(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085665
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】燃焼抑制空間
(51)【国際特許分類】
E04B 1/94 20060101AFI20230614BHJP
E04B 9/36 20060101ALI20230614BHJP
A62C 2/00 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
E04B1/94 R
E04B1/94 A
E04B9/36
A62C2/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199826
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岸上 昌史
(72)【発明者】
【氏名】山口 純一
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DE01
2E001FA14
2E001FA15
2E001HA32
2E001HA33
2E001HC01
(57)【要約】
【課題】木製ルーバーの燃え拡がりが抑えられた燃焼抑制空間を提供する。
【解決手段】燃焼抑制空間10は、床16と、床16の上方の天井17と、床16と天井17との間に配設されて天井17との間に天井懐20を形成する複数の木製ルーバー19と、を有する。燃焼抑制空間10は、木製ルーバー19と天井17との間に、木製ルーバー19の少なくとも一部を覆って、隣接する木製ルーバー19間における延焼を抑制する延焼抑制部材21を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床と、前記床の上方の天井と、前記床と前記天井との間に配設されて前記天井との間に天井懐を形成する複数の木製ルーバーと、を有する燃焼抑制空間であって、
前記木製ルーバーと前記天井との間に、前記木製ルーバーの少なくとも一部を覆って、隣接する前記木製ルーバー間における延焼を抑制する延焼抑制部材を有する
燃焼抑制空間。
【請求項2】
前記延焼抑制部材が不燃材または断熱材であり、前記木製ルーバーの上面を覆っている
請求項1に記載の燃焼抑制空間。
【請求項3】
前記延焼抑制部材が反射材であり、前記木製ルーバーの上面を覆っている
請求項1に記載の燃焼抑制空間。
【請求項4】
前記延焼抑制部材は、前記木製ルーバーの上面に設けられる第1延焼抑制部材と、前記第1延焼抑制部材の上面に設けられる第2延焼抑制部材と、で構成されている
請求項1に記載の燃焼抑制空間。
【請求項5】
前記延焼抑制部材は、前記木製ルーバーにおける上側隅角部を覆っている
請求項2~4のいずれか一項に記載の燃焼抑制空間。
【請求項6】
前記延焼抑制部材は、前記木製ルーバーと前記天井とを繋ぐように設けられ、前記天井懐を複数の空間に区画する界壁を含む
請求項1~5のいずれか一項に記載の燃焼抑制空間。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井に設置された木製ルーバーの燃え広がりを抑制する燃焼抑制空間に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば鉄筋コンクリート製の建物のなどにおいても、脱炭素が着目されていることから、壁や天井などの仕上げ材として木材を使用するニーズが高まっている。また、壁や天井だけでなく、例えば特許文献1のような天井付近に設置されるルーバーについても木材を使用するニーズが高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、木製ルーバーは、火災発生時、天井に到達した火炎に曝されるため、火災発生場所に近い木製ルーバーから順に燃え拡がりやすい。また、建築基準法においては、火災時における急激な火災拡大防止を目的として内装制限が定められている。そのため、木製ルーバーには、木材に対して不燃処理用薬剤を含浸させる不燃処理によって燃焼特性を改善した不燃・準不燃木材が用いられることが通常である。
【0005】
