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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085653
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】携帯端末収納具
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/00 20060101AFI20230614BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20230614BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
B62B5/00 L
B62B3/00 F
G07G1/00 331Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199800
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】392025238
【氏名又は名称】株式会社サンエイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中筋 保
【テーマコード(参考)】
3D050
3E142
【Fターム(参考)】
3D050AA02
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG06
3E142AA01
3E142BA18
3E142GA16
3E142GA22
(57)【要約】
【課題】食品情報に対する携帯端末の操作を効率的に行うことができる携帯端末収納具を提供する。
【解決手段】携帯端末Tを、携帯端末Tの画面がショッピングカートのユーザ側を向いた状態で収納する収納具本体3と、収納具本体3に設けられた拡大鏡70と、を備え、拡大鏡70は、収納具本体3を正面視したときに、収納具本体3から上側又は左右方向の一方側に突出する平板状の突出部72と、突出部72に嵌め込まれた拡大鏡本体73と、を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショッピングカートに取り付けられかつ携帯端末を収納する携帯端末収納具であって、
前記携帯端末を、該携帯端末の画面が前記ショッピングカートのユーザ側を向いた状態で収納する収納具本体と、
前記収納具本体に設けられた拡大鏡と、を備え、
前記拡大鏡は、
前記収納具本体を正面視したときに、該収納具本体から上側又は左右方向の一方側に突出する平板状の突出部と、
前記突出部に嵌め込まれた拡大鏡本体と、
を有することを特徴とする携帯端末収納具。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末収納具において、
前記収納具本体は、
前記携帯端末の背面側に位置する背壁部と、
左右方向に互いに対向して配置された左側壁部及び右側壁部と、
前記左側壁部と前記右側壁部との間に設けられた底壁部と、
前記背壁部と対向するように設けられかつ前記携帯端末の画面が露出するように一部が開放された前壁部と、
を有し、
前記突出部は、前記前壁部側から見たときに、前記背壁部に沿うように突出していることを特徴とする携帯端末収納具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の携帯端末収納具において、
前記拡大鏡は、前記突出部の先端部に設けられかつ該突出部の突出方向と交差する方向に延びかつ前記ユーザの指を支持する支持部を更に有することを特徴とする携帯端末収納具。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の携帯端末収納具において、
