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特開2023-85603電極加圧力測定装置及び電極加圧力測定方法
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  • 特開-電極加圧力測定装置及び電極加圧力測定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085603
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】電極加圧力測定装置及び電極加圧力測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20230614BHJP
   B23K 11/24 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
G01L5/00 Z
B23K11/24 336
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199721
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000151070
【氏名又は名称】電元社トーア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩本 善昭
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA11
2F051AB09
2F051BA07
(57)【要約】
【課題】抵抗溶接機の電極で被溶接材を挟んで加圧する際の加圧力を正確に測定すること。
【解決手段】測定装置20は、加圧力を測定するロードセル36と、ロードセル36を加圧するロードセル加圧子37と、一方にロードセル36が設置されるとともに他方にロードセル加圧子37が設置され、ロードセル36とロードセル加圧子37とが当接した状態で互いに離間して配置された一対のブロック部34a,34bとを備える。更に、測定装置20は、一対のブロック部34a,34bを互いに近接離間可能に、且つ、直線方向に摺動自在に案内するLMガイドと、を備え、一対のブロック部34a,34bは、ロードセル36に対してLMガイドと反対側にオフセットした位置に、抵抗溶接機の電極15a,15bで摺動方向に挟まれて加圧される一対の加圧部35を備える構成とした。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧力を測定するロードセルと、
前記ロードセルを加圧するロードセル加圧部と、
一方に前記ロードセルが設置されるとともに他方に前記ロードセル加圧部が配置され、前記ロードセルと前記ロードセル加圧部とが当接した状態で互いに離間して配置された一対のブロック部と、
前記一対のブロック部を互いに近接離間可能に、且つ、直線方向に摺動自在に案内するガイド部と、を備え、
前記一対のブロック部は、前記ロードセルに対して前記ガイド部と反対側にオフセットした位置に、抵抗溶接機の電極で摺動方向に挟まれて加圧される一対の被加圧部を備える
ことを特徴とする電極加圧力測定装置。
【請求項2】
前記ブロック部における前記被加圧部の加圧方向の長さは、前記ロードセル側の前記摺動方向の長さよりも短い寸法である
ことを特徴とする請求項1に記載の電極加圧力測定装置。
【請求項3】
前記被加圧部は、前記電極で加圧される面が前記摺動方向に対して直交する平面である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電極加圧力測定装置。
【請求項4】
前記ロードセル及び前記ロードセル加圧部は、互いに当接する当接面をそれぞれ備え、
一方の前記当接面は湾曲凸状面であり、他方の当接面は平面である
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の電極加圧力測定装置。
【請求項5】
それぞれの前記ブロック部は、
互いに対向する対向面に、前記ロードセル及び前記ロードセル加圧部の何れか一方が設置される本体部と、
前記本体部から前記ガイド部と反対方向に延出し、前記本体部よりも前記摺動方向の厚さ寸法が小さく形成された前記被加圧部と、
前記本体部と前記被加圧部との間の角部に設けられた第一補強壁と、
前記対向面と反対側の面から前記ガイド部に沿って延出した第二補強壁と、を有する
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の電極加圧力測定装置。
【請求項6】
