND方法のみ
・ ホルムアルデヒド(Sigma、Cat.F8775)-xSDS方法のみ
・ グリシン(Sigma、Cat.G8898)-xSDS方法のみ
・ NE緩衝液2.1(NEB、Cat.B7202)-xSDS方法のみ
・ SDS(Sigma、Cat.L3771)-xSDS方法のみ
・ Triton(商標)X-100(Sigma、Cat.9002-93-1)-xSDS方法のみ
・ DAPI(Thermo Fisher、Cat.D1306)
・ Nextera(登録商標)キットからのTD緩衝液(Illumina、Cat.FC-121-1031)
・ 96インデックス付加シトシン枯渇トランスポソーム(公開された方法を用いて組み立てられた、配列は表1に示される)
・ 9-ヌクレオチド無作為プライマー(表2)
・ 10mM dNTP混合物(NEB、Cat.N0447)
・ Klenow(3’->5’エキソ-)ポリメラーゼ(Enzymatics、Cat.P7010-LC-L)
・ 200プルーフエタノール
・ インデックス付加i5及びi7 PCRプライマー(表3)
・ Kapa HiFi(商標)HotStart ReadyMix
・ SYBR(登録商標)Green(FMC BioProducts、Cat.50513)
・ QIAquick(登録商標)PCR精製キット(Qiagen、Cat.28104)
・ dsDNA高感度Qubit(登録商標)(Thermo Fisher、Cat.Q32851)
・ 高感度バイオアナライザーキット(Agilent、Cat.5067-4626)
・ NextSeq配列決定キット(高又は中150-サイクル)
・ 非メチル化ラムダDNA(Promega、Cat.D1521)
・ HiSeq(登録商標)2500配列決定キット(Illumina)
・ HiSeq(登録商標)X配列決定キット(Illumina)
・ EZ-96 DNAメチル化MagPrepキット(Zymo Research、Cat D5040)
・ カスタムLNA配列決定プライマー(表4)
・ ポリエチレングリコール(PEG)
・ SPRIビーズ
【0121】
実施例で使用される装置
・ 35μM細胞濾過器(BD Biosciences、Cat.352235)
・ 96ウェルプレート適合性磁気ラック
・ Sony SH800細胞選別機(Sony Biotechnology、Cat.SH800)又はDAPIベースの単一核選別が可能な他のFACS機器
・ CFX Connect RTサーマルサイクラー(Bio-Rad、Cat.1855200)又は他のリアルタイムサーモサイクラー
・ サーモミキサー
・ Qubit(登録商標)2.0蛍光光度計(Thermo Fisher、Cat.Q32866)
・ 2100バイオアナライザー(Agilent、Cat.G2939A)
・ NextSeq(登録商標)500(Illumina、Cat.SY-415-1001-1)
・ HiSeq(登録商標)2500(Illumina)
・ HiSeq(登録商標)X(Illumina)
【0122】
実施例で使用されるオリゴヌクレオチド
【0123】
【表1】
【0124】
【表2】
【0125】
【表3】
【0126】
【表4】
【0127】
【表5】
【0128】
【表6】
【0129】
【表7】
【0130】
【表8】
【0131】
実施例1
非メチル化対照ラムダDNAの調製
100ナノグラムの非メチル化ラムダDNA、5uLの2X TD緩衝液、5uLのNIB緩衝液(10mM Tris-HCl pH7.4、10MM NaCl、3mM MgCl、0.1% Igepal(登録商標)、1Xプロテアーゼ阻害剤)、及び4μLの500nMの固有にインデックス付加されたシトシン枯渇トランスポソームを合わせた。混合物を55℃で20分間インキュベートし、次いでQIAquick(登録商標)PCR精製カラムを用いて精製し、30μLのEB中に溶出した。
【0132】
DNAの濃度を、2uLの混合物を使用して、dsDNA好感度Qubit 2.0蛍光光度計を用いて定量した。この濃度を17.95pg/uLに希釈した。これはおよそ5ヒト細胞のゲノム量をシミュレートする。
【0133】
実施例2
18% PEG SPRIビーズ混合物の調製
Sera-Magビーズ(1ml)を、低結合1.5mL管に等分し、次いで、上清が透明になるまで磁気スタンド上に置いた。ビーズを500uLの10mM Tris-HCl(pH8.0)の溶液で洗浄し、上清が透明になった後に溶液を除去し、この洗浄工程を全部で4回繰り返した。ビーズを以下の混合物に再懸濁した:18% PEG8000(質量比)、1M NaCl、10mM Tris-HCl、pH8.0、1mM EDTA、0.05% Tween-20;穏やかに撹拌しながら室温で少なくとも1時間インキュベートし、次いで18% PEG SPRIビーズを4℃で保存した。ビーズを室温に到達させた後、使用した。
【0134】
実施例3
リチウム3,5-ジヨードサリチル酸(LAND)又はSDS(xSDS)を用いた核の調製
A.核調製及びヌクレオソーム枯渇のLAND方法