前記拡大鏡は、前記収納具本体とは別体で構成されておりかつ前記突出部の前記収納具本体に対する突出方向を変更可能に構成されていることを特徴とする携帯端末収納具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、携帯端末収納具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ショッピングカートに取り付けられる携帯端末収納具が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、携帯端末の第1面が当接可能な左側面当接部と、左側面当接部と対向し、左側面当接部が有する携帯端末との当接面に対して進退可能であって、左側面当接部との間で携帯端末を挟持する、可動保持部と、を備える、携帯端末保持具が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ショッピングカートのハンドル部分に拡大鏡を取り付ける構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-40645号公報
【特許文献2】実用新案登録第3156113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、食品メーカーや小売店は、食品の材料、添加物、成分等の情報を食品の包装に記載したり、それらの情報を記載したシールを食品の包装に貼り付けたりして、食品に関する情報を消費者に提供している。これらの食品情報は、疾病を有する患者や妊婦など食べられる食品がある程度限定される特定消費者にとって重要な情報となる。特定消費者は、前記の食品情報を携帯端末で検索したり、携帯端末に記録したメモを参照したりして、食べることができる食品であるかを判断する。
【0007】
前記のような食品情報は記載する領域が限定されているため、比較的小さい文字で記載されており、通常の視力を有する者でも正確に読み取ることが難しいことがある。特許文献1のような携帯端末保持具を用いれば、保持した携帯端末のカメラ機能を用いて拡大させることも可能であるが、この場合、検索やメモとの比較を同時に進めにくくなる。一方で、特許文献2のようにショッピングカートに拡大鏡を取り付ける方法も考えられるが、ショッピングカートに拡大鏡を取り付けただけでは、スマホと拡大鏡との間で視線を頻繁に移動させる必要があり、効率が悪くなる。
【0008】
ここに開示された技術は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、食品情報に対する携帯端末の操作を効率的に行うことができる携帯端末収納具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、ここに開示された技術では、ショッピングカートに取り付けられかつ携帯端末を収納する携帯端末収納具を対象として、前記携帯端末を、該携帯端末の画面が前記ショッピングカートのユーザ側を向いた状態で収納する収納具本体と、前記収納具本体に設けられた拡大鏡と、を備え、前記拡大鏡は、前記収納具本体を正面視したときに、該収納具本体から上側又は左右方向の一方側に突出する平板状の突出部と、前記突出部に嵌め込まれた拡大鏡本体と、を有する、という構成とした。
【0010】
この構成によると、収納具本体の近くに拡大鏡本体が位置するようになるので、携帯端末を収納具本体に収納した状態で、拡大鏡本体と携帯端末とを同一の視野に含めやすくなる。これにより、視線の移動を少なくすることができ、食品情報に対する携帯端末の操作を効率的に行うことができる。
【0011】
また、携帯端末収納具と拡大鏡とを別々にショッピングカートに取り付ける場合と比較して、コンパクトな構成にすることができる。これにより、ショッピングカートへの商品の出し入れを容易にすることができる。
【0012】
前記携帯端末収納具において、前記収納具本体は、前記携帯端末の背面側に位置する背壁部と、左右方向に互いに対向して配置された左側壁部及び右側壁部と、前記左側壁部と前記右側壁部との間に設けられた底壁部と、前記背壁部と対向するように設けられかつ前記携帯端末の画面が露出するように一部が開放された前壁部と、を有し、前記突出部は、前記前壁部側から見たときに、前記背壁部に沿うように突出している、という構成でもよい。
【0013】
この構成によると、携帯端末を収納具本体で適切に支持することができ、携帯端末の操作を容易に行うことができる。また、突出部が、背壁部に沿うように突出していることにより、拡大鏡本体と携帯端末の画面とが略平行になる。これにより、携帯端末の画面を操作しながら拡大鏡本体により拡大された食品情報を見たときに、該食品情報を見やすくなる。これらの結果、食品情報に対する携帯端末の操作をより効率的に行うことができる。