前記ガイド部に、前記摺動方向にバネ力で伸縮し、前記ブロック部が載置されるプランジャー部を備える
ことを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の電極加圧力測定装置。
【請求項7】
一対の電極を備える抵抗溶接機と、
前記抵抗溶接機を移動可能なロボットと、
前記ロボットを制御する制御装置と、
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の電極加圧力測定装置と、
を用いた電極加圧力測定方法であって、
前記ロボットによる前記抵抗溶接機の移動範囲内に、前記電極加圧力測定装置を前記摺動方向を上下方向として設置する設置工程と、
前記制御装置に前記電極加圧力測定装置の位置情報を記録する記録工程と、
前記制御装置が前記位置情報に基づいてロボットを制御することによって、前記一対の電極で前記被加圧部を挟持して加圧する加圧工程と、
前記ロードセルによって加圧力を測定する測定工程と、
を実行することを特徴とする電極加圧力測定方法。
【請求項8】
前記一対の電極のうち少なくとも一方は、円弧状の軌跡を描きながら前記被加圧部を加圧する
ことを特徴とする請求項7に記載の電極加圧力測定方法。
【請求項9】
前記加圧工程において、前記一対の電極のうち下側に配置された電極で、前記一対のブロック部を持ち上げつつ、前記被加圧部を加圧する
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の電極加圧力測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属による被溶接材を対向する電極により適切な力で挟んで加圧するために、事前に電極による加圧力を測定する電極加圧力測定装置及び電極加圧力測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗溶接機は、金属等の被溶接材を対向する電極により適切な力で挟んで加圧し、電流を導通して発生させた抵抗熱により被溶接材を接合する。この抵抗溶接機の状態を確認するには、被溶接材を電極で挟んで加圧する際の加圧力(電極加圧力ともいう)、電極間に流す溶接電流、電流の通電時間を測定する必要がある。溶接電流及び通電時間は、トロイダルコイルの環状内に電極を通して測定する。加圧力は、図5に示す従来の電極加圧力測定装置(測定装置ともいう)10によって測定している。
【0003】
測定装置10は、人が把持するゴムグリップ部11の端面に棒状のフレキシブルパイプ12が突き出るように固定され、フレキシブルパイプ12の先端に棒12aを介してロードセル13が固定されている。ロードセル13は円盤状を成し、円盤状両側の円形面の中央部に概略円錐状に窪んだ窪み13a,13b(図6)を有する。両側の窪み13a,13bが、対向する電極15a,15b(図7)で両側(ここでは上下側とする)から挟まれるように、ゴムグリップ部11を把持した人が位置合わせを行う。この後、次のように電極15a,15bによる加圧力を測定する。
【0004】
即ち、図7に示すように、下側の電極15b上にロードセル13の窪み13bが来るように人が保持し、上側の電極15aが曲線A1で示すように円弧状に移動してロードセル13を加圧することにより、ロードセル13で加圧力が測定される。この種の技術として特許文献1に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-291060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した測定装置10による電極15a,15bによる加圧力の測定は、電極15a,15bをロードセル13の窪み13a,13bに適正に合わせて加圧しなければ正確に加圧力が測定できない。つまり、測定装置10を人が把持していれば、人が適切に調節することで電極15a,15bが窪み13a,13bに適正に嵌ってロードセル13を適切に加圧できることが多い。
【0007】