しかしながら、こうした不燃・準不燃木材には、含浸させた不燃処理用薬剤が表面に浮き出る白華現象が生じることがある。白華現象が生じた不燃・準不燃木材は、意匠性が損なわれるため交換が必要となる。そのため、不燃処理を施さなくても木製ルーバーの燃え拡がりが抑えられる技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する燃焼抑制空間は、床と、前記床の上方の天井と、前記床と前記天井との間に配設されて前記天井との間に天井懐を形成する複数の木製ルーバーと、を有する燃焼抑制空間であって、前記木製ルーバーと前記天井との間に、前記木製ルーバーの少なくとも一部を覆って、隣接する前記木製ルーバー間における延焼を抑制する延焼抑制部材を有する。これにより、隣接する木製ルーバー間における延焼が抑えられることから、火災発生時に木製ルーバーの燃え拡がりを抑えることができる。
【0007】
上記燃焼抑制空間において、前記延焼抑制部材が不燃材または断熱材であり、前記木製ルーバーの上面を覆っていてもよい。これにより、天井懐に流入した熱気流や火炎から木製ルーバーへの伝熱量が抑えられることから、木製ルーバーを燃えにくくすることができる。
【0008】
上記燃焼抑制空間において、前記延焼抑制部材が反射材であり、前記木製ルーバーの上面を覆っていてもよい。これにより、天井懐に流入した熱気流や火炎に起因する輻射熱が反射材で反射されるから、木製ルーバーを燃えにくくすることができる。
【0009】
上記燃焼抑制空間において、前記延焼抑制部材は、前記木製ルーバーの上面に設けられる第1延焼抑制部材と、前記第1延焼抑制部材の上面に設けられる第2延焼抑制部材と、で構成されていてもよい。これにより、例えば、第1延焼抑制部材を不燃材または断熱材、第2延焼抑制部材を反射材とすることで、木製ルーバーをより燃えにくくすることができる。
【0010】
上記燃焼抑制空間において、前記延焼抑制部材は、前記木製ルーバーにおける上側隅角部を覆っていてもよい。これにより、天井懐に流入した熱気流や火炎の影響を木製ルーバーの上側角隅部が受けにくくなる。その結果、木製ルーバーをさらに燃えにくくすることができる。
【0011】
上記燃焼抑制空間において、前記延焼抑制部材は、前記木製ルーバーと前記天井とを繋ぐように設けられ、前記天井懐を複数の空間に区画する界壁を含んでいてもよい。これにより、天井懐における熱気流の移動や火炎の伝播が抑えられることから、隣接する木製ルーバーへの延焼を抑えつつ、火災発生場所から離れた位置にある木製ルーバーほど燃焼開始を遅らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態における燃焼抑制空間の概略構成を模式的に示す図。
【
図2】第1実施形態において延焼抑制部材の第一例を模式的に示す図。
【
図3】第1実施形態において延焼抑制部材の第二例を模式的に示す図。
【
図4】第1実施形態において延焼抑制部材の第三例を模式的に示す図。
【
図5】第2実施形態における燃焼抑制空間の概略構成を模式的に示す図。
【
図6】第3実施形態における燃焼抑制空間の概略構成を模式的に示す図。
【
図7】第1変形例において、木製ルーバーに対する隔壁の固定位置を模式的に示す図。
【
図8】第2変形例において、木製ルーバーの配置例を模式的に示す図。
【
図9】第3変形例において、木製ルーバーの横断面の他の例を模式的に示す図。
【
図10】第4変形例において、木製ルーバーの横断面の他の例を模式的に示す図。
【
図11】第5変形例において、木製ルーバーを下方から見た状態を模式的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
図1~
図4を参照して、燃焼抑制空間の第1実施形態について説明する。
図1に示すように、燃焼抑制空間10は、建物において人物11の居住空間12を形成する。燃焼抑制空間10は、床16、天井17、壁18、木製ルーバー19、および、天井懐20を備えている。
【0014】
床16は、燃焼抑制空間10の底部を形成する構造物である。天井17は、床16の上方に位置して燃焼抑制空間10の上部を形成する構造物である。壁18は、燃焼抑制空間10の側部を形成する構造物である。壁18は、床16の周縁部と天井17の周縁部とを繋ぐように設けられている。
【0015】
木製ルーバー19は、床16と天井17との間に設けられている。木製ルーバー19は、水平方向における第1方向Xに延在する板状の部材である。木製ルーバー19は、例えば、第1方向Xにおいて対向する壁18に対して端部が支持される。木製ルーバー19は、水平方向において第1方向Xに直交する第2方向Yに所定の間隔で並設されている。木製ルーバー19は、
