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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008562
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 95/00 20060101AFI20230112BHJP
   D06F 33/00 20200101ALI20230112BHJP
   D06F 33/30 20200101ALI20230112BHJP
   D06F 33/50 20200101ALI20230112BHJP
   D06F 34/05 20200101ALI20230112BHJP
   D06F 34/20 20200101ALI20230112BHJP
   D06F 58/32 20200101ALI20230112BHJP
   D06F 103/00 20200101ALN20230112BHJP
   D06F 105/58 20200101ALN20230112BHJP
【FI】
D06F95/00
D06F33/00 Z
D06F33/30
D06F33/50
D06F34/05
D06F34/20
D06F58/32
D06F103:00
D06F105:58
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112231
(22)【出願日】2021-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴垣 俊浩
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA02
3B167AA24
3B167AC21
3B167AE04
3B167AE05
3B167BA40
3B167BA48
3B167BA91
3B167HA07
3B167HA31
3B167HA51
3B167HA54
3B167LB15
3B167LC01
3B167MA03
3B167MA08
3B167MA13
3B167MA19
(57)【要約】
【課題】衣類の持ち去り等を防止しつつ、煩わしい操作を省略することが可能な衣類処理装置を提供する。
【解決手段】衣類乾燥機10は、衣類処理の運転を制御するコントローラ11と、ユーザが所有する携帯通信端末300と近距離無線通信を行う通信部19を備えている。コントローラ11は、運転が実行されていないとき、携帯通信端末300からの信号に基づいて利用指定をして他のユーザによる利用を不可とし、利用指定が解除されるまで通信部19と携帯通信端末300との通信状態を監視し、通信状態の状況に応じて衣類乾燥機10の操作を許可又は禁止する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不特定多数のユーザが利用可能な衣類処理装置であって、
前記衣類処理装置を制御する制御手段と、
前記ユーザが所有する携帯通信端末と近距離無線通信を行う通信手段と、
を備え、
前記制御手段は、
衣類処理運転が実行されていないときに、前記携帯通信端末から送信された信号に基づいて利用指定の設定をし、
前記利用指定が解除されるまで前記通信手段と前記携帯通信端末との通信状態を監視し、
前記通信状態の状況に応じて、前記衣類処理装置の操作を許可又は禁止することを特徴とする衣類処理装置。
【請求項2】
衣類取り出し用の扉部をロックするロック手段を備え、
前記ロック手段は、前記通信手段と前記携帯通信端末とが通信状態にあるときのみ、前記扉部のロックを開錠状態とすることを特徴とする請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、衣類処理の運転が終了し、且つ前記ロック手段が前記ロックを開錠したとき、前記利用指定の設定を解除することを特徴とする請求項2に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類乾燥機、洗濯機等の衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コインランドリー、ホテル等に導入されている衣類処理装置として、開閉扉にロック機構を備えた衣類乾燥機、洗濯機が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1のセルフランドリーシステムでは、各ランドリー機器に、乾燥槽を閉鎖するための蓋がユーザの操作により開閉可能に取り付けられており、この蓋にはストライクプレートが取り付けられている。各ランドリー機器には、蓋を閉めたときにストライクプレートと重合する重合位置に電磁ロック部が取り付けられている。