しかし、測定装置10を人が把持する場合、測定頻度が著しく低下してしまう(例えば数か月に一度)。測定頻度を上げるには、測定装置10を人が把持するのではなく、支持台などに固定して制御装置で自動的に計測することが考えられる。上述した測定装置10を単に支持台に固定しただけでは、加圧時にロードセル13の向きを適切に調節することができず、測定精度が低下する(保証できない)。電極15a,15bによる加圧力が適正でないと、被溶接材としての自動車の板金等の溶接製品において溶接剥がれが生じる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、抵抗溶接機の電極で被溶接材を挟んで加圧する際の加圧力を正確に測定できる電極加圧力測定装置及び電極加圧力測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段として、本発明の電極加圧力測定装置は、加圧力を測定するロードセルと、前記ロードセルを加圧するロードセル加圧部と、一方に前記ロードセルが設置されるとともに他方に前記ロードセル加圧部が配置され、前記ロードセルと前記ロードセル加圧部とが当接した状態で互いに離間して配置された一対のブロック部と、前記一対のブロック部を互いに近接離間可能に、且つ、直線方向に摺動自在に案内するガイド部と、を備え、前記一対のブロック部は、前記ロードセルに対して前記ガイド部と反対側にオフセットした位置に、抵抗溶接機の電極で摺動方向に挟まれて加圧される一対の被加圧部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、抵抗溶接機の電極で被溶接材を挟んで加圧する際の加圧力を正確に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る電極加圧力測定装置の構成を示す斜視図である。
図2図1に示す電極加圧力測定装置の拡大斜視図である。
図3図1に示す電極加圧力測定装置のIII-III断面図である。
図4図3に示す電極加圧力測定装置の加圧部を上下から電極で加圧した様態を示す断面図である。
図5】従来の電極加圧力測定装置の平面図である。
図6】従来の電極加圧力測定装置の側面図である。
図7】従来の電極加圧力測定装置のロードセルを上下から電極で加圧した様態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<実施形態の構成>
図1は本発明の実施形態に係る電極加圧力測定装置の構成を示す斜視図、図2図1に示す電極加圧力測定装置の拡大斜視図である。
【0013】
図1に示す電極加圧力測定装置(測定装置)20は、ロボットで駆動される抵抗溶接機の一対の電極により挟んで加圧する加圧力(電極による加圧力という)[N:ニュートン]を自動で計測するものである。この測定装置20は、水平な床の上に、床に対して垂直方向(以降、単に垂直方向という)に立設された四角柱21の上部に固定されている。四角柱21の上部には、測定装置20の横に電流[A:アンペア]を測定する環状のトロイダルコイル23が配設され、インシュロック等で固定されている。四角柱21の下端は、四角形状のプレート22に固定され、このプレート22が床に複数のボルト(図示せず)で固定される。
【0014】
四角柱21における測定装置20の固定面の裏面側には、後述のロードセル36(図3)で計測される電極による加圧力、トロイダルコイル23で測定される電極間に流す溶接電流、及び電流の通電時間等の測定結果を図示せぬロボットへ送信するインタフェース処理等を行う処理装置24が固定されている。
【0015】
トロイダルコイル23は、図示せぬ抵抗溶接機の一対の電極15a,15b(図4参照)間に流す溶接電流と、電流の通電時間とを測定する。この測定は、各電極15a,15bをトロイダルコイル23の環状内に挿通して行うようになっている。
【0016】
図1に示す測定装置20が立設された床に対して垂直方向のIII-III断面図を図3に示す。図3の断面図に示すように、測定装置20は、四角柱21の上部一側面に固定された板31を介してLMガイド(Linear Motion Guide)(登録商標)のレール32が複数のネジ33で固定され、レール32に断面形状が細長い長方形状のLMブロック(登録商標)32a1,32b1が摺動自在に組合わされている。LMブロック32a1,32b1には、三角形状の組合せブロック部34の基端部34a1,34b1(後述)がネジ等で固定されており、組合せブロック部34がLMブロック32a1,32b1と共に摺動する。この摺動方向は、本例では垂直方向(縦方向ともいう)と一致している。なお、LMガイドは、請求項記載のガイド部を構成する。
【0017】
板31は、四角柱21の一側面より、やや幅狭の細長い長方形状を成し、長手方向に沿って複数のネジ穴31aが設けられている。レール32には、この長手方向に沿って、各ネジ穴31aに対応する位置にレール32を貫通するネジ挿通孔32aが設けられている。ネジ挿通孔32aは、ネジ33の頭部が挿通可能な大径の挿通孔と、ネジ33のネジ部のみが挿通可能な小径の挿通孔とが連接して形成されている。これによって、ネジ挿通孔32aの大径の挿通孔から挿通したネジ33の頭部が上記連接の境界位置で止まるようになっている。
【0018】