図1のように横断面における長手方向が水平方向に沿うように配置されていてもよいし、横断面における長手方向が上下方向に沿うように配置されてもよい。こうした木製ルーバー19と床16との間の空間が居住空間12であり、木製ルーバー19と天井17との間の空間が天井懐20である。
【0016】
天井懐20は、天井17の下方に位置している。天井懐20の下面は、木製ルーバー19によって形成されている。天井懐20の容積は、居住空間12において想定される火災時の火炎量などに基づいて設計される。居住空間12での火災発生時、天井懐20には、火災発生場所の上方に位置する木製ルーバー19の隙間を通じて高温の熱気流や火炎などが流入する。天井懐20に流入した熱気流や火炎は、天井17に沿うようにして天井懐20内を拡がっていく。こうした熱気流や火炎の影響を受ける木製ルーバー19は、火災発生場所に近い木製ルーバー19から燃焼し始める。木製ルーバー19が燃焼し始めると天井懐20内の熱気流や火炎が増加するため、他の木製ルーバー19が燃焼しやすくなる。特に、燃焼している木製ルーバー19に隣接する木製ルーバー19は、木製ルーバー19間で飛び火が生じることもあって燃焼しやすい。こうした燃焼の連鎖によって木製ルーバー19は燃え拡がっていくこととなる。以下では、木製ルーバー19において燃焼が開始されるタイミングを燃焼タイミングという。
【0017】
燃焼抑制空間10は、延焼抑制部材21を備えている。延焼抑制部材21は、木製ルーバー19と天井17との間に配設されている。延焼抑制部材21は、木製ルーバー19の少なくとも一部を覆っているとともに木質よりも燃えにくい材料で構成された部材である。延焼抑制部材21は、天井懐20に流入した熱気流や火炎が木製ルーバー19に与える影響を抑える部材である。なお、木製ルーバー19の上面とは、上下方向において天井17に対向する面である。
【0018】
(延焼抑制部材の第一例)
図2に示すように、第一例において、延焼抑制部材21は、例えば接着剤などによって木製ルーバー19の上面に固定される不燃材または断熱材で構成される耐火材22である。耐火材22は、木製ルーバー19の上面全体を覆っている。耐火材22は、例えばグラスウールやロックウール等で構成される。延焼抑制部材21が耐火材22であることにより、天井懐20に流入した熱気流や火炎から木製ルーバー19への伝熱量が抑えられる。
【0019】
(延焼抑制部材の第二例)
図3に示すように、第二例において、延焼抑制部材21は、例えば接着剤などによって木製ルーバー19の上面に固定される反射材23である。反射材23は、木製ルーバー19の上面全体を覆っている。反射材23は、例えばアルミテープ等で構成される。反射材23は、天井懐20内の熱気流や火炎に起因する輻射熱を反射する。つまり、延焼抑制部材21が反射材23であることにより、木製ルーバー19への輻射熱量が抑えられる。
【0020】
(延焼抑制部材の第三例)
図4に示すように、第三例において、延焼抑制部材21は、第1延焼抑制部材26と第2延焼抑制部材27とで構成されている。
【0021】
第1延焼抑制部材26は、例えば接着剤などによって木製ルーバー19の上面に固定される。第1延焼抑制部材26は、木製ルーバー19の上面全体を覆っている。第2延焼抑制部材27は、第1延焼抑制部材26とは異なる材料で構成されている。第2延焼抑制部材27は、第1延焼抑制部材26に対する木製ルーバー19の反対側から第1延焼抑制部材26を覆うように、第1延焼抑制部材26に設けられている。第2延焼抑制部材27は、例えば接着剤などによって第1延焼抑制部材26の上面に固定される。
【0022】
第1延焼抑制部材26および第2延焼抑制部材27の一方は例えばグラスウールやロックウール等の不燃材または断熱材で構成され、他方は例えばアルミテープ等の反射材で構成されることが好ましい。こうした構成によれば、木製ルーバー19への輻射熱量を第2延焼抑制部材27で抑えつつ、木製ルーバー19への伝熱量を第1延焼抑制部材26で抑えられる。
【0023】
第1実施形態の燃焼抑制空間の作用効果について説明する。
(1-1)燃焼抑制空間10は、木製ルーバー19の少なくとも一部を覆うとともに木質よりも燃えにくい延焼抑制部材21を有する。これにより、天井懐20に流入した熱気流や火炎から木製ルーバー19が受ける影響が抑えられることから、木製ルーバー19の燃焼タイミングを遅らせることができる。その結果、隣接する木質ルーバー19間における延焼が抑えられることから、不燃処理を施さなくても木製ルーバーの燃え拡がりを抑えることができる。