細胞が縣濁液細胞培養物中にある場合、培養物を穏やかに粉砕して細胞凝集塊を破壊し、細胞を500xgで5分間、4℃で回転させることによってペレット化し、500μLの氷冷PBSで洗浄した。
【0135】
細胞が接着性細胞培養物中にある場合、培地を吸引し、細胞を37℃で10mlのPBSで洗浄し、次いで37℃で十分な0.25%トリプシンを添加して単層を被覆した。37℃で5分間、又は細胞の90%がもはや表面に付着しなくなるまでインキュベートした後、37℃の培地を1:1の比率で添加してトリプシンをクエンチした。細胞を500xgで5分間、4℃で回転させることによってペレット化し、次いで500μLの氷冷PBSで洗浄した。
【0136】
縣濁液細胞培養物又は接着性細胞培養物のいずれかからの細胞を、500xgで5分間回転させることによってペレット化し、次いで、NIB緩衝液(2.5μLの1M LIS+197.5μLのNIB緩衝液)中の200μLの12.5mM LISに再懸濁した。氷上で5分間インキュベートした後、800μLのNIB緩衝液を添加した。細胞を35μMの細胞濾過器に穏やかに通し、5μLのDAPI(5mg/mL)を加えた。
【0137】
B.核調製及びヌクレオソーム枯渇のxSDS方法
細胞が縣濁液細胞培養物中にある場合、培地を穏やかに粉砕して、細胞凝集塊を破壊した。培地中の10mlの細胞に406μlの37%ホルムアルデヒドを添加し、穏やかに振盪しながら室温で10分間インキュベートした。800マイクロリットルの2.5Mグリシンを細胞に添加し、氷上で5分間インキュベートし、次いで550xgで8分間、4℃で遠心分離した。10mLの氷冷PBSで洗浄した後、細胞を5mLの氷冷NIB(10mM TrisHCl pH7.4、10mM NaCl、3mM MgCl、0.1% Igepal(登録商標)、1xプロテアーゼ阻害剤)に再懸濁し、穏やかに混合しながら氷上で20分間インキュベートした。
【0138】
細胞が接着性細胞培養物中にある場合、培地を吸引し、細胞を37℃で10mlのPBSで洗浄し、次いで37℃で十分な0.25%トリプシンを添加して単層を被覆した。37℃で5分間、又は細胞の90%がもはや表面に付着しなくなるまでインキュベートした後、37℃の培地を1:1の比率で添加してトリプシンをクエンチし、培地で容量を10mlにした。細胞を10mlの培地に再懸濁し、406μlの37%ホルムアルデヒドを添加し、穏やかに振盪しながら室温で10分間インキュベートした。800マイクロリットルの2.5Mグリシンを細胞に添加し、氷上で5分間インキュベートした。細胞を550xgで8分間、4℃で遠心分離し、10mlの氷冷PBSで洗浄した。細胞を氷冷5mLのNIBに再懸濁した後、それらを穏やかに混合しながら氷上で20分間インキュベートした。
【0139】
縣濁液細胞培養物又は接着性細胞培養物のいずれかからの細胞又は核を、500xgで5分間回転させることによってペレット化し、900μLの1x NE緩衝液2.1で洗浄した。500xgで5分間回転させた後、ペレットを800μLの1x NE緩衝液2.1に12μLの20% SDSと共に再懸濁し、42℃で30分間激しく振盪しながらインキュベートし、次いで200μLの10% Triton(商標)X-100を添加し、42℃で30分間激しく振盪しながらインキュベートした。細胞を35μMの細胞濾過器に穏やかに通し、5μLのDAPI(5mg/mL)を加えた。
【0140】
実施例4
核の選別及びタグメンテーション
タグメンテーションプレートを、10μLの1x TD緩衝液(1プレートについて:500μLのNIB緩衝液+500μLのTD緩衝液)を用いて調製し、2500個の単一核をタグメンテーションプレートの各ウェルに選別した。この工程において、ウェル当たりの核の数は、ウェル当たりの核の数がプレート全体について一貫している限り、わずかに変化させることができる。トランスポザーゼインデックスが保存されるので、異なるサンプルをプレートの異なるウェルに多重化することもできる。細胞は図2に従いゲートされた。500xgで5分間プレートをスピンダウンした後、500nMの固有にインデックス付加されたシトシン枯渇トランスポソーム4μLを各ウェルに加えた。密閉後、プレートを穏やかに振盪しながら55℃で15分間インキュベートした。次いで、プレートを氷上に置いた。全てのウェルをプールし、次いで35μMの細胞濾過器に通した。5マイクロリットルのDAPI(5mg/mL)を添加した。
【0141】
実施例5
核の第2の選別
5uLのZymo消化試薬(2.5uLのM-消化緩衝液、2.25uLのH2O、及び0.25uLのプロテイナーゼK)を用いて、各ウェルについてマスターミックスを調製した。最もストリンジェントな選別設定を用いて、10個又は22個の単一核のいずれかを各ウェルに選別した。10個の単一核を、非メチル化対照スパイクインに使用されるウェルに選別し、22個の細胞を他のウェルに選別した。次いで、このプレートを600xgで5分間、4℃で遠心分離する。
【0142】
実施例6
消化及び亜硫酸水素変換