【0014】
前記携帯端末収納具において、前記拡大鏡は、前記突出部の先端部に設けられかつ該突出部の突出方向と交差する方向に延びかつ前記ユーザの指を支持する支持部を更に有する、という構成でもよい。
【0015】
すなわち、食品を把持した状態で携帯端末を操作する場合、食品を片手で把持することになる。前記の構成によると、食品を片手で把持した状態で支持部に指をかければ、食品と拡大鏡本体との相対位置を維持しやすくなる。これにより、食品を片手で把持したとしても、拡大させたい食品情報を拡大させた状態を維持しやすくなる。この結果、食品情報に対する携帯端末の操作をより効率的に行うことができる。
【0016】
前記携帯端末収納具において、前記拡大鏡は、前記収納具本体とは別体で構成されておりかつ前記突出部の前記収納具本体に対する突出方向を変更可能に構成されている、という構成でもよい。
【0017】
これにより、ショッピングカートに対する携帯端末収納具の取り付け位置に応じて、拡大鏡の位置を適切な位置に配置することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、ここに開示された技術によると、食品情報に対する携帯端末の操作を効率的に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、例示的な実施形態に係る携帯端末収納具を有するスタンドを示す斜視図である。
図2図2は、携帯端末収納具の斜視図である。
図3図3は、携帯端末収納具の正面図である。
図4図4は、携帯端末収納具の左側側面図である。
図5図5は、携帯端末収納具の背面図である。
図6図6は、携帯端末を収納した状態を示す正面図である。
図7図7は、携帯端末収納具の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る携帯端末収納具1(以下、端末収納具1という)を備えたスタンド装置100を示す。スタンド装置100は、端末収納具1にスマートフォンなどのタブレット型の携帯端末Tを収納した状態で、ショッピングカートの持ち手や、キャリーの持ち手等の軸状部材Pに取り付けられる。
【0022】
スタンド装置100は、一端部に端末収納具1が取り付けられる支柱101と、支柱101における他端部に設けられ、ショッピングカート等の持ち手等の軸状部材Pを挟持するクランパ102とを有する。
【0023】
支柱101は、軸状部材Pと直交する方向に延びるように設けられる。支柱101は、断面U字状に折り曲げられた2つの鋼板を、U字開口が向き合った状態で溶接して構成されている。詳細な図示は省略するが、支柱101の上側端部は、左右方向に広がるとともに、上側に向かって斜めに傾斜した面状部分となっている。端末収納具1は、該面状部分にネジによって締結される。
【0024】
クランパ102は、複数のネジで結合される一対の挟持部材102aで構成されている。一対の挟持部材102aは、上下方向に対向するように配置され、軸状部材Pを上下方向に挟持する。各挟持部材102aの下面部には、左右方向に延びる嵌合溝が形成されている。該嵌合溝は、前記持ち手の一部が嵌合する溝であって、断面円弧状に形成されている。嵌合溝の曲率は、スタンド装置100が前記持ち手に取り付けられていない状態では、軸状部材Pの外周の曲率よりも小さい。嵌合溝の曲率は、スタンド装置100が軸状部材Pに取り付けられた状態では、挟持部材102aが前記ネジの締結方向にしなることで、軸状部材Pの外周の曲率と略同じになる。
【0025】
図2図5は、それぞれ端末収納具1の構造を示す図である。端末収納具1は、樹脂で形成されている。以下の説明では、端末収納具1に携帯端末Tを収納した状態で、携帯端末Tの厚み方向に相当する方向を面方向といい、面方向における携帯端末Tの画面が位置する側を前面側といい、面方向における前面側と対向する側を背面側という。左右方向については、前面側から後面側を見たときの左側を左側といい、右側を右側という。また、面方向と左右方向とに直交する方向を所定方向といい、携帯端末Tを収納した状態で、所定方向における携帯端末Tの底面が位置する側を底面側といい、所定方向における底面側と対向する側を上面側という。底面側は後述する収納具本体3を正面視したときの下側に相当し、上面側は収納具本体3を正面視したときの上側に相当する。
