IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ヒラカワの特許一覧

特開2023-85588ボイラの缶水の水質を安定化させる方法
<>
  • 特開-ボイラの缶水の水質を安定化させる方法 図1
  • 特開-ボイラの缶水の水質を安定化させる方法 図2
  • 特開-ボイラの缶水の水質を安定化させる方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085588
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】ボイラの缶水の水質を安定化させる方法
(51)【国際特許分類】
   F22B 37/56 20060101AFI20230614BHJP
   F22B 37/26 20060101ALI20230614BHJP
   F22B 37/38 20060101ALI20230614BHJP
   F22B 35/00 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
F22B37/56 A
F22B37/26 B
F22B37/38 C
F22B35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199694
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000154668
【氏名又は名称】株式会社ヒラカワ
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上梨 厚見
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宏
(72)【発明者】
【氏名】田口 裕介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】木下 正成
【テーマコード(参考)】
3L021
【Fターム(参考)】
3L021AA02
3L021DA12
3L021FA12
(57)【要約】
【課題】ボイラの缶水の水質を安定化させることで、発生蒸気内に缶水が多量に混入するキャリーオーバが生じたり、缶体の各部に腐食が発生したり、缶壁面にスケールが付着して伝熱面に過熱状態が生じたりすることを防止する。
【解決手段】ボイラの缶水の水質を安定化させる方法である。ボイラへ缶水を供給するための給水ポンプを間欠的に運転する。そして、給水ポンプを間欠的に運転するごとに、缶水を缶外へ排出するためのブロー操作を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラの缶体へ缶水を供給するための給水ポンプを間欠的に運転し、前記給水ポンプを間欠的に運転するごとに、缶水を缶外へ排出するためのブロー操作を行うことを特徴とするボイラの缶水の水質を安定化させる方法。
【請求項2】
ボイラから外部に供給される気水混合流体に含まれる蒸気と缶水とを分離させるための気水分離器の缶水を缶外へ排出することを特徴とする請求項1記載のボイラの缶水の水質を安定化させる方法。
【請求項3】
気水分離器内の缶水の電気伝導率を検出し、検出される電気伝導率の高低に応じてブロー操作の時間に上限値と下限値とを設定し、検出された電気伝導率が、前記ブロー操作の時間の上限値に対応する電気伝導率と前記ブロー操作の時間の下限値に対応する電気伝導率との間の通常の電気伝導率であった場合には、前記ブロー操作の時間の上限値と下限値との間の一定値の時間でブロー操作を行うことを特徴とする請求項2記載のボイラの缶水の水質を安定化させる方法。
【請求項4】
検出された電気伝導率がブロー操作の時間の上限値に対応する電気伝導率を上回った場合にブロー操作の時間を上限値に設定するとともに、測定された電気伝導率がブロー操作の時間の下限値に対応する電気伝導率を下回った場合にブロー操作の時間を下限値に設定することを特徴とする請求項3記載のボイラの缶水の水質を安定化させる方法。
【請求項5】
ボイラが低負荷で運転される状態が一定時間以上継続したときに、気水分離器内の電気伝導率が検出される缶水の当該電気伝導率を、ボイラ内の缶水の電気伝導率に対応させるように、所定時間にわたってブロー操作を行うことを特徴とする請求項3または4記載のボイラの缶水の水質を安定化させる方法。
【請求項6】
