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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008558
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】回転電機用ケース、及び回転電機装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/04 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
H02K5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112216
(22)【出願日】2021-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】向井 真央
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA07
5H605AA08
5H605BB01
5H605BB05
5H605BB10
5H605CC01
5H605CC02
5H605CC10
5H605GG06
(57)【要約】
【課題】汎用性を向上することができる回転電機用ケース、及び回転電機装置を提供する。
【解決手段】回転電機用ケースは、軸方向の両端が開口した中空状の本体部材と、付属部材を取付け可能な取付部を有し、本体部材の少なくとも一方の端部に着脱可能に設けられた分割部材と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の両端が開口した中空状の本体部材と、
付属部材を取付け可能な取付部を有し、前記本体部材の少なくとも一方の端部に着脱可能に設けられた分割部材と、
を備える回転電機用ケース。
【請求項2】
前記取付部は、前記分割部材に複数設けられている、
請求項1に記載の回転電機用ケース。
【請求項3】
前記取付部は、前記付属部材として、電気配線を接続する端子台を内部に収納する端子箱又は物理量を測定するセンサを取付可能に構成されている、
請求項1又は2に記載の回転電機用ケース。
【請求項4】
前記本体部材と前記分割部材とは、前記本体部材及び前記分割部材の中心軸に対して相対的に回転させた複数の位置で相互に固定可能に構成されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の回転電機用ケース。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のケースと、
前記本体部材の内側に固定される固定子と、
前記固定子に対して隙間を介して回転可能に設けられる回転子と、
を備える回転電機装置。
【請求項6】
前記回転子を回転可能に支持し、前記回転子の回転に伴って回転するシャフトと、
前記シャフトの反負荷側の端部に設けられ、前記シャフトの回転に伴って回転するファンと、を更に備え、
前記分割部材は、前記ケースの軸方向の反負荷側に設けられる、
請求項5に記載の回転電機装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転電機用ケース、及び回転電機装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動機や発電機等の回転電機装置において、固定子の外側に位置するケースは、端子箱等の付属部材が取付可能に構成されている。そして、ケースを周方向へ回転させたり、軸方向に反転させたりすることによって、付属部材の位置を変更させる構造が知られている。
【0003】
しかしながら、例えば回転電機装置の使用用途に応じて付属部材を変更する場合、ケース自体の交換が必要となり、応用仕様に柔軟に対応できないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-065598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の実施形態は、汎用性を向上することができる回転電機用ケース、及び回転電機装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の回転電機用ケースは、軸方向の両端が開口した中空状の本体部材と、付属部材を取付け可能な取付部を有し、前記本体部材の少なくとも一方の端部に着脱可能に設けられた分割部材と、を備える。
【0007】
実施形態の回転電機装置は、回転電機用ケースと、前記本体部材の内側に固定される固定子と、前記固定子に対して隙間を介して回転可能に設けられる回転子と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態による回転電機装置の一例を示す断面図
図2】第1実施形態による回転電機装置の一例について、本体部材をケースの軸方向から見た図
図3】第1実施形態による回転電機装置の一例について、分割部材をケースの軸方向から見た図