【0026】
図2に示すように、端末収納具1は、実際に携帯端末Tが収納される収納具本体3を有する。収納具本体3は、背面側に位置しかつ平板状をなす背壁部11と、背壁部11の左側端部と平行に延びる左側壁部23と、左側壁部23と対向して設けられかつ背壁部11の右側端部と平行に延びる右側壁部12と、左側壁部23と右側壁部12との間に設けられた底壁部13と、背壁部11と対向するように設けられかつ携帯端末Tの画面が露出するように一部が面方向に開放された前壁部21と、を有する。
【0027】
背壁部11は、収納具本体3に収納された携帯端末Tの背面側が位置する壁部である。背壁部11の上面側の端部は、左右方向に真っ直ぐに延びている。図4に示すように、背壁部11の上面側の端部は、背面側の部分については所定方向に真っ直ぐに延びている一方で、前面側の部分については、上面側に向かって背面側に傾斜して延びる上側傾斜面11aとなっている。背壁部11の所定方向の長さは、収納具本体3から携帯端末Tが露出しない程度の長さに設定されている。
【0028】
背壁部11の左側端部は、所定方向に真っ直ぐに延びている。図2及び図3示すように、背壁部11の左側端部には、左側に向かって背面側に傾斜した左側傾斜面11bが設けられている。
【0029】
図2に示すように、背壁部11の前面側の部分には、後述するバネ部材30を配置するための凹部16が設けられている。凹部16には、ネジを挿通させるための複数の(ここでは4つの)ネジ挿通孔17が形成されている。また、凹部16には、バネ部材30の一部と係合するバネ用係合孔18が設けられている。
【0030】
詳しくは後述するが、背壁部11の背面側の部分には拡大鏡70を取り付ける際のガイドになるガイドピン19(図5参照)が、所定方向に離間して一対設けられている。
【0031】
左側壁部23は、図4に示すように、面方向及び所定方向に広がっている。左側壁部23の背面側の端部は、背壁部11とは離間している。つまり、左側壁部23と背壁部11との間には、所定方向の全体にわたって、隙間Sが形成されている。
【0032】
図示は省略するが、左側壁部23の内部には空洞が形成されており、該空洞には鉄板等の金属板で構成された補強部材が挿入される。補強部材は、底壁部13に固定される。
【0033】
右側壁部12は、背壁部11と直交しかつ背壁部11の右側端部と平行に延びるように面方向及び所定方向に広がっている。右側壁部12は、背壁部11と連続するように延びている。右側壁部12と背壁部11との間には隙間は形成されていない。
【0034】
底壁部13は、左側壁部23の底面側の端部と右側壁部12の底面側の端部とを左右方向に接続するように、背壁部11の底面側の端部に沿って延びている。底壁部13には、複数の貫通孔13aが形成されている。貫通孔13aは、底壁部13の右側端部及び左右方向の中央付近にそれぞれ形成されている。これらの貫通孔13aは、収納具本体3内にほこりが溜まることを抑制するためのほこり取り用の孔部である。尚、底壁部13の右側端部に設けられた貫通孔13aは、図1に示す。
【0035】
図3に示すように、前壁部21は、左右方向の中央が面方向に開放されている。前壁部21は、左右に分離された左側前壁部21a及び右側前壁部21b、並びに、左側前壁部21aと右側前壁部21bとを連結する連結部21cを有する。左側前壁部21aは、前面側から見て、底面側に向かって段階的に右側に突出する階段状をなしている。右側前壁部21bは、前面側から見て、底面側に向かって段階的に左側に突出する階段状をなしている。これにより、左側及び右側前壁部21a,21bは、上面側の部分よりも底部側の部分の方が左右方向の幅が大きくなっている。連結部21cは、左側前壁部21aの右側かつ底面側の端部と右側前壁部21bの左側かつ底面側の端部とを連結する。これにより、左側前壁部21aと右側前壁部21bとの間の位置は出来る限り所定方向に開放された状態となる。このため、ホームボタンが設けられておらず、画面の略全体が操作部となっている携帯端末Tであっても、収納具本体3に携帯端末Tを収納した状態で操作が可能になる。
【0036】