ボイラが低負荷で運転される状態が一定時間以上継続したときに、一時的にボイラを高燃焼状態として、蒸発量を増加させるとともに気水分離器に流入する気水混合流体の量を増大させることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載のボイラの缶水の水質を安定化させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボイラの缶水の水質を安定化させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラで缶水が蒸発することにより発生した蒸気には缶水も混在し、この缶水が混在した蒸気すなわち気水混合流体は、気水分離器に流入され、この気水分離器において蒸気と缶水とが気水分離される。分離した缶水は、気水分離器とボイラの缶体とを連結する降水管を通って、ボイラの缶体の下部に流入する。ボイラの運転中は、これらの動作が連続的に行われることで缶水が循環されて、缶体の内部の水質が安定状態で一定化する(特許文献1)。蒸発によって減少した缶水を補充するために、ボイラの缶体へ給水するための給水ポンプが運転される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-74679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ボイラは蒸発と給水とを繰り返している状態にあることから、缶内にスラッジなどの不純物が堆積したり、缶水の濃縮度が上昇したりする。すると、発生蒸気内に缶水が多量に混入するキャリーオーバが生じたり、缶体の各部に腐食が発生したり、缶壁面にスケールが付着して伝熱面に過熱状態が生じたりする。特に腐食の発生や過熱状態の発生がある程度以上進行すると、缶体が破裂するなどの事故が発生しかねない。
【0005】
そこで本発明は、ボイラの缶水の水質を安定化させることで、このような不都合が発生しないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため本発明のボイラの缶水の水質を安定化させる方法は、ボイラの缶体へ缶水を供給するための給水ポンプを間欠的に運転し、前記給水ポンプを間欠的に運転するごとに、缶水を缶外へ排出するためのブロー操作を行うことを特徴とする。
【0007】
本発明のボイラの缶水の水質を安定化させる方法によれば、ボイラから外部へ供給される気水混合流体に含まれる蒸気と缶水とを分離させるための気水分離器の缶水を缶外へ排出することが好適である。
【0008】
本発明のボイラの缶水の水質を安定化させる方法によれば、気水分離器内の缶水の電気伝導率を検出し、検出される電気伝導率の高低に応じてブロー操作の時間に上限値と下限値とを設定し、検出された電気伝導率が、前記ブロー操作の時間の上限値に対応する電気伝導率と前記ブロー操作の時間の下限値に対応する電気伝導率との間の通常の電気伝導率であった場合には、前記ブロー操作の時間の上限値と下限値との間の一定値の時間でブロー操作を行うことが好適である。
【0009】
本発明のボイラの缶水の水質を安定化させる方法によれば、測定された電気伝導率がブロー操作の時間の上限値に対応する電気伝導率を上回った場合にブロー操作の時間を上限値に設定するとともに、測定された電気伝導率がブロー操作の時間の下限値に対応する電気伝導率を下回った場合にブロー操作の時間を下限値に設定することが好適である。
【0010】
本発明のボイラの缶水の水質を安定化させる方法によれば、ボイラが低負荷で運転される状態が一定時間以上継続したときに、気水分離器内の電気伝導率が検出される缶水の当該電気伝導率を、ボイラ内の缶水の電気伝導率に対応させるように、所定時間にわたってブロー操作を行うことが好適である。
【0011】
本発明のボイラの缶水の水質を安定化させる方法によれば、ボイラが低負荷で運転される状態が一定時間以上継続したときに、一時的にボイラを高燃焼状態として、蒸発量を増加させるとともに気水分離器に流入する気水混合流体の量を増大させることが好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のボイラの缶水の水質を安定化させる方法によれば、ボイラへ缶水を供給するための給水ポンプを間欠的に運転し、前記給水ポンプを間欠的に運転するごとに、缶水を缶外へ排出するためのブロー操作を行うため、継続して一部の缶水を確実に新たな給水と入れ替えることができ、このためボイラの缶水の水質を安定化させることができて、安定化させることができない場合のような不都合の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態のボイラの缶水の水質を安定化させる方法を実行するためのボイラの構造を示す図である。