【0004】
各ランドリー機器は、扉のロック指令や運転再開指令を受信したときに電磁ロック部を通電させることによって、ストライクプレートを吸着して蓋をロックする。また、一時停止指令や扉ロック解除指令を受信したときに電磁ロック部を通電しないことによって、吸着されたストライクプレートを離脱することにより蓋をアンロックする。
【0005】
各ランドリー機器には、それぞれに固有の識別表示として二次元コードが表示されている。そして、この二次元コードを、携帯端末のカメラで撮影することによって、インターネット等を介して、この二次元コードが貼り付けられていた個々のランドリー機器を特定する。換言するならば、携帯端末と撮影対象の二次元コードを有する個々のランドリー機器とを紐付けることができる(特許文献1/段落0017,0018、図1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019―150536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のセルフランドリーシステムによれば、携帯端末からランドリー機器に対してアンロック指令を出力してロックを解除するため、衣類処理が完了した後、他のユーザに衣類を勝手に取り出されてしまう問題を解決することができる。
【0008】
しかしながら、ユーザがランドリー機器付近で衣類処理の完了まで待機しているような状況においては、ロック指令やアンロック指令を出力する必要性は低く、むしろ処理の開始や衣類の取り出しに手間、時間がかかっていた。
【0009】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、衣類の持ち去り等を防止しつつ、煩わしい操作を省略することが可能な衣類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、不特定多数のユーザが利用可能な衣類処理装置であって、前記衣類処理装置を制御する制御手段と、前記ユーザが所有する携帯通信端末と近距離無線通信を行う通信手段と、を備え、
前記制御手段は、衣類処理運転が実行されていないときに、前記携帯通信端末から送信された信号に基づいて利用指定の設定をし、前記利用指定が解除されるまで前記通信手段と前記携帯通信端末との通信状態を監視し、前記通信状態の状況に応じて、前記衣類処理装置の操作を許可又は禁止することを特徴とする。
【0011】
本発明の衣類処理装置は、衣類処理装置を制御する制御手段と、ユーザが所有する携帯通信端末と近距離無線通信を行う通信手段とを備えている。制御手段は、洗濯や衣類乾燥等の衣類処理運転が実行されてないときに、ユーザが所有する携帯通信端末からの信号に基づき、衣類処理装置の利用指定の設定を行う。利用指定の設定が行われると、他のユーザによる当該衣類処理装置の利用や操作が不可となる。
【0012】
制御手段は、ユーザにより利用指定が解除されるまで通信手段と携帯通信端末との通信状態を監視することで、ユーザが利用指定した当該衣類処理装置の近傍に滞在しているか否かを判定する。そして、通信状態に応じて、衣類処理装置の操作を許可又は禁止する。例えば、通信状態が保たれているとき(ユーザが近距離無線通信の圏内にいるとき)、衣類処理装置の操作を許可することで扉部の開閉を可能にし、通信状態が切断されたとき(ユーザが近距離無線通信の圏外にいるとき)、衣類処理装置の操作を禁止する。これにより、衣類処理運転の中止、衣類の持ち去り等を防止しつつ、解除操作の手間を省略することができる。
【0013】
本発明の衣類処理装置において、
衣類取り出し用の扉部をロックするロック手段を備え、
前記ロック手段は、前記通信手段と前記携帯通信端末とが通信状態にあるときのみ、前記扉部のロックを開錠状態とすることが好ましい。
【0014】
衣類処理装置は扉部にロック手段を備えており、衣類処理運転の際、扉部をロックすることができる。また、ロック手段は、衣類処理装置の通信手段と携帯通信端末との通信状態の情報を受け取り、通信状態が保たれているときのみロックを開錠状態とする。すなわち、ユーザが近距離無線通信の圏内にいるときは、特別な操作をすることなく、衣類処理装置から衣類を取り出すことができる。
【0015】
また、本発明の衣類処理装置において、