図4】第1実施形態による回転電機装置の一例について、ケースの負荷側に配置されたブラケットをケースの軸方向から見た図
図5】第1実施形態による回転電機装置の一例について、ケースの反負荷側に配置されたブラケットをケースの軸方向から見た図
図6】第1実施形態による回転電機装置の一例について、本体部材、分割部材、及びブラケットを取り外した状態を示す断面図
図7】第1実施形態による回転電機装置の一例について、分割部材の他の例をケースの軸方向から見た図
図8】第2実施形態による回転電機装置の一例について、分割部材をケースの軸方向から見た図
図9】第3実施形態による回転電機装置の一例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
図1に示す実施形態の回転電機装置1は、全閉形の外被構造による保護方式で構成され、例えば全閉外扇形で構成することができる。回転電機装置1は、例えばポンプや送風機等の図示しない負荷機械を回転駆動させるためのものである。回転電機装置1は、図1に示すように、回転電機用ケース10、回転電機本体20、及び軸受け31、32を備えている。なお、以下の説明において、回転電機用ケース10を単にケース10と称することがある。
【0011】
回転電機本体20の全部又は一部は、回転電機用ケース10内に収容されている。回転電機本体20は、固定子21、回転子22、シャフト23、及びファン24を有して構成することができる。なお、以下の説明において、シャフト23の中心軸Оに対して平行な方向を軸方向と称する。中心軸Oを中心に回転子22を回転させたとき、回転子22の外周面の進行方向を周方向と称する。中心軸Oに対して直交する方向を径方向と称する。また、図1の紙面における右側を回転電機装置1が負荷機械とつながる側つまり負荷側と称し、図1の紙面における左側を反負荷側と称する。
【0012】
ケース10は、回転電機装置1の外殻を構成しており、図1に示すように、全体として中空状に構成されている。ケース10は、固定子21、回転子22、シャフト23の一部、及びファン24を内部に収容する機能を有する。固定子21は、ケース10の内側に固定されている。固定子21は、固定子鉄心211と、固定子巻線212と、を有している。固定子鉄心211は、例えば円筒状に構成され、円板形状の電磁鋼板を複数枚積層して形成されている。固定子巻線212は、固定子鉄心211に巻かれている。
【0013】
回転子22は、固定子21の内側に設けられ、固定子21に対して隙間を介して回転可能に設けられている。すなわち、本実施形態では、回転電機装置1は、例えばインナーロータ型の回転電機装置として構成することができる。回転子22は、詳細は図示しないが、例えば円板形状の電磁鋼板を複数枚積層して構成された回転子鉄心と、この回転子鉄心に埋め込まれた永久磁石と、を有して構成されている。
【0014】
シャフト23は、回転子22の中心を貫いて設けられており、回転子22と一体的に回転可能に構成されている。シャフト23の両端部側部分は、それぞれ軸受け31、32を介して回転電機用ケース10に対して回転可能に支持されている。
【0015】
ファン24は、シャフト23の反負荷側の端部231に設けられ、シャフト23の回転に伴って回転する。ファン24が回転することによってケース10の外周へ向かって送風が行われ、放熱用フィンとの熱交換によって回転電機本体20が冷却される。
【0016】
ケース10は、図1に示すように、例えば本体部材11、分割部材12、及びブラケット13、14を備えて構成することができる。ケース10は、放熱用の図示しないフィンを多数有することができる。フィンは、例えば本体部材11又は分割部材12の一方又は両方に設けられており、本体部材11又は分割部材12の外周部から径方向外側に突出して軸方向に延びている。
【0017】
本体部材11及び分割部材12は、相互に着脱可能に構成されている。本体部材11及び分割部材12は、相互に組み合わされた状態で、全体として両端が開口した筒状、この場合、円筒形状に構成されている。本体部材11と分割部材12とは、いわゆるインローの関係によって一方が他方にはめ込まれている。固定子21及び回転子22の全部又は大部分は、本体部材11及び分割部材12の内側に配置されている。
【0018】
本体部材11は、ケース10において軸方向の負荷側に設けられる。一方、分割部材12は、ケース10の軸方向の反負荷側に設けられる。本体部材11の内径と分割部の内径とは、略同一の寸法に設定されている。すなわち、本体部材11と分割部材12とを組み合わせた場合、本体部材11及び分割部材12の内面において、本体部材11と分割部材12と境界部分にほとんど段差が生じていない。また、本体部材11の軸方向の長さ寸法は、分割部材12の軸方向の長さ寸法よりも大きくすることができる。そして、この場合、本体部材11は、固定子21の大部分を覆っている。
【0019】
ブラケット13、14は、本体部材11又は分割部材12の端部に取付けられており、本体部材11及び分割部材12内に収容された回転電機本体20の軸方向の外周部分を覆っている。ブラケット13は、ケース10に対して負荷側の端部つまり本体部材11に設けられている。一方、ブラケット14は、ケース10に対して反負荷側の端部つまり分割部材12に設けられている。