図2図1のボイラの運転シーケンスの例を示す図である。
図3図1のボイラにおけるブロー率の制御例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のボイラの缶水の水質を安定化させる方法の原理は、ボイラへ缶水を供給するための給水ポンプを間欠的に運転するごとに、缶水を小刻みに缶外に排出させることで、缶水の濃度すなわちその水質を安定化させることにある。
【0015】
図1は、本発明の方法を実行するためのボイラの構造を示す。ここで11は缶体で、給水路12から供給された缶水13を図外のバーナによって加熱することで蒸気14を発生させるように構成されている。15は、バーナからの排ガス路である。16はエコノマイザで、このエコノマイザ16に排ガス路15と給水路12とが接続されることで、排ガスの保有する熱エネルギを給水すなわち缶水13に回収して熱効率の向上を図るためのものである。給水路12には、給水ポンプ17が設けられている。
【0016】
缶体11の内部で発生した蒸気14は、缶体11の内部に存在していた缶水13を含んだ気水混合流体の形態で缶体11から外部へ取り出され、気水分離器18に取り込まれる。気水分離器18は、重力の作用などによって蒸気14と缶水13とを分離し、分離された蒸気14は気水分離器18の上部から系外へ取り出されて使用先に供給される。分離された缶水13は気水分離器18の内部における下部に溜まるが、気水分離器18と缶体11とを連通させる降水管19を経て、缶体11の底部へ循環される。
【0017】
降水管19には、ブロー配管21が接続されている。このブロー配管21は、降水管19や気水分離器18の内部に溜まっている缶水13を、重力の作用や缶体11の内部に存在する蒸気14の圧力の作用などによって、缶体11の外部へ排出するためのもの、すなわち缶水13のブローを行うためのものである。ブロー配管21には、ブローの実行と停止とを制御するための開閉弁22が設けられている。
【0018】
降水管19には、この降水管19の内部の缶水13の電気伝導率を検出するための電気伝導率センサ23が設けられている。缶水13は濃縮するとその電気伝導率が上昇するので、電気伝導率を検出することによってその濃縮の度合いを検出しようとするものである。電気伝導率センサ23は、図示のボイラにおいて缶水13が存在する任意の箇所に設けることができる。しかし、缶体11の内部では缶水13が沸騰状態にあって激しく運動しているため、その安定した濃度を測定することが困難である。これに対し、降水管19は缶体11の外部に設けられているため、外気によって冷却され、したがって降水管19の内部の缶水13は沸騰状態ではなく、安定した状態となっている。よって、電気伝導率センサ23を降水管19に設けることで、缶水13の電気伝導率を安定な状態で検出することができる。さらに、電気伝導率が高くなっていることを検出できずに見逃してしまうことを防止するために、電気伝導率センサ23は、降水管19における缶水13の電気伝導率の高い部分、すなわち図示のように高さ方向に沿った降水管19の中ほどの部分に設けられている。そして、ブロー配管21は、降水管19における電気伝導率センサ23が設けられた位置に対応して、この降水管19に連通されている。
【0019】
24は制御装置で、給水ポンプ17の運転、停止を制御するとともに、電気伝導率センサ23からの検出信号にもとづいてブロー配管21における開閉弁22の開閉状体を制御するものである。
【0020】
25は水位計で、缶体11の内部における缶水13の水位を検出するために缶体11に連通されている。26は全ブロー配管で、この全ブロー配管26に設けられた弁27を開くことで、メンテナンスなどを目的として缶体11の内部の缶水13をすべて排出するために用いられる。
【0021】