C枯渇トランスポソームで前処理した約35pg(2uL)の非メチル化対照ラムダDNAを用いて、10個の単一核を有するウェルをスパイクした。このプレートを50℃で20分間インキュベートして核を消化し、32.5uLの新たに調製したZymo CT変換試薬を製造者のプロトコルに従って添加した。ウェルを粉砕によって混合し、プレートを600xgで2分間、4℃で遠心分離した。このプレートを、以下の工程のためにサーモサイクラー上に置いた後、続けた:98℃で8分間、64℃で3.5時間、次いで4℃で20時間未満保持する。Zymo MagBindingビーズ(5uL)を各ウェルに添加し、150uLのM-結合緩衝液を各ウェルに添加した。粉砕によってウェルを混合した後、このプレートを室温で5分間インキュベートした。上清が透明になるまで、プレートを96ウェル適合性磁気ラック上に置いた。
【0143】
上清を除去し、ウェルをi)磁気ラックからプレートを除去し、ii)各ウェルに100uLの80%エタノールを添加し、ビーズペレット上を走らせ、iii)プレートを磁気ラック上に戻し、次いで上清を透明になると除去することによって、新鮮な80%エタノール(容量による)で洗浄した。
【0144】
脱スルホン化は、50uLのM-脱スルホン化緩衝液を各々ウェルに添加し、ビーズを粉砕によって完全に再懸濁し、室温で15分間インキュベートし、プレートを磁気ラック上に置き、次いで、上清を透明になると除去することによって達成した。
【0145】
上清を除去した。ウェルをi)磁気ラックからプレートを除去し、ii)各ウェルに100uLの80%エタノールを添加し、ビーズペレット上を走らせ、iii)プレートを磁気ラック上に戻し、次いで上清を透明になると除去することによって、新鮮な80%エタノール(容量による)で洗浄する。
【0146】
ペレットが視覚的に亀裂を生じ始めるまで、ビーズペレットを約10分間乾燥させた。
【0147】
各ウェルに25uLのZymo M-溶離緩衝液を添加し、ペレットを完全に解離するために粉砕し、プレートを55℃で4分間加熱することによって、溶離を達成した。
【0148】
実施例7
線形増幅
完全溶離液を、ウェル当たり以下の反応混合物:16uLのPCR-清浄H2O、5uLの10X NE緩衝液2.1、2uLの10mM dNTP混合物、及び2uLの10uM 9-ヌクレオチド無作為プライマーを用いて調製したプレートに移した。
【0149】
線形増幅を以下のように行った:i)95℃で45秒間インキュベートすることによってDNAを一本鎖とし、次いで氷上で急冷し、氷上で保持し、ii)完全に冷却したら、10U Klenow(3’->5’エキソ-)ポリメラーゼを各ウェルに加え、iii)プレートを4℃で5分間インキュベートし、次いで+1℃/15秒の速度で37℃まで昇温させ、次いで37℃で90分間保持する。
【0150】
工程i~iiiをさらに3回繰り返し、合計4ラウンドの線形増幅を行った。各増幅について、以下の混合物を各ウェル中の反応物に添加した:1uLの10uM 9-ヌクレオチド無作為プライマー、1uLの10mM dNTP混合物、及び1.25uLの4X NE緩衝液2.1。4ラウンドの線形増幅は、典型的には、より少ないラウンドと比較して、読み取りアラインメントレート (alignment rate)及びライブラリーの複雑さを有意に増加させる。
【0151】
以下のように、調製した18% PEG SPRIビーズ混合物を1.1X(ウェル反応体積と比較した体積濃度)で使用してウェルを清浄化した。このプレートを室温で5分間インキュベートし、磁気ラック上に置き、上清を透明になると除去した。ビーズペレットを50uLの80%エタノールで洗浄した。残っている液体を除去し、ビーズペレットを亀裂が始まるまで乾燥させた。DNAを21uLの10mM Tris-Cl(pH8.5)中に溶出した。
【0152】
実施例8
インデックス付加PCR反応
完全溶離液を、ウェル当たり以下の反応混合物:2uLの10uM i7インデックスPCRプライマー、2uLの10uM i5インデックスPCRプライマー、25uLの2X KAPA HiFi(商標)HotStart ReadyMix、及び0.5uLの100X SYBR(登録商標)Green Iを用いて調製したプレートに移した。PCR増幅は、以下のサイクルで、リアルタイムサーモサイクラーで実施し:95℃で2分間(94℃で80秒間、65℃で30秒間、72℃で30秒間)、ウェルの大部分が測定されたSYBR(登録商標)Green蛍光の変曲を示したら反応を停止した。ライブラリー調製については、16~21 PCRサイクルの間に変曲プラトーが観察された。
【0153】
実施例9
ライブラリーの清浄化及び定量化
ライブラリーを、以下のように、18% PEGS PRIビーズ混合物を0.8X(ウェル反応体積と比較した体積濃度)で使用して、ウェル当たり洗浄した。プレートを室温で5分間インキュベートし、磁気ラック上に置き、上清を透明になった後に除去した。ビーズペレットを50uLの80%エタノールで洗浄した。残っている液体を除去し、ビーズペレットを亀裂が始まるまで乾燥させた。DNAを25uLの10mM Tris-Cl(pH8.5)中に溶出した。
【0154】