前記制御手段は、衣類処理の運転が終了し、且つ前記ロック手段が前記蓋部のロックを開錠したとき、前記利用指定を解除することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、制御手段は、衣類処理の運転が終了したとき、ユーザが衣類処理装置の近傍にいれば、ロックを開錠する。このとき、携帯通信端末の利用指定を解除するため、次に当該衣類処理装置を利用したいユーザによる利用指定の受付けが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る衣類処理システムの概略図。
図2】衣類乾燥機の内部構成を示す図。
図3】衣類処理システムのフローチャートを説明する図。
図4】衣類処理システムのフローチャートを説明する図(運転延長あり)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
初めに、図1を参照して、衣類処理システム1を説明する。衣類処理システム1は、本発明に係る衣類乾燥機10~30と、管理システム100と、課金システム200と、ユーザの携帯通信端末300とから構成されている。ここでは、3台の衣類乾燥機を図示しているが、実際はさらに多くの衣類乾燥機又は洗濯機があり、管理システム100がこれらを管理する。
【0019】
まず、衣類乾燥機10を例示して、衣類乾燥機10~30について説明する。衣類乾燥機10は、衣類(タオル、シーツ等の布製品を含む洗濯物)を収容する回転ドラム13及びファン14(図示省略)を備え、温風で衣類を乾燥させる衣類処理装置である。
【0020】
衣類乾燥機10の本体ケース12は略直方体をなし、天板、底板、前板、後蓋及び対向する左右一対の側板により構成されている。前板の略中央には、回転ドラム13内に衣類を投入するための衣類投入口が設けられている。衣類投入口は、片開き式の扉15で覆われている。
【0021】
本実施形態の衣類乾燥機10は、コインランドリー、ホテル、病院等で使用されるモデルであるため、前板下方(正面視左側)にコイン投入口を含む左パネル16が一体的に固設されている。左パネル16は、投入したコインに応じた処理時間を表示する時間表示部を有している。
【0022】
また、衣類乾燥機10は、前板下方(中央)に操作パネル17が一体的に固設されている。操作パネル17には、各種操作スイッチや表示部が設けられており、ユーザによる乾燥運転のモード設定等、運転状態の確認が行えるようになっている。
【0023】
さらに、衣類乾燥機10は、前板下方(正面視右側)に二次元コード18を有している。詳細は後述するが、ユーザは、衣類乾燥機10の利用開始時に、所有する携帯通信端末300のカメラで二次元コード18を撮像する。この操作により、当該ユーザによる利用指定が行われ、衣類乾燥機10と携帯通信端末300とがBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信の通信状態となる。
【0024】
図示しないが、本体ケース12の内部には、回転ドラム13を回転させるためのモータ、外気を加熱して温風を生成する燃焼ユニット、温風を回転ドラム13の内部へ導く温風ダクト等が設けられている。さらに、乾燥運転時にモータの駆動、燃焼ユニットの点消火動作等を制御する制御部(コントローラ11)が設けられている。
【0025】
管理システム100は、クラウドサーバαを介して衣類乾燥機10~30とネットワーク接続されている。例えば、管理システム100は、衣類乾燥機10~30から、どの衣類乾燥機が使用中であるかの情報や、使用中である場合に、ユーザが近距離無線通信の通信圏内にいるか否かの情報を受信する。
【0026】
管理システム100は、衣類乾燥機10の使用中において、クラウドサーバαを介して携帯通信端末300とネットワーク接続される。これにより、管理システム100から携帯通信端末300に対して、衣類処理の状況等を直接通知することができる。
【0027】
課金システム200は、クラウドサーバα及びクラウドサーバβを介して管理システム100と接続されている。例えば、管理システム100を通じて衣類処理の延長指示があったとき、課金システム200は、ユーザが近距離無線通信の圏外にいる場合でも、衣類処理が延長できるよう処理を行う。
【0028】
携帯通信端末300は、衣類処理システム1を利用する専用アプリケーションがインストールされたユーザ端末であり、主にスマートフォンやタブレット端末である。携帯通信端末300はカメラを備え、衣類乾燥機10の二次元コード18を撮像して利用者として認識させ、利用指定を行う。
【0029】