このような構成において、図示のボイラを運転する際には、蒸気の発生により缶体11の内部の缶水13のレベルが低下するため、給水ポンプ17を運転して缶水13を補充する。この給水ポンプ17の運転および停止は、制御装置24によって図2に示すように間欠的に行われる。この給水ポンプ17の間欠的な運転時間は、缶体11の内部における缶水13のレベルの低下の仕方に応じて、それぞれの運転時ごとに変動する。図2の例では、1回目の運転時間はTA、2回目の運転時間はTB、3回目の運転時間はTCである。
【0022】
本発明においては、給水ポンプ17を運転して缶体11の内部に缶水13を補充するときに、同時に、ブロー配管21を通して濃度の高くなった缶水13の排出を行い、それによって缶体11の内部の缶水13の濃度すなわち電気伝導率を低下させる。その詳細は、次のとおりである。
【0023】
すなわち、制御装置24によってブロー操作時間に上限値と下限値とを設定し、センサ23による電気伝導率の検出結果すなわち缶水13の濃度の検出値が通常の範囲である場合には、上限値と下限値との間で設定された一定の設定時間だけブロー操作を行う。具体的には、図2に示すように、給水ポンプ17の2回目の運転時に、同時に、給水ポンプ17の1回目の運転時間TAに係数Cを乗じた時間であるTA×Cだけブロー操作を行う。Cは、給水の状態や缶水13の管理状態によって適宜に設定することができ、たとえば0.2~1.5(20~150%)の範囲で設定することができる。すると、ブロー操作時間の上限値はTA×1.5となり、ブロー操作時間の下限値はTA×0.2となり、この範囲の間で一定のブロー操作時間となるように通常時についてのCの値となる一定値を設定する。すなわち、Cは、上限値である1.5と下限値である0.2との間における適宜の値を持つことになる。
【0024】
同様に、給水ポンプ17の3回目の運転時には、同時に、給水ポンプ17の2回目の運転時間TBに係数Cを乗じた時間であるTB×Cだけブロー操作を行う。この時のCの値は、2回目の運転時と同値である。このように、給水ポンプ17の前回の運転時間に対応して、給水ポンプ17の次回の運転時にブロー操作を行うことで、給水ポンプ17の前回の運転時間に適合した適切な時間にわたってブロー操作を行うことができる。また、給水ポンプ17の運転時に同時にブロー操作を行うため、ブロー操作により排出した缶水13の量を適切に補充することができる。このようにして、缶体11の内部における缶水13の電気伝導率すなわちその濃度を、安定状態で維持することができる。
【0025】
上記した上限値と下限値とC値との3種類の係数の値によれば、図2において、ブロー操作の最短時間は、TA×0.2となる。このように下限値を設ける理由は、下限値を下回ってブロー操作の時間が短くなると、缶体11の内部における缶水13の濃度が大きく変動する恐れがあるためである。なお、問題が無ければ、ブロー操作の最短時間をTA×0すなわちブロー操作を行わないように制御することも可能である。また図2において、ブロー操作の最長時間は、TA×1.5となる。このように上限値を設ける理由は、上限値を上回ってブロー操作の時間が長くなると、給水ポンプ17の次回の間欠運転時に、前回の間欠運転時に関連したブロー操作が引き続き実施されて、制御困難となる恐れがあるためである。なお、このような問題点が生じない限り、1.5を超えて上限値を設定することも可能である。
【0026】
缶体11の内部の缶水13の濃度が極端に高くなって、それに応じた高い電気伝導率が検出され、その場合は上限値を超えた長いブロー操作時間が必要であるときにおいても、ブロー操作時間は、給水ポンプ17の前回の運転時間の1.5倍の長さまでとし、その長さをブロー操作時間の上限値とする。すると、ブロー操作時間が必要時間に達せず缶水13の濃度は十分に低下しないため、次回以降の所要の回数にわたっても、上限値でブロー操作を行うことになる。そして、そのような操作を繰り返すことで、いずれは缶水13の濃度が十分に低下し、所要のブロー操作時間が上限値以下になるので、その後は、上記した上限値と下限値との間の通常時間での制御を行うことになる。
【0027】
反対に、缶体11の内部の缶水13の濃度が極端に低くなって、それに応じた低い電気伝導率が検出され、その場合は下限値を下回る短いブロー操作時間で足りるときにおいても、ブロー操作時間は、給水ポンプ17の前回の運転時間の0.2倍の長さまでしか短くせず、その長さをブロー操作時間の下限値とする。すると、ブロー操作時間が必要時間を超えてしまい、缶水13の濃度は十分に上昇しないため、次回以降の所要の回数にわたっても、下限値でブロー操作を行うことになる。そして、そのような操作を繰り返すことで、いずれは缶水13の濃度が必要レベルまで上昇し、所要のブロー操作時間が下限値以上になるので、その後は、上記した上限値と下限値との間の通常時間での制御を行うことになる。