レール32を、各ネジ挿通孔32aが各ネジ穴31aに連通する状態で板31に配置し、ネジ33をネジ挿通孔32aから挿通して板31のネジ穴31aに螺合することにより、レール32を板31に固定してある。
【0019】
組合せブロック部34は、変形し難い鉄等の強固な部材により形成されており、断面形状が直角三角形状の上ブロック部34aと、略同じ形状の下ブロック部34bとを組み合わせて構成されている。上ブロック部34aの直角を形成する一面側には、断面形状が細長い長方形状の基端部34a1を備え、基端部34a1がレール32上を自在に摺動するLMブロック32a1に固定されている。同様に、下ブロック部34bの直角を形成する一面側には、断面形状が細長い長方形状の基端部34b1を備え、基端部34b1がレール32上を自在に摺動するLMブロック32b1に固定されている。上ブロック部34a及び下ブロック部34b毎の直角を形成する対向面34a2,34b2が隙間G1を介して対向状態に近接している。なお、上ブロック部34a及び下ブロック部34bを、ブロック部34a,34bとも称す。また、上ブロック部34a及び下ブロック部34bは、請求項記載の一対のブロック部を構成する。
【0020】
ブロック部34a,34b毎の直角を形成する2面間の傾斜面34a3,34b3は、基端部34a1,34b1を底面とする断面形状が概略二等辺三角形を形成している。二等辺三角形のレール32側と反対側の頂部に、後述の加圧部35を備える。測定装置20は、その二等辺三角形の組合せブロック部34が四角柱21の側面から水平方向に突出するようにカバー25(図1参照)で覆われている。
【0021】
上ブロック部34aは、図2の斜視図に示すように、四角柱21から横方向に突出した板状の直角三角形部34a4と、先端部が傾斜面34a3となって横方向に突出した直方体部34a5とを備える。直方体部34a5は、上面が直角三角形部34a4の幅よりも幅広な水平面となっており、この水平面上の幅方向の中央に直角三角形部34a4が一体に固定されている。直方体部34a5の傾斜面34a3を有する先端部は、凹状に刳り抜かれた刳り抜き部34a6を備え、刳り抜き部34a6の平面部の貫通孔に、後述の電極加圧子35aが嵌合されている。刳り抜き部34a6の両側に傾斜面34a3を備え、上ブロック部34aの強度を高くしてある。
【0022】
下ブロック部34bは、上ブロック部34aと対象形状となっており、ブロック部34a,34b間に隙間G1を有している。下ブロック部34bは、四角柱21から横方向に突出した板状の直角三角形部34b4と、先端部が傾斜面34b3となって横方向に突出した直方体部34b5とを備える。直方体部34b5の水平面下に直角三角形部34bが一体に固定されている。直方体部34b5の傾斜面34b3に形成された刳り抜き部34b6の平面部の貫通孔に電極加圧子35b(図3参照)が嵌合されている。
【0023】
図3に示す加圧部35は、抵抗溶接機の一対の電極15a,15b(図4)で挟まれて所定の加圧力で加圧される部分である。この加圧部35は、ボルト形状の2本の電極加圧子35a,35bを上下のブロック部34a,34bに垂直方向に設けられた貫通孔に挿入して嵌合固定することにより構成されている。電極加圧子35a,35bは、これらの先端同士が所定間隔の隙間G1を空けて対向するように配設されている。電極加圧子35a,35bの頭部の端面は平坦となっている。この平坦な端面を平端面と称す。なお、加圧部35は、請求項記載の被加圧部を構成する。
【0024】
下ブロック部34bの対向面34b2には、加圧部35から基端部34b1側に所定長さ離間した位置(オフセットした位置)に形成された凹部に、ロードセル36が嵌合されて配設されている。上ブロック部34aの対向面34a2には、上記ロードセル36を加圧するためのボルト形状のロードセル加圧子37が配設(又は配置)されている。このロードセル加圧子37は、上ブロック34aと別体(着脱可能)であるが、上ブロック34aと一体に構成してもよい。
【0025】
なお、ロードセル加圧子37は、請求項記載のロードセル加圧部を構成する。各ブロック部34a,34bのロードセル36及びロードセル加圧子37が配設された部分は、請求項記載のブロック部の本体部を構成する。この本体部と加圧部35との間の刳り抜き部34a6,34b6による角部には、請求項記載の第一補強壁を有する。また、各ブロック部34a,34bの隙間G1を有する対向面と反対側の面からLMガイド(レール32)に沿って延出した基端部34a1,34b1は、請求項記載の第二補強壁を構成する。
【0026】