ライブラリーを、5uLの各ウェルを使用してプールし、2uLを使用して、製造者のプロトコルに従って、dsDNA高感度Qubit(登録商標)2.0蛍光光度計を用いてDNAの濃度を定量した。Qubit(登録商標)読み出しは、ライブラリーを約4ng/uLに希釈するために使用され、1uLは製造者のプロトコルに従って、高感度バイオアナライザー2100上で実行された。次いで、ライブラリーを、200bp~1kbpの範囲について定量して、Illumina配列決定のためにプールを1nMに希釈した。
【0155】
実施例10
配列決定
NextSeq(登録商標)500を、以下の変更を除いて、1nMのサンプルについての製造者の説明書に従って運転のために設定した。ライブラリープールを0.9pMの濃度及び1.5mLの総容量でロードし、カートリッジ位置10に置いた;9μLの100μMストック配列決定プライマー1を総計1.5mLのHT1緩衝液にカートリッジ位置7に希釈することによってカスタムプライマーを設定し、100μMストック濃度で18μLの各カスタムインデックス配列決定プライマーを総計3mLのHT1緩衝液にカートリッジ位置9に入れ;NextSeq(登録商標)500をスタンドアロンモードで操作し;SCIseqカスタムケミストリーレシピ(Amini et al.、2014年、Nat.Genet.46、1343-1349)を選択し;二重インデックスを選択し;適切な数の読み取りサイクルを入力し(150推奨);インデックス1について10サイクル及びインデックス2について20サイクルを入力し;全ての読み取り及びインデックスについてカスタムチェックボックスを選択した。
【0156】
本明細書に引用した全ての特許、特許出願、及び刊行物、及び電子的に利用可能な材料(例えば、GenBank及びRefSeqにおけるヌクレオチド配列提出、並びに例えば、SwissProt、PIR、PRF、PDBにおけるアミノ酸配列提出、並びにGenBank及びRefSeqにおける注釈付きコード領域からの翻訳を含む)の完全な開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。刊行物で参照される補足資料(補足表、補足図、補足材料及び方法、並びに/又は補足実験データなど)も同様に、それらの全体が参照により組み込まれる。本出願の開示と、参照により本明細書に組み込まれる任意の文書の開示との間に何らかの不一致が存在する場合、本出願の開示が適用されるものとする。前述の詳細な説明及び実施例は、理解を明確にするためにのみ与えられたものである。不必要な限定は、それらから理解されるべきではない。本発明は、図示され、説明された正確な詳細に限定されず、当業者に明らかな変形例が特許請求の範囲によって定義される発明内に含まれる。
【0157】
特に断らない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量、分子量などを表す全ての数字は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されていると理解されるべきである。従って、特に断らない限り、本明細書及び特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。最低限でも、特許請求の範囲に均等論を限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数字を考慮して、通常の四捨五入技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0158】
本発明の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の例に記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、全ての数値は、本質的に、各々の試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じる範囲を含む。
【0159】
全ての見出しは読者の便宜のためであり、そのように指定されない限り、見出しに続く文章の意味を限定するために使用されるべきではない。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
【配列表】
2023085466000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単一細胞由来の核酸のメチル化状態を決定するための配列決定ライブラリーの調製方法であって、前記方法は:
(a)複数の細胞由来の単離された核を提供することと;
(b)前記単離された核を化学処理に供して、前記単離された核の完全性を維持しながら、ヌクレオソーム枯渇核を生成することと;
(c)前記ヌクレオソーム枯渇核のサブセットを、トランスポソーム複合体を含む第1の複数の区画内に分配することであって、各区画内の前記トランスポソーム複合体は、他の区画内の第1のインデックス配列とは異なる第1のインデックス配列を含む、分配することと;
(d)ヌクレオソーム枯渇核の前記サブセットにおける核酸を複数の核酸断片に断片化し、前記第1のインデックス配列を前記核酸断片の少なくとも1つの鎖に組み込んでインデックス付加された核を生成することと;