【0020】
本体部材11、分割部材12、及びブラケット13、14は、1つ又は複数の接続部材40によって着脱可能に連結することができる。例えば接続部材40は、複数組のボルト41及びナット42で構成することができる。そして、この場合、例えば図1に示すように、ボルト41は、ケース10の一方の端部から他方の端部まで、本体部材11、分割部材12、及びブラケット13、14を貫いて配置され、他方の端部においてナット42が取付けられる。これにより、本体部材11、分割部材12、及びブラケット13、14は、相互に固定される。
【0021】
本実施形態の場合、本体部材11と分割部材12とは、本体部材11及び分割部材12の中心軸Oに対して相対的に回転させた複数の位置で相互に固定可能に構成されている。例えば図2及び図3に示すように、分割部材12は、本体部材11に対して、中心軸Oを中心に60°の位置、180°の位置、及び300°の位置で固定することができる。この場合、分割部材12に取り付けられたブラケット14も、分割部材12とともに回転した位置に配置される。この場合、分割部材12に取り付けられるブラケット14は、本体部材11に対する分割部材12の取付け位置の変更に伴って本体部材11に対する角度が変更される構成でも良いし、本体部材11に対する分割部材12の取付け位置の変更にかかわらず、本体部材11に対する角度が常に一定となる構成でも良い。
【0022】
例えば本体部材11及び分割部材12は、それぞれ取付座111、121及び通し孔112、122を有している。取付座111、121は、それぞれ本体部材11の外周部あるいは分割部材12の外周部から径方向外側に突出して設けられ、軸方向に延びている。取付座111、121は、それぞれ本体部材11の外周部及び分割部材12の外周部の軸方向に対して全長にわたって形成されている。取付座111、121は、図2及び図3に示すように、例えば本体部材11の外周部及び分割部材12の外周部の周方向に等間隔をあけて複数この場合3つ設けられている。
【0023】
そして、取付座111、121は、軸方向に見て、中心軸Oを中心に等角度間隔θ1この場合120度に配置されている。角度間隔θ1は、120度に限られず、任意の角度間隔に設定することができる。すなわち、取付座111と取付座121との位置は、本体部材11と分割部材12とを対向させた場合に対応する位置であって重なるように配置されている。以下の説明において、3つの取付座121のそれぞれを特定する必要がある場合、これら3つ取付座121を121a、121b、121cとして区別する。
【0024】
通し孔112、122は、例えば円筒形状であって、取付座111、121を貫いて形成されている。なお、複数の取付座111、121は、本体部材11の外周部あるいは分割部材12の外周部の周方向に等間隔に限らず、不等間隔で設けられても良い。また、取付座111、121は、複数設けられる構成に限らず、取付座111、121を本体部材11の外周部あるいは分割部材12の外周部の周方向全周にわたって円環状に構成しても良い。このとき、通し孔112、122は、円環状の取付座111、121に対して任意の間隔をあけて複数形成される構成としても良い。以下の説明において、3つの通し孔122のそれぞれを特定する必要がある場合、これら3つ通し孔122を122a、122b、122cとして区別する。
【0025】
また、例えばブラケット13、14は、それぞれ接続座131、141及び接続孔132、142を有している。接続座131、141は、それぞれブラケット13と本体部材11、及びブラケット14と分割部材12を接続するためのものである。接続座131、141は、図4及び図5に示すように、ブラケット13、14の外周部から径方向外側に突出して設けられている。接続座131、141は、図4及び図5に示すように、例えばブラケット13、14の外周部の周方向に等間隔をあけて複数この場合3つ設けられている。そして、接続座131、141は、軸方向に見て、中心軸Oを中心に等角度間隔θ2この場合120度で配置されている。角度間隔θ2は、120度に限られず、任意の角度間隔に設定することができる。以下の説明において、3つの接続座141のそれぞれを特定する必要がある場合、これら3つ接続座141を141a、141b、141cとして区別する。
【0026】
接続孔132、142は、図4及び図5に示すように、例えば円筒形状に接続座131、141を貫いて形成されている。なお、複数の接続座131、141は、ブラケット13、14の外周部の周方向に等間隔に限らず、不等間隔で設けられても良い。また、接続座131、141は、複数設けられる構成に限らず、接続座131、141をブラケット13、14の外周部の周方向全周にわたって円環状に構成しても良い。このとき、接続孔132、142は、円環状の接続座131、141に対して任意の間隔をあけて複数形成される構成としても良い。以下の説明において、3つの接続孔142のそれぞれを特定する必要がある場合、これら3つ接続孔142を142a、142b、142cとして区別する。