【0028】
図3は、本発明のボイラの缶水の水質を安定化させる方法を、図2の時間軸チャートとは別の観点で示したグラフである。このグラフは、センサ23にて検出された缶水13の電気伝導率を横軸にとり、給水時間とブロー操作時間との比(%)を縦軸にとったものである。電気伝導率の単位は、mS/mすなわち、ミリジーメンス毎メートルである。ここでは、300mS/mを設定値とし、この設定値±20パーセントの範囲、つまり240mS/mから360mS/mまでの範囲を許容範囲すなわち通常範囲としたうえで、缶水13の濃度を制御している。図3の例では、給水時間とブロー操作時間との比が100%となるように上述のCの値を設定している。すなわちC=1.0としている。
【0029】
電気伝導率360mS/mを検出濃度の上限値として、検出濃度がこれを上回った場合でも係数を1.5(150%)にしている。これにより、ブロー操作の時間を長くして、ブロー率が高くなるようにしている。また電気伝導率240mS/mを検出濃度の下限値として、検出濃度がこれを下回った場合でも、係数を0.2(20%)にしている。これにより、ブロー操作の時間を短くして、ブロー率が低くなるようにしている。なお、上記のように下限値の値を0にすることができる場合は、そうすることで、ブロー率も0%に抑えることができる。
【0030】
上記のようにして、缶水13は、缶体11の内部と、気水分離器18および降水管19の内部とを循環する。この場合において、負荷の低い状態でボイラを運転しているときには、上記した缶水13の循環量が少なくなり、それによって缶水13の濃度すなわち電気伝導率の検出精度が低下する可能性がある。このため、ボイラが低負荷の状態で運転を続けている場合には、所定時間の経過とともに、または給水ポンプが所定回数以上間欠運転を行った時点で、ある程度の時間にわたってブロー操作を行う。そうすることにより、缶水13の循環量が多くなって、缶体11の内部の缶水13の濃度と同程度の濃度の缶水13を電気伝導率センサ23の設置位置に到達させることができる。これによって、電気伝導率を正確に検出することができる。
【0031】
上述の缶水13の循環に関し、ボイラが低負荷で運転されているときには、蒸発状態が比較的穏やかであることから、蒸発に伴って缶体11の内部で跳ね上がる缶水の量が少なく、このために缶水13の循環の程度が低下することがある。その対策として、ボイラが低負荷で運転されているときに、一定の条件下でボイラの燃焼量を増大させることで、蒸発状態を活発化させて缶体11の内部で跳ね上がる缶水の量を増大させ、それによって缶水13の循環を促進させれば、正確な濃度検出を可能とすることができる。たとえば、低負荷での運転状態が30分~1時間程度継続した場合には、ボイラの燃焼量を増大させて10~20秒間程度沸水を発生させれば、缶体11の内部で缶水13を跳ねさせて缶水13を良好に循環させることができる。あるいは、低負荷での運転状態が続いているときに給水ポンプ17を20回程度間欠運転した場合には、同様にボイラの燃焼量を増大させて10~20秒間程度沸水を発生させれば、缶水13を良好に循環させることができる。
【0032】
上記においては、通常運転時に、Cの値を上限値と下限値との間における一定値に設定して制御した。しかし、これに代えて、上限値と下限値との間においてCの値を一定とせず、検出された電気伝導率の高低に応じてCの値を上限値と下限値との間で変化させることもできる。そして、そり場合には、図3のグラフは、現状の階段状のものに代えて、電気伝導率の下限値(240mS/m)での給水時間とブロー時間との比(20%)から、電気伝導率の上限値(360mS/m)での給水時間とブロー時間との比(150%)まで、右上がりに変化するものになる。
【0033】
また、上記においては、ブロー率を変化させるとき、ブロー操作時間を変化させることで対応した。しかし、これに代えて、あるいはこれとともに、ブロー配管21に設けられる弁を上述の開閉弁22に代えて開度調節弁とし、その開度を制御することによってブロー率を変化させることもできる。
【符号の説明】
【0034】
17 給水ポンプ
18 気水分離器
19 降水管
21 ブロー配管
22 開閉弁
23 電気伝導率センサ
24 制御装置
図1
図2
図3