収納具本体3は、背面側に位置するベース部10と、ベース部10を前面側から覆うように該ベース部10に組み付けられるカバー部20と、を組み合わせて形成される。カバー部20は、ベース部10に対して着脱可能に取り付けられる。
【0037】
背壁部11は、ベース部10に形成されている。左側壁部23及び前壁部21は、カバー部20に形成されている。右側壁部12及び底壁部13は、ベース部10とカバー部20とにそれぞれの一部が形成されていて、ベース部10にカバー部20が組み付けられることで、1つの右側壁部12及び底壁部13となっている。
【0038】
収納具本体3内には、収納具本体3に携帯端末Tが収納された状態で、該携帯端末Tを前壁部21に向かって付勢するバネ部材30が設けられている。バネ部材30は板バネで構成されている。バネ部材30は、携帯端末Tの外装よりも剛性の低い素材で構成されており、例えば、樹脂材で構成されている。
【0039】
バネ部材30は、背壁部11に固定される固定部31と、携帯端末Tに付勢力を付与する付勢部32と、を有する。
【0040】
固定部31は、背壁部11に形成された凹部に収容される。図3に示すように、固定部31は、背壁部11における上面側の2つのネジ挿通孔17に対応する部分にネジ挿通孔31aをそれぞれ有する。各ネジ挿通孔31aも、ネジ挿通孔17と同様にネジが挿通する孔である。つまり、固定部31は背壁部11と共締めされるようになっている。
【0041】
付勢部32は、図2に示すように、固定部31が背壁部11に固定された状態で、固定部31の底面側の端部から前面側に向かって傾斜して延びている。図3に示すように、付勢部32の底面側の端部は、その左側端部から右側端部に向かって、前面側かつ底面側に斜めに傾斜して延びている。前記底面側の端部の左側端部及び右側端部は、アール状に加工されている。
【0042】
付勢部32には、前面側から見て、背壁部11のネジ挿通孔17と重複する位置に工具挿入孔32aが設けられている。この工具挿入孔32aは、固定部31に設けられたネジ挿通孔31aよりも僅かに大きい。工具挿入孔32aは、端末収納具1を支柱101に取り付ける際に工具を通りやすくするための孔である。
【0043】
ここで、ショッピングカートを利用するユーザの中には、疾病を有する患者や妊婦など食べられる食品がある程度限定される特定ユーザが存在する。このような特定ユーザは、食品の包装に記載されたり、食品にシール貼りされたりした食品の材料、添加物、成分等の情報(以下、食品情報という)を確認して、食べられる食品であるか否かを判断する。このとき、特定ユーザは、携帯端末Tを用いて検索したり、携帯端末Tに保存したメモなどを参照したりする。前述のような端末収納具1によると、収納具本体3により、携帯端末Tを画面の操作が可能な状態で収納できるため、携帯端末Tを用いた検索等を容易に行うことができる。
【0044】
しかしながら、食品情報を記載等する領域は限られているため、食品情報は比較的小さい文字で記載されている。このため、通常の視力を有する者であっても食品情報を正確に読み取ることが難しいことがある。
【0045】
そこで、本実施形態に係る端末収納具1は、食品情報を拡大するための拡大鏡70を備える。
【0046】
拡大鏡70は、収納具本体3とは別体で構成されている。拡大鏡70は、図4及び図5に示すように、L字状の板部材で構成されている。拡大鏡70は、所定方向に真っ直ぐに広がり背壁部11に取り付けられる取付部71と、取付部71と連続しかつ背壁部11から上側に突出される突出部72と、突出部72に嵌め込まれた拡大鏡本体73と、を有する。取付部71及び突出部72は樹脂で構成されている。拡大鏡本体73は、凸レンズやフレネルレンズなどのレンズで構成されている。
【0047】
図5に示すように、取付部71は、平板状をなしかつ複数の孔を有する。複数の孔には、左右方向の中央において所定方向に並んで形成された2つのガイド孔71aが含まれている。このガイド孔71aは、背壁部11に設けられたガイドピン19とそれぞれ係合する。各ガイド孔71aが一対のガイドピン19とそれぞれ係合したときには、拡大鏡70が、背壁部11に対して位置決めされる。ガイド孔71aの位置は、各ガイド孔71aが一対のガイドピン19とそれぞれ係合した状態で、拡大鏡本体73が背壁部11の上面側の端部よりも上側でかつ該上面側の端部の近傍に位置するような位置に設定されている。