【0027】
また、接続座131と取付座111との位置及び接続座141と取付座121との位置は、ブラケット13、14と本体部材11及び分割部材12とを対向させた場合に対応する位置であって重なるように配置されている。また、接続孔132、142は、軸方向に見て、中心軸Oを中心に通し孔112、122と周方向の角度間隔が等しい角度間隔この場合120度であって、通し孔112、122に対応した位置に形成されている。
【0028】
分割部材12は、取付部15を有している。取付部15は、分割部材12の外周部と内周部とのいずれか一方又は両方に設けられる。本実施形態では、取付部15は、図1等に示すように、分割部材12の外周部に設けられ、図示しない外部電源からの電気配線を接続する端子台511を内部に収納する端子箱51が取付可能に構成されている。取付部15は、例えば中空箱状に形成されている。取付部15は、孔151を有する。孔151は、取付部15の天面に設けられ、取付部15の内部と外部とを連通している。
【0029】
この場合、分割部材12には取付部15に対応した位置に、分割部材12の厚さ方向に貫いて形成された孔123が設けられる。そして、固定子巻線212に接続される図示しない電気配線は、孔123及び取付部15の内部空間を介して、孔151から端子箱51内に引き込まれて、端子台511に接続される。端子箱51は、回転電機装置1に取付けられる付属部材50の一例である。
【0030】
ここで、回転電機装置1の設置場所等の都合によって、端子箱51の位置を変更する必要が生じる場合がある。このとき、図5に示すように、軸方向に見て、上方に配置された端子箱51を、例えば右方に配置を変更する場合、ボルト41からナット42を取り外して、図6に示すように、本体部材11、分割部材12、及びブラケット13、14の接続を解除する。そして、本体部材11とブラケット13、14との位置は維持したまま、分割部材12を周方向右に120度回転させると、例えば端子箱51が上方に配置された状態で対応していた接続座141a及び接続孔142aと取付座121a及び通し孔122aとの位置関係から、接続座141a及び接続孔142aと取付座121c及び通し孔122cとが対応する位置関係に変更される。
【0031】
この状態で、本体部材11、分割部材12、及びブラケット13、14を組合せた後に、ボルト41を各接続孔132、142及び各通し孔112、122に通して、ボルト41にナット42を取付けることで、ケース10における端子箱51の位置を変更することができる。すなわち、端子箱51の位置の変更は、分割部材12を回転移動させることによって行うことができる。このようにして、接続座141及び接続孔142と取付座121及び通し孔122とを選択的に組合せることで、分割部材12に取付けられた端子箱51の周方向の位置を変更することができる。
【0032】
以上説明した実施形態によれば、回転電機用ケース10は、本体部材11と、分割部材12と、を備える。本体部材11は、軸方向の両端が開口した中空状に構成されている。分割部材12は、本体部材11の少なくとも一方の端部に着脱可能に配置される。そして、分割部材12は、取付部15を有する。取付部15は、付属部材50を取付可能である。これによれば、異なる種類の付属部材50が取付けられた複数種類の分割部材12を用意しておき、ユーザの使用用途に応じて最適な分割部材12に適宜変更することで、本体部材11は設計変更することなく、ケース10を柔軟に応用仕様に適用させることができる。これにより、回転電機用ケース10の汎用性を高めることができる。
【0033】
ここで、従来、回転電機用ケースは鋳造により製造される。ケースが単一の成形品で構成されている場合、回転電機装置に要求される性能等に対応するために回転子や固定子の長さを延長しようとすると、ケースの長さも延長する必要が生じる。この場合、ケースの各長さに応じた鋳型をそれぞれ用意する必要があり、結果として鋳型の種類が増加してしまう。これに対し、ケース10は単一の成型品ではなく、本体部材11及び分割部材12による複数の部材によって構成されている。このため、例えば本体部材11は変更せずに、長さを延長した分割部材61を製作することで、ケース10の長さの延長に対応することができる。つまり、本体部材11を基準にして、分割部材12の長さを変更することで、ケース10の長さを変更することができる。
【0034】
この場合、分割部材61を製作するための鋳型の種類は必要となるが、本体部材11の長さ分の製作を省略できるため、ケース10全体の鋳型を製作する場合に比べると小型サイズの鋳型を製作すれば良い。これにより、製造コストを極力抑えてケース10の寸法延長に対応することができる。なお、ケース10の長さを変更する場合、分割部材12を基準にして、本体部材11の長さを変えても良い。この場合、分割部材12を本体部材と称し、本体部材11を分割部材と称することもできる。
【0035】