(e)前記インデックス付加核を組み合わせて、プールされたインデックス付加核を生成することと;
(f)前記プールされたインデックス付加核のサブセットを第2の複数の区画内に分配し、前記インデックス付加核をヒドラジン処理に供してヒドラジン処理された核酸断片を生成することと;
(g)各区画内の前記ヒドラジン処理された核酸断片を、5’末端に汎用ヌクレオチド配列及び3’末端に無作為ヌクレオチド配列を含む複数のプライマーを用いた線形増幅により増幅して、増幅された断片-アダプター分子を生成することと;
(h)第2のインデックス配列を前記増幅された断片-アダプター分子に組み込んで、デュアル-インデックス断片-アダプター分子を生成することであって、各区画内の前記第2のインデックス配列は、他の区画内の第2のインデックス配列とは異なる、生成することと;
(i)前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子を組み合わせることにより、前記複数の単一細胞由来の核酸の前記メチル化状態を決定するための配列決定ライブラリーを生成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
複数の単一細胞由来の核酸のメチル化状態を決定するための配列決定ライブラリーの調製方法であって、前記方法は:
(a)複数の細胞由来の単離された核を提供することと;
(b)前記単離された核を化学処理に供して、前記単離された核の完全性を維持しながら、ヌクレオソーム枯渇核を生成することと;
(c)前記ヌクレオソーム枯渇核のサブセットを、トランスポソーム複合体を含む第1の複数の区画内に分配することであって、各区画内の前記トランスポソーム複合体は、他の区画内の第1のインデックス配列とは異なる第1のインデックス配列を含む、分配することと;
(d)ヌクレオソーム枯渇核の前記サブセットにおける核酸を複数の核酸断片に断片化し、前記第1のインデックス配列を前記核酸断片の少なくとも1つの鎖に組み込んでインデックス付加された核を生成することと;
(e)前記インデックス付加核を組み合わせて、プールされたインデックス付加核を生成することと;
(f)前記プールされたインデックス付加核のサブセットを第2の複数の区画内に分配し、前記インデックス付加核をヒドラジン処理に供してヒドラジン処理された核酸断片を生成することと;
(g)各区画内の前記ヒドラジン処理された核酸断片を汎用アダプターに連結して、連結された断片-アダプター分子を生成することと;
(h)第2のインデックス配列を前記連結された断片-アダプター分子に組み込んで、デュアル-インデックス断片-アダプター分子を生成することであって、各区画内の前記第2のインデックス配列は、他の区画内の第2のインデックス配列とは異なる、生成することと;
(i)前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子を組み合わせることにより、前記複数の単一細胞由来の核酸の前記メチル化状態を決定するための配列決定ライブラリーを生成することと、
を含む、方法。
【請求項3】
前記化学処理が、核酸-タンパク質相互作用を破壊することができるカオトロピック剤による処理を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記カオトロピック剤がジヨードサリチル酸リチウムを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記化学処理が、核酸-タンパク質相互作用を破壊することができる洗剤による処理を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記洗剤がドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記細胞が、工程(a)の前に架橋剤で処理される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記架橋剤がホルムアルデヒドである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程(c)及び(f)における前記分配が、蛍光活性化核選別により行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
前記ヌクレオソーム枯渇核の前記サブセットが、ほぼ等しい数の核を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
前記ヌクレオソーム枯渇核の前記サブセットが、1~約2000個の核を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の複数の区画がマルチウェルプレートである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項13】
前記マルチウェルプレートが96ウェルプレート又は384ウェルプレートである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の複数の区画がマルチウェルプレートである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項15】