【0048】
また、取付部71は、各ガイド孔71aが一対のガイドピン19とそれぞれ係合した状態で、背壁部11における4つのネジ挿通孔17に対応する位置にそれぞれ形成されかつ該ネジ挿通孔17とそれぞれ連通する4つの連通孔71bを有する。各連通孔71bには、ネジ挿通孔17と同様にネジが挿通する。つまり、取付部71は背壁部11と共締めされるようになっている。
【0049】
また、取付部71の複数の孔は、3つの孔が並んで形成された孔群71cが複数(ここでは6つ)含む。これら孔群71cは、後述する変形例のように、拡大鏡本体73を収納具本体3の右側に位置するように、拡大鏡70を背壁部11に取り付ける際に用いられる孔である。所定方向の中央に形成された2つの孔群71cは、背壁部11のガイドピン19に係合される部分であり、残りの4つの孔群は、背壁部11のネジ挿通孔17と連通する。
突出部72は、図3及び図5に示すように、平板状をなしかつ取付部71に連続して延びている。突出部72は、背壁部11の上面側の端部から上面側に向かって、背壁部11に沿うように真っ直ぐに突出する。突出部72の先端部(ここでは上端部)には、面方向における収納具本体3とは反対方向に延びた支持部74が設けられている。
【0050】
拡大鏡本体73は、詳細な図示は省略するが、レンズとレンズを覆う透明なカバーとを有する。
【0051】
支持部74は、ユーザが食品を持った状態で、ユーザの指を支持する部分である。ユーザは、食品を把持した状態で支持部に指をかけることで、商品と拡大鏡本体73との相対位置を維持しやすくなる。支持部74の突出部72に対する突出量は、拡大鏡本体73の焦点距離に応じて設定してもよい。特に、前記突出量を拡大鏡本体73の焦点距離と適合させるようにすれば、支持部74を、ピントを合わせる際のガイドとすることができる。
【0052】
図6は、端末収納具1の使用例を示す。携帯端末Tが収納具本体3に収納された状態で、拡大鏡70の拡大鏡本体73は、携帯端末Tよりも上面側に位置する。これにより、拡大鏡本体73により食品情報を拡大した状態で、携帯端末Tを操作することができる。特に、拡大鏡本体73が携帯端末Tの近くに位置するようになるため、拡大鏡本体73と携帯端末Tの画面とを1つの視野に含めやすく、拡大鏡本体73と携帯端末Tの画面との間の視線の移動を少なくすることができる。これにより、特定ユーザは、食品情報を携帯端末Tで検索等しやすくなる。したがって、食品情報に対する携帯端末Tの操作を効率的に行うことができる。
【0053】
したがって、本実施形態では、携帯端末Tを、携帯端末Tの画面がショッピングカートのユーザ側を向いた状態で収納する収納具本体3と、収納具本体3に設けられた拡大鏡70と、を備え、拡大鏡70は、収納具本体3を正面視したときに、該収納具本体3から上側又は左右方向の一方側に突出する平板状の突出部72と、突出部72に嵌め込まれた拡大鏡本体73と、を有する。これにより、収納具本体3の近くに拡大鏡本体73が位置するようになるので、携帯端末Tを収納具本体3に収納した状態で、拡大鏡本体73と携帯端末Tの画面とを同一の視野に含めやすくなる。これにより、視線の移動を少なくすることができ、食品情報に対する携帯端末Tの操作を効率的に行うことができる。
【0054】
また、収納具本体3と拡大鏡70とを1つに集約することで、これらを別々にショッピングカートに取り付ける場合と比較して、コンパクトな構成にすることができる。これにより、ショッピングカートへの商品の出し入れを容易にすることができる。
【0055】
また、本実施形態では、収納具本体3は、携帯端末の背面側に位置する背壁部11と、左右方向に互いに対向して配置された左側壁部23及び右側壁部12と、左側壁部23と右側壁部12との間に設けられた底壁部13と、背壁部11と対向するように設けられかつ携帯端末Tの画面が露出するように一部が開放された前壁部21と、を有し、突出部72は、前壁部21側から見たときに、背壁部11に沿うように突出している。これにより、携帯端末Tを収納具本体3で適切に支持することができ、携帯端末Tの操作を容易に行うことができる。また、突出部72が、背壁部11に沿うように突出していることにより、拡大鏡本体73と携帯端末Tの画面とが略平行になる。これにより、携帯端末Tの画面を操作しながら拡大鏡本体73により拡大された食品情報を見たときに、該食品情報を見やすくなる。これらの結果、食品情報に対する携帯端末Tの操作をより効率的に行うことができる。