ロードセル36は、加圧力を計測するものであり、図4に示すように、加圧面が湾曲凸状に盛り上がっており、この湾曲凸状面が下ブロック部34bの対向面34b2から上方へ若干突き出ている。この突き出た湾曲凸状面及びロードセル36の周回面(又は側面)は、上ブロック部34aの対向面34a2に形成された大径凹部内に、当該凹部側壁に接触しないように隙間を空けて挿通されている。大径凹部の中央部には、上記ロードセル加圧子37が嵌合される小径凹部が形成されている。
【0027】
ロードセル加圧子37は、この頭部の端面が水平面となっており、ロードセル36の湾曲凸状面の頂部(又は中央)に当接している。この当接によって、下ブロック部34bと上ブロック部34a間に、所定寸法の隙間G1が形成されている。但し、ロードセル36の加圧面が水平面で、ロードセル加圧子37の頭部端面が湾曲凸状面であってもよい。
【0028】
上記のように、ロードセル36にロードセル加圧子37が当接し、加圧部35の上下の電極加圧子35a,35bが隙間G1を介して上下のブロック部34a,34bに配設されている。このため、上下の電極15a,15bで電極加圧子35a,35bを挟んで対向方向に加圧した場合、上下のブロック部34a,34bが隙間G1を上下に縮めながら対向方向に移動する。この移動に応じてロードセル加圧子37がロードセル36を加圧するので、ロードセル36が電極15a,15bによる加圧力を計測する。但し、その電極15a,15bによる加圧力は、ロボットで予め設定した加圧力である。
【0029】
下側の電極15b(固定電極15b)は、下側の電極加圧子35bの平端面を下方側から支持し、任意の位置で固定可能となっている。通常、ロボットで固定電極15bをプランジャー部39から離間する状態に持ち上げて固定し、加圧力の測定を行うようになっている。上側の電極15a(移動電極15a)は、曲線A1で示すように上下方向に円弧状に移動し、上側の電極加圧子35aを下方向へ加圧することで、下側の固定電極15bとで加圧部35を挟んで加圧する。
【0030】
また、電極15a,15bが摩耗した場合は、ロボットで固定電極15bを磨耗した寸法だけ持ち上げて固定し、電極摩耗による後述の加圧力測定部の上下の位置ズレを防止可能となっている。これによって、電極15a,15bの磨耗量を気にせずに測定可能となっている。加圧力測定部は、加圧部35、ロードセル36及びロードセル加圧子37を含む組合せブロック部34の移動機構としての上下のブロック部34a,34bである。
【0031】
上下の電極加圧子35a,35bの平端面間の間隔(加圧部35の平端面間の間隔)は、上下の基端部34a1,34b1の端面間の間隔(又は、一対のブロック部34a,34bのロードセル36側の摺動方向の長さ)よりも大幅に短くなっている。言い換えれば、組合せブロック部34の先端側の加圧部35の平端面間は、円弧移動する移動電極15aで加圧した際に、破壊しない強度が保持可能な条件下で極力短くしてある。また、組合せブロック部34のレール32側の基端部34a1,34b1の端面間は、移動電極15aの加圧時のモーメントを受けた際に、組合せブロック部34の曲がりを防止するために極力長くしてある。上下端間が短いと組合せブロック部34がモーメント力で曲がってしまう。
【0032】
円弧移動する移動電極15aと固定電極15bとで加圧部35を挟んで加圧する場合、加圧部35の平端面間の寸法が長い程に、平端面に対する移動電極15aの円弧状の斜め方向の力が大きく作用する。このため平端面に、移動電極15aの横方向の力が掛り、その分、移動電極15aと固定電極15b間の上下方向(縦方向)の力が弱まる。そこで、本発明では、加圧部35の平端面間を極力短くすることで、電極15a,15bで加圧部35の平端面間を挟む力の方向が垂直方向に近づくようにし、上下方向の力が強くなるようにした。
【0033】
円弧移動する移動電極15aは、図4に一例を示すように、電極加圧子35aの平端面の縁側に当接して加圧する場合がある。この場合、電極加圧子35a,35bの上下方向(縦方向)の平端面間が極短く成されているので、移動電極15aは、電極加圧子35aの平端面をレール32側に極僅かに横移動するのみである。この横移動に応じて、移動電極15aの横方向の力が逃がされるので、電極15a,15bで上下対向方向に加圧する力のみが、ロードセル加圧子37を介してロードセル36に掛かる。つまり、移動電極15aの加圧部35の平端面を横移動する力がロードセル36に伝わらず、固定電極15bとの間で上下に挟む加圧力が適正にロードセル36に伝わる。
【0034】
移動電極15aが当接する電極加圧子35aの平端面は、円弧移動する移動電極15aが適正位置からズレても当接可能な面積で、且つ、加圧時に移動電極15aを横方向に逃がせる大きさの面積にしてある。なお、円弧移動の径が小さければ、移動電極15aが、より斜め方向から移動してくるので、電極加圧子35aの平端面の面積は広くする必要がある。一方、円弧移動の径が大きければ、移動電極15aが、電極加圧子35aの平端面に対して垂直に近い方向から移動してくる。このため、移動電極15aが平端面上を横方向に逃げる長さが短くなるので、その分、平端面の面積は狭くできる。