衣類乾燥機10への利用指定が成功した場合、利用指定が解除されるまで携帯通信端末300のユーザのみが衣類乾燥機10の各種操作を独占的に行うことができる。ユーザが近距離無線通信の通信圏内にいる場合、ユーザは、携帯通信端末300の専用アプリケーションにより、また、衣類乾燥機10の操作パネル17の操作により衣類乾燥機10を操作することができる。衣類処理の進捗(利用情報)が衣類乾燥機10から送信されてくるため、ユーザは、携帯通信端末300の表示部で進捗(残り時間、延長するか否か等)を確認することができる。
【0030】
ユーザが近距離無線通信の通信圏外にいる場合、ユーザは、携帯通信端末300の専用アプリケーションにより、管理システム100を介して衣類乾燥機10を操作することができる。この場合、衣類乾燥機10の近傍にいる第三者が操作をできないように、操作パネル17による操作を禁止、無効とする。また、詳細は後述するが、扉15をロックした場合は、衣類処理の運転終了後もロック状態が保たれる。
【0031】
図2は、衣類乾燥機10の内部構成を示している。図示するように、衣類乾燥機10において、コントローラ11(本発明の「制御手段」)は、回転ドラム13、ファン14、扉ロック15a、左パネル16、操作パネル17及び通信部19と接続されている。
【0032】
コントローラ11は、図示しないCPU、メモリ、各種インターフェース回路等により構成された電子回路ユニットであり、メモリに保持された衣類乾燥機10の制御用プログラムをCPUで実行し、操作パネル17からの検知信号を受信して回転ドラム13、ファン14等の動作を制御する。また、コントローラ11は、回転ドラム13、ファン14、左パネル16、操作パネル17、通信部19等に対して電力の供給を行う。
【0033】
扉ロック15a(本発明の「ロック手段」)は、衣類投入口の周縁の扉15の取っ手側に設けられている。扉ロック15aは、利用指定の完了指令(後述する「利用指定信号P」)を受信したとき、又は携帯通信端末300からロック指令を受信したとき等に、電磁ロック部を通電させることによって扉15をロック(施錠)する。
【0034】
また、扉ロック15aは、衣類処理の運転の終了指令(後述する「運転終了信号T」)を受信したとき、又は携帯通信端末300からのアンロック指令を受信したとき、運転終了時にユーザが近距離無線通信の通信圏内にいれば、電磁ロック部への通電を中止することによって扉15をアンロック(開錠)する。
【0035】
通信部19(本発明の「通信手段」)は、管理システム100とインターネット通信で接続し、携帯通信端末300とはBluetooth(登録商標)による無線接続するための構成である。通信部19は、携帯通信端末300の利用指定がなされると、利用指定が解除されるまで通信部19と携帯通信端末300との間の通信状態を監視する。監視情報は、コントローラ11で処理された後、通信部19を経由して管理システム100に送信される。
【0036】
次に、図3を参照して、衣類処理システム1のフローチャートを説明する。ここでは、ユーザがコインランドリーで衣類乾燥機10を使用する場合を例に、乾燥運転の開始から終了までの各処理を説明する。
【0037】
まず、ユーザは、所有する携帯通信端末300にて専用アプリケーションを起動し、今回使用する衣類乾燥機10の二次元コード18(図1参照)を撮像する(S101)。そして、携帯通信端末300は、衣類乾燥機10の通信部19に向けて利用指定信号Pを送信する(S102)。この処理により、衣類乾燥機10は、この後、携帯通信端末300を所有する当該ユーザによって衣類乾燥機10が独占的に利用される「利用指定」の設定を行う。
【0038】
なお、上記S101で撮像した二次元コード18と、専用アプリケーションのIDを、インターネット通信を介して携帯通信端末300から管理システム100へ直接送信することもできる。この場合、管理システム100によって衣類乾燥機10が他のユーザにより利用指定されていないことを確認し、管理システム100の指示により携帯通信端末300と衣類乾燥機10を近距離無線通信接続する。
【0039】
衣類乾燥機10は、他のユーザによる利用指定が設定されていないことを確認した上、管理システム100に向けて紐付け情報Qを送信する(S201)。紐付け情報Qは、衣類乾燥機10と携帯通信端末300とが紐付けされ、衣類乾燥機10が運転終了まで携帯通信端末300を所有するユーザによって使用されることを示す情報である。
【0040】
次に、衣類乾燥機10は、携帯通信端末300に向けて運転許可信号Rを送信する(S202)。このとき、携帯通信端末300(専用アプリケーション)にて、利用許可の表示を行ってもよい。この後、ユーザによって衣類乾燥機10の中に衣類を入れる、スタートボタンを操作する等の処理が行われると、扉ロック15aが自動でオンとなり、施錠される。