【0024】
(1-2)延焼抑制部材21が木製ルーバー19の上面全体を覆っていることにより、木製ルーバー19の燃焼タイミングをより効果的に遅らせることができる。
(1-3)延焼抑制部材21が不燃材または断熱材で構成されることにより、天井懐20内の熱気流や火炎から木製ルーバー19への伝熱量を効果的に抑えることができる。また、吸音効果も得られる。
【0025】
(1-4)延焼抑制部材21が反射材23で構成されることにより、天井懐20内の熱気流や火炎に起因した輻射熱が木製ルーバー19に与える影響を効果的に抑えることができる。
【0026】
(1-5)延焼抑制部材21が第1延焼抑制部材26と第2延焼抑制部材27とで構成されることにより、(1-3)および(1-4)の双方に記載した効果を得ることができる。
【0027】
(第2実施形態)
図5を参照して、燃焼抑制空間の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の燃焼抑制空間は、第1実施形態における燃焼抑制空間と主要な構成が同じである。そのため、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、第1実施形態と同様の部分については同様の符号を付すことによりその詳細な説明は省略する。
【0028】
延焼抑制部材30は、木製ルーバー19の上面全体に加えて、木製ルーバー19の上側隅角部を覆っている。延焼抑制部材30は、例えばグラスウールやロックウール等の不燃材のほか、例えばアルミテープ等の反射材で構成することができる。また、延焼抑制部材30は、第1実施形態の第三例のように、第1延焼抑制部材と第2延焼抑制部材とで構成することもできる。こうした構成によれば、木製ルーバー19の上面だけでなく、木製ルーバー19の側面上部においても天井懐20内の熱気流や火炎から受ける影響が抑えられる。なお、木製ルーバー19の側面とは、第2方向Yにおける上面の端から下方向に延びる面である。
【0029】
第2実施形態の燃焼抑制空間によれば、上記(1-1)~(1-5)に記載した作用効果に準ずる作用効果に加えて、以下の作用効果が得られる。
(2-1)延焼抑制部材30が木製ルーバー19における上側隅角部を覆っていることにより、木製ルーバー19の上面のみならず、木製ルーバー19の側面上部が天井懐20内の熱気流や火炎から受ける影響を抑えることができる。その結果、木製ルーバー19の燃焼タイミングがさらに遅れることから、隣接する木質ルーバー19間における延焼をより効果的に抑えることができる。
【0030】
(2-2)延焼抑制部材30が木製ルーバー19の側面のうちの上部のみを覆っていることで、居住空間12の人物11が天井17を見上げたとしても延焼抑制部材30を視認しづらい。その結果、木製ルーバー19の意匠性を損なうことなく、燃焼タイミングを遅らせることができる。
【0031】
(第3実施形態)
図6を参照して、燃焼抑制空間の第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態の燃焼抑制空間は、第1実施形態における燃焼抑制空間と主要な構成が同じである。そのため、第3実施形態では、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、第1実施形態と同様の部分については同様の符号を付すことによりその詳細な説明は省略する。
【0032】
図6に示すように、燃焼抑制空間10を構成する延焼抑制部材は、界壁32で構成されている。
界壁32は、不燃材または断熱材で構成されている。界壁32は、上下方向においては木製ルーバー19の上面の一部と天井17とを繋ぐように、また、水平方向においては第1方向Xで対向する一対の壁18を繋ぐように設けられている。すなわち、界壁32は、天井懐20を第2方向Yに並ぶ複数の空間33に区画するように設けられている。
【0033】
界壁32は、上端部が天井17に固定されている。界壁32の上端部は、例えば、天井17と界壁32とが形成する角部において、金具などを用いて天井17に固定される。
界壁32は、下端部が木製ルーバー19に固定されている。界壁32の下端部は、例えば、木製ルーバー19と界壁32とが形成する角部において、金具などを用いて木製ルーバー19に固定される。界壁32の下端部は、第2方向Yにおける木製ルーバー19の端部であって、第2方向Yにおける燃焼抑制空間10の中央側の端部に固定される。