また、本体部材11と分割部材12とは、本体部材11及び分割部材12の中心軸Oに対して相対的に回転させた複数の位置で相互に固定可能に構成されている。これによれば、例えば本体部材11の位置を維持したまま分割部材12を周方向に回転移動させることによって、分割部材12に取付けられた付属部材50の周方向の位置を変更することができる。したがって、回転電機用ケース10の設置スペース等に応じて、本体部材11の使用状態を変更することなく、分割部材12に取付けられた付属部材50の周方向の位置を容易に変更することができる。
【0036】
また、回転電機装置1は、ケース10と、固定子21と、回転子22と、を備える。固定子21は、本体部材11の内側に固定される。回転子22は、固定子21に対して隙間を介して回転可能に設けられる。これによれば、本体部材11と分割部材12とを接続する前に、予め分割部材12に付属部材50を設置しておくことで、本体部材11の内側に固定された固定子21等と互いに干渉することなく付属部材50を取付けることができる。そのため、回転電機装置1の組立作業性を向上することができる。
【0037】
また、回転電機装置1は、シャフト23及びファン24を更に備える。シャフト23は、回転子22を回転可能に支持し、回転子22の回転に伴って回転する。ファン24は、シャフト23の反負荷側の端部231に設けられ、シャフト23の回転に伴って回転する。そして、分割部材12は、ケース10の軸方向の反負荷側に設けられるに配置される。これによれば、分割部材12をケース10の反負荷側に設けることで、ファン24からの送風を利用して付属部材50に対する空冷の効果を得ることができる。
【0038】
また、分割部材12の複数の取付座121は、ブラケット14の各接続座141及び本体部材11の各取付座111の周方向の角度間隔よりも小さい角度間隔で構成することができる。この場合、図7の例では、分割部材12の取付座121は、分割部材12の外周部の周方向に等間隔をあけて複数この場合6つ設けられている。そして、取付座121は、軸方向に見て、中心軸Oを中心に等角度間隔θ3この場合60度に配置されている。すなわち、ブラケット14の各接続座141及び本体部材11の各取付座111の周方向の角度間隔は、各取付座121の周方向の角度間隔のn倍に設定することができる。これにより、接続座141及び取付座111の数を必要最小限に抑えつつ、分割部材12の取付座121の数を増加させることで、端子箱51の周方向の位置変更をより調整しやすくすることができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図8を参照して説明する。この第2実施形態の構成は、取付部15の構成が上記第1実施形態と異なる。具体的には、本実施形態において、分割部材12は、複数この場合2つの取付部15を有する。以下の説明において、2つの取付部15のそれぞれを特定する必要がある場合、これら2つの取付部15を15a、15bとして区別する。
【0040】
取付部15aは、付属部材50としての端子箱51を取付可能に構成される。取付部15bは、例えば分割部材12の内周部に設けられて、付属部材50としてのセンサ52を取付可能に構成される。センサ52は、例えば振動、音、温度等の物理量を測定する。つまり、センサ52は、回転電機装置1の運転状況を監視するためのものである。取付部15bは、例えば中空箱状に形成されている。この場合、分割部材12には取付部15bに対応した位置に、分割部材12の厚さ方向に貫いて形成された図示しない孔が設けられる。そして、センサ52に接続される図示しない信号線は、取付部15bの内部空間を介して、端子箱51内に引き込まれて、端子台511に接続される。図8の例では、取付部15aと取付部15bとが分割部材12の周方向において略同一の位置に設けられているが、これに限られず、取付部15aと取付部15bとは、分割部材12の周方向において異なる位置に設けられても良い。
【0041】
このような第2実施形態によれば、取付部15を分割部材12に複数設けることによって、複数の付属部材50を分割部材12に取付けることができる。その結果、ケース10の汎用性や利便性の向上を図ることができる。
【0042】
また、第2実施形態では、取付部15は、付属部材50として、電気配線を接続する端子台511を内部に収納する端子箱51又は物理量を測定するセンサ52を取付可能に構成されている。これにより、本体部材11から分割部材12を取り外した状態で、端子箱51又はセンサ52等の付属部材50を分割部材12に設置することによって、例えば電気配線の引き回し作業等が容易となり、組立作業性の向上を図ることができる。
【0043】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について図9を参照して説明する。この第3実施形態の構成は、ケース10の構成が上記実施形態と異なる。本実施形態では、ケース10は、分割部材61を更に有する。具体的には、上記各実施形態において、ケース10の反負荷側に分割部材12が設けられる構成としたが、本実施形態では、分割部材12に加えて、ケース10の負荷側に分割部材61を設ける構成としている。つまり、ケース10の軸方向において、本体部材11の両端部に分割部材12、61が配置される。