前記マルチウェルプレートが96ウェルプレート又は384ウェルプレートである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記プールされたインデックス付加核の前記サブセットが、ほぼ等しい数の核を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項17】
前記プールされたインデックス付加核の前記サブセットが、1~約25個の核を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記プールされたインデックス付加核の前記サブセットが、前記ヌクレオソーム枯渇核の前記サブセットよりも少なくとも10倍少ない核を含む、請求項1又はに記載の方法。
【請求項19】
前記プールされたインデックス付加核の前記サブセットが、前記ヌクレオソーム枯渇核の前記サブセットよりも少なくとも100倍少ない核を含む、請求項1又はに記載の方法。
【請求項20】
前記トランスポソーム複合体の各々が、トランスポザーゼ及びトランスポゾンを含み、前記トランスポゾンの各々が移送鎖を含む、請求項1又はに記載の方法。
【請求項21】
前記移送鎖が、シトシン残基を含まない、請求項2に記載の方法。
【請求項22】
前記移送鎖が、前記第1のインデックス配列を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項23】
前記移送鎖が、第1の汎用配列及び第1の配列決定プライマー配列をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項24】
工程(h)における前記第2のインデックス配列の組み込みが、各区画内の前記増幅された断片-アダプター分子を、各々がインデックス配列を含む第1の汎用プライマー及び第2の汎用プライマーと接触させることと、指数増幅反応を実施することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の汎用プライマーの前記インデックス配列が、前記第2の汎用プライマーの前記インデックス配列の逆相補体である、請求項2に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の汎用プライマーの前記インデックス配列が、前記第2の汎用プライマーの前記インデックス配列の逆相補体とは異なる、請求項2に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の汎用プライマーが、第1の捕捉配列及び前記増幅された断片-アダプター分子の前記3’末端における汎用配列に相補的な第1のアンカー配列をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の捕捉配列が前記P5プライマー配列を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の汎用プライマーが、第2の捕捉配列及び前記増幅された断片-アダプター分子の前記5’末端における汎用配列に相補的な第2のアンカー配列をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の捕捉配列が、前記P7プライマー配列の前記逆相補体を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記指数増幅反応がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項32】
前記PCRが15~30サイクルを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項33】
前記汎用アダプターの前記連結の前に、前記ヒドラジン処理された核酸断片の前記3’末端に1つ以上のヌクレオチドを付加して、3’突出を作製することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項34】
1つ以上のヌクレオチドの前記付加が、ターミナルトランスフェラーゼを使用して行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項35】
前記汎用アダプターが、前記ヒドラジン処理された核酸断片における前記3’突出に逆相補的な突出を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