【0034】
界壁32は、形成される空間33の容積や上面視における空間33の面積を考慮して、
図3のように第2方向Yに並設された木製ルーバー19の一部に対して設けられてもよいし、全ての木製ルーバー19に対して設けられてもよい。
【0035】
第3実施形態の燃焼抑制空間の作用効果について説明する。
(3-1)界壁32が設けられることにより、空間33の間における熱気流の移動や火炎の伝播、すなわち天井懐20における熱気流の移動や火炎の伝播が抑えられる。これにより、木製ルーバー19の延焼を抑えつつ、火災発生場所から離れた位置にある木製ルーバー19ほど燃焼タイミングを遅らせることができる。その結果、不燃処理を施さなくても木製ルーバー19の燃え拡がりを抑えることができる。
【0036】
(3-2)界壁32は、木製ルーバー19に対し、第2方向Yにおける燃焼抑制空間10の中央側の端部に固定されている。これにより、第2方向Yで対向する壁18によって一側面が区画される空間33、
図3においては最も左側に位置する空間33の容積が大きくなる。その結果、
図1に示すように壁18付近において火災が発生したとき、より多くの熱気流や火炎が火災発生場所に近い位置に止められることから、該火災発生場所から離れている木製ルーバー19の燃焼タイミングをさらに遅らせることができる。また、隣接する2つの木製ルーバー19の一方の燃焼が開始されたとしても、木製ルーバー19間での飛び火など、燃焼中の木製ルーバー19が未燃焼の木製ルーバー19に対して与える影響を小さくすることができる。
【0037】
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・界壁32は、天井懐20を複数の空間33に区画する構成であればよい。そのため、界壁32は、第2方向Yにおける燃焼抑制空間10の中央側の端部に固定される構成に限られない。
【0038】
例えば、
図7に示す第1変形例において、界壁32は、第2方向Yにおける木製ルーバー19の中央部に固定されてもよい。こうした構成によれば、人物11から界壁32が見えにくくなることで燃焼抑制空間10の意匠性が向上する。また、界壁32は、上面視において、格子状に配置される構成であってもよいし、木製ルーバー19の側面を覆うように設けられてもよい。
【0039】
・木製ルーバー19は、界壁32で覆われていない部分が不燃材や断熱材、反射材などで覆われていてもよい。
・延焼抑制部材21は、木製ルーバー19の上面に加えて、側面全体を覆う構成であってもよい。
【0040】
・
図8に示す第2変形例において、木製ルーバー19は、例えば、高さ位置が交互に異なる段違い状に設けられていてもよい。
・
図9に示す第3変形例において、木製ルーバー19の横断面は、下底が下側に配置される台形形状であってもよい。この場合、延焼抑制部材21は、横断面における上底と一対の脚とを覆うように設けられることが好ましい。
【0041】
・
図10に示す第4変形例において、木製ルーバー19の横断面は、底辺が下側に配置される三角形状であってもよい。こうした構成によれば、各木製ルーバー19において、隣接する木製ルーバー19に近い位置に配置される部位が少なくなることから、木製ルーバー19の延焼を効果的に抑えることが可能である。
【0042】
・
図11は、木製ルーバー19を下方から見た平面図である。
図11に示す第5変形例において、例えば、第1方向Xに延びる木製ルーバー19は、隙間35(
図11におけるハッチング部分)が格子状に配置されるように配列される場合もある。こうした構成において、界壁32は、第2方向Yで並ぶ木製ルーバー19の端部に重なるよう配置されることが好ましい。すなわち、界壁32は、居住空間12から視認しにくくなるように、隙間35の直上を通らないように配置されることが好ましい。これにより、意匠性の低下を抑えつつ、天井懐20を第1方向Xに並ぶ複数の空間に区画することができる。
【符号の説明】
【0043】
10…燃焼抑制空間、11…人物、12…居住空間、16…床、17…天井、18…壁、19…木製ルーバー、20…天井懐、21…延焼抑制部材、22…延焼抑制部材としての耐火材、23…延焼抑制部材としての反射材、26…第1延焼抑制部材、27…第2延焼抑制部材、30…延焼抑制部材、32…延焼抑制部材としての界壁、33…空間、35…隙間。