【0035】
この他、抵抗溶接機の上下の電極が垂直方向に移動する場合でも、加圧時に電極が固定された抵抗溶接機のアームが撓んで電極加圧子35a又は電極加圧子35bの平端面を横方向に極僅かに移動する。このため、電極加圧子35a又は電極加圧子35bの平端面には、その横移動を逃がせる面積が必要となる。
【0036】
電極加圧子35a,35b及びロードセル加圧子37は交換可能となっており、電極加圧子35a,35bの平端面が傷ついたり変形したりした際に交換できる。
【0037】
図3に示すように、四角柱21のレール32よりも下方側の側面には、側面にネジ固定された金属製のL字部材38を介してプランジャー部39(図2参照)が固定されている。プランジャー部39は、内蔵されたバネで上に伸び上がった凸形状を成し、凸形状の上に組合せブロック部34の基端部34b1の下端側34b7が載置されている。プランジャー部39は、組合せブロック部34の自重では変化せず、組合せブロック部34に下方へ向かう力が掛かるとバネが縮んで、その力を吸収可能となっている。この力の吸収により組合せブロック部34の変形や破損を防止可能になっている。
【0038】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の電極加圧力測定装置20の特徴構成を、次の(1)~(6)に記載する。
【0039】
(1)測定装置20は、加圧力を測定するロードセル36と、ロードセル36を加圧するロードセル加圧子37(請求項記載のロードセル加圧部に該当)と、一方にロードセル36が設置されるとともに他方にロードセル加圧子37が配置され、ロードセル36とロードセル加圧子37とが当接した状態で互いに離間して配置された一対のブロック部34a,34bとを備える。更に、測定装置20は、一対のブロック部34a,34bを互いに近接離間可能に、且つ、直線方向に摺動自在に案内するLMガイドと、を備え、一対のブロック部34a,34bは、ロードセル36に対してLMガイドと反対側にオフセットした位置に、抵抗溶接機の電極15a,15bで摺動方向に挟まれて加圧される一対の加圧部35(請求項記載の被加圧部に該当)を備える構成とした。
【0040】
この構成によれば、ロードセル36とロードセル加圧子37とが当接して一対のブロック部34a,34bが離間した状態で、加圧部35が電極15a,15bで挟まれて加圧されると、互いを押圧する方向にブロック部34a,34b同士が移動するので、ロードセル加圧子37でロードセル36が加圧される。このため、電極15a,15bによる加圧力をロードセル36で正確に測定できる。
【0041】
(2)ブロック部34a,34bにおける加圧部35の加圧方向の長さは、ロードセル36側の摺動方向の長さよりも短い寸法である構成とした。
【0042】
この構成によれば、互いが円弧状に対向して移動する電極15a,15bで加圧部35を挟む場合、加圧部35の摺動方向と同じ加圧方向の長さが短い程に、長い場合に比べて、電極15a,15bが加圧部35の面を略摺動方向に挟んで加圧する。従って、加圧部35が長い場合において電極15a,15bが加圧部35の面を摺動方向(縦方向)から所定角度ズレた斜め方向に挟む場合に比べ、電極15a,15bの加圧部35の面に沿った横方向の力が減少する。このため、ロードセル36を摺動方向に加圧する力を逃がすことなく加圧できるので、電極15a,15bによる加圧力をロードセル36で正確に測定できる。また、一対のブロック部34a,34bにおいて、ロードセル36側の摺動方向の長さは、加圧部35の長さよりも長いので、電極15a,15bによる加圧に応じたモーメント力でブロック部34a,34bが曲がることを防止できる。
【0043】
(3)加圧部35は、電極15a,15bで加圧される面が摺動方向に対して直交する平面である構成とした。
【0044】
この構成によれば、円弧状に移動する電極15aで加圧部35の平面を加圧する場合、電極15a,15bが平面を斜めに挟んでも、電極15aが平面に沿って横方向にズレる。このため、平面を摺動方向(縦方向)に加圧する力が逃げることは無いので、電極15a,15bによる加圧力を逃がすことなくロードセル36に伝達できる。このため、電極15a,15bによる加圧力をロードセル36で正確に測定できる。
【0045】
(4)ロードセル36及びロードセル加圧子37は、互いに当接する当接面をそれぞれ備え、一方の当接面は湾曲凸状面であり、他方の当接面は平面である構成とした。