【0056】
また、本実施形態では、拡大鏡70は、突出部72の先端部に設けられかつ該突出部72の突出方向と交差する面方向の背面側に延びかつユーザの指を支持する支持部74を有する。これにより、食品を片手で把持した状態であっても、支持部74に指をかけることで、食品と拡大鏡本体73との相対位置を維持しやすくなる。この結果、拡大させたい食品情報を拡大させた状態を維持しやすくなるため、食品情報に対する携帯端末Tの操作をより効率的に行うことができる。
【0057】
図7は、本実施形態の変形例を示す。この変形例では、拡大鏡70は、突出部72が収納具本体3の右側に位置するように背壁部11に取り付けられている。拡大鏡本体73は、突出部72と共に収納具本体3の右側に位置するようになる。このような構成であっても、収納具本体3の近傍位置に拡大鏡本体73が位置するようになるため、収納具本体3に収納された携帯端末Tの画面と、拡大鏡本体73により拡大された食品情報とを1つの視野に入れやすくなる。このため、拡大鏡本体73と携帯端末Tの画面との間の視線の移動を少なくすることができ、食品情報に対する携帯端末Tの操作を効率的に行うことができる。
【0058】
特に、この変形例では、携帯端末Tが背壁部11の上面側の端部よりも上面側に位置してもよい。これにより、携帯端末Tのカメラが背壁部11により覆われない状態とすることができる。このため、携帯端末Tのカメラでバーコードや2次元コードをスキャンする必要があっても、収納具本体3に携帯端末Tを収納したままスキャンを行うことができる。
【0059】
(その他の実施形態)
ここに開示された技術は、前述の実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0060】
例えば、前述の実施形態では、収納具本体3と拡大鏡70とは別体になっていた。これに限らず、収納具本体3と拡大鏡70とを一体に構成してもよい。このときには、拡大鏡70に取付部71を設ける必要はない。
【0061】
また、前述の実施形態では、拡大鏡70は、収納具本体3に対して固定される構成となっていた。これに限らず、収納具本体3に対して相対移動可能な構成としてもよい。拡大鏡70の移動方式は、スライド式や回転式など種々のものを適用できる。これにより、食品情報を拡大する必要がないときには、拡大鏡70を収納具本体3に対して収納可能な構成にすることができる。この構成では、拡大鏡70が不要なときは、拡大鏡70を収納具本体3に対して収納することで、端末収納具1をよりコンパクトにすることができる。尚、拡大鏡70をスライド式で構成する場合には、背壁部11の所定方向の幅は、携帯端末Tの縦幅よりも短くてもよい。携帯端末Tの縦幅に応じて、拡大鏡70をスライドさせて、拡大鏡本体73を携帯端末Tよりも上面側に位置させる構成とすることができるためである。
【0062】
また、拡大鏡70をスライド式で構成する場合、拡大鏡70を収納具本体3に対してネジ止めする構成としなくてもよい。例えば、背壁部11の背面側にスライドレールを形成して、拡大鏡70の取付部71と該スライドレールとの間の摩擦力により、拡大鏡70を保持する構成としてもよい。また、拡大鏡70の取付部71の位置における左側縁部及び右側縁部の少なくとも一方に複数の係合溝を形成し、前記スライドレールに該係合溝と係合する爪部を配置して、該爪部により拡大鏡70を保持する構成としてもよい。
【0063】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
ここに開示された技術は、ショッピングカートに取り付けられかつ携帯端末を収納する携帯端末収納具として有用である。
【符号の説明】
【0065】
1 携帯端末収納具
3 収納具本体
11 背壁部
12 右側壁部
13 底壁部
21 前壁部
23 左側壁部
70 拡大鏡
72 突出部
73 拡大鏡本体
74 支持部
T 携帯端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7