【0041】
その後、乾燥運転が実際に開始するため、衣類乾燥機10は、携帯通信端末300に向けて利用情報Aを送信する(S203)。利用情報Aは、衣類乾燥機10の処理状況の情報であり、例えば、現在の工程や運転終了までの残り時間を含む。
【0042】
次に、衣類乾燥機10は、管理システム100に向けて利用情報Aとユーザ位置情報Sを送信する(S204)。ユーザ位置情報Sは、携帯通信端末300を所有するユーザが衣類乾燥機10の近傍、すなわち近距離無線通信の圏内にいるかの情報である。
【0043】
管理システム100は、ユーザ位置情報Sを受けて、ユーザが通信圏内にいるか否かを判定する(S301)。ユーザが通信圏内にいる場合(S301:YES)、衣類乾燥機10から携帯通信端末300に向けて利用情報Aが送信されるため、管理システム100側で行う処理はなく、一連の処理を一度終了してリターンする。
【0044】
一方、ユーザが通信圏内にいない(通信圏外の)場合(S301:NO)、衣類乾燥機10は、携帯通信端末300に向けて利用情報Aを送信することができない。このため、管理システム100は、衣類乾燥機10に代わり携帯通信端末300に向けて利用情報Bを送信する(S302)。利用情報Bは、管理システム100が利用情報Aに基づいて作成した衣類乾燥機10の処理状況の情報であるため、基本的に内容は同じである。
【0045】
一度、通信圏外へ出たユーザが再び通信圏内に戻ってくる場合もあり得る。その場合、衣類乾燥機10が携帯通信端末300に向けて利用情報Aを送信する処理に戻せばよい。なお、本実施形態では、通信状態に応じて利用情報Aと利用情報Bとで送信経路を変更しているが、管理システム100から携帯通信端末300へ利用情報Bを送信するのみでもよい。
【0046】
携帯通信端末300(専用アプリケーション)は、乾燥運転中に利用情報A又は利用情報Bを表示する(S103)。ユーザが通信圏内にいれば、衣類乾燥機10から利用情報Aが送信され、ユーザが通信圏外にいれば、管理システム100から利用情報Bが送信されるため、ユーザは、この期間に衣類乾燥機10から離れ、買い物等をすることも可能である。また、このとき、衣類乾燥機10の扉15はロックされているため、衣類が勝手に取り出されたりする心配もない。
【0047】
その後、衣類乾燥機10は、乾燥運転が終了するか否かを判定する(S205)。衣類乾燥機10は、運転終了までは(S205:NO)、上述のS203、S204の処理を繰り返す。一方、運転が終了するとき(S205:YES)、運転終了信号Tを管理システム100及び携帯通信端末300に向けて送信する(S206)。
【0048】
運転終了信号Tは、運転終了までの残り時間(例えば、3~5分)が僅かに残っているタイミングで送信されることが好ましい。乾燥運転の場合は、ユーザが運転を延長することがあり得るためである。なお、運転延長時の処理については、後述する。
【0049】
携帯通信端末300は、運転終了信号Tを受信したか否かを判定する(S104)。携帯通信端末300は、運転終了信号Tを受信するまでは(S104:NO)、上述のS103の処理を繰り返す。一方、運転終了信号Tを受信したとき(S104:YES)、携帯通信端末300(専用アプリケーション)は、乾燥運転の終了を表示する(S108)。これで、携帯通信端末300による処理は終了となる。
【0050】
また、管理システム100は、運転終了信号Tを受信したか否かを判定する(S303)。管理システム100は、運転終了信号Tを受信していない場合、一連の処理を一度終了してリターンする。一方、運転終了信号Tを受信したとき(S303:YES)、管理システム100は、紐付け情報Qを消去する(S304)。なお、ユーザが通信圏内に留まっている場合は、衣類乾燥機10による利用指定の解除(信号U)を受けて、紐付け情報Qを消去すればよい。これで、管理システム100による処理は終了となる。
【0051】
衣類乾燥機10は、運転終了信号Tを送信した後、ユーザ位置情報Sからユーザが通信圏内にいるか否かを判定する(S209)。ユーザが通信圏内にいない(通信圏外の)場合(S209:NO)、ユーザが通信圏内に戻るまでこの判定をループする。
【0052】
一方、ユーザが通信圏内にいる場合(S209:YES)、衣類乾燥機10は、扉ロック15aを自動で開錠する(S210)。そして、この開錠をもって携帯通信端末300の利用指定を解除する。このため、ユーザは特別な操作をすることなく、衣類乾燥機10から衣類を取り出すことができる。そして、利用指定が解除された後は、次に衣類乾燥機10を利用したいユーザの利用指定を受付ける待機状態に移行する。