工程(h)における前記第2のインデックス配列の組み込みが、各区画内の前記連結された断片-アダプター分子を、各々がインデックス配列を含む第1の汎用プライマー及び第2の汎用プライマーと接触させることと、指数増幅反応を実施することとを含む、請求項に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の汎用プライマーの前記インデックス配列が、前記第2の汎用プライマーの前記インデックス配列の前記逆相補体である、請求項3に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の汎用プライマーの前記インデックス配列が、前記第2の汎用プライマーの前記インデックス配列の前記逆相補体とは異なる、請求項3に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の汎用プライマーが、第1の捕捉配列及び前記連結された断片-アダプター分子の前記3’末端における汎用配列に相補的な第1のアンカー配列をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項40】
前記第1の捕捉配列が、前記P5プライマー配列を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第2の汎用プライマーが、第2の捕捉配列及び前記連結された断片-アダプター分子の前記5’末端における汎用配列に相補的な第2のアンカー配列をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項42】
前記第2の捕捉配列が、前記P7プライマー配列の前記逆相補体を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項43】
前記指数増幅反応が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項44】
前記PCRが15~30サイクルを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項45】
前記標的核酸に対して特異性を有する複数の捕捉オリゴヌクレオチドを使用した標的核酸の濃縮をさらに含む、請求項1又はに記載の方法。
【請求項46】
前記捕捉オリゴヌクレオチドが、固体基質の表面上に固定化されている、請求項4に記載の方法。
【請求項47】
前記捕捉オリゴヌクレオチドが汎用結合対の第1のメンバーを含み、前記結合対の第2のメンバーは、固体基質の表面上に固定化されている、請求項4に記載の方法。
【請求項48】
所定のサイズ範囲内に含まれる前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子の選択をさらに含む、請求項1又はに記載の方法。
【請求項49】
前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子を配列決定して、前記複数の単一細胞由来の核酸の前記メチル化状態を決定することをさらに含む、請求項1又はに記載の方法。
【請求項50】
複数の増幅部位を含む表面を提供することであって、
前記増幅部位は、遊離3’末端を有する付着した一本鎖核酸の少なくとも2つの集団を含む、提供することと、
増幅部位を含む前記表面を、個々のデュアル-インデックス断片-アダプター分子からのアンプリコンのクローン集団を各々含む複数の増幅部位を産生するのに適した条件下で、前記配列決定ライブラリーと接触させることと、
をさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子の数が増幅部位の数を超え、前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子が前記増幅部位への流体アクセスを有し、前記増幅部位の各々が、前記配列決定ライブラリーにおけるいくつかのデュアル-インデックス断片-アダプター分子のための容量を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項52】
複数の増幅部位を含む表面を提供することであって、
前記増幅部位は、遊離3’末端を有する付着した一本鎖核酸の少なくとも2つの集団を含む、提供することと、
増幅部位を含む前記表面を、個々のデュアル-インデックス断片-アダプター分子からのアンプリコンのクローン集団を各々含む複数の増幅部位を産生するのに適した条件下で、前記配列決定ライブラリーと接触させることと、
をさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子の数が増幅部位の数を超え、前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子が前記増幅部位への流体アクセスを有し、前記増幅部位の各々が、前記配列決定ライブラリーにおけるいくつかのデュアル-インデックス断片-アダプター分子のための容量を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項54】
前記接触させることが、(i)前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子を輸送速度で前記増幅部位に輸送すること、及び(ii)前記増幅部位にある前記デュアル-インデックス断片-アダプター分子を増幅速度で増幅することを同時に含み、前記増幅速度が前記輸送速度を超える、請求項5に記載の方法。
【請求項55】
前記工程(f)でヒドラジン処理された核酸断片が、線形増幅により増幅され、前記線形増幅が、1~10サイクルを含む、請求項3に記載の方法。
【外国語明細書】