【0044】
分割部材61の内径と分割部材12の内径とは、略同一の寸法に設定されている。分割部材61の軸方向の長さ寸法は、分割部材12の軸方向の長さ寸法よりも大きい寸法あるいは小さい寸法に設定することができる。また、分割部材61の軸方向の長さ寸法は、本体部材11の軸方向の長さ寸法よりも大きい寸法あるいは小さい寸法に設定することができる。以下の説明では、本体部材11の負荷側の端部に設けられる分割部を第1分割部材12と称し、本体部材11の反負荷側の端部に設けられる分割部を第2分割部材61と称する。なお、本実施形態において、第1分割部材12は、上記各実施形態における分割部材12と同様の構成として説明を省略する。また、「第1」、「第2」との語句は、類似した構成要素を単に区別するためのものであり、構成要素間の優劣を意味するものではない。
【0045】
本体部材11と第2分割部材61とは、本体部材11及び第2分割部材61の中心軸Oに対して相対的に回転させた複数の位置で相互に固定可能に構成されている。例えば第2分割部材61は、第1分割部材12と同様に、本体部材11に対して、中心軸Oを中心に60°の位置、180°の位置、及び300°の位置で固定することができる。この場合、第2分割部材61に取り付けられたブラケット13も、第2分割部材61とともに回転した位置に配置される。この場合、第2分割部材61に取り付けられるブラケット13は、本体部材11に対する第2分割部材61の取付け位置の変更に伴って本体部材11に対する角度が変更される構成でも良いし、本体部材11に対する第2分割部材61の取付け位置の変更にかかわらず、本体部材11に対する角度が常に一定となる構成でも良い。
【0046】
また、第2分割部材61の負荷側の端部は、本体部材11の負荷側の端部と同一の形状に構成することができる。同一とは、完全一致だけでなく、例えば製造時に生じる誤差を含む範囲を意味する。そして、本体部材11と分割部材61とは、いわゆるインローの関係によって一方が他方にはめ込まれている。
【0047】
第2分割部材61は、取付座611及び通し孔612を有している。取付座611は、第2分割部材61の外周部から径方向外側に突出して設けられ、軸方向に延びている。取付座611は、第2分割部材61の外周部の軸方向の全長にわたって形成されている。取付座611及び通し孔612は、本体部材11と対向させた場合に、本体部材11の取付座111及び通し孔112に対応する位置であって重なるように配置される。また、取付座611及び通し孔612は、ブラケット13と対向させた場合に、ブラケット13の接続座131及び接続孔132に対応する位置であって重なるように配置される。通し孔612は、例えば円筒形状であって、取付座611を貫いて形成されている。
【0048】
そして、本実施形態のケース10の組立て時には、本体部材11、分割部材12、61、及びブラケット13、14を組合せた後に、接続孔132、142及び通し孔112、122、612を重なる位置に配置した状態で、ボルト41を接続孔132、142及び通し孔112、122、612にそれぞれ挿通し、ボルト41とナット42とが締結される。これにより、本体部材11、分割部材12、61、及びブラケット13、14は、相互に固定される。
【0049】
第2分割部材61は、その外周部又は内周部に取付部15を有する構成とすることができる。これにより、第1分割部材12に加えて、第2分割部材61にも付属部材50を配置することができ、ケース10の汎用性をより一層高めることができる。
【0050】
また、第3実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。例えばケース10の長さ寸法を変更する場合、本体部材11を基準にして、分割部材12、61の長さを変更することによって、ケース10の長さの延長に対応することができる。本実施形態の場合、本体部材11の両端に分割部材12、61を設けているため、各分割部材12、61の長さを適宜変更することで、ケース10の軸方向の負荷側及び反負荷側の両側において長さの調整を行うことができる。これにより、より柔軟にケース10の長さ延長に対応することができるため、ケース10内部への付属部品の追加等にも対応し易くなる。なお、ケース10の長さを変更する場合、分割部材12、61を基準にして、本体部材11の長さを変えても良い。この場合、分割部材12、61を本体部材と称し、本体部材11を分割部材と称することもできる。
【0051】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
図面中1は回転電機装置、10は回転電機用ケース、11は本体部材、12は分割部材、15は取付部、21は固定子、22は回転子、23はシャフト、24はファン、50は付属部材、51は端子箱、511は端子台、52はセンサ、を示す。
図1
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図9