【0053】
なお、衣類乾燥機10は、携帯通信端末300の利用指定が解除されたタイミングで又はその後に、扉ロック15aを開錠するようにしてもよい。これで、衣類乾燥機10による処理は終了となる。
【0054】
次に、図4を参照して、衣類処理システム1のフローチャート(運転延長ありの場合)を説明する。なお、図3のフローチャートと同じ処理については、説明及び図示を一部省略する。
【0055】
携帯通信端末300は、衣類乾燥機10から運転終了信号Tを受信したか否かを判定する(S104)。運転終了信号Tを受信したとき(S104:YES)、携帯通信端末300(専用アプリケーション)は、延長確認を表示する(S105)。延長確認は、例えば、「運転を10分延長しますか?」等の表示であり、「YES」、「NO」の選択ボタンが併せて表示される。
【0056】
次に、携帯通信端末300は、時間延長がなされるか否かを判定する(S106)。ユーザの選択ボタン等の操作により、時間延長がなされた場合(S106:YES)、携帯通信端末300は、衣類乾燥機10に向けて延長指示信号Vを送信する(S107)。一方、時間延長がなされない場合(S106:NO)、携帯通信端末300(専用アプリケーション)は、乾燥運転の終了を表示する(S108)。これで、携帯通信端末300による処理は終了となる。
【0057】
衣類乾燥機10は、運転終了信号Tを送信(S206)した後、延長指示信号Vを受信したか否かを判定する(S207)。延長指示信号Vを受信した場合(S207:YES)、衣類乾燥機10は運転時間を延長し(S208)、その後、S203にリターンする。これにより、S203~S206の処理が再度行われる。
【0058】
一方、延長指示信号Vを受信しなかった場合(S207:NO)、衣類乾燥機10は、ユーザ位置情報Sからユーザが通信圏内にいるか否かを判定する(S209)。
【0059】
ユーザが通信圏内にいない(通信圏外の)場合(S209:NO)、衣類乾燥機10は、ユーザが通信圏内に戻るまでこの判定をループする。一方、ユーザが通信圏内にいる場合(S209:YES)、衣類乾燥機10は、扉ロック15aを自動で開錠する(S210)。そして、この開錠をもって携帯通信端末300の利用指定を解除する。これで、衣類乾燥機10による処理は終了となる。
【0060】
乾燥運転の延長により追加料金が発生する場合には、ユーザが追加料金を投入することによって、扉ロック15aが開錠するようにすればよい。また、専用アプリケーションに利用料金がチャージされている場合には、運転時間の延長(信号W)を、管理システム100を経由して課金システム200に送信する。このとき、課金システム200は、チャージ金額から追加の利用料金を引き落とす決済処理を行い、その後、扉ロック15aが開錠される。
【0061】
なお、チャージ金額が不足している場合には、管理システム100を経由して、携帯通信端末300(専用アプリケーション)にその旨、又は延長不可である旨を表示する。また、チャージにより延長が可能となる旨を表示して、所定期間内にチャージが行われた場合、管理システム100を経由して衣類乾燥機10による乾燥運転を延長させるようにしてもよい。
【0062】
本発明は上記実施形態及び変更形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0063】
Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信は、通信機器同士の1対1通信が基本であるが、1対多の通信も実現され得る。上記実施形態では、衣類乾燥機10と携帯通信端末300が1対1で通信しているが、例えば、コインランドリー等に複数の衣類乾燥機と通信可能な集中管理装置を備え、当該集中管理装置が複数の携帯通信端末とBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を行い、複数の通信を制御することでも実現され得る。
【0064】
また、例えば、一人のユーザが洗濯機と衣類乾燥機を同時に利用する場合、上述の衣類処理システム1の方式で、洗濯機と衣類乾燥機のそれぞれに利用指定ができるようにすることができる。
【符号の説明】
【0065】
1…衣類処理システム、10,20,30…衣類乾燥機、11…コントローラ、12,22,32…本体ケース、13…回転ドラム、14…ファン、15…扉、15a…扉ロック、16,26,36…左パネル、17,27,37…操作パネル、18,28,38…二次元コード、19…通信部、100…管理システム、200…課金システム、300…携帯通信端末。
図1
図2
図3
図4