【0046】
この構成によれば、例えばロードセル36の湾曲凸状面の頂部に、ロードセル加圧子37の平面が当接されて加圧できるので、電極15a,15bによる加圧力をロードセル36に適正に伝達して加圧できる。
【0047】
(5)それぞれのブロック部34a,34bは、互いに対向する対向面に、ロードセル36及びロードセル加圧子37の何れか一方が設置される本体部と、本体部からLMガイドと反対方向に延出し、本体部よりも摺動方向の厚さ寸法が小さく形成された加圧部35と、本体部と加圧部35との間の角部に設けられた第一補強壁と、対向面と反対側の面からLMガイドに沿って延出した第二補強壁と、を有する構成とした。
【0048】
この構成によれば、ブロック部34a,34bは第一補強壁及び第二補強壁で強固となっているので、ブロック部34a,34bが電極15a,15bによる加圧力で曲がり難い。このため、電極15a,15bによる加圧力を逃がすことなくロードセル36に伝達できるので、加圧力を正確に測定できる。
【0049】
(6)LMガイドに、摺動方向にバネ力で伸縮し、ブロック部34a,34bが載置されるプランジャー部39を備える構成とした。
【0050】
この構成によれば、ブロック34a,34bをプランジャー部39から離間して持ち上げた際に、何らかの原因でブロック34a,34bが落下した場合や、プランジャー部39にブロック34a,34bが載置された状態で下方側に力が加わった場合に、バネ力で伸びたプランジャー部39が縮んで下方側への力を吸収できる。このため、測定装置20の破損を防止できる。
【0051】
このような測定装置20を用いれば、次の(7)~(9)に記載の電極加圧力測定方法を実現できる。
【0052】
(7)一対の電極15a,15bを備える抵抗溶接機(図示せず)と、抵抗溶接機を移動可能なロボット(図示せず)と、ロボットを制御する制御装置(図示せず)と、上記(1)~(6)の何れか1つに記載の測定装置20とを用いて、次の電極加圧力測定方法を実行する。ロボットによる抵抗溶接機の移動範囲内に、測定装置20を摺動方向を上下方向として設置する設置工程と、制御装置に測定装置20の位置情報を記録する記録工程と、制御装置が位置情報に基づいてロボットを制御することによって、一対の電極15a,15bで加圧部35を挟持して加圧する加圧工程と、ロードセル36によって加圧力を測定する測定工程とを実行する。
【0053】
この方法によれば、測定装置20を摺動方向を上下方向として設置し、制御装置でロボットを制御して抵抗溶接機の一対の電極15a,15bで測定装置20の加圧部35を適正に把持して加圧できるので、ロードセル36によって加圧力を正確に測定できる。
【0054】
(8)一対の電極15a,15bのうち少なくとも一方は、円弧状の軌跡を描きながら加圧部35を加圧するようにした。
【0055】
この方法によれば、抵抗溶接機の一対の電極15a,15bのうち少なくとも一方が、円弧状の軌跡を描きながら加圧部35を加圧する構成であっても、一対の電極15a,15bで加圧部35を適正に把持して加圧できる。
【0056】
(9)上記加圧工程において、一対の電極15a,15bのうち下側に配置された電極15bで、一対のブロック部34a,34bを持ち上げつつ、加圧部35を加圧するようにした。
【0057】
この方法によれば、電極15a,15bの磨耗による加圧部35の摺動方向の位置ずれを補正できる。
【0058】
その他、具体的な構成について、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。上述した電極加圧力測定装置20は、ロボット等によって上下の電極が互いに垂直方向に移動する構成の抵抗溶接機にも適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
15a 電極(移動電極)
15b 電極(固定電極)
20 電極加圧力測定装置
23 トロイダルコイル
32 LMガイドのレール
32a1,32b1 LMブロック
34 組合せブロック部
34a 上ブロック部
34b 下ブロック部
34a1,34b1 上下ブロック部の基端部
34a2,34b2 上下ブロック部の対向面
34a3,34b3 上下ブロック部の傾斜面
34a4,34b4 上下ブロック部の直角三角形部
34a5,34b5 上下ブロック部の直方体部
34a6,34b6 上下ブロック部の刳り抜き部
35 加圧部
35a,35b 電極加圧子
36 ロードセル
37 ロードセル加圧子
39 プランジャー部
G1 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7